JP6645865B2 - 筆記具用油性インキ組成物及びそれを収容した筆記具 - Google Patents
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Description
前記問題を解消するために、各種化合物の添加が検討されており、例えば、軟化点が60℃〜100℃のケトン樹脂や、炭素数5以上のアルキルフェノール樹脂を添加する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、前記ケトン樹脂やアルキルフェノール樹脂は、耐水性付与効果が低いため、被筆記面の材質によっては十分な効果が発現されず、筆跡に十分な耐水性を付与することができなかった。また、効果を向上するために添加量を増やした際には、耐ドライアップ性能が低下してしまうものであった。
特に、紙面上に形成した筆跡においては、水が付着することで筆跡周辺に滲みが広がり見栄えが悪くなってしまうため、前記従来の技術よりも優れた耐水性向上技術が必要となる。
重量平均分子量としては、特に制限はないが、好ましくは500〜1000、更に好ましくは550〜900、より好ましくは600〜800、最も好ましくは600〜700の樹脂である。
軟化点としては、特に制限はないが、105〜165℃、好ましくは105〜145℃の範囲のものは耐水性効果が特に高くより好適である。
前記化合物の市販品としては、例えば、MEH−7500、MEH−7500H(明和化成株式会社製)等が挙げられる。
0.5質量%未満では筆跡の耐水性を向上することができ難く、10質量%を超えて添加しても耐水性の向上は認められないので、これ以上の添加を要しない。
前記ソルベント染料の具体例としては、バリファーストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、バリファーストブラック3807(C.I.ソルベントブラック29のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、ネオザポンブルー808(C.I.ソルベントブルー70)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファーストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1とC.I.アシッドイエロー23の造塩体)、スピリットレッド102(C.I.ベーシックレッド1とC.I.アシッドイエロー42の造塩体)、バリファーストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の造塩体)、バリファーストバイオレット1702(C.I.ベーシックバイオレット3とC.I.アシッドイエロー36の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1とドデシル(スルホフェノキシ)−ベンゼンスルホン酸の造塩体)、オイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5と樹脂の混合物)等が挙げられる。
通常、塩基性染料から構成されるものは水への溶解性が高いため、水の付着による筆跡滲みを生じ易いが、本発明のインキに使用した場合には筆跡滲みが抑制されるので、特に耐水性向上効果が明瞭なものとなる。
尚、染料として塩基性染料と酸性成分の混合染料又は造塩染料を用いる場合、前記染料は耐光性に乏しいため、耐光性付与剤として2−(3−t−ブチル−5−オクチルオキシカルボニルエチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体を併用することによって染料の退色を好適に防止でき、耐光性に優れた種々の所望する色調の筆跡を形成できる。
前記染料を含む着色剤は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中3乃至40質量%の範囲で用いられる。
前記有機溶剤としては、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等を例示できる。
また、有機溶剤として揮発し易い20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHg、より好ましくは10〜50mmHgの溶剤を主溶剤として用いると筆跡の乾燥性に優れるため、筆跡を手触した際、未乾燥のインキが手に付着したり、筆記面上の筆跡を形成していない空白部分を汚染する等の不具合を生じることなく、良好な筆跡を形成できる。
蒸気圧が5.0〜50mmHg(20℃)の有機溶剤としては、エチルアルコール(45)、n−プロピルアルコール(14.5)、イソプロピルアルコール(32.4)、n−ブチルアルコール(5.5)、イソブチルアルコール(8.9)、sec−ブチルアルコール(12.7)、tert−ブチルアルコール(30.6)、tert−アミルアルコール(13.0)等のアルコール系有機溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(8.5)、エチレングリコールジエチルエーテル(9.7)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(6.0)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(7.6)等のグリコールエーテル系有機溶剤、n−ヘプタン(35.0)、n−オクタン(11.0)、イソオクタン(41.0)、メチルシクロヘキサン(37.0)、エチルシクロヘキサン(10.0)、トルエン(24.0)、キシレン(5.0〜6.0)、エチルベンゼン(7.1)等の炭化水素系有機溶剤、メチルイソブチルケトン(16.0)、メチルn−プロピルケトン(12.0)、メチルn−ブチルケトン(12.0)、ジ−n−プロピルケトン(5.2)等のケトン系有機溶剤、蟻酸n−ブチル(22.0)、蟻酸イソブチル(33.0)、酢酸n−プロピル(25.0)、酢酸イソプロピル(48.0)、酢酸n−ブチル(8.4)、酢酸イソブチル(13.0)、プロピオン酸エチル(28.0)、プロピオン酸n−ブチル(45.0)、酪酸メチル(25.0)、酪酸エチル(11.0)等のエステル系有機溶剤を例示できる。
尚、括弧内の数字は20℃におけるそれぞれの有機溶剤の蒸気圧を示す。
前記有機溶剤のうち、好ましくは炭素数4以下のアルコール及び/又は炭素数4以下のグリコールエーテル類、より好ましくはエチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルが用いられ、筆跡の速乾性に優れると共に、併用する種々の樹脂や添加剤の溶解性に優れるため好適である。
前記20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHgの有機溶剤は溶剤中50質量%以上添加される。
また、二種以上の溶剤を併用して用いてもよい。
更に、主溶剤として炭素数3以下のアルコール及び/又は炭素数4以下のグリコールエーテル類を用いる系においては、沸点が160℃〜250℃の有機溶剤を併用して筆跡乾燥速度を調整することが好ましい。
前記沸点が160℃〜250℃の有機溶剤としてはベンジルアルコールが好適である。
前記樹脂として具体的には、ケトン樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリメタクリル酸エステル、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物等が挙げられる。
これらの樹脂は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成中0.5〜40質量%、好ましくは1〜35質量%の範囲で用いられる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することによって筆跡の滲みを抑制することができるため、紙面は勿論、浸透性の高い布帛等の繊維材料に筆記しても筆跡は滲むことなく、良好な筆跡を形成できる。
特に、前記インキを充填する筆記具がボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
前記剪断減粘性付与剤としては、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、非架橋型アクリル樹脂、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、オクチル酸、ラウリン酸のアルムニウム塩等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物等を例示できる。
尚、前記剪断減粘性付与剤は併用することもできる。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造のマーキングペンが挙げられる。尚、前記軸筒としては、樹脂成形物やアルミ缶等の金属加工体が用いられる。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ニグロシンベースEX
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストレッド1308
(3)保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:スピロンイエローCGNH
(4)荒川化学工業(株)製、商品名:ロジンWW
(5)第一工業製薬(株)製、商品名:DKエステルF−110(HLB:11)
(6)明和化成(株)製、商品名:MEH−7500(軟化点110℃)
(7)明和化成(株)製、商品名:MEH−7500H(軟化点125℃)
(8)荒川化学工業(株)製、商品名:タマノル510
(9)荒川化学工業(株)製、商品名:ケトンレジンK−90
(10)花王(株)製、商品名:ネオペレックスGS
前記実施例及び比較例の配合量で各原料を混合し、20℃で3時間撹拌溶解することにより油性インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物5gを、市販のキャップ式マーキングペン外装(パイロットコーポレーション製;SCAP−F、アクリル製チップを備え、軸筒内部に繊維束を収容する)の軸筒内に充填することで油性マーキングペンを得た。
浸漬試験
筆記可能であることを確認した各マーキングペンを用いて、20℃、65%RHの環境下でJIS P3201筆記用紙Aに手書きで螺旋状の丸を連続筆記した。その後、筆跡が水に浸るように筆記用紙を30分間浸漬し、取り出して乾燥させた筆跡の状態と浸漬液を目視により確認した。
キャップオフ試験
筆記可能であることを確認した各マーキングペンをペン先が空気中に晒された状態とし、横置き状態で20℃、65%RHの環境下で24時間放置した後、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに手書きで12個の螺旋状の丸を連続筆記した。その際の筆跡状態を目視により確認した。
前記試験の結果を以下の表に示す。
浸漬試験
○:筆跡滲みは生じない。
×:筆跡周辺に染料が滲み出る、又は、用紙全体と浸漬液が着色する。
キャップオフ試験
○:カスレを生じない。
×:書き出しにカスレが生じる、又は、筆記不能。
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