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JP6604800B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description

本発明は、尿や経血などを吸収するための失禁パッド、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品に係り、詳しくは吸液時に吸収体表面の一部が隆起して表面に畝部と溝部が形成されるようにした吸収性物品に関する。
従来より、前記吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性裏面シートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に吸収体を介在したものが知られている。
この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ねられ、特に失禁パッドなどのように一度にドッと出る尿を小さな面積で受け止め、素早く拡散させるための、一時貯留及び尿拡散手段の一つとして、肌側に長手方向に沿って凹溝を形成したものが種々提案されている。
しかしながら、腹圧性失禁の人の場合、1回に出る尿量が少なく、排尿部やその周辺しか吸水しないため、これより前後の吸水していない領域がもったいないなどの理由から、長時間交換せずに繰り返し吸収させることがあった。この際に少量ずつ同じ部分に吸収させることで、製品中央部分のみの高吸水性樹脂が膨潤して装着感が悪くなる問題があった。
また、下記特許文献1においては、着用者の股間部に対向する位置に開口が形成された繊維集合層を有する上側吸収層と、前記上側吸収層とバックシートとの間に配置されて前記開口の下側を覆う吸収シートとを備え、前記吸収シートが2枚のシートと高吸収性材料とを備え、高吸収性材料の密度が周囲に比べて低いまたは高吸収性材料が存在しない低密度領域が、前記開口に重なる位置から長手方向に沿って線状または網目状に連続して広がる吸収性物品が開示されている。
下記特許文献2においては、長手方向中央に位置する第1吸収部と、前後に延出する第2吸収部及び第3吸収部とに区分され、第2吸収部のポリマーの坪量が第3吸収部よりも高く、第1吸収部に第1凹部が形成され、その端部が吸収体側縁に達しておらず、かつその延びる方向が、吸収体の長手方向を向いており、第2吸収部の表面に、第1凹部から連続しかつ吸収体の長手方向に延在する第2凹部が形成されている吸収性物品が開示されている。
更に、下記特許文献3においては、吸収ユニットとして、不織布基材と、この不織布基材の表面に帯状に延びる複数の高吸収層により形成された吸収ゾーンと、この高吸収層の存在しない通気ゾーンとを有する失禁用吸収パッドが開示されている。
特開2011−120710号公報 特開2014−14667号公報 特開2001−190581号公報
上記特許文献1に記載される吸収性物品では、上側吸収層の着用者の股間部に対向する位置に大きな開孔が設けられ、吸収性物品の表面が身体に密着しないため、ごく少量の尿が排出された場合、肌を伝って漏れが発生する問題があった。また、上記特許文献2に記載される吸収性物品では、前記第1凹部の別の形態として貫通孔を形成したものが開示されるものの、排尿部との当接部分はほぼ平坦に形成されるので、吸収性物品の表面が常時排尿部に密着して濡れ感を感じる場合があった。また、上記特許文献3に記載される失禁用吸収パッドでは、前記吸収ユニットが高吸水性樹脂によって構成され、パルプを有していないため、初期吸水速度が遅く前後に流れすぎて漏れるおそれがあった。また、1回目に吸収される、高吸水性樹脂が膨潤して畝溝構造が形成される前段階では、横方向に広がりやすく横漏れを生じるおそれがあった。
そこで本発明の主たる課題は、少量ずつ同じ部分に繰り返し排出される場合でも、装着感を悪化させることなく、高い吸収性能が得られるようにした吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間にパルプ及び高吸水性樹脂を主成分とする吸収体が介在された吸収性物品において、
前記吸収体は、少なくとも体液排出部を含む領域に、前記高吸水性樹脂が配置された高吸水性樹脂配置領域と、前記高吸水性樹脂が配置されていない高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂配置領域よりも前記高吸水性樹脂の密度が相対的に低い高吸水性樹脂低密度領域とがそれぞれ吸収性物品の略長手方向に沿う方向に延びるとともに、吸収性物品の幅方向に交互に配置され
前記吸収体と透液性表面シートとが、前記高吸水性樹脂配置領域の幅方向中央部を長手方向に沿う筋状の接着部にて接合され、前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域では接合されていないことを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記請求項1記載の発明においては、前記高吸水性樹脂が吸水して膨潤することにより、前記高吸水性樹脂配置領域が前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域より肌側に高く隆起することによって、吸収体の表面に、前記高吸水性樹脂配置領域による畝部と前記前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域による溝部とが吸収性物品の略長手方向に沿う方向に延びるとともに、吸収性物品の幅方向に交互に形成されるようになる。従って、少量ずつ同じ部分に繰り返しの排出があった場合でも、前記溝部を通って体液が前後に流れるため、同じ場所に集中して吸収されることがなく、装着感を悪化させずに、高い吸収性能が得られるようになる。また、前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域にパルプを有しているため、初期吸水速度が速く、体液が拡散しすぎて漏れが発生するのが防止できる。更に、吸液後に肌に接触する部分は、前記高吸水性樹脂配置領域によって形成される畝部であるため、肌との接触面積が小さくなり、濡れ感による不快感が軽減できるようになる。
また、本発明では、前記吸収体と透液性表面シートとが、前記高吸水性樹脂配置領域の幅方向中央部を長手方向に沿う筋状の接着部にて接合され、前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域では接合されないようにすることによって、高吸水性樹脂が吸水して膨潤し高吸水性樹脂配置領域が肌側に隆起したときに、前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域によって形成される溝部が透液性表面シートが介在しない空間部となり、この空間部を通って体液が拡散しやすくなる。
請求項2に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間にパルプ及び高吸水性樹脂を主成分とする吸収体が介在された吸収性物品において、
前記吸収体は、少なくとも体液排出部を含む領域に、前記高吸水性樹脂が配置された高吸水性樹脂配置領域と、前記高吸水性樹脂が配置されていない高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂配置領域よりも前記高吸水性樹脂の密度が相対的に低い高吸水性樹脂低密度領域とがそれぞれ吸収性物品の略長手方向に沿う方向に延びるとともに、吸収性物品の幅方向に交互に配置され、
前記吸収体と透液性表面シートとが、前記高吸水性樹脂配置領域の幅方向中央部を長手方向に沿う筋状の接着部、及び前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域の幅方向中央部を長手方向に沿う筋状の接着部にて接合されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記請求項2記載の発明では、高吸水性樹脂配置領域の接着部に加えて、高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域でも同様にして筋状の接着部にて吸収体と透液性表面シートとを接合しているため、吸収体の肌側面に畝部と溝部が形成されるのに連動して透液性表面シートも凹凸状に形成されるようになり、肌との接触面積が更に小さくなって濡れ感による不快感を感じにくくなる。
請求項に係る本発明として、吸液前の前記吸収体の肌側面がほぼ平坦に形成されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、吸液前の吸収体の肌側面をほぼ平坦に形成してあるため、吸液前の吸収性物品の表面が肌面に密着でき、少量の体液が排出された場合でも吸収体に確実に吸収できるようになる。
請求項に係る本発明として、前記吸収体の幅方向中央部に前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域が配置されている請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、前記吸収体の幅方向中央部に前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域を配置することによって、吸液によって前記畝部及び溝部が形成されたとき、幅方向中央部の着用者の体液排出部に当接する部分が溝部となり、繰り返し排出される体液を前後方向に拡散しやすくしている。
請求項に係る本発明として、前記吸収体の長手方向両端部はそれぞれ、全幅に亘って前記高吸水性樹脂配置領域とされ、前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域が配置されていない請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、長手方向両端部からの漏れを防止するため、吸収体の長手方向両端部はそれぞれ全幅に亘って高吸水性樹脂配置領域とし、前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域を配置しないようにしている。
請求項に係る本発明として、前記高吸水性樹脂配置領域において、前記高吸水性樹脂は、前記吸収体の肌側に偏在して配置されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、高吸水性樹脂を吸収体の肌側に偏在して配置することによって、高吸水性樹脂が吸水して膨潤したときに高吸水性樹脂配置領域を肌側に隆起させやすくしている。
以上詳説のとおり本発明によれば、少量ずつ同じ部分に繰り返し排出される場合でも、装着感が悪化せず、高い吸収性能が得られるようになる。
本発明に係る失禁パッド1の一部破断展開図である。 図1のII−II線矢視図である。 (A)は吸液前、(B)は吸液後の吸収体4の斜視図である。 (A)〜(C)は、他の形態例に係る吸収体4の平面図である。 (A)、(B)は、他の形態例に係る吸収体4の斜視図である。 透液性表面シート3との接合状態を示す、(A)は吸液前、(B)は吸液後の吸収体4の斜視図(その1)である。 透液性表面シート3との接合状態を示す、(A)は吸液前、(B)は吸液後の吸収体4の斜視図(その2)である。 吸収体4の製造方法を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔失禁パッド1の基本構成〕
本発明に係る失禁パッド1は、図1及び図2に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、尿などを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2、3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプ及び高吸水性樹脂を主成分とする吸収体4とから主に構成され、かつ前記吸収体4の周囲においては前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合されている。必要に応じて、前記吸収体4の形状保持および拡散性向上のために、クレープ紙や不織布等からなる被包シートによって前記吸収体を囲繞することができるし、前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも尿排出部位Hを含むように長手方向に所定の区間内において肌側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーを形成するサイド不織布を設けてもよい。また、前記透液性表面シート3と吸収体4との間に、親水性のセカンドシートを配設することができる。
以下、さらに前記失禁パッド1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高で圧縮復元性が高い点で優れている。
前記吸収体4は、たとえば綿状パルプ等の吸収性繊維と高吸水性樹脂とにより構成され、図示例では平面形状がパッド長手方向に長い縦長の略小判形とされている。前記高吸水性樹脂は例えば粒状粉とされ、所定の領域に偏在して配置されている。
前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。前記パルプの目付は、100g/m〜600g/m、好ましくは200g/m〜500g/mとするのがよい。
前記高吸水性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性樹脂は製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸収倍率(吸水力)と吸収速度の調整が可能である。
また、前記吸収体4には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、尿に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
前記吸収体4の幅寸法は、全長に亘って略等幅としてもよいし、股間部への当たりによって着用者にゴワ付き感を与えないように、体液排出部Hを含む股間部に対応する長手方向の所定区間に円弧状に切り欠いた部分を設けてもよい。
〔吸収体4〕
以下、前記吸収体4について更に詳細に説明する。本失禁パッド1においては、図1及び図2に示されるように、前記吸収体4は、少なくとも体液排出部Hを含む排尿部領域12に、前記高吸水性樹脂が配置された高吸水性樹脂配置領域10と、前記高吸水性樹脂が配置されていない高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂配置領域10よりも前記高吸水性樹脂の密度が相対的に低い高吸水性樹脂低密度領域(以下、「高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11」という。)とがそれぞれ失禁パッド1の略長手方向に沿う方向に延びるとともに、失禁パッド1の幅方向に交互に配置されている。すなわち、パッド長手方向に延びる筋状の前記高吸水性樹脂配置領域10と前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11とがパッド幅方向に隣接して交互に配置されている。
前記高吸水性樹脂配置領域10は、前記高吸水性樹脂が配置された、前記高吸水性樹脂低密度領域に比べ高吸水性樹脂の密度が相対的に高い幅方向範囲のことであり、高吸水性樹脂のみによって構成されるか、パルプに高吸水性樹脂が多く偏在することによって構成されたものである。
前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11は、前記高吸水性樹脂が存在しないか、前記高吸水性樹脂配置領域10に比べ高吸水性樹脂の密度が相対的に低い幅方向範囲のことであり、高吸水性樹脂を全く含まないパルプのみによって構成されるか、パルプ中に若干の高吸水性樹脂が混入するものの、前記高吸水性樹脂配置領域10に比べ高吸水性樹脂の密度が極端に小さくなるように構成されたものである。具体的に、前記高吸水性樹脂低密度領域11における高吸水性樹脂の配合量は、前記高吸水性樹脂配置領域10の高吸水性樹脂配合量の1〜40%、好ましくは1〜20%とするのが望ましい。
前記高吸水性樹脂配置領域10及び高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11は、少なくとも体液排出部Hを含む排尿部領域12、好ましくは着用者の股間部に対応する股間部領域に形成されている。図1に示される失禁パッド1は、体液排出部Hを中心としてその前後にほぼ同等の長さで延びる長手寸法を有する構造であるため、前記排尿部領域12は、長手方向中央部に位置しているが、臀部溝を広く覆うように後方に長く形成された失禁パッド1の場合、前記排尿部領域12は製品前側寄りに位置するようになる。
図1に示される例では、前記高吸水性樹脂配置領域10及び高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11は、吸収体4の長手方向の全長に亘って形成されている。すなわち、前記高吸水性樹脂配置領域10及び高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11がそれぞれ吸収体4の前側端縁と後側端縁とを貫くように形成されている。一方、後述するように、前記高吸水性樹脂配置領域10及び高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11を幅方向に交互に配置するのは、排尿部領域12を含む長手方向の中間部までとし、それより長手方向の端部側を全幅に亘って高吸水性樹脂配置領域10によって構成してもよい。
失禁パッド1の幅方向に対しては、幅方向の全幅に亘って前記高吸水性樹脂配置領域10及び高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11を交互に配置するようにしてもよいし、幅方向の中央部のみを前記高吸水性樹脂配置領域10及び高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11が交互に配置された領域とし、それより両側を高吸水性樹脂配置領域10によって構成するか、高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11によって構成してもよく、好ましくは横漏れ防止の観点から高吸水性樹脂配置領域10によって構成するのがよい。
図2及び図3(A)に示されるように、前記吸収体4の肌側面は、吸液前において、ほぼ平坦となるように形成するのが好ましい。すなわち、前記高吸水性樹脂配置領域10の高さと高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11の高さとがほぼ同等に形成され、肌側に前記高吸水性樹脂配置領域10と高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11との高低差による凹凸が設けられないようにするのが好ましい。ほぼ平坦に形成されるとは、凸部と凹部の高低差が2mm以内、好ましくは1mm以内としたものである。
以上の構成からなる失禁パッド1においては、図3(B)に示されるように、排尿時に、前記高吸水性樹脂が吸水して膨潤することにより、前記高吸水性樹脂配置領域10が高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11より肌側に高く隆起することによって、吸収体4の表面に、前記高吸水性樹脂配置領域10による畝部13と、前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11による溝部14とが、失禁パッド1の略長手方向に沿う方向に延びるとともに、失禁パッド1の幅方向に交互に形成されるようになる。従って、少量ずつ同じ部分に繰り返しの排尿があった場合でも、それまでの排尿によって形成された前記畝部13及び溝部14のうち、前記溝部14を通って体液が前後に流れて吸水されるため、同じ場所に集中して尿が吸収されるのが防止でき、特定の領域の高吸水性樹脂のみが膨潤して着用者に違和感を与えるようなことがなくなり、装着感を悪化させることがない。また、尿が同じ場所に吸収されるとゲルブロッキングにより吸液不能となり漏れが生じる場合があるが、本失禁パッド1では、上述の通り、溝部14を通って尿が拡散して吸収されるため、高い吸収性能が得られるようになる。また、前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域にはパルプを有しているため、パルプが存在せず高吸水性樹脂のみからなる場合に比べて初期吸水速度が速く、体液が拡散しすぎて漏れが発生するのが防止できる。
更に、吸液後に肌に接触する部分は、前記高吸水性樹脂配置領域10によって形成された畝部13の先端であるため、肌との接触面積が小さくなり、濡れ感による不快感が軽減できるとともに、肌接触面に高吸水性樹脂が多く存在するため、液戻りが少なくなる。
また、上述の通り、吸液前の前記吸収体4の肌側面がほぼ平坦に形成されているため、吸液前の状態では失禁パッド1の表面が肌面に密着でき、腹圧性失禁などのように少量の尿が排出された場合でも、尿が肌を伝って流れることがなくなり、確実に吸収体4に吸収されるようになる。
次いで各部の寸法について説明すると、吸収体4の幅が45〜100mmのものに対して、前記高吸水性樹脂配置領域10の幅は、5〜20mm、好ましくは10mm程度とするのがよく、高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11の幅は、8〜20mm、好ましくは10mm程度とするのがよい。高吸水性樹脂配置領域10の高吸水性樹脂が吸水して膨潤し、吸収体4の表面に前記高吸水性樹脂配置領域10部分による畝部と前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11部分による溝部とが形成された際、高吸水性樹脂の膨潤によって前記溝部が埋まってしまうのを防止するため、高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11の幅の下限値は、高吸水性樹脂配置領域10の幅の下限値より大きめの8mm以上としている。
前記高吸水性樹脂配置領域10と高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11との境界は必ずしも明確である必要はなく、高吸水性樹脂配置領域10の高吸水性樹脂が高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11のパルプ繊維間に入り込むことによって境目が不明確となっていてもよい。この場合には、高吸水性樹脂の目付が最大目付の60%以上の範囲内を高吸水性樹脂配置領域10とし、この目付より小さな範囲を高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11とすることができる。
高吸水性樹脂配置領域10、10…が複数条で設けられた場合において、各高吸水性樹脂配置領域10の幅は一定である必要はなく、各部で異なるようにしてもよい。例えば、図1に示されるように、幅方向中央部の高吸水性樹脂配置領域10、10を幅広とし、両側の高吸水性樹脂配置領域10、10を幅狭としてもよい。
前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11は、吸収体4の幅方向中央に配置するのが好ましい。つまり、吸収体4の長手方向中心線が通る位置に高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11が位置するパターンで配置するのが好ましい。これにより、高吸水性樹脂が吸水することによって前記畝部13及び溝部14が形成されたとき、幅方向中央部の着用者の体液排出部Hに当接する部分が溝部14となり、繰り返し排出される尿を前記溝部14を通じて前後方向に拡散しやすくなる。前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11は、吸収体4の幅方向中央に配置するとともに、その両側にそれぞれ1本又は複数本配置することによって、全体として3本以上の奇数本で配置するのが好ましい。この場合、高吸水性樹脂配置領域10は、全体として2本以上の偶数本で配置されるようになる。特に、吸収体4の両側部が高吸水性樹脂配置領域10となるパターンが望ましいので、その場合には、高吸水性樹脂配置領域10を4本以上の偶数本で配置するのが好ましい。
前記高吸水性樹脂配置領域10及び高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11の平面パターンとしては、図1に示されるように、前記高吸水性樹脂配置領域10及び高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11が吸収体4の長手方向の全長に亘って形成されるようにしてもよいし、図4に示されるように、前後端部からの尿の漏れを防止するため、吸収体4の長手方向両端部がそれぞれ、全幅に亘って高吸水性樹脂配置領域10とされ、高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11が配置されないようにしてもよい。すなわち、前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11は、前後端縁まで達しない長手方向中間までとし、それより長手方向の端部側に高吸水性樹脂配置領域10が形成されるようにしている。
前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11は、図4に示されるように、種々の平面パターンで配置することが可能である。図4(A)では、吸収体4の幅方向中央部とその両側にそれぞれ1本ずつ合計3本の高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11、11…をほぼ同じ長さで配置している。また、同図4(B)では、長さの異なる高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11、11…を配置している。この場合、幅方向中央部の高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11を最も長くし、外側に位置するものの方が漸次短くなるように形成するのが好ましい。幅方向中央部の高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11を長く形成することによって、尿が長手方向のより広い範囲に拡散でき、吸収体4を長手方向の広範囲に亘って有効活用することができるようになる。また、前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11は、全長に亘って直線でもよいし、同図4(C)に示されるように、長手方向の端部において幅方向の外側又は内側に湾曲又は屈曲する折れ曲がり部11aを設けるようにしてもよい。これにより、前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11によって形成される畝部14に沿って長手方向に流れる尿を前記折れ曲がり部11aに沿って幅方向に誘導できるため、吸収体4をより広い範囲に亘って有効活用できるようになる。前記折れ曲がり部11aは、特に幅方向中央の高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11において、二股以上の複数に分岐させてもよい。
前記高吸水性樹脂配置領域10において、前記高吸水性樹脂は、図2及び図3に示されるように、吸収体4の厚み方向に対してほぼ均等に配置されるようにしてもよいし、図5に示されるように、吸収体4の肌側に偏在して配置されるようにしてもよい。厚み方向に均等に配置した場合には、厚み方向に対する吸収性能が向上する。一方、肌側に偏在して配置した場合には、高吸水性樹脂が吸水して膨潤したときに高吸水性樹脂配置領域10が肌側に隆起して畝部13が形成されやすくなる。高吸水性樹脂を吸収体4の肌側に偏在して配置する形態としては、図5(A)に示されるように、厚み方向に対して肌側の高吸水性樹脂層と非肌側のパルプ層とからなる2層構造としてもよいし、同図5(B)に示されるように、肌側から非肌側にかけて高吸水性樹脂の密度が徐々に小さくなるような構造としてもよい。
次に、前記吸収体4と透液性表面シート3との固定要領について説明する。前記吸収体4と透液性表面シート3とは、図6に示されるように、前記高吸水性樹脂配置領域10の幅方向中央部を長手方向に沿う筋状の接着部15にて接合し、前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11では接合しないようにすることができる。これによって、高吸水性樹脂が吸水して膨潤し高吸水性樹脂配置領域10が肌側に隆起した畝部13が形成されたとき、図6(B)に示されるように、前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11によって形成される溝部14が透液性表面シート3が介在しない空間部となり、この空間部を通って体液が拡散しやすくなる。
また、前記吸収体4と透液性表面シート3とを接合する他の形態例として、図7に示されるように、前記高吸水性樹脂配置領域10の幅方向中央部を長手方向に沿う筋状の接着部15に加えて、前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11の幅方向中央部を長手方向に沿う筋状の接着部16にて接合することができる。これによって、図7(B)に示されるように、高吸水性樹脂が吸水して膨潤し吸収体4の肌側に畝部13と溝部14が形成されるのに連動して、透液性表面シート3も凹凸状に形成されるため、肌との接触面積が低下して濡れ感による不快感を感じにくくすることができる。
前記高吸水性樹脂配置領域10及び高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11を備えた吸収体4を製造するには、前述のように、高吸水性樹脂配置領域10の形成予定部分の肌側面に凹溝を形成したパルプ基材に対して、前記凹溝に高吸水性樹脂を充填することにより成すことができる。この方法では、高吸水性樹脂の充填量を調整することにより、吸収体4の肌側面を容易に平坦にすることができるなどの利点を有する。
また、他の製造方法として、図8(A)に示されるように、積繊ドラムの吸収体形成用凹部内に筋状に高吸水性樹脂を散布した後、パルプを積繊することにより形成してもよいし、同図8(B)に示されるように、積繊時に吸収体形成用凹部の底部から吸引力に強弱をつけることで高吸水性樹脂の密度に変化を持たせるようにしてもよいし、同図8(C)に示されるように、パルプのみを積繊した後、その表面に高吸水性樹脂を筋状に散布することにより形成してもよいし、同図8(D)に示されるように、吸収体形成用凹部内をパルプと高吸水性樹脂との混合ゾーンとパルプのみのゾーンとに分けて積繊することにより形成してもよい。
更に、他の製造方法として、前記高吸水性樹脂配置領域10に対応する部分に高吸水性樹脂が配置されたポリマーシートを、パルプを主成分とするパルプ層の肌側に積層することにより形成してもよい。この製造方法では、高吸水性樹脂がポリマーシート内に定着しているため、製造工程で高吸水性樹脂がこぼれ落ちるのが軽減され、製造が容易になるなどの利点を有する。前記ポリマーシートは、吸収体4の肌側面が極力平坦になるように、2mm以下の厚みで形成するのが望ましい。
前記ポリマーシートとしては、2枚の不織布間に高吸水性樹脂がホットメルト接着剤などのバインダーによって結合されるとともに、前記高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域11及び外縁部において両不織布同士が直接ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールなどによって接合されることにより、2枚の不織布間に高吸水性樹脂が封入されたものを使用してもよいし、不織布内に高吸水性樹脂を保持させたものや、繊維状の高吸水性樹脂(SAF)を不織布内に混合したものなどを使用してもよい。
1…失禁パッド、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、10…高吸水性樹脂配置領域、11…高吸水性樹脂無配置領域又は高吸水性樹脂低密度領域、12…排尿部領域、13…畝部、14…溝部、15・16…接着部

Claims (6)

  1. 透液性表面シートと裏面シートとの間にパルプ及び高吸水性樹脂を主成分とする吸収体が介在された吸収性物品において、
    前記吸収体は、少なくとも体液排出部を含む領域に、前記高吸水性樹脂が配置された高吸水性樹脂配置領域と、前記高吸水性樹脂が配置されていない高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂配置領域よりも前記高吸水性樹脂の密度が相対的に低い高吸水性樹脂低密度領域とがそれぞれ吸収性物品の略長手方向に沿う方向に延びるとともに、吸収性物品の幅方向に交互に配置され
    前記吸収体と透液性表面シートとが、前記高吸水性樹脂配置領域の幅方向中央部を長手方向に沿う筋状の接着部にて接合され、前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域では接合されていないことを特徴とする吸収性物品。
  2. 透液性表面シートと裏面シートとの間にパルプ及び高吸水性樹脂を主成分とする吸収体が介在された吸収性物品において、
    前記吸収体は、少なくとも体液排出部を含む領域に、前記高吸水性樹脂が配置された高吸水性樹脂配置領域と、前記高吸水性樹脂が配置されていない高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂配置領域よりも前記高吸水性樹脂の密度が相対的に低い高吸水性樹脂低密度領域とがそれぞれ吸収性物品の略長手方向に沿う方向に延びるとともに、吸収性物品の幅方向に交互に配置され、
    前記吸収体と透液性表面シートとが、前記高吸水性樹脂配置領域の幅方向中央部を長手方向に沿う筋状の接着部、及び前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域の幅方向中央部を長手方向に沿う筋状の接着部にて接合されていることを特徴とする吸収性物品。
  3. 吸液前の前記吸収体の肌側面がほぼ平坦に形成されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収体の幅方向中央部に前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域が配置されている請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収体の長手方向両端部はそれぞれ、全幅に亘って前記高吸水性樹脂配置領域とされ、前記高吸水性樹脂無配置領域又は前記高吸水性樹脂低密度領域が配置されていない請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  6. 前記高吸水性樹脂配置領域において、前記高吸水性樹脂は、前記吸収体の肌側に偏在して配置されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
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