以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施例の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第1実施形態)
図1に示す燃料噴射弁1は、点火式の内燃機関であるガソリンエンジンに搭載されており、多気筒エンジンの各燃焼室へ直接燃料を噴射するものである。燃料噴射弁1へ供給される燃料は、図示しない燃料ポンプにより圧送され、燃料ポンプはエンジンの回転駆動力により駆動する。燃料噴射弁1は、ケース10、ノズルボデー20、弁体30、可動コア41、固定コア50,51、非磁性部材60、コイル70、配管接続部80等を備えて構成されている。
ケース10は、金属製であり、コイル70の環状中心線Cが延びる方向(以下、軸線方向と記載)に延びる円筒形状である。なお、コイル70の環状中心線Cと、ケース10、ノズルボデー20、弁体30、可動コア41、固定コア50,51および非磁性部材60の中心軸線とは一致する。
ノズルボデー20は、金属製であり、ケース10内に挿入配置されてケース10と係合するボデー本体部21と、ボデー本体部21からケース10外部に延出するノズル部22とを有する。ボデー本体部21及びノズル部22は、いずれも軸線方向に延びる円筒形状であり、ノズル部22の先端には噴孔部材23が取り付けられている。
噴孔部材23は、金属製であり、ノズル部22に溶接で固定されている。噴孔部材23は軸線方向に延びる有底の円筒形状であり、噴孔部材23の先端には、燃料を噴射する噴孔23aが形成されている。噴孔部材23の内周面には、弁体30が離着座する着座面23sが形成されている。
弁体30は、金属製であり、軸線方向に沿って延びる円柱形状である。弁体30は、軸線方向に移動可能な状態でノズルボデー20の内部に組み付けられており、弁体30の外周面30aとノズルボデー20の内周面20aとの間で、軸線方向に延びる環状の流通路が形成されている。この流通路を下流通路F30と称する。弁体30の噴孔23a側の端部には、着座面23sに離着座する、環状のシート面30sが形成されている。
弁体30のうち噴孔23aの反対側(以下、反噴孔側と記載)の端部には、連結部材31が溶接等により固定して取り付けられている。さらに、連結部材31の反噴孔側端部には、オリフィス部材32および可動コア41が取り付けられている。
図2、図3に示すように、連結部材31は軸線方向に延びる円筒形状であり、円筒内部が燃料を流通させる流通路F23として機能する。オリフィス部材32は、連結部材31の円筒内周面に溶接等により固定され、可動コア41は、連結部材31の円筒外周面に溶接等により固定されている。連結部材31の反噴孔側端部には、径方向に拡大する拡径部31aが形成されている。拡径部31aの噴孔側端面が可動コア41と係合することで、連結部材31が可動コア41に対して噴孔側に抜け出ることを防止している。
オリフィス部材32は軸線方向に延びる円筒形状であり、円筒内部が燃料を流通させる流通路F21として機能する。オリフィス部材32の噴孔側端部には、流通路F21の通路面積を部分的に狭くして流量を絞る絞り部としてのオリフィス32aが形成されている。流通路F21のうちオリフィス32aにより絞られた部分を絞り流通路F22と呼ぶ。
絞り流通路F22は弁体30の中心軸線上に位置する。絞り流通路F22の流路長さは絞り流通路F22の直径よりも短い。オリフィス部材32の反噴孔側端部には、径方向に拡大する拡径部32bが形成されている。拡径部32bの噴孔側端面が連結部材31と係合することで、オリフィス部材32が連結部材31に対して噴孔側に抜け出ることを防止している。
可動構造体Mは、移動部材35及び押付用弾性部材SP2を有している。移動部材35は、オリフィス部材32に対して軸線方向に相対移動可能な状態で、連結部材31の内部の流通路F23に配置されている。
移動部材35は、軸線方向に延びる金属製の円柱形状であり、オリフィス部材32の下流側に配置されている。移動部材35の円柱中心部分には軸線方向に貫通する貫通穴が形成されている。この貫通穴は、流通路Fの一部であり絞り流通路F22と連通し、絞り流通路F22よりも通路面積が小さいサブ絞り流通路38として機能する。移動部材35は、絞り流通路F22を覆うシール面36aが形成されたシール部36と、押付用弾性部材SP2と係合する係合部37とを有する。
係合部37はシール部36よりも小径であり、コイル形状の押付用弾性部材SP2が係合部37に嵌め込まれている。これにより、押付用弾性部材SP2の径方向への移動が係合部37で規制される。押付用弾性部材SP2の一端はシール部36の下端面に支持され、押付用弾性部材SP2の他端は連結部材31に支持される。押付用弾性部材SP2は、軸線方向に弾性変形して弾性力を移動部材35へ付与し、移動部材35のシール面36aは、オリフィス部材32の下端面に弾性力で押し付けられて密着する。
可動コア41は、金属製の円環状部材である。可動コア41は、可動内側部42及び可動外側部43を有しており、いずれも円環状になっている。可動内側部42は可動コア41の内周面を形成し、可動外側部43は可動内側部42の径方向外側に配置されている。可動コア41は、反噴孔側を向いた可動上面41aを有しており、可動上面41aは、可動コア41の上端面を形成している。可動上面41aには段差が形成されている。具体的には、可動外側部43は反噴孔側を向いた可動外側上面43aを有し、可動内側部42は反噴孔側を向いた可動内側上面42aを有しており、可動外側上面43aが可動内側上面42aよりも噴孔側にあることで、可動上面41aに段差が形成されている。可動内側上面42a及び可動外側上面43aは、いずれも軸線方向に直交している。
可動コア41は、噴孔側を向いた可動下面41bを有しており、この可動下面41bは、径方向において可動内側部42と可動外側部43とに跨った状態で、可動コア41において平坦な下端面を形成している。可動下面41bにおいては、可動内側部42と可動外側部43との境界部に段差が形成されていない。軸線方向においては、可動外側部43の高さ寸法が可動内側部42の高さ寸法より小さくなっており、可動コア41は、可動外側部43が可動内側部42から外周側に突出したような形状になっている。
可動コア41は、連結部材31、弁体30、オリフィス部材32、および以下に説明する摺動部材33と一体となって軸線方向に移動する。これらの可動コア41、連結部材31、弁体30、オリフィス部材32および摺動部材33は、一体となって軸線方向に移動する可動構造体Mに相当する。
摺動部材33は、可動コア41とは別体であるが、溶接等により可動コア41に固定されている。摺動部材33を可動コア41と別体にすることで、摺動部材33を可動コア41とは材質や材料が異なる構成を容易に実現できるようにしている。可動コア41には、摺動部材33に比べて高磁性の材料が用いられており、摺動部材33には、可動コア41に比べて耐摩耗性の高い材料が用いられている。
摺動部材33は円筒形状であり、摺動部材33の円筒外周面は、ノズルボデー20側の部材に対して摺動する摺動面33aとして機能する。摺動部材33の反噴孔側の面は、可動コア41の噴孔側の面に溶接等により接合されており、摺動部材33と可動コア41との間を燃料が通過しないようになっている。摺動部材33の反噴孔側端部には、径方向に縮小する縮径部33cが形成されている。ボデー本体部21には支持部材24が固定されており、支持部材24には、径方向に縮小する縮径部24aが形成されている。摺動部材33と支持部材24とは軸線方向において並べて配置されており、可動構造体Mの移動に伴って摺動部材33と支持部材24との離間距離は増減する。この離間距離は、弁体30が閉弁状態にある場合に最小になるが、この場合でも摺動部材33は支持部材24から反噴孔側に離間している。
可動構造体Mには、ノズルボデー20に対して可動構造体Mを軸線方向に移動可能に摺動させつつ径方向に支持するガイド部が設けられている。ガイド部は、軸線方向の2箇所に設けられており、軸線方向のうち噴孔23aの側に位置するガイド部を噴孔側ガイド部30b(図1参照)と呼び、反噴孔側に位置するガイド部を反噴孔側ガイド部31bと呼ぶ。噴孔側ガイド部30bは、弁体30の外周面に形成され、噴孔部材23の内周面に摺動可能に支持される。反噴孔側ガイド部31bは、連結部材31の外周面に形成され、支持部材24の内周面に摺動可能に支持される。
固定コア50,51は、ケース10の内部に固定して配置されている。固定コア50,51は、軸線方向の周りに延びる環状の金属製である。第1固定コア50は、コイル70の内周側に設けられており、第1固定コア50の外周面とコイル70の内周面とが対向している。第1固定コア50は、噴孔側を向いた第1下面50aを有しており、この第1下面50aは、第1固定コア50の下端面を形成し、軸線方向に直交している。第1固定コア50は、可動コア41の反噴孔側に設けられており、第1下面50aは可動コア41の可動内側上面42aに対向している。また、第1固定コア50は、第1傾斜面50b及び第1外面50cを有している。第1傾斜面50bは、第1下面50aの外周側端部から反噴孔側に向けて斜めに延びている。第1外面50cは、第1固定コア50の外周面であり、第1傾斜面50bの反噴孔側の上端部から軸線方向に延びている。第1固定コア50は、第1下面50aと第1外面50cとの出隅部分が第1傾斜面50bにより面取りされたような形状になっている。
第2固定コア51は、コイル70の噴孔側に設けられており、全体として円環状になっている。第2内側部52及び第2外側部53を有しており、いずれも円環状になっている。第2外側部53は第2固定コア51の外周面を形成しており、第2内側部52は第2外側部53の内周側に配置されている。第2固定コア51は噴孔側を向いた第2下面51aを有しており、第2下面51aは、第2固定コア51の下端面を形成し、軸線方向に直交している。第2下面51aには段差が形成されている。具体的には、第2内側部52は噴孔側を向いた第2内側下面52aを有し、第2外側部53は噴孔側を向いた第2外側下面53aを有しており、第2内側下面52aが第2外側下面53aよりも反噴孔側にあることで、第2下面51aに段差が形成されている。軸線方向においては、第2内側部52の高さ寸法が第2外側部53の高さ寸法より小さくなっており、第2固定コア51は、第2内側部52が第2外側部53から内周側に突出したような形状になっている。
第2固定コア51の第2内側部52は、可動コア41の可動外側部43よりも反噴孔側に配置されており、これら第2内側部52と可動外側部43とは軸線方向に並んでいる。この場合、軸線方向において第2内側下面52aと可動外側上面43aとが対向している。
第2固定コア51においては、第2外側部53がボデー本体部21の反噴孔側に設けられている。ここで、ボデー本体部21は、径方向外側の端部から反噴孔側に向けて延びた円環状の外側延出部211を有している。外側延出部211は、ボデー本体部21の上端面において径方向内側の端部から離間していることで、ボデー本体部21の上端面に段差を形成している。ボデー本体部21は、本体内側上面21a、本体外側上面21b、本体外側内面21c、本体内側内面21dを有しており、本体内側上面21a及び本体外側上面21bは反噴孔側を向き、本体外側内面21c及び本体内側内面21dは径方向内側を向いている。本体外側上面21bは外側延出部211の上端面であり、本体外側内面21cは外側延出部211の内周面である。本体内側内面21dは、本体内側上面21aの径方向内側の端部から噴孔側に向けて延びており、ボデー本体部21の内周面である。本体内側上面21aは、ボデー本体部21の上端面のうち本体外側内面21cよりも径方向内側の部分である。本体内側上面21a及び本体外側上面21bは軸線方向に直交しており、本体外側内面21cは軸線方向に平行に延びている。
第2固定コア51においては、第2外側下面53aが本体外側上面21bに重ねられており、この重ねられた部分において第2固定コア51とボデー本体部21とがレーザー溶接等の溶接により接合されている。溶接が行われる前の状態においては、第2外側下面53a及び本体外側上面21bが第2固定コア51とボデー本体部21との境界部である固定境界部Qに含まれている。径方向において、第2外側下面53aの幅寸法と本体外側上面21bの幅寸法とは同じになっており、これら第2外側下面53aと本体外側上面21bとはそれぞれの全体が互いに重なっている。第2外側部53の外周面及びボデー本体部21の外周面はそれぞれケース10の内周面に重なっている。
第2固定コア51は、第2上面51b及び第2傾斜面51cを有している。第2傾斜面51cは、第2内側部52の内周面である第2内側内面52bから反噴孔側に向けて斜めに延びており、第2上面51bは、第2傾斜面51cの上端部から径方向に延びている。この場合、第2上面51b及び第2傾斜面51cは、第2固定コア51の上端面を形成している。第2傾斜面51cは、径方向において第2内側部52と第2外側部53とに跨った状態になっている。第2固定コア51は、第2上面51bと外周面との出隅部分が第2傾斜面51cにより面取りされたような形状になっている。
非磁性部材60は、軸線方向の周りに延びる環状の金属製部材であり、第1固定コア50と第2固定コア51との間に設けられている。非磁性部材60は、固定コア50,51や可動コア41よりも磁性が弱く、例えば非磁性体により形成されている。この非磁性部材60と同様に、ボデー本体部21も、固定コア50,51や可動コア41に比べて磁性が弱く、例えば非磁性体により形成されている。一方、固定コア50,51及び可動コア41は磁性を有しており、例えば強磁性体により形成されている。
なお、固定コア50,51及び可動コア41を、磁束の通路になりやすい磁束通路部材と称し、非磁性部材60及びボデー本体部21を、磁束の通路になりにくい磁束規制部材と称することができる。特に、後述するように、非磁性部材60は、磁束が可動コア41を通らずに固定コア50,51を磁気的に短絡して通ることを規制する機能を有しており、非磁性部材60を短絡規制部材と称することもできる。また、非磁性部材60が短絡規制部を構成していることにもなる。ノズルボデー20については、ボデー本体部21及びノズル部22が金属材料により一体成型されていることで、ボデー本体部21及びノズル部22の両方が磁性の弱くなっている。
非磁性部材60は、上傾斜面60a及び下傾斜面60bを有している。上傾斜面60aは、第1固定コア50の第1傾斜面50bに重ねられており、これら上傾斜面60aと第1傾斜面50bとは溶接により接合されている。下傾斜面60bは、第2固定コア51の第2傾斜面51cに重ねられており、これら下傾斜面60bと第2傾斜面51cとは溶接により接合されている。第1傾斜面50bと第2傾斜面51cとは、それぞれの少なくとも一部が軸線方向に並んでおり、非磁性部材60は、少なくとも軸線方向においてこれら傾斜面50b,51cの間に入り込んだ状態になっている。
第1固定コア50の内周面には、円筒形状かつ金属製のストッパ55が固定されている。ストッパ55は、可動構造体Mの連結部材31と当接することで可動構造体Mが反噴孔側へ移動することを規制する部材であり、ストッパ55の下端面が連結部材31の拡径部31aの上端面に当接することで、可動構造体Mの移動が規制される。ストッパ55は、第1固定コア50よりも噴孔側に突出している。このため、ストッパ55により可動構造体Mの移動が規制された状態でも、固定コア50,51と可動コア41との間に所定のギャップが形成されている。このギャップは、第1下面50aと可動内側上面42aとの間や、第2内側下面52aと可動外側上面43aとの間に形成されている。図3等では、これらギャップを明確に図示するために、第1下面50aと可動内側上面42aとの離間距離や、第2内側下面52aと可動外側上面43aとの離間距離を実際よりも大きめに図示している。
非磁性部材60および固定コア50の径方向外側には、コイル70が配置されている。コイル70は、樹脂製のボビン71に巻き回されている。ボビン71は、軸線方向を中心とした円筒形状である。したがって、コイル70は、軸線方向の周りに延びる環状に配置されることになる。ボビン71は、第1固定コア50及び非磁性部材60に当接している。ボビン71の外周側の開口部、上端面及び下端面は、樹脂製のカバー72で覆われている。
カバー72とケース10との間には、ヨーク75が設けられている。ヨーク75は、第2固定コア51の反噴孔側に配置されており、第2固定コア51の第2上面51bに当接している。ヨーク75は、固定コア50,51や可動コア41と同様に磁性を有しており、例えば強磁性体により形成されている。なお、固定コア50,51や可動コア41は、流通路を形成するなど燃料に触れる位置に配置されており、耐油性を有している。これに対して、ヨーク75は、流通路を形成していないなど燃料に触れない位置に配置されており、耐油性を有していない。このため、ヨーク75は、固定コア50,51や可動コア41よりも更に高い磁性を有している。
本実施形態では、第2固定コア51とボデー本体部21との固定境界部Qを覆う覆い体90が、第2固定コア51及びボデー本体部21の内周側に設けられている。覆い体90は、環状であり、第2固定コア51の周方向において固定境界部Qの全体を覆っている。覆い体90は、固定境界部Qを軸線方向に跨いだ状態で、第2固定コア51及びボデー本体部21から径方向内側に突出している。ここで、ボデー本体部21は本体切欠部N21を有し、第2固定コア51は第2切欠部N51を有しており、覆い体90は、これら切欠部N21,N51に入り込んだ状態になっている。
ボデー本体部21においては、本体切欠部N21が本体外側内面21c及び本体内側上面21aにより形成されている。本体切欠部N21は、軸線方向において噴孔側に開放されているとともに、径方向内側に開放されている。本体切欠部N21は、本体外側内面21cと本体内側上面21aとを接続する切欠傾斜面N21aを有しており、この切欠傾斜面N21aにより入隅部分が面取りされたような形状になっている。
第2固定コア51においては、第2切欠部N51が第2内側下面52a及び第2外側内面53bにより形成されている。第2外側内面53bは、径方向内側を向いた状態で軸線方向に延びており、第2外側部53の内周面を形成している。第2切欠部N51は、第2固定コア51の第2下面51aの段差により形成されており、軸線方向において反噴孔側に開放されているとともに、径方向内側に開放されている。第2切欠部N51は、第2内側下面52aと第2外側内面53bとを接続する切欠傾斜面N51aを有しており、この切欠傾斜面N51aにより入隅部分が面取りされたような形状になっている。
本体切欠部N21と第2切欠部N51とは軸線方向に連通されており、覆い体90は、これら切欠部N21,N51において第2内側下面52aと本体内側上面21aとの間に配置されている。ボデー本体部21の本体外側内面21cと第2固定コア51の第2外側内面53bとは、軸線方向において同一平面を形成している。覆い体90の外周面である覆い外面90aは、固定境界部Qを内側から覆った状態で本体外側内面21c及び第2外側内面53bの両方に重ねられている。ただし、覆い外面90aは、切欠傾斜面N21a,N51aには重なっていない。
覆い体90は、覆い内側部92及び覆い外側部91を有している。覆い外側部91は覆い外面90aを形成しており、覆い内側部92は覆い外側部91の径方向内側に配置されている。覆い内側部92の高さ寸法H1は、覆い外側部H2の高さ寸法より小さくなっている(図4参照)。覆い体90は、反噴孔側を向いた覆い上面90bと、噴孔側を向いた覆い下面90cとを有している。これら覆い上面90bと覆い下面90cとは同じ面積になっている。
覆い上面90bには、覆い内側部92の反噴孔側の上端面が覆い外側部91の反噴孔側の上端面より噴孔側に配置されていることで段差が形成されている。覆い下面90cは、覆い体90の噴孔側の平坦な下端面を形成しており、覆い下面90cにおいては、覆い内側部92と覆い外側部91との境界部に段差が形成されていない。
覆い体90においては、覆い上面90bにある段差により覆い切欠部N90が形成されている。覆い切欠部N90には、可動コア41の噴孔側であって外周側の出隅部分が入り込んでいる。この場合、覆い外側部91の反噴孔側の端部は、径方向において可動外側部と第2外側部53との間に配置されている。また、覆い内側部92は、軸線方向において第2外側部53の噴孔側に配置されている。
覆い体90においては、覆い上面90bが可動コア41の可動下面41b及び第2固定コア51の第2内側下面52aから噴孔側に離間しているとともに、覆い下面90cがボデー本体部21の本体内側上面21aから反噴孔側に離間している。覆い外側部91は、径方向において第2外側部53と可動外側部43との間に入り込んでおり、覆い内側部92は、軸線方向において可動コア41と本体内側上面21aとの間に入り込んでいる。
図3に示すように、軸線方向において、覆い上面90bと第2内側下面52aとの離間距離H1aと、覆い下面90cと本体内側上面21aとの離間距離H1bとが同じになっている。また、軸線方向において、固定境界部Qと第2内側下面52aとの離間距離H2aと、固定境界部Qと本体内側上面21aとの離間距離H2bとが同じになっている。これらの場合、軸線方向において、覆い外側部91及び固定境界部Qが第2内側下面52aと本体内側上面21aとの中央位置に配置されていることになる。
図2、図3において、軸線方向において覆い内側部92と可動コア41との離間距離は、可動構造体Mの移動に伴って増減するが、弁体30が着座面23sに着座することで、これら覆い内側部92と可動コア41とは接触しないようになっている。本実施形態では、覆い上面90bと可動コア41及び第2固定コア51との間の空間を覆い上室S1と称し、覆い下面90cとボデー本体部21との間の空間を覆い下室S2と称する。これら覆い上室S1及び覆い下室S2は、覆い体90が本体切欠部N21及び第2切欠部N51の内部に入り込んだ状態になっていることで形成されている。覆い上室S1は、後述する流通路F26sに含まれており、覆い下室S2は、後述する流通路F31に含まれている。
覆い体90は、覆い部材93及び対向部材94により形成されている。これら覆い部材93及び対向部材94は、いずれも金属製の円環状部材であり、覆い部材93の内周側に対向部材94が設けられている。対向部材94は覆い部材93の内周面に嵌合された状態になっており、これら対向部材94と覆い部材93とは、互いの境界部において溶接等により接合されている。覆い部材93は、覆い外側部91に含まれる外周面寄りの部分と、覆い内側部92に含まれる内周面寄りの部分とを有している。これに対して、対向部材94は、その全体が覆い内側部92に含まれている。対向部材94は、対向部を構成しており、覆い部材93により支持されている。
対向部材94は、対向内面94aを有しており、径方向において摺動部材33の外周側に配置されている。対向内面94aは、径方向において摺動部材33の摺動面33aに対向しており、摺動部材33の摺動面33aが対向内面94aに対して摺動する。この場合、上述した、摺動面33aを摺動させるノズルボデー20側の部材が、対向部材94になっている。対向内面94aは、対向部材94の内周面であり、軸線方向において、対向内面94aの高さ寸法は摺動面33aの高さ寸法より小さくなっている。対向内面94a及び摺動面33aは、いずれも軸線方向に平行に延びている。摺動面33aの直径は、対向内面94aの直径よりも僅かに小さくなっている。つまり、摺動部材33の摺動方向に直交する方向における摺動面33aの位置は、対向内面94aの最外周位置よりも内側、つまり環状中心線Cの側に位置する。
対向部材94は、摺動部材33がこの対向部材94に摺動することで可動構造体Mの移動方向を案内するガイド部としての機能も発揮することになる。この場合、対向内面94aを案内面やガイド面と称することもできる。また、対向部材94が案内部を構成している。
覆い部材93及び対向部材94は、非磁性部材60やボデー本体部21と同様に、固定コア50,51や可動コア41に比べて磁性が弱く、例えば非磁性体により形成されている。このため、覆い部材93及び対向部材94は、磁束の通路になりにくくなっている。ただし、対向部材94は、摺動部材33の摺動が行われても対向内面94aの摩耗や変形が生じにくいように、硬度や強度の高い材料を用いて形成されることが好ましい。本実施形態では、対向部材94の材料について硬度や強度の高さを優先しており、覆い部材93や非磁性部材60、ボデー本体部21に比べて対向部材94の磁性が強くなっている。この場合、対向部材94は、覆い部材93等に比べると磁束の通路になりやすくなってしまっているが、それでも、対向部材94の磁性は、固定コア50,51や可動コア41の磁性に比べて弱くなっており、固定コア50,51等に比べると磁束の通路になりにくい。
上述したように、固定境界部Qは、第2固定コア51とボデー本体部21とが溶接された部分に含まれており、この部分を溶接部96と称する。溶接部96は、径方向において固定境界部Qの外側端部から所定の深さの範囲にかけての部分に配置されており、この溶接部96には、第2固定コア51及びボデー本体部21の一部に加えて、覆い体90の一部も含まれている。覆い体90については、覆い部材93のうち覆い外側部91を形成する部分が溶接部96に含まれている。径方向において溶接部96の奥行き寸法は、覆い部材93の一部を含んでいる分だけ固定境界部Qの幅寸法よりも大きくなっている。溶接部96は、第2固定コア51、ボデー本体部21及び覆い部材93のうち、加熱されることで溶融して混じり合った後に冷えて固化した状態の部分である。溶接部96においては、第2固定コア51、ボデー本体部21及び覆い部材93という3つの部材が接合されている。
溶接部96については、図3に網点で図示し、この図3においては固定境界部Qを仮想線で図示している。その一方で、図3以外の図2等では、溶接部96の図示を省略しているが、実際には、図3に示すように、第2固定コア51、ボデー本体部21及び覆い部材93の各一部と固定境界部Qとは溶接部96により消失している。このため、覆い体90は、実際には、固定境界部Qではなく溶接部96を径方向内側から覆うことになるが、本実施形態では、覆い体90が溶接部96を覆うことと、覆い体90が固定境界部Qを覆うこととを同義として記載している。
図1の説明に戻り、第1固定コア50の反噴孔側には、燃料の流入口80aを形成して外部の配管と接続される配管接続部80が配置されている。配管接続部80は金属製であり、固定コア50と一体の金属部材で形成されている。高圧ポンプで加圧された燃料は、流入口80aから燃料噴射弁1へ供給される。配管接続部80の内部には、軸線方向に延びる燃料の流通路F11が形成されており、その流通路F11には圧入部材81が圧入固定されている。
圧入部材81の噴孔側には、弾性部材SP1が配置されている。弾性部材SP1の一端は圧入部材81に支持され、弾性部材SP1の他端はオリフィス部材32の拡径部32bに支持される。したがって、圧入部材81の圧入量、つまり軸線方向における固定位置に応じて、弁体30がフルリフト位置まで開弁した時、つまりストッパ55に連結部材31が当接した時における弾性部材SP1の弾性変形量が特定される。つまり、弾性部材SP1によるセット荷重としての閉弁力が、圧入部材81の圧入量で調整されている。
配管接続部80の外周面には、締結部材83が配置されている。締結部材83の外周面に形成されたネジ部を、ケース10の内周面に形成されたネジ部に締結することで、締結部材83はケース10に締結される。この締結で生じる軸力により、ケース10の底面と締結部材83との間で、配管接続部80、固定コア50,51非磁性部材60およびボデー本体部21が挟み付けられている。
これらの配管接続部80、固定コア50、非磁性部材60、ノズルボデー20および噴孔部材23は、流入口80aへ供給された燃料を噴孔23aへ流通させる流通路Fを有するボデーBに相当する。先述した可動構造体Mは、ボデーBの内部に摺動可能な状態で収容されていると言える。
次に、燃料噴射弁1の作動について説明する。
コイル70へ通電すると、コイル70の周りに磁界が発生する。例えば、図4に破線で示すように、固定コア50,51、可動コア41およびヨーク75に磁束が通る磁界回路が通電に伴い形成され、磁気回路により生じた磁気力により可動コア41が固定コア50,51へ吸引される。この場合、第1固定コア50及び可動コア41について、第1下面50aと可動内側上面42aとが磁束の通路になることで互いに吸引される。同様に、第2固定コア51及び可動コア41について、第2内側下面52aと可動外側上面42bとが磁束の通路になることで互いに吸引される。したがって、これら第1下面50a、可動内側上面42a、第2内側下面52a及び可動外側上面42bを、それぞれ吸引面と称することもできる。特に、可動内側上面42aは第1吸引面に相当し、可動外側上面43aは第2吸引面に相当する。
非磁性部材60は、磁束の通路にならないことで、第1固定コア50と第2固定コア51とが磁気的に短絡することを防止することになる。可動コア41と第1固定コア50との吸引力は、可動内側上面42a及び第1下面50aを通る磁束により生じ、可動コア41と第2固定コア51との吸引力は、可動外側上面43a及び第2下面51aを通る磁束により生じる。なお、固定コア50,51及び可動コア41を通る磁束には、ヨーク75だけでなくケース10を通る磁束も含まれる。
また、ボデー本体部21及び覆い体90の磁性が固定コア50,51等に比べて弱いことに起因して、磁束がボデー本体部21や覆い体90を通るということが抑制される。上述したように、対向部材94については、摺動部材33の摺動に耐え得る硬度や強度を優先することで磁性がある程度強くなってしまうが、覆い部材93の磁性が十分に弱いため、第2固定コア51を通る磁束が対向部材94に到達することが覆い部材93により抑制される。
可動構造体Mには、上述した磁束による吸引力に加えて、弾性部材SP1による閉弁力と、燃料圧力による閉弁力と、上述した磁気力による開弁力とが作用する。これらの閉弁力よりも開弁力の方が大きくなるように設定されているため、通電に伴い磁気力を生じさせると、可動コア41は、弁体30と共に反噴孔側に移動する。これにより、弁体30が開弁作動して、シート面30sが着座面23sから離座し、高圧燃料が噴孔23aから噴射されることになる。
コイル70への通電を停止させると、上述した磁気力による開弁力が無くなるので、弾性部材SP1による閉弁力で、可動コア41と共に弁体30は閉弁作動して、シート面30sが着座面23sに着座する。これにより、弁体30が閉弁作動して、噴孔23aからの燃料噴射が停止される。
次に、噴孔23aから燃料が噴射されている時の燃料の流れについて、図1、図2を参照しつつ説明する。
高圧ポンプから燃料噴射弁1へ供給される高圧燃料は、流入口80aから流入し、配管接続部80の円筒内周面に沿う流通路F11、圧入部材81の円筒内周面に沿う流通路F12、弾性部材SP1が収容されている流通路F13を順に流れる(図1参照)。これらの流通路F11、F12、F13を総称して上流通路F10と呼び、上流通路F10は、燃料噴射弁1の内部に存在する流通路F全体のうち可動構造体Mの外部かつ上流側に位置する。また、流通路F全体のうち、可動構造体Mにより形成される流通路を可動流通路F20と呼び、可動流通路F20の下流側に位置する流通路を下流通路F30と呼ぶ。
可動流通路F20は、流通路F13から流出した燃料を以下に説明するメイン通路およびサブ通路に分岐して流れる。メイン通路およびサブ通路は独立して配置されている。具体的にはメイン通路およびサブ通路は並列して配置され、各々に分岐して流れた燃料は下流通路F30で合流する。
メイン通路は、オリフィス部材32の円筒内周面に沿う流通路F21、オリフィス32aによる絞り流通路F22、連結部材31の円筒内周面に沿う流通路F23の順に燃料を流通させる通路である。そして、流通路F23の燃料は、連結部材31を径方向に貫通する貫通穴を通じて、連結部材31の円筒外周面に沿う流通路F31である下流通路F30へ流入する。下流通路F30は、覆い体90の噴孔側にある覆い下室S2を有しており、この覆い下室S2は、支持部材24と摺動部材33との間の離間部分に連通している。
サブ通路は、オリフィス部材32の円筒外周面に沿う流通路F24s、可動コア41と固定コア50とのギャップである流通路F25s、可動コア41の外周側を延びる流通路F26s、摺動面33aに沿う摺動流通路F27sの順に燃料を流通させる通路である。流通路F26sは、覆い体90の反噴孔側にある覆い上室S1を有している。流通路F26sには、可動コア41と第1固定コア50、非磁性部材60、第2固定コア51及び覆い体90との隙間部分が含まれている。流通路F26sにおいて、第1下面50aと可動内側上面42aとの隙間部分、及び第2内側下面52aと可動外側上面43aとの隙間部分は、上述したようにギャップにも含まれている。サブ通路は、ボデー本体部21と可動構造体Mとの間に形成されており、ボデー本体部21は、サブ通路を形成する通路形成部に相当する。
摺動流通路F27sは別流通路と称することもでき、摺動流通路F27sの燃料は、連結部材31の円筒外周面に沿う流通路F31である下流通路F30へ流入する。摺動流通路F27sの通路面積は、可動コア41の外周側を延びる流通路F26sの通路面積よりも小さい。つまり、摺動流通路F27sでの絞り度合は流通路F26sでの絞り度合よりも大きく設定されている。
ここで、サブ通路の上流側は、絞り流通路F22よりも上流側と接続されている。そして、サブ流路の下流側は、絞り流通路F22の下流側と接続されている。すなわち、サブ流路は絞り流通路F22を介さずに、絞り流通路F22の上流側と下流側とを接続している。
また、流通路F23の上流側は、絞り流通路F22よりも上流側と接続されている。流通路F23の下流側は、絞り流通路F22よりも下流側と接続されている。すなわち、流通路F23は絞り流通路F22を介さずに、絞り流通路F22の上流側と下流側とを接続している。
要するに、上流通路F10である流通路F13から可動流通路F20へ流入した燃料は、メイン通路の上流端である流通路F21とサブ通路の上流端である流通路F24sとに分岐し、その後、下流通路F30である流通路F31で合流する。
また、可動コア41、連結部材31およびオリフィス部材32の各々には、径方向に貫通する貫通孔45が形成されている。これらの貫通孔45は、オリフィス部材32の内周面に沿う流通路F21と可動コア41外周面に沿う流通路F26sとを連通させる流通路F28sとして機能する。この流通路F28sは、ストッパ55に連結部材31が当接して流通路F24sと流通路F25sとの連通が遮断された場合に、摺動流通路F27sを流れる燃料の流量、つまりサブ通路の流量を確保するための通路である。流通路F28sが流通路F22の上流側に位置することで、流通路F25s、F26s、F28sが後述する上流側領域となり、下流側領域との圧力差が生じる。
可動流通路F20から流出した燃料は、連結部材31の円筒外周面に沿う流通路F31へ流入し、その後、支持部材24の縮径部24aを軸線方向に貫通する貫通穴である流通路F32、弁体30の外周面に沿う流通路F33を順に流れる(図2参照)。そして、以下に説明するように弁体30が開弁作動すると、流通路F33内の高圧燃料が、シート面30sおよび着座面23sの間を通過して、噴孔23aから噴射される。
上述した摺動面33aに沿う流通路を摺動流通路F27sと呼び、摺動流通路F27sの通路面積は、絞り流通路F22の通路面積よりも小さい。つまり、摺動流通路F27sでの絞り度合は絞り流通路F22での絞り度合よりも大きく設定されている。そして、メイン通路では絞り流通路F22の通路面積が最も小さく、サブ通路では摺動流通路F27sでの通路面積が最も小さい。
したがって、可動流通路F20内におけるメイン通路とサブ通路とでは、メイン通路の方が流れやすくなっており、メイン通路の絞り度合はオリフィス32aでの絞り度合により特定され、メイン通路の流量はオリフィス32aにより調整される。換言すれば、可動流通路F20の絞り度合はオリフィス32aでの絞り度合により特定され、可動流通路F20の流量はオリフィス32aにより調整される。
流通路Fのうちシート面30sでの通路面積であって、弁体30が開弁方向へ最も移動したフルリフト状態での通路面積をシート通路面積と呼ぶ。オリフィス32aによる絞り流通路F22の通路面積は、シート通路面積よりも大きく設定されている。つまり、オリフィス32aによる絞り度合は、フルリフト時のシート面30sでの絞り度合よりも小さく設定されている。
また、シート通路面積は、噴孔23aの通路面積よりも大きく設定されている。つまり、オリフィス32aによる絞り度合およびシート面30sでの絞り度合は、噴孔23aでの絞り度合よりも小さく設定されている。なお、噴孔23aが複数形成されている場合には、全ての噴孔23aの通路面積の合計よりもシート通路面積は大きく設定されている。
ここでは、移動部材35に関する説明を行う。弁体30が開弁方向へ移動することに伴い、移動部材35の上流側燃圧が下流側燃圧よりも所定以上高くなると、押付用弾性部材SP2の弾性力に抗して移動部材35はオリフィス部材32から離座する。弁体30が閉弁方向へ移動することに伴い、移動部材35の下流側燃圧が上流側燃圧よりも所定以上高くなると、移動部材35はオリフィス部材32に着座する。
移動部材35が離座している状態では、移動部材35の外周面と連結部材31の内周面との隙間に、燃料が流れる流通路が形成される。外周側流通路F23aとサブ絞り流通路38とは並列に位置し、移動部材35が離座している状態では、絞り流通路F22から流通路F23へ流出した燃料は、サブ絞り流通路38と外周側流通路F23aとに分岐して流れる。サブ絞り流通路38と外周側流通路F23aとを合わせた通路面積は、絞り流通路F22の通路面積よりも大きい。よって、移動部材35が離座している状態では、可動流通路F20の流量は絞り流通路F22での絞り度合により特定される。
一方、移動部材35が着座している状態では、絞り流通路F22から流通路F23へ流出した燃料は、サブ絞り流通路38を流れ、外周側流通路F23aには流れない。そして、サブ絞り流通路38の通路面積は絞り流通路F22の通路面積よりも小さい。よって、移動部材35が着座している状態では、可動流通路F20の流量はサブ絞り流通路38での絞り度合により特定される。したがって、移動部材35は、オリフィス部材32に着座することで絞り流通路F22を覆って絞り度合を大きくし、オリフィス部材32から離座することで絞り流通路F22を開放して絞り度合を小さくする。
弁体30が開弁方向へ移動中の状態であれば、移動部材35の上流側燃圧が下流側燃圧よりも所定以上高くなって移動部材35が離座する蓋然性が高い。但し、弁体30が開弁方向へ最も移動したフルリフト状態となり弁体30が移動停止した状態であれば、移動部材35が着座する蓋然性が高い。
弁体30が閉弁方向へ移動中の状態であれば、移動部材35の下流側燃圧が上流側燃圧よりも所定以上高くなって移動部材35が着座する蓋然性が高い。但し、開弁期間を短くして噴孔23aからの噴射量を少なくする場合等、弁体30がフルリフト位置まで移動せずに開弁作動から閉弁作動に切り替える噴射としてパーシャルリフト噴射を実施する場合がある。この場合には、閉弁作動に切り替わった直後には移動部材35が離座している蓋然性が高い。但し、その後の閉弁直前の期間においては、移動部材35の下流側燃圧が上流側燃圧よりも所定以上高くなって移動部材35が着座する蓋然性が高い。
要するに、弁体30の開弁作動中に移動部材35が常時開弁しているとは限らず、弁体30が開弁方向へ移動する上昇期間のうち少なくとも開弁直後の期間では、移動部材35は着座している。また、弁体30の閉弁作動中に移動部材35が常時着座しているとは限らず、弁体30が閉弁方向へ移動する下降期間のうち少なくとも閉弁直前の期間では、移動部材35は着座している。したがって、開弁直後の期間および閉弁直前の期間では、移動部材35は着座して、燃料の全量がサブ絞り流通路38を流通するので、移動部材35が離座している期間に比べて可動流通路F20での絞り度合が大きくなる。
次に、可動構造体Mが移動する際に発生する圧力について図4〜図6を参照しつつ説明する。
本実施形態では、絞り流通路F22と摺動流通路F27sとは並列し、かつ、摺動流通路F27sの通路面積は絞り流通路F22の通路面積よりも小さく設定されている。そのため、流通路Fは、オリフィス32aおよび摺動流通路F27sを境に上流側領域と下流側領域とに区分される。
上流側領域は、オリフィス32aに対して、噴射時の燃料流れ上流側の領域である。なお、可動流通路F20のうち摺動面33aの上流側も上流側領域に属する。よって、可動流通路F20のうちの流通路F21、F24s、F25s、F26s、F28s、および上流通路F10が上流側領域に該当する。下流側領域は、オリフィス32aに対して、噴射時の燃料流れ下流側の領域である。なお、可動流通路F20のうち摺動面33aの下流側も下流側領域に属する。よって、可動流通路F20のうちの流通路F23および下流通路F30が下流側領域に該当する。
要するに、絞り流通路F22を燃料が流れると、可動流通路F20を流れる燃料の流量がオリフィス32aで絞られることに起因して、上流側領域の燃料圧力である上流燃圧PHと、下流側領域の燃料圧力である下流燃圧PLとの間に圧力差が生じる(図4参照)。したがって、弁体30が閉弁状態から開弁状態に変化している時、開弁状態から閉弁状態に変化している時、および弁体30がフルリフト位置に保持されている時には、絞り流通路F22に燃料が流れて上記圧力差が生じる。
そして、弁体30の開弁により生じる上記圧力差は、開弁から閉弁に切り替わると同時に無くなるわけではなく、閉弁してから所定時間が経過すると、上流燃圧PHと下流燃圧PLとは同じになる。一方、上記圧力差が生じていない状態で閉弁から開弁に切り替わると、その切り替わったタイミングで上記圧力差が直ぐに生じる。
可動構造体Mが開弁方向に移動する最中では、上流側領域の燃料が可動構造体Mに押されて圧縮されるので、上流燃圧PHが上昇する。その一方で、可動構造体Mに押された上流側領域の燃料は、オリフィス32aで絞られながら下流側領域へ押し出されるので、下流燃圧PLの方が上流燃圧PHよりも低くなる。開弁作動時には絞り流通路F22を噴孔側へ燃料が流れる。
可動構造体Mが閉弁方向に移動する最中では、下流側領域の燃料が可動構造体Mに押されて圧縮されるので、下流燃圧PLが上昇する。その一方で、可動構造体Mに押された下流側領域の燃料は、オリフィス32aで絞られながら上流側領域へ押し出されるので、上流燃圧PHの方が下流燃圧PLよりも低くなる。閉弁作動時には絞り流通路F22を反噴孔側へ燃料が流れる。
ここで、覆い体90と燃料圧力との関係について、図5を参照しつつ説明する。覆い体90の反噴孔側にある覆い上室S1においては、この覆い上室S1が上流側領域に含まれていることに起因して、上流燃圧PHに応じた上室下向き燃圧PHa及び上室上向き燃圧PHbが生じる。上室下向き燃圧PHaは、覆い体90を噴孔側に向けて下に押す圧力であり、覆い外側部91及び覆い内側部92の両方に加えられる。例えば、覆い上面90bが下向きに押される。一方、上室上向き燃圧PHbは、第2固定コア51を反噴孔側に向けて上に押す圧力であり、第2内側部52に加えられる。例えば、第2内側下面52aが上向きに押される。
覆い体90の噴孔側にある覆い下室S2においては、この覆い下室S2が下流側領域に含まれていることに起因して、下流燃圧PLに応じた下室下向き燃圧PLa及び下室上向き燃圧PLbが生じる。下室上向き燃圧PLbは、覆い体90を反噴孔側に向けて上に押す圧力であり、覆い下室S2において覆い外側部91及び覆い内側部92の両方に加えられる。例えば、覆い下面90cが上向きに押される。一方、下室下向き燃圧PLaは、ボデー本体部21を噴孔側に向けて下に押す圧力である。例えば、本体内側上面21aが下向きに押される。
このように、覆い体90の噴孔側及び反噴孔側のそれぞれにおいて燃圧PHa,PHb,PLa,PLbが生じた場合、上室下向き燃圧PHaと下室上向き燃圧PLbとが覆い体90を介して互いに打ち消し合う。同様に、上室上向き燃圧PHbと下室下向き燃圧PLaとは、第2固定コア51及びボデー本体部21を介して互いに打ち消し合う。したがって、覆い上室S1及び覆い下室S2において、第2固定コア51とボデー本体部21とが上下に離間する向きに圧力が働くことが抑制される。
例えば、図6に示すように、覆い上室S1がある一方で、覆い下室S2がない構成では、上室下向き燃圧PHaを打ち消す圧力が覆い体90に加えられず、上室上向き燃圧PHbを打ち消す圧力がボデー本体部21に加えられない。このため、上室下向き燃圧PHaは、覆い体90ごとボデー本体部21を噴孔側に向けて下に押し、上室上向き燃圧PHbは、第2固定コア51を反噴孔側に向けて上に押すことになる。この場合、これら燃圧PHa,PHbが第2固定コア51とボデー本体部21とを離間させる態様で働くことになり、固定境界部Qでの第2固定コア51とボデー本体部21との接合状態を適正に保つ上で好ましくない。これに対して、本実施形態では、上述したように覆い上室S1及び覆い下室S2にて生じる燃圧PHa,PHb,PLa,PLbが打ち消し合うため、固定境界部Qでの第2固定コア51とボデー本体部21との接合状態を適正に保つ上で好ましい。
次に、覆い上室S1の機能について説明する。上述したように、可動構造体Mが閉弁方向に移動する最中では、燃料が絞り流通路F22を通じて覆い下室S2等の流通路F31から覆い上室S1に流れ込む。この場合、流通路F26sにおいては、覆い上室S1の上流側に流通路F24s,F25sが存在することなどに起因して、覆い上室S1から流通路F21等のメイン通路や、流通路F13等の上流通路F10に燃料が流れ込みにくくなっている。換言すれば、覆い上室S1からメイン通路や上流通路F10に燃料が流出するには、弾性部材SP1による閉弁力に抗して、軸線方向において可動コア41の可動下面41bが覆い体90の覆い上面90bに近付くことが必要になる。このように、覆い上室S1は、可動構造体Mが閉弁方向に移動する際に、ダンパ機能を発揮することで可動構造体Mにブレーキ力を作用させることになる。このため、閉弁時に弁体30が着座面23sにバウンスすることが抑制され、意図に反した噴射状態になりにくい。
燃料噴射弁1の製造方法について図7を参照しつつ説明する。ここでは、各部品を製造した後の組み付け手順について主に説明する。
図7において、まず、(a)に示すようにノズルボデー20のボデー本体部21に支持部材24を取り付ける。ここでは、ボデー本体部21の内側に支持部材24を挿入し、これらボデー本体部21と支持部材24とを溶接等により固定する。
次に、(b)に示すように、ボデー本体部21に覆い体90を取り付ける。ここでは、覆い部材93の内側に対向部材94を挿入し、これら覆い部材93と対向部材94とを溶接等により固定することで、あらかじめ覆い体90を製造しておく。そして、覆い体90をボデー本体部21の内部に挿入する。この場合、覆い体90において、ボデー本体部21内に入り込んだ部分の長さ寸法と、ボデー本体部21から突出した部分の長さ寸法とが、ほぼ同じになるようにしておく。なお、入り込んだ部分の長さ寸法が離間距離H2bに対応し、突出した部分の長さ寸法が離間距離H2aに対応する。
その後、(c)に示すように、ノズルボデー20に可動構造体Mを装着する。可動構造体Mについては、可動コア41、連結部材31、弁体30、オリフィス部材32、摺動部材33、移動部材35及び押付用弾性部材SP2を組み付けることで、あらかじめ製造しておく。ここでは、弁体30をノズル部22の内部に挿入しつつ、覆い体90の内側に摺動部材33を挿入することで、可動構造体Mをノズルボデー20に装着する。
続いて、(d)に示すように、ノズルボデー20に固定コア50,51及び非磁性部材60を取り付ける。ここでは、非磁性部材60に固定コア50,51を装着し、これら非磁性部材60と固定コア50,51とを溶接等により固定することで、あらかじめコアユニットを製造しておく。そして、このコアユニットをノズルボデー20に装着することで、第2固定コア51をボデー本体部21及び覆い体90に装着する。この場合、第2固定コア51の内側に覆い体90の端部を入り込ませつつ、第2固定コア51の第2下面51aをボデー本体部21の本体外側上面21bに重ねる。これにより、第2固定コア51とボデー本体部21との間に固定境界部Qが存在することになる。
その後、固定境界部Qの全周について、溶接用工具を用いて外周側から溶接作業を行うことで溶接部96を形成する。この場合、溶接に伴って発生するスラグや金属粒等のスパッタが、固定境界部Qを通じて第2固定コア51やボデー本体部21の内部空間に飛び散ることが懸念される。これに対して、覆い体90が固定境界部Qを内周側から覆っているため、溶接に伴ってスパッタが発生したとしても、スパッタが覆い体90に当たってそれ以上内周側に飛ばないことになる。このため、スパッタが固定境界部Qから内周側に飛び出すことが覆い体90により防止される。
この溶接は、溶接部96が固定境界部Qを越えて覆い体90に達するように行われる。ここで、溶接のために熱を加えた際に、どれくらいの温度でどれくらいの時間だけ熱を加えれば溶接部98が固定境界部Qを越えて覆い体90に達するか、ということについて試験を行っておく。そして、この試験結果に基づいて、溶接に際して加える熱の温度や熱を加える継続時間を設定する。これにより、溶接部96が覆い体90に達していないということを抑制できる。
溶接部96を形成した後は、第1固定コア50等にコイル70やヨーク75等を装着し、これらをまとめてケース10に収容することなどにより、燃料噴射弁1を完成させる。
次に、本実施形態が採用する構成による作用および効果について説明する。
本実施形態によれば、固定境界部Qが覆い体90により内周側から覆われている。このため、燃料噴射弁1の製造時において、外周側からの溶接作業に伴って発生したスパッタが固定境界部Qを通じて第2固定コア51やボデー本体部21の内部空間で飛び散ることを防止できる。この場合、スパッタが流通路F26s,F31などに存在することに起因して噴孔23aからの燃料の噴射が適正に行われない、ということを抑制できる。これにより、第2固定コア51とボデー本体部21とを溶接にて接合したとしても、燃料を適正に噴射することができる構成を実現できる。
本実施形態によれば、覆い部材93及びボデー本体部21の両方が非磁性体により形成されているため、これら覆い部材93及びボデー本体部21が磁束の通路になりにくい。このため、コイル70への通電に伴って磁束が発生した場合に、第2内側下面52a及び可動外側上面43aを通る磁束が減って第2固定コア51と可動コア41との間の吸引力が低減する、ということを抑制できる。もし、覆い部材93やボデー本体部21が磁束の通路になると、可動コア41から覆い部材93及びボデー本体部21を経由して第2固定コア51に到達する磁束が増えてしまう。
また、覆い部材93が対向部材94と第2固定コア51との間に配置されていることで、対向部材94と第2固定コア51とが離間している。このため、対向部材94の磁性が覆い部材93の磁性より高くても、磁束が可動コア41から対向部材94を経由して第2固定コア51に到達する、ということを抑制できる。
本実施形態によれば、覆い部材93が第2固定コア51及びボデー本体部21の両方から独立した部材であるため、覆い部材93の形状や大きさ、磁性の強さなどを第2固定コア51及びボデー本体部21とは関係なく設定することができる。このため、覆い部材93に関する設計自由度を高めることができる。また、覆い部材93が第2固定コア51の一部又はボデー本体部21の一部により形成された構成に比べて、第2固定コア51やボデー本体部21の形状が複雑になることを抑制できる。
本実施形態によれば、溶接部96には、第2固定コア51の一部及びボデー本体部21の一部に加えて、覆い部材93の一部も含まれているため、溶接作業を行うことで第2固定コア51、ボデー本体部21及び覆い部材93という3部材をまとめて接合することができる。このため、燃料噴射弁1を製造する際の作業負担を低減することができる。また、第2固定コア51及びボデー本体部21の各内部空間において覆い部材93の位置ずれが意図せずに発生し、噴孔23aからの燃料噴射が適正に行われない、ということを抑制できる。
本実施形態によれば、覆い部材93の上面及び下面のそれぞれが流通路を形成しているため、これら流通路にて生じる燃料圧力が互いに打ち消し合うことで、第2固定コア51とボデー本体部21が離間する方向に燃料圧力が生じることを抑制できる。具体的には、流通路F26sにおいて覆い上面90bが覆い上室S1を形成し、流通路F31において覆い下面90cが覆い下室S2を形成している。この場合、覆い上室S1にて生じる燃圧PHa,PHbと、覆い下室S2にて生じる燃圧PLa,PLbとが互いに打ち消し合うため、第2固定コア51とボデー本体部21とが溶接部96により接合された状態を適正に保つことができる。
本実施形態によれば、覆い体90が覆い部材93に加えて対向部材94を有している。このため、覆い体90は、燃料噴射弁1の製造時にはスパッタの侵入防止機能を発揮する一方で、燃料噴射弁1の完成後には可動構造体Mの移動を案内するガイド機能を発揮することができる。しかも、対向部材94に可動構造体Mの摺動部材33が摺動するため、これら対向部材94と摺動部材33との隙間である摺動流通路F27sの絞り度合いを高めることができる。このように、スパッタ侵入防止機能、ガイド機能、絞り機能、といった複数の機能が覆い体90にまとめて付与されているため、例えば、これら機能が別々の部材に付与された構成に比べて、燃料噴射弁1の構成が複雑になることを抑制できる。
本実施形態によれば、サブ通路において摺動流通路27sの上流側に覆い上室S1が設けられているため、可動構造体Mが閉弁方向に移動する際に覆い上室S1にダンパ機能を発揮させることができる。換言すれば、覆い上室S1から上流側に燃料が流出しにくい構成になっていることを利用して、閉弁方向に移動する可動構造体Mにブレーキ力を作用させることができる。これにより、閉弁時に弁体30が着座面23sにバウンスすることを抑制でき、この結果、意図に反した噴射状態になることを抑制できる。
本実施形態によれば、覆い部材93及びボデー本体部21が非磁性体により形成されているため、仮に対向部材94の磁性が比較的高くても対向部材94が磁束の通路になりにくくなっている。このため、設計段階において、磁性の弱さよりも硬度や強度の高さを優先して、対向部材94を形成する材料を選択することができる。この場合、摺動部材33の摺動が行われても、対向部材94において摩耗や変形が生じにくくなるため、対向部材94の摩耗や変形が生じて摺動流通路F27sの通路面積が変化する、ということを抑制できる。すなわち、対向部材94の摩耗や変形によって噴孔23aからの燃料噴射量が変化する、ということを抑制できる。
本実施形態によれば、可動コア41が磁束の通る2つの吸引面として可動内側上面42a及び可動外側上面43aを有している。このため、例えば可動コア41が吸引面を1つだけ有している構成に比べて、可動コア41と固定コア50,51との間の吸引力を高めることができる。この構成において、第1固定コア50と第2固定コア51との間に非磁性部材60が設けられているため、磁束が第1固定コア50と第2固定コア51との間を短絡して通ることを抑制できる。
ここで、第2固定コア51を専用部材により形成するのではなく、ボデー本体部21の一部に第2固定コア51としての役割を与える方法も考えられる。ところが、この方法では、ボデー本体部21を形成する材料として、可動構造体Mの一部を収容するのに必要な硬度や強度を有し且つ磁性が高い、という限られた材料を選択する必要が生じる。この場合、ボデー本体部21について材料費等の製造コストが増加することが懸念される。これに対して、第2固定コア51とボデー本体部21とを別部材により形成することで、第2固定コア51を磁性の高い材料により形成し、ボデー本体部21を硬度や強度の高い材料により形成することができる。これにより、第2固定コア51及びボデー本体部21の製造コストが増加しにくくなる。
しかも、燃料噴射弁1の製造時において、第2固定コア51とボデー本体部21とを溶接する際にスパッタが固定境界部Qから内部に飛び散るという問題は、固定境界部Qを内側から覆い体90により覆うことにより解決できる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、覆い部を構成する覆い部材93及び案内部を構成する対向部材94がボデー本体部21とは別部材により形成されていたが、第2実施形態では、覆い部及び案内部はボデー本体部21の一部により形成されている。
図8、図9に示すように、ボデー本体部21は、外側延出部211ではなく、中間延出部100を有している。中間延出部100は、ボデー本体部21の上端面において、径方向の中間位置から反噴孔側に向けて延びた円環状の部位であり、ボデー本体部21の上端面における径方向内側の端部及び径方向外側の端部の両方から離間している。中間延出部100は中間内面100a及び中間外面100bを有しており、中間内面100aは径方向内側を向き、中間外面100bは径方向外側を向いている。ボデー本体部21の上端面においては、径方向において本体内側上面21aと本体外側上面21bの間に中間延出部100が配置されている。本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、軸線方向において本体内側上面21aの方が本体外側上面21bよりも反噴孔側に配置されている。
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、固定境界部Qには本体外側上面21b及び第2外側下面53aが含まれている。これに対して、中間延出部100は、径方向において中間外面100bが第2固定コア51の第2外側内面53bに重なる位置に配置されている。この場合、本実施形態では、中間延出部100の噴孔側の端部である基端部が固定境界部Qを径方向内側から覆っており、中間延出部100が覆い部に相当する。このため、上記第1実施形態と同様に、燃料噴射弁1の製造時において固定境界部Qに対する溶接作業が行われても、この固定境界部Qを通じてスパッタが流通路F26s,F31側に進入することが中間延出部100により抑制される。なお、中間延出部100は、第2切欠部N51の内部に噴孔側から入り込んだ状態になっている。
上記第1実施形態と同様に、溶接部96は固定境界部Qよりも径方向内側まで延びている。このため、中間延出部100の基端寄りの一部が溶接部96に含まれている。
ボデー本体部21は、本体内側内面21dが径方向外側に向けて凹んだ本体凹部101を有している。本体凹部101は、軸線方向において本体内側内面21dの中間位置に配置されており、ボデー本体部21の全周にわたって形成されて円環状になっている。本体凹部101の内部空間は覆い下室S2を形成しており、摺動部材33と支持部材24との離間部分に連通している。径方向において本体凹部101の奥行き寸法は、径方向において中間外面100bと本体内側内面21dとの離間距離とほぼ同じになっている。
ボデー本体部21においては、この本体凹部101よりも反噴孔側の部分が摺動部材33に対向しており、この部分を対向部102と称する。対向部102は、上記第1実施形態の対向部材94と同様に、摺動部材33を摺動させることで可動構造体Mの移動方向を案内するガイド部としての機能を発揮する。この場合、本体内側内面21dのうち本体凹部101よりも反噴孔側の部分が、対向部102において摺動面33aに対向する対向面に相当する。
本実施形態でも、中間延出部100及び対向部102の上下に覆い上室S1及び覆い下室S2がある。このため、上記第1実施形態と同様に、図9に示すように、上室下向き燃圧PHaと下室上向き燃圧PLbとが打ち消し合い、上室上向き燃圧PHbと下室下向き燃圧PLaとが打ち消し合っている。
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、ボデー本体部21に本体凹部101が形成されていたが、第3実施形態では、図10に示すように、ボデー本体部21に本体凹部101が形成されていない。この構成では、中間延出部100及び対向部102の反噴孔側に覆い上室S1が設けられている一方で、上記第2実施形態とは異なり、噴孔側には覆い下室S2が設けられておらず、下室下向き燃圧PLa及び下室上向き燃圧PLbが生じないことになる。このため、上室下向き燃圧PHaと上室上向き燃圧PHbとが、ボデー本体部21と第2固定コア51とを軸線方向に離間させる向きに働くことが懸念される。しかしながら、上記第2実施形態と同様に、燃料噴射弁1の製造時において、固定境界部Qに対する溶接作業が行われても、この固定境界部Qを通じてスパッタが流通路F26s,F31側に進入することが中間延出部100により抑制される。このため、ボデー本体部21と第2固定コア51とを溶接により強固に接合することで、これらボデー本体部21と第2固定コア51とが軸線方向に離間するということを抑制できる。
本実施形態では、ボデー本体部21において摺動部材33に対向する部分が対向部に相当し、この対向部を、可動構造体Mの移動を案内する案内部と称することもできる。また、ボデー本体部21の内周面ついて、摺動部材33の摺動面33aに対向する部分を対向部と称することもでき、この対向部も案内部と称することができる。
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例1として、上記各実施形態の可動コア41について、可動外側上面43aが可動内側上面42aよりも噴孔側に配置されているのではなく、反噴孔側に配置されていてもよい。また、これら可動外側上面43aと可動内側上面42aとが軸線方向において同じ位置に配置されていてもよい。すなわち、可動外側上面43aと可動内側上面42aとが径方向に隣り合う位置に配置されていてもよい。
変形例2として、上記各実施形態の可動コア41について、吸引面を2つ有するのではなく、吸引面を1つだけ有していてもよい。例えば、可動コア41が可動外側上面43aを有していない構成とする。この構成では、第1固定コア50が可動コア41と軸線方向に並ぶ位置に配置される一方で、第2固定コア51が可動コア41と径方向に並ぶ位置に配置される。この場合、第2固定コア51は、軸線方向において可動コア41に吸引される吸引面を有していないが、磁束の通路になることには変わりない。
変形例3として、上記各実施形態では、覆い上室S1が設けられていたが、上記第3実施形態にて覆い下室S2がなかったように、覆い上室S1がなくてもよい。例えば、上記第1実施形態において、覆い体90の覆い上面90bと第2固定コア51の第2下面51aとが重ねられ、覆い体90の覆い下面90cとボデー本体部21の上端面とが重ねられた構成とする。
変形例4として、上記第1実施形態では、ボデー本体部21及び第2固定コア51に、覆い体90を収容する本体切欠部N21及び第2切欠部N51が設けられていたが、これら切欠部N21,N51が設けられていなくてもよい。
変形例5として、上記第1実施形態では、覆い部材93、対向部材94及びボデー本体部21の両方が非磁性体により形成されていたが、これら覆い部材93や対向部材94、ボデー本体部21は非磁性体でなく磁性体により形成されていてもよい。
ただし、覆い部材93及びボデー本体部21のうち一方は、可動コア41や第2固定コア51に比べて磁性が低い非磁性体等により形成されていることが好ましい。例えば、覆い部材93が磁性体により形成され、ボデー本体部21が非磁性体により形成された構成では、磁束が覆い部材93を通ったとしても、その磁束がボデー本体部21を通ることが生じにくくなっている。また、ボデー本体部21が磁性体により形成され、覆い部材93が非磁性体により形成された構成では、磁束が覆い部材93を通らないことで、その磁束がボデー本体部21を通ることが抑制される。したがって、いずれの構成でも、磁束が可動コア41の吸引面である可動外側上面43aを通らずにボデー本体部21から第2固定コア51に到達するということを抑制できる。
変形例6として、上記第1実施形態では、覆い体90が覆い部材93及び対向部材94という2つの部材により構成されていたが、覆い部材93だけが覆い体90を構成していてもよい。この場合でも、覆い部材93を、摺動部材33が摺動可能な形状及び大きさに設定することで、摺動部材33の移動を案内する機能や、摺動流通路F27sを形成する機能を、覆い部材93に付与することができる。
変形例7として、上記各実施形態では、可動構造体Mが閉弁方向に移動する場合に、覆い上室S1がダンパ機能を発揮する構成になっていたが、覆い上室S1がダンパ機能を発揮しない構成になっていてもよい。例えば、摺動部材33の摺動面33aについて、その周方向全体を対向部材94に摺動させるのではなく、周方向において部分的に対向部材94に摺動させる構成とする。この構成では、対向部材94が覆い部材93の周方向において所定間隔で複数設けられている。この構成でも、複数の対向部材94は、摺動部材33を摺動させることで可動構造体Mの移動を案内することができる。
変形例8として、上記各実施形態では、固定境界部Qの全体が溶接部96に含まれていたが、溶接部96には、少なくとも固定境界部Qの径方向外側の端部が含まれていればよい。この構成では、溶接部96には、ボデー本体部21の一部及び第2固定コア51の一部が含まれる一方で、覆い部材93は含まれない。すなわち、溶接部96によっては、覆い部材93がボデー本体部21及び第2固定コア51に固定されない。この場合、軸線方向において、覆い部材93の外周面である覆い外面90aの高さ寸法が、本体外側内面21cの高さ寸法と第2外側内面53bの高さ寸法との合計とほぼ同じになっていることが好ましい。これは、覆い部材93の位置が噴孔側にずれることが、ボデー本体部21の切欠傾斜面N21aにより規制され、反噴孔側にずれることが、第2固定コア51の切欠傾斜面N51aにより規制されるためである。
変形例9として、上記第1実施形態の覆い体90において、覆い部材93及び対向部材94の両方が非磁性体により形成されていたが、対向部材94は磁性体により形成されていてもよい。この場合、燃料噴射弁1の設計段階において、対向部材94の材料を選択する場合に、磁性よりも硬度や強度を優先することができるため、摺動部材33の摺動に伴って対向部材94の摩耗や変形が生じるということを抑制できる。
変形例10として、上記各実施形態では、固定境界部Qについて、溶接に伴って溶接部96が形成されていたが、溶接部96は形成されていなくてもよい。すなわち、第2固定コア51とボデー本体部21とは溶接されていなくてもよい。この場合でも、固定境界部Qが覆い部材93により覆われていることで、燃料が固定境界部Qに到達しにくくなる。仮に到達したとしても、第2固定コア51及びボデー本体部21と覆い部材93との隙間が狭小空間になっていることに起因して、固定境界部Qに加わる燃圧が低減されやすくなる。このため、第2固定コア51とボデー本体部21とが溶接されていなくても、軸線方向において第2固定コア51とボデー本体部21とが離間することや、固定境界部Qにて燃料が漏れ出すことなどを抑制できる。
変形例11として、上記各実施形態では、ガイド部30b,31b及び摺動部材33の3箇所でノズルボデー20に対する可動構造体Mの移動がガイドされていたが、ガイド部30b,31b及び摺動部材33のいずれか2箇所でガイドされてもよい。例えば、噴孔側ガイド部30b及び摺動部材33の2箇所でガイドされる構成とする。この構成によれば、ガイド位置が3箇所である構成に比べて、ノズルボデー20に対する可動構造体Mの同軸度の精度確保が容易になる。このため、可動構造体Mが移動する際にノズルボデー20に対するフリクションが増大することを抑制しやすくなる。
変形例12として、上記各実施形態では、可動構造体Mが移動部材35及び押付用弾性部材SP2を有していたが、可動構造体Mは、これら移動部材35及び押付用弾性部材SP2を有していなくてもよい。この構成でも、可動流通路F20には絞り通路F22がオリフィス32aにより形成されているため、上流燃圧PHと下流燃圧PLとの間に圧力差が生じる。このため、可動構造体Mが閉弁方向に移動する最中において、覆い上室S1がダンパ機能を発揮することで可動構造体Mにブレーキ力を作用させることができる。
変形例13として、上記各実施形態では、ストッパ55において第1固定コア50よりも噴孔側に突出した部分が、固定コア50,51と可動コア41との間にギャップを確保する凸部になっていたが、凸部は可動構造体Mに設けられていてもよい。例えば、図11に示すように、可動構造体Mにおいて連結部材31が可動コア41よりも反噴孔側に突出しており、この突出部分が凸部になっている構成とする。この構成では、ストッパ55が第1固定コア50よりも噴孔側に突出していない。このため、連結部材31とストッパ55とが当接することで可動構造体Mの移動が規制された場合に、可動コア41から連結部材31が突出した長さ分だけ、固定コア50,51と可動コア41との間にギャップが確保される。
変形例14として、上記各実施形態において、第1吸引面と固定コアとのギャップと、第2吸引面と固定コアとのギャップとを、同じ大きさに設定してもよいし、異なる大きさに設定してもよい。異なる大きさに設定する場合、第1吸引面および第2吸引面のうち、通過する磁束の量が少ない方の吸引面について、他方の吸引面よりもギャップを大きくすることが望ましい。その理由について以下に説明する。
固定コアと吸引面との間に燃料が薄膜状に充満した状態では、リンキング作用により、吸引面が固定コアから引き剥がされにくくなっている。そして、固定コアと吸引面とのギャップを小さくするほどリンキング作用が大きくなり、通電オフに対する閉弁作動開始の応答性が悪くなる。しかし、リンキング作用低減を図るべくギャップを大きくすると、その背反として吸引力が小さくなってしまう。この点を鑑みると、磁束量が少ない方の吸引面については、ギャップを小さくしても吸引力向上に大きくは寄与しないので、ギャップを大きくしてリンキング作用低減を図った方が有効である。
以上により、第1吸引面および第2吸引面のうち、磁束量が少ない方の吸引面について、他方の吸引面よりもギャップを大きくすることが望ましい。なお、上記各実施形態の例では、径方向外側に位置する吸引面(第2吸引面)を通過する磁束量は、径方向内側に位置する吸引面(第1吸引面)を通過する磁束量よりも少ない。よって、第2吸引面のギャップを第1吸引面のギャップよりも大きく設定している。