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JP6654866B2 - 不織布およびその製造方法、ならびに吸収性物品用シート - Google Patents
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不織布およびその製造方法、ならびに吸収性物品用シート Download PDF

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本開示は、分割型複合繊維を使用した不織布およびその製造方法、ならびに吸収性物品用シートに関する。
外力により、複数の成分に分割可能な分割型複合繊維を用いた不織布が種々提案されている。分割型複合繊維は、繊維ウェブを作製する段階では単繊維のごとく挙動し、繊維ウェブ作製後、物理的に圧力を加えて各成分に分割する分割処理、例えば、高圧水流処理や、いわゆるニードルパンチ処理に付されることにより、複数の成分に分割されて、極細繊維を形成する。極細繊維を含む不織布は、その柔らかな触感、緻密性、または極細繊維による良好な拭き取り性等を利用して、衛生物品(例えば、生理用品、紙おむつ)、ワイパー、および人工皮革用基布等として用いられている。高圧水流処理を利用して分割型複合繊維を分割させてなる不織布は、例えば、特許文献1に記載されている。
また、分割型複合繊維としては、構成成分のうちの一つが熱収縮性のより高い樹脂で形成されてなる、加熱処理により分割可能な熱分割型複合繊維も提案されている。そのような熱分割型複合繊維を用いて構成した不織布は、特許文献2において提案されている。特許文献2は、加熱処理と加圧処理とによって、熱分割型複合繊維を分割させてなる、触感および集塵能力に優れた不織布を開示している。
特開平8−260316号公報 特開平9−273061号公報
本実施形態は、分割型複合繊維の分割を抑制して、柔軟な不織布を提供することを目的としてなされたものである。
本開示は一つの要旨において、分割型複合繊維を20質量%以上含み、繊維同士が分割型複合繊維の一成分(以下、「A成分」)により接着されて、接着部を形成している不織布であって、
分割型複合繊維が、10mm以上100mm以下の繊維長を有する短繊維であり、
分割型複合繊維が、A成分の融点をT℃としたときに、T−5℃にて60秒間加熱したときに、セクション間の剥離が生じない非熱分割性のものである、
不織布を提供する。
本開示は別の要旨において、分割型複合繊維を20質量%以上含み、繊維同士が分割型複合繊維の一成分(以下、「A成分」)により接着されて、接着部を形成している不織布であって、
分割型複合繊維が、10mm以上100mm以下の繊維長を有する短繊維であり、
分割型複合繊維を構成する複数のセクションのうち一つのセクションが分割または剥離して形成される極細繊維が、分割型複合繊維の繊維長の30%を超える長さでは連続して存在していない、
不織布を提供する。
本開示はさらに別の要旨において、
分割型複合繊維を20質量%以上含む繊維ウェブを作製すること
繊維ウェブに、分割型複合繊維を構成する成分のうち最も融点の低い成分が軟化または溶融する温度の熱風を当てる熱風加工処理を実施すること
を含み、
繊維ウェブを機械的な交絡処理に付さず、
熱風加工処理を、繊維ウェブに10kg/cm以上の線圧を加えることなく実施する
不織布の製造方法を提供する。
本実施形態の不織布は、分割型複合繊維の分割が抑えられて、接着部が分割型複合繊維を構成する小さなセクションの成分が溶融または軟化して形成されているために、柔軟な触感を有する。
図1は、分割型複合繊維の一部に極細繊維が形成されている状態を示す斜視図である。 図2は、実施例1の不織布の表面を撮影した電子顕微鏡写真である。 図3は、実施例1の不織布の表面を撮影した電子顕微鏡写真である。 図4は、実施例1の不織布の断面を撮影した電子顕微鏡写真である。 図5は、比較例1の不織布の表面を撮影した電子顕微鏡写真である。 図6は、比較例1の不織布の断面を撮影した電子顕微鏡写真である。
(本実施形態に至った経緯)
一般に、分割型複合繊維は、外力または構成成分の熱収縮力により複数の成分に分割する性質を利用して、極細繊維を含む不織布等の布帛を製造するために使用される。しかしながら、本発明者らは、分割型複合繊維を積極的に分割させないことによって、複数の小さなセクションが集合されてなる分割型複合繊維の構造を活かすことができ、従来にない触感または特性を有する不織布が得られるのではないかと考えた。そこで、分割型複合繊維として、外力により分割可能であるが、熱分割性を示さないものを用い、かつその分割が生じにくいように、熱風加工による熱接着処理を実施して熱接着不織布を製造したところ、柔軟な不織布が得られることを見出した。さらに、本発明者らは、分割型複合繊維を用いて作製した熱接着不織布が、芯鞘型複合繊維を用いて作製した熱接着不織布と比較して、高い透明性を有することを見出した。
以下、本実施形態の不織布を説明する。
(分割型複合繊維)
本実施形態の不織布は分割型複合繊維を含む。分割型複合繊維とは、外力または構成成分の熱収縮力等により、複数の成分に分割可能な繊維を指す。本実施形態の不織布では、分割型複合繊維の分割が抑制されているため、分割型複合繊維は、なお分割能を有する状態で存在する。
本実施形態においては、分割型複合繊維として、熱分割性を有しないものが好ましく用いられる。具体的には、分割型複合繊維を構成する成分のうち、最も融点が低く、不織布において接着部を形成する成分(以下、「A成分」)の融点をT℃としたときに、T−5℃にて60秒間加熱したときに、セクション間の剥離が生じない分割型複合繊維が好ましく用いられる。セクション間の剥離は、T−5℃にて60秒間加熱した後の繊維側面において、分割型複合繊維を構成する複数のセクションのうち、1つのセクションが剥離または分離して極細繊維を形成している場合に生じていると判断される。機械的な力が加えられる等して分割型複合繊維においてセクション間に剥離が生じている場合には、T−5℃にて60秒間加熱したときに、新たなセクション間の剥離が生じないものも、本実施形態において、熱分割性を有しない分割型複合繊維として好ましく用いられる。熱分割性を有しない分割型複合繊維を用いると、熱風加工処理に付したときに分割型複合繊維の分割が進行せず、極細繊維の形成が抑制されるので、多くの極細繊維が形成された不織布と比較して、透け感(透明性)の高い不織布を得ることができる。また、このような分割型複合繊維を含む不織布を、吸収性物品の表面シート、または前記表面シートと吸収体との間に配置されるシートとして用いる場合には、分割型複合繊維の分割により形成された極細繊維を多く含む不織布と比較して、液体の透液速度が高くなり、また、使用者の肌に当接する面が吸収体から戻ってくる液体で濡らされにくくなる。
分割型複合繊維は、繊維断面において構成成分のうち少なくとも1成分が2個以上に区分されてなり、構成成分の少なくとも一部が繊維表面に露出し、その露出部分が繊維の長さ方向に連続的に形成されている繊維断面構造を有する。本実施形態で用いる分割型複合繊維は2以上の成分で構成され、当該2以上の成分のうち、最も融点の低い成分(A成分)が、繊維同士を接着させる役割を果たす。好ましくは、A成分は、融点が140℃以下の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは136℃以下である。一方、成分A以外の成分は、融点が140℃を超える熱可塑性樹脂である。ここで、融点は、繊維にした後の樹脂の融点であり、JIS K7121(1987)に準じて測定したDSC曲線より求める。A成分の融点は、それ以外の成分の融点よりも、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上低い。
分割型複合繊維を構成する成分は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン−1、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66のようなポリアミド系樹脂等から任意に選択される。
分割型複合繊維は、例えば、前記A成分と、A成分の融点T℃よりも10℃以上高い融点を有する樹脂成分(以下、「B成分」)の2成分で構成されるものであってよい。その場合、分割型複合繊維を構成する成分の組み合わせは、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレン等である(ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、および直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一つまたはそれらの組み合わせである)。ポリエチレンは比較的低い温度で溶融して、繊維同士を良好に接着するので、これをA成分とすることが好ましい。ポリエチレンが高密度ポリエチレンである場合には、エチレンをモノマーとして重合させた他の熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体と比較して、その熱収縮性が小さいために、分割型複合繊維の熱分割性を小さくできる。したがって、高密度ポリエチレンをA成分とする分割型複合繊維は、熱接着のための熱処理に付しても、高密度ポリエチレンを含むセクションが大きく熱収縮することなく、セクション間の剥離がより抑制されるから、好ましい。さらに、A成分と組み合わせる高融点の成分がポリエチレンテレフタレートのような高融点のポリエステル系樹脂であると、A成分がポリエチレンである場合には、ポリエチレンとの融点の温度差が大きいことから熱接着処理を行っても嵩がへたりにくいため好ましい。加えて、ポリエチレンテレフタレートを始めとするポリエステル樹脂は樹脂そのものの弾性率が高く、それを含む分割型複合繊維および不織布が「コシ」を有するものとなり、不織布の嵩高性を高くしやすくなるため好ましい。
分割型複合繊維の繊度は、好ましくは、0.6dtex以上6dtex以下であり、より好ましくは、0.8dtex以上4.8dtex以下、さらにより好ましくは1.2dtex以上3.5dtex以下であり、最も好ましくは、1.5dtex以上2.5dtex以下である。
また、分割型複合繊維におけるセクションの数(すなわち、分割型複合繊維における各成分への分割数)は、例えば、4個以上32個以下であることが好ましく、4個以上20個以下であることがより好ましく、6個以上16個以下であることが最も好ましい。分割型複合繊維がA成分とB成分の2成分から成る場合には、各成分のセクション数は3個以上8個以下であることが好ましく、全体のセクション数は6個以上16個以下であることが好ましい。
セクション数が小さいと、セクション1つあたりの面積および体積が大きくなり、接着部の面積および/または体積が大きくなり、不織布の触感が硬くなることがある。また、セクション数を小さくし、かつセクション1つあたりの面積および体積を小さくするには、分割型複合繊維それ自体の繊度を小さくする必要があるところ、小さい繊度の分割型複合繊維は、製造することが難しく、また不織布の生産性を低下させることがある。一方、セクション数が大きい分割型複合繊維は、繊維断面の形状によってはセクション1つあたりの繊維表面に露出する面積が小さくなる。その結果、A成分によって形成される接着点の面積も小さくなり、得られる不織布の引っ張り強度が充分でなかったり、表面が毛羽立ったものになったりする可能性がある。また、このようなセクション数が大きい分割型複合繊維は、複雑な紡糸ノズルを用いて、溶融紡糸条件を厳密に制御して製造する必要がある。そのため、そのような分割型複合繊維の使用は不織布の製造コストを上昇させることがある。
セクションの形状は特に限定されない。例えば、分割型複合繊維は、楔形のセクションが菊花状に並べられたものであってよい。あるいは、分割型複合繊維は、繊維断面において各セクションが層状に並べられたものであってよい。また、分割型複合繊維は繊維断面を観察したとき長さ方向に連続する空洞部分を有さない、いわゆる中実分割型複合繊維であってよく、あるいは長さ方向に連続する1箇所以上の空洞部分を有する、いわゆる中空分割型複合繊維であってもよい。分割を抑制する観点からは、中実分割型複合繊維が好ましく用いられる。
分割型複合繊維を構成する成分の容積比は、例えば、A成分のセクションが所望の面積および体積を有するように決定してよい。例えば、A成分とB成分の二成分で分割型複合繊維を構成する場合、容積比は、2:8〜8:2(A成分:B成分)であることが好ましい。上記範囲内に容積比があると、複合繊維の生産性が高くなる傾向にあり、また、不織布において接着部を良好に形成することができる。より好ましいA成分:B成分の容積比は、4:6〜6:4である。
分割型複合繊維の繊維長は10mm以上100mm以下である。分割型複合繊維は、繊維の切断時に加わる力によって分割することもあるため、繊維長が10mm未満であると、不織布において分割型複合繊維の分割により形成された極細繊維の数が多くなって、例えば、不織布の透明性が低下することがある。また、繊維長が10mm未満であると、嵩高な繊維ウェブが得られにくく、パラレルカード機などを用いたカード法では繊維ウェブが製造できなくなることがある。分割型複合繊維の繊維長が100mmを超えると、例えばカード機を使用して繊維ウェブを作製することが困難となることがある。また、低目付の不織布においては、繊維長が100mmを超えると、不織布を構成する繊維の本数が少なくなるため、不織布の地合が安定しないことがあり、あるいは必要な不織布強力が得られないことがある。繊維長は、より好ましくは25mm以上100mm以下であり、さらにより好ましくは32mm以上70mm以下であり、特に好ましくは38mm以上65mm以下である。
(他の繊維)
本実施形態の不織布は、分割型複合繊維以外の他の繊維を含んでよい。他の繊維は特に限定されず、例えば、コットン、シルクおよびウールなどの天然繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、レンチングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標))等の再生繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維およびポリアミド系繊維、アクリルニトリルからなる(ポリ)アクリルの単一繊維、ならびにポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチックからなる繊維等であってよい。また、他の繊維としては、一種類の熱可塑性樹脂からなる単一繊維だけではなく、二種以上の熱可塑性樹脂から成る、分割型複合繊維以外の複合繊維(例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維)を用いることもできる。他の繊維は、A成分と同じ又はそれより低い融点の熱可塑性樹脂が繊維表面に露出している熱接着性繊維であってよく、その場合、当該他の繊維は、分割型複合繊維のA成分による接着部を加熱により形成する(すなわち、A成分による熱接着部を形成する)ときには、A成分とともに不織布において熱接着部を形成する。
他の繊維の繊度は特に限定されず、分割型複合繊維の繊度と同じであってよく、異なっていてよい。他の繊維の繊維長もまた特に限定されないが、分割型複合繊維と同様に10mm以上100mm以下であることが製造効率の点から好ましい。
(不織布の構成)
本実施形態の不織布は、分割型複合繊維を20質量%以上含み、繊維同士が分割型複合繊維のA成分により接着されて、接着部を形成している不織布である。接着部は、A成分が加熱により溶融または軟化することにより形成された熱接着部であることが好ましいが、接着部は電子線等の照射、または超音波溶着により形成されたものであってよい。分割型複合繊維は上記のとおりであり、好ましくは熱分割性を有しない。
不織布において分割型複合繊維の占める割合が20質量%以上であると、A成分により形成される接着部の面積および体積が小さいことによる効果、すなわち柔軟な触感を十分に確保することができる。分割型複合繊維の占める割合が20質量%未満であると、接着部の数が少なくなって、不織布の強度が小さくなること、あるいは接着部の数が少なくなって、不織布表面が毛羽立ったものになることがあり、あるいは不織布の強度を確保するために他の接着性繊維、特に熱接着性繊維、または接着剤を使用する必要が生じて不織布の触感が硬くなることがある。分割型複合繊維の占める割合は好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。あるいは、不織布は分割型複合繊維のみで構成されていてよい。
A成分は分割型複合繊維の一成分であって、分割数に応じたセクションとして分割型複合繊維において分散して存在している。そのため、例えば、芯鞘型複合繊維の鞘成分により形成される接着部と比較して、A成分により形成される接着部は、面積および体積が小さくなる傾向にある。接着部の寸法が小さいことにより、不織布は柔軟な触感を有するものとなる。接着部は、繊維同士の交点および繊維同士の接点等で形成される。
本実施形態の不織布においては、分割型複合繊維の分割は可能な限り抑制されていることが好ましい。したがって、本実施形態の不織布においては、繊維同士が機械的な交絡処理により交絡していないことが好ましい。機械的な交絡処理は、例えば、ニードルパンチ処理、および高圧流体流処理(流体は、例えば、水、空気、または水蒸気等)である。これらの処理は、分割型複合繊維の分割を促進して、極細繊維を発生させるとともに、極細繊維同士の交絡も促進するため、これらの処理に付された不織布は緻密なものとなって、嵩が小さくなることがある。
分割型複合繊維の分割は、機械的な交絡処理以外にも、繊維に圧力を加える、または繊維を延伸することによっても促進されることがある。したがって、本実施形態の不織布は、繊維ウェブを形成した後で、加圧処理または延伸処理が施されていないものであることが好ましい。なお、延伸処理は、例えば、特開2012−67426号公報に記載されているように、一対のギアロールを用いて実施される処理である。
本実施形態の不織布は、好ましくは、繊維ウェブに熱風を当てる熱風加工処理により、A成分による接着部として熱接着部が形成されたものである。熱風加工処理によれば、繊維ウェブに加わる圧力を小さくして繊維同士を接着させることができるため、分割型複合繊維の分割が抑制された不織布を得られる。あるいは、A成分による接着部は、上記のとおり、電子線等の照射、または超音波溶着により形成されたものであってよい。
本実施形態の不織布は、分割型複合繊維の分割が抑制されていることの結果として、分割型複合繊維を構成する一つのセクションが分割または剥離して形成される極細繊維が、分割型複合繊維の繊維長の30%を超える長さでは連続して存在していない形態のものとして提供することができる。「分割型複合繊維を構成する一つのセクションが分割または剥離して形成される極細繊維」とは分割型複合繊維を構成する複数のセクションのうち、一つのセクションが、他のセクションから分離して形成される極細繊維をいう。極細繊維の繊度はセクション数と分割型複合繊維の繊度と各セクションを構成する樹脂の密度に応じて決定される。極細繊維の繊度は、例えば、0.05dtex以上2dtex以下であり、特に、0.06dtex以上1dtex以下であり、より特には0.10dtex以上0.50dtex以下である。
また、そのような極細繊維が「分割型複合繊維の繊維長の30%を超える長さで連続して存在する」とは、極細繊維としての繊維長が、分割型複合繊維の繊維長の30%よりも長いことを指す。したがって、1本の分割型複合繊維において、極細繊維が、ある部分で分割型複合繊維の繊維長の20%の長さで存在し、別の部分で20%の長さで存在していても(合計40%)、30%を超える長さで「連続して」存在していることにはならない。図1に、一本の分割型複合繊維の一部に極細繊維が形成された状態を示す模式図を示す。図1において、10が分割型複合繊維であり、1はA成分、2はB成分であり、4はB成分から成る1つのセクションが分割して形成された極細繊維である。
本実施形態の不織布において、極細繊維は、分割型複合繊維の繊維長の20%を超える長さで連続して存在しないことが好ましく、10%を超える長さでは連続して存在していないことがより好ましい。
極細繊維が、分割型複合繊維の繊維長の30%を超える長さで連続して存在している場合には、不織布全体において、一つのセクションからなる極細繊維、または二つ以上のセクションからなる細繊度繊維が多く存在する傾向にある。そのため、不織布において毛羽が生じやすくなり、また、透明性が低下することがある。また、このよう極細繊維や細繊度繊維が多く存在すると、不織布を、吸収性物品の表面シート、または前記表面シートと吸収体との間に配置されるシートとして用いる場合には、液体の透液速度が低くなり、使用者の肌に当接する面が吸収体から戻ってくる液体で濡らされやすくなる。
本実施形態の不織布には、分割型複合繊維の分割により形成された極細繊維または細繊度繊維が含まれることがある。あるいは分割型複合繊維においてセクション間の剥離部(不織布表面を電子顕微鏡で300倍程度に拡大したときに、割れ目、筋状の深い切れ目、または繊維の膨れとして観察される)が部分的に生じていることがある。それらは、主に繊維製造中または繊維ウェブの作製時に加わる力によって生じる。本実施形態の不織布はそのような極細繊維等の発生またはセクション間の剥離を許容しないものではないが、それらの発生はできるだけ抑えられていることが望ましい。
上記において説明した不織布には、さらに膜状の圧着部が部分的に形成されていてよい。膜状の圧着部は、A成分が、繊維間の空隙を埋めた状態にて、繊維同士を接着している部分であり、圧着部は非圧着部に比して不織布の厚さが小さくなっている部分である。圧着部は、不織布を構成する繊維が、例えば、圧力のみの作用、または熱、電子線および超音波のいずれかと圧力の作用、特に熱と圧力の作用により押し広げられて形成されるものである。膜状の圧着部分において、A成分により形成される膜は、一部において途切れていてよく、膜が途切れている部分は繊維間の空隙がそのまま維持されている。圧着部を形成することにより、不織布の強度を向上させることができる。圧着部は熱と圧力の作用により形成される、熱圧着部であることが好ましい。
圧着部は一般的に圧力を加えて形成されるため、当該部分では分割型複合繊維の分割の度合いが非圧着部におけるそれよりも高く、極細繊維および細繊度繊維がより多く形成され、セクション間の剥離もより多く生じている。そのため、圧着部は、膜の形成による繊維間隙の減少、および極細繊維等による光の乱反射等のため、非圧着部と明確に区別される領域となる。すなわち、本実施形態の不織布に部分的な圧着部を形成する場合には、非圧着部が後述するように高い透明性を有することに加え、分割型複合繊維の分割により圧着部での不透明性がより増すために、例えば、芯鞘型複合繊維からなる不織布と比較して、より明瞭で視認されやすい圧着部を与える。したがって、圧着部は、その形状等を適宜選択することにより、不織布に優れた意匠効果を付与することができる。
なお、圧着部は、上記において説明した分割型複合繊維の分割を促進する「加圧処理」により形成されるものであり、その意味では圧着部を形成した本実施形態の不織布は、分割型複合繊維の分割を促進する処理が施されたものといえる。尤も、圧着部を形成する前に、加圧処理等の分割型複合繊維の分割を促進する処理が施されていない場合には、圧着部と非圧着部の境界がより明瞭となるから、圧着部が形成された不織布は、その非圧着部が、繊維ウェブを形成した後で、分割型複合繊維の分割を促進する処理が施されていないものであることが好ましい。
圧着部は、不織布の面積の好ましくは2%以上50%以下、より好ましくは5%以上40%以下、特に好ましくは7%以上30%以下を占めるように形成される。圧着部の占める割合が大きいと不織布の触感が硬くなることがある。圧着部はドット状のように、幾何学図形を規則的に設けてよく、または不規則に設けてよい。あるいは圧着部は動物、キャラクターまたは草花等の図画として形成してよい。複数の圧着部を規則的に設ける場合、一つの圧着部の面積は、好ましくは0.5mm2〜320mm2、より好ましくは0.6mm2〜180mm2、特に好ましくは0.7mm2〜80mm2である。
本実施形態の不織布の目付は特に限定されず、その用途等に応じて適宜選択される。本実施形態の不織布の目付は、例えば、5g/m2〜150g/m2であってよく、好ましくは10g/m2〜70g/m2、より好ましくは10g/m2〜55g/m2、特に好ましくは12g/m2〜30g/m2であり、最も好ましくは15g/m2〜25g/m2である。不織布の目付がこの範囲内にあると、柔軟な触感を得られやすい。また、不織布の目付が小さいほど、柔軟性に加えて、より高い透明性を得ることができる。
あるいは、本実施形態の不織布の目付は、例えば、5g/m2〜60g/m2であってよく、好ましくは10g/m2〜45g/m2、より好ましくは10g/m2〜40g/m2、特に好ましくは12g/m2〜30g/m2であり、最も好ましくは15g/m2〜25g/m2である。不織布の目付がこの範囲内にあると、透明性の高い不織布が得られる。また、不織布の目付が小さいほど、より高い透明性を得ることができる。
本実施形態の不織布の比容積は特に限定されず、その用途等に応じて適宜選択される。本実施形態の不織布の比容積は、例えば、10cm3/g〜100cm3/gであってよく、好ましくは20cm3/g〜80cm3/g、より好ましくは30cm3/g〜70cm3/g、特に好ましくは45cm3/g〜65cm3/gである。比容積は、不織布の目付と厚さから求めることができ、ここで、不織布の厚さは試料1cm2あたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定されるものとする。不織布の比容積が小さいほど、より高い透明性を得ることができる。尤も、不織布の比容積は、不織布の保管中に加わる圧力によって変化することがある。
本実施形態の不織布は、A成分とB成分の2成分から成る分割型複合繊維を含む場合、A成分とB成分から成る芯鞘型複合繊維(A:鞘、B:芯)を含む不織布よりも高い透明性を示す。その理由は定かではないが、小さな寸法の接着部、および分割型複合繊維の複合構造に起因する光の屈折等が関係している可能性がある。
本実施形態の不織布の透明性は、例えば、色彩色差計を用いて測定される色差基準値のデータ(Y,x,y)値から算出される白色度、もしくは当該白色度を目付で除して得られる目付あたりの白色度、または測色色差計によって測定される明度L、もしくは当該Lを目付で除して得られる目付あたりの明度Lによって評価される。白色度および明度は、後述する方法で求められる。
本実施形態の不織布は、目付が10g/m2〜45g/m2程度であり、かつ圧着部を有しないときには、好ましくは10〜35の白色度、より好ましくは12〜25の白色度を有する。あるいは、本実施形態の不織布は、圧着部を有しない状態で、その目付あたりの白色度が好ましくは0.5〜1.35、より好ましくは0.7〜1.25である。あるいは、本実施形態の不織布は、圧着部を有しない状態で、目付が10g/m2〜45g/m2程度であるときには、好ましくは20〜55、より好ましくは30〜45の明度を有する。あるいは、本実施形態の不織布は、圧着部を有しない状態で、その目付あたりの明度が好ましくは1〜2.5、より好ましくは1.2〜2.3である。
本実施形態の不織布は、目付が小さいほど、不織布の透明感が高くなる。すなわち目付が12g/m2〜30g/m2程度であり、圧着部を有しないときには、好ましくは10〜27の白色度、より好ましくは15〜24の白色度を有する。あるいは、本実施形態の不織布は、圧着部を有しない状態で、その目付あたりの白色度が好ましくは0.5〜1.3、より好ましくは0.8〜1.2である。あるいは、本実施形態の不織布は、圧着部を有しない状態で、目付が12g/m2〜30g/m2程度であるときには、好ましくは20〜46、より好ましくは30〜44の明度を有する。あるいは、本実施形態の不織布は、圧着部を有しない状態で、その目付あたりの明度が好ましくは1.6〜2.3、より好ましくは1.8〜2.25である。本実施形態の不織布は、例えば、キャラクターまたは動物等の図画が印刷されたフィルムまたは紙等の触感の改善、または当該フィルムまたは紙等の保護のために、当該フィルムまたは紙の表面を覆うものとして用いてよい。その場合、本実施形態の不織布は、フィルム等に良好な触感を付与する、あるいは保護を与えるとともに、図画を良好に視認させることができる。
本実施形態の不織布の柔軟性(ドレープ性)は、例えば、ハンドルオメータを用いて測定される剛軟度の総和を目付で除した値、すなわち目付あたりの剛軟度で評価することができる。ハンドルオメータを用いて測定される剛軟度の測定方法は後述するとおりである。本実施形態の不織布の目付あたりの剛軟度の総和は、圧着部を有しない状態で、好ましくは0.5〜2.2、より好ましくは0.8〜2.0、特に好ましくは1.0〜1.8である。このような目付あたりの剛軟度を有する不織布は、柔らかく、屈曲部にあてて使用する場合に屈曲部への追随性に優れる。
本実施形態の不織布はまた、横方向の柔軟性の大きいものとして得ることができる。具体的には、本実施形態の不織布は、その縦方向の剛軟度の総和/横方向の剛軟度の総和が、好ましくは2.1〜3.5、より好ましくは2.1〜3.0、特に好ましくは2.2〜2.8であるものである。縦方向の剛軟度の総和/横方向の剛軟度の総和がこの範囲内にあると、縦方向に平行な方向に沿って曲げるときにより曲げやすく、特定の方向で曲げやすさが要求される用途で使用するのに適している。ここで、縦方向の剛軟度とは、不織布を、その縦方向と直交する方向で折り曲げたときの曲げやすさを指し、横方向の剛軟度とは、不織布をその横方向と直交する方向で折り曲げたときの曲げやすさを指す。
本実施形態の不織布はまた、吸収性物品において、吸収体と直接または間接的に接して用いられるときには、液体(例えば、経血、尿、便、またはおりもの等)を通過させて吸収体に吸収させることができ、また、吸収体に吸収された液体が不織布側に戻ること(ウエットバック)を有効に抑制する。特に、本実施形態の不織布は、液体を複数回に分けて吸収体に吸収させたときに、2回目以降、特に2回目と3回目に吸収された液体が不織布側に戻ることを有効に抑制できる。したがって、本実施形態の不織布を、吸収性物品の表面シート、または前記表面シートと吸収体との間に配置されるシートとして用いる場合には、使用者の肌に当接する面が吸収体から戻ってくる液体で濡らされにくくして、使用者に快適な使用感を与えることができる。
(不織布の製造方法)
本実施形態の不織布は、
分割型複合繊維を20質量%以上含む繊維ウェブを作製すること
繊維ウェブに、分割型複合繊維を構成する成分のうち最も融点の低い成分が軟化または溶融する温度の熱風を当てる熱風加工処理を実施すること
を含む製造方法であって、
繊維ウェブを機械的な交絡処理に付さず、
熱風加工処理を、繊維ウェブに10kg/cm以上の線圧を加えることなく実施する
製造方法によって製造することができる。
繊維ウェブは、公知の方法で作製することができる。繊維ウェブの形態は、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、および湿式抄紙ウェブのいずれの形態であってもよい。分割型複合繊維の分割を抑制するという観点からは、製造中に外力が加わりにくい、カードウェブであることが好ましい。
得られた繊維ウェブは、分割型複合繊維を構成する成分のうち最も融点の低い成分(上記A成分)によって熱接着部が形成されるように、熱風加工処理に付される。熱風加工処理によれば、熱処理中に繊維ウェブに加わる外力を小さくできるので、熱処理中に分割型複合繊維の分割が進行しにくい。熱風加工処理は、所定の温度の熱風を繊維ウェブに吹き付ける装置、例えば、熱風貫通式熱処理機、および熱風吹き付け式熱処理機を用いて実施してよい。あるいは、熱風加工処理に変えて、赤外線を使用した熱処理を実施してよい。赤外線による熱処理もまた、繊維ウェブに外力が加わりにくいことから好ましく用いられる。
いずれの方法で熱処理をする場合でも、熱処理は、繊維ウェブに10kg/cm以上の線圧を加えることなく実施することが好ましい。熱処理の際に圧力が加わると、分割型複合繊維の分割が促進されて、所望の柔軟性、嵩高性および透明性を有する不織布を得られないことがある。例えば、熱風加工処理に際しては、繊維ウェブのめくれを防止する、あるいは熱処理後の不織布の形状を整える目的で、メッシュ等を繊維ウェブの上に配置することがあるが、その重みで10kg/cm以上の線圧が加わらないように、メッシュ等を適宜選択する。
熱風加工処理の際の温度は、分割型複合繊維のA成分が軟化または溶融し、それにより熱接着部が形成されるように適宜選択される。例えば、A成分の融点をT℃としたときに、(T)℃以上の温度で、分割型複合繊維の他の構成成分の融点よりも低い温度を選択してよい。具体的には、A成分が例えば高密度ポリエチレンである場合には、130℃〜150℃の温度の熱風を吹き付けてよい。
不織布の製造に際しては、機械的な交絡処理を実施しない。これは、機械的な交絡処理の際に加わる力によって、分割型複合繊維の分割が進行することを抑制するためである。機械的な交絡処理は、例えば、ニードルパンチ処理および高圧流体流処理である。したがって、この製造方法によれば、繊維同士が熱接着によってのみ一体化された不織布が得られることとなる。
本実施形態の不織布の製造方法は、熱圧着部を部分的に形成することをさらに含んでよい。熱圧着部は、例えば、エンボスロールを用いた熱ロール加工により形成することができる。熱圧着部の形成は、例えば、エンボスロールの温度を(T−50)℃以上(T+30)℃以下(TはA成分の融点)に設定し、10kg/cm〜150kg/cmの線圧を加えて実施してよい。エンボスロールの形状は、熱圧着部として形成すべき形状に応じて適宜選択される。前述のとおり、熱圧着部においては、圧力が加えられているために、分割型複合繊維の分割が進行して、分割の度合いが非熱圧着部におけるそれよりも高くなり、そのため非熱圧着部よりも透明性が低下する。
(用途)
本実施形態の不織布は種々の用途に使用でき、単独で、または紙、他の不織布、フィルムもしくはシート等と組み合わせて、例えば、乳児用紙おむつ、大人用紙おむつ、生理用ナプキン、おりもの吸収シート(パンティーライナー)、および失禁パッド等の各種衛生用物品の表面材、表面材と吸収体との間に配置されるシート、および裏面材等の吸収性物品用シート、皮膚被覆シート(フェイスマスク、貼付剤の基布)、対人ワイパー(汗拭きシート、化粧落としシート等)、各種動物用ワイピングシート等といった用途に使用できる。
本実施形態の不織布を、吸収性物品の表面材、または表面材と吸収体との間に配置されるシートとして用いる場合には、上記のとおり、特に2回目に液体が吸収されたときに液戻りが生じにくく、使用者に快適な使用感を与えることができる。また、本実施形態の不織布を用いた衛生物品用の裏面材は、液不透過性のシートの表面に本実施形態の不織布が配置された形態であってよい。その場合、本実施形態の不織布は透明性が高いために、液不透過性のシートに図柄が印刷されている場合には、これを良好に視認させる。
以下、本実施形態を実施例により説明する。
本実施例で用いる繊維として、下記のものを用意した。
[分割型複合繊維1]
繊度2.2dtex、繊維径16μm、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート(融点255℃)/高密度ポリエチレン(融点130℃)の組み合わせから成り、ポリエチレンテレフタレートのセクションと高密度ポリエチレンのセクションとが交互に菊花状に配置された断面を有し、かつ全体のセクション数が8である分割型複合繊維(容積比50:50(ポリエチレンテレフタレート:高密度ポリエチレン))(商品名DFS(SH) ダイワボウポリテック(株)製)
[芯鞘型複合繊維1]
繊度1.6dtex、繊維径16μm、繊維長51mmのポリプロピレン(融点167℃)/高密度ポリエチレン(融点130℃)の組み合わせから成る、芯鞘型複合繊維(芯:ポリプロピレン、鞘:高密度ポリエチレン、容積比65:35(芯:鞘))(商品名NBF(H) ダイワボウポリテック(株)製)
[芯鞘型複合繊維2]
繊度3.3dtex、繊維径21μm、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート(融点255℃)/高密度ポリエチレン(融点130℃)の組み合わせから成り、芯成分の偏心率が25%である、偏心芯鞘型複合繊維(芯:ポリエチレンテレフタレート、鞘:高密度ポリエチレン、容積比64:36(芯:鞘)))(商品名NBF(SH)V ダイワボウポリテック(株)製)
なお、偏心率は、次式に基づいて求めた。
(実施例1)
1次親水性繊維処理剤を付着させた分割型複合繊維1のみを用いて、パラレルカード機を用いて、ウェブ狙い目付20g/m2でパラレルウェブを作製した。この繊維ウェブを、温度135℃に設定した熱風貫通式熱処理機にて、15秒間熱処理し、分割型複合繊維1のポリエチレンにより熱接着部を形成し、不織布を得た。なお、1次親水性繊維処理剤とは、一度水と接触させた後では大幅に親水性が低下する性質を、繊維に付与する処理剤を指す。
(実施例2)
耐久親水性の繊維処理剤を付着させた分割型複合繊維1のみを用いて、パラレルカード機を用いて、ウェブ狙い目付50g/m2でパラレルウェブを作製した。この繊維ウェブを、温度135℃に設定した熱風貫通式熱処理機にて、15秒間熱処理し、分割型複合繊維1のポリエチレンにより熱接着部を形成し、目付51.3g/m、厚さ2.74mmの不織布を得た。
(実施例3)
親水性の度合いが実施例2で用いたものよりも小さい繊維処理剤を付着させた分割型複合繊維1のみを用いて、パラレルカード機を用いて、ウェブ狙い目付50g/m2でパラレルウェブを作製した。この繊維ウェブを、温度135℃に設定した熱風貫通式熱処理機にて、15秒間熱処理し、分割型複合繊維2のポリエチレンにより熱接着部を形成し、目付52.4g/m、厚さ2.86mmの不織布を得た。
(実施例4−1)
分割型複合繊維1を20質量%、芯鞘型複合繊維2を80質量%用いて、パラレルカード機を用いてウェブ狙い目付50g/m2でパラレルウェブを作製した。本実施例では、分割型複合繊維1および芯鞘型複合繊維2はともに、耐久親水性の繊維処理剤を付着させて用いた。この繊維ウェブを、温度135℃に設定した熱風貫通式熱処理機にて、15秒間熱処理し、分割型複合繊維1および芯鞘型複合繊維2のポリエチレンにより熱接着部を形成し、目付48.7g/m、厚さ4.23mmの不織布を得た。
(実施例4−2)
分割型複合繊維1を20質量%、芯鞘型複合繊維2を80質量%用いて、パラレルカード機を用いてウェブ狙い目付50g/m2でパラレルウェブを作製した。本実施例では、分割型複合繊維1および芯鞘型複合繊維2ともに、耐久親水性の繊維処理剤を付着させて用いた。この繊維ウェブを、温度135℃に設定した熱風貫通式熱処理機にて、15秒間熱処理し、分割型複合繊維1および芯鞘型複合繊維2のポリエチレンにより熱接着部を形成し、目付49.9g/m、厚さ4.43mmの不織布を得た。
(比較例1)
芯鞘型複合繊維1のみを用いて、実施例1で採用した手順と同じ手順で、鞘部により熱接着部が形成された不織布を製造した。芯鞘型複合繊維1は、1次親水性の繊維処理剤を付着させて用いた。得られた不織布の目付は20.3g/m、厚さは2.07mmであった。
(比較例2−1)
芯鞘型複合繊維2のみを用いて、実施例2で採用した手順と同じ手順で、鞘部により熱接着部が形成された不織布を製造した。芯鞘型複合繊維2は、耐久親水性の繊維処理剤を付着させて用いた。得られた不織布の目付は44.1g/m、厚さは4.24mmであった。
(比較例2−2)
芯鞘型複合繊維2のみを用いて、実施例2で採用した手順と同じ手順で、鞘部により熱接着部が形成された不織布を製造した。芯鞘型複合繊維2は、耐久親水性の繊維処理剤を付着させて用いた。得られた不織布の目付は48.1g/m、厚さは4.82mmであった。
[目付、厚さ、比容積、柔軟性]
実施例1および比較例1の目付、厚さ(非熱圧着部の厚さ)、および比容積を表1に示し、実施例4−1および比較例2−1の目付、厚さ(非熱圧着部の厚さ)、および比容積を表2に示す。さらに、実施例1および比較例1の柔軟性を評価した結果をあわせて表1に示し、実施例4−1および比較例2−1の柔軟性を評価した結果をあわせて表2に示す。
不織布の厚さは、厚み測定機(商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2あたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定した。
不織布のドレープ性(剛軟度)は、JIS L 1096 6.19.5 E法(ハンドルオメータ法)に準じて測定した。具体的には、次の手順で測定した。
縦:20cm、横:20cmの試験片を試料台の上に、試験片の測定方向がスロット(隙間幅10mm)と直角になるように置く。
次に、試料台の表面から8mmまで下がるように調整されたペネトレータのブレードを下降させ、試験片を押し込んだとき、いずれか一方の辺から6.7cm(試験片の幅の1/3)の位置で、縦方向及び横方向それぞれ表裏異なる個所について、押し込みに対する抵抗値を読み取る。抵抗値として、マイクロアンメータの示す最高値(g)を読み取る。
測定は不織布のMD方向(機械方向、縦方向とも呼ばれる)、CD方向(幅方向、横方向とも呼ばれる)に平行な方向についてそれぞれ行い、CD方向に平行な方向について異なる2箇所にて剛軟度を測定し、その後MD方向に平行な方向について異なる2箇所にて測定する。
各測定箇所にて3回測定を行い、その平均値を各測定箇所(MD−1、MD−2、CD−1、CD−2)の剛軟度とし、これらの総和、総和を目付で除した値、およびMD方向の剛軟度の総和をCD方向の剛軟度の総和で除した値をドレープ性として評価する。表中、MD−1およびMD−2は、試料の縦方向がスロットの長さ方向と直交するように試料を試料台に置いて測定した値であり、CD−1およびCD−2は、試料の横方向がスロットの長さ方向と直交するように試料を試料台に置いて測定した値である。
[白色度、明度]
実施例1および比較例1の白色度および目付あたりの白色度、ならびに明度および目付あたりの明度を評価した。評価結果を表3に示す。白色度および明度は次の方法により評価した。
(白色度)
予め目付を測定した試料を30cm(MD方向)×21cm(CD方向)に切断し、黒い布の上に置いた。その状態にて、色差基準値のデータ(Y,x,y)値(Y:反射率、xy:色度)を、色彩色差計(ミノルタカメラ(株)製CR−310)を用いて測定した。用いた色差計は、三点測定したときにデータ値を表示するものであった。一つの試料につき、データ値を2回表示させて(データ値の測定を2回実施し)、それぞれのデータ値から白色度を下記の式より算出し、その平均値をその試料の白色度とした。さらに、白色度を目付で除して、目付あたりの白色度を求めた。
(明度L
予め目付を測定した試料を30cm(MD方向)×21cm(CD方向)に切断し、試料台の上に置き、その上から、ゼロ点構成時に使用する黒色のキャップをかぶせた。キャップをかぶせた状態で、L、a、bを測定した。測定は試料の向きを90度回転させる作業を3回行って計4回実施し、その平均値を測定結果として表示した。
実施例1と比較例1は、同じ繊維径の繊維で構成されているにもかかわらず、実施例1は比較例1と比較して、白色度および明度がともに小さく、高い透明性を示した。
実施例1および比較例1で得た不織布をそれぞれ、エンボスロールを用いた熱ロール加工に付して熱圧着部を形成した。熱ロール加工に際しては、直径1mm、高さ0.5mmの円柱状の凸部(凸部のエンボス面積:0.79mm)が設けられたエンボスロールを用い、温度を100℃、線圧20kg/cmとした。不織布においては、熱圧着部が不織布全体の面積の19.7%を占めていた。
実施例1および比較例1の表面または断面の電子顕微鏡写真を図2〜6に示す。図2および図3(実施例1)ならびに図5(比較例1)は、倍率300倍で、不織布表面の非熱圧着部の表面を撮影した写真である。さらに、実施例1および比較例1の熱圧着部の断面を倍率500倍で撮影した電子顕微鏡写真を図4(実施例1)および図6(比較例1)に示す。
実施例1および比較例1ともに、熱圧着部では溶融したポリエチレンにより膜が形成されていた。実施例1では、熱圧着部にて分割型複合繊維の分割が促進されたため、極細繊維が形成されている様子が確認された(図4)。また、実施例1の非熱圧着部では、一部の繊維において分割型複合繊維の分割に起因して、剥離部(割れ目)および極細繊維の形成が観察されたものの、極細繊維が繊維長の30%を超えて連続して存在するようなことはなく、全体として分割が抑制されていた(図2、図3)。また、実施例1においては、比較例1と比較して、熱圧着部の輪郭がよりはっきりとしており、熱圧着部の形状をより明瞭に視認できた。
[液戻り性]
実施例2、3、4−2および比較例2−2の液戻り性を評価した。評価結果を表4に示す。液戻り性は次の方法により評価した。
(液戻り性)
(1)液戻り量を測定するために、下記の物品を用意した。
吸収体(市販の乳児用紙おむつを分解して取り出したもの)
注入筒付きプレート(筒下部の内径2.5cm)
0.9%生理食塩水(青色染料で着色)
ろ紙(東洋濾紙(株)製 ADVANTEC(登録商標) No.2)10cm×10cm
重り(5kg)10cm×10cm
(2)方法
液戻り量を下記の手順に従って測定した。
(i)吸収体の上に不織布サンプル(タテ42cm×ヨコ21cm)を載せ、その上に注入筒付きプレートを乗せる。
(ii)約37℃に温めた生理食塩水50mlを筒から注入する。この時、生理食塩水が不織布表面から見えなくなる(液体として生理食塩水が確認されなくなる)まで放置する。
(iii)注入筒付きプレートを外し、10分静置する。
(iv)10分後、不織布の上にろ紙(30枚)を載せ、5kgの重りを20秒間載せる。その後、ろ紙の質量を測定する(不織布の上に載せる前のろ紙と不織布の上に載せておもりを載せた後のろ紙の質量差が逆戻り量に相当する)。
(vi)上記(i)に戻り、2回目の測定を行う。
液戻り性は、一つの試料(不織布)について、3つのサンプルを用意し、3つのサンプルそれぞれについて測定した液戻り量の平均値をその試料の液戻り量とした。
実施例2、3、4−2はいずれも、比較例2−2よりも2回目および3回目の液戻り量が小さかった。また、実施例2および実施例4−2については、2回目の液戻り量が1回目のそれと比べて小さく、実施例3については1回目と2回目との液戻り量の変化が小さかった。これに対し、比較例2−2は1回目よりも2回目の液戻り量が大きく、3回目の液戻り量は4つの試料の中で最も大きかった。
本実施形態の不織布は、柔軟であり、また、液戻りが生じにくいものであるから、例えば、吸収性物品の構成部材として好適に使用される。

Claims (10)

  1. 分割型複合繊維を20質量%以上含み、繊維同士が分割型複合繊維の一成分(以下、「A成分」)により接着されて、接着部を形成している不織布であって、
    分割型複合繊維が、10mm以上100mm以下の繊維長を有する短繊維であり、
    分割型複合繊維が、A成分の融点をT℃としたときに、T−5℃にて60秒間加熱したときに、セクション間の剥離が生じない非熱分割性のものであ
    分割型複合繊維の繊度が1.5dtex以上2.5dtex以下であり、
    前記不織布の目付あたりの剛軟度の総和が0.5〜2.2である、
    不織布。
  2. 分割型複合繊維を20質量%以上含み、繊維同士が分割型複合繊維の一成分(以下、「A成分」)により接着されて、接着部を形成しているとともに、膜状の圧着部が部分的に形成されている不織布であって、
    分割型複合繊維が、10mm以上100mm以下の繊維長を有する短繊維であり、
    分割型複合繊維が、A成分の融点をT℃としたときに、T−5℃にて60秒間加熱したときに、セクション間の剥離が生じない非熱分割性のものであり、
    当該圧着部において分割型複合繊維の分割の度合いが、当該圧着部以外の部分における分割型複合繊維の分割の度合いよりも大き
    分割型複合繊維の繊度が1.5dtex以上2.5dtex以下である、
    不織布。
  3. 分割型複合繊維を20質量%以上含み、繊維同士が分割型複合繊維の一成分(以下、「A成分」)により接着されて、接着部を形成している不織布であって、
    分割型複合繊維が、10mm以上100mm以下の繊維長を有する短繊維であり、
    分割型複合繊維を構成する複数のセクションのうち一つのセクションが分割または剥離して形成される極細繊維が、分割型複合繊維の繊維長の30%を超える長さでは連続して存在しておらず
    分割型複合繊維の繊度が1.5dtex以上2.5dtex以下であり、
    前記不織布の目付あたりの剛軟度の総和が0.5〜2.2である、
    不織布。
  4. 分割型複合繊維を20質量%以上含み、繊維同士が分割型複合繊維の一成分(以下、「A成分」)により接着されて、接着部を形成しているとともに、膜状の圧着部が部分的に形成されている不織布であって、
    分割型複合繊維が、10mm以上100mm以下の繊維長を有する短繊維であり、
    当該圧着部において分割型複合繊維の分割の度合いが、当該圧着部以外の部分における分割型複合繊維の分割の度合いよりも大きく、
    当該圧着部以外の部分において、分割型複合繊維を構成する複数のセクションのうち一つのセクションが分割または剥離して形成される極細繊維が、分割型複合繊維の繊維長の30%を超える長さでは連続して存在しておらず
    分割型複合繊維の繊度が1.5dtex以上2.5dtex以下である、
    不織布。
  5. 成分Aが高密度ポリエチレンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 目付が10g/m2以上55g/m2以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布。
    不織布。
  7. 繊度が1.5dtex以上2.5dtex以下である分割型複合繊維を20質量%以上含む繊維ウェブを作製すること
    繊維ウェブに、分割型複合繊維を構成する成分のうち最も融点の低い成分が軟化または溶融する温度の熱風を当てる熱風加工処理を実施すること
    を含み、
    繊維ウェブを機械的な交絡処理に付さず、
    熱風加工処理を、繊維ウェブに10kg/cm以上の線圧を加えず、かつ不織布の目付あたりの剛軟度の総和が0.5〜2.2となるように実施する
    不織布の製造方法。
  8. 熱圧着部を部分的に形成することをさらに含む、請求項7に記載の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布を含む、吸収性物品用シート。
  10. 表面材、または前記表面材と吸収体との間に配置されるシートである、請求項9に記載の吸収性物品用シート。
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