以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成出力による出力結果を読み取った読取画像とマスター画像とを比較することにより出力結果を検査する検査装置を含む画像検査システムを例として説明する。そのようなシステムにおいて、出力される画像が線画主体の場合であっても、印刷出力の結果に基づいて装置の階調特性の経時変化を推定することが本実施形態に係る特徴である。図1は、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムは、DFE(Digital Front End)1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5を含む。DFE1は、受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力するべき画像データ、即ち出力対象画像であるビットマップデータを生成し、生成したビットマップデータをエンジンコントローラ2に出力する画像処理装置である。
エンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータに基づいてプリントエンジン3を制御して画像形成出力を実行させる。また、エンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータを、プリントエンジン3による画像形成出力の結果を検査装置4が検査する際に参照するための検査用画像の元となる情報として検査装置4に送信する。
プリントエンジン3は、エンジンコントローラ2の制御に従い、ビットマップデータに基づいて記録媒体である用紙に対して画像形成出力を実行する画像形成装置である。尚、記録媒体としては、上述した用紙の他、フィルム、プラスチック等のシート状の材料で、画像形成出力の対象物となるものであれば採用可能である。
検査装置4は、エンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータに基づいてマスター画像を生成する。そして、検査装置4は、プリントエンジン3が出力した用紙を読取装置で読み取って生成した読取画像を上記生成したマスター画像と比較することにより、出力結果の検査を行う画像検査装置である。
検査装置4は、出力結果に欠陥があると判断した場合、欠陥として判定されたページを示す情報をエンジンコントローラ2に通知する。これにより、エンジンコントローラ2によって欠陥ページの再印刷制御が実行される。
また、本実施形態に係る検査装置4は、読取画像を解析することにより、プリントエンジン3によって記録媒体上に形成される画像の階調特性を判断する機能を有する。そのような階調特性の判断機能において、プリントエンジン3によって出力される画像が線によって描画された図形や文字等、まとまった印字範囲の狭い線画が主となる場合に対応した機能が、本実施形態に係る要旨の1つである。
インタフェース端末5は、検査装置4による欠陥判定結果を確認するためのGUI(Graphical User Interface)や、検査におけるパラメータを設定するためのGUIを表示するための情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の一般的な情報処理端末によって実現される。
ここで、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5を構成するハードウェアについて、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る検査装置4のハードウェア構成を示すブロック図である。図2においては、検査装置4のハードウェア構成を示すが、他の装置についても同様である。
図2に示すように、本実施形態に係る検査装置4は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係る検査装置4は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
CPU10は演算手段であり、検査装置4全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが検査装置4の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが検査装置4に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
専用デバイス80は、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4において、専用の機能を実現するためのハードウェアであり、プリントエンジン3の場合は、画像形成出力対象の用紙を搬送する搬送機構や、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。また、エンジンコントローラ2、検査装置4の場合は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。また、紙面上に出力された画像を読み取る読取装置も、専用デバイス80によって実現される。
このようなハードウェア構成において、ROM30に格納されているプログラムや、HDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体からRAM20に読み出されたプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5の機能を実現する機能ブロックが構成される。
図3は、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4の機能構成を示すブロック図である。図3においては、データの送受信を実線で、用紙の流れを破線で示している。図3に示すように、本実施形態に係るDFE1は、ジョブ情報処理部101及びRIP処理部102を含む。また、エンジンコントローラ2は、データ取得部201、エンジン制御部202、ビットマップ送信部203を含む。また、プリントエンジン3は、印刷処理部301を含む。また、検査装置4は、読取装置400、読取画像取得部401、マスター画像処理部402、検査制御部403及び比較検査部404を含む。
ジョブ情報処理部101は、DFE1外部からネットワークを介して入力される印刷ジョブや、オペレータの操作によりDFE1内部に格納された画像データに基づいて生成される印刷ジョブに基づき、画像形成出力の実行を制御する。画像形成出力の実行に際して、ジョブ情報処理部101は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づき、RIP処理部102にビットマップデータを生成させる。
RIP処理部102は、ジョブ情報処理部101の制御に従い、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいてプリントエンジン3が画像形成出力を実行するためのビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、画像形成出力するべき画像を構成する各画素の情報である。
本実施形態に係るプリントエンジン3は、CMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して、一般的に、印刷ジョブに含まれる画像のデータは、一画素が256階調等の多階調で表現された多値画像である。そのため、RIP処理部102は、印刷ジョブに含まれる画像データを多値画像から少値画像に変換して、CMYK各色二値のビットマップデータを生成し、エンジンコントローラ2に送信する。
データ取得部201は、DFE1から入力されるビットマップデータを取得し、エンジン制御部202及びビットマップ送信部203夫々を動作させる。エンジン制御部202は、データ取得部201から転送されたビットマップデータに基づき、プリントエンジン3に画像形成出力を実行させる。ビットマップ送信部203は、データ取得部201が取得したビットマップデータを、マスター画像生成の為に検査装置4に送信する。
印刷処理部301は、エンジンコントローラ2から入力されるビットマップデータを取得し、印刷用紙に対して画像形成出力を実行し、印刷済みの用紙を出力する画像形成部である。本実施形態に係る印刷処理部301は、電子写真方式の一般的な画像形成機構によって実現されるが、インクジェット方式等の他の画像形成機構を用いることも可能である。
読取装置400は、印刷処理部301によって印刷が実行されて出力された印刷用紙の紙面上に形成された画像を読み取り、読取画像を出力する画像読取部である。読取装置400は、例えば印刷処理部301によって出力された印刷用紙の、検査装置4内部における搬送経路に設置されたラインスキャナであり、搬送される印刷用紙の紙面上を走査することによって紙面上に形成された画像を読み取る。
読取装置400によって生成された読取画像が検査装置4による検査の対象となる。読取画像は、画像形成出力によって出力された用紙の紙面を読み取って生成された画像であるため、出力結果を示す画像となる。読取画像取得部401は、印刷用紙の紙面が読取装置400によって読み取られて生成された読取画像の情報を取得する。読取画像取得部401が取得した読取画像の情報は、比較検査のために比較検査部404に入力される。尚、比較検査部404への読取画像の入力は検査制御部403の制御によって実行される。その際、検査制御部403が読取画像を取得してから比較検査部404に入力する。
マスター画像処理部402は、上述したようにエンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータを取得し、上記検査対象の画像と比較するための検査用画像であるマスター画像を生成する。即ち、マスター画像処理部402が、読取画像の検査を行うための確認用画像であるマスター画像を出力対象画像に基づいて生成する検査用画像生成部として機能する。マスター画像処理部402によるマスター画像の生成処理については後に詳述する。
検査制御部403は、検査装置4全体の動作を制御する制御部であり、検査装置4に含まれる各構成は検査制御部403の制御に従って動作する。比較検査部404は、読取画像取得部401から入力される読取画像とマスター画像処理部402が生成したマスター画像とを比較し、意図した通りの画像形成出力が実行されているか否かを判断する。比較検査部404は、膨大な計算量を迅速に処理するために上述したASICによって構成される。本実施形態においては、検査制御部403が、比較検査部404を制御することによって画像検査部として機能すると共に、比較検査部404による検査結果を取得する検査結果取得部として機能する。
比較検査部404においては、上述したようにRGB各色8bitで表現された200dpiの読取画像及びマスター画像を対応する画素毎に比較し、夫々の画素毎に上述したRGB各色8bitの画素値の差分値を算出する。そのようにして算出した差分値と閾値との大小関係に基づき、検査制御部403は、読取画像における欠陥の有無を判断する。即ち、検査制御部403が検査装置4に含まれる各部を制御することにより画像検査部として機能する。
尚、読取画像とマスター画像との比較に際して、比較検査部404は、図4に示すように、所定範囲毎に分割されたマスター画像を、分割された範囲に対応する読取画像に重ね合わせて各画素の画素値、即ち濃度の差分算出を行う。このような処理は、検査制御部403が、重ね合わせる範囲の画像をマスター画像及び読取画像夫々から取得し、比較検査部404に入力することによって実現される。
更に、検査制御部403は、分割された範囲を読取画像に重ね合わせる位置を縦横にずらしながら、即ち、読取画像から取得する画像の範囲を縦横にずらしながら、算出される差分値の合計値が最も小さくなる位置を正確な重ね合わせの位置として決定すると共に、その際に算出された各画素の差分値を比較結果として採用する。そのため、比較検査部404は、各画素の差分値と共に、位置合わせの位置として決定した際の縦横のずれ量を出力することが可能である。
図4に示すように方眼状に区切られている夫々のマスが、上述した各画素の差分値を合計する所定範囲である。また、図4に示す夫々の分割範囲のサイズは、例えば、上述したようにASICによって構成される比較検査部404が一度に画素値の比較を行うことが可能な範囲に基づいて決定される。
このような処理により、読取画像とマスター画像とが位置合わせされた上で差分値が算出される。このように算出された差分値が所定の閾値と比較されることにより、画像の欠陥が判定される。また、例えば、読取画像全体とマスター画像全体とで縮尺に差異があったとしても、図4に示すように範囲毎に分割して位置合わせを行うことにより、縮尺の際による影響を低減することが可能となる。
また、図4に示すように分割された夫々の範囲において、隣接する範囲の位置ずれ量は比較的近いことが予測される。従って、分割された夫々の範囲についての比較検査を行う際、隣接する領域の比較検査によって決定された位置ずれ量を中心として上述した縦横にずらしながらの計算を行うことにより、縦横にずらしながら計算を行う回数を少なくしても、正確な重ね合わせ位置による計算が実行される可能性が高く、全体として計算量を減らすことが出来る。
また、本実施形態に係る検査制御部403は、上述したように、読取画像を解析することによってプリントエンジン3の階調特性を判断する。この機能については後に詳述する。
次に、プリントエンジン3及び検査装置4の機械的な構成及び用紙の搬送経路について、図5を参照して説明する。図5に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン3に含まれる印刷処理部301は、無端状移動手段である搬送ベルト11に沿って各色の感光体ドラム12Y、12M、12C、12K(以降、総じて感光体ドラム12とする)が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ13から給紙される用紙(記録媒体の一例)に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト11に沿って、この搬送ベルト11の搬送方向の上流側から順に、感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kが配列されている。
各色の感光体ドラム12の表面においてトナーにより現像された各色の画像が、搬送ベルト11に重ね合わせられて転写されることによりフルカラーの画像が形成される。そのようにして搬送ベルト11上に形成されたフルカラー画像は、図中に破線で示す用紙の搬送経路と最も接近する位置において、転写ローラ14の機能により、経路上を搬送されてきた用紙の紙面上に転写される。
紙面上に画像が形成された用紙は更に搬送され、定着ローラ15にて画像を定着された後、検査装置4に搬送される。また、両面印刷の場合、片面上に画像が形成されて定着された用紙は反転パス16に搬送され、反転された上で再度転写ローラ14の転写位置に搬送される。
読取装置400は、検査装置4内部における用紙の搬送経路において、印刷処理部301から搬送された用紙の夫々の面を読み取り、読取画像を生成して検査装置4内部の情報処理装置によって構成される読取画像取得部401に出力する。また、読取装置400によって紙面が読み取られた用紙は検査装置4内部を更に搬送され、排紙トレイ410に排出される。尚、図5においては、検査装置4における用紙の搬送経路において、用紙の片面側にのみ読取装置400が設けられている場合を例としているが、用紙の両面の検査を可能とするため、用紙の両面側に夫々読取装置400を配置しても良い。
次に、本実施形態に係るマスター画像処理部402の機能構成について説明する。図6は、マスター画像処理部402内部の構成を示すブロック図である。図6に示すように、マスター画像処理部402は、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422、色変換処理部423及び画像出力処理部424を含む。尚、本実施形態に係るマスター画像処理部402は、図2において説明した専用デバイス80、即ち、ASICとして構成されたハードウェアが、ソフトウェアの制御に従って動作することにより実現される。
少値多値変換処理部421は、有色/無色で表現された二値画像に対して少値/多値変換処理を実行して多値画像を生成する。本実施形態に係るビットマップデータは、プリントエンジン3に入力するための情報であり、プリントエンジンはCMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して検査対象の画像である読取画像は、基本三原色であるRGB(Red,Green,Blue)各色多階調の多値画像であるため、少値多値変換処理部421により先ず二値画像が多値画像に変換される。多値画像としては、例えばCMYK各8bitで表現された画像を用いることができる。
少値多値変換処理部421は、少値/多値変換処理として、8bit拡張処理、平滑化処理を行う。8bit拡張処理は、0/1の1bitであるデータを8bit化し、「0」は「0」のまま、「1」は「255」に変換する処理である。平滑処理は、8bit化されたデータに対して平滑化フィルタを適用し、画像を平滑化する処理である。
尚、本実施形態においては、プリントエンジン3がCMYK各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する場合を例とし、マスター画像処理部402に少値多値変換処理部421が含まれる場合を例とするが、これは一例である。即ち、プリントエンジン3が多値画像に基づいて画像形成出力を実行する場合は、少値多値変換処理部421は省略可能である。
また、プリントエンジン3が1bitではなく2bit等の少値の画像に基づいて画像形成出力を行う機能を有する場合もあり得る。その場合、8bit拡張処理の機能を変更することにより対応することができる。即ち、2bitの場合、階調値は0、1、2、3の4値である。従って、8bit拡張に際しては、「0」は「0」、「1」は「85」、「2」は「170」、「3」は「255」に変換する。
解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像の解像度を、検査対象の画像である読取画像の解像度に合わせるように解像度変換を行う。本実施形態においては、読取装置400は200dpiの読取画像を生成するため、解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像の解像度を200dpiに変換する。また、本実施形態に係る解像度変換処理部422は、解像度変換に際して、印刷処理部301によって出力される用紙の収縮等を考慮して予め定められた倍率に基づいて解像度変換後の画像のサイズを調整する。
色変換処理部423は、解像度変換処理部422によって解像度が変換された画像を取得して階調変換及び色表現形式の変換を行う。階調変換処理は、印刷処理部301によって紙面上に形成される画像の色調及び読取装置400によって読み取られて生成される画像の色調に、マスター画像の色調を合わせるための色調の変換処理である。
このような処理は、例えば、様々な階調色のカラーパッチを含む画像が印刷処理部301によって紙面上に形成され、その用紙を読み取って生成された読取画像における各カラーパッチの階調値と、夫々のカラーパッチを形成するための元の画像における階調値とが関連付けられた階調変換テーブルを用いて行われる。即ち、色変換処理部423は、このような階調変換テーブルに基づき、解像度変換処理部422が出力した画像の各色の階調値を変換する。
色表現形式の変換処理は、CMYK形式の画像をRGB形式の画像に変換する処理である。上述したように、本実施形態に係る読取画像はRGB形式の画像であるため、色変換処理部423は、階調変換処理のされたCMYK形式の画像をRGB形式に変換する。この色表現形式の変換処理は、RGB形式の各色の値をCMYK形式の各色の値に基づいて算出するための計算式を用いて実行される場合の他、上述した階調変換処理と同様に、CMYK形式の値とRGB形式の値とが関連付けられた変換テーブルに基づいて実行される。
尚、CMYK形式の値とRGB形式の値とが関連付けられた変換テーブルであって、上述した階調変換が考慮された変換テーブルを用いることにより、上述した階調変換及び色表現形式の変換を同時に実行することも可能である。そのような処理により、処理負荷を低減することが可能である。
色変換処理部423までの処理により、画素毎にRGB各色8bit(合計24bit)で表現された200dpiの多値画像が生成される。このようにして生成された画像がマスター画像として用いられる。
画像出力処理部424は、色変換処理部423までの処理によって生成されたマスター画像を出力する。これにより、検査制御部403が、マスター画像処理部402からマスター画像を取得する。
次に、本実施形態に係る検査制御部403の機能構成について説明する。図7は、本実施形態に係る検査制御部403の機能構成を示すブロック図である。また、図8は、本実施形態に係る検査制御部403による1ページ分の画像検査の動作を示すフローチャートである。図7に示すように、本実施形態に係る検査制御部403は、情報入力部431、差分画像取得部432、欠陥判定部433、コントローラ通信部434及び階調特性判定部500を含む。
本実施形態に係る検査制御部403においては、図8に示すように、まず情報入力部431が、マスター画像処理部402からマスター画像を取得し(S801)、読取画像取得部401から読取画像を取得する(S802)。S801の処理とS802の処理とは前後関係に制約はないため、逆の順序で実行されても良いし並列して実行されても良い。
マスター画像及び読取画像を取得した情報入力部431は、図4において説明したように、マスター画像及び読取画像から夫々所定範囲の画像を抽出して比較検査部404に入力することにより、比較検査部404に画像の比較検査を実行させる(S803)。
S803の処理により、読取画像を構成する各画素とマスター画像を構成する各画素との差分値を示す差分画像が生成され、生成された差分画像を差分画像取得部432が取得する。差分画像取得部432が取得した差分画像に基づき、欠陥判定部433によって欠陥判定が実行される(S804)。
S804においては。欠陥判定部433が、差分画像を構成する各画素の値と予め設定された閾値とを比較することにより、夫々のページに欠陥が含まれるか否かを判定する。また、欠陥として判定された画素のラベリング処理等を行うことにより、欠陥位置の特定や、欠陥種類の特定等を行って欠陥判定の結果を示す情報を生成する。
また、階調特性判定部500が、情報入力部431から読取画像及びマスター画像を取得し、階調特性判定を行う(S805)。S805における階調特性判定処理については後に詳述する。尚、S803、S804の処理とS805の処理とは、逆の順番で実行されても良いし、平行して実行されても良い。欠陥判定処理及び階調特性判定処理が完了すると、コントローラ通信部434が、欠陥判定結果及び階調特性判定結果に基づいて再印刷要求や階調特性の経時変化通知等のエンジン制御を実行する(S806)。このような処理により、本実施形態に係る画像検査動作が完了する。
次に、S805の階調特性判定動作について説明する。図9は、本実施形態に係る階調特性判定部500の詳細な機能構成を示すブロック図である。図9に示すような機能ブロックを構成するためのプログラムが、本実施形態に係る装置状態を判断するための画像処理プログラムとして用いられる。
情報入力部431から階調特性判定部500に対して読取画像及びマスター画像が入力される。入力された読取画像及びマスター画像は、網点階調算出部501及び情報取得部502に夫々入力される。
網点階調算出部501は、網点階調を算出する。網点階調とは、網点率に応じた階調値である。従って、網点階調算出部501は、解析対象であるマスター画像を解析して、画像中の位置毎に夫々網点率を求めると共に、読取画像を解析して画像中の位置毎に夫々階調値を求める。そして、マスター画像から求められた網点率と、対応する読取画像中の位置から求められた階調値とを関連付けて網点階調を求める。
情報取得部502は、本実施形態に係る特徴的な処理として擬似階調値の算出のための制御を行う。疑似階調値とは、有色画素に隣接する白画素の数に基づいて疑似的に網点率を表現する値である。そのため、情報取得部502は、入力されたマスター画像から所定範囲の画像を抽出して解析単位画像として隣接値算出部504に入力すると共に、その画像と位置合わせされた範囲を読み取り画像から抽出して濃度値算出部503に入力する。本実施形態に係る解析単位画像は、例えば縦横8画素、合計64画素の画像である。
濃度値算出部503は、入力された読取画像を構成する各画素の画素値を合計して階調値を算出する。この階調値は、入力された読取画像の濃度に関する値であり、他に輝度値、明度値等を用いることが出来る。
隣接値算出部504は本実施形態に係る特徴的な処理を行うモジュールの1つである。隣接値算出部504は、入力されたマスター画像のうち、色の乗らない無地の画素であって且つ有色の画素に隣接している画素の数について、有色画素の数に対する割合を隣接率として求める。
解析値取得部505は、濃度値算出部503及び隣接値算出部504から夫々算出結果を取得し、隣接率と階調値との組を1組のパラメータとして管理する。この1組のパラメータが解析値として用いられる。このパラメータが有する意味が、本実施形態に係る特徴の1つである。このパラメータが有する意味について、以下に説明する。
図10〜図12は、本実施形態に係る隣接率の意義を説明するための図であり、情報取得部502から隣接値算出部504に入力される所定範囲の画像の例を示す図である。図10〜図12においては、斜線を付した範囲が有色画素である。本実施形態に係る大元の目的は、網点階調を算出することによりプリントエンジン3の階調特性を判断することである。
網点階調の判断手法は、一様な網点率で形成されたことを前提とした画像の読取結果の濃度を判断する手法が一般的である。この場合、ある程度の広さに渡って一様な網点率を有するパッチを印刷出力して読み取る必要がある。従って、線によって描画された図形や文字等の線画主体の画像では、階調特性の判断が難しい。
これに対して、網点階調の階調特性は、無地画素と有色画素との境界において特に大きく影響する。従って、所定範囲の画像において無地画素と有色画素との境界に位置する画像の数と有色画素の数との割合を“隣接率”というパラメータとして、隣接率に応じた階調値を解析することにより擬似的な階調特性を判断することが本実施形態に係る要旨の1つである。
図10は、8×8の範囲に3つの有色画素が含まれる場合の例を示す図である。この場合、図中に破線で囲って示すように、有色画素に隣接する隣接画素の数は12画素である。従って、上述した隣接率は12/3=4で、「4」となる。
図11は、8×8の範囲に2×3で6つの有色画素が含まれる場合の例を示す図である。この場合、図中に破線で囲って示すように、有色画素に隣接する隣接画素の数は14画素である。従って、上述した隣接率は14/6≒2.33で、「2.33」となる。
図12は、8×8の範囲に3×3で9つの有色画素が含まれる場合の例を示す図である。この場合、図中に破線で囲って示すように、有色画素に隣接する隣接画素の数は16画素である。従って、上述した隣接率は16/9≒1.78で、「1.78」となる。このように、本実施形態に係る“隣接率”は、解析単位画像に含まれる画素のうち、有色画素に隣接する白画素の数に応じた値である。この値が、疑似階調値における網点率に対応した値として用いられる。
情報取得部502は、マスター画像の全範囲を解析単位画像として選択して上述した1組のパラメータの算出を繰り返し実行させる。その結果、“隣接率”が同一であるパラメータが複数算出される場合もあり得るが、同一の“隣接率”に関連付けられている階調値が同一になるとは限らない。
従って、解析値取得部505は、“隣接率”が同一であるパラメータに含まれる階調値を平均処理部506に入力して平均値を算出させる。これにより、複数の“隣接率”に対して夫々の階調値が関連付けられたパラメータが生成されることとなる。このようにして生成されたパラメータはページ単位管理部507に入力される。
ページ単位管理部507は、解析用の画像に基づいて生成されたページ単位のパラメータを相関関係解析部508に入力する。相関関係解析部508は、網点階調算出部501によって算出された網点率毎の階調値と、ページ単位の擬似階調値とを比較し、両者の相関関係を解析する。そのようにして解析された網点階調と擬似階調との相関関係は状態変化推定部509に入力され、状態変化推定部509によって保持される。
つまり、本実施形態に係る階調特性判定部500においては、解析用の画像に基づいて網点階調算出部501が、網点率に応じた階調値を算出すると共に、上述した擬似階調値のパラメータが生成される。そして、そのようにして算出された情報に基づき、網点階調値の経時変化と、疑似階調値の経時変化との相関関係が算出される。
上述した解析用の画像とは、少なくとも網点階調を解析可能な画像であり、そのため、同一の網点率で形成された所定範囲以上のパッチを含む画像である。そのような解析用の画像についての網点階調及び擬似階調の解析により、上述した相関関係を算出することが可能となる。
ページ単位管理部507は、上述したように相関関係が解析された後の通常動作においては、ページ単位のパラメータを状態変化推定部509に入力する。状態変化推定部509は、ページ単位管理部507から入力されるページ単位の擬似階調値のパラメータに基づき、上述した相関関係の情報に応じてプリントエンジン3の階調特性を推定してその結果を出力する。
次に、本実施形態に係る階調特性判定部500の動作について図13のフローチャートを参照して説明する。図13に示すように、まずは情報取得部502が、入力されたマスター画像について解析対象の8×8の枠を設定する(S1301)。設定された枠内のマスター画像の情報は、解析単位画像として隣接値算出部504に入力される。
隣接値算出部504は、入力された解析単位画像を構成する画素を1つ、対象画素として参照し(S1302)、その画素が白画素か否か判定する(S1303)。本実施形態に係るマスター画像は、RGB各色「0」〜「255」の値を有する256階調の画像である。S1303において隣接値算出部504は、このRGB各色の階調値に基づいて白画素か否かを判断する。
S1303の判断においては、例えばRGBすべてが「255」である、完全に白であることを示す画素か否かを判断しても良いし、白と判断する範囲に多少の範囲を持たせても良い。白と判断する範囲に多少の範囲を持たせる場合、例えばRGBすべての値に対して閾値を設定し、RGBすべての階調値が閾値を超えていれば白画素と判断する。
S1303の判断の結果、対象の画素が白画素であると判断した場合(S1303/YES)、隣接値算出部504は、次に対象画素に隣接する縦横斜め8画素を参照し、有色画素が存在するか否かを判断する(S1304)。有色画素の判断に際しては、白画素でなければ有色画素と判断しても良いし、ある程度の濃度を有する場合に有色画素と判断しても良い。
S1304の判断の結果、隣接画素が有色であった場合(S1304/YES)、隣接値算出部504は、選択中の画素が図10〜図12において説明した解析対象の画素であると判断し、有色の画素に隣接している画素の数aの値をインクリメントしてカウントする(S1305)。他方、隣接画素が有色ではなかった場合(S1304/NO)、隣接値算出部504はそのまま次の処理に進む。
他方、S1303において白画素ではないと判断した場合、隣接値算出部504は、有色画素数bの値をインクリメントする(S1306)。隣接値算出部504は、S1302〜S1306までの処理を、選択中の解析単位画像が終了するまで繰り返し実行する(S1307/NO)。そして、選択中の解析単位画像について処理を完了すると、a/bの値を算出する(S1308)。この値が隣接率であり、上述した擬似階調値のパラメータとして用いられる。換言すると、S1308において算出される値は、有色画素に隣接する白画素数の、有色画素に対する割合であり、隣接値として用いられる。
1つの解析単位画像についての計算の終了に伴い、情報取得部502は、選択中の解析単位画像に位置合わせされた位置の読取画像を濃度値算出部503に入力する。これにより、濃度値算出部503は、入力された読取画像に含まれる画素の階調値を合計した合計階調値を算出する(S1309)。このようにして生成された隣接率と合計階調値との組が、上述したパラメータとして用いられる。
情報取得部502は、入力された1ページ分のマスター画像の全範囲についてS1301からの処理が終了するまで処理を繰り返す(S1310/NO)。そして、1ページ分のマスター画像について処理が終了したら(S1310/YES)、処理を終了する。
図14は、このような動作により算出されたパラメータ値について、隣接率を横軸に、疑似階調値を縦軸にとったプロットと、網点階調算出部501によって算出された網点階調について、網点率を横軸に、階調値を縦軸にとったプロットとを比較する図である。図14に示すように、プリントエンジン3による印刷出力の枚数が1枚、100枚、1000枚と増えていくにつれて、網点階調の階調値も、疑似階調値も下降していく。図14においては、1枚におけるプロットを100枚、1000枚において小さな点で示している。
相関関係解析部508は、図15に示すように、印刷出力枚数に応じた擬似階調値の変化値ΔYa1、ΔYa2・・・を算出して平均値ΔYaを求める。また、網点階調の階調値の変化値ΔYb1、ΔYb2・・・を算出して平均値ΔYbを求める。そして、相関関係解析部508は、同一の印刷出力枚数の変化量において求められたΔYa、ΔYbを1組として、印刷出力の枚数に応じて複数のΔYa、ΔYbの組を求める。
そのようにして求められたΔYa、ΔYbの組を縦軸、横軸に夫々ΔYa、ΔYbをとった空間にプロットすると、図16に示すようなグラフが得られる。このようなプロットに対して近似式を得ることにより、ΔYaの変化に応じたΔYbの変化を推定することが可能となる。即ち、相関関係解析部508は、ΔYaの変化に対するΔYbの変化を求める近似式を、相関関係の情報として求める。このようにして得られた近似式が、状態変化推定部509によって保持される。
以降、階調特性判定部500においては、図13において説明した動作により、ページ単位の擬似階調のパラメータを生成する。そのようにして生成されたページ単位の擬似階調のパラメータは上述したΔYaとして状態変化推定部509に入力される。状態変化推定部509が、図16に示すようなプロットの近似式に基づき、入力されたΔYaに基づいてΔYbを求めることにより、プリントエンジン3の階調特性の変化を推定する。
以上説明したように、本実施形態に係る検査装置4は、マスター画像において有色画素に隣接している白画素の数に応じて定められた“隣接率”に応じた階調値を求める機能を有する。この隣接率に応じた階調値の変化は、装置の経時変化に伴う階調特性の変化において、網点階調の階調値の変化との相関関係が強い。従って、そのような相関関係を把握することにより、隣接率に応じた階調値の変化に基づいてプリントエンジン3の階調特性を判断することが可能である。
そして、網点階調の階調値を求める場合には、所定の広さ以上にわたって同一の網点率で形成されたパッチの読み取り結果が必要であるが、この隣接率に応じた階調値であれば、そのような制約がなく、線画主体の画像からでも求めることが可能である。従って、本実施形態に係る方法を用いることにより、線画主体の画像からであっても、プリントエンジン3の階調特性を求めることが可能である。
尚、上記実施形態においては、図14等に示す擬似階調に対する横軸の値として、有色画素に隣接する白画素の数を有色画素数で割った値を用いる場合を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、この横軸の値の趣旨は、同一の網点率で形成された所定の広さ以上の画像領域がないために網点率を求めることが困難な場合において、網点率の代わりに用いられる値である。
そして、同一の網点率における階調特性の変化は、有色画素に隣接する白画素の濃度による影響が最も大きいという趣旨に基づき、本実施形態においては有色画素に隣接する白画素の数を主として用いている。従って、最終的な横軸の値は、有色画素に隣接する白画素の数を有色画素の数で割った値に限らず、有色画素に隣接する白画素の数に応じた値であれば他の態様であっても適用可能である。
但し、解析単位画像に含まれる画素の階調値の合計値は、元の画像における有色画素の数が多い程大きくなる。従って、上述した態様とは異なる態様で図14の横軸に対応する値を求める場合であっても、有色画素の数を考慮することにより、好適な解析を行うことが可能となる。
また、上記実施形態においては、読取画像とマスター画像とを比較することにより画像が意図した通り形成されているか否かを判断する検査装置4において階調特性判定部500が設けられている場合を例として説明した。これは、上述したようにマスター画像及び読取画像を用いるという点で効率的な構成であるが必須ではなく、階調特性判定部500の機能を有する画像処理装置を検査装置4とは別個に設けても良い。その場合であっても、マスター画像及び読取画像が入力されることにより、上記と同様の機能を実現可能である。
また、上記実施形態において濃度値算出部は、解析単位画像に含まれる画素の階調値を全て合計して擬似階調値を算出する態様を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、解析単位画像に対して位置合わせされた領域における読取画像の濃度に関連する値を得られるのであれば、他の態様であっても良い。