従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッドなどの吸収性物品Nとしては、例えば図10に示されるように、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などからなる不透液性裏面シート50と、不織布または透孔性プラスチックシートなどからなる透液性表面シート51との間に綿状パルプなどからなる吸収体52を介在させたものが知られている。
この種の吸収性物品Nとしては、装着状態でのズレ止めを図るために、例えば非肌当接面側(外面)に1または複数条の粘着剤層53,53を形成し、かつナプキン本体の長手方向両側部に、外方に延在するウイング状フラップW、Wを一体的に形成するとともに、このウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート50側の面(外面)に粘着剤層54,54を設けるようにしたものが存在する。
前記吸収性物品Nを下着60に固定するには、図11に示されるように、吸収性物品Nを下着60の局所対応部位にあてがい、側方に突出する前記ウイング状フラップW、Wを下着より外方に突出させ、両ウイング状フラップW、Wを折返し線RL、RLで折返し、下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら下着60の股間部外面に接着した後、下着を身体に装着するようにしている。
しかしながら、前記ウイング状フラップを折り返す際に、不用意に折り返すと一部だけが折り返され、粘着剤同士が接着してしまいシワや隆起部が出来たり、ウイング状フラップが中間で折り返され、粘着剤同士が接着してしまう誤接着を起こすことがあった。また、きっちりと折返し線RLで折り返すことが出来ず、ウイング状フラップの折返し線が斜めに曲がって折り返され、この折返しの突出部分が脚周りに違和感を与えたり、吸収性物品にズレが生じ漏れを引き起こす場合がある等の問題があった。
そこで、前記ウイング状フラップの下着(以下、ショーツともいう)への固定性を高めるための手段が種々提案されている。例えば、下記特許文献1では、吸収層及び防漏層を有する吸収性本体と、排泄部対向部における該吸収性本体の両側に設けられ、下着の非肌対向面側に折り曲げられて該下着に固定される一対のウイング部とを有する吸収性物品において、一対のウイング部それぞれの形状が、各ウイング部の先端の縁部の中点を通る幅方向横断線の前後で非対称であり、一対のウイング部それぞれは、吸収性物品長手方向後側の縁部の、前記吸収性本体の長手方向に対する傾斜角度が、吸収性物品長手方向前側の縁部の、該吸収性本体の長手方向に対する傾斜角度よりも小さく、一対のウイング部それぞれの吸収性物品長手方向前側の縁部は、直線状になされており、一対のウイング部それぞれの吸収性物品長手方向後側の縁部は、連続波状になされている吸収性物品が開示されている。
また、下記特許文献2では、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の両側部に夫々、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品において、前記ウイング状フラップは、本体部分から外方に延びる前側外形線と、本体部分から外方に延びる後側外形線とを有し、前記吸収性物品の幅方向線と前記前側外形線との成す角度よりも前記吸収性物品の幅方向線と前記後側外形線との成す角度の方が大きく設定され、前記ウイング状フラップの重心がウイング状フラップの付け根と本体部分との接合線の中央よりも前側に偏倚している吸収性物品が開示されている。また、この特許文献2では、前記前側外形線及び後側外形線は、波状線、曲線又はこれらの組合せとすることも開示されている。
更に、下記特許文献3では、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の両側部に夫々、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品において、前記ウイング状フラップは、本体部分から外方に延びる前側外形線と、本体部分から外方に延びる後側外形線とを有し、前記前側外形線は外側に突出する凸状部と内側に突出する凹状部との繰り返しによる波状線とされ、最も外方に位置する凹状部の頂点と前記ウイング状フラップの後側外形線が吸収性物品の本体部分に接続する接続点とを結んだ直線が前記接続点を通る吸収性物品の幅方向線に対して60〜65°の角度に設定してある吸収性物品が開示されている。
上記特許文献1、2記載の吸収性物品は、前記ウイング状フラップをショーツのクロッチ側縁に沿ってきっちりと折返しできるように企画したものであり、従来の台形状のウイング状フラップと比較すると格段に効果が望めるようになるが、ウイング状フラップに手をあてがって該フラップを折り返す際、指はウイング状フラップの前側外形線に当たるが、上記特許文献1に係るナプキンのように前側外形線が直線状とされる場合は、指の引っ掛かりがないためフラップの折返しに失敗することがあった。また、上記特許文献2では、前記前側外形線を波状線、曲線又はこれらの組合せとすることも開示されているが、指がウイング状フラップの適切な位置に位置決めされていないと、やはりフラップの折返しに失敗し、ショーツの側縁できっちりと折返しできないことがあった。
これに対して前記特許文献3に係る吸収性物品は、最も外方に位置する凹状部は、手の人差し指が掛かる位置として設定されるものであり、ユーザーがウイング状フラップを折り返す際に、人差し指が前記凹状部に引っ掛かるようにすることで、ウイング状フラップの折返し易さを向上させてウイング状フラップをショーツの側縁に沿って正規の折返し位置(付け根位置)できっちりと折返しできるようになるとの効果を有するとされている。
しかしながら、本発明者の調査・検討によりウイング状フラップの後側外形線に対して、中指及び薬指の2本の指又は中指〜小指までの3本の指が均等の接触圧で接していないと、後側外形線に掛かる力が不均等となり、ウイング状フラップに歪みが生じるためきっちりと折返しできないことが判明した。
そこで本発明の主たる課題は、ウイング状フラップをショーツの側縁に沿って正規の折返し位置(付け根位置)できっちりと折返しできるようにした吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在された本体部分の両側部に夫々、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップが形成された吸収性物品において、
前記ウイング状フラップは、本体部分から外方に延びる前側外形線と、本体部分から外方に延びる後側外形線とを有し、
前記前側外形線は外側に突出する凸状部と内側に突出する凹状部との繰り返しによる波状線とされ、最も外方に位置する凹状部の頂点Pと前記ウイング状フラップの後側外形線が吸収性物品の本体部分に接続する接続点Qとを結んだ直線が前記接続点を通る吸収性物品の幅方向線に対して60〜80°の角度αに設定してあり、
かつ前記前側外形線の最も外方に位置する凸状部の頂点Aを通る吸収性物品の長手方向線を前記後側外形線との交点Bまで引いた直線と、前記長手方向線が前記後側外形線と交差する交点Bと前記ウイング状フラップの後側外形線が吸収性物品の本体部分に接続する接続点Qとを結んだ直線との交角βが132〜155°の角度に設定してあり、
前記ウイング状フラップの吸収性物品幅方向の突出長Dが40mm以上60mm以下であり、前記前側外形線の最も外方に位置する凸状部の頂点Aと、この頂点Aを通る吸収性物品の長手方向線が前記後側外形線と交差する交点Bとの距離L 1 が30mm以上40mm以下、前記後側外形線の長さL 2 が55mm以上85mm以下、吸収性物品の幅方向線と前記前側外形線との成す角度θが−10〜20°であり、
前記最も外方に位置する凹状部の曲率半径rは10mm以上20mm以下とし、前記後側外形線は、隣接する外形線への接続のために端部に形成されたすり付け曲線部分を除いた中間部分は曲率半径Rが150〜300mmの外側に膨出する円弧状線としてあることを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記請求項1記載の発明では、ウイング状フラップの前側外形線は外側に突出する凸状部と内側に突出する凹状部との繰り返しによる波状線とされ、最も外方に位置する凹状部の頂点と前記ウイング状フラップの後側外形線が吸収性物品の本体部分に接続する接続点とを結んだ直線が前記接続点を通る吸収性物品の幅方向線に対して60〜80°の角度に設定してある。
前記最も外方に位置する凹状部は、手の人差し指が掛かる位置として設定されるものである。前記特許文献3に係る発明では、上記角度範囲は60〜65°に設定するのが望ましいことが記載されているが、中指及び薬指の2本の指又は中指〜小指までの3本の指がウイング状フラップの後側外形線に均等に接触することを前提条件とすると、前記後側外形線の長手方向寸法が長くなることが判明したため、本発明では上記角度範囲は60〜80°の範囲に設定している。
本発明者がユーザーがウイング状フラップを折り返す際に手の方向や位置を調査したところ、中指及び薬指の2本の指又は中指〜小指までの3本の指がウイング状フラップの後側外形線に均等に接触することを前提条件とした場合は、最も外方に位置する凹状部の頂点と前記ウイング状フラップの後側外形線が吸収性物品の本体部分に接続する接続点とを結んだ直線の角度が60〜80°の方向に人差し指が位置するケースが最も多かったことに鑑み、前記凹状部の位置を上記のように設定し、ユーザーがウイング状フラップを折り返す際に、人差し指が前記凹状部に引っ掛かるようにすることで、ウイング状フラップの折返し易さを向上させてウイング状フラップをショーツの側縁に沿って正規の折返し位置(付け根位置)できっちりと折返しできるようにしてある。
一方、本発明ではウイング状フラップの後側外形線について、前記前側外形線の最も外方に位置する凸状部の頂点を通る吸収性物品の長手方向線を前記後側外形線との交点まで引いた直線と、前記長手方向線が前記後側外形線と交差する交点と前記ウイング状フラップの後側外形線が吸収性物品の本体部分に接続する接続点とを結んだ直線との交角が132〜155°の角度に設定してある。前記後側外形線には、中指及び薬指の2本の指又は中指〜小指までの3本の指が接触する部分であるが、後側外形線に対して各指からの力が後側外形線に対して均等に作用させるために、後側外形線の最も適切な傾斜角度を調査したところ、前記交角が132〜155°であると後側外形線に対して各指が均等の力で接触することが多かったことに鑑み、前記交角の角度を上記のように設定し、ユーザーがウイング状フラップを折り返す際に、人差し指が前記凹状部に引っ掛かけた状態で、後側外形線に対して中指及び薬指の2本の指又は中指〜小指までの3本の指を添えると、これらの指が後側外形線に対して均等の接触圧で接触するようになるため、ウイング状フラップに歪みを生じさせることなく、ウイング状フラップをショーツの側縁に沿って正規の折返し位置(付け根位置)できっちりと折返しできるようになる。
なお、本発明において「外方」とは吸収性物品の側縁から遠ざかる方向をいう。また、「内側」及び「外側」とは、任意の基準線を境に吸収性物品の側を「内側」といい、その逆側を「外側」という。
本発明ではウイング状フラップの形状寸法としては、前記ウイング状フラップの吸収性物品幅方向の突出長Dが40mm以上60mm以下であり、前記前側外形線の最も外方に位置する凸状部の頂点Aと、この頂点Aを通る吸収性物品の長手方向線が前記後側外形線と交差する交点Bとの距離L 1 が30mm以上40mm以下、前記後側外形線の長さL 2 が55mm以上85mm以下、吸収性物品の幅方向線と前記前側外形線との成す角度θが−10〜20°としている。ウイング状フラップの後側外形線を中指及び薬指の2本の指又は中指〜小指までの3本の指で押さえて折返し易いように突出長Dを40mm以上60mm以下に設定するとともに、ユーザーがウイング状フラップを折り返す際に、人差し指が前記凹状部に引っ掛かけた状態で、後側外形線に対して中指及び薬指の2本の指又は中指〜小指までの3本の指を添えやすいように、前記前側外形線の最も外方に位置する凸状部の頂点Aと、この頂点Aを通る吸収性物品の長手方向線が前記後側外形線と交差する交点との距離L 1 が30mm以上40mm以下、後側外形線の長さL 2 を55mm以上85mm以下、吸収性物品の幅方向線と前記前側外形線との成す角度θが−10〜20°の範囲に設定するものである。
さらに本発明では、手の人差し指が凹状部に掛かり易いように、凹状部の曲率半径rを10mm以上20mm以下とし、前記後側外形線は、隣接する外形線への接続のために端部に形成されたすり付け曲線部分を除いた中間部分は曲率半径Rが150〜300mmの外側に膨出する円弧状線としてある。
手を自然な形で開いた状態を考えると、中指〜小指までの3本の指は同一平面状に並ぶのではなく、所定の曲率半径の円弧状線上に並ぶようになる。従って、後側外形線に対して中指及び薬指の2本の指又は中指〜小指までの3本の指を添えた際、これらの指が後側外形線に対して更に均等の接触圧で接触するようにするためには、後側外形線の形状を曲率半径が150〜300mmの外側に膨出する円弧状線とすることが望ましい。
請求項2に係る本発明として、前記吸収性物品の幅方向線と前記前側外形線との成す角度よりも前記吸収性物品の幅方向線と前記後側外形線との成す角度の方が大きく設定され、前記ウイング状フラップの重心がウイング状フラップの付け根と本体部分との接合線の中央よりも前側に偏倚している請求項1記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項2記載の発明では、ウイング状フラップの平面形状を、吸収性物品の幅方向線と前側外形線との成す角度(θ:図4参照)よりも吸収性物品の幅方向線と後側外形線との成す角度(γ(=β-90°):〃)の方が大きく設定され、前記ウイング状フラップの重心がウイング状フラップの付け根と本体部分との接合線の中央よりも前側に偏倚(ΔT:〃)している形状とするものである。換言すると、従来の等脚台形状のフラップ形状に代えて、フラップの後側辺の傾斜を前側辺よりも急傾斜にした略三角形状又は不等脚台形状を採用するものである。このような外形状とすることにより、後で詳述するように、簡単に正規の折り位置できっちりと折返し易くなる。なお、前記前側外形線の成す角度θを求める際の直線は、波状線の最も外方に位置する凸状部に接触する方向線とする。また、前記後側外形線の成す角度γを求める際の直線は、前記前側外形線の最も外方に位置する凹状部の頂点を通る吸収性物品の長手方向線を引き、この長手方向線が前記後側外形線と交差する交点と前記ウイング状フラップの後側外形線が吸収性物品の本体部分に接続する接続点とを結んだ直線とする。
上記のような外形状とすることにより、後で詳述するように、ウイング状フラップに粘着剤同士の接着や誤接着などの不具合を生じさせずに、簡単に正規の折り位置できっちりと折返し貼着できるようになる。
請求項3に係る本発明として、前記ウイング状フラップの裏面シートの面にウイングズレ止め粘着剤層を有し、前記ウイング状フラップの透液性表面シート側の面であって前記ウイングズレ止め粘着剤層の配設部位に対応する位置にズレ止め位置用目印を形成してある請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項3記載の発明は、本発明の場合は従来のものよりもウイング状フラップの面積が大きくなるため、ウイングズレ止め粘着剤層の位置が分かり難くなるため、表面側から分かりやすいようにズレ止め位置用目印を設けるようにするものである。
以上詳説のとおり、ウイング状フラップをショーツの側縁に沿って正規の折返し位置(付け根位置)できっちりとうまく折返しできるようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
《生理用ナプキン1》
本発明に係る生理用ナプキン1は、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、前記透液性表面シート3とクレープ紙5との間に介在された親水性不織布からなるセカンドシート6と、表面両側部にそれぞれ長手方向に沿って形成されたサイド不織布7,7とから構成されている。前記吸収体4の周囲において、その上下端縁部では、前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合されている。
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。前記透液性表面シート3の上面側から各種のエンボスを付与し、体液の滞留を促進し吸収効率を高めることにより横漏れを防止するのが望ましい。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を好適に用いることもできる。
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばフラッフ状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。本例のように、吸収体4を囲繞するクレープ紙5を設ける場合には、結果的に透液性表面シート3と吸収体4との間にクレープ紙5が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙5によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。
前記透液性表面シート3とクレープ紙5との間に介在された親水性不織布からなるセカンドシート6は、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を好適に用いることもできる。親水性を付与するには、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えることができる。なお、上記セカンドシート6は、透液性表面シート3を多孔性プラスチックシートとする組合せで用いるのが最も望ましい。
一方、本生理用ナプキン1の表面側両側部にはそれぞれ、長手方向に沿ってかつナプキン1のほぼ全長に亘ってサイド不織布7,7が設けられ、このサイド不織布7,7の一部が側方に延在されるとともに、同じく側方に延在された不透液性裏面シート2の一部とによりウイング状フラップW、Wが形成されている。このウイング状フラップWについては後で詳述する。
前記サイド不織布7としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いることが望ましい。また、前記ウイング状フラップW、Wにおける経血等の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるようにする。
図2に示されるように、前記透液性表面シート3と不透液性裏面シート2との間に吸収体4が介在された本体部分の非肌当接面には、下着に対する固定のために適宜の塗布パターンによって複数条の、図示例では3条の本体ズレ止め粘着剤層8,8…が形成されているとともに、これら本体ズレ止め粘着剤層8,8…が図示されない本体用剥離材によって覆われている。また、前記ウイング状フラップW、Wの不透液性裏面シート2側の面には、ウイングズレ止め粘着剤層9が形成されるとともに、これらウイングズレ止め粘着剤層9,9が図示されないウイング用剥離材によって覆われている。前記剥離材は、本体用剥離材と横断方向に配置されたウイング用剥離材とを交差部で接合し、1回の剥離手間で剥離材を撤去できるようにするのが望ましく、前記ウイング状フラップW、Wは、個装状態では透液性表面シート3側に折り畳む、所謂腹折りとしても良いし、不透液性裏面シート2側に折り畳む、所謂背折りとすることでもよい。また、ウイングズレ止め粘着剤層9,9を覆う剥離材として1枚の剥離材ではなく、左右に分離させてもよい。
前記剥離材としては、ズレ止め粘着剤層8,9に対する当接面に対し、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理した紙またはプラスチックシートを用いることができる。
前記ズレ止め粘着剤層8,9を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
《ウイング状フラップW》
前記ウイング状フラップWは、詳細には図4に示されるように、本体部分から外方に延びる前側外形線10と、本体部分から外方に延びる後側外形線11と、前記前側外形線10と後側外形線11とを繋ぐ先端側外形線12とからなる外形状を成す。前記前側外形線10、後側外形線11及び先端側外形線12の境界点は、本図示例のように、隣接する外形線同士を接続するすり付け曲線が導入される場合は、そのすり付け曲線の中間点とされている。
前記前側外形線10は、外側に突出する凸状部と内側に突出する凹状部との繰り返しによる波状線とされる。具体的には、前記ウイング状フラップWの前側外形線10がナプキン1の本体部分に接続する接続点S(以下、前側起点ともいう。)部位から外方に順に、第1凹状部10a、第1凸状部10b、第2凹状部10c、第2凸状部10dとにより波状の前記前側外形線10が構成されている。前記第2凹状部10cが本発明でいう「最も外方に位置する凹状部」となる。そして、前記最も外方に位置する凹状部10cの頂点Pと、前記ウイング状フラップの後側外形線が吸収性物品の本体部分に接続する接続点Q(以下、後側起点ともいう。)とを結んだ直線Hが前記後側起点Qを通るナプキン1の幅方向線に対して60〜80°、好ましくは65〜75°の角度αに設定してある。前記最も外方に位置する凹状部10cの曲率半径rは、10mm以上20mm以下とするのが望ましく、これ以外の第1凹状部10a、第1凸状部10b、第2凸状部10dについても、波状線のバランスから曲率半径は10mm以上20mm以下とするのがよい。
前記最も外方に位置する凹状部10cは、ウイング状フラップWを折返しするために手のひらを添えた際に、手の人差し指が掛かる位置として設定されるものである。すなわち、最も外方に位置する凹状部10cの頂点Pと前記ウイング状フラップWの後側起点Qとを結んだ直線Hの角度αを前記後側起点Qを通るナプキン1の幅方向線に対して60〜80°、好ましくは65〜75°の範囲に設定すると、ユーザーがウイング状フラップWを折り返す際に、人差し指が丁度前記凹状部10cに位置し、横ずれしないように引っ掛かるため、ユーザーはウイング状フラップWをショーツの側縁に沿って正規の折返し位置(付け根位置)できっちりと折返し易くなる。
一方、前記後側外形線11は、同図4に示されるように、前記前側外形線10における波状線の最も外方に位置する凸状部10dの頂点Aを通るナプキン1の長手方向線を前記後側外形線11との交点Bまで引いた直線H1と、前記長手方向線が前記後側外形線11と交差する交点Bと前記ウイング状フラップWの後側外形線11がナプキン1の本体部分に接続する接続点Qとを結んだ直線H2との交角βが132〜155°、好ましくは135〜145°の角度に設定してある。なお、交角βは2本の直線(H1、H2)によって挟まれた領域内にウイング状フラップWの重心13を有する側の角度とされる。
前記交角βを132〜155°、好ましくは135〜145°の角度に設定してあると、ウイング状フラップWを折返しするために、手のひらを添え人差し指が前記凹状部10cにかけた状態としたとき、中指m及び薬指nの2本の指又は中指m〜小指kまでの3本の指が均等に後側外形線11に接触するようになり、ウイング状フラップWに歪みを生じさせることなく、ウイング状フラップをショーツの側縁に沿って正規の折返し位置(付け根位置)できっちりと折返しできるようになる。
前記後側外形線11は、図4の例では、隣接する外形線(先端側外形線12及びナプキン本体外形線)への接続のために端部に形成されたすり付け曲線部分を除いた中間部分は直線としてあるが、図5に示されるように、前記後側外形線11は、隣接する外形線への接続のために端部に形成されたすり付け曲線部分を除いた中間部分を、曲率半径Rが150〜300mm、好ましくは200〜250mmの外側に膨出する円弧状線とすることも可能である。手を自然な形で開いた状態とすると、中指m〜小指kまでの3本の指は同一平面状に並ぶのではなく、所定の曲率半径の円弧状線上に並ぶようになる。前記曲率半径Rは、手を自然な形で開いた状態で中指m〜小指kまでの3本の指を通る曲線として設定されるものである。従って、後側外形線11に対して中指m及び薬指nの2本の指又は中指m〜小指kまでの3本の指を添えた際、これらの指が後側外形線11に対して、直線とした場合よりも更に均等の接触圧で接触するようになるため、ウイング状フラップWに歪みを生じさせることなく、折返すことが可能になる。
前記ウイング状フラップWの形状は、前記ウイング状フラップの前側起点Sを通る幅方向線と前記前側外形線10との成す角度θよりも前記ウイング状フラップWの後側起点Qを通る幅方向線と前記後側外形線11との成す角度γ(=β−90°)の方が大きく設定され、前記ウイング状フラップWの重心13がウイング状フラップWの付け根と本体部分との接合線15の中央点14よりもΔTだけ前側に偏倚させるようにしている。なお、上記条件を満たす形状を模式的に示すと、図7(B)に示されるように略三角形状か、図4に示されるように略不等脚台形状となる。形状が略三角形状の場合は、前側外形線10と後側外形線11とを繋ぐ先端側外形線12が存在しないことになる。
なお、前記角度θを求める際の前側外形線10の直線は、波状線の最も外方に位置する凸状部10dの頂点Aに接触する方向線とし、前記角度γを求める際の直線は、前記交点Bと後側起点Qとを結ぶ方向線(H2)とする。
前記前側外形線10に関しては、図8(A)に示されるように、前記ウイング状フラップの前側起点Sを通る幅方向線と前記前側外形線10との成す角度θをマイナス範囲とし、前記前側外形線10が外方に行くに従ってナプキン1の前側方向に傾いた傾斜線としても良いし、図8(B)に示されるように、前記角度θを0とし、前記前側外形線10を水平線としてもよい。前記前側外形線10との成す角度θを0〜マイナス範囲とした場合は、重心をより前側に偏倚させることができるとともに、広い範囲でウイング状フラップWに手を当てることができるためウイング状フラップWを折返し易くできる。
前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記前側外形線10との成す角度θは、−10〜20°程度とし、前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記後側外形線11との成す角度γは42〜65°、好ましくは45〜55°程度とするのが望ましい。この場合、前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記前側外形線10との成す角度θと、前記生理用ナプキン1の幅方向線と前記後側外形線11との成す角度γとの角度差は30°以上とするのが望ましい。この角度差が30°以上であると、十分な偏心距離ΔTを確保でき、ウイング状フラップWを折り返す際に、後述のように、手を前側に動かす動作を伴いながら手でウイング状フラップを折り返しても、きっちりと正規の状態で装着できるようになる。
ウイング状フラップWを上記のような外形状とすることにより、ウイング状フラップに粘着剤同士の接着や誤接着などの不具合を生じさせずに、簡単に正規の折り位置できっちりと折返し貼着できるなどの利点をもたらすことが可能となる。この点について、従来の等脚台形状のウイング状フラップW(図10参照)との比較によって更に詳述する。
先ず、女性が便器等に座った状態で生理用ナプキン1をショーツ20に装着する場合は、ショーツ20を下げ降ろした状態で行うため、図6に示されるように、身体よりも前側でナプキン1の装着作業を行うことになる。
従来の等脚台形状のウイング状フラップWの場合は、図6(A)に示されるように、手をナプキンの両側に添えた状態からウイング状フラップを真下方向に折り返さないとうまく装着できない構造となっている。しかし、装着位置が身体よりも前側になっていることから、注意していないと手を前側に動かす動作(図5(B))が入ってしまい、ウイング状フラップの一部だけが折り返され、粘着剤同士が接着してしまいシワや隆起部が出来たり、ウイング状フラップWが中間で折り返され粘着剤層に接着してしまう誤接着などの不具合が出来たりしていた。また、ウイング状フラップの折返し線が斜めに曲がって折り返されることがあった。これに対して、本発明のように前記ウイング状フラップWの重心13を前側に偏倚させたウイング形状とすると、図6(B)に示されるように、前記ウイング状フラップWを折り返す際に、手のひらを体勢なりに前側方向に折り返すようにすると、自然とウイング状フラップWをきっちりと正規の状態で装着できるようになる。
図7(A)は、従来の等脚台形状のウイング状フラップWの折返し時の作用力メカニズムを示したものであるが、手を前側に動かす動作を伴いながら手でウイング状フラップを折り返す場合、ウイング状フラップWの後側外形線から先端側に亘って下側に向かう荷重が作用するとし、これらの分布荷重を纏めた集中荷重ΣPを想定すると、この集中荷重ΣPによって生じるモーメントの基点はウイング状フラップの接合線15の中央点14となり、ウイング状フラップWを折り返す際に捻れが生じ、後側外形線11の基端から徐々に進行していく折返し線16は外方に傾いてしまうことになる。
これに対して、本発明の場合は、図7(B)に示されるように、傾斜した後側外形線11の中央部分に下側に向かう荷重が作用するとし、これらの分布荷重を纏めた集中荷重ΣPを想定すると、この集中荷重ΣPによって生じるモーメントの基点はウイング状フラップの接合線15の中央点14よりも前側にシフトした重心分割点13’(接合線15の1:2分割点)となり、ウイング状フラップWを折り返す際の捻れが少ないため、後側外形線11の基端から徐々に進行していく折返し線16は接合線15と一致し、正規の折返し位置で折り返されることになる。
また、ウイング状フラップWの後側外形線11が大きく傾斜した形状となっているため、ウイング状フラップWに粘着剤同士の接着や誤接着などの不具合を生じさせることなく、折返し線RLできっちりと折り畳まれるようになる。
以下、更に前記ウイング状フラップWの好ましい形状寸法について詳述する。
図4及び図5において、前記ウイング状フラップの吸収性物品幅方向の突出長(D)は、ウイング状フラップWの後側外形線11を中指及び薬指の2本の指又は中指〜小指までの3本の指で押さえて折返し易いように40mm以上60mm以下、好ましくは45mm以上55mm以下とするのがよい。また、ユーザーがウイング状フラップを折り返す際に、人差し指が前記凹状部10cに引っ掛かけた状態で、後側外形線11に対して中指m及び薬指nの2本の指又は中指m〜小指kまでの3本の指を添えやすいように、前記前側外形線11の最も外方に位置する凸状部10dの頂点Aと、この頂点Aを通るナプキン1の長手方向線H1が前記後側外形線11と交差する交点Bとの距離(L1)が30mm以上40mm以下、好ましくは33mm以上37mm以下とするのがよい。
また、前記後側外形線11の長さ(L2)は、ウイング状フラップWの後側外形線11を中指m及び薬指nの2本の指又は中指m〜小指kまでの3本の指で押さえやすくするために55mm以上85mm以下、好ましくは60mm以上75mm以下とするのがよい。
さらに、前記ウイング状フラップの前側起点Sと前記ウイング状フラップの後側起点Qとの距離(L0)、すなわちウイング状フラップの基端幅はショーツのクロッチの湾曲部に収まるように80mm以上100mm以下、好ましくは85mm以上95mm以下に設定するのがよい。
〔その他の形態例〕
(1)本発明の場合は、従来のものよりもウイング状フラップWの面積が大きくなる傾向にあるため、ユーザー側からウイングズレ止め粘着剤層9の位置が分かり難くなる。従って、図9に示されるように、前記ウイング状フラップWの透液性表面シート3側の面であって前記ウイングズレ止め粘着剤層9の配設部位に対応する位置にズレ止め位置用目印17を設けるようにするのがよい。このズレ止め位置用目印17は、前記ウイングズレ止め粘着剤層9に対して一部が重なっていればよい。また、エンボスによる型押しによって形成することができ、そのデザインは、例えば図示例のような花柄や、ハート型、三日月型、星型など任意のデザインとすることができる。前記ズレ止め位置用目印17は、エンボスによって固くなるのを防止するため、ウイング状フラップWの総面積の1/2以下、好ましくは1/4以下の面積で形成するのがよい。
(2)前記ウイング状フラップWがナプキン長手方向及び/又は幅方向に伸縮性を有する素材で構成されていることで、身体の動きにウイング状フラップWが追従し応力を緩和するため、装着感が良好になるとともに、ズレ難くなる。具体的には、前記サイド不織布7として、伸縮性を有するサイド不織布、具体的にはポリウレタンなどの可逆的に塑性変形し易い弾性樹脂材料からなる長繊維で構成した不織布、または引き延ばされた際に繊維自体の繊維直径は変化しないものの、ジグザグ状またはスパイラル状の捲縮が形成され、この捲縮が引き延ばされることによって伸縮性を示すようにした不織布等を使用するとともに、前記不透液性裏面シート2として伸縮性プラスチックフィルムを使用することにより、前記ウイング状フラップW、Wに伸縮性を与え、身体の動きに追従させるようにする。