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JP6329789B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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本発明は、経血やおりもの、尿などを吸収するための生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品であって、特には吸収体の肌面側に凹部が形成された吸収性物品に関する。
従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッドなどの吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などからなる不透液性裏面シートと、不織布または透孔性プラスチックシートなどからなる透液性表面シートとの間に綿状パルプなどからなる吸収体を介在させたものが知られている。
この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ねられ、一度に多くの体液が排出された場合の吸収性能を上げるために、吸収体に長手方向に沿って設けた凹部によって体液の一時貯留部を設けた吸収性物品が知られている。
例えば、下記特許文献1では、吸収体が、肌当接面側の上層吸収体と非肌当接面側の下層吸収体とを有し、該上層吸収体と下層吸収体とがなす中高部は、肌当接面側に形成された長手方向に延びるくぼみを有し、前記くぼみは、前記上層吸収体を貫通した貫通部であり、該貫通部の底面をなすよう前記上層吸収体の下面に前記下層吸収体が位置する吸収性物品が開示されている。
また、下記特許文献2では、吸収層は、面積が異なる上部吸収層と下部吸収層とが積層され、該吸収層には、段差が形成されており、表面シート及び吸収層に一体的に、吸収性物品の長手方向に延びる凹部が形成され、該凹部は、吸収性物品の短手方向の中央に、前記段差の高部及び低部に亘って形成されており、該凹部は、該吸収層の段差部において途切れることなく連続的に形成されている吸収性物品が開示されている。
さらに、下記特許文献3では、少なくとも一方の面に開口を形成する溝部を有する吸収体と、前記吸収体の前記一方の面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の他方の面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートとを備え、前記溝部は、前記吸収体の厚さ方向に直交する面における開口幅が前記一方の面から前記他方の面に向うに従って小さくなっている吸収性物品が開示されている。
特開2009−112590号公報 特開2008−173247号公報 特開2010−273842号公報
上記特許文献1〜3にかかる吸収性物品の場合は、吸収体に形成した凹部(くぼみ、凹部、溝部)によって体液の吸収性能は格段に向上するようになる。
しかしながら、前記凹部は長手方向に長い細溝状を成しており、体液が凹部の周辺に排出された場合は、凹部まで流れ込むことは無く、肌と体液とが接触し、肌トラブルの原因になることがあるとともに、逆戻りも効果的に防止することができなかった。
また、一旦凹部内に集められた体液は、ここから吸収体に吸収されることになるが、凹部の周辺の吸収体部分が飽和吸液量に達すると、逆に逆戻りが増えるとともに、肌に付着する体液が増えるようになるなどの問題があった。更に、凹部周辺に配置された高吸水性ポリマーが膨潤して凹部を塞いだり、凹部部分が逆に周辺よりも肌面側に隆起する場合もあった。
そこで本発明の主たる課題は、吸収体の肌面側に凹部が形成された吸収性物品において、体液と肌との接触を極力無くし肌トラブルを防止するとともに、逆戻りを防止し、更に高吸水性ポリマーの膨潤によって凹部を塞いだり、凹部が隆起したりするのを防止した吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記吸収体の肌面側に凹部が形成された吸収性物品において、
前記吸収体は、肌面側の上層吸収体と非肌面側の下層吸収体とを積層した構造とされるとともに、前記凹部は体液排出領域として想定される範囲のエリア全体を窪めた逆截頭錐台形状の凹部形状とされ、
前記上層吸収体は、体液排出部位に対応する位置に貫通部を有するとともに、前記貫通部を囲む周囲に該貫通部の周縁から外方に向かって該上層吸収体の上面に至る斜面状の集液用スロープ部を有することにより前記凹部が構成され、かつ前記貫通部を除き前記集液用スロープ部の上面を覆うように不透液性シート又は難透液性シートを配置し、
前記下層吸収体は、吸収体の上面側であって少なくとも前記貫通部及び集液用スロープ部に対応する領域に吸収性物品の長手方向に沿って延びる複数条の拡散用エンボスを設けたことを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記請求項1記載の発明では、吸収体は、肌面側の上層吸収体と非肌面側の下層吸収体とを積層した構造とされるとともに、前記凹部は体液排出領域として想定される範囲のエリア全体を窪めた逆截頭錐台形状の凹部形状とされる。そして、前記上層吸収体については、体液排出部位に対応する位置に貫通部を有するとともに、前記貫通部を囲む周囲に該貫通部の周縁から外方に向かって該上層吸収体の上面に至る斜面状の集液用スロープ部を有することにより前記凹部が構成され、かつ前記貫通部を除き前記集液用スロープ部の上面を覆うように不透液性シート又は難透液性シートを配置する一方、前記下層吸収体については、吸収体の上面側であって少なくとも前記貫通部及び集液用スロープ部に対応する領域に吸収性物品の長手方向に沿って延びる複数条の拡散用エンボスを設けるようにしている。
従って、体液が排出されると、体液は前記集液用スロープ部の上面を滑り落ちるように凹部の底部に集液される。このように、体液が1箇所に素早く集液されることによって肌との接触機会が少なくなり、肌トラブルが未然に防止できるようになる。
前記凹部の底面に集液された体液は、前記下層吸収体に吸収された後、前記拡散用エンボスによって吸収性物品の長手方向に沿って拡散される。拡散された体液は、上側に上層吸収体が存在していること及び前記集液用スロープ部の上面に不透液性シート又は難透液性シートが配置されていることによって、表面側に逆戻りすることがない。また、前記不透液性シート又は難透液性シートが配置されていることによって吸収体の変形を抑えるため、体液の吸収によって高吸水性ポリマーが膨潤して凹部が消失したり、凹部容積が減少したりするのを防止することができる。
請求項2に係る本発明として、高吸水性ポリマーを前記下層吸収体のみに混合するか、前記上層吸収体及び下層吸収体の両方に混合している請求項1記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項2記載の発明では、高吸水性ポリマーを前記下層吸収体のみに混合するか、前記上層吸収体及び下層吸収体の両方に混合している。本吸収性物品の場合は、体液の多くは下層吸収体側に吸収されることになるため、高吸水性ポリマーは下層吸収体のみに混合してもよい。また、体液の排出部位が大きくずれることが予想される場合には、上層吸収体と下層吸収体の両方に高吸水性ポリマーを混合するようにすればよい。
請求項3に係る本発明として、前記上層吸収体に形成した貫通部の平面積は、前記上層吸収体の全平面積の10〜40%の割合で形成している請求項1,2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項3記載の発明は、前記貫通部の大きさを規定したものである。具体的には、前記上層吸収体に形成した貫通部の平面積は、前記上層吸収体の全平面積の10〜40%の割合で形成するのが望ましい。
請求項4に係る本発明として、前記上層吸収体に形成した貫通部の幅方向寸法及び長手方向寸法は、前記集液用スロープ部の外側形状線の幅方向寸法及び長手方向寸法に対して、1/1.2〜3.0の割合で形成している請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項4記載の発明は、上層吸収体に形成した貫通部の大きさ(面積)と、前記集液用スロープ部の外側形状線の大きさ(面積)との比率を規定したものである。具体的には、前記上層吸収体に形成した貫通部の幅方向寸法及び長手方向寸法は、前記集液用スロープ部の外側形状線の幅方向寸法及び長手方向寸法に対して、1/1.2〜3.0の割合で形成するのが望ましい。ここで、前記貫通部の大きさ(面積)は体液の集液箇所の大きさを意味し、前記集液用スロープ部の外側形状線の大きさ(面積)は体液排出部位の位置ズレを考慮した上での体液の排出領域として想定されるエリアを意味する。
請求項5に係る本発明として、前記拡散用エンボスは、線状溝、波状溝及びジグザグ状溝の内のいずれかとし、少なくとも3条以上の本数で形成している請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項5記載の発明は、前記拡散用エンボスの形状及び本数を規定したものである。具体的に、前記拡散用エンボスとしては、線状溝、波状溝及びジグザグ状溝の内のいずれかとし、少なくとも3条以上の本数で形成していることが好ましい。これらのエンボス形状の内、最も望ましいのは線状溝であり、本数は5〜10本程度で形成するのが望ましい。
請求項6に係る本発明として、前記上層吸収体と前記下層吸収体との間に、前記貫通部の周縁位置を内方側始端として該貫通部の周方向周りに第2の不透液性シート又は難透液性シートが介在されている請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項6記載の発明は、前記集液用スロープ部の上面を覆う不透液性シート又は難透液性シートとともに、前記上層吸収体と前記下層吸収体との間に、前記貫通部の周縁位置を内方側始端として該貫通部の周方向周りに第2の不透液性シート又は難透液性シートを介在させるようにしたものである。この構成によって、集液用スロープ部の貫通部側近傍部分において、集液用スロープ部を伝わって流れ落ちてきた体液を放射方向に拡散させて下層吸収体に導くことが可能となる。なお、前記第2の不透液性シート又は難透液性シートは例えば平面視でドーナツ形状をなし、内方側周端は前記貫通部の周縁位置とするが、外方側終端は前記集液用スロープ部に対応する領域全部を覆う必要はなく、前記集液用スロープ部に対応する領域の途中までを覆うようにしてもよい。
請求項7に係る本発明として、前記表面シートは不織布とされ、前記貫通部に対応する部位は親水性とし、それ以外領域は撥水性としている請求項1〜6いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項7記載の発明は、前記表面シートの変形例を示したものである。表面シートとしては通常は親水性不織布が多く用いられているが、本吸収性物品では、前記貫通部に対応する部位は親水性とし、それ以外領域は撥水性とすることも可能である。貫通部の周囲を撥水性とすることで、体液を1カ所に集まり易くすることができる。
以上詳説のとおり本発明によれば、吸収体の肌面側に凹部が形成された吸収性物品において、体液と肌との接触を極力無くし肌トラブルを防止するとともに、逆戻りを防止し、更に高吸水性ポリマーの膨潤によって凹部を塞いだり、凹部が隆起したりするのを防止することが可能となる。
本発明に係る生理用ナプキン1の平面図である。 図1の横断面図(II−II線矢視図)である。 吸収体4の斜視図である。 吸収体4の平面図である。 拡散用エンボス14の他例を示すエンボス形状図である。 吸収体4の他の形態例を示す横断面図である。 ナプキン1の他の形態例を示す横断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔生理用ナプキン1の基本構成例〕
生理用ナプキン1は、図1に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介在された綿状パルプ、合成パルプと高吸水性ポリマーなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、表面両側部にそれぞれ長手方向に沿って配設されたサイド不織布7,7とから構成されている。前記吸収体4の周囲において、そのナプキン長手方向の前後端縁部では、前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4の端縁よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、外周に吸収体4の存在しない外周フラップ部Fが形成されている。
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、スパンボンド法はドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法及びエアスルー法は嵩高でソフトである点で優れている。
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、図2にも示されるように、肌面側に凹部8が形成された吸収体であり、肌面側の上層吸収体9と非肌面側の下層吸収体10とを積層した2層構造の吸収体とされる。前記吸収体4は、たとえばフラッフ状パルプと高吸水性ポリマーとにより構成されている。図示例では平面形状がパッド長手方向に長い縦長の略小判形とされている。前記高吸水性ポリマーは例えば粒状粉とされ、吸収体4を構成するパルプ中に分散混入されている。
前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。前記パルプの目付は、100g/m〜800g/m、好ましくは200g/m〜500g/mとするのがよい。
前記高吸水性ポリマーとしては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性ポリマーは製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力(吸収倍率)と吸水速度の調整が可能である。前記ポリマーの目付は、5g/m〜500g/m、好ましくは生理用ナプキンの場合は5g/m〜150g/m、失禁パッドの場合は100g/m〜450g/mとするのがよい。
また、前記吸収体4には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。前記吸収体4の構造については、後段で更に詳しく説明する。
本例のように、吸収体4を囲繞するクレープ紙5を設ける場合には、結果的に透液性表面シート3と吸収体4との間にクレープ紙5が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙5によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。吸収体4としてエアレイド吸収体を使用した場合、吸収体自体の吸収性能及び保形性が優れるため、クレープ紙5を使用していなくてもよい。また、前記クレープ紙5は、不織布や低目付のエアレイド不織布を使用してもよい。また、吸収体4を囲繞せずに、吸収体4と透液性表面シート3との間のみに介在させたり、吸収体4と透液性表面シート3との間及び吸収体4と不透液性裏面シート2との間にそれぞれ介在させたりすることができる。
一方、本生理用ナプキン1の表面がわ両側部にはそれぞれ、長手方向に沿ってかつナプキン1のほぼ全長に亘ってサイド不織布7,7が設けられ、このサイド不織布7,7の一部が側方に延在されるとともに、同じく側方に延在された不透液性裏面シート2の一部とによってウイング状フラップW、Wが形成されている。
前記サイド不織布7としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、体液が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが望ましい。また、前記ウイング状フラップW、Wにおける体液の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるようにすることが望ましい。
〔吸収体4について〕
本生理用ナプキン1においては、前記吸収体4は、図2及び図3に示されるように、肌面側に凹部8が形成された吸収体であり、肌面側の上層吸収体9と非肌面側の下層吸収体10とを積層した2層構造の吸収体とされる。前記凹部8は、従来のような溝断面の細長いスリット状ではなく、所定範囲(体液排出部位の位置ズレを考慮した上で体液の排出領域として想定される範囲)のエリア全体を窪めた逆截頭錐台形状の凹部形状である。すなわち、凹部8の形状は、吸収体4の上面レベルでの開口面積Aと凹部底面積Aとの関係がA>Aであり、上面レベルでの開口面積Aが底部側に行くに従って漸次縮小する凹部形状である。前記凹部8の形状は、図示例では縦方向に長い逆截頭楕円錐台形状としたが、閉合形状であれば逆截頭円錐台形状、逆截頭角錐台形状等としてもよい。
前記吸収体4を構成している上側の前記上層吸収体9は、体液排出部位に対応する位置に貫通部11を有するとともに、前記貫通部11を囲む周囲に貫通部11の周縁から上層吸収体9の上面に至る斜面状の集液用スロープ部12を有し、かつ前記貫通部11を除き前記集液用スロープ部12の上面を覆うようにリング形状の不透液性シート13又は難透液性シート13を配置している。なお、前記不透液性シート13又は難透液性シート13は、同図2に図示されるように、透液性表面シート3の下面側であって、かつ前記クレープ紙5の上面側に配置するのが望ましい。
前記貫通部11の形状は、図示例では縦長の楕円形状としたが、閉合形状であれば円形、多角形状等としてもよい。最も好ましいのは、吸収体4が縦長であることから縦長の楕円形状とするのが望ましく、楕円又は円形状のように、角部を持たない形状の方が肌への当りが柔らかくなるため望ましい。また、前記集液用スロープ部12に貫通部11の周縁から放射方向に体液の流下を促すために樋溝を設けるようにしてもよい(図示せず)。この樋溝の貫通部11側の端部は、前記下層吸収体10に形成した後述の拡散用エンボス14、14…に接続してもよいし、接続しなくてもよい。
前記上層吸収体9の製造方法は、吸収体の積繊時に図示のような形状に積繊成形する他、積繊時に貫通部11を形成しておき、その後に圧縮成形することにより前記集液用スロープ部12を形成するようにしてもよい。
前記上層吸収体9に形成した貫通部11の平面積A(=前記凹部8の底面積A)は、前記上層吸収体9の全平面積Aの10〜40%の割合、好ましくは15〜30%の割合で形成されている。また、図4に示されるように、前記上層吸収体9に形成した貫通部11の幅方向寸法K及び長手方向寸法Kは、前記集液用スロープ部12の外側形状線の幅方向寸法S及び長手方向寸法Sに対して、それぞれ1/1.2〜3.0の割合で形成されているのが好ましい。面積比で表現すると、貫通部11の平面積Aと、貫通部11及び集液用スロープ部12の合計面積Aとの面積比は、1:1.44〜9.0で形成されているのが好ましい。
前記不透液性シート13としては、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系の熱可塑性樹脂フィルム、ポリエステル、ナイロンなどのポリアミド系樹脂フィルム、EVAフィルム、不透液性の紙などを使用することができ、通気性を有することが望ましい。前記難透液性シート13としては、たとえばシリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布や難透水性の紙などが使用できる。前記不透液性シート13又は前記難透液性シート13は、体液排出部に対して相対して装着しやすいように、吸収体4の色と異なるように着色したシートを用いてもよい。
一方、前記吸収体4を構成している下側の下層吸収体10は、図4に示されるように、その上面側であって前記貫通部11及び集液用スロープ部12に対応する領域に対して生理用ナプキン1の長手方向に沿って延びる複数条の、図示例では9条の拡散用エンボス14,14…が設けられている。前記拡散用エンボス14は、図4に図示した線状溝とする以外に、たとえば図5(A)に示される波状溝、図5(B)(C)に示されるジグザグ状溝とすることができる。前記拡散用エンボス14は、効果的に体液を前後方向に拡散させるために少なくとも3条以上、好ましくは5条以上の本数で形成するのが望ましい。この下層吸収体10としては、厚みを抑えたい場合は、エアレイド吸収体を用いることができる。
前記高吸水性ポリマーは、少なくとも前記下層吸収体10の内部に混合するようにする。前記上層吸収体9には、高吸水性ポリマーを混合してもよいし、混合しなくてもよい。体液の排出部位が位置ズレすることを想定した場合には、上層吸収体9にも高吸水性ポリマーを混合するのが望ましい。
前記上層吸収体9と下層吸収体10とは、同じ外形寸法とされ、下層吸収体10の上側に上層吸収体9が重ねられる。したがって、凹部8の底部は、前記下層吸収体10の上面によって構成されることになり、前述したように、前記凹部8として、逆截頭錐台形状の凹部形状が構成されるようになっている。
以上詳述した生理用ナプキン1を身体に装着した状態で、体液が排出されると、体液は前記集液用スロープ部12の上面を滑り落ちて凹部8の底部に集液される。このように、体液が1箇所に素早く集液されることによって肌との接触機会が少なくなり、肌トラブルが未然に防止できるようになる。
前記凹部8の底面に集液された体液は、前記下層吸収体10に吸収された後、前記拡散用エンボス14,14…によってナプキン1の長手方向に沿って拡散される。拡散された体液は、主に前記拡散用エンボ14,14…が形成された領域に多く滞留することになるが、上側に上層吸収体が存在していること及び前記集液用スロープ部12の上面に不透液性シート13又は難透液性シート13が配置されていることにより、逆戻りすることがない。更に、不透液性シート13又は難透液性シート13が配置されていることによって吸収体の変形を抑えるため、体液の吸収によって高吸水性ポリマーが膨潤して凹部8が消失したり、凹部8の容積が減少したりするのを防止することができる。
〔他の形態例〕
(1)前記不透液性シート13又は難透液性シート13は、図示例のように、前記集液用スロープ部12の上面だけを覆うように配置してもよいが、前記上層吸収体9と前記下層吸収体10との間に、前記貫通部11の周縁位置を内方側始端として周方向周りに第2の不透液性シート又は難透液性シートを介在させるようにしてもよい。具体的には図6に示されるように、前記凹部8の底部に対応するクレープ紙5は開口とし、前記不透液性シート13又は難透液性シート13の内方側(貫通部11側)は、前記貫通部11の縁で上層吸収体9の裏面側に折り返すように配置したり、前記不透液性シート13又は難透液性シート13とは別に、平面視でドーナツ形状の不透液性シート又は難透液性シートを前記上層吸収体9と前記下層吸収体10との間に介在させるようにしてもよい。この場合は、集液用スロープ部12の貫通部11近傍部分において、集液用スロープ部12を伝わって流れ落ちてきた体液を放射方向に拡散させて下層吸収体10に導くことが可能となる。
(2)上記形態例では、前記不透液性シート13又は難透液性シート13は、透液性表面シート3の下面側であって、かつ前記クレープ紙5の上面側に配置するようにしたが、前記クレープ紙5の下面側に配置するようにしてもよい。
(3)上記形態例では、前記表面シート3は透液性としたが、部位ごとに親水性を示す部分と撥水性を示す部分とに区分けしてもよい。たとえば、前記貫通部11に対応する部位については、親水性とし、それ以外の領域については撥水性としてもよい。この場合、排出された体液が撥水性の表面シート3を素早く流れ落ちて、凹部8の底部に集まり易くなり、表面シート3における体液の吸収、拡散を防止することが可能となる。また、前記貫通部11に対応する部位について、表面シート3に体液を通過させるための開孔を多数設けるようにしてもよい。
(4)上記形態例では、図2に示されるように、前記表面シート3は凹部8の形状に沿わせるように配置したが、図7に示されるように、表面シート3を上層吸収体9の凹部8以外の上面に沿って張設するように配設し、表面シート3の下面側に凹部8空間を形成するようにしてもよい。
(5)上記形態例では、前記拡散用エンボス14,14…は、前記貫通部11及び集液用スロープ部12の領域に対して形成するようにしたが、この領域を越えて長手方向に延ばして形成するようにしてもよい。
1…生理用ナプキン、2…不透液性裏面シート、3…表面シート、4…吸収体、5…クレープ紙、7…サイド不織布、8…凹部、9…上層吸収体、10…下層吸収体、11…貫通部、12…集液用スロープ部、13…不透液性シート又は難透液性シート、14…拡散用エンボス

Claims (7)

  1. 表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記吸収体の肌面側に凹部が形成された吸収性物品において、
    前記吸収体は、肌面側の上層吸収体と非肌面側の下層吸収体とを積層した構造とされるとともに、前記凹部は体液排出領域として想定される範囲のエリア全体を窪めた逆截頭錐台形状の凹部形状とされ、
    前記上層吸収体は、体液排出部位に対応する位置に貫通部を有するとともに、前記貫通部を囲む周囲に該貫通部の周縁から外方に向かって該上層吸収体の上面に至る斜面状の集液用スロープ部を有することにより前記凹部が構成され、かつ前記貫通部を除き前記集液用スロープ部の上面を覆うように不透液性シート又は難透液性シートを配置し、
    前記下層吸収体は、吸収体の上面側であって少なくとも前記貫通部及び集液用スロープ部に対応する領域に吸収性物品の長手方向に沿って延びる複数条の拡散用エンボスを設けたことを特徴とする吸収性物品。
  2. 高吸水性ポリマーを前記下層吸収体のみに混合するか、前記上層吸収体及び下層吸収体の両方に混合している請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記上層吸収体に形成した貫通部の平面積は、前記上層吸収体の全平面積の10〜40%の割合で形成している請求項1,2いずれかに記載の吸収性物品。
  4. 前記上層吸収体に形成した貫通部の幅方向寸法及び長手方向寸法は、前記集液用スロープ部の外側形状線の幅方向寸法及び長手方向寸法に対して、1/1.2〜3.0の割合で形成している請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記拡散用エンボスは、線状溝、波状溝及びジグザグ状溝の内のいずれかとし、少なくとも3条以上の本数で形成している請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品。
  6. 前記上層吸収体と前記下層吸収体との間に、前記貫通部の周縁位置を内方側始端として該貫通部の周方向周りに第2の不透液性シート又は難透液性シートが介在されている請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品。
  7. 前記表面シートは不織布とされ、前記貫通部に対応する部位は親水性とし、それ以外領域は撥水性としている請求項1〜6いずれかに記載の吸収性物品。
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