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JP6559960B2 - メッキ部品の製造方法及びメッキ部品 - Google Patents
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JP6559960B2 - メッキ部品の製造方法及びメッキ部品 - Google Patents

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本発明は、選択的にメッキ膜が形成されたメッキ部品の製造方法及びメッキ部品に関する。
近年、射出成形体等の表面に電気回路を形成する立体回路成形部品は、MID(Molded Interconnect Device)と呼称され、その応用範囲が急速に広まっている。MIDは、小型で複雑形状の成形体の表面に回路を形成できるため、電子部品の軽薄短小のトレンドに合致している。例えば、スマートフォンの筐体の表面にアンテナ等を形成した小型部品は中国で大量生産されている。また、自動車分野でもセンサーや照明部品へのMIDの適用が欧州を中心に活発に検討されている。
成形体に立体的な回路を形成する方法は2色成形を利用した2ショット法など多種多様であるが、最も普及している手法はLPKF社がライセンスするLDS法(Laser Direct Structuring)である(例えば、特許文献1)。LDS法では、まず銅錯体を熱可塑性樹脂に練り込んで射出成形し、次に該銅錯体を含有した成形体表面にレーザー描画を行う。レーザー光照射により銅錯体が金属化して無電解銅メッキの触媒活性が発現し、更に、レーザー光照射部分が粗化される。これにより、レーザー描画部分へのメッキが可能となる。
LDS法のように触媒を成形体中に練り込む方法とは異なる方法も提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2には、短波長のフェムト秒レーザー光を用いて成形体表面に官能基を付与する方法が開示されている。成形体表面が極性基を有するので、メッキ膜との化学的な接着強度が発現する。
欧州特許第1274288号公報 特開2012−136769号公報
しかし、LDS法は専用樹脂の開発が必要となり、また、特殊な銅錯体を大量に樹脂に練り込むため、材料のコストが上昇する問題があった。また、近年、透明樹脂を用いたMIDはウエラブル機器等の光学機器への展開が期待されているが、LDS法は多量の銅錯体により樹脂が着色するため、透明樹脂を用いることは困難であった。
一方で、特許文献2では、特殊な樹脂材料を用いずに成形体表面を選択的にメッキすることが検討されている。しかし、レーザー描画のみにより、描画部分とそれ以外の部分との成形体の表面特性に明確なコントラストをつけることは難しく、特許文献2の方法により、安定に選択的なメッキを行うことは困難であると考えられる。また、特許文献2の方法は高価な短波長レーザー加工機を必要とし、このことが、該方法の普及の妨げとなっている。
本発明は、これらの課題を解決するものであり、簡易な製造プロセスにより所定パターン以外での無電解メッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみに無電解メッキ膜を形成できる、メッキ選択性の高いメッキ部品の製造方法を提供する。
本発明の第1の態様に従えば、メッキ部品の製造方法であって、主成分である第1の熱可塑性樹脂と、第2の熱可塑性樹脂とを含む樹脂材料を所定の成形温度で成形し、成形体を得ることと、前記成形体の表面にヨウ素を付与することと、前記ヨウ素が付与された成形体の表面の一部にレーザー光を照射することと、前記レーザー光を照射した成形体の表面に無電解メッキ触媒を付与することと、前記無電解メッキ触媒を付与した成形体の表面に無電解メッキ液を接触させ、前記レーザー光を照射した部分に無電解メッキ膜を形成することを含み、第2の熱可塑性樹脂の吸水率が第1の熱可塑性樹脂の吸水率よりも高く、第2の熱可塑性樹脂の前記成形温度における溶融粘度が第1の熱可塑性樹脂の前記溶融粘度よりも低いことを特徴とするメッキ部品の製造方法が提供される。
本態様において、第2の熱可塑性樹脂は、前記樹脂材料中に1重量%〜20重量%含まれてもよい。また、前記成形体の表面の一部にレーザー光を照射することにより、レーザー光を照射した部分からヨウ素を除去してもよい。前記成形体の表面の一部にレーザー光を照射することが、前記成形体の表面にレーザー描画することであってもよい。
前記樹脂材料が、レーザー光吸収材料を更に含んでもよく、前記レーザー光吸収材料が第2の熱可塑性樹脂に含まれてもよい。前記レーザー光吸収材料が、色素又は炭素材料であってもよい。更に、前記樹脂材料を成形することが、前記レーザー光吸収材料と、第2の熱可塑性樹脂とを含む樹脂ペレットを製造することと、前記樹脂ペレットと、第1の熱可塑性樹脂とを用いて前記成形体を成形することを含んでもよい。
本実施形態において、前記樹脂材料を成形することが、前記樹脂材料を発泡成形することであってもよい。また、前記メッキ部品が、立体回路成形部品であってもよい。
本発明の第2の態様に従えば、メッキ部品であって、主成分である第1の熱可塑性樹脂と、第2の熱可塑性樹脂とを含む成形体と、前記成形体の表面の一部に形成された無電解メッキ膜とを有し、前記成形体の表面近傍における第2の熱可塑性樹脂の体積比率が、前記成形体の前記表面近傍以外の領域における第2の熱可塑性樹脂の体積比率よりも高く、前記メッキ部品が立体回路成形部品であることを特徴とするメッキ部品が提供される。
本態様において、第1の熱可塑性樹脂中に第2の熱可塑性樹脂が非相溶な状態で分散していてもよい。第2の熱可塑性樹脂の吸水率が第1の熱可塑性樹脂の吸水率よりも高くてもよい。また、前記成形体は所定の成形温度で成形された成形体であり、前記成形温度における第2の熱可塑性樹脂の溶融粘度が第1の熱可塑性樹脂の前記溶融粘度よりも低くてもよい。
本態様において、前記成形体が更にレーザー光吸収材料を含んでもよい。また、前記成形体の内部に発泡セルが存在してもよい。
前記無電解メッキ膜が前記成形体上で電気回路を形成してもよい
本発明では、レーザー光を照射した部分には無電解メッキ膜が形成され、一方、レーザー光を照射していない部分ではヨウ素の存在により無電解メッキ膜の生成が抑制される。これにより、本発明は、簡易な製造プロセスにより、レーザー光を照射した所定パターンのみに選択的に無電解メッキ膜を形成できる。また、本発明では、成形体が主成分である第1の熱可塑性樹脂よりも親水性の高い第2の熱可塑性樹脂を含むため、ヨウ素が成形体に浸透し易い。この結果、無電解メッキの選択性が更に向上する。
図1は第1の実施形態で製造するメッキ部品の製造方法を示すフローチャートである。 図2(a)は実施例1で製造した試料のメッキ膜(パターンA)の光学顕微鏡写真であり、図2(b)は比較例1で製造した試料のメッキ膜(パターンA)の光学顕微鏡写真である。 図3(a)は実施例2で製造した試料の表面近傍の断面SEM写真であり、図3(b)は、同試料の成形体内部の断面SEM写真である。 図4(a)は実施例4で成形した成形体のレーザー描画部分のSEM写真であり、図4(b)は比較例2で成形した成形体のレーザー描画部分のSEM写真である。 図5は第2の実施形態で成形する成形体の断面の模式図である。
[第1の実施形態]
図1に示すフローチャートに従って、成形体に所定パターンのメッキ膜が形成されたメッキ部品の製造方法について説明する。まず、主成分であるベース樹脂(第1の熱可塑性樹脂)と、親水性付与材料(第2の熱可塑性樹脂)を含む樹脂材料を所定の成形温度で成形し、成形体を得る(図1のステップS1)。
ベース樹脂(第1の熱可塑性樹脂)としては、熱可塑性樹脂であれば任意の樹脂を用いることができるが、例えば、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ナイロン12(PA12)、ナイロン11(PA11)等のポリアミド、ナイロン6T(PA6T)、ナイロン9T(PA9T)、ナイロンMXD6(PAMDX6)等の芳香族ポリアミド、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート(PC)、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合樹脂)、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、及びこれらを共重合化又はアロイ化した複合材料を用いることができる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。
ベース樹脂は、メッキ部品の用途に応じて選択することができる。例えば、ハンダリフロー耐性と低コストが要求される自動車部品の場合、比較的安価な芳香族ナイロン(芳香族ポリアミド)を用いることができる。更に、耐熱性、寸法安定性、剛性等を向上させるために、ベース樹脂にガラス繊維、タルク、カーボン繊維などの各種無機フィラーを充填してもよい。また、スマートフォンのような耐熱性の要求されない部品の場合、汎用エンプラであるABS樹脂、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂とポリカーボネートとのポリマーアロイ(PC/ABS)等を用いることができる。
親水性付与材料としては、ベース樹脂の機械的物性を損ねないために熱可塑性樹脂を用いる(第2の熱可塑性樹脂)。そして、親水性付与材料は、その吸水率がベース樹脂の吸水率よりも高く、且つ、成形体の成形温度におけるその溶融粘度がベース樹脂の溶融粘度よりも低いという特性を有する。
本実施形態における吸水率は、例えば、ISO62に準拠して、材料を常温(23℃)の水中に24時間浸漬させた後の重量変化(%)として測定することができる。親水性付与材料の吸水率がベース樹脂の吸水率よりも高いことから、親水性付与材料はベース樹脂よりも親水性が高い。親水性付与材料を含むことにより、成形体の親水性(吸水率)が高まり、後述するヨウ素付与工程においてヨウ素溶液が成形体に浸透し易くなる。
ベース樹脂の吸水率(WA1)に対する親水性付与材料の吸水率(WA2)の比率(WA2/WA1)は、1.2〜50であることが好ましく、1.5〜30であることがより好ましい。この範囲の比率を有していれば、成形体に十分な親水性を付与できる。
本実施形態における溶融粘度は、一般的な粘度測定法により測定することができ、例えば、ISO1133に準拠して、メルトマスフローレイト(MFR)や、メルトボリュームレイト(MVR)として測定することができる。MFRは、加熱シリンダ内で溶融した樹脂を所定の温度と荷重条件の下、加熱シリンダに設置された規定口径のダイスから10分間あたり押し出される樹脂重量(g/10分)であり、MVRは樹脂量(cm/10分)である。また、他の方法としては、ベース樹脂及び親水性付与材料について、キャプラリーレオメーターを用いて剪断速度と粘度の関係を調べ、これら2つの熱可塑性樹脂の所定温度における粘度差を比較してもよい。または、スパイラルフロー金型を用いて、これら2つの熱可塑性樹脂の流動長を比較してもよい。本実施形態の溶融粘度は、成形体の成形温度において測定するが、成形温度については後述する。
一般に、射出成形や押出成形等の熱可塑性樹脂の成形方法においては、溶融粘度の低い材料は成形体の表面に偏析する傾向がある。親水性付与材料の溶融粘度をベース樹脂の溶融粘度より低くすることで、成形体の表面に親水性付与材料を偏析させることができる。これにより、少ない含有量で成形体の表面近傍を親水化し、同時に成形体の耐熱性や機械的特性等を維持することができる。
尚、MFR及びMVRは溶融樹脂の流れやすさを評価しているため、溶融粘度が低いほど大きな値をとる。成形温度における、親水性付与材料のMFR(MFR2)に対するベース樹脂のMFR(MFR1)の比率(MFR1/MFR2)は、0.01〜0.9であることが好ましく、0.1〜0.6であることがより好ましい。比率(MFR1/MFR2)が0.01未満であると、成形体表面に偏析した親水性付与材料が層分離又は層間剥離する虞があり、また、比率(MFR1/MFR2)が0.9より大きいと、親水性付与材料の成形体表面への偏析効果(濃縮効果)が弱くなる虞がある。
親水性付与材料は、その吸水率がベース樹脂の吸水率よりも高く、且つ、成形体の成形温度におけるその溶融粘度がベース樹脂の溶融粘度よりも低ければ、任意の熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、親水性付与材料としては、親水性セグメントを有するブロック共重合体(以下、適宜「ブロック共重合体」と記載する)を用いることができる。ブロック共重合体は、親水性セグメントを有し、更に、親水性セグメントとは異なる他のセグメント(以下、適宜「他のセグメント」と記載する)を有する。親水性セグメントには、アニオン性セグメント、カチオン性セグメント、ノニオン性セグメントを用いることができる。アニオン性セグメントとしては、ポリスチレンスルホン酸系、カチオン性セグメントとしては、四級アンモニウム塩基含有アクリレート重合体系、ノニオン性セグメントとしては、ポリエーテルエステルアミド系、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン系、ポリエーテルエステル系が挙げられる。成形体の耐熱性を確保し易いことから、親水性セグメントは、ポリエーテル構造を有するノニオン性セグメントであることが好ましい。ポリエーテル構造としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシトリメチレン基、ポリオキシテトラメチレン基等のオキシアルキレン基、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、及びこれらの変性物、並びにポリエーテル含有親水性ポリマーが含まれ、特にポリエチレンオキシドが好ましい。ブロック共重合体の他のセグメントは、親水性セグメントよりも疎水性であれば任意であり、例えば、ナイロン、ポリオレフィン等を用いることができる。
ブロック共重合体は市販品を用いてもよく、例えば、三洋化成工業製ペレスタット(登録商標)、ペレクトロン(登録商標)等を用いることができる。例えば、三洋化成工業製ペレクトロンASは、親水性セグメントであるポリエチレングリコール(PEG)と、他のセグメントを有するブロック共重合体である。
ブロック共重合体以外の親水性付与材料としては、非晶質ナイロン、アクリル変性グリコール系ポリマー、重合脂肪酸系ポリアミドエラストマー等を用いることができる。これらの親水性付与材料は、単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。
親水性付与材料は、ベース樹脂とは均一相溶しないことが好ましい。親水性付与材料がベース樹脂と均一相溶しない場合、成形体中において、親水性付与材料はベース樹脂中に非相溶な状態で縞状又は島状に分散する。ベース樹脂中に親水性付与材料が非相溶な状態で分散すると、更に親水性付与材料の偏析効果(濃縮効果)を高めることができる。このように、均一相溶しないベース樹脂と親水性付与材料との組み合わせ、即ち、成形体中において親水性付与材料がベース樹脂中に非相溶な状態で分散されるベース樹脂と親水性付与材料との組み合わせとしては、例えば、6Tナイロンと、親水性セグメントを有するブロック共重合体との組み合わせが挙げられる。その他の組み合わせとしては、ベース樹脂として、9Tナイロン、MXD6ナイロン、ポリカーボネート、ABS樹脂のいずれかと、親水性付与材料として、ブロック共重合体又は、ポリアルキレンオキサイド系吸水性樹脂との組み合わせが挙げられる。
ベース樹脂(第1の熱可塑性樹脂)は成形体の主成分であるので、樹脂材料中(成形体中)に50重量%以上含まれることが好ましく、80〜99重量%含まれることがより好ましい。また、親水性付与材料(第2の熱可塑性樹脂)は、樹脂材料中(成形体中)に1〜20重量%含まれることが好ましく、1.5〜10重量%含まれることがより好ましい。成形体中の親水性付与材料の含有量が1重量%未満であると成形体を十分に親水化できない虞があり、20重量%を越えると成形体の吸水率が上昇し過ぎて寸法安定性に問題が生じる虞があり、更に、親水性付与材料が層分離又は層間剥離する虞がある。
本実施形態の樹脂材料は、上で説明したベース樹脂及び親水性付与材料の他に、必要により汎用の添加剤を含んでもよい。
ベース樹脂(第1の熱可塑性樹脂)と親水性付与材料(第2の熱可塑性樹脂)とを含む樹脂材料は、汎用の射出成形方法や押出成形方法により、所定の成形温度で成形することができる。成形温度は、ベース樹脂(第1の熱可塑性樹脂)と親水性付与材料(第2の熱可塑性樹脂)との両方が溶融状態となる温度であり、主成分であるベース樹脂の種類に依存して決定される。例えば、以下に記載するベース樹脂を用いた場合、成形温度は以下の範囲をとることができる。ポリアミド(PA):220〜270℃、ポリフタルアミド(PPA):300〜330℃、ポリプロピレン(PP):180〜200℃、ポリカーボネート:260〜320℃。
本実施形態で得られる成形体は、親水性付与材料を含むため、ベース樹脂のみからなる成形体と比較して吸水率が向上する。得られる成形体の吸水率は、ヨウ素の浸透性を向上させ、且つベース樹脂の有する機械的特性を損なわないために、ベース樹脂のみからなる成形体の吸水率の2〜5倍であることが好ましい。また、本実施形態では、成形温度における親水性付与材料の溶融粘度がベース樹脂の溶融粘度よりも低いため、親水性付与材料は成形体の表面近傍に偏析する。したがって、得られる成形体は、成形体の表面近傍における親水性付与材料の体積比率が、表面近傍以外の領域における親水性付与材料の体積比率よりも高い。
次に、得られた成形体の表面にヨウ素を付与する(図1のステップS2)。成形体の表面にヨウ素を付与する方法は、特に限定されない。例えば、ヨウ素溶液を成形体に塗布してもよく、又はヨウ素溶液に成形体を浸漬してもよい。ヨウ素付与の均一性と作業の簡便性の観点から、ヨウ素溶液に成形体を浸漬する方法が好ましい。成形体表面に付与されたヨウ素は、成形体に浸透すると推測される。本実施形態の成形体は親水性付与材料を含むため親水性(吸水率)が高く、ヨウ素溶液と共にヨウ素が成形体に浸透し易い。
ヨウ素溶液中のヨウ素分子(I)の配合量(ヨウ素濃度)は、特に限定されないが、ヨウ素濃度が低過ぎると成形体にヨウ素を浸透させることが困難になり、ヨウ素濃度が高過ぎると成形体に残存するヨウ素が多くなり、メッキ膜形成後に該メッキ膜を腐食する虞がある。したがって、ヨウ素溶液中のヨウ素濃度は、用いる成形体へのヨウ素の浸透し易さに応じて決定することができるが、例えば、0.01〜12重量%とすることが好ましい。
ヨウ素溶液に用いる溶媒は、ヨウ素が溶解する溶媒であり、且つ成形体を変質させない溶媒であれば特に限定されない。例えば、水、アルコール、及びそれらの混合物が好ましい。本実施形態の成形体は親水性付与材料を含むため、水やアルコールとの親和性が高い。したがって、水やアルコールを溶媒に用いることで、ヨウ素溶液を成形体に浸透し易くすることができる。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等を用いることができる。
ヨウ素溶液は、ヨウ素分子(I)と共にヨウ化物イオン(I-)を含むことが好ましい。例えば、ヨウ素溶液が、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム等のヨウ化物塩を含有することにより、ヨウ素溶液は、これら塩由来のヨウ化物イオン(I-)を含むことができる。ヨウ素溶液中において、ヨウ化物イオン(I-)はヨウ素(I)と結合して三ヨウ化物イオン(I -)を形成すると推測される。これにより、ヨウ素が溶媒に溶解し易くなり、また、ヨウ素の成形体への浸透性も向上する。ヨウ素溶液中のヨウ化物塩の配合量は、ヨウ素分子(I)濃度や成形体の種類に応じて適宜決定することができるが、例えば、0.03〜40重量%とすることができる。
更に、本実施形態のヨウ素溶液は、成形体への親和性を向上させるために界面活性剤を含んでもよい。また、ヨウ素溶液は、色素やカーボン材料であるレーザー光吸収材料を含有してもよい。これにより、ヨウ素溶液が浸透した成形体は、後述するレーザー光照射工程において、レーザー光等の光を吸収して熱を発生し易くなる。本実施形態のヨウ素溶液は、上述したヨウ素、溶媒、更に、必要に応じて、ヨウ化物塩、界面活性剤等を従来公知の方法により混合して調製することができる。
成形体を浸漬するときのヨウ素溶液の温度は特に限定されないが、例えば、ヨウ素の成形体への浸透を促進する観点からは室温以上、80℃以下が好ましい。成形体のヨウ素溶液への浸漬時間は、ヨウ素濃度や成形体の種類に応じて適宜決定できるが、例えば、10秒〜1時間が好ましい。
尚、成形体へ浸透したヨウ素は、成形体中において、ヨウ素分子(I)、酸化数-Iの状態(I-)、更に、これらの結合した状態(I -)が混在した状態で存在していると推測される。
次に、ヨウ素が付与された成形体の表面の一部にレーザー光を照射する(図1のステップS3)。レーザー光を照射する方法としては、レーザー光を成形体表面に所定パターンに従って照射する方法(レーザー描画)が挙げられる。レーザー光の照射された部分は加熱され、加熱部分に存在するヨウ素は昇華して成形体表面から除去される。したがって、ヨウ素が付与された成形体の表面に所定パターンのレーザー描画を行うことにより、ヨウ素が浸透して残存しているヨウ素浸透部分と、所定パターンのヨウ素除去部分とを形成することができる。
レーザー光は、例えば、COレーザー、YVOレーザー、YAGレーザー等のレーザー装置を用いて照射することができ、これらのレーザー装置は、成形体の種類に応じて選択することができる。例えば、成形体がポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂成形体である場合、COレーザー(炭酸ガスレーザー)のように透明樹脂成形体が吸収し易いレーザー光源を用いることが好ましい。
次に、レーザー光を照射した成形体の表面に無電解メッキ触媒を付与する(図1のステップS4)。無電解メッキ触媒としては、無電解メッキ触媒能を有するものであれば任意のものを用いることができるが、例えば、Pd、Ni、Pt、Cu等の金属微粒子、金属錯体、金属アルコキシド等を用いることができ、中でも、触媒活性能が高いPdを含む無電解メッキ触媒が好ましい。
無電解メッキ触媒を成形体表面に付与する方法は特に限定されない。例えば、無電解メッキ触媒を溶媒に溶解又は分散させた触媒液を調製し、その触媒液を成形体に塗布する、又は触媒液に成形体を浸漬することにより、成形体の表面に無電解メッキ触媒を付与してもよい。触媒付与の均一性の観点からは、触媒液に成形体を浸漬する方法が好ましい。
触媒液に用いる溶媒は、触媒を溶解又は分散できる溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素等を用いることができる。炭化水素としては、市販の高沸点溶剤(アイソパー、エクソンモービル社製)等を用いてもよい。触媒液に用いる無電解メッキ触媒は、メッキ触媒活性の高さから、パラジウム錯体が好ましく、具体的には、テトラクロロパラジウム酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、アセチルアセトナトパラジウム(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトナトパラジウム(II)金属錯体等を用いることができる。触媒液中の無電解メッキ触媒の配合量(触媒濃度)は、例えば、0.01〜5重量%とすることができる。
無電解メッキ触媒を成形体表面に付与する他の方法としては、市販の無電解メッキ用触媒液を用いた汎用の方法、例えば、センシタイザー・アクチベータ法やキャタライザー・アクセラレータ法が挙げられる。センシタイザー・アクチベータ法では、まず、無電解メッキ触媒が吸着し易くなるように、例えばSn2+を含む液で成形体の表面を処理し(センシタイザー処理)、次に、無電解メッキ触媒(例えば、Pd2+)を含む液に成形体を浸漬する(アクチベータ処理)。キャタライザー・アクセラレータ法では、まず、無電解メッキ触媒を含む液(例えば、Sn2+とPd2+の混合によって得られるパラジウムコロイド液)に成形体を浸漬し(キャタライザー処理)、次に成形体を塩酸溶液等に浸せきしてメッキ触媒の金属を成形体の表面に析出させる(アクセラレータ処理)。
次に、前記成形体の表面に無電解メッキ液を接触させる(図1のステップS5)。これにより、成形体表面のレーザーを照射した部分に無電解メッキ膜を形成する。無電解メッキ液としては、目的に応じて任意の汎用の無電解メッキ液を使用しできる。
上述のように、本実施形態では、ヨウ素が浸透して残存しているヨウ素浸透部分と、加熱によりヨウ素が除去された、所定パターンのヨウ素除去部分が成形体表面に存在する。そして、この成形体表面に前記無電解メッキ触媒を付与して、無電解メッキ液を接触させることにより、所定パターンのヨウ素除去部分のみに、選択的に無電解メッキ膜を形成することができる。この理由は定かではないが、ヨウ素浸透部分においては、無電解メッキ触媒がヨウ素と直接反応して被毒するか、又は、ヨウ素が無電解メッキ触媒と直接反応せずとも、触媒付与工程のいずれかの段階において、ヨウ素が、無電解メッキ触媒が触媒能を発揮することを妨げると推測される。一方、ヨウ素除去部分にはヨウ素が存在しないため、無電解メッキ膜が生成する。これにより、本実施形態では、簡易な製造プロセスにより、高いメッキ選択性が得られる。
尚、成形体にレーザー光照射すると、レーザー光照射部分は粗化されてメッキ触媒が担持し易くなる。このため、成形体にヨウ素を付与していない場合であっても、レーザー光照射部分は他の部分(レーザー光照射が行なわれていない部分)と比較してメッキ反応性が高まる。しかし、単にレーザー光照射で表面を粗化するのみでは、十分なメッキ選択性は得られず、レーザー光照射部以外の領域でメッキ膜が成長する虞がある。本実施形態では、成形体へのヨウ素付与と、レーザー光照射を組み合わせることにより、成形体表面におけるメッキ選択性を向上させることができる。
更に、本実施形態の成形体は親水性付与材料を含むため、成形体の親水性(吸水率)が高まり、ヨウ素が成形体に浸透し易い。これにより、成形体表面のヨウ素浸透部分において、無電解メッキ膜の形成を抑制する効果を高めることができる。一方、ヨウ素が存在しないヨウ素除去部分では、親水性付与材料により成形体表面の親水性(吸水率)が高まり、メッキ反応性を高めることができる。このように、本実施形態では、成形体が親水性付与材料を含むことにより、無電解メッキの選択性が更に向上する。
本実施形態では、更に、上述した無電解メッキ膜上に異なる種類の無電解メッキ膜を形成してもよいし、電解メッキにより電解メッキ膜を形成してもよい。成形体上のメッキ膜の総厚みを厚くすることにより、所定パターンのメッキ膜を電気回路として用いた場合に電気抵抗を小さくすることができる。メッキ膜の電気抵抗を下げる観点から、無電解メッキ膜上に積層するメッキ膜は、無電解銅メッキ膜、電解銅メッキ膜、電解ニッケルメッキ等が好ましい。また、電気的に孤立した回路には電解メッキを行うことができないため、このような場合は、無電解メッキにより、成形体上のメッキ膜の総厚みを厚くすることが好ましい。また、ハンダリフローに対応できるようメッキ膜パターンのハンダ濡れ性を向上させるために、錫、金、銀等のメッキ膜をメッキ膜パターンの最表面に形成してもよい。
以上説明した本実施形態の製造方法において、所定パターンのメッキ膜は導電性を有していてもよい。この場合、所定パターンのメッキ膜は、配線パターン、電気回路等として機能し、所定パターンのメッキ膜を有するメッキ部品は、電子部品として機能する。また、所定パターンのメッキ膜は、成形体の一面のみに平面的に形成させてもよいし、成形体の複数の面に亘って、又は球面等を含む立体形状の表面に沿って立体的に形成されてもよい。所定パターンのメッキ膜が成形体の複数の面に亘って、又は球面等を含む立体形状の表面に沿って立体的に形成され、且つ導電性を有する場合、所定パターンのメッキ膜は立体電気回路として機能し、このような所定パターンのメッキ膜を有するメッキ部品は、立体回路成形部品(MID:Molded Interconnect Device)として機能する。
尚、以上説明した本実施形態の成形体成形工程(図1のステップS1)において、樹脂材料を発泡成形してもよい。この場合、得られる成形体は、成形体中に発泡セルを有する発泡成形体となる。樹脂材料が結晶性材料やガラスフィラー等の無機フィラーを多く含有する場合、成形体の反りやヒケが発生し易いが、発泡成形することで成形体の反りやヒケを抑制することができる。また、発泡成形体を用いたメッキ部品は軽量である。したがって、発泡成形体を用いたメッキ部品は、高い寸法精度が要求される大型MIDに好適である。また、一方で、発泡成形体は、化学発泡剤や物理発泡剤の痕跡が成形体表面に残る、スワルマークと呼ばれる表面不良が発生し易い。凹凸の大きい表面不良部分はヨウ素の浸透が不十分になり、メッキ選択性の低下が懸念される。しかし、本実施形態の成形体は親水性付与材料を含むため、成形体の親水性(吸水率)が高まり、表面不良部分においてもヨウ素が十分に浸透し、無電解メッキ膜の形成を抑制できる。また、発泡成形体中に発泡セルが多過ぎると、メッキ部品の耐熱性の低下が懸念される。このため、メッキ部品にハンダリフロー耐性が要求される場合には、無発泡成形体(ソリッド)と比較した場合の発泡成形体の比重低減率は10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。
[第2の実施形態]
本実施形態では、樹脂材料がレーザー光吸収材料を含むメッキ部品の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、成形体の成形工程(図1のステップS1)において樹脂材料がレーザー光吸収材料を含む以外は、第1の実施形態と同様である。したがって、以下に本実施形態の成形体の成形工程について説明し、第1の実施形態と同様であるヨウ素付与工程(同、ステップS2)、レーザー光照射工程(同、ステップS3)、無電解メッキ触媒付与工程(同、ステップS4)及び無電解メッキ工程(同、ステップS5)については説明を省略する。
本実施形態では、主成分であるベース樹脂(第1の熱可塑性樹脂)と、親水性付与材料(第2の熱可塑性樹脂)と、更に、レーザー光吸収材料を含む樹脂材料を所定の成形温度で成形し、成形体を得る(図1のステップS1)。レーザー光照射工程(同、ステップS3)において、レーザー光の照射された部分は加熱され、加熱部分に存在するヨウ素は昇華して成形体表面から除去される。本実施形態では、成形体がレーザー光吸収材料を含有することで、成形体に照射されたレーザー光を効率的に熱に変換することができる。また、成形体がレーザー光吸収材料を含むことにより、レーザー光照射部分は複雑に粗化され、その上に形成されるメッキ膜の密着強度を高めることができる。
レーザー光吸収材料としては、本実施形態において用いられるレーザー光を吸収する材料であれば任意の材料を用いることができるが、例えば、色素や炭素材料を用いることができる。色素としては、例えば、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物等を用いることがでる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネル、アセチレンブラック等のカーボンブラックの微粒子、カーボンナノチューブ、フラーレン、カーボンナノコイル、グラフェン、ナノダイヤモンド等のナノカーボンを用いることができる。特に、ナノカーボンは少量で効果を発現するため、ベース樹脂の物性を大きく変える虞がなく好ましい。ナノカーボンが少量で効果を発現する理由は定かではないが、ナノカーボンは嵩高く軽量であるため、成形体表面に偏析し易いためと推測される。これらのレーザー光吸収材料は、単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。
レーザー光吸収材料は、ベース樹脂(第1の熱可塑性樹脂)及び親水性付与材料(第2の熱可塑性樹脂)と混合して成形してもよい。しかし、レーザー光吸収材料と親水性付与材料(第2の熱可塑性樹脂)とを含む樹脂ペレットを製造し、次に、製造した樹脂ペレットとベース樹脂(第1の熱可塑性樹脂)とを用いて成形体を成形することが好ましい。樹脂ペレットは、例えば、レーザー光吸収材料を含む親水性付与材料を押出成形し、押出成形体を粉砕して樹脂ペレットとする等、汎用の方法により製造することができる。このような工程を経て成形体を製造することで、レーザー光吸収材料を成形体中に均一に含有させるのではなく、主に親水性付与材料中に分散させることができる。レーザー光吸収材料を親水性付与材料中に分散させることで、以下に説明する効果を奏することができる。
ヨウ素付与工程(図1のステップS2)において、ヨウ素はベース樹脂よりも親水性付与材料により多く含浸すると考えられる。このため、レーザー光吸収材料を親水性付与材料中に分散させることで、レーザー光照射により親水性付与材料中のヨウ素がより除去され易くなり、メッキ選択性が更に向上する。また、レーザー光吸収材料が成形体中に均一に分散しているのではなく、局所的に分散していることで、レーザー光が局所的に吸収されて熱に変換される。これにより、成形体表面が複雑に粗化され、メッキ膜の密着強度を高めることができる。更に、レーザー光吸収材料を親水性付与材料中に分散させることで、親水性付与材料と共にレーザー光吸収材料を成形体の表面に偏析させることができる。これにより、少量のレーザー光吸収材料で十分な効果を発現することができる。
図5に、本実施形態で成形する成形体100の断面の模式図を示す。ベース樹脂(第1の熱可塑性樹脂)103と親水性付与材料(第2の熱可塑性樹脂)101とが均一相溶しない場合、親水性付与材料101はベース樹脂103中に非相溶な状態で、縞状又は島状に分散する。即ち、成形体100は、ベース樹脂のマトリックス(海)103に、レーザー光吸収材料102を含有する親水性付与材料のドメイン(島)101が存在するマトリックス-ドメイン構造(海−島構造)を有する。親水性付与材料は、レーザー光吸収材料と共に成形体100の表面近傍に偏析する傾向があるため、親水性付与材料のドメイン(島)101は、成形体100の中心部よりも、成形体100の表面100aの近傍に多く存在する。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例及び比較例により制限されない。尚、以下に説明する実施例1〜5及び比較例1〜3における成形体の組成、樹脂材料の特性及び評価結果の一部を表1に示す。
[実施例1]
1.樹脂材料
本実施例では、ベース樹脂として植物由来成分を有する高融点(310℃)のガラス繊維45%含有芳香族ナイロン(GF強化芳香族ナイロン)(東洋紡製、バイロアミドMJ−385JT)を用い、親水性付与材料として親水性セグメントを有するブロック共重合体(三洋化成工業製、ペレクトロンAS)を用いて、選択的にメッキ膜が形成された成形体(試料)を製造した。本実施例で用いた親水性セグメントを有するブロック共重合体は、ポリエチレングリコール(PEG)を有するブロック共重合体(PEG含有ブロック共重合体)である。
(1)吸水率
GF強化芳香族ナイロンとPEG含有ブロック共重合体の吸水率は、ISO62に準拠し、それぞれの樹脂から成形した成形体(4cm×6cm×2mm)を常温(23℃)の水中に24時間浸漬させた後の重量変化(%)とした。GF強化芳香族ナイロンの吸水率(WA1)は0.12%、PEG含有ブロック共重合体の吸水率(WA2)は3.1%であり、(WA2/WA1)=(3.1/0.12)=26であった。
(2)溶融粘度
GF強化芳香族ナイロンとPEG含有ブロック共重合体の溶融粘度は、ISO1133に準拠して測定したメルトマスフローレイト(MFR)とした。後述するように、本実施例では成形温度330℃で成形を行ったので、溶融粘度は330℃で測定した。GF強化芳香族ナイロンの溶融粘度(MFR1)は60g/10分、PEG含有ブロック共重合体の溶融粘度(MFR2)は120g/10分であり、(MFR1/MFR2)=60/120=0.5であった。
2.試料の製造
(1)成形体の成形
GF強化芳香族ナイロンとPEG含有ブロック共重合体とを97:3の重量比率で混合した樹脂材料を汎用の射出成形機(日本製鋼所製、J180AD−300H)を用いて、4cm×6cm×0.2cmの板状体に射出成形した。成形温度は330℃、金型温度は140℃とした。上述した吸水率の測定方法により得られた成形体の吸水率を測定したところ、成形体の吸水率は0.3%であり、ベース樹脂であるGF強化芳香族ナイロンの吸水率(0.12%)の2.5倍であった。
(2)ヨウ素の付与
以下の手順で、ヨウ素濃度1.5重量%、ヨウ化カリウム濃度6重量%、水とエタノール混合溶液を溶媒とするヨウ素溶液を調製した。まず、水194.5gにヨウ化カリウム(和光純薬製試薬)18.0gを溶解し、ヨウ化カリウム水溶液を調製した。次に、調製したヨウ化カリウム水溶液に、ヨウ素(和光純薬製試薬)4.5gを加え、攪拌して完全に溶解させた。更にエタノール(和光純薬製試薬)83.0gを加え、ヨウ素溶液を得た。
調製したヨウ素溶液に成形体を浸漬し、室温で5分間放置した。その後、成形体をヨウ素溶液から取り出し、十分に水洗した後、常温で乾燥させた。
(3)レーザー描画
ヨウ素を付与した成形体に、レーザー描画装置(パナソニック製、LP−310、光源CO、レーザー発振部の出力:平均12W、発光ピーク波長:10.6μm)を用いて、所定のパターンに沿ってレーザー光を照射した。レーザー描画は、パワー80%、線幅0.01mm、描画速度1000mm/secで行った。本実施例では2種類のパターンA及びBをレーザー描画した。パターンAは、メッキ選択性を評価するためのパターンであり、描画後のライン/スペースが、0.5mm/0.5mmとなる複数の細線からなるパターンである。パターンBは、メッキ膜の密着強度を評価するための10mm×10cmのパターンである。パターンBは、10mm×10cmの領域を0.1mmピッチで描画して作製した。
(4)無電解メッキ触媒の付与
レーザー描画を行った成形体表面に、市販の無電解メッキ用触媒液を用いた汎用の方法により無電解メッキ触媒を付与した。まず、レーザー描画を行った成形体を常温の感応性付与剤(奥野製薬製、センシタイザー)に浸漬し、5分間超音波を照射してセンシタイザー処理を行い、成形体表面にスズコロイドを吸着させた。その後、成形体を感応性付与剤から取り出し、十分に水洗した。次に、成形体を常温の触媒化処理剤(アクチベータ、奥野製薬製)に浸漬し、2分間放置してアクチベータ処理を行い、成形体表面にパラジウムを吸着させた。その後、樹脂成形体を触媒化処理剤から取り出し、十分に水洗した。
(5)無電解メッキ
無電解メッキ触媒を付与した成形体を61℃の無電解銅メッキ液(奥野製薬工業製、OPC−NCA)に15分浸漬して、成形体表面に無電解銅メッキ膜を1μm成長させた。本実施例に用いた無電解メッキ液は、メッキ膜の成長速度の速い汎用の無電解銅メッキ液である。更に、無電解銅メッキを行った成形体を硫酸銅液に浸漬し、電流密度3A/dmにて銅の電解メッキを行い、無電解銅メッキ膜上に40μmの銅電解メッキを積層した。
3.評価項目及び評価結果
(1)メッキ選択性
成形体全体及びパターンAのメッキ膜を観察し、以下の評価基準に従ってメッキ選択性を評価した。

<メッキ選択性の評価基準>
○:メッキ膜がレーザー描画部のみに成長している。
×:メッキ膜がレーザー描画部以外に成長している部分がある。
本実施例では、メッキ膜はレーザー描画部のみに成長しており、メッキ選択性は良好であった(評価結果:○)。図2(a)に示すように、パターンAにおいて、ライン間にもメッキ膜は成長していなかった。
(2)密着強度
引っ張り試験機(島津製作所社製,AGS−100N)を用いて、JIS H8630に準拠し、角度90°、速度25mm/分の条件で、試料表面において長さ40mmに亘り、メッキ膜を試料からから引き剥がすときの力を測定した。密着強度の目標値は4.5N/cmであるので、以下の評価基準に従って密着強度を評価した。

<密着強度の評価基準>
○:密着強度が4.5N/cm以上
×:密着強度が4.5N/cm未満、又は測定不可能。
本実施例のメッキ膜の密着強度は6.0N/cmであり、十分な密着強度を有していた(評価結果:○)。
(3)電気抵抗
以下の手順に従って、メッキ膜形成部分(パターンA)の細線間の電気抵抗を測定した。先ず、測定に使用する隣り合う2本の細線パターンを、それぞれ他のパターンと切り離した。そして、それぞれの細線のメッキ膜の一端と、同じ細線の他端にテスターの端子を押し当てて抵抗を測定した。この結果、抵抗値は1Ω以下であり、2本の細線が共に導電性を有することが確認できた。次に、1本の細線と、他の細線にテスターの端子を押し当てて、端子間の電気抵抗を測定した。この結果、電気抵抗は200MΩ以上と高い値であり、隣り合う細線間には導通がないことが確認できた。
[実施例2]
本実施例では、ベース樹脂として、高融点(310℃)のミネラル及びガラス繊維65%含有6Tナイロン(ソルベイアドバンストポリマーズ製、アモデルAS1566HS)(ミネラル及びGF強化6Tナイロン)を用いた。また、樹脂材料を実施例1とはサイズの異なる10cm×30cm×0.3mmの板状体に射出成形した。それ以外は、実施例1と同様の方法により選択的にメッキ膜が形成された成形体(試料)を製造した。
1.樹脂材料
(1)吸水率
実施例1と同様の方法により測定される、ミネラル及びGF強化6Tナイロンの吸水率(WA1)は、0.3%であり、(WA2/WA1)=(3.1/0.3)=10であった。また、同様の測定方法により、得られた成形体の吸水率を測定したところ、成形体の吸水率は0.6%であり、ベース樹脂である6Tナイロンの吸水率の2倍であった。
(2)溶融粘度
また、本実施例では実施例1と同様に成形温度330℃で成形を行ったので、溶融粘度は330℃で測定した。実施例1と同様の方法により測定される、ミネラル及びGF強化6Tナイロンの溶融粘度(MFR1)は72g/10分であり、(MFR1/MFR2)=72/120=0.6であった。
2.評価項目及び評価結果
(1)メッキ選択性
実施例1と同様の方法により、メッキ選択性を評価した。本実施例では、メッキ膜はレーザー描画部のみに成長しており、メッキ選択性は良好であった(評価結果:○)。
(2)密着強度
実施例1と同様の方法により、メッキ膜の密着強度を評価した。本実施例のメッキ膜の密着強度は10.0N/cmと高い値であった(評価結果:○)。
(3)成形体の反り
以下に説明する方法により、本実施例で成形した成形体の反りを測定した。成形体に反りがある場合、成形体(板状体)は湾曲して、凸面と凹面を有する。凸面を下にして成形体を水平面上に設置すると、成形体の4つの角(時計回りに、A、B、C及びDとする)は水平面から浮き上がり、水平面と接触しない。4つの角のうちの1つの角Aを水平面に押し当てると、角Aの対角である角Cが更に水平面から浮き上がる。角Aを水平面に押し当てた状態における、水平面と角Cとの距離を成形体の反りの大きさと定義して測定した。本実施例の成形体の反りは、2mmであった。
(4)試料の断面観察
成形体中にフィラーが存在すると、親水性付与材料の状態の観察が困難となる。そこで、本実施例のベース樹脂からフィラーを除いた樹脂と、PEG含有ブロック共重合体とを混合し、本実施例と同一条件で成形品を成形し、この成形体の断面をSEMにより観察した。ベース樹脂である6Tナイロンと親水性付与材料であるPEG含有ブロック共重合体とのコントラストを付けるために、観察前に成形体をルテニウムにより染色した。ルテニウムはPEG含有ブロック共重合体中のポリエチレングリコール(PEG)部分を染色するため、PEG含有ブロック共重合体は高輝度で観察される。SEM観察は、メッキ膜が形成されていない部分における、表面近傍の断面(図3(a))と表面から200μm内部の断面(図3(b))について行った。
図3(a)及び(b)に示すように、本実施例で製造した成形体では、ベース樹脂である6Tナイロンと親水性付与材料であるブロック共重合体とは均一相溶せず、ベース樹脂中に親水性付与材料が非相溶な状態で縞状又は島状に分散していた。また、図3(a)の表面近傍におけるブロック共重合体は、剪断方向(図3(a)における横方向)に引き伸ばされ、一方、図3(b)の内部のブロック共重合体は球形であった。
試料の表面近傍の断面と、内部の断面とのそれぞれにおいて、ブロック共重合体の専有率を画像解析により求めた。その結果、表面近傍の断面(図3(a))におけるブロック共重合体の占有率は14%であり、内部の断面(図3(b))における同占有率は9%であった。これは、PEG含有ブロック共重合体の溶融粘度が6Tナイロンの溶融粘度よりも低いため、PEG含有ブロック共重合体が成形体の表面近傍に剪断配向したためと推測される。また、本実施例では、6Tナイロン中にPEG含有ブロック共重合体が非相溶な状態で分散されているため、PEG含有ブロック共重合体の表面析出効果が促進されたと推測される。
[実施例3]
本実施例では、実施例2と同様の樹脂材料を用いて、実施例2と同サイズの板状体を発泡成形した。それ以外は、実施例1と同様の方法により選択的にメッキ膜が形成された成形体(試料)を製造した。
1.試料の製造
(1)発泡成形体の成形
ミネラル及びGF強化6Tナイロンと、PEG含有ブロック共重合体とを97:3の重量比率で混合した樹脂材料を発泡射出成形した。本実施例では、本出願人による特開2014‐156073号公報に開示する、実施例2で用いた成形機と同様の成形機を用いた。発泡圧力は4MPaとし、成形温度は330℃とした。また、ソリッド(無発泡成形体)を成形する場合と比較して、計量ストロークを2%短くし、更に保圧を40%低下させた。それ以外は、特開2014‐156073号公報の実施例2に開示される方法と同様の方法により発泡成形体を製造した。
得られた発泡成形体は、実施例2で成形した、同様の材料から成形した非発泡成形体と比較して、比重が3%低下していた。また、得られた発泡成形体の表面にはスワルマークが認められ、実施例2で成形した非発泡成形体と比較して、表面性がやや悪化していた。
2.評価項目及び評価結果
(1)メッキ選択性
実施例1と同様の方法により、メッキ選択性を評価した。本実施例では、メッキ膜はレーザー描画部のみに成長しており、メッキ選択性は良好であった(評価結果:○)。
(2)密着強度
実施例1と同様の方法により、メッキ膜の密着強度を評価した。本実施例のメッキ膜の密着強度は9N/cmと高い値であった(評価結果:○)。
(3)成形体の反り
実施例2と同様の方法により、成形体の反りを測定した。本実施例の成形体の反りは、0.3mmであった。実施例2で成形した、同様の材料から成形した非発泡成形体の反り(2mm)と比較して、本実施例の発泡成形体では、成形体の反りが大幅に低減された。これは、発泡成形により、金型内での冷却歪が緩和され、樹脂材料の結晶化及び収縮による不均一性が改善されたためと推定される。
(4)試料の断面観察
試料の断面をSEMにより観察した。成形体中には、発泡セル径30μm程度の発泡セルが粗な密度で観察された。
(5)ハンダリフロー耐性試験
本実施例の試料をリフロー炉に通した。リフロー炉の通過時間は1分とし、リフロー炉内における試料の最高到達温度は250℃であった。リフロー炉通過後に試料を目視により観察した。その結果、試料に膨れ等は認められず、十分なハンダリフロー耐性を有することが確認された。
以上説明したように、本実施例の試料は、非発泡成形体と比較した比重低減率が5%以下と小さい値であるにもかかわらず、成形体の反りを改善できた。また、比重低減率が小さいため、即ち、発泡成形体中に発泡セルが少ないため、耐熱性や機械強度の低下が少なく、十分なハンダリフロー耐性を有することが確認された。これらの結果から、本実施例の発泡成形体を用いた試料は、寸法精度と耐熱性が要求される大型のMIDに好適である。
[実施例4]
本実施例では、ベース樹脂及び親水性付与材料に加えて、レーザー光吸収材料を含む試料を製造した。
1.樹脂材料
本実施例では、ベース樹脂として、ナチュラル色のABS樹脂(東レ(株)製、トヨラック500A)を用い、親水性付与材料として実施例1と同様のブロック共重合体を用い、更に、レーザー光吸収材料としてマルチウォールカーボンナノチューブ(MW−CNT)(昭和電工製、VGCF−H)を用いて、選択的にメッキ膜が形成された成形体(試料)を製造した。
(1)吸水率
実施例1と同様の方法により測定されるABS樹脂の吸水率(WA1)は、0.3%であり、(WA2/WA1)=(3.1/0.3)=10であった。
(2)溶融粘度
また、後述するように、本実施例では成形温度220℃で成形を行ったので、溶融粘度は220℃で測定した。実施例1と同様の方法により測定されるABS樹脂の溶融粘度(MFR1)は17g/10分であり、PEG含有ブロック共重合体の溶融粘度(MFR2)は30g/10分であり、(MFR1/MFR2)=17/30=0.57であった。
2.試料の製造
(1)樹脂ペレットの製造
本実施例では、まず、レーザー光吸収材料と親水性付与材料とを含む樹脂ペレットを製造した。PEG含有ブロック共重合体と、マルチウォールカーボンナノチューブ(MW−CNT)とを90:10の重量比率で混合した材料を単軸押出成形機を用いて、紐状に押出成形した。その後、押出成形物を粉砕して、MW−CNTを10重量%含むPEG含有ブロック共重合体ペレットを得た。
(2)成形体の成形
ベース樹脂であるABS樹脂と上で製造した樹脂ペレットとを97:3の重量比率で混合した樹脂材料を実施例1と同様の方法により射出成形した。但し、成形温度は220℃とした。樹脂材料において、ABS樹脂、PEG含有ブロック共重合体、MW−CNTの重量比率は、97:2.7:0.3である。実施例1と同様の方法により、得られた成形体の吸水率を測定したところ、成形体の吸水率は0.5%であり、ベース樹脂であるABS樹脂の吸水率(0.3)の1.7倍であった。
(3)ヨウ素の付与
ヨウ素濃度を5.0重量%とした以外は、実施例1と同様の方法によりヨウ素溶液を調製した。調製したヨウ素溶液に成形体を浸漬し、室温で15分間放置した。その後、成形体をヨウ素溶液から取り出し、十分に水洗した後、常温で乾燥させた。
(4)レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及びメッキ
ヨウ素を付与した成形体に、実施例1と同様の方法により、レーザー描画、無電解メッキ触媒の付与及びメッキを行い、選択的にメッキ膜が形成された成形体(試料)を製造した。
3.評価項目及び評価結果
(1)メッキ選択性
実施例1と同様の方法により、メッキ選択性を評価した。本実施例では、メッキ膜はレーザー描画部のみに成長しており、メッキ選択性は良好であった(評価結果:○)。
(2)密着強度
実施例1と同様の方法により、メッキ膜の密着強度を評価した。本実施例のメッキ膜の密着強度は5.6N/cmであり、十分な密着強度を有していた(評価結果:○)。
(3)成形体のレーザー描画部の表面観察
成形体のレーザー描画を行った部分の表面をSEMにより観察した。図4(a)に示すように、レーザー描画部分の表面には複雑な凹凸が形成されていた。この部分の表面粗Raは76μmであった。本実施例では、成形体がレーザー光吸収材料(MW−CNT)を含むことにより、レーザー光照射部分が複雑に粗化され、その上に形成されるメッキ膜の密着強度を高めることができた。
[実施例5]
本実施例では、ベース樹脂として、ガラス繊維30%含有ポリカーボネート(GF強化PC)(三菱エンジアリングプラスチック製、ユーピロンGSH2030R2)を用い、親水性付与材料として、非晶質透明ナイロン(ユニチカ製、CX−2500)を用いた。また、GF強化PCと、非晶質透明ナイロンとの重量比率は、85:15とし、成形温度は300℃とした。それ以外は、実施例1と同様の方法により選択的にメッキ膜が形成された成形体(試料)を製造した。
1.樹脂材料
(1)吸水率
実施例1と同様の方法により測定されるGF強化PCの吸水率(WA1)は0.1%であり、非晶質透明ナイロンの吸水率(WA2)は0.7であり、(WA2/WA1)=(0.7/0.1)=7であった。また、同様の測定方法により、得られた成形体の吸水率を測定したところ、成形体の吸水率は0.2%であり、ベース樹脂であるGF強化PCの吸水率の2倍であった。
(2)溶融粘度
また、本実施例では成形温度300℃で成形を行ったので、溶融粘度は300℃で測定した。実施例1と同様の方法により測定されるGF強化PCの溶融粘度(MFR1)は5.7g/10分であり、非晶質透明ナイロンの(MFR2)は17g/10分であり、(MFR1/MFR2)=5.7/17=0.34であった。
2.評価項目及び評価結果
(1)メッキ選択性
実施例1と同様の方法により、メッキ選択性を評価した。本実施例では、メッキ膜はレーザー描画部のみに成長しており、メッキ選択性は良好であった(評価結果:○)。
(2)密着強度
実施例1と同様の方法により、メッキ膜の密着強度を評価した。本実施例のメッキ膜の密着強度は5.0N/cmであり、十分な密着強度を有していた(評価結果:○)。
[比較例1]
本比較例では、親水性付与材料を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法により試料を製造した。即ち、本比較例の樹脂材料は、GF強化芳香族ナイロン100重量%である。
1.評価項目及び評価結果
(1)メッキ選択性
実施例1と同様の方法により、メッキ選択性を評価した。本比較例の試料では、レーザー描画部にメッキ膜が成長していたが、レーザー描画部以外でも一部にメッキ膜の成長が確認された。図2(b)に示すように、パターンAにおいてライン間にもメッキ膜の成長が確認され、メッキ選択性は不良であった(評価結果:×)。
(2)密着強度
実施例1と同様の方法により、メッキ膜の密着強度を評価した。本比較例のメッキ膜の密着強度は5.0N/cmであった(評価結果:○)。
(3)電気抵抗
実施例1と同様の方法により、メッキ膜形成部分(パターンA)の細線間の電気抵抗を測定した。この結果、隣り合う2つの細線間の電気抵抗は1Ω未満と低い値であり、導電性があることが確認された。
[比較例2]
本比較例では、親水性付与材料及びレーザー光吸収材料を用いなかった以外は、実施例4と同様の方法により試料を製造した。即ち、本比較例の樹脂材料は、ABS樹脂100重量%である。
1.評価項目及び評価結果
(1)メッキ選択性
実施例1と同様の方法により、メッキ選択性を評価した。本比較例の試料では、レーザー描画部にメッキ膜が成長していたが、レーザー描画部以外でも一部にメッキ膜の成長が確認された。パターンAにおいてライン間にもメッキ膜の成長が確認され、メッキ選択性は不良であった(評価結果:×)。
(2)密着強度
実施例1と同様の方法により、メッキ膜の密着強度を評価した。しかし、本比較例のメッキ膜は簡単に剥離してしまい、密着強度を測定できるレベルの強度を有しておらず、測定不可能であった(評価結果:×)。
(3)成形体のレーザー描画部の表面観察
成形体のレーザー描画を行った部分の表面をSEMにより観察した。図4(b)に示すように、本比較例では実施例4(図4(a))で確認されたような大きな粗化は確認できなかった。本比較例及び実施例4は、ベース樹脂として同様のABS樹脂を用いているが、本比較例はレーザー光吸収材料を用いていないためレーザー光照射部分の粗化が不十分であり、メッキ膜の密着強度が得られなかったものと推測される。
[比較例3]
本比較例では、親水性付与材料を用いなかった以外は、実施例3と同様の方法により試料を製造した。即ち、本比較例では、ミネラル及びGF強化6Tナイロン100重量%の樹脂材料を発泡成形した。
1.評価項目及び評価結果
(1)メッキ選択性
実施例1と同様の方法により、メッキ選択性を評価した。本比較例の試料では、レーザー描画部にメッキ膜が成長していたが、レーザー描画部以外でもスワルマーク部分にメッキ膜の成長が確認された(評価結果:×)。スワルマーク部分は表面の凹凸の大きいため、ヨウ素の浸透が不十分になり、無電解メッキ膜形成を十分に抑制できなかったと推測される。
(2)密着強度
実施例1と同様の方法により、メッキ膜の密着強度を評価した。本比較例のメッキ膜の密着強度は8.5N/cmであった(評価結果:○)。
Figure 0006559960
本発明のメッキ部品の製造方法によれば、簡易な製造プロセスにより、所定パターン以外でのメッキ膜の生成を抑制し、所定パターンのみにメッキ膜を形成できる。したがって、本発明は、電気回路を有する電子部品や、立体回路成形部品(MID:Molded Interconnect Device)の製造に利用できる。
100 成形体、
101 親水性付与材料(第2の熱可塑性樹脂)
102 レーザー光吸収材料
103 ベース樹脂(第1の熱可塑性樹脂)

Claims (11)

  1. メッキ部品の製造方法であって、
    主成分である第1の熱可塑性樹脂と、第2の熱可塑性樹脂とを含む樹脂材料を所定の成形温度で成形し、成形体を得ることと、
    前記成形体の表面にヨウ素を付与することと、
    前記ヨウ素が付与された成形体の表面の一部にレーザー光を照射することと、
    前記レーザー光を照射した成形体の表面に無電解メッキ触媒を付与することと、
    前記無電解メッキ触媒を付与した成形体の表面に無電解メッキ液を接触させ、前記レーザー光を照射した部分に無電解メッキ膜を形成することを含み、
    第2の熱可塑性樹脂の吸水率が第1の熱可塑性樹脂の吸水率よりも高く、第2の熱可塑性樹脂の前記成形温度における溶融粘度が第1の熱可塑性樹脂の前記溶融粘度よりも低いことを特徴とするメッキ部品の製造方法。
  2. 第2の熱可塑性樹脂は、前記樹脂材料中に1重量%〜20重量%含まれることを特徴とする請求項1に記載のメッキ部品の製造方法。
  3. 前記成形体の表面の一部にレーザー光を照射することにより、レーザー光を照射した部分からヨウ素を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ部品の製造方法。
  4. 前記成形体の表面の一部にレーザー光を照射することが、前記成形体の表面にレーザー描画することであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  5. 前記樹脂材料が、レーザー光吸収材料を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  6. 前記レーザー光吸収材料が第2の熱可塑性樹脂に含まれることを特徴とする請求項5に記載のメッキ部品の製造方法。
  7. 前記レーザー光吸収材料が、色素又は炭素材料であることを特徴とする請求項5又は6に記載のメッキ部品の製造方法。
  8. 前記樹脂材料を成形することが、
    前記レーザー光吸収材料と、第2の熱可塑性樹脂とを含む樹脂ペレットを製造することと、
    前記樹脂ペレットと、第1の熱可塑性樹脂とを用いて前記成形体を成形することを含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  9. 前記樹脂材料を成形することが、前記樹脂材料を発泡成形することである請求項1〜8のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  10. 前記メッキ部品が、立体回路成形部品であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のメッキ部品の製造方法。
  11. メッキ部品であって、
    主成分である第1の熱可塑性樹脂と、第2の熱可塑性樹脂とを含む成形体と、
    前記成形体の表面の一部に形成された無電解メッキ膜とを有し、
    前記成形体の表面近傍における第2の熱可塑性樹脂の体積比率が、前記成形体の前記表面近傍以外の領域における第2の熱可塑性樹脂の体積比率よりも高く、
    前記メッキ部品が立体回路成形部品であることを特徴とするメッキ部品。
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