以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施例の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第1実施形態)
図1に示す燃料噴射弁1は、点火式の内燃機関であるガソリンエンジンに搭載されており、多気筒エンジンの各燃焼室2へ直接燃料を噴射するものである。具体的には、燃焼室2を形成するシリンダヘッド3のうちシリンダの軸線Cと一致する位置に、燃料噴射弁1を挿入する取付穴4が形成されている。燃料噴射弁1へ供給される燃料は、図示しない燃料ポンプにより圧送され、燃料ポンプはエンジンの回転駆動力により駆動する。燃料噴射弁1は、ケース10、ノズルボデー20、弁体30、可動コア41、固定コア50,51、非磁性部材60、コイル70、配管接続部80等を備えて構成されている。
ケース10は、金属製であり、コイル70の環状中心線Cが延びる方向(以下、軸線方向と記載)に延びる円筒形状である。なお、コイル70の環状中心線Cと、ケース10、ノズルボデー20、弁体30、可動コア41、固定コア50,51および非磁性部材60の中心軸線とは一致する。
ノズルボデー20は、金属製であり、ケース10内に挿入配置されてケース10と係合するボデー本体部21と、ボデー本体部21からケース10外部に延出するノズル部22とを有する。ボデー本体部21及びノズル部22は、いずれも軸線方向に延びる円筒形状であり、ノズル部22の先端には噴孔部材23が取り付けられている。
噴孔部材23は、金属製であり、ノズル部22に溶接で固定されている。噴孔部材23は軸線方向に延びる有底の円筒形状であり、噴孔部材23の先端には、燃料を噴射する噴孔23aが形成されている。噴孔部材23の内周面には、弁体30が離着座する着座面23sが形成されている。
弁体30は、金属製であり、軸線方向に沿って延びる円柱形状である。弁体30は、軸線方向に移動可能な状態でノズルボデー20の内部に組み付けられており、弁体30の外周面30aとノズルボデー20の内周面20aとの間で、軸線方向に延びる環状の流通路が形成されている。この流通路を下流通路F30と称する。弁体30の噴孔23a側の端部には、着座面23sに離着座する、環状のシート面30sが形成されている。
弁体30のうち噴孔23aの反対側(以下、反噴孔側と記載)の端部には、連結部材31が溶接等により固定して取り付けられている。さらに、連結部材31の反噴孔側端部には、オリフィス部材32および可動コア41が取り付けられている。
図2、図3に示すように、連結部材31は軸線方向に延びる円筒形状であり、円筒内部が燃料を流通させる流通路F23として機能する。オリフィス部材32は、連結部材31の円筒内周面に溶接等により固定され、可動コア41は、連結部材31の円筒外周面に溶接等により固定されている。連結部材31の反噴孔側端部には、径方向に拡大する拡径部31aが形成されている。拡径部31aの噴孔側端面が可動コア41と係合することで、連結部材31が可動コア41に対して噴孔側に抜け出ることを防止している。
オリフィス部材32は軸線方向に延びる円筒形状であり、円筒内部が燃料を流通させる流通路F21として機能する。オリフィス部材32の噴孔側端部には、流通路F21の通路面積を部分的に狭くして流量を絞る絞り部としてのオリフィス32aが形成されている。流通路F21のうちオリフィス32aにより絞られた部分を絞り流通路F22と呼ぶ。
絞り流通路F22は弁体30の中心軸線上に位置する。絞り流通路F22の流路長さは絞り流通路F22の直径よりも短い。オリフィス部材32の反噴孔側端部には、径方向に拡大する拡径部32bが形成されている。拡径部32bの噴孔側端面が連結部材31と係合することで、オリフィス部材32が連結部材31に対して噴孔側に抜け出ることを防止している。
可動構造体Mは、移動部材35及び押付用弾性部材SP2を有している。移動部材35は、オリフィス部材32に対して軸線方向に相対移動可能な状態で、連結部材31の内部の流通路F23に配置されている。
移動部材35は、軸線方向に延びる金属製の円柱形状であり、オリフィス部材32の下流側に配置されている。移動部材35の円柱中心部分には軸線方向に貫通する貫通穴が形成されている。この貫通穴は、流通路Fの一部であり絞り流通路F22と連通し、絞り流通路F22よりも通路面積が小さいサブ絞り流通路38として機能する。移動部材35は、絞り流通路F22を覆うシール面36aが形成されたシール部36と、押付用弾性部材SP2と係合する係合部37とを有する。
係合部37はシール部36よりも小径であり、コイル形状の押付用弾性部材SP2が係合部37に嵌め込まれている。これにより、押付用弾性部材SP2の径方向への移動が係合部37で規制される。押付用弾性部材SP2の一端はシール部36の下端面に支持され、押付用弾性部材SP2の他端は連結部材31に支持される。押付用弾性部材SP2は、軸線方向に弾性変形して弾性力を移動部材35へ付与し、移動部材35のシール面36aは、オリフィス部材32の下端面に弾性力で押し付けられて密着する。
可動コア41は、金属製の円環状部材である。可動コア41は、可動内側部42及び可動外側部43を有しており、いずれも円環状になっている。可動内側部42は可動コア41の内周面を形成し、可動外側部43は可動内側部42の径方向外側に配置されている。可動コア41は、反噴孔側を向いた可動上面41aを有しており、可動上面41aは、可動コア41の上端面を形成している。可動上面41aには段差が形成されている。具体的には、可動外側部43は反噴孔側を向いた可動外側上面43aを有し、可動内側部42は反噴孔側を向いた可動内側上面42aを有しており、可動外側上面43aが可動内側上面42aよりも噴孔側にあることで、可動上面41aに段差が形成されている。可動内側上面42a及び可動外側上面43aは、いずれも軸線方向に直交している。
可動コア41は、噴孔側を向いた可動下面41bを有しており、この可動下面41bは、径方向において可動内側部42と可動外側部43とに跨った状態で、可動コア41において平坦な下端面を形成している。可動下面41bにおいては、可動内側部42と可動外側部43との境界部に段差が形成されていない。軸線方向においては、可動外側部43の高さ寸法が可動内側部42の高さ寸法より小さくなっており、可動コア41は、可動外側部43が可動内側部42から外周側に突出したような形状になっている。
可動コア41は、連結部材31、弁体30、オリフィス部材32、および以下に説明する摺動部材33と一体となって軸線方向に移動する。これらの可動コア41、連結部材31、弁体30、オリフィス部材32および摺動部材33は、一体となって軸線方向に移動する可動構造体Mに相当する。
摺動部材33は、可動コア41とは別体であるが、溶接等により可動コア41に固定されている。摺動部材33を可動コア41と別体にすることで、摺動部材33を可動コア41とは材質や材料が異なる構成を容易に実現できるようにしている。可動コア41には、摺動部材33に比べて高磁性の材料が用いられており、摺動部材33には、可動コア41に比べて耐摩耗性の高い材料が用いられている。
摺動部材33は円筒形状であり、摺動部材33の円筒外周面は、ノズルボデー20側の部材に対して摺動する摺動面33aとして機能する。摺動部材33の反噴孔側の面は、可動コア41の噴孔側の面に溶接等により接合されており、摺動部材33と可動コア41との間を燃料が通過しないようになっている。摺動部材33の反噴孔側端部には、径方向に縮小する縮径部33cが形成されている。ボデー本体部21には支持部材24が固定されており、支持部材24には、径方向に縮小する縮径部24aが形成されている。摺動部材33と支持部材24とは軸線方向において並べて配置されており、可動構造体Mの移動に伴って摺動部材33と支持部材24との離間距離は増減する。この離間距離は、弁体30が閉弁状態にある場合に最小になるが、この場合でも摺動部材33は支持部材24から反噴孔側に離間している。
可動構造体Mには、ノズルボデー20に対して可動構造体Mを軸線方向に移動可能に摺動させつつ径方向に支持するガイド部が設けられている。ガイド部は、軸線方向の2箇所に設けられており、軸線方向のうち噴孔23aの側に位置するガイド部を噴孔側ガイド部30b(図1参照)と呼び、反噴孔側に位置するガイド部を反噴孔側ガイド部31bと呼ぶ。噴孔側ガイド部30bは、弁体30の外周面に形成され、噴孔部材23の内周面に摺動可能に支持される。反噴孔側ガイド部31bは、連結部材31の外周面に形成され、支持部材24の内周面に摺動可能に支持される。
固定コア50,51は、ケース10の内部に固定して配置されている。固定コア50,51は、軸線方向の周りに延びる環状の金属製である。第1固定コア50は、コイル70の内周側に設けられており、第1固定コア50の外周面とコイル70の内周面とが対向している。第1固定コア50は、噴孔側を向いた第1下面50aを有しており、この第1下面50aは、第1固定コア50の下端面を形成し、軸線方向に直交している。第1固定コア50は、可動コア41の反噴孔側に設けられており、第1下面50aは可動コア41の可動内側上面42aに対向している。また、第1固定コア50は、第1傾斜面50b及び第1外面50cを有している。第1傾斜面50bは、第1下面50aの外周側端部から反噴孔側に向けて斜めに延びている。第1外面50cは、第1固定コア50の外周面であり、第1傾斜面50bの反噴孔側の上端部から軸線方向に延びている。第1固定コア50は、第1下面50aと第1外面50cとの出隅部分が第1傾斜面50bにより面取りされたような形状になっている。
第2固定コア51は、コイル70の噴孔側に設けられており、全体として円環状になっている。第2内側部52及び第2外側部53を有しており、いずれも円環状になっている。第2外側部53は第2固定コア51の外周面を形成しており、第2内側部52は第2外側部53の内周側に配置されている。第2固定コア51は噴孔側を向いた第2下面51aを有しており、第2下面51aは、第2固定コア51の下端面を形成し、軸線方向に直交している。第2下面51aには段差が形成されている。具体的には、第2内側部52は噴孔側を向いた第2内側下面52aを有し、第2外側部53は噴孔側を向いた第2外側下面53aを有しており、第2内側下面52aが第2外側下面53aよりも反噴孔側にあることで、第2下面51aに段差が形成されている。軸線方向においては、第2内側部52の高さ寸法が第2外側部53の高さ寸法より小さくなっており、第2固定コア51は、第2内側部52が第2外側部53から内周側に突出したような形状になっている。
第2固定コア51の第2内側部52は、可動コア41の可動外側部43よりも反噴孔側に配置されており、これら第2内側部52と可動外側部43とは軸線方向に並んでいる。この場合、軸線方向において第2内側下面52aと可動外側上面43aとが対向している。
第2固定コア51においては、第2外側部53がボデー本体部21の反噴孔側に設けられている。ここで、ボデー本体部21は、径方向外側の端部から反噴孔側に向けて延びた円環状の外側延出部211を有している。外側延出部211は、ボデー本体部21の上端面において径方向内側の端部から離間していることで、ボデー本体部21の上端面に段差を形成している。ボデー本体部21は、本体内側上面21a、本体外側上面21b、本体外側内面21c、本体内側内面21dを有しており、本体内側上面21a及び本体外側上面21bは反噴孔側を向き、本体外側内面21c及び本体内側内面21dは径方向内側を向いている。本体外側上面21bは外側延出部211の上端面であり、本体外側内面21cは外側延出部211の内周面である。本体内側内面21dは、本体内側上面21aの径方向内側の端部から噴孔側に向けて延びており、ボデー本体部21の内周面である。本体内側上面21aは、ボデー本体部21の上端面のうち本体外側内面21cよりも径方向内側の部分である。本体内側上面21a及び本体外側上面21bは軸線方向に直交しており、本体外側内面21cは軸線方向に平行に延びている。
第2固定コア51においては、第2外側下面53aが本体外側上面21bに重ねられており、この重ねられた部分において第2固定コア51とボデー本体部21とがレーザー溶接等の溶接により接合されている。溶接が行われる前の状態においては、第2外側下面53a及び本体外側上面21bが第2固定コア51とボデー本体部21との境界部である固定境界部Qに含まれている。径方向において、第2外側下面53aの幅寸法と本体外側上面21bの幅寸法とは同じになっており、これら第2外側下面53aと本体外側上面21bとはそれぞれの全体が互いに重なっている。第2外側部53の外周面及びボデー本体部21の外周面はそれぞれケース10の内周面に重なっている。
第2固定コア51は、第2上面51b及び第2傾斜面51cを有している。第2傾斜面51cは、第2内側部52の内周面である第2内側内面52bから反噴孔側に向けて斜めに延びており、第2上面51bは、第2傾斜面51cの上端部から径方向に延びている。この場合、第2上面51b及び第2傾斜面51cは、第2固定コア51の上端面を形成している。第2傾斜面51cは、径方向において第2内側部52と第2外側部53とに跨った状態になっている。第2固定コア51は、第2上面51bと外周面との出隅部分が第2傾斜面51cにより面取りされたような形状になっている。
非磁性部材60は、軸線方向の周りに延びる環状の金属製部材であり、第1固定コア50と第2固定コア51との間に設けられている。非磁性部材60は、固定コア50,51や可動コア41よりも磁性が弱く、例えば非磁性体により形成されている。この非磁性部材60と同様に、ボデー本体部21も、固定コア50,51や可動コア41に比べて磁性が弱く、例えば非磁性体により形成されている。一方、固定コア50,51及び可動コア41は磁性を有しており、例えば強磁性体により形成されている。
なお、固定コア50,51及び可動コア41を、磁束の通路になりやすい磁束通路部材と称し、非磁性部材60及びボデー本体部21を、磁束の通路になりにくい磁束規制部材と称することができる。特に、後述するように、非磁性部材60は、磁束が可動コア41を通らずに固定コア50,51を磁気的に短絡して通ることを規制する機能を有しており、非磁性部材60を短絡規制部材と称することもできる。また、非磁性部材60が短絡規制部を構成していることにもなる。ノズルボデー20については、ボデー本体部21及びノズル部22が金属材料により一体成型されていることで、ボデー本体部21及びノズル部22の両方が磁性の弱くなっている。
非磁性部材60は、上傾斜面60a及び下傾斜面60bを有している。上傾斜面60aは、第1固定コア50の第1傾斜面50bに重ねられており、これら上傾斜面60aと第1傾斜面50bとは溶接により接合されている。下傾斜面60bは、第2固定コア51の第2傾斜面51cに重ねられており、これら下傾斜面60bと第2傾斜面51cとは溶接により接合されている。第1傾斜面50bと第2傾斜面51cとは、それぞれの少なくとも一部が軸線方向に並んでおり、非磁性部材60は、少なくとも軸線方向においてこれら傾斜面50b,51cの間に入り込んだ状態になっている。
第1固定コア50の内周面には、円筒形状かつ金属製のストッパ55が固定されている。ストッパ55は、可動構造体Mの連結部材31と当接することで可動構造体Mが反噴孔側へ移動することを規制する部材であり、ストッパ55の下端面が連結部材31の拡径部31aの上端面に当接することで、可動構造体Mの移動が規制される。ストッパ55は、第1固定コア50よりも噴孔側に突出している。このため、ストッパ55により可動構造体Mの移動が規制された状態でも、固定コア50,51と可動コア41との間に所定のギャップが形成されている。この場合、このギャップは、第1下面50aと可動内側上面42aとの間や、第2内側下面52aと可動外側上面43aとの間に形成されている。図3等では、これらギャップを明確に図示するために、第1下面50aと可動内側上面42aとの離間距離や、第2内側下面52aと可動外側上面43aとの離間距離を実際よりも大きめに図示している。
非磁性部材60および固定コア50の径方向外側には、コイル70が配置されている。コイル70は、樹脂製のボビン71に巻き回されている。ボビン71は、軸線方向を中心とした円筒形状である。したがって、コイル70は、軸線方向の周りに延びる環状に配置されることになる。ボビン71は、第1固定コア50及び非磁性部材60に当接している。ボビン71の外周側の開口部、上端面及び下端面は、樹脂製のカバー72で覆われている。
カバー72とケース10との間には、ヨーク75が設けられている。ヨーク75は、第2固定コア51の反噴孔側に配置されており、第2固定コア51の第2上面51bに当接している。ヨーク75は、固定コア50,51や可動コア41と同様に磁性を有しており、例えば強磁性体により形成されている。なお、固定コア50,51や可動コア41は、流通路を形成するなど燃料に触れる位置に配置されており、耐油性を有している。これに対して、ヨーク75は、流通路を形成していないなど燃料に触れない位置に配置されており、耐油性を有していない。このため、ヨーク75は、固定コア50,51や可動コア41よりも更に高い磁性を有している。
なお、ケース10のうちコイル70を収容する領域の部分をコイル領域部と呼ぶ。また、ケース10のうち磁気回路を形成する領域の部分を磁気回路領域部と呼ぶ。図1の例では、磁気回路領域部のうち挿入方向(図1の上下方向)の全体が、全周に亘って、取付穴4の内周面4aにより囲まれている。また、コイル領域部のうち挿入方向(図1の上下方向)の全体が、全周に亘って、取付穴4の内周面4aにより囲まれている。ケース10の外周面は、取付穴4の内周面4aとの間に隙間を形成しており、磁気回路領域部の外周面と取付穴4の内周面4aとは隙間を隔てて対向する。つまり、磁気回路がシリンダヘッド3に取り囲まれている。シリンダヘッド3は導電体であるため、コイル70へ電流を流して磁気回路で磁束変化が生じると、その磁束変化に伴いシリンダヘッド3に渦電流が生じる。
本実施形態では、第2固定コア51とボデー本体部21との固定境界部Qを覆う覆い体90が、第2固定コア51及びボデー本体部21の内周側に設けられている。覆い体90は、環状であり、第2固定コア51の周方向において固定境界部Qの全体を覆っている。覆い体90は、固定境界部Qを軸線方向に跨いだ状態で、第2固定コア51及びボデー本体部21から径方向内側に突出している。ここで、ボデー本体部21は本体切欠部N21を有し、第2固定コア51は第2切欠部N51を有しており、覆い体90は、これら切欠部N21,N51に入り込んだ状態になっている。
ボデー本体部21においては、本体切欠部N21が本体外側内面21c及び本体内側上面21aにより形成されている。本体切欠部N21は、軸線方向において噴孔側に開放されているとともに、径方向内側に開放されている。本体切欠部N21は、本体外側内面21cと本体内側上面21aとを接続する切欠傾斜面N21aを有しており、この切欠傾斜面N21aにより入隅部分が面取りされたような形状になっている。
第2固定コア51においては、第2切欠部N51が第2内側下面52a及び第2外側内面53bにより形成されている。第2外側内面53bは、径方向内側を向いた状態で軸線方向に延びており、第2外側部53の内周面を形成している。第2切欠部N51は、第2固定コア51の第2下面51aの段差により形成されており、軸線方向において反噴孔側に開放されているとともに、径方向内側に開放されている。第2切欠部N51は、第2内側下面52aと第2外側内面53bとを接続する切欠傾斜面N51aを有しており、この切欠傾斜面N51aにより入隅部分が面取りされたような形状になっている。
覆い体90は、これら切欠部N21,N51において第2内側下面52aと本体内側上面21aとの間に配置されている。ボデー本体部21の本体外側内面21cと第2固定コア51の第2外側内面53bとは、軸線方向において同一平面上に位置している。覆い体90の外周面である覆い外面90aは、固定境界部Qを内側から覆った状態で本体外側内面21c及び第2外側内面53bの両方に重ねられている。ただし、覆い外面90aは、切欠傾斜面N21a,N51aには重なっていない。
覆い体90は、覆い内側部92及び覆い外側部91を有している。覆い外側部91は覆い外面90aを形成しており、覆い内側部92は覆い外側部91の径方向内側に配置されている。覆い内側部92の高さ寸法H1は、覆い外側部H2の高さ寸法より小さくなっている(図4参照)。覆い体90は、反噴孔側を向いた覆い上面90bと、噴孔側を向いた覆い下面90cとを有している。これら覆い上面90bと覆い下面90cとは同じ面積になっている。
覆い上面90bには、覆い内側部92の反噴孔側の上端面が覆い外側部91の反噴孔側の上端面より噴孔側に配置されていることで段差が形成されている。覆い下面90cは、覆い体90の噴孔側の平坦な下端面を形成しており、覆い下面90cにおいては、覆い内側部92と覆い外側部91との境界部に段差が形成されていない。
覆い体90においては、覆い上面90bにある段差により覆い切欠部N90が形成されている。覆い切欠部N90には、可動コア41の噴孔側であって外周側の出隅部分が入り込んでいる。この場合、覆い外側部91の反噴孔側の端部は、径方向において可動外側部と第2外側部53との間に配置されている。また、覆い内側部92は、軸線方向において第2外側部53の噴孔側に配置されている。
覆い体90においては、覆い上面90bが可動コア41の可動下面41b及び第2固定コア51の第2内側下面52aから噴孔側に離間しているとともに、覆い下面90cがボデー本体部21の本体内側上面21aから反噴孔側に離間している。覆い外側部91は、径方向において第2外側部53と可動外側部43との間に入り込んでおり、覆い内側部92は、軸線方向において可動コア41と本体内側上面21aとの間に入り込んでいる。
図3に示すように、軸線方向において、覆い上面90bと第2内側下面52aとの離間距離H1aと、覆い下面90cと本体内側上面21aとの離間距離H1bとが同じになっている。また、軸線方向において、固定境界部Qと第2内側下面52aとの離間距離H2aと、固定境界部Qと本体内側上面21aとの離間距離H2bとが同じになっている。これらの場合、軸線方向において、覆い外側部91及び固定境界部Qが第2内側下面52aと本体内側上面21aとの中央位置に配置されていることになる。
図2、図3において、軸線方向において覆い内側部92と可動コア41との離間距離は、可動構造体Mの移動に伴って増減するが、弁体30が着座面23sに着座することで、これら覆い内側部92と可動コア41とは接触しないようになっている。本実施形態では、覆い上面90bと可動コア41及び第2固定コア51との間の空間を覆い上室S1と称し、覆い下面90cとボデー本体部21との間の空間を覆い下室S2と称する。これら覆い上室S1及び覆い下室S2は、覆い体90が本体切欠部N21及び第2切欠部N51の内部に入り込んだ状態になっていることで形成されている。覆い上室S1は、後述する流通路F26sに含まれており、覆い下室S2は、後述する流通路F31に含まれている。
覆い体90は、覆い部材93及び対向部材94により形成されている。これら覆い部材93及び対向部材94は、いずれも金属製の円環状部材であり、覆い部材93の内周側に対向部材94が設けられている。対向部材94は覆い部材93の内周面に嵌合された状態になっており、これら対向部材94と覆い部材93とは、互いの境界部において溶接等により接合されている。覆い部材93は、覆い外側部91に含まれる外周面寄りの部分と、覆い内側部92に含まれる内周面寄りの部分とを有している。これに対して、対向部材94は、その全体が覆い内側部92に含まれている。対向部材94は、対向部を構成しており、覆い部材93により支持されている。
対向部材94は、対向内面94aを有しており、径方向において摺動部材33の外周側に配置されている。対向内面94aは、径方向において摺動部材33の摺動面33aに対向しており、摺動部材33の摺動面33aが対向内面94aに対して摺動する。この場合、上述した、摺動面33aを摺動させるノズルボデー20側の部材が、対向部材94になっている。対向内面94aは、対向部材94の内周面であり、軸線方向において、対向内面94aの高さ寸法は摺動面33aの高さ寸法より小さくなっている。対向内面94a及び摺動面33aは、いずれも軸線方向に平行に延びている。摺動面33aの直径は、対向内面94aの直径よりも僅かに小さくなっている。つまり、摺動部材33の摺動方向に直交する方向における摺動面33aの位置は、対向内面94aの最外周位置よりも内側、つまり環状中心線Cの側に位置する。
対向部材94は、摺動部材33がこの対向部材94に摺動することで可動構造体Mの移動方向を案内するガイド部としての機能も発揮することになる。この場合、対向内面94aを案内面やガイド面と称することもできる。また、対向部材94が案内部を構成している。
覆い部材93及び対向部材94は、非磁性部材60やボデー本体部21と同様に、固定コア50,51や可動コア41に比べて磁性が弱く、例えば非磁性体により形成されている。このため、覆い部材93及び対向部材94は、磁束の通路になりにくくなっている。ただし、対向部材94は、摺動部材33の摺動が行われても対向内面94aの摩耗や変形が生じにくいように、硬度や強度の高い材料を用いて形成されることが好ましい。本実施形態では、対向部材94の材料について硬度や強度の高さを優先しており、覆い部材93や非磁性部材60、ボデー本体部21に比べて対向部材94の磁性が強くなっている。この場合、対向部材94は、覆い部材93等に比べると磁束の通路になりやすいが、それでも、対向部材94の磁性は、固定コア50,51や可動コア41の磁性に比べて弱くなっており、固定コア50,51等に比べると磁束の通路になりにくい。
上述したように、固定境界部Qは、第2固定コア51とボデー本体部21とが溶接された部分に含まれており、この部分を溶接部96と称する。溶接部96は、径方向において固定境界部Qの外側端部から所定の深さの範囲にかけての部分に配置されており、この溶接部96には、第2固定コア51及びボデー本体部21の一部に加えて、覆い体90の一部も含まれている。覆い体90については、覆い部材93のうち覆い外側部91を形成する部分が溶接部96に含まれている。径方向において溶接部96の奥行き寸法は、覆い部材93の一部を含んでいる分だけ固定境界部Qの幅寸法よりも大きくなっている。溶接部96は、第2固定コア51、ボデー本体部21及び覆い部材93のうち、加熱されることで溶融して混じり合った後に冷えて固化した状態の部分である。溶接部96においては、第2固定コア51、ボデー本体部21及び覆い部材93という3つの部材が接合されている。
溶接部96については、図3に網点で図示し、この図3においては固定境界部Qを仮想線で図示している。その一方で、図3以外の図2等では、溶接部96の図示を省略しているが、実際には、図3に示すように、第2固定コア51、ボデー本体部21及び覆い部材93の各一部と固定境界部Qとは溶接部96により消失している。このため、覆い体90は、実際には、固定境界部Qではなく溶接部96を径方向内側から覆うことになるが、本実施形態では、覆い体90が溶接部96を覆うことと、覆い体90が固定境界部Qを覆うこととを同義として記載している。
図1の説明に戻り、第1固定コア50の反噴孔側には、燃料の流入口80aを形成して外部の配管と接続される配管接続部80が配置されている。配管接続部80は金属製であり、固定コア50と一体の金属部材で形成されている。高圧ポンプで加圧された燃料は、流入口80aから燃料噴射弁1へ供給される。配管接続部80の内部には、軸線方向に延びる燃料の流通路F11が形成されており、その流通路F11には圧入部材81が圧入固定されている。
圧入部材81の噴孔側には、弾性部材SP1が配置されている。弾性部材SP1はコイルスプリングであり、環状中心線Cの周りに線材が螺旋状に延びるコイル形状である。弾性部材SP1の全体が、軸方向において可動内側上面42aよりも噴孔23aの反対側に位置する。つまり、弾性部材SP1とオリフィス部材32との当接面が、可動内側上面42aに対して反噴孔側に位置する。
弾性部材SP1の一端は圧入部材81に支持され、弾性部材SP1の他端はオリフィス部材32の拡径部32bに支持される。したがって、圧入部材81の圧入量、つまり軸線方向における固定位置に応じて、弁体30がフルリフト位置まで開弁した時、つまりストッパ55に連結部材31が当接した時における弾性部材SP1の弾性変形量が特定される。つまり、弾性部材SP1によるセット荷重としての閉弁力が、圧入部材81の圧入量で調整されている。
配管接続部80の外周面には、締結部材83が配置されている。締結部材83の外周面に形成されたネジ部を、ケース10の内周面に形成されたネジ部に締結することで、締結部材83はケース10に締結される。この締結で生じる軸力により、ケース10の底面と締結部材83との間で、配管接続部80、固定コア50,51非磁性部材60およびボデー本体部21が挟み付けられている。
これらの配管接続部80、固定コア50、非磁性部材60、ノズルボデー20および噴孔部材23は、流入口80aへ供給された燃料を噴孔23aへ流通させる流通路Fを有するボデーBに相当する。先述した可動構造体Mは、ボデーBの内部に摺動可能な状態で収容されていると言える。
次に、燃料噴射弁1の作動について説明する。
コイル70へ通電すると、コイル70の周りに磁界が発生する。例えば、図4に破線で示すように、固定コア50,51、可動コア41およびヨーク75に磁束が通る磁界回路が通電に伴い形成され、磁気回路により生じた磁気力により可動コア41が固定コア50,51へ吸引される。この場合、第1固定コア50及び可動コア41について、第1下面50aと可動内側上面42aとが磁束の通路になることで互いに吸引される。同様に、第2固定コア51及び可動コア41について、第2内側下面52aと可動外側上面42bとが磁束の通路になることで互いに吸引される。したがって、これら第1下面50a、可動内側上面42a、第2内側下面52a及び可動外側上面42bを、それぞれ吸引面と称することもできる。特に、可動内側上面42aは第1吸引面に相当し、可動外側上面43aは第2吸引面に相当する。また、吸引方向は、先述した軸線方向と一致する。
非磁性部材60は、磁束の通路にならないことで、第1固定コア50と第2固定コア51とが磁気的に短絡することを防止することになる。可動コア41と第1固定コア50との吸引力は、可動内側上面42a及び第1下面50aを通る磁束により生じ、可動コア41と第2固定コア51との吸引力は、可動外側上面43a及び第2下面51aを通る磁束により生じる。なお、固定コア50,51及び可動コア41を通る磁束には、ヨーク75だけでなくケース10を通る磁束も含まれる。
また、ボデー本体部21及び覆い体90の磁性が固定コア50,51等に比べて弱いことに起因して、磁束がボデー本体部21や覆い体90を通るということが抑制される。上述したように、対向部材94については、摺動部材33の摺動に耐え得る硬度や強度を優先することで磁性がある程度強くなってしまう。しかし、覆い部材93の磁性が十分に弱いため、第2固定コア51を通る磁束が対向部材94に到達することが覆い部材93により抑制される。
可動構造体Mには、上述した磁束による吸引力に加えて、弾性部材SP1による閉弁力と、燃料圧力による閉弁力と、上述した磁気力による開弁力とが作用する。これらの閉弁力よりも開弁力の方が大きくなるように設定されているため、通電に伴い磁気力を生じさせると、可動コア41は、弁体30と共に反噴孔側に移動する。これにより、弁体30が開弁作動して、シート面30sが着座面23sから離座し、高圧燃料が噴孔23aから噴射されることになる。
コイル70への通電を停止させると、上述した磁気力による開弁力が無くなるので、弾性部材SP1による閉弁力で、可動コア41と共に弁体30は閉弁作動して、シート面30sが着座面23sに着座する。これにより、弁体30が閉弁作動して、噴孔23aからの燃料噴射が停止される。
次に、噴孔23aから燃料が噴射されている時の燃料の流れについて、図1、図2を参照しつつ説明する。
高圧ポンプから燃料噴射弁1へ供給される高圧燃料は、流入口80aから流入し、配管接続部80の円筒内周面に沿う流通路F11、圧入部材81の円筒内周面に沿う流通路F12、弾性部材SP1が収容されている流通路F13を順に流れる(図1参照)。これらの流通路F11、F12、F13を総称して上流通路F10と呼び、上流通路F10は、燃料噴射弁1の内部に存在する流通路F全体のうち可動構造体Mの外部かつ上流側に位置する。また、流通路F全体のうち、可動構造体Mにより形成される流通路を可動流通路F20と呼び、可動流通路F20の下流側に位置する流通路を下流通路F30と呼ぶ。
可動流通路F20は、流通路F13から流出した燃料を以下に説明するメイン通路およびサブ通路に分岐して流れる。メイン通路およびサブ通路は独立して配置されている。具体的にはメイン通路およびサブ通路は並列して配置され、各々に分岐して流れた燃料は下流通路F30で合流する。
メイン通路は、オリフィス部材32の円筒内周面に沿う流通路F21、オリフィス32aによる絞り流通路F22、連結部材31の円筒内周面に沿う流通路F23の順に燃料を流通させる通路である。そして、流通路F23の燃料は、連結部材31を径方向に貫通する貫通穴を通じて、連結部材31の円筒外周面に沿う流通路F31である下流通路F30へ流入する。下流通路F30は、覆い体90の噴孔側にある覆い下室S2を有しており、この覆い下室S2は、支持部材24と摺動部材33との間の離間部分に連通している。
サブ通路は、オリフィス部材32の円筒外周面に沿う流通路F24s、可動コア41と固定コア50とのギャップである流通路F25s、可動コア41の外周側を延びる流通路F26s、摺動面33aに沿う摺動流通路F27sの順に燃料を流通させる通路である。流通路F26sは、覆い体90の反噴孔側にある覆い上室S1を有している。流通路F26sには、可動コア41と第1固定コア50、非磁性部材60、第2固定コア51及び覆い体90との隙間部分が含まれている。流通路F26sにおいて、第1下面50aと可動内側上面42aとの隙間部分、及び第2内側下面52aと可動外側上面43aとの隙間部分は、上述したようにギャップにも含まれている。サブ通路は、ボデー本体部21と可動構造体Mとの間に形成されており、ボデー本体部21は、サブ通路を形成する通路形成部に相当する。
摺動流通路F27sは別流通路と称することもでき、摺動流通路F27sの燃料は、連結部材31の円筒外周面に沿う流通路F31である下流通路F30へ流入する。摺動流通路F27sの通路面積は、可動コア41の外周側を延びる流通路F26sの通路面積よりも小さい。つまり、摺動流通路F27sでの絞り度合は流通路F26sでの絞り度合よりも大きく設定されている。
ここで、サブ通路の上流側は、絞り流通路F22よりも上流側と接続されている。そして、サブ流路の下流側は、絞り流通路F22の下流側と接続されている。すなわち、サブ流路は絞り流通路F22を介さずに、絞り流通路F22の上流側と下流側とを接続している。
また、流通路F23の上流側は、絞り流通路F22よりも上流側と接続されている。流通路F23の下流側は、絞り流通路F22よりも下流側と接続されている。すなわち、流通路F23は絞り流通路F22を介さずに、絞り流通路F22の上流側と下流側とを接続している。
要するに、上流通路F10である流通路F13から可動流通路F20へ流入した燃料は、メイン通路の上流端である流通路F21とサブ通路の上流端である流通路F24sとに分岐し、その後、下流通路F30である流通路F31で合流する。
また、可動コア41、連結部材31およびオリフィス部材32の各々には、径方向に貫通する貫通孔45が形成されている。これらの貫通孔45は、オリフィス部材32の内周面に沿う流通路F21と可動コア41外周面に沿う流通路F26sとを連通させる流通路F28sとして機能する。この流通路F28sは、ストッパ55に連結部材31が当接して流通路F24sと流通路F25sとの連通が遮断された場合に、摺動流通路F27sを流れる燃料の流量、つまりサブ通路の流量を確保するための通路である。流通路F28sが流通路F22の上流側に位置することで、流通路F25s、F26s、F28sが後述する上流側領域となり、下流側領域との圧力差が生じる。
可動流通路F20から流出した燃料は、連結部材31の円筒外周面に沿う流通路F31へ流入し、その後、支持部材24の縮径部24aを軸線方向に貫通する貫通穴である流通路F32、弁体30の外周面に沿う流通路F33を順に流れる(図2参照)。そして、以下に説明するように弁体30が開弁作動すると、流通路F33内の高圧燃料が、シート面30sおよび着座面23sの間を通過して、噴孔23aから噴射される。
上述した摺動面33aに沿う流通路を摺動流通路F27sと呼び、摺動流通路F27sの通路面積は、絞り流通路F22の通路面積よりも小さい。つまり、摺動流通路F27sでの絞り度合は絞り流通路F22での絞り度合よりも大きく設定されている。そして、メイン通路では絞り流通路F22の通路面積が最も小さく、サブ通路では摺動流通路F27sでの通路面積が最も小さい。
したがって、可動流通路F20内におけるメイン通路とサブ通路とでは、メイン通路の方が流れやすくなっており、メイン通路の絞り度合はオリフィス32aでの絞り度合により特定され、メイン通路の流量はオリフィス32aにより調整される。換言すれば、可動流通路F20の絞り度合はオリフィス32aでの絞り度合により特定され、可動流通路F20の流量はオリフィス32aにより調整される。
流通路Fのうちシート面30sでの通路面積であって、弁体30が開弁方向へ最も移動したフルリフト状態での通路面積をシート通路面積と呼ぶ。オリフィス32aによる絞り流通路F22の通路面積は、シート通路面積よりも大きく設定されている。つまり、オリフィス32aによる絞り度合は、フルリフト時のシート面30sでの絞り度合よりも小さく設定されている。
また、シート通路面積は、噴孔23aの通路面積よりも大きく設定されている。つまり、オリフィス32aによる絞り度合およびシート面30sでの絞り度合は、噴孔23aでの絞り度合よりも小さく設定されている。なお、噴孔23aが複数形成されている場合には、全ての噴孔23aの通路面積の合計よりもシート通路面積は大きく設定されている。
ここでは、移動部材35に関する説明を行う。弁体30が開弁方向へ移動することに伴い、移動部材35の上流側燃圧が下流側燃圧よりも所定以上高くなると、押付用弾性部材SP2の弾性力に抗して移動部材35はオリフィス部材32から離座する。弁体30が閉弁方向へ移動することに伴い、移動部材35の下流側燃圧が上流側燃圧よりも所定以上高くなると、移動部材35はオリフィス部材32に着座する。
移動部材35が離座している状態では、移動部材35の外周面と連結部材31の内周面との隙間に、燃料が流れる流通路が形成される。外周側流通路F23aとサブ絞り流通路38とは並列に位置し、移動部材35が離座している状態では、絞り流通路F22から流通路F23へ流出した燃料は、サブ絞り流通路38と外周側流通路F23aとに分岐して流れる。サブ絞り流通路38と外周側流通路F23aとを合わせた通路面積は、絞り流通路F22の通路面積よりも大きい。よって、移動部材35が離座している状態では、可動流通路F20の流量は絞り流通路F22での絞り度合により特定される。
一方、移動部材35が着座している状態では、絞り流通路F22から流通路F23へ流出した燃料は、サブ絞り流通路38を流れ、外周側流通路F23aには流れない。そして、サブ絞り流通路38の通路面積は絞り流通路F22の通路面積よりも小さい。よって、移動部材35が着座している状態では、可動流通路F20の流量はサブ絞り流通路38での絞り度合により特定される。したがって、移動部材35は、オリフィス部材32に着座することで絞り流通路F22を覆って絞り度合を大きくし、オリフィス部材32から離座することで絞り流通路F22を開放して絞り度合を小さくする。
弁体30が開弁方向へ移動中の状態であれば、移動部材35の上流側燃圧が下流側燃圧よりも所定以上高くなって移動部材35が離座する蓋然性が高い。但し、弁体30が開弁方向へ最も移動したフルリフト状態となり弁体30が移動停止した状態であれば、移動部材35が着座する蓋然性が高い。
弁体30が閉弁方向へ移動中の状態であれば、移動部材35の下流側燃圧が上流側燃圧よりも所定以上高くなって移動部材35が着座する蓋然性が高い。但し、開弁期間を短くして噴孔23aからの噴射量を少なくする場合等、弁体30がフルリフト位置まで移動せずに開弁作動から閉弁作動に切り替える噴射としてパーシャルリフト噴射を実施する場合がある。この場合には、閉弁作動に切り替わった直後には移動部材35が離座している蓋然性が高い。但し、その後の閉弁直前の期間においては、移動部材35の下流側燃圧が上流側燃圧よりも所定以上高くなって移動部材35が着座する蓋然性が高い。
要するに、弁体30の開弁作動中に移動部材35が常時開弁しているとは限らず、弁体30が開弁方向へ移動する上昇期間のうち少なくとも開弁直後の期間では、移動部材35は着座している。また、弁体30の閉弁作動中に移動部材35が常時着座しているとは限らず、弁体30が閉弁方向へ移動する下降期間のうち少なくとも閉弁直前の期間では、移動部材35は着座している。したがって、開弁直後の期間および閉弁直前の期間では、移動部材35は着座して、燃料の全量がサブ絞り流通路38を流通するので、移動部材35が離座している期間に比べて可動流通路F20での絞り度合が大きくなる。
次に、可動構造体Mが移動する際に発生する圧力について図4〜図5を参照しつつ説明する。
本実施形態では、絞り流通路F22と摺動流通路F27sとは並列し、かつ、摺動流通路F27sの通路面積は絞り流通路F22の通路面積よりも小さく設定されている。そのため、流通路Fは、オリフィス32aおよび摺動流通路F27sを境に上流側領域と下流側領域とに区分される。
上流側領域は、オリフィス32aに対して、噴射時の燃料流れ上流側の領域である。なお、可動流通路F20のうち摺動面33aの上流側も上流側領域に属する。よって、可動流通路F20のうちの流通路F21、F24s、F25s、F26s、F28s、および上流通路F10が上流側領域に該当する。下流側領域は、オリフィス32aに対して、噴射時の燃料流れ下流側の領域である。なお、可動流通路F20のうち摺動面33aの下流側も下流側領域に属する。よって、可動流通路F20のうちの流通路F23および下流通路F30が下流側領域に該当する。
要するに、絞り流通路F22を燃料が流れると、可動流通路F20を流れる燃料の流量がオリフィス32aで絞られることに起因して、上流側領域の燃料圧力である上流燃圧PHと、下流側領域の燃料圧力である下流燃圧PLとの間に圧力差が生じる(図4参照)。したがって、弁体30が閉弁状態から開弁状態に変化している時、開弁状態から閉弁状態に変化している時、および弁体30がフルリフト位置に保持されている時には、絞り流通路F22に燃料が流れて上記圧力差が生じる。
そして、弁体30の開弁により生じる上記圧力差は、開弁から閉弁に切り替わると同時に無くなるわけではなく、閉弁してから所定時間が経過すると、上流燃圧PHと下流燃圧PLとは同じになる。一方、上記圧力差が生じていない状態で閉弁から開弁に切り替わると、その切り替わったタイミングで上記圧力差が直ぐに生じる。
可動構造体Mが開弁方向に移動する最中では、上流側領域の燃料が可動構造体Mに押されて圧縮されるので、上流燃圧PHが上昇する。その一方で、可動構造体Mに押された上流側領域の燃料は、オリフィス32aで絞られながら下流側領域へ押し出されるので、下流燃圧PLの方が上流燃圧PHよりも低くなる。開弁作動時には絞り流通路F22を噴孔側へ燃料が流れる。
可動構造体Mが閉弁方向に移動する最中では、下流側領域の燃料が可動構造体Mに押されて圧縮されるので、下流燃圧PLが上昇する。その一方で、可動構造体Mに押された下流側領域の燃料は、オリフィス32aで絞られながら上流側領域へ押し出されるので、上流燃圧PHの方が下流燃圧PLよりも低くなる。閉弁作動時には絞り流通路F22を反噴孔側へ燃料が流れる。
ここで、覆い体90と燃料圧力との関係について、図5を参照しつつ説明する。覆い体90の反噴孔側にある覆い上室S1においては、この覆い上室S1が上流側領域に含まれていることに起因して、上流燃圧PHに応じた上室下向き燃圧PHa及び上室上向き燃圧PHbが生じる。上室下向き燃圧PHaは、覆い体90を噴孔側に向けて下に押す圧力であり、覆い外側部91及び覆い内側部92の両方に加えられる。例えば、覆い上面90bが下向きに押される。一方、上室上向き燃圧PHbは、第2固定コア51を反噴孔側に向けて上に押す圧力であり、第2内側部52に加えられる。例えば、第2内側下面52aが上向きに押される。
覆い体90の噴孔側にある覆い下室S2においては、この覆い下室S2が下流側領域に含まれていることに起因して、下流燃圧PLに応じた下室下向き燃圧PLa及び下室上向き燃圧PLbが生じる。下室上向き燃圧PLbは、覆い体90を反噴孔側に向けて上に押す圧力であり、覆い下室S2において覆い外側部91及び覆い内側部92の両方に加えられる。例えば、覆い下面90cが上向きに押される。一方、下室下向き燃圧PLaは、ボデー本体部21を噴孔側に向けて下に押す圧力である。例えば、本体内側上面21aが下向きに押される。
このように、覆い体90の噴孔側及び反噴孔側のそれぞれにおいて燃圧PHa,PHb,PLa,PLbが生じた場合、上室下向き燃圧PHaと下室上向き燃圧PLbとが覆い体90を介して互いに打ち消し合う。同様に、上室上向き燃圧PHbと下室下向き燃圧PLaとは、第2固定コア51及びボデー本体部21を介して互いに打ち消し合う。したがって、覆い上室S1及び覆い下室S2において、第2固定コア51とボデー本体部21とが上下に離間する向きに圧力が働くことが抑制される。
例えば、本実施形態に反し、覆い上室S1が形成されている一方で、覆い下室S2が形成されていない構成では、上室下向き燃圧PHaを打ち消す圧力が覆い体90に加えられず、上室上向き燃圧PHbを打ち消す圧力がボデー本体部21に加えられない。このため、上室下向き燃圧PHaは、覆い体90ごとボデー本体部21を噴孔側に向けて下に押し、上室上向き燃圧PHbは、第2固定コア51を反噴孔側に向けて上に押すことになる。この場合、これら燃圧PHa,PHbが第2固定コア51とボデー本体部21とを離間させる態様で働くことになり、固定境界部Qでの第2固定コア51とボデー本体部21との接合状態を適正に保つ上で好ましくない。これに対して、本実施形態では、上述したように覆い上室S1及び覆い下室S2にて生じる燃圧PHa,PHb,PLa,PLbが打ち消し合うため、固定境界部Qでの第2固定コア51とボデー本体部21との接合状態を適正に保つ上で好ましい。
次に、覆い上室S1の機能について説明する。上述したように、可動構造体Mが閉弁方向に移動する最中では、燃料が絞り流通路F22を通じて覆い下室S2等の流通路F31から覆い上室S1に流れ込む。この場合、流通路F26sにおいては、覆い上室S1の上流側に流通路F24s,F25sが存在することなどに起因して、覆い上室S1から流通路F21等のメイン通路や、流通路F13等の上流通路F10に燃料が流れ込みにくくなっている。換言すれば、覆い上室S1からメイン通路や上流通路F10に燃料が流出するには、弾性部材SP1による閉弁力に抗して、軸線方向において可動コア41の可動下面41bが覆い体90の覆い上面90bに近付くことが必要になる。このように、覆い上室S1は、可動構造体Mが閉弁方向に移動する際に、ダンパ機能を発揮することで可動構造体Mにブレーキ力を作用させることになる。このため、閉弁時に弁体30が着座面23sにバウンスすることが抑制され、意図に反した噴射状態になりにくい。
燃料噴射弁1の製造方法について以下に説明する。ここでは、各部品を製造した後の組み付け手順について主に説明する。
まず、ノズルボデー20のボデー本体部21に支持部材24を取り付ける。ここでは、ボデー本体部21の内側に支持部材24を挿入し、これらボデー本体部21と支持部材24とを溶接等により固定する。
次に、ボデー本体部21に覆い体90を取り付ける。ここでは、覆い部材93の内側に対向部材94を挿入し、これら覆い部材93と対向部材94とを溶接等により固定することで、あらかじめ覆い体90を製造しておく。そして、覆い体90をボデー本体部21の内部に挿入する。この場合、覆い体90において、ボデー本体部21内に入り込んだ部分の軸方向長さ寸法と、ボデー本体部21から突出した部分の軸方向長さ寸法とが、ほぼ同じになるようにしておく。なお、入り込んだ部分の長さ寸法が離間距離H2bに対応し、突出した部分の長さ寸法が離間距離H2aに対応する。
その後、ノズルボデー20に可動構造体Mを装着する。可動構造体Mについては、可動コア41、連結部材31、弁体30、オリフィス部材32、摺動部材33、移動部材35及び押付用弾性部材SP2を組み付けることで、あらかじめ製造しておく。ここでは、弁体30をノズル部22の内部に挿入しつつ、覆い体90の内側に摺動部材33を挿入することで、可動構造体Mをノズルボデー20に装着する。
続いて、ノズルボデー20に固定コア50,51及び非磁性部材60を取り付ける。ここでは、非磁性部材60に固定コア50,51を装着し、これら非磁性部材60と固定コア50,51とを溶接等により固定することで、あらかじめコアユニットを製造しておく。そして、このコアユニットをノズルボデー20に装着することで、第2固定コア51をボデー本体部21及び覆い体90に装着する。この場合、第2固定コア51の内側に覆い体90の端部を入り込ませつつ、第2固定コア51の第2下面51aをボデー本体部21の本体外側上面21bに重ねる。これにより、第2固定コア51とボデー本体部21との間に固定境界部Qが存在することになる。
その後、固定境界部Qの全周について、溶接用工具を用いて外周側から溶接作業を行うことで溶接部96を形成する。この場合、溶接に伴って発生するスラグや金属粒等のスパッタが、固定境界部Qを通じて第2固定コア51やボデー本体部21の内部空間に飛び散ることが懸念される。これに対して、覆い体90が固定境界部Qを内周側から覆っているため、溶接に伴ってスパッタが発生したとしても、スパッタが覆い体90に当たってそれ以上内周側に飛ばないことになる。このため、スパッタが固定境界部Qから内周側に飛び出すことが覆い体90により防止される。
この溶接は、溶接部96が固定境界部Qを越えて覆い体90に達するように行われる。ここで、溶接のために熱を加えた際に、どれくらいの温度でどれくらいの時間だけ熱を加えれば溶接部98が固定境界部Qを越えて覆い体90に達するか、ということについて試験を行っておく。そして、この試験結果に基づいて、溶接に際して加える熱の温度や熱を加える継続時間を設定する。これにより、溶接部96が覆い体90に達していないということを抑制できる。
溶接部96を形成した後は、第1固定コア50等にコイル70やヨーク75等を装着し、これらをまとめてケース10に収容することなどにより、燃料噴射弁1を完成させる。
次に、以上に説明した燃料噴射弁1が備える、さらに詳細な構成について説明する。
可動コア41は、可動構造体Mのうち可動内側上面42a(第1吸引面)および可動外側上面43a(第2吸引面)を有する部分である。そして、可動構造体Mのうち可動コア41に比べて軸方向に長い形状の部分を「長軸部材」と呼ぶ。本実施形態では、弁体30および連結部材31が長軸部材に相当する。可動コア41の材質と長軸部材の材質とは異なる。
具体的には、長軸部材の縦弾性係数の方が可動コア41の縦弾性係数より大きい。また、長軸部材の硬度の方が可動コア41の硬度より高い。また、長軸部材の方が可動コア41に比べて比重が小さい。また、可動コア41の方が長軸部材に比べて磁性が強く、磁束を通しやすい。また、長軸部材の方が可動コア41に比べて耐摩耗性が強く、摩耗しにくい。
上述した縦弾性係数の違いは引張試験により確認できる。例えば、可動コア41、弁体30および連結部材31の各々について、引張荷重を付与して破断させる引張試験を行い、その破断の過程で得られる応力ひずみ特性線の弾性域での傾きが縦弾性係数を示す。上記引張試験では、可動コア41、弁体30および連結部材31の各々を、所定のサンプル形状に切削加工し、そのサンプル品に引張荷重を付与してもよい。或いは、上記切削加工をすることなく、可動コア41、弁体30および連結部材31の各々に、そのまま引張荷重を付与してもよい。また、所定数nのサンプル品について引張試験により縦弾性係数を計測し、その平均値をμ、標準偏差をσとした場合に、所定数nのうちμ±σの範囲に含まれる全ての縦弾性係数について、長軸部材の縦弾性係数の方が可動コア41の縦弾性係数より大きい。
次に、本実施形態が採用する構成による作用および効果について説明する。
可動コア41は、軸方向において互いに異なる位置に設けられた可動内側上面42a(第1吸引面)および可動外側上面43a(第2吸引面)を有する段付き形状に形成されている。また、第1吸引面と第2吸引面とでは磁束の向きが異なる。これによれば、本実施形態に反して、磁束の向きが異なる2つの吸引面を軸方向にて同じ位置に設けた可動コアと比較して、磁気吸引力を向上できる。その理由について、図6および図7を用いて以下に説明する。
図6および図7は、鉄心70yにコイル70xを巻回した供試体を示す。コイル70xに電流を流すと、図6中の点線に示すように磁束が分布し、図7中の点線に示すように磁界が分布する。鉄心70yの軸方向のうちの中央部分Wでは、図7に示すように複数の磁界が重畳する数が多いので、磁界強度が高くなる。このことは、燃料噴射弁1が備えるコイル70により生じる磁界強度は、軸方向におけるコイル70の中央部分Wで最も高くなることを意味する。
この点を鑑み、本実施形態では、軸方向において第1吸引面を第2吸引面よりもコイル70の側に近づけて配置しているので、第1吸引面は、磁界強度の高い中央部分Wに近づけて配置されることになる。そのため、第1吸引面が第2吸引面と軸方向にて同じ位置に設けられた可動コアと比較して、磁気吸引力を向上できる。
さて、このように可動コア41を段付き形状に形成すると、可動コア41が大型化するので、可動構造体Mの質量が大きくなる。その結果、可動構造体Mを閉弁作動させて弁体30を着座面23sに着座させた時に、弁体30が着座面23sに衝突して跳ね返ることを繰り返すといったバウンスの問題が生じやすくなる。この課題に対し本実施形態では、弁体30(長軸部材)および連結部材31(長軸部材)の縦弾性係数を、可動コア41の縦弾性係数より大きくしている。これによれば、本実施形態に反して、可動コア41と長軸部材とで縦弾性係数を同じにした場合と比較して、バウンスを低減できる。その理由について、図8および図9を用いて以下に説明する。
図8は、可動構造体Mがバウンスする際の振動の挙動について、数値解析に用いたモデルを示す。図8中の数式に示すfは固有振動数、λは無次元定数、Lは振動方向長さ、Eは縦弾性係数を示す。図9は、上記モデルによる振動波形を示し、図9中の縦軸は振動強度、横軸は経過時間を示す。図9上段に示す固有振動数の大きいモデルの場合には、下段に示す固有振動数の小さいモデルの場合に比べて、振動の減衰に要する時間が短い。したがって、可動構造体Mの固有振動数を大きくすることが、バウンス低減に有効である。そして、図8中の数式に示すように、振動方向長さLが長いほど固有振動数fが小さくなり、その一方で、縦弾性係数Eが大きいほど固有振動数fが大きくなる。そのため、可動構造体Mのうち軸方向長さの長い部分について縦弾性係数Eを大きくすることが、可動構造体Mの固有振動数fを大きくする上で有効である。
この点を鑑み、本実施形態では、可動コア41に比べて軸方向に長い形状の長軸部材について、可動コア41より縦弾性係数Eを大きくしている。そのため、可動構造体Mの固有振動数fを大きくできるので、バウンス振動の減衰に要する時間を短くできる。よって、可動コア41を段付き形状にして磁気吸引力を向上させることとバウンス低減との両立を図ることができる。しかも、第1吸引面および第2吸引面を形成する可動コア41については縦弾性係数Eを大きくするといった制約を受けることなく、磁束を通しやすい強磁性体を採用することができるので、磁気力向上とバウンス抑制との両立を図ることができる。
さらに本実施形態によれば、コイルスプリングである弾性部材SP1の全体が、軸方向において第1吸引面よりも噴孔23aの反対側に位置する。ここで、本実施形態に反して弾性部材SP1の一部が軸方向において第1吸引面よりも噴孔23a側に位置している場合には、通電により生じた磁束が、第1吸引面でのエアギャップをバイパスして弾性部材SP1に流れてしまうことが懸念される。しかも、コイルスプリングは非対称の形状であるため、第1吸引面の円周方向で発生吸引力に差ができるので、可動コア41をフルリフト位置に維持させる力が弱くなる。その結果、可動構造体Mの閉弁速度が速くなり、バウンスが促進されてしまう。これに対し本実施形態では、弾性部材SP1の全体が第1吸引面よりも反噴孔側に位置するので、上記バイパスを抑制でき、磁気吸引力の向上を促進できる。
さらに本実施形態によれば、固定境界部Qが覆い体90により内周側から覆われている。このため、燃料噴射弁1の製造時において、外周側からの溶接作業に伴って発生したスパッタが固定境界部Qを通じて第2固定コア51やボデー本体部21の内部空間で飛び散ることを防止できる。この場合、スパッタが流通路F26s,F31などに存在することに起因して噴孔23aからの燃料の噴射が適正に行われない、ということを抑制できる。これにより、第2固定コア51とボデー本体部21とを溶接にて接合したとしても、燃料を適正に噴射することができる構成を実現できる。
さらに本実施形態によれば、弾性部材SP1は、オリフィス部材32に当接している。このように、可動構造体Mのうち最も低硬度の可動コア41以外の部分で弾性部材SP1を当接させているので、弾性部材SP1が当接することによる可動構造体Mの摩耗を低減できる。その結果、上記摩耗による弾性部材SP1の弾性変形量低下を抑制でき、弾性力低下による開弁速度の増大を抑制できる。よって、可動構造体Mの開弁作動に伴い拡径部31aがストッパ55に衝突した際、拡径部31aがストッパ55に繰り返し連続して衝突する現象(バウンス)を抑制できる。
さらに本実施形態によれば、磁気回路の周りがシリンダヘッド3に取り囲まれている直噴タイプの燃料噴射弁1に、段付きコア形状の可動コア41を適用させている。これによれば、吸引面が軸方向に1箇所である可動コアに比べて、シリンダヘッド3に生じる渦電流を低減できる。なぜなら、より少ない磁束量で所望の吸引力が得られるからである。よって、コイル70へ供給する電気エネルギにより磁気吸引力を生じさせるエネルギ効率を向上できる。また、磁束量が少なくできると、可動コア41が固定コア50に当接する直前の吸引力上昇量を抑えることができる。これにより衝突スピードを低減できるため開弁バウンスを抑制できる。
さらに本実施形態によれば、開弁作動する可動構造体Mのうち拡径部31aがストッパ55に当接し、この当接した状態では、可動コア41と固定コアとの間に隙間が形成されている。そのため、可動コア41が固定コアに衝突することが回避されるので、可動コア41の衝突による損傷を抑制できる。
さらに本実施形態によれば、非磁性部材60は上傾斜面60a及び下傾斜面60bを有している。そのため、第1固定コア50および第2固定コア51に非磁性部材60を組み付けるにあたり、同軸上に組み付けることを高精度で実現できる。そのため、可動構造体Mが開閉作動する際に、可動構造体Mが受ける燃料の抵抗を周方向で均一にできる。これにより、可動コア41が傾いて衝突する事を回避できるため、バウンス抑制を促進できる。
(第2実施形態)
図10に示すように、本実施形態では、上記第1実施形態に係るオリフィス部材32、移動部材35および押付用弾性部材SP2を廃止し、連結部材31と弁体30とを一体に成形している。
上記第1実施形態では、連結部材31が可動コア41に溶接で固定されている。つまり、長軸部材と可動コア41とが一体となってバウンスする。これに対し本実施形態では、可動コア41は、連結部材31および弁体30に対して軸方向に相対移動可能な状態で長軸部材に組み付けられている。可動コア41の噴孔側の面とボデー本体部21との間には、弾性部材SP3が挟持されている。弾性部材SP3は、可動コア41に対して反噴孔側へ弾性力を付与する。これにより可動コア41は、拡径部31aと弾性部材SP3との間で挟持される。
可動構造体Mが閉弁作動して弁体30が着座面23sに当接した直後には、可動コア41は、弾性部材SP3の弾性力に抗して噴孔側へ移動する。つまり、弁体30を含む長軸部材は、可動コア41が相対移動した状態でバウンスし得る。
可動内側部42には、可動内側上面42aと第1固定コア50とのギャップと、可動コア41の噴孔側とを連通させる連通穴42hが形成されている。連通穴42hは、可動コア41を軸方向に貫通させる形状であり、可動コア41の周方向に等間隔で複数配置されている。
可動コア41の表面のうち可動内側上面42a(第1吸引面)と可動外側上面43a(第2吸引面)とが連なる連接面41cには、可動コア41を軸方向に貫通させる貫通孔43hが形成されている。貫通孔43hは、可動コア41を軸方向に貫通させる形状であり、可動コア41の周方向に等間隔で複数配置されている。図10に示す例では、可動コア41の周方向において、貫通孔43hと連通穴42hとは同じ位置に配置されているが、異なる位置に配置されていてもよい。また、図10に示す例では、貫通孔43hは可動外側部43に形成されているが、可動内側部42に形成されていてもよい。
可動コア41が第1固定コア50へ吸引されて可動構造体Mが開弁作動する際には、可動内側上面42aと第1固定コア50とのギャップに位置する燃料は連通穴42hから噴孔側へ押し出される。そして、第2固定コア51または非磁性部材60と連接面41cとの間に位置する燃料は貫通孔43hから噴孔側へ押し出されることになる。
可動内側部42のうち噴孔側の面には、反噴孔側へ凹む形状の凹部42iが形成されている。つまり、可動コア41の噴孔側の面は、長軸部材側が長軸部材側とは反対側よりも反噴孔側へ凹む形状の凹部42iが形成されている。凹部は、軸中心を含む範囲に形成されており、軸方向から見て円形の形状である。凹部42iには弾性部材SP3の端部が位置しており、弾性部材SP3が径方向に移動することを凹部42iが規制している。
ここで、可動内側上面42aから入った磁束は、180度向きを替えて可動外側上面43aから出ていくことは先述した通りであり、これにより、可動コア41の内部で磁束がUターンすることになる。そして、可動コア41の噴孔側の面に凹部42iが形成されていることにより、磁束がUターンして向きを変えることが促進される。換言すれば、可動コア41のうち、Uターンする磁束経路に関与しない部分が凹部42iにより取り除かれているので、磁束流れの効率を向上させている。但し、第1固定コア50、第2固定コア51および可動コア41を含む磁気回路全体において、可動コア41の凹部42iに沿った部分が磁気絞りにならない程度の大きさに凹部42iは設定されている。
また、連接面41cに対向する位置に非磁性部材60が配置されている。換言すれば、軸方向において連接面41cが存在する範囲の少なくとも一部と、軸方向において非磁性部材60の内周面のうちが存在する範囲の少なくとも一部とが重複するように、非磁性部材60は配置されている。
また、可動コア41の最外径寸法は、コイル70の内径寸法よりも大きい。換言すれば、可動コア41の外周面つまり可動外側部43の外周面43iは、コイル70の内周面70iよりも径方向外側に位置する。また、可動外側上面43aの一部は、コイル70の内周面70iよりも径方向外側に位置する。
また、コイル70の軸方向長さL1は、可動コア41の軸方向長さよりも短い。可動コア41の軸方向長さとは、軸方向における、可動内側部42の上面から可動外側部43の下面までの距離のことである。さらに本実施形態では、コイル70の軸方向長さL1は、可動内側部42の軸方向長さよりも短い。
コイル70への通電は、電子制御装置(ECU10e)により制御される。燃料噴射弁1およびECU10eは燃料噴射システムを提供し、ECU10eは燃料噴射制御装置を提供する。ECU10eは、以下に説明する昇圧回路11e、波形取得部12e、脈動検出部13eおよび推定部14eを備える。さらにECU10eは、演算処理装置として機能するプロセッサおよび記憶装置としてのメモリを備える。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムにしたがって各種の演算処理を実行する。
ECU10eがコイル70への通電時間を制御することで、弁体30の開弁時間を制御して1回の開弁で噴射される量(燃料噴射量)を制御する。通電時間のうち、弁体30がフルリフト位置に達する前に通電オフさせるほどに短い時間領域をパーシャルリフト噴射領域と呼び、この場合には微少量の噴射が可能となる。なお、通電時間のうち、フルリフト位置に達した以降に通電オフさせる時間領域をフルリフト噴射領域と呼ぶ。
ECU10eは、パーシャルリフト噴射領域で噴射制御するパーシャル制御部(PL制御部15e)と、フルリフト噴射領域で噴射制御するフルリフト制御部(FL制御部16e)とを備える。ECU10eは、要求される燃料噴射量および燃料噴射弁1へ供給される燃料圧力に応じて、いずれの制御部で噴射制御するかを切り替えて通電時間を制御する。さらにECU10eは、1燃焼サイクル中に複数回の噴射を実行するようにコイル70への通電を制御する多段制御部17eを備える。
昇圧回路11eは、車両に搭載されたバッテリの電圧を昇圧してブースト電圧を生成する。ECU10eは、コイル70への通電開始から電流が所定値まで上昇するまでの期間はブースト電圧をコイル70へ印加し、その後、通電終了までの期間はバッテリ電圧をコイル70へ印加するように通電制御する。
波形取得部12eは、コイル70へ流れる電流(コイル電流)または電圧(コイル電圧)を検出するとともに、その検出値の時間変化を表した検出波形を取得する。さて、可動構造体Mの開閉作動に伴い可動コア41が移動している最中には、コイル70に誘起電流が生じる。そして、開閉作動が終了して可動コア41が移動停止したタイミングで、誘起電流に変化が生じるので、検出波形に脈動が出現する。
したがって、閉弁作動が終了して噴射終了するタイミングまたは閉弁作動を開始するタイミングと、検出波形に脈動が出現するタイミングとは相関性が高い。また、開弁作動を開始して噴射開始するタイミングまたは開弁作動を完了してフルリフト位置に達したタイミングと、検出波形に脈動が出現するタイミングとは相関性が高い。
脈動検出部13eは、このような脈動が検出波形に出現するタイミングを検出し、推定部14eは、検出した出現タイミングに基づき、噴射開始または噴射終了のタイミングを推定する。例えば、脈動出現タイミングと噴射開始または噴射終了のタイミングとの相関をECU10eに予め記憶させておく。そして推定部14eは、脈動検出部13eで検出されたタイミングと上記相関との対応関係から、噴射開始または噴射終了のタイミングを推定する。さらに推定部14eは、噴射開始のタイミングおよび噴射終了のタイミングの少なくとも一方に基づき、1回の開弁作動で噴射された燃料の量を推定する。
以上により、本実施形態によれば、可動コア41のうち第1吸引面を含むように移動方向(軸方向)に延びる部分を可動内側部42とし、可動内側部42のうち噴孔側の面には、反噴孔側へ凹む形状の凹部42iが形成されている。そのため、可動コア41の内部で磁束がUターンしやすくなり、磁束流れの効率を向上できる。よって、効率が向上した分だけ吸引面を小さくして可動コア41の軽量化を図ることができ、さらに、凹部42iで削除した分だけ可動コア41を軽量化できるので、可動構造体Mのバウンス抑制を促進できる。
さらに本実施形態によれば、可動コア41は、長軸部材に対して移動方向(軸方向)に相対移動可能な状態で長軸部材に組み付けられている。そのため、閉弁作動する可動構造体Mが着座面23sに当接した際に、可動コア41が弁体30に対して噴孔側へ相対移動するので、振動系の質量を低減でき、弁体30のバウンスを抑制できる。また、開弁作動する可動構造体Mが第1固定コア50に当接した際に、弁体30が可動コア41に対して反噴孔側へ相対移動するので、振動系の質量を低減でき、可動コア41のバウンスを抑制できる。
さらに本実施形態によれば、可動コア41と長軸部材が相対移動可能な状態で構成されている場合に、非作動状態で可動コア41と長軸部材との間に作動方向に対して一定の距離を確保して配置することが可能である。これにより、閉弁後に可動コア41が相対運動した後、長軸部材に再衝突する事で再開弁する事を抑制できる。
さらに本実施形態によれば、段付き形状の可動コア41を備える燃料噴射弁1に、波形取得部12eと、脈動検出部13eと、推定部14eとを備える燃料噴射システムを適用させる。波形取得部12eは、コイル70を流れる電流または電圧の時間変化を表した検出波形を取得する。脈動検出部13eは、可動構造体Mが噴孔23aを開閉することに伴い検出波形に脈動が出現するタイミングを検出する。推定部14eは、脈動検出部13eにより検出されたタイミングに基づき、噴孔23aからの燃料の噴射開始または噴射終了のタイミングを推定する。段付き形状の可動コア41の場合、可動コア41の移動に伴い磁束の流入、流出する両方の吸引面ギャップが同時に変化するため、生じる磁束変化が多くなるので、上記脈動が大きく出現する。よって、段付き形状の可動コア41に開閉タイミング推定装置を適用する本実施形態によれば、開閉タイミングの推定精度を向上できる。
ここで、本実施形態の如く段付き形状の可動コア41を採用する場合、第1吸引面と第2吸引面とが連なる連接面41cと固定コアとの間に位置する燃料の流動性が悪くなる。ここに位置する燃料は、閉弁作動時には第1吸引面および第2吸引面を通過しなければ連接面41cの外方へ燃料が流出できず、開弁作動時には、第1吸引面および第2吸引面を通過しなければ連接面41cの外方から燃料が流入できないからである。このように流動性が悪い燃料中を可動コア41が移動する場合、可動コア41の見かけ上の質量が増大し、その結果、可動構造体Mのバウンスが促進されてしまう。
この点を鑑みた本実施形態では、可動コア41の表面のうち第1吸引面と第2吸引面とが連なる連接面41cには、可動コア41を移動方向に貫通させる貫通孔43hが形成されている。そのため、上述した燃料の流動性を向上でき、可動コア41の見かけ上の質量増大を抑制できるので、可動構造体Mのバウンス抑制を図ることができる。
ここで、本実施形態の如く段付き形状の可動コア41を採用する場合、軸方向に異なる位置に2つの吸引面が存在することに起因して、磁気回路内の磁気抵抗が大きくなる。これにより、コイル70への通電開始から弁体30が開弁作動を開始するまでの応答時間が長くなるとともに、可動コア41の移動に伴い生じる磁気抵抗変化も大きくなる。そのため、可動コア41がフルリフト位置に達する直前に吸引力が急上昇するようになるので、バウンスが促進されてしまう。
この点を鑑みた本実施形態では、通電開始からの初期期間では、昇圧回路11eにより昇圧したブースト電圧をコイル70へ印加するので、フルリフト位置に達する直前での磁気抵抗と開弁開始時の磁気抵抗との差を小さくでき、可動コア41の移動に伴い生じる磁気抵抗変化を小さくできる。よって、フルリフト位置に達する直前に吸引力が急上昇することを抑制できるので、可動構造体Mのバウンス抑制を図ることができる。
ここで、吸引力の上昇速度が遅い場合、吸引力が上昇している時間の通電時間に占める割合が大きくなる。特にパーシャルリフト噴射領域での噴射制御を実行している場合には、吸引力上昇時間が占める上記割合が大きくなるので、通電時間のばらつきに対する噴射量のばらつきが大きくなる。この点を鑑みた本実施形態では、段付き形状の可動コア41を備える燃料噴射弁1に、パーシャルリフト噴射領域での噴射制御を適用させる。これによれば、可動コア41が段付き形状で磁気効率が良いため、吸引力の上昇速度を速くできるので、吸引力上昇時間が占める上記割合を小さくでき、噴射量のばらつきを抑制できる。
また、フルリフトに達しないで閉弁し始めるパーシャルリフト領域では、可動構造体Mの着座までの助走期間を短くできる。よって、本開示の構造に対してパーシャルリフトを活用する事で課題である閉弁バウンスを抑制することができる。またパーシャルリフトは固定コア50にも当接しないため開弁バウンスを根本的に解決できるため本開示の構造のバウンスの課題に対して有効である。
ここで、多段噴射を実行する場合、噴射間のインターバルが短くなるので、噴射終了後に磁気回路の残留磁気を迅速に消散させることが要求される。そして、本実施形態の如く段付き形状の可動コア41を採用する場合、残留磁気を迅速に消散させることができるので、通電時間に対する噴射量が残留磁気の影響で変化することを抑制できる。また、多段噴射する事で1噴射当たりの噴射量を小さく設定できる。これによりパーシャルリフト領域をより高い頻度で使用する事ができるため、開弁バウンス起因の噴射量バラツキを抑制することができる。
ここで、コイル70により生じる磁界強度は、軸方向におけるコイル70の中央部分Wで最も高くなることは図7を用いて先述した通りであるが、径方向においても、コイル70の中央部分で磁界強度が最も高くなる。この点を鑑みた本実施形態では、第2吸引面の少なくとも一部は、コイル70の円筒内周面70iよりも径方向外側に位置する。そのため、第2吸引面の全体が内周面70iよりも径方向内側に位置する場合に比べて、方向におけるコイル70の中央部分に第2吸引面が近づいて配置されることになるので、磁気吸引力を向上できる。また、このように磁気吸引力を向上できる分だけ可動コア41の小型化および軽量化を図ることができ、バウンス抑制を促進できる。
さらに本実施形態によれば、可動コア41の表面のうち第1吸引面と第2吸引面とが連なる連接面41cに対向する位置に、非磁性部材60が配置されている。これによれば、第1吸引面および第2吸引面の一方から可動コア41へ入った磁束が、他方をバイパスして固定コアへ入るといった磁束短絡を抑制することができる。よって、磁気吸引力を向上でき、その分だけ可動コア41の小型化および軽量化を図ることができ、バウンス抑制を促進できる。
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記各実施形態では、長軸部材の縦弾性係数を可動コア41の縦弾性係数よりも大きく設定しているが、長軸部材の縦弾性係数を可動コア41の縦弾性係数よりも小さく設定してもよいし、互いの縦弾性係数を同じに設定してもよい。
上記第1実施形態において、可動コア41よりも大きい縦弾性係数に設定される長軸部材を、連結部材31および弁体30としている。これに対し、連結部材31を除いた弁体30の部分を長軸部材として縦弾性係数を設定してもよいし、弁体30を除いた連結部材31の部分を長軸部材として縦弾性係数を設定してもよい。また、弁体30の縦弾性係数を連結部材31の縦弾性係数より大きくしてもよいし、その逆であってもよい。
図10に示す貫通孔43hは、軸方向に平行に延びる形状であるが、軸方向に対して傾斜して延びる形状であってもよい。また、上記各実施形態に係る非磁性部材60に、磁性を有する金属材料を採用し、磁気絞りとなるように断面積を小さくしてもよい。
上記各実施形態では、ノズルボデー20の着座面23sおよび弁体30のシート面30sを平坦形状にしている。これに対し、着座面23sおよびシート面30sの少なくとも一方を、球面または断面円弧形状にしてもよい。これによれば、シート面30sが着座面23sから受ける面圧が低減するので、弁体30が着座面23sに着座した時の弁体30の弾性変形量を低減でき、可動構造体Mのバウンスを低減できる。
上記各実施形態において、ノズルボデー20の着座面23sおよび弁体30のシート面30sの少なくとも一方に、ノズルボデー20および弁体30に比べて高硬度の硬質膜をコーティングすることが望ましい。硬質膜の具体例としては、炭化水素あるいは炭素の同素体から成る非晶質(アモルファス)のナノレベル薄膜が挙げられる。これによれば、着座面23sとシート面30sとの摩擦に対する潤滑性が向上するので、可動構造体Mのバウンスを低減できる。
上記各実施形態では、点火着火式のガソリンエンジンに本発明を適用させており、燃料噴射弁1により噴射させる燃料にガソリンを適用させている。これに対し、ガソリンよりもエネルギ密度の低い燃料、例えばエタノール、メタノール等のバイオ燃料に適用させてもよい。エネルギ密度が低い燃料を噴射させる場合、ガソリンと同等の燃焼エネルギを得るには噴射量を多くしなければならないので、弁体30のリフト量を大きくせざるをえなくなり、その結果、可動構造体Mのバウンスが懸念されるようになる。しかし、先述したバウンス低減のための構成を備える本発明によればバウンス抑制の効果が発揮されるので、エネルギ密度の低い燃料を対象とした場合に上記効果が好適に発揮される。
上記第1実施形態では、覆い部を構成する覆い部材93及び案内部を構成する対向部材94がボデー本体部21とは別部材により形成されていたが、覆い部及び案内部はボデー本体部21の一部により形成されていてもよい。
上記各実施形態の可動コア41について、可動外側上面43aが可動内側上面42aよりも噴孔側に配置されているのではなく、反噴孔側に配置されていてもよい。
上記各実施形態では、覆い上室S1が設けられていたが、この覆い上室S1を廃止してもよい。例えば、上記第1実施形態において、覆い体90の覆い上面90bと第2固定コア51の第2下面51aとが重ねられ、覆い体90の覆い下面90cとボデー本体部21の上端面とが重ねられた構成としてもよい。
上記第1実施形態では、ボデー本体部21及び第2固定コア51に、覆い体90を収容する本体切欠部N21及び第2切欠部N51が設けられていたが、これら切欠部N21,N51が設けられていなくてもよい。
上記第1実施形態では、覆い部材93、対向部材94及びボデー本体部21の両方が非磁性体により形成されていたが、これら覆い部材93や対向部材94、ボデー本体部21は非磁性体でなく磁性体により形成されていてもよい。ただし、覆い部材93及びボデー本体部21のうち一方は、可動コア41や第2固定コア51に比べて磁性が低い非磁性体等により形成されていることが好ましい。
上記第1実施形態では、覆い体90が覆い部材93及び対向部材94という2つの部材により構成されていたが、覆い部材93だけが覆い体90を構成していてもよい。
上記各実施形態では、可動構造体Mが閉弁方向に移動する場合に、覆い上室S1がダンパ機能を発揮する構成になっていたが、覆い上室S1がダンパ機能を発揮しない構成になっていてもよい。例えば、摺動部材33の摺動面33aについて、その周方向全体を対向部材94に摺動させるのではなく、周方向において部分的に対向部材94に摺動させる構成とする。
上記各実施形態では、固定境界部Qの全体が溶接部96に含まれていたが、溶接部96には、少なくとも固定境界部Qの径方向外側の端部が含まれていればよい。この構成では、溶接部96には、ボデー本体部21の一部及び第2固定コア51の一部が含まれる一方で、覆い部材93は含まれない。すなわち、溶接部96によっては、覆い部材93がボデー本体部21及び第2固定コア51に固定されない。
上記第1実施形態の覆い体90において、覆い部材93及び対向部材94の両方が非磁性体により形成されていたが、対向部材94は磁性体により形成されていてもよい。
上記各実施形態では、固定境界部Qについて、溶接に伴って溶接部96が形成されていたが、溶接部96は形成されていなくてもよい。すなわち、第2固定コア51とボデー本体部21とは溶接されていなくてもよい。
上記各実施形態では、ストッパ55において第1固定コア50よりも噴孔側に突出した部分が、固定コア50,51と可動コア41との間にギャップを確保する凸部になっていたが、凸部は可動構造体Mに設けられていてもよい。例えば、図11に示すように、可動構造体Mにおいて連結部材31が可動コア41よりも反噴孔側に突出しており、この突出部分が凸部になっている構成とする。この構成では、ストッパ55が第1固定コア50よりも噴孔側に突出していない。このため、連結部材31とストッパ55とが当接することで可動構造体Mの移動が規制された場合に、可動コア41から連結部材31が突出した長さ分だけ、固定コア50,51と可動コア41との間にギャップが確保される。
上記各実施形態において、第1吸引面と固定コアとのギャップと、第2吸引面と固定コアとのギャップとを、同じ大きさに設定してもよいし、異なる大きさに設定してもよい。異なる大きさに設定する場合、第1吸引面および第2吸引面のうち、通過する磁束の量が少ない方の吸引面について、他方の吸引面よりもギャップを大きくすることが望ましい。その理由について以下に説明する。
固定コアと吸引面との間に燃料が薄膜状に充満した状態では、リンキング作用により、吸引面が固定コアから引き剥がされにくくなっている。そして、固定コアと吸引面とのギャップを小さくするほどリンキング作用が大きくなり、通電オフに対する閉弁作動開始の応答性が悪くなる。しかし、リンキング作用低減を図るべくギャップを大きくすると、その背反として吸引力が小さくなってしまう。この点を鑑みると、磁束量が少ない方の吸引面については、ギャップを小さくしても吸引力向上に大きくは寄与しないので、ギャップを大きくしてリンキング作用低減を図った方が有効である。
以上により、第1吸引面および第2吸引面のうち、磁束量が少ない方の吸引面について、他方の吸引面よりもギャップを大きくすることが望ましい。なお、上記各実施形態の例では、径方向外側に位置する吸引面(第2吸引面)を通過する磁束量は、径方向内側に位置する吸引面(第1吸引面)を通過する磁束量よりも少ない。よって、第2吸引面のギャップを第1吸引面のギャップよりも大きく設定している。
マルテンサイト組織を有する金属は、オーステナイト組織を有する金属に比べて、縦弾性係数が大きくなりやすい。この点を鑑み、マルテンサイト組織を有する金属を長軸部材に採用し、オーステナイト組織を有する金属を可動コア41に採用することが望ましい。これによれば、長軸部材の縦弾性係数を可動コア41の縦弾性係数より大きく設定することを容易に実現できる。また、長軸部材および可動コア41にステンレス鋼を採用することが望ましい。例えば、マルテンサイト系のステンレス鋼を長軸部材に採用し、オーステナイト系のステンレス鋼を可動コア41に採用することが望ましい。
長軸部材および可動コア41に、クロムCrを含有する鋼材、特にクロムを含有するステンレス鋼を採用することが望ましい。また、可動コア41に採用される鋼材に比べてクロム含有量の少ない鋼材を、長軸部材に採用することが望ましい。これによれば、長軸部材の縦弾性係数を可動コア41の縦弾性係数より大きく設定することを容易に実現できる。例えば、長軸部材のクロム含有量を16%未満とし、可動コア41のクロム含有量を16%以上とすることが望ましい。より好ましくは、長軸部材のクロム含有量を12%以上16%未満とすることである。
長軸部材を可動コア41より高硬度にすることが望ましい。これによれば、長軸部材の縦弾性係数を可動コア41の縦弾性係数より大きく設定することを容易に実現できる。例えば、長軸部材の表面硬さをビッカース硬度600以上とし、可動コア41の表面硬さをビッカース硬度600未満とすることが望ましい。