ところで、このような接合部に、接着剤を一様に配置した場合、複数の部材が重なり合う部分では、剛性が過度に増加し、特定の周波数帯における振動減衰性が接着剤を用いない場合に比べてかえって悪化するという課題があった。
そこで本発明では、剛性の過剰な増加を抑え、適切な剛性を有しつつ高減衰性を両立化し得る車両の車体構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明では、複数の部材が重なり合う部分における減衰性接着剤の接着剤量を他の部分の接着剤量よりも低減させるようにした。
すなわち、ここに開示する車両の車体構造は、車体を構成するパネル部材と、前記パネル部材の一面に第1接合部を介して接合された第1剛性部材と、前記パネル部材の他面に第2接合部を介して接合された第2剛性部材とを備え、前記第2接合部は、前記第2剛性部材と前記パネル部材との双方に接着することで両者を接合させる減衰性の接着剤を備えており、前記第2接合部は、前記第1接合部と重なり合う第2接合部交差部分と、該第2接合部交差部分に隣接し且つ該第1接合部と重なり合わない第2接合部隣接部分とを備え、前記第2接合部隣接部分は、前記パネル部材の前記一面側に前記第1剛性部材が配置されていない非積層隣接部分と、該第1剛性部材が配置されている積層隣接部分とを備えており、前記積層隣接部分における前記接着剤の単位面積当たりの接着剤量は、前記非積層隣接部分における前記接着剤の単位面積当たりの接着剤量よりも少ないことを特徴とする。
複数の部材が重なり合う部分では、接着剤を用いてこれらの部材を全て接合させると過度に剛性が高まり、減衰性の接着剤を用いた場合であっても、かえってパネル部材への振動伝達が促進され、特定周波数帯における振動減衰性が低減され得る。本構成によれば、積層隣接部分における剛性の極度な高まりを抑制し、積層隣接部分の特定周波数帯における振動減衰性の低下を抑制することができる。そうして、第2剛性部材からパネル部材、第1剛性部材への振動伝達を抑制することができる。
好ましくは、前記第2剛性部材は、長尺部材であり、前記第2接合部は、前記第2剛性部材の長手方向に延びるように形成されており、前記接着剤は、前記第2接合部交差部分以外の部分では、前記第2接合部の延出方向に沿って連続的に配置されている。
本構成によれば、幅の狭い第2接合部であっても、第2接合部の広い範囲にわたって接着力を一様に作用させることができ、局所的に外力が作用しても第2接合部の全域にわたり分散させることができるので、車体の剛性を高めることができる。
また、前記第2接合部交差部分における前記接着剤の単位面積当たりの接着剤量は、前記非積層隣接部分における前記接着剤の単位面積当たりの接着剤量よりも少ないことが好ましい。
複数の接合部が重なり合う部分においても、接着剤を用いてこれらの部材を全て接合させると過度に剛性が高まり、減衰性の接着剤を用いた場合であっても、かえってパネル部材への振動伝達が促進され、特定周波数帯における振動減衰性が低減され得る。本構成によれば、第2接合部交差部分における剛性の極度な高まりを抑制し、延いては第2剛性部材からパネル部材への振動伝達を抑制することができる。
好ましくは、前記第2剛性部材は、長尺部材であり、前記第2接合部は、前記第2剛性部材の長手方向に延びるように形成されており、前記接着剤は、前記第2接合部交差部分及び前記積層隣接部分以外の部分では、前記第2接合部の延出方向に沿って連続的に配置されている。
本構成によれば、幅の狭い第2接合部であっても、第2接合部の広い範囲にわたって接着力を一様に作用させることができ、局所的に外力が作用しても第2接合部の全域にわたり分散させることができるので、車体の剛性を高めることができる。
好ましくは、前記第1接合部及び/又は前記第2接合部は、所定の間隔を隔てて対向するように配置された一対の対向接合部を含み、前記一対の対向接合部の間に閉断面構造が形成されている。
本構成によれば、前記一対の対向接合部の間に閉断面構造が形成されることで、車体構造の剛性を高めることができる。
好ましくは、前記第1剛性部材及び/又は前記第2剛性部材は断面ハット状の長尺部材であり、前記第1剛性部材及び/又は前記第2剛性部材はそれぞれ前記第1剛性部材及び/又は前記第2剛性部材の幅方向の両端に長手方向に延びるように互いに略並行に設けられた一対のフランジ部を備えており、前記一対の対向接合部は、前記一対のフランジ部が前記パネル部材に接合されてなり、前記一対の対向接合部の間に前記第1剛性部材及び/又は前記第2剛性部材と前記パネル部材とにより構成された閉断面構造が形成されている。
本構成によれば、前記第1剛性部材及び/又は前記第2剛性部材と前記パネル部材とにより閉断面構造が形成されることで、車体構造の剛性を高めることができる。
好ましくは、前記第2接合部において、前記閉断面構造の内側に臨む前記対向接合部の縁部に沿って前記接着剤が設けられている。
本構成によれば、閉断面構造に捩り力等の外力が加わった場合に、対向接合部が口開きして、変形が進むのを抑制できるので、構造的にも剛性を高めることができる。
好ましくは、前記パネル部材は、前記車体の車室を構成するフロアパネルであり、前記第1剛性部材は前記フロアパネルを補強するためのクロスメンバであり、前記第2剛性部材は前記車体のフレームである。
本構成によれば、車体の車室の下部を構成する車体構造において、高剛性且つ高減衰性の接合部をもたらすことができるので、車体強度を確保しながら快適性を向上できる。
好ましくは、前記フレームは前記フロアパネルの下側に車両前後方向に延びるように形成されており、前記クロスメンバは、前記フロアパネルの上側に前記フレームに交差して車幅方向に延びるように形成されるとともに、車両前後方向に離間して複数設けられており、前記フロアパネルの前記車両前後方向の両端側に位置する前記積層隣接部分における前記接着剤の単位面積当たりの接着剤量は、前記フロアパネルの中央側に位置する前記積層隣接部分における前記接着剤の単位面積当たりの接着剤量よりも少ない。
フロアパネルのうちフロント側及びリア側は、フロントパネルやリアパネル、フレームを介してエンジンやホイールからフロアパネルへ伝達される振動の入力源となり得る。そうすると、フロント側及びリア側の接合部の剛性が高くなりすぎると減衰性が確保されがたくなり得る。本構成によれば、フロアパネルのフロント側及びリア側に位置する積層隣接部分の接着剤の接着剤量を、フロントパネルの中央側に位置する積層隣接部分の接着剤の接着剤量よりも少なくすることで、効果的に振動の伝達を抑えることができ、車体強度を確保しながら快適性を向上できる。
好ましくは、前記フレームは前記フロアパネルの下側に車両前後方向に延びるように形成されており、前記クロスメンバは、前記フロアパネルの上側に前記フレームに交差して車幅方向に延びるように形成されるとともに、車両前後方向に離間して複数設けられており、前記フロアパネルに対し前側及び/又は後側から外力が作用したときに、該フロアパネルに伝わる車両前後方向の振動の振幅の腹の位置に近い前記積層隣接部分における前記接着剤の単位面積当たりの接着剤量が、前記振幅の腹の位置から遠い前記積層隣接部分における前記接着剤の単位面積当たりの接着剤量に比べて少ない。
振動の振幅の腹において、振幅は最大となることから、振幅の腹の位置に近い積層隣接部分における振動伝達を抑制することが特に望ましい。本構成によれば、振幅の腹の位置に近い積層隣接部分ほど、接着剤の単位面積当たりの接着剤量を少なくすることで、振動の伝達を効果的に抑えることができる。
好ましくは、前記第1接合部は、前記第1剛性部材と前記パネル部材との双方に接着することで両者を接合させる減衰性の追加の接着剤を備えている。
本構成によれば、第1接合部の接合強度を高め、車体の剛性を高めることができる。
好ましくは、前記第1剛性部材は、長尺部材であり、前記第1接合部は、前記第1剛性部材の長手方向に延びるように形成されており、前記追加の接着剤は、前記第1接合部の延出方向に沿って連続的に配置されている。
本構成によれば、幅の狭い第1接合部であっても、第1接合部の広い範囲にわたって接着力を一様に作用させることができる。その結果、第1接合部に対して局所的に外力が作用した場合でも、その外力を接合部の全域にわたって円滑に分散させることができるので、車体の剛性を高めることができる。
前記接着剤は、20℃の温度で、加振力の周波数が60Hzである条件下において、貯蔵弾性率が100MPaから800MPaの範囲内、かつ、損失係数が0.2以上の特性を有していることが望ましい。
本構成によれば、特有の物性を有する接着剤を用いることにより、高剛性と高減衰性との両立が可能になり、乗り心地の改善や騒音の低減が容易に実現できるようになる。
また、前記接着剤は、20℃の温度で、加振力の周波数が60Hzである条件下において、貯蔵弾性率が500MPaより大きく600MPa以下の範囲内、かつ、損失係数が0.3以上の特性を有していることが望ましい。
本構成によれば、高剛性を確保しながら、損失係数を大幅に高めることが可能になるので、よりいっそう高剛性及び高減衰性の両立が可能になる。
好ましくは、前記第1接合部は、前記第1剛性部材と前記パネル部材との双方に接着することで両者を接合させる減衰性の追加の接着剤を備えており、前記第1接合部及び/又は前記第2接合部は、スポット溶接及び/又は機械的接合手段との併用構造である。
前記第1接合部及び/又は前記第2接合部を、接着剤とスポット溶接との併用構造(ウェルドボンド接合)、接着剤と機械的接合手段との併用構造、又はこれら併用構造を適宜組み合わせることで、さらなる高剛性と高減衰性との両立が可能になる。
好ましくは、前記第1剛性部材及び/又は前記第2剛性部材は、長尺部材であり、前記第1接合部及び/又は前記第2接合部は、前記接着剤及び/又は前記追加の接着剤による接合に加え、前記第1剛性部材及び/又は前記第2剛性部材の延出方向に間隔を隔てて配置され、前記第1剛性部材及び/又は前記第2剛性部材と前記パネル部材との双方が互いに部分的に溶接されることによって構成されている複数のスポット接合部を備えている。
本構成によれば、第1接合部及び/又は第2接合部に、第1剛性部材及び/又は第2剛性部材の延出方向に間隔を隔てて配置された複数のスポット接合部を備えたウェルドボンド接合を採用することによって、高剛性を確保しながら、損失係数を大幅に高めることが可能になり、乗り心地の改善や騒音の低減が容易に実現できるようになる。
好ましくは、前記スポット接合部の間隔が、10mm〜100mmの範囲内に設定されている。
スポット接合部の間隔が狭すぎると、接合による剛性の影響が大きくなって、接着剤が存在する部分である接着部の振動減衰効果が妨げられる。また、スポット接合部の間隔が広すぎると、接合による剛性の影響が小さくなって、接着部への負担が増加し、接合部全体としての剛性が低下するおそれがある。本構成によれば、スポット接合部の間隔を前述した範囲とすることで、剛性及び減衰性を備えた接着部と、剛性に優れるスポット接合部とが、適度に補完し合う状態となり、車体の高剛性と高減衰性とを安定して両立させることが可能になる。
好ましくは、前記第1接合部における前記パネル部材及び前記第1剛性部材の少なくとも一方、及び/又は、前記第2接合部における前記パネル部材及び前記第2剛性部材の少なくとも一方は、2mmより薄い厚さを有している。
接着剤の剛性に伴って、2mmより薄い側の部材の接合部が適度に撓み変形するので、これに伴って接合部に配設される接着剤に剪断等の荷重が入力され、接着剤が変形することによって、軽量化を図りながら、減衰性の向上効果が得られる。
以上述べたように、本発明によると、車両の車体構造において高剛性と高減衰性とが両立できる。その結果、必要な車体強度を確保しながら、乗り心地の改善や騒音の低減が容易に実現でき、車両の快適性が向上する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
<車体の構造>
図1及び図2に、開示技術に係る車両の車体構造を適用した自動車(車両)の車体1を示す。図1は、車体1を左側方から見た図であり、図2は、車体1を下方から見た図である。
なお、本明細書において、方向は車体1を基準とする。すなわち、図1に示すように、「前後方向」及び「上下方向」は、それぞれ車両前後方向及び車両上下方向と同一の方向とする。なお、「前側」を「フロント側」、「後側」を「リア側」と称することがある。また、図2に示すように、「左右方向」は、車幅方向と同一の方向とし、図1の紙面の手前側を左側、奥側を右側とする方向である。
車体1の前部は、主にエンジンルームを構成し、車体1の後部は、主にトランクルームを構成する。乗員を収容する車室2は、車体1の前後方向における中間部分によって構成されている。その車体1の下部の中間部分における左右には、前後方向に並行して延びるサイドシル3,3が配設されている。これらサイドシル3,3の間における車幅方向の中央部位には、トンネルレイン4が前後方向に延びるように配設されている。
このトンネルレイン4を横切るような状態で、車幅方向に延びる複数のクロスメンバ5(第1剛性部材)が、左右のサイドシル3,3に接合されている。そして、車体1の下部の中間部分であって、これらクロスメンバ5の下側には、車室2の床面を覆うようにフロアパネル6(パネル部材)が配設されている。クロスメンバ5は、フロアパネル6に接合されてフロアパネル6を補強する役割を有する。
フロアパネル6の前端部は、車体1の前方下部に位置するフロントパネル10と接合されている。フロアパネル6の後端部は、車体1の後方下部に位置するリアパネル11と接合されている。フロアパネル6の下側には、左右一対のフレーム7(第2剛性部材)が接合されて、車両前後方向に延びている。フレーム7は、フロアパネル6の前端部より前側はフロントパネル10の下側、フロアパネル6の後端部より後側はリアパネル11の下側に接合されている。フレーム7は、フロアパネル6、フロントパネル10、リアパネル11に接合されてこれらを補強する役割を有する。
上記フロアパネル6、サイドシル3、トンネルレイン4、クロスメンバ5、フレーム7、フロントパネル10及びリアパネル11(以下、これらの部材を総称して「車体構成部材」と称することがある。)が相互に接合されることにより、車室2の下部を支持する車体構造が構成されている。
<接合部>
上記車体構成部材の互いの接合部分を接合部20とする。接合部20には、以下のとおり、第1接合部20b、第2接合部20cが含まれる。
−第1接合部−
図3に、クロスメンバ5とフロアパネル6との第1接合部20bを示す。クロスメンバ5は、断面ハット状の長尺部材であるクロスメンバ本体51がフロアパネル6の上面(一面)に第1接合部20bを介して接合されることにより形成されている。クロスメンバ本体51は、帯板状の主壁部51aと、互いに対向した状態で主壁部51aの両側縁にその全長にわたって連なる一対の側壁部51b,51bと、各側壁部51bの突端からその全長にわたって互いに逆向きに張り出す一対のフランジ部51c,51cとを有している。
フランジ部51c,51cの各々は、クロスメンバ本体51の幅方向の両端に長手方向に延びるように互いに略並行に設けられており、減衰性の第1接着剤21(追加の接着剤)によりフロアパネル6の上面に接合されている。すなわち、第1接合部20bは、フランジ部51c,51cとフロアパネル6と、これら双方に接着することで両者を接合させる第1接着剤21とにより構成されている。そうして、第1接合部20bは、所定の間隔を隔てて対向するように並行して延びる一対の対向接合部を構成している。そして、これら一対の対向接合部の間に、クロスメンバ本体51の主壁部51a及び一対の側壁部51b,51bと、フロアパネル6とにより閉断面構造が形成されている。閉断面構造が形成されることにより、構造的に車体1の剛性が強化される。
なお、クロスメンバ5の長手方向に延びるように形成された第1接合部20bにおいて、第1接着剤21は、図3に示すように、第1接合部20bの延出方向に沿って連続的に配置されている。
クロスメンバ本体51のフランジ部51cは、狭い幅で細長く延びるように形成され得る。そのため、高剛性と高減衰性とを安定して両立させるには、第1接合部20bの全域にわたって一様な接合状態にするのが好ましい。従って、第1接合部20bでは、第1接着剤21が、第1接合部20bの延出方向に実質的に途切れることなく、連なった状態で設けられている。
この構成により、第1接合部20bの幅が狭い場合であっても、第1接合部20bの広い範囲にわたって一様な接着力を確保することができる。そうして、第1接合部20bに対して局所的に外力が作用した場合でも、その外力を第1接合部20bの全域にわたって円滑に分散させることができるので、車体1の剛性を高めることができる。
また、図3に示すように、第1接合部20bの閉断面構造の内側に臨む縁部に沿って第1接着剤21を設けるようにしてもよい。そうすれば、閉断面構造に捩り力等の外力が加わった場合に、第1接合部20bが口開きして、変形が進むのを抑制できるので、構造的にも剛性を高めることができる。
−第2接合部−
図4に、フロアパネル6とフレーム7の第2接合部20cを示す。フレーム7は、クロスメンバ5と同様に、断面ハット状の長尺部材であるフレーム本体71をフロアパネル6の下面(他面)に接合して形成されている。フレーム本体71は、帯板状のフレーム主壁部71aと、互いに対向した状態でフレーム主壁部71aの両側縁にその全長にわたって連なる一対のフレーム側壁部71b,71bと、各フレーム側壁部71bの突端からその全長にわたって互いに逆向きに張り出す一対のフレームフランジ部71c,71cとを有している。
これらフレームフランジ部71c,71cの各々は、フレーム本体71の幅方向の両端に長手方向に延びるように互いに略並行に設けられており、減衰性の第2接着剤22(接着剤)によってフロアパネル6に接合されている。すなわち、第2接合部20cは、フレームフランジ部71c,71cとフロアパネル6と、これら双方に接着することで両者を接合させる第2接着剤22とにより構成されている。そうして、第2接合部20cは、所定の間隔を隔てて対向するように並行して延びる一対の対向接合部を構成している。そして、これら一対の対向接合部の間に、フレーム本体71のフレーム主壁部71a及び一対のフレーム側壁部71b,71bと、フロアパネル6とにより閉断面構造が形成されている。閉断面構造が形成されることにより、構造的に車体1の剛性が強化される。
なお、フレーム7の長手方向に延びるように形成された第2接合部20cにおいて、第2接着剤22は、後述する第2接合部交差部分以外の部分は、図4に示すように、第2接合部20cの延出方向に沿って連続的に配置されている。
フレームフランジ部71c,71cも、クロスメンバ5のフランジ部51c,51cと同様に、狭い幅で細長く延びるように形成され得る。そのため、第2接合部20cにおける接着力を分散させ、高剛性と高減衰性とを安定して両立させる観点から、第2接着剤22を第2接合部20cの延出方向に実質的に途切れることなく連なった状態で設け、第2接合部20cの全域に亘って一様な接合状態にするのが好ましい。
なお、第2接合部20cにおいても、第1接合部20bと同様に、図5に示すように、閉断面構造の内側に臨む縁部に沿って第2接着剤22を設けるようにしてもよい。そうすれば、閉断面構造に捩り力等の外力が加わった場合に、第2接合部20cが口開きして、変形が進むのを抑制できるので、構造的にも剛性を高めることができる。
−接着剤−
接合部20は、車体強度を確保する必要性から、高い剛性が求められるため、例えば貯蔵弾性率が1500MPaを超えるような高剛性の物性を有する接着剤を用いることが一般的となっている。一方、一般に剛性が高いほど振動は伝わり易くなるため、自動車の走行時等に発生する振動の伝達を抑制して快適な乗り心地を実現する観点から、車体1、特に、乗員が収容される車室2を構成する部分の接合部20は、高い剛性を確保しつつ、振動を減衰できる減衰性を有する接着剤を用いることが望ましい。
しかしながら、一般的に採用される貯蔵弾性率が1500MPaを超える接着剤の損失係数は、概ね0.05程度であることから、車体1の振動に対して求める減衰効果は得られない。
この点、本願発明者らは、CAE解析により、接着剤の貯蔵弾性率を、従来の2000MPa程度から100MPaに下げた場合でも、車体1を構成する部材の接合部20の剛性の低下は20%程度に止まることを見出した。また、500MPaより貯蔵弾性率が高ければ、接合部20の剛性にほとんど差が無くなることも見出した。
貯蔵弾性率を下げることができれば、損失係数を高めることができる。例えば、貯蔵弾性率を500MPaとすれば、損失係数を0.4以上にすることも可能である。従って、高減衰性が実現できる。
かかる知見に基づき、車体1の接合部20には、第1接着剤21及び第2接着剤22として、特有の物性を有する減衰性の接着剤が用いられている。具体的には、20℃の温度で、加振力の周波数が60Hzである条件下において、貯蔵弾性率が100MPaから800MPaの範囲内、かつ、損失係数が0.2以上の特性を有する接着剤が用いられている。
ここで、20℃は常温に対応した温度であり、接着剤の物性を特定するうえで、標準的な温度条件を表している。60Hzの周波数の加振力は、乗員に不快感を与え易い振動に対応したものであり、この条件下において高減衰性を実現することで、自動車の快適性(NVH)の向上が可能になる。
接合部20に、上述の物性を有する接着剤を用いることで、車体1において高剛性と高減衰性を両立することが可能になり、延いては車体強度を確保しながら、乗り心地の改善や騒音の低減が実現できる。
なお、貯蔵弾性率は、高剛性且つ高減衰性の接合部20を得る観点から、300MPa〜700MPaの範囲内が好ましく、450MPa〜600MPaの範囲がより好ましく、更には、500MPaより大きく600MPa以下の範囲内がよりいっそう好ましい。
そして、損失係数も、0.2以上よりも0,3以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。損失係数が高いほど、振動の減衰効果が高まるので、快適性を更に向上できる。
−その他の構成−
図3及び図4に示すように、接合部20の縁部から接着剤の一部がはみ出すように構成してもよい。そうすれば、接着剤を接合部20に塗布する際に、塗布量や塗布位置に多少のばらつきが発生しても、接合部20の縁部に沿って接着部を安定して設けることができるので、口開きを、より高精度に抑制することができる。
また、接合部20を構成する車体構成部材のうち少なくとも一方は、2mmより薄い厚さを有するように構成することができる。具体的には例えば、第1接合部20bにおけるフロアパネル6及びクロスメンバ5の少なくとも一方、第2接合部20cにおけるフロアパネル6及びフレーム7の少なくとも一方は、2mmより薄い厚さを有するように構成することができる。
接合部20を構成している車体構成部材の双方の厚みが2.0mm以上になると、接合部20に捩り等の外力を作用させた場合に、その車体構成部材の剛性が接着剤の剛性に対して過剰になる。その結果、接着剤の剛性に伴って車体構成部材が適度に撓み変形し難くなり、前述した減衰性の向上効果が得られない。
対して、接合部20を構成している双方の車体構成部材のうち、少なくとも一方の厚みが2mmより薄い場合には、接着剤の剛性に伴って車体構成部材のうち、少なくとも厚みが2mmより薄い側の車体構成部材が適度に撓み変形するので、これに伴って接合部20に配設される接着剤に剪断等の荷重が入力され、前述した減衰性の向上効果が得られる。車体構成部材の厚みが薄いほど、減衰性の向上率増大が期待でき、部材コストや車体重量の低減の観点からも有利である。
サイドシル3とフロアパネル6との連結部位、トンネルレイン4とフロアパネル6との連結部位、フロントパネル10又はリアパネル11とフロアパネル6との連結部位等も、これらと同様にして減衰性の接着剤により接合されている。
<積層部分>
図2に示すように、フレーム7はフロアパネル6の下側を車両前後方向に延びるように形成されるとともに、クロスメンバ5は、フロアパネル6の上側にフレーム7に交差して車幅方向に延びるように形成されている。
図2の符号Dで示した部分は、クロスメンバ5、フロアパネル6及びフレーム7が上下方向に重なる構成となっている部分である。符号Dで示した部分の概略的な拡大図を図5に示す。なお、図5では、理解のため第2接着剤22をハッチングで示しており、簡単のため第1接着剤21は示していない。また、図6は、図5のD1−D1線における断面図である。
図5、図6に示すように、クロスメンバ5、フロアパネル6及びフレーム7が上下方向に重なっている部分は、クロスメンバ本体51のフランジ部51c,51cと、フロアパネル6と、フレーム本体71のフレームフランジ部71c,71cとが上下方向に積層されてなる積層部分Qを構成している。積層部分Qは、言い換えると、第1接合部20bと第2接合部20cとが重なり合う部分である。
第2接合部20cは、第1接合部20bと重なり合って上記積層部分Qを構成する第2接合部交差部分Q2と、この第2接合部交差部分Q2に隣接し且つ第1接合部20bと重なり合わない第2接合部隣接部分としての非積層隣接部分R21及び積層隣接部分R22(以下、非積層隣接部分R21及び積層隣接部分R22を「第2接合部隣接部分R21,R22」と称することがある。)とを備えている。
なお、非積層隣接部分R21は、フロアパネル6の上面側にクロスメンバ5が配置されていない部分である。また、積層隣接部分R22は、フロアパネル6の上面側にクロスメンバ5の主壁部51a及び一対の側壁部51b,51bが配置されている部分であり、これら主壁部51a及び一対の側壁部51b,51bとともに上述の閉断面構造を形成しているフロアパネル6の部分に位置する第2接合部20cということができる。
ここに、本開示技術は、図5及び図6に示すように、積層隣接部分R22における第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量が、非積層隣接部分R21における第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量よりも少ないことを特徴とする。以下、その作用効果について説明する。
図14及び図15は、積層隣接部分R22も含めて第2接合部20cの全域に第2接着剤22を配置した場合の様子を示している。すなわち、図6における積層部分Qの積層隣接部分R22にも非積層隣接部分R21と同様に、第2接着剤22を連続的に一様に配置した構成である。
このように、第2接合部20cの全域に亘って一様に第2接着剤22を配置すると、積層部分Qに位置する第1接合部20bの部分には、第1接着剤21が配置されているから、車両前後方向の剛性が積層部分Qにおいて過度に高まる傾向が生じ、積層部分Qにおける減衰性が低下し得る。
また、積層隣接部分R22に位置するフロアパネル6はクロスメンバ5と閉断面構造を形成しているから、積層隣接部分R22に第2接着剤22が配置されていると、積層部分Qから積層隣接部分R22にかけて剛性が高まる結果、車両前後方向で考えると、例えばフレーム7を伝わる振動が積層部分Q及び積層隣接部分R22を介してフロアパネル6やクロスメンバ5に伝達されやすくなる。
これに対し、図5及び図6に示すように、本開示技術によれば、積層隣接部分R22の第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量を、非積層隣接部分R21に比べて少なくすることで、積層隣接部分R22におけるフレームフランジ部71cとフロアパネル6との接着力を低下させることができる。そうすると、閉断面構造を形成する積層隣接部分R22における剛性の過度の高まりを抑えて減衰性の低下を抑制することができ、延いては閉断面構造におけるフレーム7からフロアパネル6やクロスメンバ5への振動伝達を抑制することができる。その結果、車体強度を確保しながら快適性を向上できる。
なお、第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量について、積層隣接部分R22の接着剤量は、非積層隣接部分R21の接着剤量の好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下とすることができる。また、特に好ましい態様では、後述するように、積層隣接部分R22の接着剤量をゼロとしてもよい。
本明細書において、「単位面積当たりの接着剤量」とは、例えば積層隣接部分R22の任意の個所における単位面積当たりの接着剤量をいうとともに、例えば、図5,図6で示す2つの積層隣接部分R22のうちの1つにおける積層隣接部分R22全体における単位面積当たりの接着剤量の平均値をも含むものとする。具体的には、例えば、1つの積層隣接部分R22において、接着剤を一様に塗布した場合だけでなく、例えばドット状等のように接着剤を塗布して、局所的には単位面積当たりの接着剤量が多い個所と少ない個所が存在するが、1つの積層隣接部分R22全体の平均値として、上述の接着剤量の範囲を満たしている場合を含む。なお、非積層隣接部分R21における単位面積当たりの接着剤量について、平均値をいうときは、第2接合部交差部分Q2に隣接する個所の第2接合部交差部分Q2の面積と同等の面積を有する部分の単位面積当たりの接着剤量の平均値についていうものとする。
また、1台の車体1内に複数の積層隣接部分R22が形成され得るが、その複数の積層隣接部分R22全てにおける接着剤量は同一でなくてもよく、積層隣接部分R22の位置によって、接着剤量を適宜増減させることができる。
具体的には、図2に示すように、クロスメンバ5は、車両前後方向に離間して複数(本実施形態では2個)設けられており、積層部分Qも複数個所に構成される。従って、積層隣接部分R22も複数個所に存在している。
図7は、フロントパネル10及びリアパネル11に外力が作用したときのフロアパネル6及びクロスメンバ5の振動の様子を模式的に示した図である。なお、簡単のためフレーム7は図示していない。
図7において、破線は、外力が作用する前の構成を示し、実線は、フロント側及びリア側から外力が作用したときの構成を示す。図7中符号S1及びS2の白抜き矢印で示すように、フロントパネル10及びリアパネル11に例えば下側から外力が作用した場合、フロントパネル10及びリアパネル11から伝わる前後方向の振動は符号H1及びH2の黒矢印で示す位置のパネル接合部20aを入口としてフロアパネル6に入力されてフロアパネル6に伝わり、符号T1及びT3の黒矢印で示す位置において振幅の腹となり得る。すなわち、符号T2で示す黒矢印の位置に比べて、符号T1及びT3の黒矢印で示す位置において、フロアパネル6の振幅が大きくなり得る。
そうすると、振幅の腹の位置に近い積層隣接部分R22における第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量を、振幅の腹の位置から遠い他の積層隣接部分R22における第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量よりも少なくすることが、振動の伝達を抑える観点で効果的である。具体的には例えば、図7中符号T3で示す位置に近いクロスメンバ5の第2接合部20cに形成される積層隣接部分R22の第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量を、符号T2で示す位置に近い第2接合部20cに形成される積層隣接部分R22の第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量よりも少なくすることが望ましい。
また、フロアパネル6のうちフロント側及びリア側は、フロントパネル10やリアパネル11、フレーム7を介して図外のエンジンやサスペンション等からフロアパネル6へ伝達される振動の入力源となり得る。そうすると、フロント側及びリア側に位置する接合部20の剛性が高くなりすぎると減衰性が確保されがたくなり得る。
従って、フロアパネル6の車両前後方向の両端側、すなわちフロント側及びリア側に位置する積層隣接部分R22における第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量は、フロアパネル6の中央側に位置する積層隣接部分R22の第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量よりも少なくなるように設定されていてもよい。これにより、効果的に振動の伝達を抑えることができ、車体強度を確保しながら快適性を向上できる。
なお、フレーム7からフロアパネル6やクロスメンバ5への振動伝達を抑制し、高剛性及び高減衰性を両立させる観点から、特に図6に示すように、第2接着剤22を積層隣接部分R22に全く配置しない構成とすることが好ましい。
図8は、図2に示す構成において、リアパネル11からの振動入力を仮定した場合に、フロアパネル6に伝わる振動について、CAE解析を用いて周波数に対するフロア音響放射パワーを算出した結果である。
図8中、一点鎖線で示す比較例1は、第1接合部20b及び第2接合部20cにおいて、第1接着剤21及び第2接着剤22を配置しない場合、破線で示す比較例2は、図14及び図15に示すように、第1接合部20b及び第2接合部20cの全域に第1接着剤21及び第2接着剤22を一様に配置した場合、実線で示す実施例1は、図5及び図6に示すように、全ての積層隣接部分R22の第2接着剤22の接着剤量をゼロとした場合の結果である。
図8に示すように、周波数帯245Hz〜270Hz近傍では、比較例1から比較例2において、フロア音響放射パワーが大幅に低下し、フロアパネル6に伝達する振動が低減されていることが判る。これに対し周波数帯310Hz近傍では、比較例1に比べて比較例2において、フロア音響放射パワーが増加し、フロアパネル6に伝達する振動がかえって増加していることが判る。そして、実施例1では、比較例2と比べて周波数帯310Hz近傍のフロア音響放射パワーの増加が抑制されていることが判る。
このように、第2接着剤22を積層隣接部分R22に全く配置しない構成とすることで、接合部20における減衰性を確保し、フロアパネル6への振動伝達を抑制することができる。
(実施形態2)
以下、本発明に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態1では、第2接着剤22の接着剤量について、積層隣接部分R22の接着剤量を非積層隣接部分R21の接着剤量よりも少なくする構成であったが、第2接合部交差部分Q2の接着剤量も非積層隣接部分R21の接着剤量よりも少なくする構成としてもよい。
具体的には、図9及び図10に示すように、積層隣接部分R22に加え、第2接合部交差部分Q2においても接着剤量を少なくする構成である。
積層部分Qに位置する第2接合部20cの部分、すなわち第2接合部交差部分Q2には、第2接着剤22が配置されているところ、積層部分Qの第2接合部交差部分Q2の第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量を、非積層隣接部分R21に比べて少なくすることで、第2接合部交差部分Q2におけるフランジ部51cとフロアパネル6との接着力を低下させることができる。そうすると、第2接合部交差部分Q2における剛性が低下するから、積層部分Qの減衰性の低下を抑制することができ、延いては、フレーム7からフロアパネル6やクロスメンバ5への振動伝達を効果的に抑制することができる。その結果、車体強度を確保しながら快適性を向上できる。
なお、第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量について、第2接合部交差部分Q2の接着剤量は、積層隣接部分R22における接着剤量の考え方に基づいて、非積層隣接部分R21の接着剤量の好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下とすることができる。また、特に好ましい態様では、第2接合部交差部分Q2の接着剤量をゼロとしてもよい。
また、1台の車体1内に複数の第2接合部交差部分Q2が形成され得るが、その複数の第2接合部交差部分Q2全てにおける接着剤量は同一でなくてもよく、第2接合部交差部分Q2の位置によって、接着剤量を適宜増減させることができる。
具体的には、図7に示すように、上述のごとく、振幅の腹の位置に近い第2接合部交差部分Q2における第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量を、振幅の腹の位置から遠い他の第2接合部交差部分Q2における第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量よりも少なくすることが、振動の伝達を抑える観点で効果的である。
また、フロアパネル6のうちフロント側及びリア側は、フロントパネル10やリアパネル11、フレーム7を介して図外のエンジンやホイール等からフロアパネル6へ伝達される振動の入力源となり得る。従って、上述のごとく、フロアパネル6のフロント側及びリア側に位置する第2接合部交差部分Q2における第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量が、フロアパネル6の中央側に位置する第2接合部交差部分Q2の第2接着剤22の単位面積当たりの接着剤量よりも少なくなるように設定されていてもよい。これにより、効果的に振動の伝達を抑えることができ、車体強度を確保しながら快適性を向上できる。
なお、フレーム7からフロアパネル6やクロスメンバ5への振動伝達を抑制し、高剛性及び高減衰性を両立させる観点から、特に図10に示すように、第2接着剤22を積層隣接部分R22及び第2接合部交差部分Q2に全く配置しない構成とすることが好ましい。
図11は、実施形態2に係る車体構造に関する図8相当図である。具体的に、図11中、比較例1、2は図8と同一の結果である。そして、実線で示す実施例2は、図9及び図10に示すように、全ての積層隣接部分R22及び第2接合部交差部分Q2の第2接着剤22の接着剤量をゼロとした場合の結果である。
図11に示すように、実施例2では、比較例2と比べて周波数帯260Hz近傍のフロア音響放射パワーがさらに低下し、高い減衰性が確保されていることが判る。また、比較例2と比べて、310Hz近傍のフロア音響放射パワーの増加も明らかに抑制されていることが判る。このように、全ての積層隣接部分R22に加え、全ての第2接合部交差部分Q2における第2接着剤22の接着剤量をゼロとすることで、接合部20の高い減衰性を確保し、振動伝達を効果的に抑制可能であることが判る。
(実施形態3)
実施形態1、2では、第1接合部20b及び第2接合部20cにおける車体構成部材は、接着剤により互いに接合されている構成であったが、これらを含む接合部20は、接着剤による接合と、スポット溶接及び/又は機械的接合手段との併用構造としてもよい。
具体的には例えば、図12に示すように、第1接合部20bは、クロスメンバ5のフランジ部51c,51cの延出方向に間隔を隔てて配置され、クロスメンバ5のフランジ部51c,51cとフロアパネル6との双方が互いに部分的に溶接されることによって構成されている複数のスポット接合部27を備えていてもよい。また、図13に示すように、第1接合部20bと同様に、第2接合部20cにおいても、上述のような複数のスポット接合部27を備える構成としてもよい。
接着剤とスポット接合部27との併用構造は、いわゆるウェルドボンド接合である。接合部20にこのようなウェルドボンド接合を採用することによって、高剛性を確保しながら、損失係数を大幅に高めることが可能になり、乗り心地の改善や騒音の低減が容易に実現できるようになる。
ウェルドボンド接合における部分的な接合構造であるスポット接合部27は、上述のように溶接(すなわち、スポット溶接)により形成されていてもよいし、スポット溶接に限らず、点状の接合構造であれば、例えば、SPR(セルフピアシングリベット)等の機械的接合手段であってもよい。また、接合部20は、車体1内の配置、必要な剛性、減衰性等を考慮し、接着剤のみの構成、接着剤とスポット溶接の併用構造及び、接着剤と機械的接合手段の併用構造を適宜組み合わせて構成してもよい。
また、車体1の高剛性と高減衰性とを安定して両立させる観点から、図12及び図13に示すように、スポット接合部27の間隔Pは、10mm〜100mmの範囲内に設定するのが好ましく、15mm〜70mmの範囲内に設定するのがより好ましく、25mm〜50mmの範囲内に設定するのがよりいっそう好ましい。
スポット接合部27の間隔Pが狭すぎると、接合による剛性の影響が大きくなって、接着剤とスポット接合部27とよりなる接着部の振動減衰効果が妨げられる。また、スポット接合部27の間隔Pが広すぎると、接合による剛性の向上効果が小さくなって、接着部への負担が増加し、接合部20全体としての剛性が低下するおそれがある。
一方、スポット接合部27の間隔Pを前述した範囲とすることで、剛性及び減衰性を備えた接着剤と、剛性に優れるスポット接合部27とが、適度に補完し合う状態となり、車体1の高剛性と高減衰性とを安定して両立させることが可能になる。
(その他の実施形態)
なお、開示する技術は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
例えば、接着剤は、必ずしも接合部20の縁部に沿って設けなくてもよい。美観の確保等の観点から、接着剤が接合部20の縁部からはみ出すのが好ましくない場合には、接着剤を、接合の縁部から奥方に位置するように設けることができる。また、本開示技術は、クロスメンバ5、フロアパネル6、フレーム7、フロントパネル10及びリアパネル11等の車体構成部材の接合部に限らず、車体を構成するその他の接合部にも適用可能である。
上述した実施形態では、接合部20の接合方法として、接着剤を用いた構成を採用するものであったが、第2接合部20cの接合に第2接着剤22が用いられる構成であれば、それ以外の接合部20に接着剤以外の接合方法が用いられていてもよく、具体的には例えば、第1接合部20bの接合は、第1接着剤21による接合に代えて、例えばスポット溶接や機械的接合手段のみによる接合を用いた構成であってもよい。すなわち、本開示技術は、第2接合部20c以外の接合部20の接合方法に拘わらず広く適用することができる。