しかしながら、近年の分散電源システムでは、発電機を電力系統に連系する電力変換器によって当該電力系統に出力される電力が制御されるのが主流である一方で、このような分散電源システムに特許文献1〜3記載の電力制御を適用しようとすると以下の問題が生じる。
上述した電力変換器は、例えばパワー半導体素子により構成される双方向インバータ回路等として実現されるが、当該電力変換器に過大な電力を出力させると、過大な電流によって回路内部の素子が過熱して動作不良となったり焼損したりする。そのため、双方向インバータ回路により実現される電力変換器では、設備仕様の一部としてインバータ容量が規定されており、当該インバータ容量は、電力変換器から電力系統に出力可能な皮相電力の上限に対応する。
言い換えると、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力から求まる皮相電力が電力変換器の容量を超えないようにしながら、発電システムにより電力変換器を介して電力系統に出力される有効電力と無効電力を制御しなくてはならない。そのため、特許文献1〜3記載の電力制御方式に従って電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力が上述したインバータ容量に対して過大であると、過大な電流により電力変換器内部の素子が過熱して動作不良となったり焼損したりする。
以上より、本発明に係る少なくとも一実施形態では、電力変換器の限られた容量の範囲内で、電力系統内の周波数変動や電圧変動を抑制するように電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を適切に制御することが可能な制御装置および制御方法を得ることを目的とする。
(1)本発明に係る幾つかの一実施形態に従い、分散電源からの電力を電力系統に整合させるための電力変換器を制御する制御装置は、
前記分散電源から前記電力系統に供給される有効電力を調節するように前記電力変換器を制御するための有効電力制御部と、
前記分散電源から前記電力系統に供給される無効電力を調節するように前記電力変換器を制御するための無効電力制御部と、
前記電力系統の系統電圧又は系統周波数の少なくとも一方に基づいて、
第1有効電力指令値を前記有効電力制御部に与えるとともに、前記電力変換器が前記第1有効電力指令値に相当する前記有効電力を出力したときに前記電力変換器が出力可能な最大無効電力以下の第1無効電力指令値を前記無効電力制御部に与える第1制御モードと、
第2無効電力指令値を前記無効電力制御部に与えるとともに、前記電力変換器が前記第2無効電力指令値に相当する前記無効電力を出力したときに前記電力変換器が出力可能な最大有効電力以下の第2有効電力指令値を前記有効電力制御部に与える第2制御モードと、
を含む複数のモード間で制御モードを切り替えるように構成された制御モード切替部と、
を備えることを特徴とする。
上記(1)の構成によれば、第1制御モードでは、電力変換器が第1有効電力指令値に相当する有効電力を電力変換器から出力したときに電力変換器が出力可能な最大無効電力以下となるような第1無効電力指令値を決定する。また第2制御モードでは、電力変換器が第2無効電力指令値に相当する無効電力を電力変換器から出力したときに電力変換器が出力可能な最大有効電力以下となるような第2有効電力指令値を決定する。
従って、第1制御モードと第2制御モードのいずれにおいても、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力が電力変換器の容量に対して過大とならないように、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を制御することができる。その上で、上記(1)の構成に係る制御装置は、電力系統の系統電圧又は系統周波数の少なくとも一方に応じて、第1制御モードと第2制御モードとを含む複数のモード間で制御モードを切り替えて実行することができる。以上より、上記(1)の構成によれば、電力変換器の限られた容量の範囲内で電力系統内の周波数変動と電圧変動を可能な限り抑制するように、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を適切に制御することができる。
(2)例示的な一実施形態では、上記(1)の構成において、前記制御モード切替部は、前記電力系統の系統電圧が第1規定範囲内であるか、または、前記電力系統の系統周波数が第2規定範囲内であるか否かに応じて、前記制御モードを切り替えるように構成された、ことを特徴とする。
発電システムと連系する電力系統には電圧変動により定格電圧からの電圧偏差が許容される最大範囲と周波数変動により定格周波数からの周波数偏差が許容される最大範囲とが系統連系規定として規定されていることがある。この場合、電力系統の系統電圧が第1規定範囲内であれば、電圧変動は許容可能であり、電力系統の系統周波数が第2規定範囲内であれば、周波数変動は許容可能である。
従って、上記(2)の構成によれば、電力系統内の周波数変動と電圧変動のいずれが許容可能でないかに応じて、電力変換器の限られた容量の範囲内で、許容可能でない方の変動を抑制するように電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を制御することができる。以上より、上記(2)の構成によれば、系統擾乱の原因に応じて電力系統内の周波数変動や電圧変動を抑制することを目的として、電力変換器の限られた容量の範囲内で、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を一層適切に制御することができる。
(3)例示的な一実施形態では、上記(2)の構成において、前記制御モード切替部は、
前記系統電圧が前記第1規定範囲を逸脱したとき、前記制御装置を前記第2制御モードにて作動させ、前記系統周波数が前記第2規定範囲を逸脱したとき、前記制御装置を前記第1制御モードにて作動させるように構成されたことを特徴とする。
上記(3)の構成によれば、電力系統の電圧変動と周波数変動のうち、電圧変動が許容範囲を逸脱した場合に、上記(1)に規定する第2制御モードに切り替え、周波数変動が許容範囲を逸脱した場合に、上記(1)に規定する第1制御モードに切り替えることが可能となる。その場合、第1制御モードは、電力変換器の限られた容量の中で有効電力を優先的に電力系統に出力させる電力制御に対応するから周波数変動の抑制に効果的である。他方、第2制御モードは、電力変換器の限られた容量の中で無効電力を優先的に電力系統に出力させる電力制御に対応するから電圧変動の抑制に効果的である。
つまり、上記(3)の構成によれば、電力系統内の周波数変動や電圧変動に応じて電力変換器の限られた容量の中で有効電力と無効電力のいずれか一方を優先的に電力系統に出力させることで、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を適切に制御することができる。以上より、上記(3)の構成によれば、電力系統内の周波数変動と電圧変動のいずれが許容可能でないかに応じて、電力変換器の限られた容量の範囲内で、許容可能でない方の変動を抑制するように電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を一層適切に制御することができる。
(4)例示的な一実施形態では、上記(2)または(3)の構成において、前記制御モード切替部は、前記系統電圧が第1規定範囲を逸脱しており、且つ、前記系統周波数が前記第2規定範囲を逸脱しているとき、前記系統電圧の前記第1規定範囲からの逸脱比および前記系統周波数の前記第2規定範囲からの逸脱比の大小関係に基づいて、前記第1制御モードと前記第2制御モードの何れか一方を選択するように構成されたことを特徴とする。
なお、本明細書において、「逸脱比」とは、規定範囲(第1規定範囲又は第2規定範囲)の大きさに対する前記規定範囲からの逸脱量の比を意味する。
上記(4)の構成では、電力系統の電圧変動と周波数変動の両者が共に許容可能でない場合に、系統連系規定が定める許容範囲からの逸脱の程度において、系統電圧および系統周波数のいずれが著しいかに応じて、第1制御モードと第2制御モードの何れか一方を選択することができる。つまり、系統連系規定が定める許容範囲からの逸脱の程度において、系統電圧および系統周波数のいずれが著しいかに応じて、電力変換器の限られた容量の中で有効電力と無効電力のいずれを優先的に電力系統に出力させるかを選択することができる。
以上より、上記(4)の構成によれば、電力系統内の周波数変動および電圧変動のうち影響がより著しい方の変動を抑制するように、電力変換器の限られた容量の範囲内で、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を一層適切に制御することができる。
(5)例示的な一実施形態では、上記(2)〜(4)の構成において、前記制御モード切替部は、前記系統電圧が第1規定範囲を逸脱しており、且つ、前記系統周波数が前記第2規定範囲を逸脱しているとき、前記系統電圧の前記第1規定範囲からの逸脱比および前記系統周波数の前記第2規定範囲からの逸脱比に基づいて決定される比率に応じて前記電力変換器の前記容量を有効電力用の第1容量と無効電力用の第2容量とに按分し、前記有効電力を前記第1容量の範囲内に制限し、前記無効電力を前記第2容量の範囲内に制限するように構成されている。
上記(5)の構成では、電力系統の電圧変動および周波数変動について系統連系規定が定める許容範囲からの逸脱比を評価し、電圧変動および周波数変動のそれぞれについて評価した2つの逸脱比の相対比率を求めている。その上で、上記(5)の構成では、電力変換器から電力系統に最大限出力可能な有効電力の出力量と無効電力の出力量の間における相対比率を上述した逸脱比の相対比率に従って設定している。
以上から、上記(5)の構成によれば、電力系統の電圧変動および周波数変動の両者が系統連系規定により定まる許容範囲から逸脱している場合に、以下のようにして電力変換器から電力系統へと出力される有効電力と無効電力の出力量を制御することができる。すなわち、上記(5)の構成によれば、電圧変動および周波数変動のそれぞれが電力系統の系統擾乱に寄与する寄与率に応じて電圧変動および周波数変動をそれぞれ可能な限り抑制するための有効電力と無効電力の出力量を適切に制御することができる。
(6)例示的な一実施形態では、上記(1)〜(5)の構成において、前記第1制御モードにおける前記最大無効電力、及び、前記第2制御モードにおける前記最大有効電力を算出するためのリミット処理部をさらに備え、
前記リミット処理部は、
前記第1制御モードにおける前記制御装置の作動時、前記電力変換器が前記第1有効電力指令値に相当する前記有効電力を出力したときに前記電力変換器における皮相電力が該電力変換器の容量と一致する値に前記最大無効電力を設定し、
前記第2制御モードにおける前記制御装置の作動時、前記電力変換器が前記第2無効電力指令値に相当する前記無効電力を出力したときに前記電力変換器における前記皮相電力が前記容量と一致する値に前記最大有効電力を設定する
ように構成されたことを特徴とする。
上記(6)の構成によれば、第1制御モードおよび第2制御モードにおいて、上述した皮相電力が電力変換器の容量と一致する値となるように上述した最大無効電力および最大有効電力をそれぞれ設定することで、系統の安定化を図るための有効電力及び無効電力の制御を行いながら、電力変換器の過負荷を確実に防止することができる。
(7)例示的な一実施形態では、上記(6)の構成において、前記分散電源は、各々が風力発電機を備えた一つ以上の風力発電ユニットを含み、
各々の前記風力発電ユニットから風速を示す風速情報を受け取り、少なくとも前記風速情報に基づいて前記風速に応じた最適運転点にて前記風力発電機を制御するための第1制御信号を出力するMPPT(Maximum Power Point Trackinh)制御部と、
前記電力系統の系統周波数を一定に維持するための第2制御信号を出力するガバナ制御部と、
前記第1制御信号と前記第2制御信号を加算して得られる制御信号に基づいて前記第1有効電力指令値を決定し、前記リミット処理部に出力する加算器と、
をさらに備えることを特徴とする。
上記(7)の構成では、MPPT制御部は、風速情報に基づいて風速に応じた最適運転点にて風力発電機を制御するための第1制御信号を出力する。ここで、MPPT制御においては、風速に応じた最適運転点とは、所与の風速の下で風力発電機が出力する有効電力が最大となるように風力発電機を運転するための運転点である。従って、MPPT制御部は、風速情報に基づいて風力発電機からの有効電力が最大となるように風力発電機を制御するための第1制御信号を出力可能である。
また、上記(7)の構成では、ガバナ制御部は、電力系統の系統周波数を一定に維持するための第2制御信号を出力する。ここで、ガバナ制御においては、電力系統の系統周波数が変動するのに応じて、系統周波数を一定に維持するように発電機の回転数またはトルクが適切に制御される。従って、ガバナ制御部は、電力系統の系統周波数が変動するのに応じて、系統周波数を一定に維持するように発電機の回転数またはトルクを制御するための第2制御信号を出力可能である。
以上より、上記(7)の構成では、風速情報に基づいて風力発電機からの有効電力が最大となるように風力発電機を制御するための第1制御信号と系統周波数を一定に維持するように発電機の回転数またはトルクを制御するための第2制御信号を加算した制御信号に基づいて第1有効電力指令値を決定している。その結果、上記(7)の構成では、第1制御モード選択時において、電力系統の系統周波数を安定化させるのに最適な量の有効電力を電力系統へ出力するように電力変換器を制御することができる。
(8)例示的な一実施形態では、上記(6)または(7)の構成において、前記分散電源は、各々が風力発電機を備えた一つ以上の風力発電ユニットを含み、
前記風力発電機の発電端電圧を一定に維持するための前記第2無効電力指令値を決定し、前記リミット処理部に出力するAVR制御部、
をさらに備えることを特徴とする。
上記(8)の構成によれば、AVR制御部は、風力発電機の発電端電圧を一定に維持するための第2無効電力指令値を決定し、リミット処理部に出力する。従って、上記(8)の構成によれば、第2制御モード選択時において、電力系統の系統電圧を安定化させるのに最適な量の無効電力を電力系統へ出力するように電力変換器を制御することができる。
また、上記(6)または(7)の構成おいて、第1無効電力指令値は、電力系統の系統電圧を一定に維持するような値とすることが望ましい。その一方で、風力発電機の発電端電圧は、電力系統の系統電圧よりも電源供給側業者にとって測定が容易であり、系統電圧の測定データを電力系統側から受信するための追加の設備や取り決めも不要である。
そこで、上記(8)の構成では、発電端電圧に基づいて電力変換器から電力系統に出力すべき無効電力の制御を行っている。なお、発電端電圧に基づいて無効電力の制御を行った場合、発電端電圧が一定値に収束してから一定の応答遅延が経過しなければ電力系統の系統電圧の収束が始まらないが、この応答遅延は充分に小さいので、実用上は問題とはならない。従って、上記(8)の構成によれば、電力系統の系統電圧よりも電源供給側業者にとって測定が容易な発電端電圧に基づいて、電力変換器の容量の範囲内となるように、有効電力と無効電力の出力量を実用上問題とならない精度で制御することができる。
(9)例示的な一実施形態では、上記(1)〜(8)の構成において、前記分散電源は、各々が風力発電機を備えた風力発電ユニットを複数含み、複数の前記風力発電ユニットを、少なくとも、1以上の第1ユニットと、前記第1ユニット以外で前記第1ユニットよりも風速が低い1以上の第2ユニットと、に分類するためのユニット分類部をさらに備え、
前記制御モード切替部は、
前記第1ユニットについて、前記電力系統の系統電圧が第1規定範囲内であるとき主制御モードとしての前記第1制御モードにて前記電力変換器の制御を行う一方で、前記系統電圧が前記第1規定範囲を逸脱したときに副制御モードとしての前記第2制御モードにて前記電力変換器の制御を行うとともに、
前記第2ユニットについて、前記電力系統の系統周波数が第2規定範囲内であるとき主制御モードとしての前記第2制御モードにて前記電力変換器の制御を行う一方で、前記系統周波数が前記第2規定範囲を逸脱したときに副制御モードとしての前記第1制御モードにて前記電力変換器の制御を行う
ように構成されることを特徴とする。
上記(1)〜(8)の構成では、分散電源が複数の風力発電ユニットにより構成されている場合であっても、電力系統の系統電圧および系統周波数の少なくとも一方が不安定であるか否かに応じて、全ての風力発電ユニットにおいて一律な制御モード切り替えが行われる。例えば、系統周波数が不安定ならば全ての風力発電ユニットが第1制御モードに切り替わり、系統電圧が不安定ならば全ての風力発電ユニットが第2制御モードに切り替わるようなことが起きる。
しかしながら、複数の風力発電ユニットの各々について風速が異なる場合、風速が高い風力発電ユニットでは発電機の回転数や出力を高く維持できるので、そのような風力発電ユニットからの有効電力の出力量を無効電力よりも優先して積極的に増やすべきである。そこで、上記(9)の構成では、風速が相対的に高い第1ユニットについては、第1制御モードを主制御モードとし、系統電圧安定時には有効電力を優先的に出力させるようにしている。逆に、風速が相対的に低い第2ユニットでは発電機の回転数が低く、発電出力として抽出可能な風力エネルギーが乏しいので、第2ユニットから多くの有効電力を得ることは期待できない。そこで、上記(9)の構成では、第2ユニットについては、電力系統の電圧変動が起きたときに備え、第2制御モードを主制御モードとし、系統周波数安定時は無効電力を優先的に出力させるようにしている。
以上より、上記(9)の構成によれば、個々の風力発電ユニットについては電力変換器の容量の範囲内で電力の出力制御を行いながら、分散電源内の風速分布に応じて、相対的に風速が大きい第1ユニットから成るユニット集合からは可能な限り多くの有効電力を取り出すことができる。また、上記(9)の構成によれば、相対的に風速が小さい第2ユニットから成るユニット集合からは多くの有効電力を得ることが期待できない分、系統電圧の安定化のために無効電力を積極的に出力させるようにすることができる。
(10)例示的な一実施形態では、上記(9)の構成において、前記第1規定範囲からの前記系統電圧の逸脱比と、前記第1規定範囲からの前記系統電圧の逸脱比との大小関係に基づいて、前記第1ユニットのユニット割当て数と、前記第2ユニットのユニット割当て数とを調節するための割当て数決定部をさらに備えることを特徴とする。
上記(10)の構成では、電力系統の電圧変動および周波数変動について系統連系規定が定める許容範囲からの逸脱比を評価し、電圧変動および周波数変動のそれぞれについて評価した2つの逸脱比の相対比率を求めるようにしてもよい。そのようにすることで、上記(10)の構成では、系統安定時に有効電力を優先的に出力する第1ユニットのユニット割当て数と系統安定時に無効電力を優先的に出力する第2ユニットのユニット割当て数との間における相対比率を上述した逸脱比の相対比率に従って設定している。
以上から、上記(10)の構成によれば、電圧変動および周波数変動をそれぞれ可能な限り抑制するために、電圧変動および周波数変動のそれぞれが電力系統の系統擾乱に寄与する寄与率に応じて第1ユニットのユニット割当て数と第2ユニットのユニット割当て数との間における相対比率を適切に調整することができる。従って、上記(10)の構成によれば、複数の風力発電ユニットを含む分散電源全体において、系統電圧変動と系統周波数変動が系統擾乱に寄与する寄与率を考慮して、これらの変動を抑制するのに必要充分な有効電力と無効電力を出力することが可能となる。
(11)例示的な一実施形態では、上記(10)の構成において、前記割当て数決定部は、
前記系統周波数の前記第1規定範囲からの逸脱比に応じて前記第1ユニットの暫定台数を決定し、前記系統電圧の前記第2規定範囲からの逸脱比に応じて前記第2ユニットの暫定台数を決定し、
前記第1ユニットの暫定台数と前記第2ユニットの暫定台数の合計が前記複数の風力発電ユニットの総数以下である場合には、前記第2ユニットの暫定台数を前記第2ユニットの前記ユニット割当て数に設定し、前記複数の風力発電ユニットの前記総数から前記第2ユニットの前記暫定台数を差し引いた台数を前記第1ユニットの前記ユニット割当て数に設定する
ように構成されたことを特徴とする。
上記(9)および(10)の構成において、系統安定時に有効電力を優先的に出力する第1ユニットは、電力系統の周波数安定化に寄与し、系統安定時に無効電力を優先的に出力する第2ユニットは、電力系統の電圧安定化に寄与する。そこで、上記(11)の構成では、系統電圧と系統周波数の異常の程度に応じて第1ユニットと第2ユニットの暫定台数をそれぞれ決定し、第2ユニットの暫定台数を除いた残りの風力発電ユニットの台数の全てを第1ユニットのユニット割当て数に設定する。その結果、上記(11)の構成によれば、主制御モードにて有効電力を優先的に出力する第1ユニットのユニット割当て数を可能な限り多くとることで、可能な限り多くの有効電力を電力系統に供給しながら、第2ユニットを必要台数分だけ確保することができる。
(12)例示的な一実施形態では、上記(9)の構成において、前記割当て数決定部は、
前記系統周波数の前記第1規定範囲からの逸脱比に応じて前記第1ユニットの暫定台数を決定し、前記系統電圧の前記第2規定範囲からの逸脱比に応じて前記第2ユニットの暫定台数を決定し、
前記系統電圧の前記第2規定範囲からの逸脱比が前記系統周波数の前記第1規定範囲からの逸脱比より大きい場合、前記第2ユニットの暫定台数を前記第2ユニットのユニット割当て数に設定し、前記複数の風力発電ユニットの前記総数から前記第2ユニットの前記暫定台数を差し引いた台数を前記第1ユニットの前記ユニット割当て数に設定し、
前記系統電圧の前記第2規定範囲からの逸脱比が前記系統周波数の前記第1規定範囲からの逸脱比以下であるなら、前記第1ユニットの暫定台数を前記第1ユニットのユニット割当て数に設定し、前記複数の風力発電ユニットの前記総数から前記第1ユニットの前記暫定台数を差し引いた台数を前記第2ユニットの前記ユニット割当て数に設定する、
ことを特徴とする。
上記(12)の構成では、系統連系規定が定める許容範囲からの逸脱の程度において、系統電圧および系統周波数のいずれが著しいかに応じて、第1ユニットと第2ユニットのユニット割当て数を以下のように決定する。すなわち、系統周波数の逸脱の程度の方が大きければ、複数の風力発電ユニットの総数のうち、電力系統の周波数安定化に寄与する第1ユニットのユニット割当て数を優先的に確保し、残った風力発電ユニットの台数を第2ユニットのユニット割当て数とする。逆に、系統電圧の逸脱の程度の方が大きければ、複数の風力発電ユニットの総数のうち、電力系統の電圧安定化に寄与する第2ユニットのユニット割当て数を優先的に確保し、残った風力発電ユニットの台数を第1ユニットのユニット割当て数とする。以上より、上記(12)の構成によれば、電力系統内の周波数変動および電圧変動のうち影響がより著しい方の変動を抑制するように、第1ユニットのユニット割当て数と第2ユニットのユニット割当て数を適切に調整することができる。
(13)本発明に幾つかの実施形態に係る分散電源システムは、分散電源と、前記分散電源からの電力を電力系統に整合させるための電力変換器と、前記電力変換器を制御するための上記(1)〜(12)の何れかに記載の制御装置と、を備えることを特徴とする。
上記(13)の分散電源システムが備える制御装置は、上記(1)〜(12)で述べたように、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力が電力変換器の容量に対して過大とならないように、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を制御することができる。以上より、上記(13)の構成によれば、電力系統内の周波数変動と電圧変動を可能な限り抑制することを目的として、系統連系箇所に設けた電力変換器の限られた容量の範囲内で、分散電源から電力系統に出力される有効電力と無効電力を適切に制御可能な分散電源システムを実現することができる。
(14)本発明に幾つかの実施形態に従って、分散電源からの電力を電力系統に整合させるための電力変換器の制御方法は、
前記分散電源から前記電力系統に供給される有効電力を調節するように前記電力変換器を制御するステップと、
前記分散電源から前記電力系統に供給される無効電力を調節するように前記電力変換器を制御するステップと、
前記電力系統の系統電圧又は系統周波数の少なくとも一方に基づいて、前記電力変換器の制御モードを切り替えるステップと、を備え、
前記電力変換器の前記制御モードは、
第1有効電力指令値を前記有効電力制御部に与えるとともに、前記電力変換器が前記第1有効電力指令値に相当する前記有効電力を出力したときに前記電力変換器が出力可能な最大無効電力以下の第1無効電力指令値を前記無効電力制御部に与える第1制御モードと、
第2無効電力指令値を前記無効電力制御部に与えるとともに、前記電力変換器が前記第2無効電力指令値に相当する前記無効電力を出力したときに前記電力変換器が出力可能な最大有効電力以下の第2有効電力指令値を前記有効電力制御部に与える第2制御モードと、
を含む複数のモード間で切り替えられる
ことを特徴とする。
上記(14)の方法において、第1制御モードでは、電力変換器が第1有効電力指令値に相当する有効電力を電力変換器から出力したときに電力変換器が出力可能な最大無効電力以下となるような第1無効電力指令値を決定する。また第2制御モードでは、電力変換器が第2無効電力指令値に相当する無効電力を電力変換器から出力したときに電力変換器が出力可能な最大有効電力以下となるような第2有効電力指令値を決定する。
従って、第1制御モードと第2制御モードのいずれにおいても、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力が電力変換器の容量に対して過大とならないように、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を制御することができる。その上で、上記(14)の方法によれば、電力系統の系統電圧又は系統周波数の少なくとも一方に応じて、第1制御モードと第2制御モードとを含む複数のモード間で制御モードを切り替えて実行することができる。以上より、上記(14)の方法によれば、例えば、電力系統内の周波数変動と電圧変動のいずれがより大きいかに応じて、これらの変動を抑制することを目的として、電力変換器の限られた容量の範囲内で、電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を適切に制御することができる。
以上より、本発明の幾つかの実施形態によれば、電力変換器の限られた容量の範囲内で、電力系統内の周波数変動や電圧変動を抑制するように電力変換器から電力系統に出力される有効電力と無効電力を適切に制御することが可能な制御装置および制御方法を得ることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
以下、最初に、幾つかの実施形態に従って分散電源用電力変換器を制御するための制御装置の構成と共に、当該制御装置を構成要素として含む風力発電ユニットの構成について図1を参照して説明する。続いて、当該制御装置を構成する各部の機能と電力制御動作について図2〜図7を参照しながら説明する。続いて、図1に示す風力発電ユニットを複数台含んで構成される分散電源システムの構成について図8および図9を参照しながら説明し、当該分散電源システムにおいて分散電源用電力変換器を制御するための制御動作について10乃至図12を参照して説明する。
図1は、本発明の幾つかの実施形態に係る風力発電ユニット1と制御装置100を示し、風力発電ユニット1は、風力発電機10と、連系回路部20と、を備えている。連系回路部20は、風力発電機10の発電端電圧を測定する電圧測定器110と、風力発電機10を電力系統40と系統連系させるための電力変換器120と、変圧器21と、を備えている。電力変換器120は、変圧器21を介して電力系統40と電気的に結合されている。また、電圧測定器110は、風力発電機10の発電端電圧を、風力発電ユニット1と電力系統40との間の系統連系点において測定し、電圧測定値を表す信号を以下において後述するAVR制御部150と制御モード切替部210に対して供給する。
図1に示す制御装置100は、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力と無効電力の出力量を制御するために、制御線を介して電力変換器120に接続される。例示的な一実施形態では、電力変換器120は、双方向インバータとして構成されてもよく、当該双方向インバータは、AC/DCコンバータ部と、DC電圧調整部と、DC/ACインバータ部と、から構成されていてもよい。当該双方向インバータにおいてAC/DCコンバータ部は、風力発電機10からの交流電力を直流に変換し、DC電圧調整部は、AC/DCコンバータ部からの直流の電圧を調整し、DC/ACインバータ部は、DC電圧調整部からの直流を交流に変換する。その際、当該双方向インバータに入力される電圧制御信号に従って、DC電圧調整部からDC/ACインバータ部に出力される直流電圧が目標電圧Vrefと一致するように制御されてもよい。また、当該双方向インバータに入力されるPWM制御信号に従って、DC/ACインバータ部から電力系統40に出力される交流の周波数が目標周波数ωrefと一致するように制御されてもよい。
一方、本発明の幾つかの実施形態に係る制御装置100は、風力発電機10を含む分散電源からの電力を電力系統40に整合させるための電力変換器120を制御するための制御装置である。制御装置100は、電力制御部130、リミット処理部140、AVR制御部150、MPPT制御部160、ガバナ制御部170、加算器190および制御モード切替部210を構成要素として含む。以下において後述するように、複数の風力発電ユニット1が電力系統40と連系している場合には、制御装置100は、複数の風力発電ユニット1の各々について個別に設けられていてもよい。その場合、単一の中央制御装置が複数の風力発電ユニット1とは別個に設けられ、当該中央制御装置が複数の風力発電ユニット1によって共有されるようにしてもよい。その場合、複数の風力発電ユニット1の内部にそれぞれ設けられた制御装置100の挙動が当該中央制御装置により一括して制御される。
再び図1を参照すると、電力制御部130は、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力と無効電力の出力量がそれぞれ有効電力指令値Prefと無効電力指令値Qrefに一致するように、電力変換器120を制御する。具体的には、電力制御部130は、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力と無効電力の出力量が所望の出力量となるように電力変換器120から電力系統40に出力される交流の電圧と周波数を制御する。例えば、電力変換器120が上述した双方向インバータである場合、電力制御部130は、以下のような電力制御動作を行う。
すなわち、電力制御部130は、電力変換器120から電力系統40に出力される無効電力の出力量が所望の出力量となるように、電力制御部130からDC電圧調整部に電圧制御信号を与え、DC電圧調整部からDC/ACインバータ部に出力される直流電圧を制御する。また、電力制御部130は、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力の出力量が所望の出力量となるように、電力制御部130からDC/ACインバータ部にPWM制御信号を与え、DC/ACインバータ部から電力系統40に出力される交流の周波数を制御する。
上記機能を実現するため、電力制御部130は、風力発電機10を含む分散電源から電力系統40に供給される有効電力を調節するように電力変換器120を制御するための有効電力制御部131と、風力発電機10を含む分散電源から電力系統40に供給される無効電力を調節するように電力変換器120を制御するための無効電力制御部132と、を含む。
有効電力制御部131は、MPPT制御部160、ガバナ制御部170および加算器190により生成され、リミット処理部140により調整された有効電力指令値Prefを受け取る。そして、有効電力制御部131は、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力が有効電力指令値Prefに一致するように電力変換器120を制御する。無効電力制御部132は、AVR制御部150により生成され、リミット処理部140によって調整された無効電力指令値Qrefを受け取る。そして、無効電力制御部132は、電力変換器120から電力系統40に出力される無効電力が無効電力指令値Qrefに一致するように電力変換器120を制御する。つまり、有効電力指令値Prefおよび無効電力指令値Qrefを受け取った電力制御部130は、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力と無効電力がそれぞれ有効電力指令値Prefおよび無効電力指令値Qrefに一致するように電力変換器120を制御する。
次に、AVR制御部150、MPPT制御部160、ガバナ制御部170および加算器190の機能と動作について詳しく説明する。MPPT制御部160は、各々の風力発電ユニット1から風速を示す風速情報wdを受け取り、少なくとも風速情報wdに基づいて風速に応じた最適運転点にて風力発電機10を制御するための第1制御信号を出力する。風速情報wdは、各々の風力発電ユニット1に作用する風速を示す任意の情報であってもよく、例えば、各々の風力発電ユニット1に設けられた風速情報センサ180により測定された風速測定値や、付図示の回転数計によって計測された風力発電機10の風車ロータの回転数等を用いることができる。MPPT制御部160は、風速情報センサ180から風速情報wdを常時受信してもよい。ここで、MPPT制御部160が行うMPPT制御においては、風速に応じた最適運転点とは、所与の風速の下で風力発電機10が出力する有効電力が最大となるように風力発電機10を運転するための運転点である。従って、MPPT制御部160は、風速情報に基づいて風力発電機10からの有効電力が最大となるように風力発電機10を制御するための第1制御信号を出力可能である。
ガバナ制御部170は、電力系統40の系統周波数を一定に維持するための第2制御信号を出力する。ここで、ガバナ制御部170が行うガバナ制御においては、電力系統の系統周波数が変動するのに応じて、系統周波数を一定に維持するために必要な第1制御信号の補正量を決定し、第2制御信号として出力する。すなわち、ガバナ制御部170は、電力系統の系統周波数が変動するのに応じて、系統周波数を一定に維持するように発電機の回転数またはトルクを制御するための第2制御信号を出力可能である。また、加算器190は、第1制御信号と第2制御信号を加算して得られる制御信号に基づいて第1有効電力指令値P1refを決定し、リミット処理部140に出力する。
以上より、図1に示す制御装置100の構成では、風速情報wdに基づいて風力発電機10からの有効電力が最大となるように風力発電機10を制御するための第1制御信号と系統周波数を一定に維持するための第2制御信号を加算した制御信号に基づいて第1有効電力指令値P1refを決定している。その結果、上記構成では、第1制御モード選択時において、電力系統40の系統周波数を安定化させるのに最適な量の有効電力を電力系統40へ出力するように電力変換器120を制御することができる。
また、AVR制御部150は、風力発電機10の発電端電圧を一定に維持するための第2無効電力指令値Q2refを決定し、リミット処理部140に出力する。従って、上記構成によれば、第2制御モードm2の選択時において、電力系統40の系統電圧を安定化させるのに最適な量の無効電力を電力系統40へ出力するように電力変換器120を制御することができる。また、上記構成おいて、第1無効電力指令値Q1refは、電力系統40の系統電圧を一定に維持するような値とすることが望ましい。
その一方で、風力発電機10の発電端電圧は、電力系統40の系統電圧よりも電源供給側業者にとって測定が容易であり、系統電圧の測定データを電力系統40側から受信するための追加の設備や取り決めも不要である。そこで、AVR制御部150では、発電端電圧に基づいて電力変換器120から電力系統40に出力すべき無効電力の制御を行っている。なお、発電端電圧に基づいて無効電力の制御を行った場合、発電端電圧が一定値に収束してから一定の応答遅延が経過しなければ電力系統40の系統電圧の収束が始まらないが、この応答遅延は充分に小さいので、実用上は問題とはならない。従って、上記構成によれば、電力系統40の系統電圧よりも電源供給側業者にとって測定が容易な発電端電圧に基づいて、電力変換器120の容量の範囲内となるように、有効電力と無効電力の出力量を実用上問題とならない精度で制御することができる。
リミット処理部140による上述した働きにより、有効電力制御部131および無効電力制御部132にそれぞれ出力される有効電力指令値Prefおよび無効電力指令値Qrefは以下のようにして決定される。まず、リミット処理部140は、MPPT制御部160、ガバナ制御部170および加算器190により生成された有効電力指令値P0refを受け取る。具体的には、MPPT制御部160が出力する第1制御信号とガバナ制御部170が出力する第2制御信号を加算器190により加算することで有効電力指令値P0refが生成され、リミット処理部140に出力される。また、リミット処理部140は、AVR制御部150により生成された無効電力指令値Q0refを受け取る。続いて、リミット処理部140は、図3および図4を用いて後述する原理に従って、電力制御部130に与える有効電力指令値P0refおよび無効電力指令値Q0refが所定の上限値以下となるように有効電力指令値P0refおよび無効電力指令値Q0refを調整する。その際、リミット処理部140は、電力変換器120から電力系統40へと出力される有効電力と無効電力が電力変換器120の容量の範囲内に収まるように、有効電力指令値P0refおよび無効電力指令値Q0refを調整し、所定の上限値以下となるようにする。なお、以下の説明において、リミット処理部140による事前調整がされる前の有効電力指令値と無効電力指令値をそれぞれP0refおよびQ0refと表記し、リミット処理部140による事前調整がされた後の有効電力指令値と無効電力指令値をそれぞれPrefおよびQrefと表記することとする。
このように、図1および図2に示す実施形態では、有効電力指令値P0refおよび無効電力指令値Q0refをリミット処理部140によって事前に調整した上で、有効電力制御部131および無効電力制御部132にそれぞれ出力している。それにより、リミット処理部140による事前調整がされていない有効電力指令値Prefおよび無効電力指令値Qrefを有効電力制御部131および無効電力制御部132にそれぞれ出力した場合に、以下のような危険性を回避することができる。すなわち、電力変換器120の容量を超過した電力を電力系統40に出力するように電力制御部130から電力変換器120に指示してしまう結果、電力変換器120を過負荷状態にする危険性を回避することができる。
より具体的には、リミット処理部140は、第1制御モードm1または第2制御モードm2のいずれで動作中であるかに応じて、以下のようにして有効電力指令値Pprefおよび無効電力指令値Qprefを修正し、所定の上限値以下となるようにする。すなわち、リミット処理部140が第1制御モードm1で動作中の場合には、リミット処理部140は、有効電力指令値Prefを有効電力制御部131に与える。この場合、図2に示すように、有効電力指令値Prefは、MPPT制御部160およびガバナ制御部170からの信号を加算器190により合計することにより出力された有効電力指令値P0refを後述するPrated以下となるように調整した値に等しい。同時に、第1制御モードm1で動作中のリミット処理部140は、電力変換器120が有効電力指令値Prefに相当する有効電力を出力したときに電力変換器120が出力可能な最大無効電力Qlimを求める。その上で、図2に示すように、リミット処理部140は、最大無効電力Qlim以下となるように無効電力指令値Qrefを決定し、無効電力制御部132に与える。以上のように、第1制御モードm1は、電力変換器120の限られた容量の中で有効電力を優先的に電力系統40に出力させる電力制御に対応する。
他方、リミット処理部140が第2制御モードm2で動作中の場合には、リミット処理部140は、無効電力指令値Qrefを無効電力制御部132に与える。この場合、図2に示すように、無効電力指令値Qrefは、AVR制御部150により出力された無効電力指令値Q0refを後述するQrated以下となるように調整した値に等しい。同時に、第2制御モードm2で動作中のリミット処理部140は、電力変換器120が無効電力指令値Qrefに相当する無効電力を出力したときに電力変換器120が出力可能な最大有効電力Plimを求める。その上で、図2に示すように、リミット処理部140は、最大有効電力Plim以下となるように有効電力指令値Prefを決定し、有効電力制御部131に与える。つまり、第2制御モードm2は、電力変換器120の限られた容量の中で無効電力を優先的に電力系統40に出力させる電力制御に対応する。
次に、リミット処理部140が上述した最大有効電力Plimおよび最大無効電力Qlimを決定するための具体的手法について、図3を用いてさらに詳しく説明する。図3は、有効電力Pおよび無効電力Qと電力変換器120の容量との間の関係を表し、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力Pの大きさが横軸に対応し、電力変換器120から電力系統40に出力される無効電力Qが縦軸に対応する。つまり、図3に示す2次元座標の座標位置(p,q)は、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力Pおよび無効電力Qがそれぞれpおよびqに等しい状態を表している。
このように、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力Pおよび無効電力Qに対応する座標位置(p,q)で表すと、電力変換器120の容量は、図3に示す円で表される。具体的には、座標位置(p,q)が、図3に示す円内に位置していれば、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力Pおよび無効電力Qは、電力変換器120の容量の範囲内に収まっている。言い換えると、図3に示す円は、電力変換器120から電力系統40に最大限出力可能な皮相電力Sの大きさを表しており、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力Pおよび無効電力Qと、この皮相電力Sとの間には以下の関係が成り立つ。
ただし、上記の式(1)において、θは電力変換器120から電力系統40に出力される電力の力率を表す。つまり、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力Pおよび無効電力Qは、電力変換器120の容量の範囲内に収まるためには、電力変換器120から電力系統40に最大限出力可能な皮相電力Sの大きさをS
ratedとするならば、以下の関係な成り立つ必要がある。
従って、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力Pおよび無効電力Qと電力変換器120の容量との間の図3に示す関係に基づくならば、リミット処理部140は、以下のようにして第1制御モードm1における最大無効電力Qlimを算出することが可能である。すなわち、第1制御モードm1における制御装置100の作動時、電力変換器120が有効電力指令値Prefに相当する有効電力を出力したときに電力変換器120における皮相電力Sが電力変換器120の容量と一致する値に最大無効電力Qlimを設定する。また、有効電力Pおよび無効電力Qと電力変換器120の容量との間の図3に示す関係に基づき、リミット処理部140は、以下のようにして第2制御モードm2における最大有効電力Plimを算出する。すなわち、第2制御モードm2における制御装置100の作動時、電力変換器120が無効電力指令値Qrefに相当する無効電力を出力したときに電力変換器120における皮相電力Sが電力変換器120の容量と一致する値に最大有効電力Plimを設定する。
次に、第1制御モードm1で動作中のリミット処理部140が、電力変換器120の限られた容量の中で有効電力を無効電力よりも優先的に電力系統40に出力させる際の電力制御動作のより詳しい具体例について図4(A)を参照しながら説明する。以下において後述するように、図4(A)に示す実施形態では、リミット処理部140は、電力変換器120の限られた容量の中で有効電力を無効電力よりも優先的に電力系統40に出力させるように有効電力指令値P0refと無効電力指令値Q0refの値を調整する。
第1制御モードm1において、MPPT制御部160が出力する第1制御信号とガバナ制御部170が出力する第2制御信号を加算器190により加算することで有効電力指令値P0refが生成される。そして、この有効電力指令値P0refは、加算器190からリミット処理部140に出力される。すると、第1制御モードm1で動作中のリミット処理部140は、有効電力指令値P0refの値が0≦P0ref≦Pratedの数値範囲内に収まるか否かを判定する。ここで、Pratedとは、図3に示す円の最右部と横軸の交点に対応し、電力変換器120から無効電力を全く出力しなかった場合に電力変換器120から最大限出力可能な有効電力の上限値である。その結果、P0ref>Pratedとなる場合には、Pratedと等しくなるように有効電力指令値P0refの値を調整して有効電力指令値Prefとする。続いて、リミット処理部140は、有効電力指令値Prefの値を第1有効電力指令値Prefとして有効電力制御部131に出力する。
続いて、リミット処理部140は、電力変換器120の限られた容量の中で有効電力を電力系統40に出力した結果、電力変換器120に残存している容量の範囲内で無効電力を電力系統40に出力させるように、無効電力指令値Q0
refの値を調整する。具体的には、リミット処理部140は、電力変換器120が第1有効電力指令値P1
refに相当する有効電力を出力したときに電力変換器120が出力可能な最大無効電力Q
limを求める。例えば、リミット処理部140は、電力変換器120が第1有効電力指令値P1
refに相当する有効電力を出力したときに電力変換器120における皮相電力Sが電力変換器120の容量と一致する値に最大無効電力Q
limを設定する。この場合、最大無効電力Q
limの値は、以下の数式で求めることができる。
その上で、リミット処理部140は、AVR制御部150から受け取った無効電力指令値Q0refを最大無効電力Qlim以下となるように調整することによって、第1無効電力指令値Qrefを決定する。続いて、リミット処理部140は、このようにして決定した無効電力指令値Qrefを第1無効電力指令値Q1refとして無効電力制御部132に出力する。
他方、第2制御モードm2において、AVR制御部150が生成した無効電力指令値Q0refは、AVR制御部150からリミット処理部140に出力される。すると、第2制御モードm2で動作中のリミット処理部140は、無効電力指令値Q0refの値が−Qrated≦Q0ref≦Qratedの数値範囲内に収まるか否かを判定する。ここでの、Qratedとは、電力変換器120から最大限出力可能な皮相電力Sratedに等しく、図3に示す円の最上部と縦軸の交点に対応する。つまり、ここでのQratedとは、電力変換器120から有効電力を全く出力しなかった場合に電力変換器120から最大限出力可能な無効電力の上限値である。その結果、無効電力指令値Q0refの絶対値(無効電力の変動振幅)がSratedよりも大きくなる場合には、無効電力指令値Q0refの絶対値がSrated以下となるように無効電力指令値Q0refの値を調整して無効電力指令値Qrefとする。続いて、リミット処理部140は、無効電力指令値Qrefを第2無効電力指令値Q2refとして無効電力制御部132に出力する。
続いて、リミット処理部140は、電力変換器120の限られた容量の中で無効電力を電力系統40に出力した結果、電力変換器120に残存している容量の範囲内で有効電力を電力系統40に出力させるように、有効電力指令値P0
refの値を調整する。具体的には、リミット処理部140は、電力変換器120が第2無効電力指令値Q2
refに相当する無効電力を出力したときに電力変換器120が出力可能な最大有効電力P
limを求める。例えば、リミット処理部140は、電力変換器120が第2無効電力指令値Q2
refに相当する無効電力を出力したときに電力変換器120における皮相電力Sが電力変換器120の容量と一致する値に最大有効電力P
limを設定する。この場合、最大有効電力P
limの値は、以下の数式で求めることができる。
その上で、リミット処理部140は、加算器190から受け取った有効電力指令値P0refを最大有効電力Plim以下となるように調整することによって、有効電力指令値Prefを決定する。続いて、リミット処理部140は、このようにして決定した有効電力指令値Prefを第2有効電力指令値P2refとして有効電力制御部131に出力する。
再び図1を参照すると、制御装置100が備える制御モード切替部210は、リミット処理部140において実行中の制御モードを電力系統の状況に応じて切り替える役割を有する。つまり、リミット処理部140は、制御モード切替部210の指示に従って、上述した第1制御モードm1と第2制御モードm2を含む複数のモード間で動作を切り替える。より具体的には、制御モード切替部210は、電力系統40の系統電圧又は系統周波数の少なくとも一方に基づいて、リミット処理部140が実行中の制御モードを上述した第1制御モードm1と第2制御モードm2を含む複数のモード間で切り替えるように、リミット処理部140に対してモード切替指示を与える。
以上より、第1制御モードm1と第2制御モードm2のいずれにおいても、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力と無効電力が電力変換器120の容量に対して過大とならないように、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力と無効電力を制御することができる。その上で、制御装置100は、電力系統40の系統電圧又は系統周波数の少なくとも一方に応じて、第1制御モードm1と第2制御モードm2とを含む複数のモード間で制御モードを切り替えて実行することができる。その場合、第1制御モードm1は、電力変換器120の限られた容量の中で有効電力を優先的に電力系統40に出力させる電力制御に対応するから周波数変動の抑制に効果的である。他方、第2制御モードm2は、電力変換器120の限られた容量の中で無効電力を優先的に電力系統40に出力させる電力制御に対応するから電圧変動の抑制に効果的である。従って、上記構成によれば、電力変換器120の限られた容量の範囲内で電力系統40内の周波数変動と電圧変動を可能な限り抑制するように、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力と無効電力を適切に制御することができる。
次に、図5〜図7を参照しながら、制御モード切替部210による制御モードの切り替えと、第1制御モードm1および第2制御モードm2におけるリミット処理部140の動作に関する詳細な実施形態について説明する。そのような実施形態について説明する際の前提として、図1に示すような発電システムと連系する電力系統40には、系統連系規定が定められていることがある。当該系統連系規定では、電圧変動により定格電圧からの電圧偏差が許容される最大範囲と周波数変動により定格周波数からの周波数偏差が許容される最大範囲とがとして規定されている。この場合、電力系統40の系統電圧が第1規定範囲内であれば、電圧変動は許容可能であり、電力系統の系統周波数が第2規定範囲内であれば、周波数変動は許容可能である。
そこで、例示的な一実施形態では、制御装置100において、制御モード切替部210は、電力系統40の系統電圧が第1規定範囲内であるか、または、電力系統40の系統周波数が第2規定範囲内であるか否かに応じて、上述した制御モードを切り替えるように構成される。従って、この実施形態によれば、電力系統40内の周波数変動と電圧変動のいずれが許容可能でないかに応じて、電力変換器120の限られた容量の範囲内で、許容可能でない方の変動を抑制するように電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力と無効電力を制御することができる。以上より、この実施形態によれば、系統擾乱の原因に応じて電力系統40内の周波数変動や電圧変動を抑制することを目的として、電力変換器120の限られた容量の範囲内で、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力と無効電力を一層適切に制御することができる。
また、例示的な一実施形態では、制御モード切替部210は、系統電圧が第1規定範囲を逸脱したとき、制御装置100を第2制御モードm2にて作動させ、系統周波数が第2規定範囲を逸脱したとき、制御装置100を第1制御モードm1にて作動させるように構成されている。その結果、この実施形態によれば、電力系統40の電圧変動と周波数変動のうち、電圧変動が許容範囲を逸脱した場合に、制御モード切替部210は、第1制御モードm1に切り替え、周波数変動が許容範囲を逸脱した場合に、第2制御モードm2に切り替えることが可能となる。
次に、図5〜図7を参照しながら、制御モード切替部210による制御モードの切り替え動作から、切り替えられた制御モードに応じたリミット処理部140による電力指令値決定動作のまで流れを説明する。図5は、電力系統40内における電圧変動が許容範囲を逸脱したか否かを制御モード切替部210が判定するための具体的手法の一例を示す。図5に示すように、制御モード切替部210は、風力発電機10の発電端電圧を時刻tpから現時点までのT秒間の期間にわたって監視し、T秒間の期間に含まれる複数の時刻で計測された発電端電圧の瞬時値について標準偏差Vsdを算出する。この標準偏差Vsdは、電力系統40の系統連系規定で定める定格電圧が発電端電圧の平均値に一致すると仮定して算出され、図5に示すT秒間の期間における風力発電機10の発電端電圧の変動幅の大きさを表している。従って、標準偏差Vsdの値に応じた電圧変動が所定の許容範囲を逸脱していれば、発電端電圧の変動で系統電圧の変動を近似することにより、電力系統40内において系統電圧が第1規定範囲を逸脱したと判断しても実用上差し支えない。何故なら、発電端電圧の変動が電力系統40の系統電圧の変動に反映されるまでには一定の応答遅延が経過しなければならないが、この応答遅延は実用上問題にならない程度に小さいからである。
電力系統40内における周波数変動が許容範囲を逸脱したか否かを制御モード切替部210が判定するための具体的手法もまた、図5に示す実施形態と同様の考え方に沿って実現することができる。すなわち、制御モード切替部210は、電力系統40の系統周波数を過去から現時点までの所定期間にわたって監視し、当該所定期間における複数の時刻で計測された瞬時電圧の標準偏差ωsdを算出する。この標準偏差ωsdは、電力系統40の系統連系規定で定める定格周波数が系統周波数の平均値に一致すると仮定して算出され、上記所定期間における系統周波数の変動幅の大きさを表している。従って、標準偏差ωsdの値に応じた周波数変動が所定の許容範囲を逸脱していれば、電力系統40内において系統周波数が第2規定範囲を逸脱したと判断することが可能である。
図6は、系統電圧が第1規定範囲を逸脱したとき、リミット処理部140を第2制御モードm2にて作動させ、それ以外の場合には、リミット処理部140を第1制御モードm1にて作動させる場合の動作の流れを示すフローチャートである。図6のフローチャートはステップS501から開始し、制御モード切替部210は、図5に示すT秒間の期間に含まれる複数の時刻において風力発電機10の発電端電圧の瞬時値を計測し、これら複数の発電端電圧の瞬時値について標準偏差Vsdを算出する。続いて、処理はステップS502に進み、制御モード切替部210は、標準偏差Vsdが所定の閾値Vsd_ref以下であるか否かを判定する。ステップS502において、Vsd≦Vsd_refであるならば、系統電圧が第1規定範囲内であるとみなし、ステップS503に進み、リミット処理部140を第1制御モードm1で動作開始させる。逆に、ステップS502において、Vsd>Vsd_refであるならば、系統電圧が第1規定範囲を逸脱したとみなして、ステップS506に進み、リミット処理部140を第2制御モードm2で動作開始させる。
ステップS504において、第1制御モードm1で動作中のリミット処理部140は、加算器190から受け取った第1有効電力指令値P1
refの値が0≦P1
ref≦P
ratedの数値範囲内に収まるか否かを判定する。その結果、P1
ref>P
ratedとなる場合には、P1
ref=P
ratedとなるように第1有効電力指令値P1
refの値を修正する。つまり、リミット処理部140は、有効電力制御部131に出力する有効電力指令値P
refを第1有効電力指令値P1
refから以下の式に従って決定する。
続いて、リミット処理部140は、第1有効電力指令値P1
refの値を有効電力指令値P
refとして有効電力制御部131に出力する。
続いて、図6のフローチャートの実行はステップS504に進む。ステップS504では、リミット処理部140は、電力変換器120が第1有効電力指令値P1
refに相当する有効電力を出力したときに電力変換器120における皮相電力Sが電力変換器120の容量と一致する値に最大無効電力Q
limを設定する。この場合、最大無効電力Q
limの値は、以下の数式で求めることができる。
続いて、図6のフローチャートの実行はステップS505に進む。ステップS505では、リミット処理部140は、AVR制御部150から受け取った無効電力指令値Q
refを最大無効電力Q
lim以下となるように調整することによって、第1無効電力指令値Q1
refを決定する。続いて、リミット処理部140は、このようにして決定した第1無効電力指令値Q1
refを無効電力指令値Q
refとして無効電力制御部132に出力する。つまり、リミット処理部140は、無効電力制御部132に出力する第1無効電力指令値Q1
refを最大無効電力Q
limから以下の式に従って決定する。
一方、図6のフローチャートの実行がステップS502からステップS506に進んだ場合、第2制御モードm2で動作開始したリミット処理部140は、AVR制御部150が生成した無効電力指令値Q
refを、AVR制御部150から第2無効電力指令値Q2
refとして受け取る。その上で、リミット処理部140は、第2無効電力指令値Q2
refの値が−Q
rated≦Q2
ref≦Q
ratedの数値範囲内に収まるか否かを判定する。その結果、第2無効電力指令値Q2
refの絶対値(無効電力の変動振幅)がS
ratedよりも大きくなる場合には、第2無効電力指令値Q2
refの絶対値がS
rated以下となるように第2無効電力指令値Q2
refの値を修正する。つまり、リミット処理部140は、無効電力制御部132に出力する無効電力指令値Q
refを第2無効電力指令値Q2
refから以下の式に従って決定する。
続いて、リミット処理部140は、第2無効電力指令値Q2
refを上記のように調整した値を無効電力指令値Q
refとして無効電力制御部132に出力する。
続いて、図6のフローチャートの実行はステップS507に進む。ステップS507では、リミット処理部140は、電力変換器120が第2無効電力指令値Q2
refに相当する無効電力を出力したときに電力変換器120における皮相電力Sが電力変換器120の容量と一致する値に最大有効電力P
limを設定する。この場合、最大有効電力P
limの値は、以下の数式で求めることができる。
続いて、図6のフローチャートの実行はステップS507に進む。ステップS507では、リミット処理部140は、加算器190から受け取った有効電力指令値P
refを最大有効電力P
lim以下となるように調整することによって、第2有効電力指令値P2
refを決定する。続いて、リミット処理部140は、このようにして決定した第2有効電力指令値P2
refを有効電力指令値P
refとして有効電力制御部131に出力する。リミット処理部140は、有効電力制御部131に出力する第2有効電力指令値P2
refを最大有効電力P
limから以下の式に従って決定する。
図7は、系統周波数が第2規定範囲を逸脱したとき、リミット処理部140を第1制御モードm2にて作動させ、それ以外の場合はリミット処理部140を第2制御モードm2にて作動させる場合の動作の流れを示すフローチャートである。図7のフローチャートはステップS601から開始し、制御モード切替部210は、図5に示すT秒間の期間に含まれる複数の時刻において系統周波数の瞬時値を計測し、これら複数の瞬時値について標準偏差fsdを算出する。続いて、処理はステップS602に進み、制御モード切替部210は、標準偏差fsdが所定の閾値fsd_ref以下であるか否かを判定する。ステップS602において、fsd≦fsd_refであるならば、系統周波数が第2規定範囲内であるとみなし、ステップS603に進み、リミット処理部140を第2制御モードm2で動作開始させる。逆に、ステップS602において、fsd>fsd_refであるならば、系統周波数が第2規定範囲を逸脱したとみなして、ステップS606に進み、リミット処理部140を第1制御モードm1で動作開始させる。
続いて、図7のフローチャートの実行がステップS603に進むと、リミット処理部140は、第2制御モードm2の下で電力指令値を決定するために、図6のステップS506〜S508と同様の処理動作を実行する。他方、図7のフローチャートの実行がステップS606に進むと、リミット処理部140は、第1制御モードm1の下で電力指令値を決定するために、図6のステップS503〜S505と同様の処理動作を実行する。
ところで、図6および図7を参照しながら上述した実施形態では、電力系統40の状態として系統電圧および系統周波数のいずれか一方のみを制御モード切替部210が監視し、いずれか一方が許容範囲を逸脱しているか否かに応じて制御モードの切り替えを行っている。これに対し、図8を用いて後述する実施形態では、制御モード切替部210が系統電圧および系統周波数の両者を同時に監視し、系統電圧および系統周波数の両者が同時に許容範囲を逸脱する可能性も考慮に入れて制御モードの切り替えを行うようにしている。その結果、図8に示す実施形態では、系統電圧Vが第1規定範囲を逸脱しており、且つ、系統周波数fが第2規定範囲を逸脱しているような場合でも状況に応じた適切な制御モードに切り替えることが可能となる。
以下、図8のフローチャートに沿って系統電圧変動および系統周波数変動の両者を同時に考慮しながら制御モード切替部210が制御モードを切り替える動作の流れについて説明する。図8のフローチャートはステップS701から開始し、制御モード切替部210は、図7に示すステップS601と同様の方法で、系統周波数の変動幅に対応する系統周波数の標準偏差fsdを算出する。続いて、処理はステップS702に進み、制御モード切替部210は、図6に示すステップS501と同様の方法で、系統電圧の変動幅を近似する発電端電圧の標準偏差Vsdを算出する。
続いて、制御モード切替部210は、図6に示すステップS502と同様にして、標準偏差Vsdを所定の閾値Vsd_refと比較する。さらに、制御モード切替部210は、図7に示すステップS602と同様にして、標準偏差fsdを所定の閾値fsd_refと比較する。その上で、制御モード切替部210は、上述した比較の結果に応じて、第1制御モードm1と第2制御モードm2との間で制御モード切替を行う。例えば、ステップS703において、Vsd≦Vsd_refかつfsd≦fsd_refであると制御モード切替部210が判定したならば、系統電圧と系統周波数が共に許容範囲を逸脱していないケースに該当する。従って、制御モード切替部210は、制御モードを第1制御モードm1または第2制御モードm2のいずれに切り替えてもよい(図8のステップS704)。
また、ステップS705において、Vsd>Vsd_refかつfsd≦fsd_refであると制御モード切替部210が判定したならば、系統電圧のみが許容範囲を逸脱したケースに該当するので、制御モード切替部210は制御モードを第2制御モードm2に切り替える(図8のステップS706)。また、ステップS707において、Vsd≦Vsd_refかつfsd>fsd_refであると制御モード切替部210が判定したならば、系統周波数のみが許容範囲を逸脱したケースに該当するので、制御モード切替部210は制御モードを第1制御モードm1に切り替える(図8のステップS708)。
また、上述した比較の結果、制御モード切替部210が、Vsd>Vsd_refかつfsd>fsd_refであると判定した場合には、処理はステップS709に進み、系統電圧Vが第1規定範囲を逸脱しており、且つ、系統周波数fが第2規定範囲を逸脱している場合の処理を実行する。具体的には、S709において、系統電圧Vについて第1規定範囲の大きさに対する第1規定範囲からの逸脱量の比を系統電圧Vの逸脱比Vsd_puとして算出する。また、S709において、系統周波数fについて第2規定範囲の大きさに対する第2規定範囲からの逸脱量の比を系統周波数fの逸脱比fsd_puとして算出する。
続いて、処理はステップS710に進み、制御モード切替部210は、系統電圧Vの逸脱比Vsd_puと系統周波数fの逸脱比fsd_puを比較して、Vsd_pu>Vsd_puとなるか否かを判定する。そして、Vsd_p>Vsd_pとなるならば、制御モード切替部210は制御モードを第2制御モードm2に切り替え(図8のステップS711)、Vsd_pu≦Vsd_puとなるならば、制御モード切替部210は制御モードを第1制御モードm1に切り替える(図8のステップS712)。
つまり、図8に示すステップS709〜S712では、系統電圧Vおよび系統周波数fのそれぞれについて、規定範囲(第1規定範囲又は第2規定範囲)の大きさに対する規定範囲からの逸脱量の比を逸脱比とするならば、以下のようにして制御モードの切り替えを行っている。すなわち、制御モード切替部210は、系統電圧Vの第1規定範囲からの逸脱比Vsd_puおよび系統周波数fの第2規定範囲からの逸脱比fsd_puの大小関係に基づいて、第1制御モードm1と第2制御モードm2の何れか一方を選択している。
図8を用いて上述した実施形態では、電力系統40の電圧変動と周波数変動の両者が共に許容可能でない場合に、系統連系規定が定める許容範囲からの逸脱の程度において、系統電圧Vおよび系統周波数fのいずれが著しいかに応じて、第1制御モードm1と第2制御モードm2の何れか一方を選択することができる。つまり、系統連系規定が定める許容範囲からの逸脱の程度において、系統電圧Vおよび系統周波数fのいずれが著しいかに応じて、電力変換器120の限られた容量の中で有効電力と無効電力のいずれを優先的に電力系統40に出力させるかを選択することができる。以上より、上記構成によれば、電力系統40内の周波数変動および電圧変動のうち影響がより著しい方の変動を抑制するように、電力変換器120の限られた容量の範囲内で、電力変換器120から電力系統40に出力される有効電力と無効電力を一層適切に制御することができる。
また、図8に示す実施形態において、系統電圧Vが第1規定範囲を逸脱しており、且つ、系統周波数fが第2規定範囲を逸脱していると判断されたことにより、処理がステップS709に進んだ場合、図8に示すステップS710〜S712の代わりに以下の処理手順を実行するようにしてもよい。すなわち、制御モード切替部210は、まず最初に、系統電圧Vの第1規定範囲からの逸脱比Vsd_puおよび系統周波数の第2規定範囲からの逸脱比fsd_puに基づいて決定される比率Vsd_pu/fsd_puを算出する。続いて、制御モード切替部210は、比率Vsd_pu/fsd_puに応じて電力変換器120の容量を有効電力用の第1容量と無効電力用の第2容量とに按分し、有効電力を第1容量の範囲内に制限し、無効電力を前記第2容量の範囲内に制限する。
つまり、この実施形態では、電力系統40の電圧変動および周波数変動について系統連系規定が定める許容範囲からの逸脱比Vsd_puおよびfsd_puを評価し、電圧変動および周波数変動のそれぞれについて評価した2つの逸脱比の相対比率Vsd_pu/fsd_puを求めている。その上で、上記構成では、電力変換器120から電力系統40に最大限出力可能な有効電力の出力量と無効電力の出力量の間における相対比率を上述した逸脱比の相対比率Vsd_pu/fsd_puに従って設定している。以上から、上記構成によれば、電力系統40の電圧変動および周波数変動の両者が系統連系規定により定まる許容範囲から逸脱している場合に、以下のようにして電力変換器120から電力系統40へと出力される有効電力と無効電力の出力量を制御することができる。すなわち、上記構成によれば、電圧変動および周波数変動のそれぞれが電力系統40の系統擾乱に寄与する寄与率に応じて電圧変動および周波数変動をそれぞれ可能な限り抑制するための有効電力と無効電力の出力量を適切に制御することができる。
次に、図9〜図13を参照しながら、本発明のさらに別の実施形態に従って、分散電源用の電力変換器を制御する制御装置200について説明する。図9〜図13に示す実施形態に係る分散電源は、各々が風力発電機10(10a〜10N)と電力変換器120(120a〜120N)を備えた風力発電ユニット1(1a〜1N)を複数(N台)含む。各々の風力発電ユニット1(1a〜1N)の構成は、図9および図10に示す制御装置200と協働する点を除いて図1に示した構成と同様である。一例においては、図9〜図13に示す実施形態に係る分散電源は、所定の地理的エリア内の複数の異なる場所にそれぞれ設置された複数の風力発電ユニット1(1a〜1N)から成るウィンドファームであってもよい。その場合、当該ウィンドファーム内における風速の分布に応じて、複数の風力発電ユニット1(1a〜1N)の各々において観測される風速は異なる。そこで、図9〜図13に示す実施形態では、複数の風力発電ユニット1a〜1Nの間での風速の違いを考慮して各々の風力発電ユニット1(1a〜1N)での制御モードを切り替えるようにしてもよい。
図9を参照すると、制御装置100(100a〜100N)は、複数の風力発電ユニット1(1a〜1N)の各々について個別に設けられていてもよい。その場合、単一の中央制御装置200が複数の風力発電ユニット1(1a〜1N)とは別個に設けられ、中央制御装置200が複数の風力発電ユニット1(1a〜1N)によって共有されるようにしてもよい。その場合、複数の風力発電ユニット1(1a〜1N)の内部にそれぞれ設けられた制御装置100(100a〜100N)の挙動が中央制御装置200により一括して制御される。
中央制御装置200は、制御信号線CLを介して風力発電ユニット1(1a〜1N)から各種の計測信号を受信する。例えば、各々の風力発電ユニット1(1a〜1N)が備える風速情報センサ180(図1を参照)により計測された風速情報は、各々の風力発電ユニット1(1a〜1N)から送信され、中央制御装置200によって受信される。これにより、中央制御装置200は、複数の風力発電ユニット1a〜1Nの間での風速の違いを把握することが可能となる。また、中央制御装置200は、制御信号線CLを介して風力発電ユニット1(1a〜1N)の各々に個別に設けられた制御装置100(100a〜100N)に指令信号を送信する。例えば、中央制御装置200は、複数の風力発電ユニット1a〜1Nがそれぞれ備える制御装置100a〜100Nに対して各々の風力発電ユニット1(1a〜1N)の挙動パターンを規定する指令信号を送信するようにしてもよい。
複数の風力発電ユニット1a〜1Nがそれぞれ備える電力変換器120a〜120Nは、電力線PL1を介して変圧器300と接続され、さらに変圧器300を介して電力系統40と接続されている。また、制御装置200は、計測線PL2を介して電力線PL1から系統電圧と系統周波数を計測するように構成されている。
また、図10は、風力発電ユニット1(1a〜1N)の各々に固有のパワーカーブを示しており、風力発電ユニット1(1a〜1N)の各々が風速に応じて出力可能な有効電力の変化を表す。図10に示すパワーカーブにおいて、横軸は風速に対応し、縦軸は風速に応じて各々の風力発電ユニット1(1a〜1N)から出力可能な有効電力に対応する。図10に示すパワーカーブにおいて、横軸上には特定の閾値θが設定されており、閾値θはユニット分類部240によって調整することが可能である。また、図10に示されるパワーカーブにおいて、風速が閾値θよりも大きい領域52は、風力発電ユニット1(1a〜1N)が受ける風力エネルギーが相対的に大きな作動領域(高風速領域)に対応し、風速が閾値θよりも小さい領域51は、風力発電ユニット1(1a〜1N)が受ける風力エネルギーが相対的に小さな作動領域(低風速領域)に対応する。
そこで、中央制御装置200は、風力発電ユニット1が作動領域52または作動領域51のいずれにおいて運転中であるか(すなわち、風力発電機の運転点が作動領域52または作動領域51のいずれの中にあるか)に応じて風力発電ユニット1を以下のような第1ユニットU1と第2ユニットU2に分類する。第1ユニットU1は、系統電圧安定時には主制御モードとしての第1制御モードm1にて電力変換器120(120a〜120N)の制御を行う一方で、系統電圧不安定時に副制御モードとしての第2制御モードm2にて電力変換器120(120a〜120N)の制御を行う。また、第2ユニットU2は、系統周波数安定時に主制御モードとしての第2制御モードm2にて電力変換器120(120a〜120N)の制御を行う一方で、系統周波数不安定時に副制御モードとしての第1制御モードm1にて電力変換器120(120a〜120N)の制御を行う。
続いて、図11を参照しながら、中央制御装置200の内部構成について説明する。図11には、制御装置200の内部構成の他に、図9に示す制御装置100(100a〜100N)の一部の構成が示されている。中央制御装置200は、後述する系統状態計算部230、割当て数決定部220及びユニット分類部240をさらに備える。また、図11に示す装置構成において、制御モード切替部210(210a〜210N)、リミット処理部140(140a〜140N)および電力制御部130(130a〜130N)は、制御装置100(100a〜100N)の一部である。なお、制御装置100(100a〜100N)は、複数(N台)の風力発電ユニット1a〜1Nの各々について個別に設けられている。ここで、電力制御部130(130a〜130N)は、風力発電ユニット1a〜1Nがそれぞれ備える電力変換器120a〜120Nに対して、電力系統40に出力すべき電力を指令する電力指令値を、制御信号線CL(図8)を介して送信する。
系統状態計算部230は、系統電圧の逸脱比Vsd_puと系統周波数の逸脱比fsd_puを算出するように構成されている。ユニット分類部240は、複数の風力発電ユニット1a〜1Nを、少なくとも、1以上の第1ユニットU1と、第1ユニットU1以外で第1ユニットU1よりも風速が低い1以上の第2ユニットU2と、に分類するように構成されている。また、割当て数決定部220は、第1規定範囲からの系統電圧の逸脱比Vsd_puと、第2規定範囲からの系統周波数の逸脱比fsd_puとの大小関係に基づいて、第1ユニットU1のユニット割当て数と、第2ユニットU2のユニット割当て数とを調節するように構成されている。また、図11を用いて後述するように、割当て数決定部220は、暫定台数決定部221、222およびユニット割当て数調整部223を含んで構成される。
図11に示す制御装置200において、ユニット分類部240は、複数の風力発電ユニット1a〜1Nから風速情報をそれぞれ受信する。また、ユニット分類部240は、割当て数決定部220から第1ユニットU1のユニット割当て数と第2ユニットU2のユニット割当て数とを受信する。その上で、ユニット分類部240は、受信した風速情報に基づいて複数の風力発電ユニット1a〜1Nを第1ユニットU1と第2ユニットU2に分類して分類結果を生成する。その際、ユニット分類部240は、第1ユニットU1の台数が割当て数決定部220から受信した第1ユニットU1のユニット割当て数と等しくなるようにユニット分類を行う。同様に、ユニット分類部240は、第2ユニットU2の台数が割当て数決定部220から受信した第2ユニットU2のユニット割当て数に等しくなるようにユニット分類を行う。
続いて、ユニット分類部240から当該分類結果を受け取った制御モード切替部210(210a〜210N)は、当該分類結果に応じて、リミット処理部140a〜140Nのそれぞれに対して、以下の制御モード切替動作を実行する。まず、第1ユニットU1について、電力系統40の系統電圧Vが第1規定範囲内であるとき主制御モードとしての第1制御モードm1にて電力変換器120(120a〜120N)の制御を行う一方で、系統電圧Vが第1規定範囲を逸脱したときに副制御モードとしての第2制御モードm2にて電力変換器120(120a〜120N)の制御を行う。また、第2ユニットU2について、電力系統40の系統周波数fが第2規定範囲内であるとき主制御モードとしての第2制御モードm2にて電力変換器120(120a〜120N)の制御を行う一方で、系統周波数fが第2規定範囲を逸脱したときに副制御モードとしての第1制御モードm1にて電力変換器120(120a〜120N)の制御を行う。
次に、図10を参照しながら、ユニット分類部240が複数の風力発電ユニット1(1a〜1N)を第1ユニットU1と第2ユニットU2に分類する具体的手法について説明する。ユニット分類部240は、作動領域52において運転中の(すなわち、風力発電機の運転点が作動領域52の中にある)風力発電ユニット1を第1ユニットU1に分類する。逆に、ユニット分類部240は、作動領域51において運転中の(すなわち、風力発電機の運転点が作動領域51の中にある)風力発電ユニット1を第2ユニットU2に分類する。その際、ユニット分類部240は、作動領域51と作動領域52の境界位置に対応する風速の閾値θを調整することによって第1ユニットU1に分類されるユニット数と第2ユニットU2に分類されるユニット数とを調整する。具体的には、ユニット分類部240は、割当て数決定部220から受信したユニット割当て数に従って、以下のようにして閾値θの値を調整する。すなわち、ユニット分類部240は、第1ユニットU1に分類されるユニット数が、割当て数決定部220から受信した第1ユニットU1のユニット割当て数と等しくなり、第2ユニットU1に分類されるユニット数が、割当て数決定部220から受信した第2ユニットU2のユニット割当て数と等しくなるように閾値θの値を調整する。
次に、図12および図13を参照しながら、複数の風力発電ユニット1(1a〜1N)の各々を第1ユニットU1と第2ユニットU2に分類するために制御装置200内において実行される処理手順について説明する。図11のフローチャートは、制御装置200内において複数の風力発電ユニット1(1a〜1N)の各々を第1ユニットU1と第2ユニットU2に分類するために系統状態計算部230、割当て数決定部220及びユニット分類部240によって実行される処理の流れを示す。
図12のフローチャートは、ステップS1101から開始し、系統周波数fを受信した系統状態計算部230は、図7のステップS601と同様にして系統周波数fの標準偏差fsdを求めると共に、図8のステップS709と同様にして系統周波数fの第2規定範囲からの逸脱比fsd_puを求める。続いて、処理はステップS1102に進み、系統電圧Vを受信した系統状態計算部230は、図6のステップS501と同様にして系統電圧Vの標準偏差Vsdを求めると共に、図8のステップS709と同様にして系統電圧Vの第1規定範囲からの逸脱比Vsd_puを求める。
続いて、処理はステップS1103に進み、割当て数決定部220内の暫定台数決定部221は、系統周波数fの第1規定範囲からの逸脱比fsd_puに応じて第1ユニットU1の暫定台数N1_orgを決定する。また、割当て数決定部220内の暫定台数決定部222は、系統電圧Vの第2規定範囲からの逸脱比Vsd_puに応じて第2ユニットU2の暫定台数N2_orgを決定する。その際、割当て数決定部220内の暫定台数決定部221は、図13(A)に示す関係に基づいて逸脱比fsd_puから第1ユニットU1の暫定台数N1_orgを算出する。また、割当て数決定部220内の暫定台数決定部222は、図13(B)に示す関係に基づいて逸脱比Vsd_puから第2ユニットU2の暫定台数N2_orgを算出する。
続いて、処理はステップS1104に進み、割当て数決定部220内のユニット割当て数調整部223は、第1ユニットU1の暫定台数N1_orgと第2ユニットU2の暫定台数N2_orgの合計が風力発電ユニット1(1a〜1N)の総数(N台)以下であるか否かを判定する。そして、第1ユニットU1の暫定台数N1_orgと第2ユニットU2の暫定台数N2_orgの合計がN台以下であればユニット割当て数調整部223の処理はステップS1108に進み、N台より大きければ処理はステップS1105に進む。ステップS1105では、系統電圧Vの第2規定範囲からの逸脱比Vsd_puが系統周波数fの第1規定範囲からの逸脱比fsd_puより大きいか否かがユニット割当て数調整部223により判定される。
逸脱比Vsd_puが逸脱比fsd_puより大きい場合、ユニット割当て数調整部223の処理はステップS1106に進み、ユニット割当て数調整部223は、第2ユニットU2の暫定台数N2_orgを第2ユニットU2のユニット割当て数に設定する。また、ユニット割当て数調整部223は、風力発電ユニット1(1a〜1N)の総数(N台)から第2ユニットU2の暫定台数N2_orgを差し引いた台数を第1ユニットU1のユニット割当て数に設定する。逆に、逸脱比Vsd_puが逸脱比fsd_pu以下である場合、ユニット割当て数調整部223の処理はステップS1107に進み、ユニット割当て数調整部223は、第1ユニットU1の暫定台数N1_orgを第1ユニットU1のユニット割当て数に設定する。また、ユニット割当て数調整部223は、風力発電ユニット1(1a〜1N)の総数(N台)から第1ユニットU1の暫定台数N1_orgを差し引いた台数を第2ユニットU2のユニット割当て数に設定する。
他方、ステップS1104からステップS1108に進んだ場合には、ユニット割当て数調整部223は、第2ユニットU2の暫定台数N2_orgを第2ユニットU2のユニット割当て数に設定し、風力発電ユニット1(1a〜1N)の総数(N台)から第2ユニットU2の暫定台数N2_orgを差し引いた台数を第1ユニットU1のユニット割当て数に設定する。
以上のようにして第1ユニットU1のユニット割当て数と第2ユニットU2のユニット割当て数が割当て数決定部220により決定されると、処理はステップS1109に進み、第1ユニットU1のユニット割当て数と第2ユニットU2のユニット割当て数がユニット分類部240に出力される。ステップS1109では、ユニット分類部240は、第1ユニットU1に分類されるユニット数が、割当て数決定部220から受信した第1ユニットU1のユニット割当て数と等しくなり、第2ユニットU1に分類されるユニット数が、割当て数決定部220から受信した第2ユニットU2のユニット割当て数と等しくなるように図10に示す閾値θの値を調整する。その上で、ユニット分類部240は、図10の作動領域52において運転中の(すなわち、風力発電機の運転点が作動領域52の中にある)風力発電ユニット1を第1ユニットU1に分類する。逆に、ユニット分類部240は、図10の作動領域51において運転中の(すなわち、風力発電機の運転点が作動領域51の中にある)風力発電ユニット1を第2ユニットU2に分類する。
以上のように、図1〜図8に示す実施形態では、分散電源が複数(N台)の風力発電ユニット1(1a〜1N)により構成されている場合であっても、電力系統40の系統電圧Vおよび系統周波数fの少なくとも一方が不安定であるか否かに応じて、全ての風力発電ユニット1a〜1Nにおいて一律な制御モード切り替えが行われる。例えば、系統周波数fが不安定ならば全ての風力発電ユニット1a〜1Nが第1制御モードm1に切り替わり、系統電圧Vが不安定ならば全ての風力発電ユニット1a〜1Nが第2制御モードm2に切り替わるようなことが起きる。
しかしながら、複数の風力発電ユニット1a〜1Nの各々について風速が異なる場合、風速が高い風力発電ユニットでは発電機の回転数や出力を高く維持できるので、そのような風力発電ユニットからの有効電力の出力量を無効電力よりも優先して積極的に増やすべきである。そこで、図9〜図13に示す実施形態では、風速が相対的に高い第1ユニットU1については、第1制御モードm1を主制御モードとし、系統電圧安定時には有効電力を優先的に出力させるようにしている。逆に、風速が相対的に低い第2ユニットU2では発電機の回転数が低く、発電出力として抽出可能な風力エネルギーが乏しいので、第2ユニットU2から多くの有効電力を得ることは期待できない。そこで、図9〜図13に示す実施形態では、第2ユニットU2については、電力系統40の電圧変動が起きたときに備え、第2制御モードm2を主制御モードとし、系統周波数安定時は無効電力を優先的に出力させるようにしている。
以上より、図9〜図13に示す実施形態によれば、個々の風力発電ユニット1については電力変換器120の容量の範囲内で電力の出力制御を行いながら、分散電源内の風速分布に応じて、相対的に風速が大きい第1ユニットU1から成るユニット集合からは可能な限り多くの有効電力を取り出すことができる。また、図9〜図13に示す実施形態によれば、相対的に風速が小さい第2ユニットU2から成るユニット集合からは多くの有効電力を得ることが期待できない分、系統電圧の安定化のために無効電力を積極的に出力させるようにすることができる。
また、系統安定時に有効電力を優先的に出力する第1ユニットU1は、電力系統40の周波数安定化に寄与し、系統安定時に無効電力を優先的に出力する第2ユニットU2は、電力系統40の電圧安定化に寄与する。そこで、図9〜図13に示す実施形態では、系統電圧Vと系統周波数fの異常の程度に応じて第1ユニットU1と第2ユニットU2の暫定台数N1_orgおよびN2_orgをそれぞれ決定し、第2ユニットの暫定台数N2_orgを除いた残りの風力発電ユニットの台数の全てを第1ユニットのユニット割当て数に設定する。その結果、図9〜図13に示す実施形態によれば、主制御モードにて有効電力を優先的に出力する第1ユニットU1のユニット割当て数を可能な限り多くとることで、可能な限り多くの有効電力を電力系統40に供給しながら、第2ユニットU2を必要台数分だけ確保することができる。
また、図9〜図13に示す実施形態では、系統連系規定が定める許容範囲からの逸脱の程度において、系統電圧および系統周波数のいずれが著しいかに応じて、第1ユニットU1と第2ユニットU2のユニット割当て数を以下のように決定する。すなわち、系統周波数fの逸脱の程度の方が大きければ、複数の風力発電ユニット1a〜1Nの総数(N台)のうち、電力系統40の周波数安定化に寄与する第1ユニットU1のユニット割当て数を優先的に確保し、残った風力発電ユニットの台数を第2ユニットU2のユニット割当て数とする。逆に、系統電圧Vの逸脱の程度の方が大きければ、複数の風力発電ユニット1a〜1Nの総数(N台)のうち、電力系統40の電圧安定化に寄与する第2ユニットU2のユニット割当て数を優先的に確保し、残った風力発電ユニットの台数を第1ユニットU1のユニット割当て数とする。以上より、1a〜1Nによれば、電力系統40内の周波数変動および電圧変動のうち影響がより著しい方の変動を抑制するように、第1ユニットU1のユニット割当て数と第2ユニットU2のユニット割当て数を適切に調整することができる。
図9〜図13に示す実施形態では、一変形例として、電力系統40の電圧変動および周波数変動について系統連系規定が定める許容範囲からの逸脱比Vsd_puおよびfsd_puを評価し、電圧変動および周波数変動のそれぞれについて評価した2つの逸脱比の相対比率Vsd_pu/fsd_puを求めるようにしてもよい。その上で、この変形例では、系統安定時に有効電力を優先的に出力する第1ユニットU1のユニット割当て数と系統安定時に無効電力を優先的に出力する第2ユニットU2のユニット割当て数との間における相対比率を上述した逸脱比の相対比率Vsd_pu/fsd_puに従って設定するようにしてもよい。
この変形例によれば、電圧変動および周波数変動をそれぞれ可能な限り抑制するために、電圧変動および周波数変動のそれぞれが電力系統40の系統擾乱に寄与する寄与率に応じて第1ユニットU1のユニット割当て数と第2ユニットU2のユニット割当て数との間における相対比率を適切に調整することができる。従って、この変形例によれば、複数の風力発電ユニット1a〜1Nを含む分散電源全体において、系統電圧変動と系統周波数変動が系統擾乱に寄与する寄与率を考慮して、これらの変動を抑制するのに必要充分な有効電力と無効電力を出力することが可能となる。