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JP6622482B2 - 排気系部品及び排ガス浄化装置 - Google Patents
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JP6622482B2 - 排気系部品及び排ガス浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排気系部品及び排ガス浄化装置に関する。
自動車、船舶等の輸送機器で使用されるディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガスや、セメントプラントにおいて排出される排ガスには、NOx(窒素酸化物)が含まれている。
近年、排ガス中の窒素酸化物を浄化するための方法として尿素SCR(Selective Catalyst Reaction)システムと呼ばれる技術が検討されている。
尿素SCRシステムでは、排ガス浄化装置内で窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路内に尿素水を噴霧し、尿素の熱分解によってアンモニアを発生させて、アンモニアによって窒素酸化物の還元反応を行う。
排ガス浄化装置の排気通路内には、尿素水を噴射する尿素水噴射装置があり、尿素水噴射装置の下流側には触媒担体が設けられている(例えば、特許文献1)。
触媒担体は、窒素酸化物の還元反応を促進する触媒作用を有しており、排ガスが流通するための貫通孔を多数有するハニカム形状が採用されていることが多い。
また、排ガス中のNOxを浄化するために、排気管の途中にNOx吸蔵還元触媒が設けられた排ガス浄化装置も知られている(特許文献2)。
特許文献2には、還元剤として噴射された燃料(軽油)が排気管に付着して排気管がただ濡れるだけで排ガスと充分に混合しないことを防止するために、燃料インジェクタのノズル先端より下流の排気管の所定範囲に断熱構造としてのセラミックコーティングを施すことが記載されている。
また、特許文献3には、尿素SCRシステムにおいて還元剤であるアンモニアと排ガスを充分に混合するために、排気通路内に混合器やスワラーを設け、排ガスに旋回流を発生させることが開示されている。
特表2011−523585号公報 特開2005−76460号公報 特開2008−280882号広報
特許文献1に記載されたような、尿素水噴射装置の下流側に触媒担体が設けられている排ガス浄化装置において、尿素水を排気通路内に噴射すると、排気通路の表面に尿素水が付着し、付着した尿素水が冷却されて尿素が析出し、排気通路の表面に堆積することがあった。
排気通路の表面に尿素が析出して堆積すると、排ガスの流れが阻害されて圧力損失が増大するとともに、窒素酸化物の浄化効率が低下するおそれがある。
また、尿素が析出して排気通路の表面に堆積すると、噴射した尿素水中の尿素がアンモニアに変換されないので窒素酸化物の還元に寄与するアンモニアの量が不足し、この点からも窒素酸化物の浄化効率が低下するおそれがある。そして、窒素酸化物の浄化効率が低いと、触媒担体出口での窒素酸化物の濃度をモニターしたセンサーがフィードバック制御をかけて、さらに尿素水の噴射量を増加させるようにするため、さらに尿素の析出量が増してしまい、その結果さらなる排ガスの流れの阻害や窒素酸化物の浄化率の低下が引き起こされるおそれがある。
特許文献2に記載のセラミックコーティングの技術は、尿素SCRシステムに使用することを念頭に置いた技術ではなく、排気管表面の温度を軽油の沸点である180〜350℃以上に維持するための断熱コーティング技術である。この技術で排気管表面の温度を維持する想定温度は尿素の融点である133〜135℃に比べてだいぶ高く、断熱コーティングの目的は異なる。また、特許文献2には、このような高い想定温度で排気管表面の温度を維持するために具体的にどのようなコーティングを施すのかについて開示されていない。
特許文献3に記載されたような混合器やスワラーは、排ガスの流通を一部阻害することにより排ガスに旋回流を発生させる部材であり、排ガスの流路が狭くなっている。そのため、これらの部材の表面に尿素が析出して堆積すると、排ガスの流路がさらに狭くなってしまい、圧力損失の増大や、排ガスの目詰まりに至るおそれがある。また、これらの部材の表面に尿素が析出すると、窒素酸化物の浄化効率が低下するおそれもある。
本発明は、上記のような問題点を踏まえてなされたものであり、尿素SCRシステムにおいて窒素酸化物を含む排ガスと接触する部位に設けられた場合に、その表面において析出した尿素が堆積することを防止することのできる排気系部品、及び、当該排気系部品を備えた排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明の排気系部品は、
窒素酸化物を含む排ガスと接触する部位に設けられる排気系部品であって、
排ガスと接触する側の表面は、金属からなる基材の上に形成された炭化物層からなることを特徴とする。
本発明の排気系部品では、排ガスが接触する側の表面が炭化物層からなる。
炭化物層は、尿素水が付着しにくい素材である離尿素水材からなる層であるといえる。そのため、尿素水を含む排ガスが離尿素水材からなる炭化物層と接触しても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
排ガスの流れに乗った尿素水は再び触媒担体に向かって流れていき、アンモニア源として供給される。
すなわち、本発明の排気系部品を、尿素SCRシステムにおいて窒素酸化物を含む排ガスと接触する部位に設けた場合には、排気系部品の表面に尿素が堆積することを防止することができる。
なお、炭化物層には、製造上発生し得るピンホールが含まれていても構わない。
炭化物層は表面にOH基(水酸基)が少ないため、OH基を介した尿素水と炭化物層の結合力は小さい。よって、尿素水は排ガスの圧力等によって炭化物層の表面から離れやすいと考えられる。
なお、金属からなる基材の表面には金属酸化物層があることが通常であり、OH基を有しやすい状態となっていると考えられる。そして、OH基は尿素水と結合しやすいので、金属からなる基材の表面では、炭化物層に比べて尿素水が結合しやすくなる。
また、金属からなる基材の表面にあるOH基をブロックするように炭化物層を形成しておくことにより、尿素水が結合し得る、金属からなる基材の表面にあるOH基の数を減らすことができて、この点からも排気系部品の表面に尿素水が付着することが防止される。
本発明の排気系部品は、上記基材と、
上記基材の表面上で排ガスと接触する側の面に形成されたセラミックコート層と、
上記セラミックコート層の上に形成された炭化物層とからなることが好ましい。
セラミックコート層は、金属からなる基材の上に設けることで好ましい断熱コーティングとなるため、排気系部品表面の温度が低下しにくくなり、尿素の析出が効果的に防止される。
また、セラミックコート層が存在すると、セラミックコート層と金属からなる基材の密着力が高くなるのに加え、セラミックコート層と炭化物層の間の密着力が高くなるので、剥がれにくい炭化物層を形成することができる。
これは、セラミックコート層と炭化物層の界面においてお互いの層にそれぞれの成分の一部が拡散することができるためである。
すなわち、セラミックコート層を介することによって、金属からなる基材と、炭化物層との間の密着力を向上させることができる。
また、セラミックコート層がノリ材となるから金属からなる基材と、炭化物層との間の密着力を向上させることができる。
本発明の排気系部品において、上記セラミックコート層は、非晶性無機材及び結晶性無機材を含むことが好ましい。
非晶性無機材及び結晶性無機材を含むセラミックコート層は、金属からなる基材の上に設けることでより好ましい断熱コーティングとなるため、排気系部品表面の温度がより低下しにくくなり、尿素の析出がより効果的に防止される。
本発明の排気系部品において、上記非晶性無機材は、軟化点が300〜1000℃の低融点ガラスであることが好ましい。
非晶性無機材が上記低融点ガラスであると、軟化点を超える温度で加熱することにより非晶性無機材が軟化溶融して基材の表面に広がってセラミックコート層となる。
また、本発明の排気系部品において、上記セラミックコート層内には気孔が形成されていることが好ましい。
セラミックコート層内に気孔が形成されていると、セラミックコート層の断熱性能がより高くなるため、排気系部品表面の温度がさらに低下しにくくなり、尿素の析出がさらに効果的に防止される。
本発明の排気系部品は、上記基材と、
上記基材を表面処理することにより設けられた炭化物層とからなることが好ましい。
金属からなる基材を表面処理することにより設けられた炭化物層も、離尿素水材として機能し、尿素水の付着及び尿素の堆積を防止することができる。
本発明の排気系部品では、上記炭化物層が、カーボン又は炭化タングステンからなることが好ましい。
カーボン又は炭化タングステンは、尿素水が表面に付着することを防止するのに適した素材である。また、耐熱性も高いため、高温の排ガスが流通する側の面に設ける材料として適している。
本発明の排気系部品は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路として用いられる筒状部材であることが好ましい。
本発明の排気系部品を排気通路として用いると、排気通路の表面に尿素が堆積することが防止される。
本発明の排気系部品は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路の内部に設置され、排気通路上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材であることが好ましい。
本発明の排気系部品を拡散部材として用いると、拡散部材の表面に尿素が堆積することが防止される。
本発明の排ガス浄化装置は、
窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路と、
上記排気通路の上流側に設けられ、尿素水を排気通路内に噴射する尿素水噴射装置と、
上記排気通路の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置であって、
上記尿素水噴射装置よりも下流側、かつ、上記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に本発明の排気系部品が用いられていることを特徴とする。
上記構成の排ガス浄化装置では、排気通路の上流側に尿素水噴射装置、排気通路の下流側に排ガス浄化装置が設けられている。
そして、尿素水噴射装置よりも下流側、かつ、触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に本発明の排気系部品が用いられている。
このような構成であると、尿素水噴射装置から排気通路内に噴射された尿素水を含む排ガスが尿素水噴射装置と触媒担体の間の領域で炭化物層と接触したとしても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
そのため、尿素水噴射装置と触媒担体の間に位置する排気系部品の表面に尿素が堆積することが防止される。
本発明の排ガス浄化装置においては、上記排気通路として、本発明の排気系部品を用いていることが好ましい。
排気通路が本発明の排気系部品からなると、排気通路の表面に接触した尿素水が排気通路の表面で炭化物層と接触したとしても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
そのため、尿素水噴射装置と触媒担体の間に位置する排気通路の表面に尿素が堆積することが防止される。
本発明の排ガス浄化装置においては、上記排気通路の内部に設置され、排気通路上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材として、本発明の排気系部品を用いていることが好ましい。
拡散部材が本発明の排気系部品からなると、尿素水を含む排ガスが拡散部材の表面で炭化物層と接触したとしても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
そのため、排気通路の内部に設置された拡散部材の表面に尿素が堆積することが防止される。
図1は、本発明の排気系部品の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の排気系部品の別の一例を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の排気系部品の別の一例を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の排気系部品の一実施形態である排気管の一例を模式的に示す斜視図である。 図5は、本発明の排気系部品の一実施形態である排気管の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図6は、本発明の排気系部品として排気管を備えた排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明の排気系部品の一実施形態である拡散部材の一例を模式的に示す斜視図である。 図8は、本発明の排気系部品の一実施形態である拡散部材の一例を模式的に示す斜視図である。 図9は、本発明の排気系部品の一実施形態である拡散部材の一例を模式的に示す斜視図である。 図10は、本発明の排気系部品の一実施形態である拡散部材の一例を模式的に示す斜視図である。 図11は、本発明の排気系部品の一実施形態である拡散部材の一例を模式的に示す斜視図である。 図12は、本発明の排気系部品の一実施形態である拡散部材の一例を模式的に示す斜視図である。 図13は、本発明の排気系部品として拡散部材と排気管を共に備えた排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。 図14(a)は、本発明の排気系部品の一実施形態である煙道の一例を模式的に示す斜視図であり、図14(b)は図14(a)におけるA−A線断面図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の排気系部品及び排ガス浄化装置について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
はじめに、本発明の排気系部品について説明する。
本発明の排気系部品は、
窒素酸化物を含む排ガスと接触する部位に設けられる排気系部品であって、
排ガスと接触する側の表面は、金属からなる基材の上に形成された炭化物層からなることを特徴とする。
本発明の排気系部品は、窒素酸化物を含む排ガスと接触する部位に設けられる部品である。
窒素酸化物を含む排ガスの発生源は、特に限定されるものではないが、窒素酸化物を含む排ガスの発生源としては、車両、船舶、建設機械等に使用されるディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関、セメントプラント、発電所等の工場等が挙げられる。
排ガスの発生源が異なっていたとしても、本発明の排気系部品の構成は、排ガスと接触する側の表面が炭化物層からなる点では共通しているので、本発明の排気系部品を構成する炭化物層の構成例について、図面を用いて説明する。
この際に、排気系部品の基材の好ましい構成についても合わせて説明する。
図1は、本発明の排気系部品の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す排気系部品10は、基材11と、基材11の表面上に形成された炭化物層12とを備えている。
図1に示す排気系部品10は、炭化物層12が、基材11の表面上に直接、基材11とは別の層として形成された形態である。
基材の材質としては、金属であれば特に限定されるものではないが、例えば、ステンレス、鋼、鉄、銅等、又は、インコネル、ハステロイ、インバー等のニッケル合金等が挙げられる。
炭化物層としては、炭化物系セラミックからなる層が挙げられる。具体的には、SiC、WC、TiC、TaC、ZrC、VC、HfC、BC、MoC、NbC及びCr等が挙げられる。また、カーボンからなる層も好ましい。
これらのなかでは、カーボン又は炭化タングステン(WC)からなる層がより好ましい。
炭化物層は、基材に蒸着、スパッタリング、溶射、コールドスプレー等の処理を行うことによって形成することができる。カーボンからなる炭化物層を形成する場合は蒸着が好ましく、炭化タングステンからなる炭化物層を形成する場合は溶射が好ましい。
基材の表面上に直接、基材とは別の層として炭化物層を形成する場合、その厚さは特に限定されるものではないが、0.01〜50μmであることが好ましい。
図2は、本発明の排気系部品の別の一例を模式的に示す断面図である。
図2に示す排気系部品20は、基材11と、基材11の表面を表面処理することにより設けられた炭化物層13とを備えている。
金属からなる基材を炭化処理することにより炭化物層を設けることが好ましい。
基材としては炭化処理に適した金属材料を用いることが好ましい。例えば、ステンレス、鋼、鉄、銅等の金属、又は、インコネル、ハステロイ、インバー等のニッケル合金等が挙げられる。また、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼等も炭化処理に適している。
そして、炭化物層が、基材を構成する金属が炭化処理されてなる炭化処理金属層であることがより好ましい。
金属からなる基材を炭化処理する方法としては、浸炭処理が挙げられる。浸炭処理の具体的な方法としては、固体浸炭、ガス浸炭、液体浸炭、真空浸炭(真空ガス浸炭)、プラズマ浸炭(イオン浸炭)等の方法が挙げられる。
固体浸炭は、木炭を炭素源とし、炭化処理する対象の金属を炭素と共に密閉し同時に加熱することによって発生する一酸化炭素を炭素源として浸炭を行う方法である。
液体浸炭は、シアン化ナトリウムを主成分とする無機塩を高温で溶融させた塩浴によって浸炭を行う方法である、
ガス浸炭は、二酸化炭素・水素・メタン・水蒸気などを主成分とするガスによって浸炭を行う方法である。
真空浸炭(真空ガス浸炭)は、真空引きした後、ガス浸炭用のガスを注入して加熱することによって浸炭を行う方法である。
プラズマ浸炭(イオン浸炭)は、真空引きして、ガス浸炭用のガスを注入した後に高電圧をかけ、グロー放電によってガスをプラズマ化して浸炭を行う方法である。
基材の表面を表面処理することにより炭化物層を形成する場合、その厚さは特に限定されるものではないが、0.01〜50μmであることが好ましい。
図3は、本発明の排気系部品の別の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示す排気系部品30は、基材11と、基材11の表面上に形成されたセラミックコート層32と、セラミックコート層32の上に形成された炭化物層35とを備えている。
基材としては、図1に示す排気系部品を構成する基材として説明した材料を使用することができる。具体的には、金属であることが好ましく、例えば、ステンレス、鋼、鉄、銅等の金属、又は、インコネル、ハステロイ、インバー等のニッケル合金等が挙げられる。
図3に例示するセラミックコート層32は非晶性無機材33と結晶性無機材34を含んでおり、セラミックコート層32内には気孔36が形成されている。但し、本発明の排気系部品に形成されるセラミックコート層は上記構成に限定されるものではないので、以下、本発明の排気系部品に形成されるセラミックコート層の好ましい形態について説明する。
本発明の排気系部品に形成されるセラミックコート層は、非晶性無機材を含むことが好ましく、非晶性無機材と結晶性無機材を含むことがより好ましく、非晶性無機材の層と、非晶性無機材の層の内部に分散した結晶性無機材の粒子からなることがさらに好ましい。
また、セラミックコート層には気孔が形成されていることが好ましい。
セラミックコート層に気孔が形成されていると、気孔が内部の熱伝導を妨げるため、優れた断熱特性が得られる。
気孔は、後述する造孔材によって、その気孔率及び平均気孔径を調整することができ、セラミックコート層の気孔率は、10〜80%であることが好ましい。
セラミックコート層の気孔率が10〜80%であり、これら気孔が良好に分散していると、セラミックコート層中の熱の伝達を気孔により効果的に遮断することができ、良好な断熱性を維持することができる。
また、セラミックコート層の気孔率は、セラミックコート層の重量と膜厚計(デュアルスコープ)で測定したセラミックコート層の厚さから嵩密度を算出し、ピクノメータで算出した真密度との比を算出し、その値を1から引いて、百分率とした値を気孔率として算出することができる。
セラミックコート層の気孔率が10%未満であると、気孔の割合が少なすぎるため、断熱性が劣化してしまうことがある。一方、セラミックコート層の気孔率が80%を超えると、気孔の割合が多くなりすぎるため、機械的強度の低下及び気孔同士の合体による断熱性能の低下がおこりやすくなる。
以下に、セラミックコート層を構成する非晶性無機材について説明する。
非晶性無機材は、シリカを含む非晶性無機材であることが好ましく、シリカを35重量%以上含有していることがより好ましく、軟化点が300〜1000℃である低融点ガラスであることが更に好ましい。
上記低融点ガラスの種類は特に限定されるものではないが、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、チタンクリスタルガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、アルミナ珪酸ガラス、ソーダ亜鉛ガラス、ソーダバリウムガラス等が挙げられる。
これらのガラスは、単独で用いてもよいし、2種類以上が混合されていてもよい。
非晶性無機材の軟化点が300〜1000℃の範囲にあると、低融点ガラスを融解させて基材(金属材料)の表面に塗布(コート)した後、加熱、焼成処理を施すことにより、金属からなる基材の表面上にセラミックコート層を容易に、しかも基材との密着性に優れたセラミックコート層を形成することができる。
上記低融点ガラスの軟化点が300℃未満であると、軟化点の温度が低すぎるため、加熱処理の際に、セラミックコート層となる層が溶融等により流れ易く、均一な厚さの層を形成することが難しくなる。一方、上記低融点ガラスの軟化点が1000℃を超えると、逆に、加熱処理の温度を極めて高く設定する必要があるため、加熱により基材の機械的特性が劣化するおそれが生じる。
なお、軟化点は、JIS R 3103−1:2001に規定される方法に基づき、例えば、有限会社オプト企業製の硝子自動軟化点・歪点測定装置(SSPM−31)を用いて測定することができる。
上記硼珪酸ガラスの種類は、特に限定されないが、SiO−B−ZnO系ガラス、SiO−B−Bi系ガラス等が挙げられる。上記クリスタルガラスは、PbOを含むガラスであり、その種類は特に限定されないが、SiO−PbO系ガラス、SiO−PbO−B系ガラス、SiO−B−PbO系ガラス等が挙げられる。上記バリウムガラスの種類は、特に限定されないが、BaO−SiO系ガラス等が挙げられる。
また、非晶性無機材は、上述した低融点ガラスのうちの一種類のみからなるものであってもよいし、複数種類の低融点ガラスからなるものであってもよい。
続いて、結晶性無機材について説明する。
セラミックコート層中に結晶性無機材が存在していると、セラミックコート層が高温になった際に、結晶性無機材の粒子が気孔の移動の障害となって気孔の移動が妨げられるため、気孔の合体により断熱性能が低下することを防止することができる。
結晶性無機材としては、ジルコニアを含有していることが好ましく、ジルコニアを20重量%以上含有していることがより好ましく、ジルコニアを50重量%以上含有していることがさらに好ましい。
ジルコニアを含有する結晶性無機材としては、具体的には、CaO安定化ジルコニア(5wt%CaO−ZrO、8wt%CaO−ZrO、31wt%CaO−ZrO)、MgO安定化ジルコニア(20wt%MgO−ZrO、24wt%MgO−ZrO)、Y安定化ジルコニア(6wt%Y−ZrO、7wt%Y−ZrO、8wt%Y−ZrO、10wt%Y−ZrO、12wt%Y−ZrO、20wt%Y−ZrO)、ジルコン(ZrO−33wt%SiO)、CeO安定化ジルコニア等が挙げられる。
これらの中では、耐熱性及び耐腐食性に優れ、25℃での熱伝導率が4W/mK以下であるジルコニア、Y安定化ジルコニア、CaO安定化ジルコニア、MgO安定化ジルコニアが好ましい。
結晶性無機材は、既に説明した非晶性無機材の軟化点よりも高い軟化点を有していることが好ましく、具体的には、結晶性無機材は950℃以上の軟化点を有していることが好ましい。
また、結晶性無機材の粒子は、セラミックコート層を機械的に強化する役割を果たすとともに、耐熱性に優れるので、セラミックコート層が耐熱性に優れるとともに、機械的強度の劣化によりクラック等が発生するのを防止することができる。
セラミックコート層の厚さは、5〜2000μmであることが好ましく、50〜2000μmであることがより好ましい。
セラミックコート層の厚さが5μm未満であると、セラミックコート層の厚さが薄すぎるため、排気系部品として使用した際に、充分な断熱性能を発揮できなくなる。一方、セラミックコート層の厚さが2000μmを超えると、セラミックコート層が厚すぎるため、熱衝撃を受けた際に、セラミックコート層の基材との接合面と、雰囲気に露出している表面との温度差が大きくなり易く、セラミックコート層が破壊され易くなる。
セラミックコート層の25℃における熱伝導率は、0.05〜2W/mKが好ましい。
セラミックコート層の25℃における熱伝導率が0.05〜2W/mKであると、本発明の排気系部品は、断熱性に優れており、高温においても、熱伝導率が上がりにくいので、排気ガス等の温度が低下するのを防止することができる。
セラミックコート層の25℃における熱伝導率が0.05W/mK未満のセラミックコート層を実現するのは、技術的観点及び経済的観点の両者のバランスを考慮すると容易ではない。一方、セラミックコート層の25℃における熱伝導率が2W/mKを超えると、低温領域での保温性が不充分となり、例えば、尿素SCRシステムに用いた場合、排ガスの温度が低下してしまってNOxの還元が充分に進行しないことがある。
なお、セラミックコート層の25℃における熱伝導率は、レーザーフラッシュ法によって測定することができる。
レーザーフラッシュ法によるセラミックコート層の熱伝導率の測定は、熱拡散係数(α)を測定することにより行う。熱伝導率(k)は、測定した熱拡散係数(α)と、比熱容量(Cp)と密度(ρ)から算出される値である。
熱拡散係数の測定は下記条件で行うことができる。
測定装置:NETZSCH製 LFA467
表面処理:グラファイトスプレー
測定温度:25℃
測定雰囲気:N
サンプルサイズ:φ10mm、厚さ=2mm
セラミックコート層の熱拡散係数を測定する際は、基材と一体の状態で測定し、多層解析によりセラミックコート層のみの熱拡散係数を算出する。また、セラミックコート層の熱拡散係数を測定する時は、セラミックコート層に垂直にレーザーが照射されるようにサンプルを設置する。
熱伝導率は下記式から算出する。
k=ρ・Cp・α[W/mK]
<かさ密度(ρ)の測定>
セラミックコート層のかさ密度を求める場合、まずは基材の重量を測定し、その後に基材の上にセラミックコート層を形成してセラミックコート層付き基材の重量の測定から、引き算でセラミックコート層の重量(=A)を測定する。その後、セラミックコート層の膜厚から、セラミックコート層の体積(=B)を算出し、A/Bをかさ密度とする。
<比熱容量(Cp)の測定>
比熱容量の測定は下記条件で行うことができる。
測定装置:セイコー電子工業製 DSC210型
測定温度:25℃
測定方法:DSC法
測定雰囲気:Ar
セラミックコート層の比熱容量を測定する際は、セラミックコート層をφ4mm、厚さ1mmのバルク体に成形して測定を実施することができる。
炭化物層35としては、図1に示す排気系部品10を構成する炭化物層12として説明した材料を使用することができる。
炭化物層としては、炭化物系セラミックからなる層が挙げられる。具体的には、SiC、WC、TiC、TaC、ZrC、VC、HfC、BC、MoC、NbC及びCr等が挙げられる。また、カーボンからなる層も好ましい。
これらのなかでは、カーボン又は炭化タングステン(WC)からなる層がより好ましい。
これらの材料からなる炭化物層は、セラミックコート層に蒸着、スパッタリング、溶射等の処理を行うことによって形成することができる。
また、非晶性無機材と炭化物層となる材料(炭化物系セラミック)を混合してなるスラリーを調製し、セラミックコート層の上にスラリーを塗布した後に乾燥、焼成することによってもセラミックコート層の上に炭化物層を形成することができる。
セラミックコート層の上に炭化物層を形成する場合、その厚さは特に限定されるものではないが、0.01〜50μmであることが好ましい。
本発明の排気系部品を構成可能な基材の好ましい態様は、図1、図2及び図3に示した排気系部品のいずれでも共通であるので以下に説明する。
基材には、炭化物層、又は、セラミックコート層との密着性を良好にするため、サンドブラスト処理や化学薬品等の粗化処理を基材の表面に施してもよい。
上記粗化処理により形成される基材の粗化面の表面粗さRzJISは、1.5〜20μmが望ましい。上記した粗化面の表面粗さRzJISは、JIS B 0601(2001)で定義される十点平均粗さである。
特に、基材の表面にセラミックコート層を設ける場合に上記表面粗さであることが好ましい。
排気系部品の基材の粗化面の表面粗さRzJISが1.5μm未満であると、基材の表面積が小さくなるため、基材とセラミックコート層の密着性が充分に得られにくくなる。一方、排気系部品の基材の粗化面の表面粗さRzJISが20μmを超えると、基材が変形するという問題があり、特に粗化面積が大きいほど基材の変形は大きくなる。
なお、排気系部品の基材の粗化面の表面粗さRzJISは、(株)東京精密製、ハンディサーフE−35Bを用いてJIS B 0601(2001)に準拠して測定することができる。測長距離は、4mmである。
基材の形状は、特に限定されるものでなく、平板、半円筒、円筒状の他、その断面の外縁の形状は、楕円形、多角形等の任意の形状とすることができる。
後述する排気通路として用いられる場合、筒状であることが好ましい。
排気系部品の基材が筒状である場合、基材の径が長手方向に沿って一定でなくてもよく、また、長さ方向に垂直な断面形状が長手方向に沿って一定でなくてもよい。
また、拡散部材として用いられる場合、排ガスの流れを一部阻害することのできる形状であることが好ましい。
本発明の排気系部品において、基材の厚さの望ましい下限は0.2mm、より望ましい下限は0.4mmであり、望ましい上限は10mm、より望ましい上限は4mmである。
排気系部品の基材の厚さが0.2mm未満であると、排気系部品の強度が不足する。また、排気系部品の基材の厚さが10mmを超えると、排気系部品の重量が大きくなり、例えば、自動車等の車輌に搭載することが難しくなり、実用に適しにくくなる。
ただし、セメントプラント等の工場の煙道に用いられるような排気系部品の場合は、基材の厚さがより厚くなっていてもよい。
排気系部品を構成する炭化物層は、排ガスと接触する側の面に形成されている。排ガスと接触する側の面は、排気系部品が配置される部位によって定まるが、通常は排気系部品の形状から自ずと定まる。
排気系部品が排気通路として用いられる筒状部材である場合、その内部を排ガスが流通する内周面が排ガスと接触する側の面である。
排気系部品が拡散部材として用いられる場合、排ガスが衝突、接触する部位にあたる面が排ガスと接触する側の面である。
本発明の排気系部品の例として、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路が挙げられるが、排気通路の具体例として、車両、船舶、建設機械等に使用されるディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関から排出される排ガスが流通する排気管、及び、排気管を備えた排ガス浄化装置の例について説明する。
図4は、本発明の排気系部品の一実施形態である排気管の一例を模式的に示す斜視図である。
図4に示す排気管50は円筒状の筒状部材であり、円筒状の基材11の内周面が炭化物層12からなるので、炭化物層12は排ガスが流通する側の面に形成されているといえる。
炭化物層12は、尿素水が付着しにくい素材である離尿素水材からなる層であるので、尿素水を含む排ガスが離尿素水材からなる炭化物層と接触したとしても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
図5は、本発明の排気系部品の一実施形態である排気管の別の一例を模式的に示す斜視図である。
図5に示す排気管60は、コーン形状の筒状部材であり、その径が第1の端面61から他方の端面62に向かって小さくなっている他は図4に示す排気管50と同様の筒状部材である。
この排気管60においても基材11の内周面に炭化物層12が形成されているので、炭化物層12は排ガスが接触する側の面に形成されているといえる。
そして、炭化物層12は、尿素水が付着しにくい素材である離尿素水材からなる層であるので、尿素水を含む排ガスが離尿素水材からなる炭化物層と接触したとしても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
続いて、本発明の排気系部品の一実施形態である排気管を排気通路として用いた本発明の排ガス浄化装置について説明する。
図6は、本発明の排気系部品として排気管を備えた排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
排ガス浄化装置100においては、触媒担体400の周囲に保持シール材300が巻き付けられ、排気管内に配置されている。
排気管は、円筒形状の排気管50a、コーン形状の排気管60、円筒形状の排気管50bが組み合わされて図6のような断面形状となっており、排気管50bの内径は排気管50aの内径よりも大きくなっている。
図6には排ガスの流れを矢印Gで示しており、図6において左側が排気管の上流側に相当し、右側が下流側に相当する。
そして、排気管の上流側には尿素水噴射装置500が設けられており、尿素水噴射装置500よりも下流側、かつ、触媒担体400よりも上流側に位置する排気管が本発明の排気系部品としての排気管となっている。すなわち、尿素水噴射装置500よりも下流側、かつ、触媒担体400よりも上流側に位置する排気管50a、排気管60及び排気管50bでは、排ガスが接触する部位に炭化物層12が設けられている。
尿素水噴射装置500から噴射された尿素水は、尿素水を含む排ガスとなって排気管(50a、60、50b)内を流れる。そして、尿素水を含む排ガスは、尿素水噴射装置500と触媒担体400の間の領域で排気管(50a、60、50b)に形成された炭化物層12と接触する。炭化物層12は、尿素水が付着しにくい素材である離尿素水材からなる層であるので、尿素水を含む排ガスが離尿素水材からなる炭化物層と接触したとしても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
さらに、排気管(50a、60、50b)にセラミックコート層(図3参照)が形成され、その上に炭化物層が形成された構成であると、断熱性能に優れており、排ガス温度低下を抑制することができ、排気系部品の表面に尿素が析出することを防止できる。
尿素水噴射装置500と触媒担体400の間の領域で排気管(50a、60、50b)の表面に尿素が堆積することが防止されるので、尿素及び尿素が分解して生じたアンモニアが無駄なく排ガス流入側端面400aから触媒担体400の内部に導入され、窒素酸化物の還元分解が行われる。
なお、排ガス浄化装置に用いられる触媒担体としては、セラミック製のハニカム触媒等、従来からこの分野で用いられている触媒担体を使用することができる。
本発明の排気系部品の例として、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路の内部に設置され、排気通路上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材が挙げられる。
以下、拡散部材の具体例について説明する。
図7、図8、図9、図10、図11及び図12は、本発明の排気系部品の一実施形態である拡散部材の一例をそれぞれ模式的に示す斜視図である。
拡散部材の形状については、排気通路の内部に配置され、排気通路上流から流入する排ガスの流れを一部阻害することができれば、特に限定されず、例えば、図7に示す形状が挙げられる。
図7は、拡散部材の一例を模式的に示す斜視図である。
図7に示す拡散部材110は、円筒形の外縁部111と、該外縁部111の略中央から放射状に延びる複数の翼112からなり、翼112は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いている。
そのため、拡散部材110に流入する排ガスは、排ガス流入側端面110aから拡散部材110内部に流入し、翼112によってその流路の一部が阻害されて、旋回方向に力が加わり、排ガス流出側端面110bから流出する。そのため、拡散部材110の排ガス流出側では、排ガスに旋回方向の流れが発生することとなり、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
拡散部材110には、排ガスが接触する部位に炭化物層12が設けられているので、拡散部材110の表面に尿素が堆積することが防止される。
図8は、本発明の拡散部材の別の一例を模式的に示す斜視図であり、図9、図10及び図12は本発明の拡散部材のさらに別の一例を模式的に示す斜視図であり、図11は、本発明の拡散部材のさらに別の一例を排ガス流出側端面からみた斜視図である。
これらの拡散部材においても、排ガスが接触する部位に炭化物層12が設けられているので、拡散部材の表面に尿素が堆積することが防止される。この作用はどの拡散部材であっても同様であるのでその説明は省略し、拡散部材の形状のみ説明する。
図8に示す拡散部材120は、円筒形の外縁部121と、該外縁部121の略中央から渦巻状に延びる複数の翼122からなり、翼122は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いている。
拡散部材120は、図7に示した拡散部材110と同様に、拡散部材内部を通過した排ガスに旋回方向の回転を加えるため、排ガスが混合され、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
図9に示す拡散部材130は、円筒形の外縁部131と、該外縁部131の内面から該外縁部の略中央に向かって突出する複数の翼132からなり、翼132は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いている。
拡散部材130の外縁部131の中央部には翼132が配置されていないが、拡散部材130を通過する排ガスの全ての流路を妨げることは必須ではないため、拡散部材130のような形状であっても、充分に排ガスを混合することができ、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
図10に示す拡散部材140は、円盤状の基材の表面に表裏を貫通する孔141が複数個形成されている。
拡散部材140を通過する排ガスは、必然的に孔141を通過することとなるため、孔141の通過時に排ガスの流れが乱されて排ガスが混合されるため、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
図11に示す拡散部材150は、円筒形の外縁部151の内側に、排ガスが衝突した際にその移動方向を所定の方向に変更させる突起152と、突起152とは異なる方向に排ガスの移動方向を変更する突起153とが形成されている。
拡散部材150を通過する排ガスは、排ガス流入側端面150aから拡散部材150内部に流入して、排ガス流出側端面150bから流出する。この時、排ガスは突起152又は突起153に衝突することとなるが、突起152に衝突した排ガスが移動する方向と突起153に衝突した排ガスが移動する方向が異なるため排ガスが混合され、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
図12に示す拡散部材160は、円筒形の外縁部161と、孔164を有するドーナツ形の板部163と、該板部163の内面から該板部163の略中央に向かって渦巻状に延びる複数の翼162からなり、翼162は排ガスの通過方向に対して所定の角度傾いている。
拡散部材160は、翼162を有しているために、図7に示した拡散部材110と同様に、拡散部材内部を通過した排ガスに旋回方向の回転を加える。さらに、板部163に形成された孔164を排ガスが通過することによって、図10に示した拡散部材140と同様に排ガスの流れに乱れが生じて排ガスが混合され、排ガス中に含まれる成分の偏りを低減することができる。
拡散部材の形状は上述したものに限定されず、例えば、図10に示した孔はその大きさや形状が異なっていてもよいし、必ずしも等間隔で配置されている必要はない。図7、図8、図9、図10、図11及び図12に記載の翼、孔及び突起の形状はそれぞれ任意に組み合わせることが可能である。
また、拡散部材は基本的に可動部を有しないが、排ガスの圧力が高まった際にこれを開放し、新たな排ガスの流路を形成するための弁等を有していてもよい。
図13は、本発明の排気系部品として拡散部材と排気管を共に備えた排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
図13に示す排ガス浄化装置200の構成は、図6に示す排ガス浄化装置100とほぼ同じであるが、排気管内に拡散部材110が設けられている。
拡散部材110は、尿素水噴射装置500の下流側で、触媒担体400の上流側に配置されている。
尿素水噴射装置から噴射された尿素水を含む排ガスは、拡散部材110を通過する際に、その流れの一部が阻害されて、旋回方向に回転する(排ガスの流れを矢印Gで模式的に示す)。
従って、拡散部材110を通過した排ガスは、旋回しながら排気管内を流通するため、排ガスが触媒担体400の排ガス流入側端面400aに到達する際には、排ガス中の成分の偏り及び/又は温度分布の偏りが低減されることとなる。
そして、尿素水噴射装置500から噴射された尿素水は、排ガス中に充分に分散した状態で触媒担体400へと到達するため、尿素SCRシステムを充分に作用させることができる。
また、拡散部材110には炭化物層12が形成されており、炭化物層は尿素水が付着しにくい素材である離尿素水材からなる層であるので、尿素水を含む排ガスが離尿素水材からなる炭化物層と接触したとしても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
さらに、拡散部材110にセラミックコート層(図3参照)が形成され、その上に炭化物層が形成された構成であると、断熱性能に優れており、排ガス温度低下を抑制することができ、拡散部材の表面に尿素が析出することを防止できる。
また、排ガス浄化装置200には本発明の排気系部品からなる排気管(50a、60、50b)も設けられているので、尿素が排気管の表面に堆積することも防止される。
本発明の排気系部品の例として、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路が挙げられるが、排気通路の具体例として、上述した排気管ではなく、セメントプラント等の工場等から排出される煙が通る煙道の例について以下に説明する。
図14(a)は、本発明の排気系部品の一実施形態である煙道の一例を模式的に示す斜視図であり、図14(b)は図14(a)におけるA−A線断面図である。
図14(a)では、セメントプラント等の工場から排出された、窒素酸化物を含む排ガスGが矢印(実線及び点線)の向きに、触媒担体400に向かって流れる。
排ガスGが流れる排気通路である、角筒状の筒状部材が煙道70であり、排気通路の上流側には煙道70内に尿素水を噴射する尿素水噴射装置500が設けられている。
本発明の排気系部品は、尿素水噴射装置500の下流側に設けられており、角筒状の筒状部材である基材11の内周面に炭化物層12が形成された煙道70である。
煙道70の内部を窒素酸化物を含む排ガスが尿素水ともに流通する際に、尿素水を含む排ガスが離尿素水材からなる炭化物層と接触したとしても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
すなわち、排気通路としての排気管の例で説明した場合と同様に、工場等からの排ガスが流れる煙道として本発明の排気系部品を使用した場合であっても、本発明の効果を発揮することができる。
また、本発明の排気系部品としての拡散部材を排気通路としての煙道内に配置してもよい。
なお、煙道に配置される触媒担体としては、セラミック製のハニカム触媒等、従来からこの分野で用いられている触媒担体を使用することができる。
次に、本発明の排気系部品の製造方法の例について説明する。
まず、基材を準備する。
基材を構成する材料は、本発明の拡散部材の説明において説明したので省略する。
基材を円筒状、角筒状等の排気通路の形状や、図7等に示した拡散部材の形状に加工したものを準備する。
続いて、必要に応じて、基材の表面の不純物を除去するために洗浄処理を行ってもよい。上記洗浄処理としては特に限定されず、従来公知の洗浄処理を用いることができ、具体的には、例えば、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行う方法等を用いることができる。
また、上記洗浄処理後には、必要に応じて、基材の表面の比表面積を大きくしたり、基材の表面の粗さを調整したりするために、基材の表面に粗化処理を施してもよい。具体的には、例えば、サンドブラスト処理、エッチング処理、高温酸化処理等の粗化処理を施してもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
この粗化処理後に、さらに洗浄処理を行ってもよい。
準備した基材に、必要に応じてセラミックコート層を形成した後、炭化物層を形成する。
図1に示す排気系部品10のように、基材の表面上に直接、基材とは別の層として炭化物層を形成する場合、炭化物層は、基材に蒸着、スパッタリング、溶射等の処理を行うことによって形成することができる。カーボンからなる炭化物層を形成する場合は蒸着が好ましく、炭化タングステンからなる炭化物層を形成する場合は溶射が好ましい。
図2に示す排気系部品20のように、基材の表面を表面処理することにより炭化物層を形成する場合、固体浸炭、ガス浸炭、液体浸炭、真空浸炭(真空ガス浸炭)、プラズマ浸炭(イオン浸炭)等の方法により炭化処理金属層を形成することができる。
図3に示す排気系部品30を製造する場合は、セラミックコート層の形成と、炭化物層の形成を行う。
まず、セラミックコート層を形成するための原料組成物を準備する。
セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物は、非晶性無機材を含むことが好ましく、さらに結晶性無機材及び/又は造孔材を含むことがより好ましい。
非晶性無機材の種類、材料、材質、その他特性については、既に説明したので省略する。
セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物を調製する際には、各原料を調合した後、湿式粉砕を行うが、非晶性無機材の粉末は、最初に適当な粒子径に調節したものを用い、原料の調合後、湿式粉砕により目的の粒子径のものを得ることが好ましい。
結晶性無機材についても、その種類、材料、材質、その特性等については、既に説明したので省略する。セラミックコート層の形成に用いられる原料組成物を調製する際には、各原料を調合した後、湿式粉砕を行うが、結晶性無機材の場合も、最初に適当な粒子径に調節したものを用い、原料の調合後、湿式粉砕により目的の粒子径のものを得ることが好ましい。
セラミックコート層全体の重量(非晶性無機材と結晶性無機材の合計重量)100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量は5〜60重量部であることが好ましい。
セラミックコート層全体の重量に対して、このような重量割合の結晶性無機材の粒子を使用することにより、製造された排気系部品を構成する非晶性無機材の層中に結晶性無機材の粒子が適切な割合で分散し、セラミックコート層の耐熱性、断熱性を担保することができる。セラミックコート層全体の重量100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量は10〜40重量部に設定されていることがより好ましい。
セラミックコート層全体の重量100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量が5重量部未満であると、非晶性無機材の層中に分散する結晶性無機材の粒子の量が少ないため、高温域で内部に分散している気孔が移動し易くなり、断熱性が低下する。
一方、セラミックコート層全体の重量100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量が60重量部を超えると、相対的に非晶性無機材の量が少なくなるため、塗膜の形成(セラミックコート層の形成)が難しくなり、基材からの剥離が発生し易くなる。
続いて、造孔材について説明する。
造孔材は、基材表面に上記原料組成物を用いて塗膜を形成した後、加熱、焼成によりセラミックコート層を形成した際、セラミックコート層内に気孔を形成するために用いられる。
上記造孔材としては、例えば、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーン、球状アクリル粒子、グラファイト等のカーボン、炭酸塩、発泡剤等を用いることができるが、本発明においては、形成されたセラミックコート層は、高い断熱性能を有することが好ましく、そのためには、気孔は、なるべく小さい径のものが均一に分散していることが好ましい。
このような観点から、造孔材は、カーボン、炭酸塩又は発泡剤が好ましい。
炭酸塩、発泡剤としては、CaCO、BaCO、NaHCO、NaCO、(NHCO等が挙げられる。
さらに、これらの造孔材のなかでは、グラファイト等のカーボンが好ましい。カーボンは、粉砕等の処理により、原料組成物中に細かい粒子として分散させることができ、加熱、焼成により分解し、好適な気孔径を有する気孔を形成することができるからである。
原料組成物には、非晶性無機材、結晶性無機材、造孔材のほかに、分散媒、有機結合材等を配合してもよい。
上記分散媒としては、例えば、水や、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒等が挙げられる。原料組成物に含まれる混合粉末又は非晶性無機材の粉末と分散媒との配合割合は、特に限定されるものでないが、例えば、非晶性無機材の粉末100重量部に対して、分散媒が50〜150重量部であることが好ましい。基材に塗布するのに適した粘度となるからである。
原料組成物に配合することのできる有機結合材としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、分散媒と有機結合材とを併用してもよい。
さらに、炭化物層となる材料(炭化物系セラミック)を含むスラリー(炭化物系セラミック含有スラリーともいう)を、原料組成物とは別途準備する。
炭化物系セラミックの種類、材料、材質、その他特性については、既に説明したので省略する。
炭化物系セラミック含有スラリーは、炭化物系セラミックの粒子を分散媒に分散させることによって調製する。
分散媒としては、原料組成物に使用する分散媒と同様に、水や、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒等が挙げられる。また、原料組成物と同様に、有機結合材として、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を混合してもよい。
そして、このスラリーには、セラミックコート層を形成するための原料組成物に含まれる非晶性無機材と同じ非晶性無機材を混合することが好ましい。
上記した基材、原料組成物、及び、炭化物系セラミック含有スラリーを用いて、以下のようにして排気系部品を製造する。
(1)基材の表面に原料組成物をコートする工程
基材の表面に原料組成物をコートする方法としては、例えば、スプレーコート、静電塗装、インクジェット、スタンプやローラ等を用いた転写、ハケ塗り、又は、電着塗装等の方法を用いることができる。また、原料組成物に基材を浸漬することにより、上記原料組成物をコートしてもよい。
必要に応じて、原料組成物をコートした基材を乾燥してもよい。
乾燥条件は50〜150℃で10〜180分程度とすることが好ましい。
(2)炭化物系セラミック含有スラリーをコートする工程
基材上にコートした原料組成物の上に、炭化物系セラミック含有スラリーをコートする。
このようにすることで、炭化物系セラミックは原料組成物の表面に分布する。
炭化物系セラミック含有スラリーをコートする方法としては、原料組成物をコートする方法として例示した方法と同様の方法を用いることができる。
必要に応じて、炭化物系セラミック含有スラリーをコートした基材を乾燥してもよい。乾燥条件は50〜150℃で10〜180分程度とすることが好ましい。
(3)焼成処理を施す工程
具体的には、原料組成物及び炭化物系セラミック含有スラリーをコートした基材を加熱焼成することによりセラミックコート層、及び、炭化物層を形成する。
上記焼成温度は、非晶性無機材の軟化点以上とすることが好ましく、配合した非晶性無機材の種類や造孔材の種類にもよるが700℃〜1100℃が好ましい。焼成温度を非晶性無機材の軟化点以上の温度とすることにより基材と非晶性無機材とを強固に密着させることができ、基材と強固に密着したセラミックコート層を形成することができるからである。
焼成処理により、原料組成物の表面に分布していた炭化物系セラミックがセラミックコート層の上で炭化物層を形成する。
また、炭化物系セラミック含有スラリーを使用するのではなく、基材にセラミックコート層を形成した後に、セラミックコート層に蒸着、スパッタリング、溶射等の処理を行うことによって炭化物層を形成するようにしてもよい。
以下に、本発明の排気系部品及び排ガス浄化装置の作用効果について列挙する。
(1)本発明の排気系部品では、排ガスが接触する側の表面が炭化物層からなる。
炭化物層は、尿素水が付着しにくい素材である離尿素水材からなる層であるといえる。そのため、尿素水を含む排ガスが離尿素水材からなる炭化物層と接触したとしても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
排ガスの流れに乗った尿素水は再び触媒担体に向かって流れていき、アンモニア源として供給される。
すなわち、本発明の排気系部品を、尿素SCRシステムにおいて窒素酸化物を含む排ガスと接触する部位に設けた場合には、排気系部品の表面に尿素が堆積することを防止することができる。
(2)本発明の排気系部品は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路として用いられる筒状部材とすることができ、排気系部品を排気通路として用いると、排気通路の表面に尿素が堆積することが防止される。
(3)本発明の排気系部品は、窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路の内部に設置され、排気通路上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材とすることができ、排気系部品を拡散部材として用いると、拡散部材の表面に尿素が堆積することが防止される。
(4)本発明の排ガス浄化装置では、排気通路の上流側に尿素水噴射装置、排気通路の下流側に排ガス浄化装置が設けられている。
そして、尿素水噴射装置よりも下流側、かつ、触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に本発明の排気系部品が用いられている。
このような構成であると、尿素水噴射装置から排気通路内に噴射された尿素水を含む排ガスが尿素水噴射装置と触媒担体の間の領域で排気系部品と接触したとしても、尿素水は炭化物層から離れて、排ガスの流れに乗って下流側に流れていくことができる。
そのため、尿素水噴射装置と触媒担体の間に位置する排気系部品の表面に尿素が堆積することが防止される。
(実施例)
以下、本発明の一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(1)基材の準備
基材として、40mm×40mm×1.5mmtのステンレス基材(SUS430製)を準備し、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行い、続いて、サンドブラスト処理を行って基材の表面(両面)を粗化した。サンドブラスト処理は、♯100のAl砥粒を用いて10分間行った。
表面粗さ測定機((株)東京精密製 ハンディサーフE−35B)を用いて、基材の表面粗さを測定したところ、基材の表面粗さは、RzJIS=8.8μmであった。
上記処理により、基材を準備した。
(実施例1)
(2−1)カーボンからなる炭化物層の形成
上記(1)で準備した基材上にカーボンを蒸着させ、カーボンからなる炭化物層を形成し、評価用サンプルを作製した。
炭化物層の厚さは0.1μmであった。
カーボンの蒸着による炭化物層の形成は、サンユー電子株式会社製 SC−701CT QUICK CARBON COATERを用いて、所定の炭化物層厚みになるまで、繰り返し蒸着することにより行った。
(実施例2)
(2−2)炭化タングステンからなる炭化物層の形成
上記(1)で準備した基材上に、溶射により炭化タングステンからなる炭化物層を形成して評価用サンプルを作製した。
炭化物層の厚さは20μmであった。
炭化タングステンの溶射による炭化物層の形成は、溶射材料としてサーメットWC/12%Co粉末(15〜45μm、ユテク社製)を用いて、下記の条件の高速プラズマ溶射装置により実施した。
電流:400A
電力:43kw
使用プラズマガス:Ar80L/min、He5L/min
溶射距離:溶射ガンの先端から基材表面までの距離130mm
溶射ガン移動速度:670mm/s
(実施例3)
(2−3)セラミックコート層及び炭化物層の形成
上記(1)で準備した基材にセラミックコート層を形成し、セラミックコート層の上にカーボンを蒸着させて炭化物層を形成し、評価用サンプルを作製した。
(2−3−1)原料組成物の調製
非晶性無機材の粉末として、バリウムシリケートガラス(軟化点770℃)を準備した。上記非晶性無機材の粉末は、平均粒子径が15μmで、シリカを35重量%含有していた。
上記非晶性無機材の粉末35重量部に加えて、結晶性無機材(ジルコニア)15重量部、造孔材としてのカーボン0.012重量部、有機結合材(メチルセルロース)0.5重量部、及び、合計重量が100重量部となるように水を加えて混合した。
(2−3−2)原料組成物の塗布及び乾燥
基材の全面に原料組成物をスプレーコート法により塗布し、乾燥機内において70℃で20分乾燥した。
(2−3−3)焼成処理によるセラミックコート層の形成
続いて、空気中、850℃で90分間、加熱焼成処理することにより、厚さ500μmのセラミックコート層を形成した。
(2−3−4)カーボンからなる炭化物層の形成
上記(2−3−3)で形成したセラミックコート層上にカーボンを蒸着させ、カーボンからなる炭化物層を形成し、評価用サンプルを作製した。
炭化物層の厚さは0.1μmであった。
カーボンの蒸着による炭化物層の形成は、サンユー電子株式会社製 SC−701CT QUICK CARBON COATERを用いて、所定の炭化物層厚みになるまで、繰り返し蒸着することにより行った。
(比較例1)
実施例3において、カーボンからなる炭化物層の形成を行わずに、基材上に原料組成物からなるセラミックコート層のみを形成した評価用サンプルを得た。
(比較例2)
実施例1において、炭化物層を形成せず、(1)基材の準備で準備した基材をそのまま評価用サンプルとした。
(接触角測定による尿素水付着評価)
各実施例及び比較例で準備した評価用サンプルに、尿素水(SCRシステム用32.5%尿素水:アドブルー(登録商標))を1g滴下し、サンプルを水平方向からデジタルカメラで撮影した。撮影した画像に、基材の表面の線と基材と尿素水の接触点における接線を記入し、分度器にて接触角を測定した。
実施例1:接触角50°
実施例2:接触角55°
実施例3:接触角54°
比較例1:接触角30°
比較例2:接触角35°
各実施例の評価用サンプルにおいては炭化物層を形成した面に尿素水を滴下した。
比較例1の評価用サンプルにおいてはセラミックコート層の表面に、比較例2の評価用サンプルにおいては基材の表面に、それぞれ尿素水を滴下した。
このことから、実施例1〜3に係る評価用サンプルのように、排ガスが接触する側の表面が炭化物層からなると、尿素水の付着量を減少させることができることが分かった。
10、20、30 排気系部品
11 基材
12、13、35 炭化物層
32 セラミックコート層
33 非晶性無機材
34 結晶性無機材
36 気孔
50、50a、50b、60 排気管
70 煙道
100、200 排ガス浄化装置
110、120、130、140、150、160 拡散部材
400 触媒担体
500 尿素水噴射装置
G 排ガス

Claims (12)

  1. 窒素酸化物を含む排ガスと接触する部位に設けられる排気系部品であって、
    排ガスと接触する側の表面は、金属からなる基材の上に形成された炭化物層からなり、
    前記炭化物層は、離尿素水材からなり、
    尿素SCRシステムに使用されることを特徴とする排気系部品。
  2. 前記基材と、
    前記基材の表面上で排ガスと接触する側の面に形成されたセラミックコート層と、
    前記セラミックコート層の上に形成された炭化物層とからなる請求項1に記載の排気系部品。
  3. 前記セラミックコート層は、非晶性無機材及び結晶性無機材を含む請求項2に記載の排気系部品。
  4. 前記非晶性無機材は、軟化点が300〜1000℃の低融点ガラスである請求項3に記載の排気系部品。
  5. 前記セラミックコート層内には気孔が形成されている請求項2〜4のいずれかに記載の排気系部品。
  6. 前記基材と、
    前記基材を表面処理することにより設けられた炭化物層とからなる請求項1に記載の排気系部品。
  7. 前記炭化物層が、カーボン又は炭化タングステンからなる請求項1〜6のいずれかに記載の排気系部品。
  8. 窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路として用いられる筒状部材である、請求項1〜7のいずれかに記載の排気系部品。
  9. 窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路の内部に設置され、排気通路上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材である、請求項1〜7のいずれかに記載の排気系部品。
  10. 窒素酸化物を含む排ガスが流通する排気通路と、
    前記排気通路の上流側に設けられ、尿素水を排気通路内に噴射する尿素水噴射装置と、
    前記排気通路の下流側に設けられた触媒担体とからなる排ガス浄化装置であって、
    前記尿素水噴射装置よりも下流側、かつ、前記触媒担体よりも上流側で排ガスが接触する部位に請求項1〜9のいずれかに記載の排気系部品が用いられていることを特徴とする排ガス浄化装置。
  11. 前記排気通路として、請求項1〜9のいずれかに記載の排気系部品を用いている請求項10に記載の排ガス浄化装置。
  12. 前記排気通路の内部に設置され、排気通路上流から流入する排ガスの流れを一部阻害する拡散部材として、請求項1〜9のいずれかに記載の排気系部品を用いている請求項10又は11に記載の排ガス浄化装置。
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