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JP6594841B2 - 軌道支持剛性推定方法及びシステム - Google Patents
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JP6594841B2 - 軌道支持剛性推定方法及びシステム - Google Patents

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Description

本開示は、軌道支持剛性推定方法及びシステムに関するものである。
従来、鉄道の線路、すなわち、軌道としては、路床の上の路盤上に、砕石等から成るバラストを敷き、該バラストの上部にまくらぎを並べ、該まくらぎの上にレールを敷設する構造を備えるバラスト軌道が広く使用されている。レール上を走行する列車の荷重は、レール及びまくらぎからバラストに伝達され、該バラストによって分散された後、路盤に伝達されるので、列車の走行によって発生する振動が適切に吸収される。
しかし、列車の繰返し荷重を受けて、まくらぎを支持するバラストが局所的に沈下すると、いわゆる「浮きまくらぎ」の状態になってしまうことがある。「浮きまくらぎ」の状態になると、軌道支持剛性が低下し、列車の乗り心地が悪くなり、また、列車が動揺して安全運行の妨げになる。
そこで、軌道の補修作業として、随時又は定期的に、まくらぎの下にバラストをつき入れる作業であるつき固め補修が行われている。そして、施工管理の一環として、つき固め補修が適切に行われたか否かを判定するために、つき固め補修が行われた直後に、落下させた重錘の衝撃をまくらぎに付与して、軌道支持剛性を測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2014−234693号公報
しかしながら、前記従来の技術では、列車が通過する際の軌道支持剛性を測定することができなかった。これは、列車が通過する際にまくらぎに付与される荷重は、落下させた重錘によってまくらぎに付与される荷重よりも、はるかに大きいからである。そのため、軌道の状況を適切に把握することができなかった。
ここでは、前記従来の技術の問題点を解決して、列車荷重より小さな試験荷重をレールに載荷することによって載荷点の載荷荷重及びレールの変位を測定し、測定結果と推定式とに基づいて列車荷重が載荷されたときのレールの変位を推定することにより、列車通過時の軌道支持剛性を容易に、確実に推定することができる軌道支持剛性推定方法及びシステムを提供することを目的とする。
そのために、軌道支持剛性推定方法においては、バラスト道床上に配設されたまくらぎの上に敷設されたレールに、列車荷重より小さな試験荷重を載荷し、載荷点の載荷荷重及びレールの変位を測定する工程と、載荷荷重とレールの変位との関係を示す曲線を表す推定式を用意する工程と、前記載荷点の載荷荷重及びレールの変位の測定値と前記推定式とに基づき、前記載荷点に列車荷重が載荷されたときのレールの変位を推定する工程と、推定されたレールの変位で列車荷重を除して前記載荷点の軌道支持剛性を算出する工程と、を含み、前記推定式は、前記まくらぎの支持状態が異なる条件で載荷荷重を列車荷重近傍の範囲にまで変化させて測定された載荷荷重とレールの変位との関係を、前記まくらぎの支持状態毎にそれぞれ示す、複数の曲線を表す式であり、前記曲線の傾きは、載荷荷重が試験荷重近傍の範囲では前記まくらぎの支持状態に応じて変化し、載荷荷重が列車荷重近傍の範囲では前記まくらぎの支持状態に係わらずほぼ一定である。
他の軌道支持剛性推定方法においては、さらに、前記推定する工程においては、前記載荷点の載荷荷重及びレールの変位の測定値に基づいて前記推定式の係数の値を算出し、算出された値の係数を有する推定式に基づいて、前記載荷点に列車荷重がレールに載荷されたときのレールの変位を推定する。
更に他の軌道支持剛性推定方法においては、さらに、前記曲線の傾きは、載荷荷重が試験荷重近傍の範囲では、前記まくらぎの支持状態が良好でなくなると、小さくなる。
軌道支持剛性推定システムにおいては、バラスト道床上に配設されたまくらぎの上に敷設されたレールに、列車荷重より小さな試験荷重を載荷し、載荷点の載荷荷重及びレールの変位を測定する剛性測定装置と、該剛性測定装置が測定した前記載荷点の載荷荷重及びレールの変位の測定値と、載荷荷重とレールの変位との関係を示す曲線を表す推定式とに基づき、前記列車荷重がレールに載荷されたときのレールの変位を推定し、推定されたレールの変位で前記列車荷重を除して軌道支持剛性を算出する剛性推定装置とを備え、前記推定式は、前記まくらぎの支持状態が異なる条件で載荷荷重を列車荷重近傍の範囲にまで変化させて測定された載荷荷重とレールの変位との関係を、前記まくらぎの支持状態毎にそれぞれ示す、複数の曲線を表す式であり、前記曲線の傾きは、載荷荷重が試験荷重近傍の範囲では前記まくらぎの支持状態に応じて変化し、載荷荷重が列車荷重近傍の範囲では前記まくらぎの支持状態に係わらずほぼ一定である。

他の軌道支持剛性推定システムにおいては、さらに、前記剛性推定装置は、算出された軌道支持剛性を表示可能な表示画面を備える。
更に他の軌道支持剛性推定システムにおいては、さらに、前記剛性測定装置は、手動で持ち運び可能な装置である。
更に他の軌道支持剛性推定システムにおいては、さらに、前記剛性測定装置は、軽便トロに取り付けられている。
本開示によれば、列車荷重より小さな試験荷重をレールに載荷することによって載荷点の載荷荷重及びレールの変位を測定し、測定結果と推定式とに基づいて列車荷重が載荷されたときのレールの変位を推定することにより、列車通過時の軌道支持剛性を容易に、確実に推定することができる。
第1の実施の形態における軌道支持剛性推定システムを示す模式図である。 第1の実施の形態におけるバラスト軌道を示す概念図である。 第1の実施の形態におけるマルチプルタイタンパを示す概念図である。 第1の実施の形態における軌道の受ける載荷荷重とレールの変位との関係の概略を説明する図である。 第1の実施の形態における軌道の受ける載荷荷重とレールの変位との関係の実測値を示す図である。 第1の実施の形態における軌道の受ける載荷荷重とレールの変位との関係の推定式の特性を示す図である。 第1の実施の形態における軌道の受ける載荷荷重とレールの変位との関係の推定結果を示す図である。 第1の実施の形態における軌道支持剛性の推定値と位置との関係を示す図である。 第1の実施の形態における軌道支持剛性推定システムの動作の概略を示すフローチャートである。 第2の実施の形態における軌道支持剛性推定システムを示す模式図である。
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は第1の実施の形態における軌道支持剛性推定システムを示す模式図、図2は第1の実施の形態におけるバラスト軌道を示す概念図、図3は第1の実施の形態におけるマルチプルタイタンパを示す概念図である。なお、図3において、(a)は全体図、(b)は要部拡大図である。
図において、10は、本実施の形態における軌道支持剛性推定システムであって、軌道31における軌道支持剛性を推定するためのシステムである。前記軌道支持剛性推定システム10は、剛性測定装置11と、剛性推定装置21とを備える。
なお、本実施の形態において、軌道支持剛性推定システム10、軌道31及びその他の装置の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記軌道支持剛性推定システム10、軌道31及びその他の装置の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
前記軌道31は、いわゆるバラスト軌道であって、図2に示されるように、路床上に形成された路盤32と、該路盤32上に敷かれた砕石等のバラストから成るバラスト道床33と、該バラスト道床33上に並べて配設された複数のまくらぎ34と、該まくらぎ34の上に敷設された2本のレール35とを有する。
なお、前記「背景技術」の項でも説明したように、軌道31の補修作業として、まくらぎ34の下にバラストをつき入れる作業であるつき固め補修が行われる。該つき固め補修は、例えば、図3(a)に示されるようなマルチプルタイタンパ41によって行われる。該マルチプルタイタンパ41は、鉄道の保線用機械の1種であり、レール35上を自走することができる。また、前記マルチプルタイタンパ41は、図3(b)に示されるように、タイタンパツール42を備える。該タイタンパツール42は、その下端がバラストに突き刺さった状態で、まくらぎ34の下にバラストをつき入れて該バラストをつき固める装置である。なお、つき固め補修は、必ずしも、マルチプルタイタンパ41によって行われる必要はなく、例えば、手作業のような他の手段によって行われてもよい。
図1に示されるように、前記剛性測定装置11は、測定部12と、該測定部12から上方に向けて延在する直線状の部材であるガイド部13と、該ガイド部13に沿って上下にスライド可能な重錘14とを備える。前記ガイド部13には図示されない目盛り等の目印が印字されていることが望ましい。そして、前記重錘14は、目印に対応して、所定の高さの上方位置14bにまで上昇させられ、図示されない係止部材によって前記上方位置14bで係止される。なお、該上方位置14bは、適宜設定することができる。また、前記測定部12は、特許文献1に記載されている剛性測定装置7の荷重計20と同様に、オペレータが手動で持ち運び可能な装置であり、その下端に位置する測定面の受ける荷重、測定面の変位等を測定して出力することが可能であるものとする。
そして、軌道31の支持剛性を測定する場合、オペレータは、手動によって剛性測定装置11をレール35上の所定位置、すなわち、載荷点に載置する。この場合、レール35の表面に測定部12の下端が当接するように、剛性測定装置11は載置される。また、重錘14は、前記係止部材によって上方位置14bで係止されているものとする。
この状態で前記係止部材による重錘14の係止を解除すると、該重錘14は、矢印で示されるように、上方位置14bから自由落下して、ガイド部13に沿って下方位置14aにまでスライドし、測定部12の上端に衝突する。この衝突によって発生する衝撃により測定部12の測定面が受ける荷重、すなわち、軌道31が受ける載荷荷重、及び、測定部12の測定面の変位、すなわち、レール35の下方への変位は、測定部12によって測定されて出力される。なお、前記剛性測定装置11は、オペレータが手動で持ち運び可能な装置であるから、その発生可能な載荷荷重は、例えば、10〔kN〕程度であって、一般に、輪重80〔kN〕程度と言われる列車通過時にレール35及び軌道31が受ける列車荷重より、小さくなっている。
また、前記剛性測定装置11は、必ずしも、図1に示されるような構成を備える装置である必要はなく、衝突によって発生する衝撃、及び、レール35の下方への変位を測定部12によって測定して出力することができる装置であれば、いかなる構成の装置であってもよい。つまり、前記剛性測定装置11は、バラスト道床33上に配設されたまくらぎ34の上に敷設されたレール35に、列車荷重より小さな試験荷重を載荷し、載荷点の載荷荷重及びレール35の変位を測定することができる装置であれば、いかなる構成の装置であってもよい。
そして、前記剛性推定装置21は、剛性測定装置11の測定部12と通信可能に接続されている。前記剛性推定装置21は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、スマートホン等であるが、CPU等の演算装置、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶装置、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ等の表示画面を備える表示装置、キーボード、タッチパネル等の入力装置、有線又は無線の通信装置等を備え、測定部12と通信することができ、測定部12の測定結果を演算処理することができ、測定結果又は演算処理結果を記憶、表示及び/又は、プリンタ等の外部装置に出力することができる装置であれば、いかなる装置であってもよい。つまり、前記剛性推定装置21は、剛性測定装置11が測定した載荷点の載荷荷重及びレール35の変位の測定値と、載荷荷重とレール35の変位との関係を示す後述される曲線を表す推定式とに基づき、列車荷重がレール35に載荷されたときのレール35の変位を推定し、推定されたレール35の変位で列車荷重を除して軌道支持剛性を算出することができる装置であれば、いかなる装置であってもよい。
ここでは、説明の都合上、剛性推定装置21が、入力可能な表示画面22を備えるタブレット端末及びタブレットコンピュータであって、測定結果又は演算処理結果を表示画面22に表示するものとして、説明する。この場合、剛性推定装置21は、算出された軌道支持剛性を表示画面22に表示することができる。また、前記剛性推定装置21は、剛性測定装置11と通信可能に接続されていればよく、該剛性測定装置11と物理的に連結されていても、いなくてもよい。
次に、前記構成の軌道支持剛性推定システム10の動作について説明する。まず、載荷点の軌道31が受ける載荷荷重とレール35の下方への変位との関係ついて説明する。
図4は第1の実施の形態における軌道の受ける載荷荷重とレールの変位との関係の概略を説明する図、図5は第1の実施の形態における軌道の受ける載荷荷重とレールの変位との関係の実測値を示す図である。
前述のように、軌道支持剛性推定システム10の剛性測定装置11が発生可能な載荷荷重は列車荷重より小さいが、載荷点の軌道31が受ける載荷荷重とレール35の下方への変位とは、図4に示される曲線のように変化すると考えられるので、載荷荷重とレール35の変位との関係を示す前記曲線を表す後述される推定式と、剛性測定装置11の測定値とに基づいて、載荷点に列車荷重が載荷されたときのレール35の変位を推定することができる。そして、推定されたレール35の変位で列車荷重を除して載荷点における列車通過時の軌道支持剛性を算出することができる。
まくらぎ34の支持状態が良好な場合、図4における曲線Aで示されるように、載荷荷重とレール35の変位との関係は、ほぼ直線的である。すなわち、載荷荷重の増加に伴いレール35の変位はほぼ直線的に増加する。したがって、曲線Aは、ほぼ直線であり、かつ、その傾きは、載荷荷重の小さい範囲(剛性測定装置11が発生可能な載荷荷重の範囲)でも、大きい範囲(載荷荷重の値が列車荷重に近い範囲)でも、ほぼ一定である。載荷荷重の全範囲に亘り、軌道31がレール35を支持する剛性、すなわち、軌道支持剛性がほぼ一定である。
一方、まくらぎ34を支持するバラストが局所的に沈下したいわゆる「浮きまくらぎ」のような状態、すなわち、まくらぎ34の支持状態が良好でない場合、載荷荷重とレール35の変位との関係は、図4における曲線Bで示されるようになる。具体的には、載荷荷重の小さい範囲では、曲線Aよりも、傾きが小さく軌道支持剛性が低いが、載荷荷重の大きい範囲では、曲線Aと同程度に、傾きが大きく軌道支持剛性が高い。これは、浮きまくらぎが生じている場合、バラストとまくらぎ間に隙間が存在するので、載荷荷重が小さくても、このような隙間がつぶれるために、レール35が大きく変位するが、レール35がある程度にまで変位すると、このような隙間が消滅するので、支持状態が良好であるのと同様な状態となり、レール35を変位させるために大きな載荷荷重が必要となる、すなわち、軌道支持剛性が高くなるからである、と考えられる。
換言すると、図4に示されるような載荷荷重とレール35の変位との関係を示す曲線の傾きは、載荷荷重が試験荷重近傍の範囲ではまくらぎ34の支持状態に応じて変化し、載荷荷重が列車荷重近傍の範囲ではまくらぎ34の支持状態に係わらずほぼ一定である、と言える。
そこで、まくらぎ34の支持状態が異なる条件で載荷荷重とレール35の変位との関係を、載荷荷重の値が列車荷重に近い範囲にまで亘って事前に実測しておけば、実測値に基づいて、載荷荷重とレール35の変位との関係を、まくらぎ34の支持状態毎にそれぞれ示す、複数の曲線、すなわち、図4における曲線A及びBのような曲線を、より多く、かつ、正確に求めることができる。さらに、後述されるように、かかる正確な複数の曲線を表す推定式を求めておけば、かかる推定式と剛性測定装置11の測定値とに基づいて、載荷点に列車荷重が載荷されたときのレール35の変位を推定することができる。そして、推定されたレール35の変位で列車荷重を除して載荷点における列車通過時の軌道支持剛性を算出することができる。
なお、列車荷重に近い載荷荷重を付与してレール35の変位を測定するためには、より大型の衝撃載荷試験装置を使用する必要がある。ここでは、2基の載荷ユニットにより、2本のレールに同時に載荷することができる軌道支持剛性試験装置(例えば、非特許文献1参照。)を使用して行った実測の結果について説明する。
http://www.rtri.or.jp/rd/division/rd45/rd4520/rd45200207.html
この実測は、14、40、80、120及び160〔kN〕の載荷荷重(軸重、左右レール合計値)で行われた。また、載荷の対象は、まくらぎ7本分の延長のバラスト軌道(道床厚さ:200〔mm〕)である。列車相当の荷重の繰り返し載荷が行われ、その前後及び途中で、載荷試験が行われ、実測値が記録された。図5には、記録された実測値に基づいて作成された複数の曲線であって、まくらぎの支持状態が異なる条件で載荷荷重を列車荷重近傍の範囲にまで変化させて測定された載荷荷重とレールの変位との関係を、まくらぎの支持状態毎にそれぞれ示す、複数の曲線が記載されている。
図5において、曲線Cは、バラストのつき固め補修が行われた直後に実測された載荷荷重とレールの変位との関係を示し、曲線Dは、バラストのつき固め補修が行われた後、列車相当の荷重の繰り返し載荷を1万回行った後に実測された載荷荷重とレールの変位との関係を示し、曲線Eは、バラストのつき固め補修が行われた後、列車相当の荷重の繰り返し載荷を30万回行った後に実測された載荷荷重とレールの変位との関係を示している。列車相当の荷重の繰り返し載荷が行われる程、まくらぎの支持状態が良好でなくなっていき、載荷荷重の小さい範囲での傾きが小さくなっていくことが分かる。
本実施の形態においては、前記実測の結果である載荷荷重とレールの変位との関係は、剛性推定装置21の記憶装置に記憶され、格納されているものとする。
次に、軌道支持剛性推定システム10を使用して軌道支持剛性を推定する方法について詳細に説明する。
図6は第1の実施の形態における軌道の受ける載荷荷重とレールの変位との関係の推定式の特性を示す図、図7は第1の実施の形態における軌道の受ける載荷荷重とレールの変位との関係の推定結果を示す図、図8は第1の実施の形態における軌道支持剛性の推定値と位置との関係を示す図、図9は第1の実施の形態における軌道支持剛性推定システムの動作の概略を示すフローチャートである。
ここでは、図9に示されるフローチャートの各ステップに沿って、軌道支持剛性を推定する方法について説明する。
まず、ステップS1で、軌道支持剛性推定システム10は、列車荷重より載荷荷重が小さい衝撃載荷試験を行い、載荷点の荷重及び変位を測定する。具体的には、オペレータは、図1に示されるような軌道支持剛性推定システム10を使用し、任意のレール区間における任意の地点、すなわち、載荷点のレール35上に測定部12を載置し、重錘14を上方位置14bに係止させた後、剛性測定装置11の係止部材を作動させて重錘14の係止を解除させる。これにより、前記剛性測定装置11は、衝撃載荷試験を行い、当該載荷点の軌道31が受ける載荷荷重及びレール35の下方への変位を測定する。前記軌道31が受ける載荷荷重及びレール35の下方への変位は測定部12によって測定される。換言すると、剛性測定装置11は、バラスト道床33上に配設されたまくらぎ34の上に敷設されたレール35に、列車荷重より小さな試験荷重を載荷し、載荷点の載荷荷重及びレール35の変位を測定する。
次に、ステップS2で、軌道支持剛性推定システム10は、得られた荷重及び変位から、列車荷重時の変位を推定する。具体的には、載荷点の軌道31が受ける載荷荷重及びレール35の下方への変位の測定値を測定部12が出力すると、剛性推定装置21は、前記測定部12が出力した測定値を受信し、該測定値に基づいて、列車通過時に受ける列車荷重によるレール35の下方への変位の推定を行う。換言すると、剛性推定装置21は、剛性測定装置11が測定した載荷点の載荷荷重及びレール35の変位の測定値と、載荷荷重とレール35の変位との関係を示す曲線を表す推定式とに基づき、列車荷重がレール35に載荷されたときのレール35の変位を推定する。なお、測定部12から受信した載荷点の軌道31が受ける載荷荷重及びレール35の下方への変位の測定値は、剛性推定装置21の記憶装置に記憶され、格納される。
列車荷重がレール35に載荷されたときのレール35の変位の推定は、図5に示されるような載荷点の軌道31が受ける載荷荷重とレール35の変位との関係を示す曲線を表す推定式である、次の式(1)に従って行われる。
x=f(y、a、b) ・・・式(1)
ここで、x:変位〔mm〕、y:荷重〔kN〕、a及びb:係数である。なお、(x、y)=(0、0)を満足するものとする。
前記式(1)は、まくらぎ34の支持状態が異なる条件で載荷荷重を列車荷重近傍の範囲にまで変化させて測定された載荷荷重とレール35の変位との関係を、まくらぎ34の支持状態毎にそれぞれ示す、図5に示されるような複数の曲線を表す推定式である。そして、剛性測定装置11が測定した載荷点の載荷荷重及びレール35の変位の測定値に基づいて推定式である式(1)の係数a及びbの値が算出される。
例えば、前記式(1)は、次の式(1−1)のようになり、図6に示される曲線F〜Iのように表される。また、係数a及びbも、図6に示されるようになる。
x=f(y、a、b)=a・y/(b+0.25・y) ・・・式(1−1)
図6において、曲線Fはa=1、b=45の場合、曲線Gはa=1.21、b=15の場合、曲線Hはa=1.49、b=10の場合、曲線Iはa=2.38、b=5の場合である。曲線F〜Iのいずれも、載荷荷重が大きい範囲(載荷荷重の値が列車荷重、すなわち、160〔kN〕に近い範囲)では、傾きがほぼ一定であることが分かる。
なお、係数a及びbは、次の仮定(1)及び(2)に基づいて算定される。
仮定(1):式(1)は衝撃載荷試験で得られた最大荷重及び該最大荷重時の変位を満足し、次の式(2)が成立する。
(x、y)=(d、P0)、すなわち、d=f(P0、a、b) ・・・式(2)
ここで、dは:衝撃載荷試験で得られた最大荷重時の変位〔mm〕、P0:衝撃載荷試験で得られた最大荷重〔kN〕である。
仮定(2):列車荷重の付近では式(1)の傾きは一定となり、次の式(3)が成立する。
m=c、すなわち、
{P1−P2}/{f(P1、a、b)−f(P2、a、b)}=c ・・・式(3)
ここで、m:列車荷重の付近での荷重と変位との関係を示す曲線乃至直線の傾き〔kN/mm〕、c:定数〔kN/mm〕、P1:列車の軸重〔kN〕、P2:(P1−20)〔kN〕である。
そして、前記式(2)及び(3)を連立方程式とし、該連立方程式を解くことにより、係数a及びbの値を算出することができる。
例えば、図5に示される実測値のグラフにおける載荷荷重が小さい範囲(剛性測定装置11が発生可能な載荷荷重、すなわち、40〔kN〕に近い範囲)で変位と推定式である前記式(1)とを用いて、列車荷重、すなわち、160〔kN〕付近の変位を推定した例が、図7に示されている。図7を観ると、推定式によって表される曲線は、実測された載荷荷重とレール35の変位との関係を示す曲線に近似していることが分かる。
前記変位x及び荷重yの値は、(x、y)=(0.9、36.4)、(1.2、40.7)、(1.6、36.5)であり、c=150、P1=160である。また、係数a及びbの同定結果は、(a、b)=(0.99、31)、(1.03、27)、(1.11、19)である。
さらに、y=P1、算出された係数a及びbの値、並びに、前記式(1)により、列車通過時の変位x、すなわち、載荷点に列車荷重が載荷されたときのレール35の変位を推定することができる。
最後に、ステップS3で、軌道支持剛性推定システム10は、軸重又は輪重を推定した変位で除して、軌道支持剛性を算出し、処理を終了する。具体的には、剛性推定装置21は、列車の軸重としての列車荷重の値を、ステップS2で推定した列車通過時に受ける列車荷重によるレール35の変位xの値で除算することにより、列車通過時の軌道支持剛性の推定値を算出する。換言すると、剛性推定装置21は、推定されたレール35の変位で列車荷重を除して載荷点の軌道支持剛性を算出する。
そして、剛性推定装置21は、算出した列車通過時の軌道支持剛性の推定値を、例えば、表示画面22に表示することによって、出力する。すると、オペレータは、表示画面22に表示された前記推定値に基づき、レール35上に測定部12を載置して衝撃載荷試験を行った地点である現在の載荷点における列車通過時の軌道支持剛性が十分に高いか否か、すなわち、まくらぎ34の支持状態が良好であるか否かを判断することができる。さらに、オペレータは、現在の載荷点において、バラストのつき固め補修を行うべきタイミングを判断することもできる。なお、前記剛性推定装置21は、前記推定値を記憶装置に記憶し、格納しておくことができる。
また、軌道31上を移動しつつ、所定の距離毎に設定された複数の載荷点において、ステップS1〜S3の動作を繰り替えし実行して軌道支持剛性を推定することにより、図8に示されるような軌道31上の位置と列車通過時の軌道支持剛性の推定値との関係を得るこができる。なお、前記剛性推定装置21は、前記複数の載荷点における推定値を編集して、図8に示されるようなグラフを表示画面22に表示させることもできる。これにより、オペレータは、軌道31上のどの箇所において、まくらぎ34の支持状態が良好でなくなっているのかを、容易に把握することができる。
このように、本実施の形態において、軌道支持剛性推定方法は、バラスト道床33上に配設されたまくらぎ34の上に敷設されたレール35に、列車荷重より小さな試験荷重を載荷し、載荷点の載荷荷重及びレール35の変位を測定する工程と、載荷荷重とレール35の変位との関係を示す曲線を表す推定式を用意する工程と、載荷点の載荷荷重及びレール35の変位の測定値と推定式とに基づき、載荷点に列車荷重が載荷されたときのレール35の変位を推定する工程と、推定されたレール35の変位で列車荷重を除して載荷点の軌道支持剛性を算出する工程と、を含んでいる。そして、曲線の傾きは、載荷荷重が試験荷重近傍の範囲ではまくらぎ34の支持状態に応じて変化し、載荷荷重が列車荷重近傍の範囲ではまくらぎ34の支持状態に係わらずほぼ一定である。これにより、列車荷重より小さな試験荷重をレールに載荷して載荷点の載荷荷重及びレール35の変位を測定するだけで、列車通過時の軌道支持剛性を容易に、確実に推定することができる。したがって、簡便に、短時間で列車通過時の軌道支持剛性を正確に推定することができる。
また、推定する工程においては、載荷点の載荷荷重及びレール35の変位の測定値に基づいて推定式の係数の値を算出し、算出された値の係数を有する推定式に基づいて、載荷点に列車荷重がレール35に載荷されたときのレール35の変位を推定する。さらに、推定式は、まくらぎ34の支持状態が異なる条件で載荷荷重を列車荷重近傍の範囲にまで変化させて測定された載荷荷重とレール35の変位との関係を、まくらぎ34の支持状態毎にそれぞれ示す、複数の曲線を表す式である。さらに、曲線の傾きは、載荷荷重が試験荷重近傍の範囲では、まくらぎ34の支持状態が良好でなくなると、小さくなる。
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図10は第2の実施の形態における軌道支持剛性推定システムを示す模式図である。
本実施の形態において、軌道支持剛性推定システム10は、人力で運搬可能なトロリーの一種である軽便トロ27に搭載されている。該軽便トロ27は、本体28と、該本体28の下部に回転可能に取り付けられた複数の車輪29とを含み、レール35上を走行可能な車両であり、オペレータが押したり引いたりすることにより、走行することができる。
そして、前記本体28の側部には剛性測定装置11が取り付けられ、また、前記本体28の任意の箇所に剛性推定装置21が載置されている。該剛性推定装置21は、剛性測定装置11の測定部12と通信可能に接続されている。図に示される例においては、1対の剛性測定装置11のそれぞれが本体28の左右の側部に取り付けられているが、1つの剛性測定装置11のみが本体28の片方の側部に取り付けられていてもよい。
なお、剛性測定装置11及び剛性推定装置21の構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
このように、本実施の形態における軌道支持剛性推定システム10は、軽便トロ27に搭載され、剛性測定装置11は、軽便トロに取り付けられているので、軌道31上を容易に移動させることができる。したがって、軌道31上の複数の箇所において、容易に、短時間で軌道支持剛性を推定することができる。
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
本発明は、軌道支持剛性推定方法及びシステムに適用することができる。
10 軌道支持剛性推定システム
11 剛性測定装置
21 剛性推定装置
22 表示画面
27 軽便トロ
33 バラスト道床
35 レール

Claims (7)

  1. バラスト道床上に配設されたまくらぎの上に敷設されたレールに、列車荷重より小さな試験荷重を載荷し、載荷点の載荷荷重及びレールの変位を測定する工程と、
    載荷荷重とレールの変位との関係を示す曲線を表す推定式を用意する工程と、
    前記載荷点の載荷荷重及びレールの変位の測定値と前記推定式とに基づき、前記載荷点に列車荷重が載荷されたときのレールの変位を推定する工程と、
    推定されたレールの変位で列車荷重を除して前記載荷点の軌道支持剛性を算出する工程と、
    を含み、
    前記推定式は、前記まくらぎの支持状態が異なる条件で載荷荷重を列車荷重近傍の範囲にまで変化させて測定された載荷荷重とレールの変位との関係を、前記まくらぎの支持状態毎にそれぞれ示す、複数の曲線を表す式であり、
    前記曲線の傾きは、載荷荷重が試験荷重近傍の範囲では前記まくらぎの支持状態に応じて変化し、載荷荷重が列車荷重近傍の範囲では前記まくらぎの支持状態に係わらずほぼ一定であることを特徴とする軌道支持剛性推定方法。
  2. 前記推定する工程においては、前記載荷点の載荷荷重及びレールの変位の測定値に基づいて前記推定式の係数の値を算出し、算出された値の係数を有する推定式に基づいて、前記載荷点に列車荷重がレールに載荷されたときのレールの変位を推定する請求項1に記載の軌道支持剛性推定方法。
  3. 前記曲線の傾きは、載荷荷重が試験荷重近傍の範囲では、前記まくらぎの支持状態が良好でなくなると、小さくなる請求項に記載の軌道支持剛性推定方法。
  4. バラスト道床上に配設されたまくらぎの上に敷設されたレールに、列車荷重より小さな試験荷重を載荷し、載荷点の載荷荷重及びレールの変位を測定する剛性測定装置と、
    該剛性測定装置が測定した前記載荷点の載荷荷重及びレールの変位の測定値と、載荷荷重とレールの変位との関係を示す曲線を表す推定式とに基づき、前記列車荷重がレールに載荷されたときのレールの変位を推定し、推定されたレールの変位で前記列車荷重を除して軌道支持剛性を算出する剛性推定装置とを備え、
    前記推定式は、前記まくらぎの支持状態が異なる条件で載荷荷重を列車荷重近傍の範囲にまで変化させて測定された載荷荷重とレールの変位との関係を、前記まくらぎの支持状態毎にそれぞれ示す、複数の曲線を表す式であり、
    前記曲線の傾きは、載荷荷重が試験荷重近傍の範囲では前記まくらぎの支持状態に応じて変化し、載荷荷重が列車荷重近傍の範囲では前記まくらぎの支持状態に係わらずほぼ一定であることを特徴とする軌道支持剛性推定システム。
  5. 前記剛性推定装置は、算出された軌道支持剛性を表示可能な表示画面を備える請求項に記載の軌道支持剛性推定システム。
  6. 前記剛性測定装置は、手動で持ち運び可能な装置である請求項又はに記載の軌道支持剛性推定システム。
  7. 前記剛性測定装置は、軽便トロに取り付けられている請求項又はに記載の軌道支持剛性推定システム。
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