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JP6540989B2 - 呈味を増強する化合物をスクリーニングする方法および呈味増強剤並びに呈味増強剤を含む飲食品 - Google Patents
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JP6540989B2 - 呈味を増強する化合物をスクリーニングする方法および呈味増強剤並びに呈味増強剤を含む飲食品 - Google Patents

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Description

本発明は、呈味を増強する化合物をスクリーニングする方法および呈味増強剤並びに呈味増強剤を含む飲食品に関する。
味覚物質は、私たちの生活において様々な重要な役割を果たしている。食品加工においては、様々な味覚物質が、嗜好性向上、物性向上、保存性向上などに寄与している。
人体の必須栄養素であるナトリウムイオンを含む食塩は、調味料として不可欠であるが、食塩の過剰摂取は様々な疾病の原因になることが明らかとなっている。しかし、減塩すると味の物足りなさから食品の嗜好性が大きく低下するという問題があり、減塩してもおいしく食べられる食品に対する消費者の要求は著しく高まっている。
このように、味覚物質を低減しながら風味を保つ技術の開発が求められているといえる。
呈味増強剤についてはこれまでに、上皮型ナトリウムチャネルの活性化剤を用いた塩味増強剤(特許文献1)、少量の添加で飲食品の香味を増強する香味増強剤(特許文献2)が提案されている。
特開2013−18764号号公報 特開2006−296356号公報
本発明は、呈味を増強する化合物をスクリーニングする方法および呈味増強剤並びに呈味増強剤を含む飲食品を提供する。
本発明者らは、ヒトの官能評価を代替できる客観的指標として、味覚物質存在時の鼓索神経もしくは味覚受容体を発現する細胞(味覚細胞)の生理学的応答を用いることができることを見出した。本発明者らはまた、単独では味覚を呈さない程度の濃度の化合物を共存させることにより、味覚物質に対する鼓索神経若しくは味覚細胞の生理学的応答が増強されることを明らかにした。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)非ヒト動物を用いた呈味を増強する化合物のインビボのスクリーニング方法であって、
(a)被検化合物と、味覚物質を含む水溶液とを混合することと、
(b)得られた水溶液を非ヒト動物の舌に接触させることと、
(c)上記接触により発生する鼓索神経の生理学的応答を検出することと、
(d)被検化合物存在時の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の生理学的応答の強度よりも高まることを指標として呈味を増強する化合物を選択することと
を含む、スクリーニング方法。
(2)呈味を増強する化合物から、その化合物自体が味覚受容体に反応しないことを指標として化合物を選択することをさらに含む、上記(1)に記載のスクリーニング方法。
(3)鼓索神経に対して生理学的応答を生じさせない濃度で呈味を増強する化合物を選択する、上記(1)または(2)に記載のスクリーニング方法。
(4)被検化合物存在時の鼓索神経の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の鼓索神経の生理学的応答の強度に対して1.1倍以上6.0倍以下である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のスクリーニング方法。
(5)味覚物質が、塩味物質である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のスクリーニング方法。
(6)味覚物質が、塩味物質であり、被検化合物が上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)発現細胞に生理学的応答を生じさせない濃度で、塩味物質による鼓索神経の生理学的応答を増強することを指標として、塩味を増強する化合物を選択する、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)味覚細胞を用いた呈味を増強する化合物のインビトロのスクリーニング方法であって、
(i)被検化合物と、味覚物質を含む水溶液とを混合することと、
(ii)得られた水溶液を味覚細胞に接触させることと、
(iii)上記接触により発生する味覚細胞の生理学的応答を検出することと、
(iv)被検化合物存在時の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の生理学的応答の強度よりも高まることを指標として呈味を増強する化合物を選択することと
を含む、スクリーニング方法。
(8)生理学的応答が、味覚細胞内へのカルシウム流入であるか、または味覚細胞の膜電位の脱分極である、上記(7)に記載の方法。
(9)呈味を増強する化合物から、その化合物自体が味覚受容体に反応しないことを指標として化合物を選択することをさらに含む、上記(7)または(8)のいずれかに記載のスクリーニング方法。
(10)味覚細胞に対して生理学的応答を生じさせない濃度で呈味を増強する化合物を選択する、上記(7)〜(9)のいずれかに記載のスクリーニング方法。
(11)被検化合物存在時の味覚細胞の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の味覚細胞の生理学的応答の強度に対して1.1倍以上6.0倍以下である、上記(7)〜(10)のいずれかに記載のスクリーニング方法。
(12)味覚物質が、塩味物質である、上記(7)〜(11)のいずれかに記載のスクリーニング方法。
(13)味覚物質が、塩味物質であり、被検化合物が上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)発現細胞に生理学的応答を生じさせない濃度で、塩味物質による味覚細胞の生理学的応答を増強することを指標として、塩味を増強する化合物を選択する、上記(7)〜(12)のいずれかに記載の方法。
(14)上記(1)〜(13)のいずれかに記載の方法により得られた、呈味を増強する化合物。
(15)上記(14)に記載の化合物を、味覚物質を含む組成物と混合することを含む、呈味の増強方法。
(16)上記(14)に記載の化合物を、味覚物質を含まない水溶液中では非ヒト動物の鼓索神経に生理学的応答を生じさせない濃度で、味覚物質を含む飲食品と混合することを含む、呈味の増強方法。
(17)上記(14)に記載の化合物を、味覚物質を含まない水溶液中では味覚細胞に生理学的応答を生じさせない濃度で、味覚物質を含む飲食品と混合することを含む、呈味の増強方法。
(18)上記(14)に記載の化合物を、味覚物質を含まない水溶液中では非ヒト動物の鼓索神経に生理学的応答を生じさせない濃度で含む、飲食品。
(19)上記(14)に記載の化合物を、味覚物質を含まない水溶液中では非ヒト動物の味覚細胞に生理学的応答を生じさせない濃度で含む、飲食品。
(20)スピラントールを、0.03mM〜900mMの濃度で含む、呈味増強剤。
(21)上記(20)に記載の呈味増強剤を飲食品と混合することを含み、これにより呈味増強剤を飲食品の総重量に対して0.01〜1重量%となるように調節する、飲食品の呈味増強方法。
(22)上記(20)に記載の呈味増強剤を0.01〜1重量%含むことを特徴とする飲食品。
図1は、非ヒト動物を用いた鼓索神経の生理学的応答の測定方法を説明する図である。 図2は、NaCl刺激に対する鼓索神経の応答を示す図である。 図3は、NaCl刺激に対する鼓索神経の生理学的応答をスピラントールが増強させること示す図である。 図4は、NaCl刺激に対する鼓索神経の生理学的応答の増強を、上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)阻害剤(アミロライド)存在下で確認した結果を示す図である。 図5は、NaCl刺激に対する味覚細胞へのカルシウム流入をスピラントールが増強させることを示す図である。
発明の具体的な説明
本明細書では、「鼓索神経」は、顔面神経の垂直部から分岐して三叉神経の舌神経に加わって、舌の前部分2/3の味蕾をカバーし、味覚を伝達する神経を意味する。
本明細書では、「三叉神経」とは、脳神経の一つであり、第五脳神経を意味する。三叉神経は、香辛料により刺激されることが知られている。
本明細書では、「味覚」は、食べ物に対して認識される感覚であり、甘味、酸味、塩味、苦みおよび旨味の5つの味が挙げられる。味覚は、味覚細胞(または味覚受容体細胞)に存在する味覚受容体を介して認識されると考えられている。味覚細胞は、発現する受容体の性質やシグナル伝達の機構によってI型、II型またはIII型に大別される。例えば、III型の味覚受容体細胞には、神経がシナプス接合しており、受容体細胞においてカルシウムイオンの流入による膜電位の脱分極が生じると、セロトニンがシナプス間隙に放出され、神経に刺激が伝達されると考えられている。
本明細書では、「味覚物質」とは、味を感じさせる物質をいい、呈味物質ともいわれる。甘味、酸味、塩味および旨味を感じさせる物質はそれぞれ周知であり、当業者であれば、適宜これらを選択してスクリーニングに用いることができる。
本明細書では、「呈味」とは、広く飲食物の味を意味する。呈味としては、甘味、酸味、塩味および旨味が挙げられる。
本明細書では、「被検化合物」とは、スクリーニングに供される化合物を意味する。被検化合物は、特に限定されないが、例えば、香辛料抽出物であり、例えば、さらにその有効成分である刺激物質とすることができる。
刺激物質としては、特に限定されないが、例えば、オランダセンニチ、カプシカム(トウガラシ)、ペッパー(コショウ)、ジンジャー(ショウガ)、オニオン(タマネギ)、ガーリック(ニンニク)、マスタード(カラシ)、ワサビ、ダイコンおよびサンショウなどに含まれる刺激物質を挙げることができる。具体的には、スピラントール、カプサイシン、ピペリン、ジンゲロール、ショーガオール、アリルイソチオシアネートおよびα−サンショオール並びにこれらの類縁体などが挙げられる。
刺激物質は合成により得られたものでも、天然物から精製された化合物でもよく、これらを刺激物質として使用することができるが、香辛料から抽出または蒸留により得られた、いわゆる香辛料抽出物を使用することが好ましい。香辛料抽出物は常法に従って得ることができ、有効成分の回収率や費用を考慮し適宜選択すればよい。抽出方法は、特に限定されないが例えば、溶剤抽出、超臨界二酸化炭素抽出および水蒸気蒸留などがあげられ、さらに目的に応じてシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで分画したものを用いることもできる。
溶剤抽出による採取法を例示すると、香辛料を乾燥・粉砕した後、有機溶媒で抽出して刺激物質を含有する抽出液を得ることができる。抽出に使用する有機溶媒は特に制限はないが、メタノール、エタノール、プロパノールおよびプロピレングリコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;ジエチルエーテル等のエーテル類;並びに、ヘキサンおよびヘプタン等の炭化水素類を適宜単独で、又は混合して使用することができる。これらのうち、抽出液を濃縮せずに使用する場合は、アルコール類のような極性有機溶媒が好ましく、さらに安全性の観点から特にエタノールが好ましい。また、濃縮して溶媒を留去し、いわゆるオレオレジンやオイルなどとして使用する場合は低極性または無極性の溶媒を使用することもでき、この場合は残留溶媒を十分除去する必要がある。
抽出処理条件は、特に限定されず、常法に従って行うことができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。例えば、上記抽出溶媒を満たした容器に、抽出原料を投入し、ときどき撹拌しながら可溶性成分を溶出させることができる。この際、抽出条件は、抽出原料の種類や部位等に応じて適宜調整し得るが、抽出溶媒量は、通常、抽出原料の8〜50倍量(重量比)とすることができ、抽出時間は、通常、熱水の場合は70℃〜100℃で5分〜2時間程度とすることができ、室温抽出の場合は1〜24時間程度とすることができ、低級脂肪族アルコールおよび含水低級脂肪族アルコール等の有機溶媒の場合は室温〜80℃で10分〜2時間程度とすることができる。抽出処理により香辛料成分を溶出させた後、該抽出処理で得られた抽出液を濾過あるいは遠心分離して抽出残渣を除去することによって、抽出液を調製することができる。得られた抽出液から溶媒を留去し、刺激物質含有抽出物を得ることができる。
飲食品に刺激物質を添加する場合、刺激物質は単独で使用しても良く、また、組み合わせて使用しても良い。また香辛料のエキス、オレオレジン、オイルなどの抽出物を使用しても良い。飲食品に対して刺激物質を感知される濃度で添加することが許容される場合もあり得る。
スピラントール(N−イソブチル−2,6,8−デカトリエンアミド)は、キク科オランダセンニチ(Spilanthes acmella)またはキバナオランダセンニチ(Spilanthes acmella var. oleracea)などに含まれる刺激成分として知られる。スピラントールは、植物から精製することにより得られる他、化学的に合成することも可能であり、いずれも本発明で用いることができる。
ヒドロキシ α―サンショオール(N−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ドデカ−2,6,8,10−テトラエンアミド)は、ミカン科の山椒(Zanthoxylum piperitum)または花椒(Zanthoxylum bungeanum)などに含まれる刺激成分として知られる。ヒドロキシ α―サンショオールは、植物から精製することにより得られる他、化学的に合成することも可能であり、いずれも本発明で用いることができる。
本発明によれば、
非ヒト動物を用いた呈味を増強する化合物のインビボのスクリーニング方法であって、
(a)被検化合物と、味覚物質を含む水溶液とを混合することと、
(b)得られた水溶液を非ヒト動物の舌に接触させることと、
(c)上記接触により発生する鼓索神経の生理学的応答を検出することと、
(d)被検化合物存在時の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の生理学的応答の強度よりも高まることを指標として呈味を増強する化合物を選択することと
を含む、スクリーニング方法が提供される。
本発明で用いることができる非ヒト動物は、例えば、非ヒト霊長類、偶蹄類、奇蹄類、またはげっ歯類などの非ヒト哺乳動物とすることができ、例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、イノシシ、ヤギ、またはラクダとすることができる。本発明で用いることができる非ヒト動物は、鳥類、両生類および爬虫類などの非ヒト動物であってもよい。本発明では、ペットフードの呈味を増強する化合物をスクリーニングすることも可能であり、その場合には、工程(b)において、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギおよびトリなどのペットを非ヒト動物として用いて、その動物が感じる呈味を増強する化合物をスクリーニングすることができる。
本発明では、スクリーニングできる呈味を増強する化合物は、例えば、甘味、酸味、塩味、苦味および旨味から選択される1以上またはすべてを増強する化合物である。好ましい態様では、呈味は塩味である。塩味としては、塩味物質、特に限定されないが例えば、塩化ナトリウム(食塩)および塩化カリウムからもたらされる味覚が挙げられる。
以下、工程ごとに詳細に説明する。
(a)被検化合物と、味覚物質を含む水溶液とを混合すること
味覚物質としては、増強させたい味覚を生じる味覚物質を用いることができる。例えば、特に限定されないが、塩味物質、甘味物質、酸味物質または旨味物質を用いることができる。
被検化合物としては、人体に毒性を有しない限り様々な化合物を用いることができる。被検化合物としては、特に限定されないが、例えば、刺激物質を用いることができる。刺激物質としては、オランダセンニチ、カプシカム(トウガラシ)、ペッパー(コショウ)、ジンジャー(ショウガ)、オニオン(タマネギ)、ガーリック(ニンニク)、マスタード(カラシ)、ワサビ、ダイコン、サンショウなどに含まれる刺激物質を用いることができる。具体的には、スピラントール、カプサイシン、ピペリン、ジンゲロール、ショーガオール、アリルイソチオシアネートおよびα−サンショオール並びにこれらの類縁体などが挙げられる。
(b)得られた水溶液を非ヒト動物の舌に接触させること
工程(b)は、通常は、非ヒト動物を麻酔し、鼓索神経を露出させた上で鼓索神経の生理学的応答を測定しながら非ヒト動物の舌に水溶液を接触させることにより行うことができる。これにより、水溶液は舌に存在する味覚細胞に接触することとなる。
対照として、被検化合物を含み、味覚物質を含まない水溶液と非ヒト動物の舌とを接触させてもよい。また、対照として、味覚物質を含み、被検化合物を含まない水と非ヒト動物の舌とを接触させてもよい。
(c)上記接触により発生する鼓索神経の生理学的応答を検出すること
鼓索神経は、味覚受容体細胞とシナプスを介して連結しており、呈味刺激による生理学的応答を伝達する。従って、工程(c)では、呈味刺激に応じて生じる鼓索神経の生理学的応答を検出する。生理学的応答は、神経細胞の活動電位とすることができる。
活動電位は、当業者に周知の方法により測定することができる。すなわち、顔面側部より鼓索神経を一部露出させ鼓索神経にその神経応答を検出できるように電極を接触させ、電極はアンプ、オシロスコープおよび応答記録装置に接続し、鼓索神経の神経応答を経時的に記録することができる。神経応答の大きさは、測定されたピークの高さや、応答曲線の曲線下面積で表すことができる。これらの値は標準刺激に対する応答値で割るなどして標準化することもできる。標準刺激としては、任意の濃度の味覚物質を含む溶液および冷刺激を用いることができる。一般的に、ヒトおよび非ヒト動物は、鼓索神経の生理学的応答値が高まるほど、味覚を強く感じると考えられている。
(d)被検化合物存在時の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の生理学的応答の強度よりも高まることを指標として呈味を増強する化合物を選択すること
工程(d)では、被検化合物を混入させた味覚物質溶液に対する鼓索神経の生理学的応答(すなわち、被検化合物存在時の生理学的応答)と、被検化合物を含まない味覚物質溶液に対する鼓索神経の生理学的応答(すなわち、被検化合物非存在時の生理学的応答)とを比較して、生理学的強度が高まったか否かを評価することができる。
工程(d)では、被検化合物そのものが、鼓索神経に生理学的応答を生じさせない濃度で、呈味を増強することを指標として化合物を選択してもよい。ここで、「被検化合物そのもの」とは、味覚物質非存在下で被検化合物を用いることを意味し、被検化合物自体に備わる生理学的特性を検出することを意図して用いられる。また、例えば、工程(d)では、被検化合物存在時の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の生理学的応答の強度に対して1.1倍以上、好ましくは1.3倍以上6.0倍以下であり、特に好ましくは、1.3倍以上2.0倍以下である被検化合物を、呈味を増強する化合物として選択することができる。この態様では、生理学的応答は、鼓索神経(例えば、ラットなどの非ヒト哺乳動物の鼓索神経)の活動電位とすることができる。
本発明は、工程(e)呈味を増強する化合物から、味覚受容体に反応しない化合物を選択することをさらに含んでいてもよい。
(e)呈味を増強する化合物から、味覚受容体に反応しない化合物を選択すること
呈味を増強する化合物の中には、味覚受容体に反応しない化合物が存在する。例えば、本明細書では、被検化合物が味覚受容体に反応するか否かは、特定の味覚受容体を発現する味覚細胞を単離して該化合物と接触させた場合に、その細胞に対して生理学的応答を示さないことを指標として判断することができる。あるいは、被検化合物が味覚受容体に反応するか否かは、インビボで被検化合物を単独で非ヒト動物の舌に接触させたときに非ヒト動物の鼓索神経応答を生じさせないことを指標として判断してもよい。工程(e)は、呈味を増強する濃度で化合物が味覚受容体に反応しない化合物を選択することができる。工程(e)は、呈味を増強する濃度域において、味覚受容体に反応しない濃度域を決定することもできる。
工程(e)により選択された化合物は、味覚物質を含まない水溶液中では非ヒト動物の鼓索神経に生理学的応答を生じさせない濃度で、味覚物質を含む飲食品と混合することにより、飲食品の呈味を増強することに用いることができる。
味覚細胞は、舌上皮から単離した味蕾を酵素処理してマイクロピペットの水流で味蕾の細胞を解離させて得ることができる。味覚細胞の生理的応答は、例えば、膜電位の脱分極または細胞へのカルシウムイオンの流入を指標として検出することができる。一般的に細胞へのカルシウムイオンの流入の度合いが大きいほど、強い味覚を生じると考えられている。
ある態様では、味覚物質は塩味物質(例えば、NaCl)であり、工程(e)において、インビトロでは単離したENaC発現細胞に生理学的応答を生じさせない濃度で、インビボでは塩味を増強することを指標として化合物を選択してもよい。更なる特定の態様では、被検化合物はスピラントールである。
本発明では、
味覚細胞を用いた呈味を増強する化合物のインビトロのスクリーニング方法であって、
(i)被検化合物と、味覚物質を含む水溶液とを混合することと、
(ii)得られた水溶液を味覚細胞に接触させることと、
(iii)上記接触により発生する味覚細胞の生理学的応答を検出することと、
(iv)被検化合物存在時の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の生理学的応答の強度よりも高まることを指標として呈味を増強する化合物を選択することと
を含む、スクリーニング方法が提供される。
味覚細胞の生理学的応答は、例えば、細胞へのカルシウムイオンの流入やそれに伴う膜電位の脱分極(すなわち、活動電位)であり、それぞれカルシウムイメージング法やパッチクランプ法などの周知の方法により測定することができる。
細胞内へのカルシウムイオンの流入は、例えば、カルシウム蛍光プローブを用いて検出することができる。カルシウム蛍光プローブとしては、1−[6−アミノ−2−(5−カルボキシ−2−オキサゾリル)−5−ベンゾフラニルオキシ]−2−(2−アミノ−5−メチルフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−テトラ酢酸,ペンタアセトキシメチルエステル(Fura 2-AM)など様々なプローブが知られ、本発明で用いることができる。
また、膜電位は、例えば、微小電極法などの神経レコーディング法やパッチクランプ法により測定することができ、または膜電位測定用蛍光プローブを用いて計測してもよい。膜電位測定用蛍光プローブとしては、特に限定されないが、4−(4−(ジデシルアミノ)スチリル)−N−メチルピリジニウムイオダイド(4−Di−10−ASP)、ビス−(1,3−ジブチルバルビツール酸トリメチンオキソノール(DiSBAC2(3))、3,3’−ジプロピルチアジカルボシアニンイオダイド(DiSC3(5))、5,5’,6,6’−テトラクロロ−1,1’,3,3’、−テトラエチルベンズイミダゾリルカルボシアニンイオダイド(JC−1)およびローダミン123が挙げられる。
工程(iv)では、被検化合物が、味覚物質を含まない水溶液中では味覚細胞に生理学的応答を生じさせない濃度で、被検化合物存在時の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の生理学的応答の強度よりも高まることを指標として化合物を選択してもよい。例えば、工程(iv)では、被検化合物存在時の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の生理学的応答の強度に対して1.1倍以上6.0倍以下、好ましくは2.0倍以上6.0倍以下であり、特に好ましくは、2.0倍以上3.3倍以下である被検化合物を、呈味を増強する化合物として選択することができる。この態様では、生理学的応答は、味覚細胞へのカルシウムの流入または味覚細胞の活動電位とすることができる。
工程(iv)により選択された化合物は、味覚物質を含まない水溶液中では非ヒト動物の鼓索神経に生理学的応答を生じさせない濃度で、味覚物質を含む飲食品と混合することにより、飲食品の呈味を増強することに用いることができる。
工程(iv)は、特に限定されないが、例えば、以下のように行うことができる。工程(iv)では、被検化合物そのものが、上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)発現細胞に生理学的応答を生じさせない濃度で、塩味物質による細胞の生理学的応答を増強することを指標として化合物を選択してもよい。
本発明では、本発明の方法により得られる化合物が提供される。
本発明では、スピラントールを、鼓索神経に生理学的応答を生じさせない濃度で含む、呈味増強剤が提供される。このような呈味増強剤は、本来の味を損なうことなく所望の呈味を増強できる点で有利である。本発明では、スピラントールを0.03mM〜900mMの濃度で含む呈味増強剤が提供される。ある態様では、飲食品には、上記呈味増強剤が0.01〜1重量%含まれる。
本発明の呈味増強剤は、飲食品に添加することにより、その呈味の増強を図ることができる。飲食品としては、特に限定されないが例えば、スープ類およびポテトチップスなどの菓子類、水産および畜産加工品、野菜類を使用した惣菜並びに調味料が挙げられ、本発明の呈味増強剤を添加することができる。従って、本発明によれば、本発明の呈味増強剤を含む飲食品が提供される。
実施例1:鼓索神経の神経レコーディング
本実施例では、鼓索神経の神経レコーディング法(Journal of Neurophysiology, 108:3221-3232, 2012を参照)を用いて味覚刺激の検出を試みた。
8〜10週齢の雄性ラットをネンブタールで麻酔し、顔面側部より鼓索神経を一部露出させた。鼓索神経にその神経応答を検出できるように電極を接触させた。電極はアンプ、オシロスコープおよび応答記録装置に接続し、鼓索神経の神経応答を経時的に記録した。この麻酔下のラットの舌に味覚物質を含む28℃の溶液を接触させて味覚物質による鼓索神経の神経応答を測定した。なお、本実施例ではSD系ラットを使用した。
上記において用いた実験装置の概要は図1に記載される通りである。また、塩化ナトリウム刺激(0.03M)に対する神経応答の様子を図2に示す。
図2に示されるように、神経応答は、塩化ナトリウムなどの味覚物質の刺激の直後に生じる電位変化として測定された。
このように味覚刺激は、鼓索神経の神経レコーディングにより検出可能であった。
実施例2:スピラントールによる塩味物質に対する鼓索神経の応答の増強
本実施例では、塩味物質に対する被検化合物の呈味増強効果を鼓索神経の神経応答により検出することを試みた。
実施例1に記載された方法で、麻酔下のラットの舌に味覚物質として0.01Mから0.3Mの塩化ナトリウム溶液を接触させ、塩化ナトリウムによる鼓索神経の生理学的応答を測定し、刺激から2分後に舌を水洗し、その後、40μMのスピラントールを添加した上記と同じ濃度の塩化ナトリウム水溶液を舌に接触させて鼓索神経の生理学的応答を測定した。0.1M塩化ナトリウム溶液における測定結果を図3Aに示す。図3Aに示されるように、スピラントールを添加した溶液では、鼓索神経の神経応答が増強されることが分かった。
本実施例では、生理学的応答値は、各刺激に対する神経電位の変化を経時的にモニタリングした応答曲線の曲線下面積(AUC)として算出した。なお、AUCは、刺激から2分間にわたり測定した神経電位の曲線下面積とした。また、得られた生理学的応答値は、測定毎に発生する誤差を是正するため4℃の冷水刺激に対する応答値で除することで標準化した。その結果、図3Bに示されるように、0.01Mおよび0.04Mの塩化ナトリウム水溶液ではスピラントールによる塩味の増強効果に有意差が見られた。
スピラントールは、三叉神経を刺激する刺激物質として知られ、鼓索神経を刺激するものではない。にもかかわらず、鼓索神経の神経増強がスピラントールにより引き起こされたことは驚くべき発見であった。
実施例3:スピラントールによる塩味物質に対する鼓索神経応答の増強と官能評価への影響
本実施例では、スピラントールの官能特性に及ぼす影響と、実施例2で示された鼓索神経応答との関連を調べた。
鼓索神経の神経応答は、実施例1および2に記載の通り測定した。
用いた塩化ナトリウム溶液において、塩化ナトリウム濃度は、0.2重量%とし、スピラントール濃度は、0、5、20、40、60または90μMとした。0.2重量%塩化ナトリウム刺激による生理学的応答のスピラントールによる増強度合いは、スピラントールを含む塩化ナトリウム水溶液に対するAUCの平均値を、スピラントールを含まない塩化ナトリウム水溶液に対するAUCの平均値で除すことで算出した。
また、本実施例では、神経レコーディングに加えて、18人のパネリストによる官能評価を実施した。官能評価は、舌半分試験(Half-tongue test)により下記の通り行った。まず、各パネリストの舌を縦に2つの領域に区分けし、片側にのみスピラントールを上記の濃度で混合した水溶液を塗布し、他方の片側にはスピラントールを含まない水溶液を塗布した。次いで、舌全体を0.2重量%の塩化ナトリウム溶液に浸して塩味の強い方を各パネリストに選択させた。そして、スピラントールを含む水溶液を塗布した側を正確に選択できたパネリスト(正解者)数を求めた。
結果は、表1の通りであった。
表1に示されるように、非ヒト動物を用いた神経レコーディング法において、5μMから40μMのスピラントール溶液単独では鼓索神経の生理学的応答を示さなかったが、0.2重量%の塩化ナトリウム溶液中では、塩化ナトリウムに対する鼓索神経の生理学的応答を増強した。これは表中の0.2重量%塩化ナトリウム刺激による生理学的応答におけるスピラントールによる増強度合いが1.0倍以上であることから確認できる。一方で、官能評価では、添加されたスピラントール濃度の上昇に伴い、スピラントールを添加した塩溶液を塩味が強いと回答するパネリストが増加し、20μMから90μMのスピラントール溶液では統計処理により有意差ありとの結果を得た。なお、統計処理は2項分布における等確率の両側検定を有意水準5%で行った。特に、20μMから40μMのスピラントール溶液は鼓索神経の生理学的応答を示さないが、官能評価においては、塩味の増強効果があることが示された。
また、表1に示されるように、5μMのスピラントール溶液は、非ヒト動物を用いた神経レコーディング法における生理学的応答のスピラントールによる増強度合いが1.1であり塩化ナトリウムに対する応答の増強効果を呈したが、官能評価では、同濃度においてスピラントールの増強効果は測定されなかった。一方、スピラントールを20μM以上としたときには、非ヒト動物を用いた鼓索神経の生理学的応答と官能評価との両方で増強効果が見られた。スピラントールが20μMのときの生理学的応答の増強度合いは1.3であることから、ヒトが呈味増強効果を体感するには神経レコーディング法の生理学的応答値の増強度合いが1.3以上であることが必要と分かった。このように、非ヒト動物の鼓索神経を用いた神経レコーディング法における生理学的応答を測定することにより、ヒトの官能評価を代替可能であることが明らかとなった。
これらの結果から、刺激物質による塩味の増強効果は、鼓索神経の生理学的応答を検出することにより決定することが可能であることが明らかとなり、鼓索神経の生理学的応答がヒトの官能評価を代替できることや、ヒトによる官能評価を経ずに塩味の増強効果を有する物質の探索が可能になることが示された。
また、一方で、スピラントールは、5〜40μMの濃度では鼓索神経に生理学的応答を生じさせることはなかった(表1)。
このことから、スピラントールの塩味増強効果は、鼓索神経を刺激しない濃度(例えば、20μM〜40μM)で用いても、塩味を増強させることができることが明らかとなった。
実施例4:塩味増強におけるアミロライドの影響
本実施例では、スピラントールによる塩味増強作用に、上皮型ナトリウムイオンチャネル(ENaC)が関与するか否かを調べた。
本実施例では、ENaCのアンタゴニストであるアミロライドを用いてENaCの関与を確認した。具体的には、塩味に対する生理学的応答における40μMスピラントールによる増強効果をアミロライドが消失させるか否かを確認した。鼓索神経の生理学的応答の測定および塩味増強度合いの算出は、実施例3と同様に行った。結果は図4に示される通りであった。
図4に示されるように、スピラントールによる塩味増強度合いは、アミロライド存在下でも確認された。また、アミロライド存在下における塩味増強度合いと非存在下における塩味増強度合いには明確な差は確認されなかった。このことから、塩味の増強には、塩味の代表的な受容体であるENaCは関与していないことが示唆された。なお、本実施例では、アミロライド(シグマアルドリッチ社製、製品番号:A7410)は、濃度100μMで用いた。
上記実施例から、非ヒト動物の鼓索神経における生理学的応答を測定することにより、ヒトの呈味に関する官能評価を代替することができることが明らかとなった。これにより、呈味の増強の有無を客観的に判定することが可能となった。これは、判定の正確さを向上させる点で、あるいは、大量な被検化合物のスクリーニングが容易となる点で、重要な利点となる。
実施例5:インビトロにおける塩味増強度合いの測定
本実施例では、単離した味覚受容体細胞を用いて塩味増強度合いの測定を試みた。
まず、マウスより切除した舌を、酵素混合溶液(0.2%トリプシン(シグマアルドリッチ、T6522)、0.2%ディスパーゼII(Roche, 14052400、0.2%エラスターゼ(Worthington、32P13828))にて直接処理し有郭乳頭を含むマウス舌上皮を剥離させた。これを2分間上記の酵素溶液で処理した後、カルシウム、マグネシウムフリーのTyrode溶液(140mM NaCl、5mM KCl、10mM HEPES、10mM グルコース、10mMピルビン酸ナトリウム、5mM NaHCO3(pH7.2〜7.4)、310〜320mosmol/L)で5分間処理した。滅菌処理したマイクロピペットで味蕾を注意深く吸引した。単離した味蕾をトリプシン(0.25%)溶液で10分間処理したあとマイクロピペットで20回ピペッティングして味覚細胞を解離させ、レコーディングチャンバーに移した。Fura−2AM(5μM)を細胞に45分間接触させて、細胞内に導入した。精製した味覚細胞を導入したチャンバーにTyrode溶液(140mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl2、1mM MgCl2、10mM HEPES、10mM グルコース、10mMピルビン酸ナトリウム、5mM NaHCO3(pH7.2〜7.4)、310〜320mosmol/L)を潅流した。
その後、140mM塩化ナトリウム溶液で刺激し、続いて1μM、3μMまたは6μMの被検化合物としてのスピラントール単独で刺激し、次いでスピラントールを含有する140mM塩化ナトリウム溶液で刺激した。各刺激を添加した時の細胞の応答強度は、340nmおよび380nmで励起した場合の510nmの蛍光強度をCCDカメラで検出し、Metafluor(Universal Imaging Corp., Downingtown, PA, USA)により自動計算される比率F340/F380として求めた。塩味増強の指標としては、スピラントールを含む場合の前記比率の平均値を、スピラントールを含まない場合の応答の平均値で除した値を用いた。
結果は、図5に示される通りであった。スピラントールは、3μMおよび6μMで用いると、140mM塩化ナトリウム溶液の刺激による細胞内へのカルシウム流入を増大させた。また、スピラントールの官能特性に及ぼす影響と、実施例5で示された味覚細胞の生理学的応答との関連を、実施例3に記載した舌半分試験を実施して確認した。
結果は表2に示される通りであった。
表2に示されるように、3〜6μMのスピラントール溶液は、単独で用いても味覚細胞へのカルシウム流入を引き起こさなかったが、140mM塩化ナトリウムの存在下では味覚細胞へのカルシウム流入を増大させた。また、3〜6μMのスピラントールによる塩味増強効果は、ヒトによる官能評価によっても確認された。
この結果から、インビトロでも、単独では呈味を奏さない呈味増強剤のスクリーニングが可能であることが明らかとなった。

Claims (10)

  1. 非ヒト動物を用いた呈味を増強する化合物のインビボのスクリーニング方法であって、
    (a)被検化合物と、味覚物質を含む水溶液とを混合することと、
    (b)得られた水溶液を非ヒト動物の舌に接触させることと、
    (c)上記接触により発生する鼓索神経の生理学的応答を検出することと、
    (d)被検化合物存在時の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の生理学的応答の強度よりも高まることを指標として呈味を増強する化合物を選択することと
    (e1)呈味を増強する化合物から、その化合物自体が味覚受容体に反応しないことを指標として化合物を選択すること、および/または(e2)鼓索神経に対して生理学的応答を生じさせない濃度で呈味を増強する化合物を選択することと
    を含み、前記被検化合物は、オランダセンニチ、カプシカム(トウガラシ)、ペッパー(コショウ)、ジンジャー(ショウガ)、オニオン(タマネギ)、ガーリック(ニンニク)、マスタード(カラシ)、ワサビ、ダイコン、及びサンショウからなる群から選択される香辛料に含まれる刺激物質若しくは当該刺激物質を含む香辛料抽出物であるか、または、スピラントール、ピペリン、ジンゲロール、ショーガオール、アリルイソチオシアネート及びα−サンショオール並びにこれらの類縁体からなる群から選択される刺激物質である、
    を含む、スクリーニング方法。
  2. 被検化合物存在時の鼓索神経の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の鼓索神経の生理学的応答の強度に対して1.1倍以上6.0倍以下である、請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. 味覚物質が、塩味物質である、請求項1または2に記載のスクリーニング方法。
  4. 味覚物質が、塩味物質であり、被検化合物が上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)発現細胞に生理学的応答を生じさせない濃度で、塩味物質による鼓索神経の生理学的応答を増強することを指標として、塩味を増強する化合物を選択する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
  5. 味覚細胞を用いた呈味を増強する化合物のインビトロのスクリーニング方法であって、
    (i)被検化合物と、味覚物質を含む水溶液とを混合することと、
    (ii)得られた水溶液を味覚細胞に接触させることと、
    (iii)上記接触により発生する味覚細胞の生理学的応答を検出することと、
    (iv)被検化合物存在時の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の生理学的応答の強度よりも高まることを指標として呈味を増強する化合物を選択することと
    (v)呈味を増強する化合物から、その化合物自体が味覚受容体に反応しないことを指標として化合物を選択することと
    を含み、前記被検化合物は、オランダセンニチ、カプシカム(トウガラシ)、ペッパー(コショウ)、ジンジャー(ショウガ)、オニオン(タマネギ)、ガーリック(ニンニク)、マスタード(カラシ)、ワサビ、ダイコン、及びサンショウからなる群から選択される香辛料に含まれる刺激物質若しくは当該刺激物質を含む香辛料抽出物であるか、または、スピラントール、ピペリン、ジンゲロール、ショーガオール、アリルイソチオシアネート及びα−サンショオール並びにこれらの類縁体からなる群から選択される刺激物質である、
    スクリーニング方法。
  6. 生理学的応答が、味覚細胞内へのカルシウム流入であるか、または味覚細胞の膜電位の脱分極である、請求項5に記載のスクリーニング方法。
  7. 呈味を増強する化合物から、その化合物自体が味覚受容体に反応しないことを指標として化合物を選択することをさらに含む、請求項5または6に記載のスクリーニング方法。
  8. 被検化合物存在時の味覚細胞の生理学的応答の強度が、被検化合物非存在時の味覚細胞の生理学的応答の強度に対して1.1倍以上6.0倍以下である、請求項5〜7のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
  9. 味覚物質が、塩味物質である、請求項5〜8のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
  10. 味覚物質が、塩味物質であり、被検化合物が上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)発現細胞に生理学的応答を生じさせない濃度で、塩味物質による味覚細胞の生理学的応答を増強することを指標として、塩味を増強する化合物を選択する、請求項5〜9のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
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