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JP7754864B2 - 電力系統安定化システム及び電力系統安定化方法 - Google Patents
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JP7754864B2 - 電力系統安定化システム及び電力系統安定化方法 - Google Patents

電力系統安定化システム及び電力系統安定化方法

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Description

本発明は、電力系統安定化システム及び電力系統安定化方法に関する。
電力系統に関しては、電力系統安定化装置を接続して、想定される故障等の事象に対して事象発生前の系統情報を用いて制御対象(発電側や負荷側)をあらかじめ演算(事前演算)し、事象発生時に事象情報と事前演算結果に基づいた制御を行うことが提案されている。
特許文献1には、同期機よりも再生可能エネルギー電源(インバータ電源)を優先して電制する電力系統安定化システムが提案されている。
すなわち、特許文献1には、複数の発電機に加えて再生可能エネルギー発電装置が導入された電力系統の事故の発生を検知して、事故時の発電機の脱調を防止する電力系統安定化装置についての記載がある。この特許文献1には、再生可能エネルギー発電装置の停止を実施することにより発電機の脱調を防止する技術が記載されている。
特許第6223833号公報
ところで、近年、インバータ電源の拡大に伴って、インバータ電源を系統に接続する際の系統の安定性の低下に対応するため、インバータ電源に電源安定化を具備することが検討されている。
例えば電源安定化を有するインバータ電源の一つとして、スマートインバータがある。このスマートインバータでは、通信機能を具備するとともにFrequency-Watt制御やVolt-Var制御など複数の系統安定化効果のある制御モードが具備されている。これら制御モードの詳細については、後述する実施の形態例で説明する。
この他にも、電圧源として動作することで系統安定化に貢献するグリッドフォーミングインバータと呼ばれるインバータ電源がある。グリッドフォーミングインバータは、制御モードとして、VSG(Virtual Synchronous Genertor)制御、ドループ(Droop)制御、仮想オシレータ(Virtual Oscillator)制御などの複数の制御モードを具備する。
これらのスマートインバータやグリッドフォーミングインバータに対して、従来のインバータ電源は、グリッドフォローイングインバータと称される。
このグリッドフォローイングインバータは、系統の電圧・電流位相に同期することによって有効電力や無効電力を出力することから、系統擾乱時に系統を支える能力が低い。なお、上述のスマートインバータはグリッドフォローイングインバータに定義される。
一方で、グリッドフォーミングインバータは、系統の電圧・電流位相とは独立して出力可能であり、系統擾乱時でも、従来の同期発電機と同じまたは近い特性で系統を支えることができる。
これらのインバータ電源の制御モードを変更することで、接続された電源系統の安定化に貢献するが、従来、特許文献1に記載されたように、故障等の事象に対して制御する際に、インバータ電源の制御モードを変更する制御は行われていなかった。すなわち、従来想定されているスマートインバータによる制御としては、例えば太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電量が大きく変動した際に、その発電装置に接続されたインバータの制御モードを変更して系統安定化を図るものである。したがって、電力系統の故障時にスマートインバータなどのインバータ電源で対処することは行われておらず、系統故障時に十分な安定化処理が行われているとは言えなかった。
本発明の目的は、これらの点に鑑み、系統安定化に貢献する複数の制御方式を持つ電力変換装置が連系する電力系統において、電力系統の状態に応じて効果的な制御方式を決定可能な電力系統安定化システム及び電力系統安定化方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、所定の電力系統を安定化させる電力系統安定化装置であって、電力系統の系統構成データと系統計測データを用いて、電力系統の系統状態を推定する系統状態推定部と、イベントケースを用いて電力系統の系統安定性を計算する系統安定性計算部と、系統安定性計算部の計算結果に基づき系統安定性を評価する系統安定性評価部と、系統安定性評価部での系統安定性の評価結果に基づき、電力系統に接続されたインバータ電源の制御モードを設定する制御モード設定部と、制御モード設定部で設定された制御モードを、インバータ電源に送信する制御モード送信部と、を備える。
本発明によれば、効果的なインバータ電源の制御モードを設定でき、それによって電力系統を安定化させることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施の形態例による電力系統安定化システムの例を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態例による電力系統安定化装置の例を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態例による構成データベースの例を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態例による系統計測データベースの例を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態例によるイベントケースデータベースの例を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態例によるインバータ電源設備情報データベースの例を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態例による系統状態推定結果データベースの例を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態例による系統安定性計算結果データベースの例を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態例による制御モード設定結果データベースの例を示す構成図である。 本発明の第1の実施の形態例による電力系統安定化システムの制御モード決定部の処理例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態例による制御モード設定部の処理例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態例による制御モード決定部における制御モード設定方法の例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態例による電力系統安定装置のインバータ電源の制御モード設定の例を示す図である。 本発明の第1の実施の形態例による表示部の表示例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態例による電力系統安定化システムの例を示す構成図である。 本発明の第2の実施の形態例による電力系統安定化装置の例を示す構成図である。 本発明の第2の実施の形態例による電源制御対象電源データベースの例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態例による系統故障データベースの例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態例による系統安定化計算部の処理例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態例による制御決定部の処理例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態例による電力系統安定化装置の別の例を示す構成図である。 図21の例による出力例を示す図である。
<第1の実施の形態例>
以下、本発明の第1の実施の形態例による電力系統安定化システム及び電力系統安定化方法を、図1~図14を参照して説明する。
[電力系統安定化システムの構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態例による電力系統安定化システムを電力系統に適用した場合の電力系統安定化装置10の全体構成を例示している。
図1の上部は、電力系統安定化装置10のハードウェア構成を示す。
電力系統安定化装置10は、入力部101、表示部102、通信部103、プロセッサ104、メモリ105、プログラムデータベースDB9、及びバス107を備える。
プログラムデータベースDB9には、コンピュータを電力系統安定化装置10として作動させるためのプログラムが格納されている。
これらの各構成要素と次に説明するデータベースDB1~DB8は、バス107を介して接続されている。通信部103は、通信ネットワーク106を介して、電力系統1の計測器や制御端末と通信を行う。
また、バス107には、以下に示すデータベースDB1~DB8が接続されている。これらのデータベースDB1~DB8も、プログラムデータベースDB9に格納されたプログラムを実行することで構成される。
すなわち、電力系統安定化装置10は、系統構成データベースDB1、系統計測データベースDB2、イベントケースデータベースDB3、インバータ電源設備情報データベースDB4、系統状態推定結果データベースDB5、系統安定性計算結果データベースDB6、系統安定性評価結果データベースDB7、及び制御モード設定結果データベースDB8を備える。
入力部101は、例えば、キーボード、マウスなどの操作者が操作する入力機器であり、USB(Universal Serial Bus)経由で、システムへ情報を入力する。
表示部102は、例えば、モニタで構成され、システムの入出力データを画像で表示する。なお、表示部102として、音や振動などの出力を行って、音声出力やアラーム音の出力、アラームオンに連動した振動の出力を行うようにしてもよい。
通信部103は、通信ネットワーク106を介して電力系統1内の他の機器と通信を行う。
プロセッサ104は、プログラムデータベースDB9から取得した計算プログラムを実行して、表示すべき画像データの指示や、各種データベース内のデータの検索等を行う。なお、プロセッサ104は、一つまたは複数の半導体チップとして構成してもよいし、または、計算サーバのようなコンピュータ装置として構成してもよい。
メモリ105は、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Member)を搭載して構成される。例えば、ROMには、コンピュータプログラムが記憶され、RAMには、各処理に必要な計算結果データや画像データや処理プログラム等が一時的に記憶される。
通信ネットワーク106は、例えば広域イーサネットや公衆回線など、システムと電力系統1内の機器とのやり取りを担う。
バス107は、電力系統安定化装置10の各種要素を接続する。そして、バス107を通して各種要素間におけるデータ転送が実行される。
次に、電力系統安定化装置10が備えるデータベースDB1~DB8について説明する。
系統構成データベースDB1には、電力系統の接続構成や、発電機モデル、負荷モデル、負荷の位置、発電機の位置、送電ルート(送電線や変圧器)のパラメータ、母線の位置、ブレーカの位置などが格納される。系統構成としての系統モデルは、機器の接続構成を簡易的に表すバスブランチモデル、機器の物理的な接続構成を表すノードブレーカモデルのいずれかを活用する。また、系統構成には、計測情報から得られたブレーカ情報から生成される系統の接続構成が含まれる。一般的には、トポロジープロセッサによって推定されるものであれば、本実施の形態例では、通信部を経由した状態で前処理されたものとみなされる。
系統計測データベースDB2には、電力系統1の計測情報が格納される。
イベントケースデータベースDB3には、電力系統1で発生しうるイベント情報が格納される。
インバータ電源設備情報データベースDB4には、インバータ電源設備の情報が格納される。
系統状態推定結果データベースDB5には、計測情報と、系統構成データから推定された電力系統の状態が格納される。
系統安定性計算結果データベースDB6には、系統状態推定部21(図2)で作成した系統推定結果とイベントケースデータベースDB3に格納されたイベントケースを用いて、系統安定性の計算結果が格納される。
系統安定性評価結果データベースDB7には、系統安定性評価の結果が格納される。
制御モード設定結果データベースDB8には、各インバータ電源の制御モード設定結果が格納される。
プログラムデータベースDB9には、電力系統安定化装置10の各種実行プログラムが格納される。この中には系統安定性を評価するために必要な数値シミュレーションプログラムも含まれている。具体的には、潮流計算プログラム、過渡安定性計算プログラム、周波数安定性計算プログラム、電圧安定性計算プログラムなどが含まれる。
[電力系統の構成]
次に、図1の下側に示す電力系統1について説明する。
本実施の形態例の電力系統安定化装置10が適用される電力系統1は、狭義には送電系統1Aを意味しており、広義には発電系統も含む概念として示される。
図1の下側に示すように、電力系統1は、発電機2、母線3(3A、3B、3C、3D)、変圧器4(4A、4B)、送電線5(5A、5B)、再生可能エネルギー電源6、及び負荷7などで構成されている。
この図1に示す電力系統1の構成は一例であり、図1に示す各要素以外にも、調相設備やバッテリ、充放電可能な二次電池、電気自動車の蓄電池、フライホイール、調相設備等の電力貯蔵装置のいずれか一つまたは複数の設備を含んで構成してもよい。
電力系統1を構成するこれらの設備や機器は、電力系統1の安定性確保の観点から監視、制御されており、例えば通信ネットワーク106に接続された監視制御装置200からの制御信号により制御及び保護が適宜実行されている。他方、このような監視制御のために、電力系統各所に設置された各種の計測装置(不図示)から、各所の電流、電圧、その他状態信号などの計測データが直接、あるいは通信ネットワーク106を介して間接的に監視制御装置200に取り込まれている。
また、電力系統安定化装置10にも同様にして、電力系統1の各部の計測装置から計測信号が取り込まれている。なおここで、発電機2としては、火力発電機や水力発電機や原子力発電機などの大型電源が含まれる。また、再生可能エネルギー電源6としては、太陽光発電や風力発電といった分散型電源が含まれる。
再生可能エネルギー電源6は、インバータ電源を備えて、電力系統1に出力する電源を生成させる。ここでの再生可能エネルギー電源6が備えるインバータ電源は、スマートインバータやグリッドフォーミングインバータなどが使用される。
このインバータ電源には、通信機能を具備するとともに、Frequency-Watt制御やVolt-Var制御など複数の制御モードが具備されている。複数の制御モードの例については、図6で後述する。
なお、電力系統1を計測する計測装置は、ノード電圧V、ブランチ電流I、力率Φ、有効電力P、無効電力Q、故障様相のいずれか一つまたは複数を計測する装置である。具体的には、計器用変圧器(VT:Voltage Transformer、PT:Potential Transformer)や計器用変流器(CT:Current Transformer)、母線保護リレー(BP:Bus Protection)、送電線保護リレー(LP:Line Protection)、変圧器保護リレー(TP:Transformer Protection)などがある。
これらの計測装置は、データ計測箇所識別IDや計測装置の内蔵タイムスタンプを含んでデータを送信するテレメータ(TM:Telemeter)としての機能を備える。
また、計測装置は、GPS(Global Positioning System)を利用した絶対時刻付きの電力情報(電圧のフェーザ情報)を計測する装置や、位相計測装置(PMU:Phasor Measurement Units)や、他の計測機器であってもよい。
さらに計測装置は、狭義の電力系統1A内にあるように記述しているが、発電機2と変圧器4と計測装置150と負荷7に接続する母線3や線路(送電線)5などに設置されてもよい。
また、計測データは、計測装置にて計測された各データ(系統計測データ)であり、通信ネットワーク106を介して電力系統安定化装置10で受信され、系統計測データベースDB2に格納される。
但し、計測データは、計測装置から直接系統データを受信する代わりに、監視制御装置200に一端集約されてから、通信ネットワーク106を介して系統計測データベースDB2に格納してもよい。あるいは、計測装置と監視制御装置200の両方から通信ネットワーク106を介して電力系統安定化装置10が受信し、系統計測データベースDB2に格納してもよい。
また、系統計測データは、データを識別するための固有番号と、タイムスタンプとを含んでもよい。また、過去の系統計測データは、あらかじめ系統計測データベースDB2が保有していてもよい。
[電力系統安定化装置の処理構成]
図2は、電力系統安定化装置10が行う処理を示す構成図である。
上述したように、電力系統安定化装置10は、系統構成データベースDB1、系統計測データベースDB2、イベントケースデータベースDB3、インバータ電源設備情報データベースDB4、系統状態推定結果データベースDB5、系統安定性計算結果データベースDB6、系統安定性評価結果データベースDB7、制御モード設定結果データベースDB8、及び制御モード決定部20により構成されている。
制御モード決定部20は、系統状態推定部21、系統安定性計算部22、系統安定性評価部23、制御モード設定部24、及び制御モード送信部25を備える。
系統状態推定部21は、系統構成データベースDB1に格納された系統構成情報と、系統計測データベースDB2に格納された系統計測情報とを用いて系統状態を推定する系統状態推定処理を行う。そして、系統状態推定部21は、推定した系統状態を、系統安定性計算部22に送信すると共に、系統状態推定結果データベースDB5に保存させる。
系統安定性計算部22は、系統状態推定部21の系統状態推定結果と、イベントケースデータベースDB3に格納されたイベント情報を用いて対象系統断面における系統安定性を計算する系統安定性計算処理を行う。そして、系統安定性計算部22は、系統安定性計算処理で得た系統安定性を系統安定性評価部23に送信すると共に、系統安定性評価結果データベースDB7に保存させる。
系統安定性評価部23は、系統安定性計算部22の系統安定性計算結果を用いて系統安定性を評価する系統安定性評価処理を行う。そして、系統安定性評価部23は、系統安定性計算結果を制御モード設定部24に送信すると共に、系統安定性評価結果データベースDB7に保存させる。
制御モード設定部24は、インバータ電源設備情報データベースDB4に格納されたインバータ電源の設備情報と、系統安定性評価部23の系統安定性評価結果とを用いて各インバータ電源の制御モードを設定する制御モード設定処理を行う。そして、制御モード設定部24は、制御モードの設定結果を制御モード送信部25に送信すると共に、制御モード設定結果データベースDB8に保存させる。
制御モード送信部25は、制御モード設定部24の制御モード設定結果を、通信ネットワーク106(図1)を介して各インバータ電源に送信する。ここで、送信先のインバータ電源は、再生可能エネルギー電源6(図1)が備えるものである。
[データベース(DB1~DB8)の説明]
ここで、電力系統安定化装置10が保持するデータベースDB1~DB8について説明する。
系統構成データベースDB1には、電力系統1を構成するデータが格納される。
図3は、電力系統安定化装置10の系統構成データベースDB1の一例を示す。
系統構成データベースDB1には、電力系統1内の各母線3(例えば母線3Aと母線3B)を繋ぐ送電線のインピーダンスなどが格納される。このようにデータを格納することにより、発電と消費が決定した際に、電力が流れるルートの予測計算が可能となる。また、系統構成データベースDB1には、送電線の入切状態(SV状態)も格納される。
図4は、電力系統安定化装置10の系統計測データベースDB2の一例を示す。
系統計測データベースDB2には、電力系統の計測情報として、計測された時刻と計測された値が格納されている。例えば、系統計測データベースDB2には、各送電線の有効電力(P)や無効電力(Q)、各母線の電圧(V)などが格納される。このとき格納される値は、直接された計測情報の単位(例:MW)でもよく、あるいは、単位化されたp.u値でもよい。図4の例では、後者でp.u値で格納された例が示されている。
図5は、電力系統安定化装置10のイベントケースデータベースDB3の一例を示す。
イベントケースとは、例えば、送電線の故障などの事象(イベント)を示しており、故障する箇所(送電線Aの受電端など)、故障様相の情報を含む。このようなイベントケースデータベースDB3を保持することにより、無数に存在するイベントを妥当な範囲に絞ることができる。
図6は、電力系統安定化装置10のインバータ電源設備情報データベースDB4の一例を示す。
インバータ電源設備情報データベースDB4には、対象とするインバータ電源の名称、定格出力、設備容量、連係位置(接続される母線)、電圧階級、インバータ種類、制御モードが格納される。
インバータ種類の例としては、例えば、風力(GFM)や太陽光(GFL)がある。また、制御モードの例としては、VSG制御、ドループ制御、仮想オシレータ制御、Volt-Var制御、Volt-Watt制御、Frequency-Watt制御、動的無効電力制御、力率調整、などが含まれる。
これらの情報がインバータ電源設備情報データベースDB4に格納されることにより、シミュレーションを実行した際に、インバータが及ぼす影響についての評価が可能となる。インバータ電源設備情報データベースDB4の情報は、予め取得して格納される。
図7は、電力系統安定化装置10の系統状態推定結果データベースDB5の一例を示す。
系統状態とは、電力系統の各要素(発電機、負荷など)における電圧(V)や位相(δ)や有効電力(P)や無効電力(Q)を示しており、電力系統の各要素がどのような状態で運用されているかを示す。電力系統安定化装置10は、系統状態推定結果データベースDB5に格納されたこれらの状態を基に故障計算を実行する。
電力系統安定化装置10は、例えば、限られた計測情報から電力系統の電圧位相を推定する状態推定と、電力系統に入力や出力される電力から潮流(PとQ)を計算する潮流計算との一つ以上を活用することによって、故障計算を実行する。
なお、電力系統状態は、計測情報から生成してもよく、また将来的な予測情報から生成してもよい。
図8は、電力系統安定化装置10の系統状態推定結果データベースDB5の一例を示す。
系統状態推定結果データベースDB5には、系統状態推定結果である数値シミュレーションの結果として、電源ごとの電圧、位相角、有効電力、無効電力が、時系列データが格納されている。ここでの時系列データは、例えば事故が起きた時刻(0.00)、次の時刻(0.01)、・・・のように示される。
なお、系統状態推定結果データベースDB5は、電源だけでなく、母線や送電線などの時系列データを格納してもよい。また時系列データではなく、時系列データの最大値や平均値を格納してもよい。
図9は、電力系統安定化装置10の制御モード設定結果データベースDB8の一例を示す。
制御モード設定結果データベースDB8には、各インバータ電源に設定される制御モードが格納される。すなわち、制御モード設定結果データベースDB8には、VSG制御、ドループ制御などの、各インバータ電源で設定した制御モードが格納される。制御モード設定結果データベースDB8には、制御モード設定のほかに、制御パラメータなどが格納されるようにしてもよい。
[制御モード決定部の処理]
図10は、電力系統安定化装置10の制御モード決定部20が行う処理を示すフローチャートである。
まず、制御モード決定部20の系統状態推定部21は、系統モデルデータベースDB1と系統構成データベースDB1と系統計測データベースDB2を用いて、系統状態を推定する(ステップS100)。系統状態推定部21により得られた系統状態の推定結果は、系統状態推定結果データベースDB8に保存される。系統状態推定部21は、系統状態の推定計算において、もっともらしい系統の各ノード、ブランチ、発電機、負荷、制御機器の有効電力P、無効電力Q、電圧V、電圧位相角δ、電流I、力率Φを推定する。
次に、制御モード決定部20は、イベントケースデータベースDB3を用いて想定イベント(故障)の選択を行う(ステップS101)。
そして、制御モード決定部20の系統安定性計算部22は、ステップS101で選択された想定故障に基づき系統安定性を計算する(ステップS102)。ここでの系統安定性は、過渡安定性、周波数安定性、電圧安定性などである。これらの系統安定性の計算は、例えば、電力系統安定化装置10に予め実装された安定性解析プログラムを呼び出すことにより行われる。
制御モード決定部20の安定性評価部23は、安定性違反をチェックすることにより安定性評価を行う(ステップS103)。例えば、安定性評価部23は、過渡安定性に関して、同期発電機の内部操作角などを評価指標とし、基準発電機の内部操作角との偏差が閾値を超過した場合に過渡不安定と判定する。
また、安定性評価部23は、電圧安定性に関しては、有効電力を縦軸に、電圧を横軸にとったP-V曲線の安定余裕などを評価指標とし、安定余裕が閾値を超過した場合に電圧不安定と判定する。これらの安定性評価は、例えば、電力系統安定化装置10に予め実装された安定性解析プログラムを呼び出すことによって行われる。
さらに、制御モード決定部20の安定性評価部23は、すべての想定故障(イベント)が選択済みか否かをチェックする(ステップS104)。ステップS104で未選択の想定故障(イベント)がある場合には(ステップS104のNO)、ステップS101の処理へ戻る。
ステップS104で全ての想定故障(イベント)がチェック済みの場合には(ステップS104のYES)、制御モード決定部20の制御モード設定部24は、ステップS103での系統安定性評価結果とインバータ電源設備情報データベースDB4を用いて、インバータ電源の制御モードを設定する(ステップS105)。
ここでのインバータ電源の制御モードの設定方法としては、例えば、各インバータ電源の制御モードに関する組み合わせを作成し、組み合わせ毎に系統安定性に与える影響を計算して、最も系統安定性の改善効果が高い組み合わせを制御モードとして設定する方法がある。なお、制御モードを設定する処理の詳細は、次の図11で後述する。
その後、制御モード決定部20の制御モード送信部25は、ステップS105で設定した制御モードを各インバータ電源6に通信ネットワーク106を介して送信する(ステップS106)。
[制御モード設定部の処理]
図11は、制御モード決定部20の制御モード設定部24が行う処理を示すフローチャートである。
まず、制御モード設定部24は、インバータ電源設備情報データベースDB4からインバータ電源の設備情報を読み込み、制御モード設定の対象となる電源を設定する(ステップS200)。対象となる電源の設定方法としては、系統に接続された全てのインバータ電源を対象としてもよいし、電圧階級や連系位置によって限定してもよい。また、対象電源をグループ化し、グループごとに制御モードを設定してもよい。
そして、制御モード設定部24は、各インバータ電源の制御モードの組み合わせ(パターン)を決定する(ステップS201)。制御モードの組み合わせは、インバータ電源間で制御モードが重複してもよい。また、制御モードの組み合わせとして、全通りの組み合わせを作成してもよいし、インバータ電源の制御モードを限定して組み合わせを作成してもよい。
制御モードの組み合わせが決定されると、制御モード設定部24は、ステップS201で作成した各組み合わせにより系統安定性の計算結果を取得する(ステップS202)。さらに、制御モード設定部24は、ステップS202で得た系統安定性計算の結果の評価を取得する(ステップS203)。
そして、制御モード設定部24は、すべての組み合わせが選択済か否かをチェックする(ステップS204)。ステップS204で未選択の組み合わせがある場合には(ステップS204のNO)、ステップS201の処理へ戻る。
また、ステップS204ですべての組み合わせが選択済である場合(ステップS204のYES)、制御モード設定部24は、各組み合わせの系統安定性評価結果を用いてインバータ電源の制御モードを設定する(ステップS205)。
制御モード設定部24が制御モードとして設定する組み合わせは、例えば、すべてのイベントケースで最も系統安定性の改善数が多い組み合わせでもよいし、特定のイベントケースにおいて改善数が多い組み合わせでもよい。
そして、ステップS205で設定した制御モードは、制御モード送信部25により制御モード設定結果データベースDB8に送信され、格納される。
[制御モード設定部の動作例]
次に、制御モード設定部24におけるインバータ電源の制御モードの設定方法の一例について説明する。
制御モード設定部24は、電源ごとの制御モードを組み合わせたパターンを作成し、各パターン毎の対象系統断面における系統安定性を計算する。そして、制御モード設定部24は、系統安定性の改善度が高いパターンを制御モードとして設定する処理を行う。すなわち、制御モード設定部24では、効果的なインバータ電源の制御モードを選定するための処理が行われる。
図12は、本実施の形態例における制御モード決定部20の制御モード設定方法の一例を示している。上段、中段、下段の図面を用いて、制御モードの設定までの一連の例を示す。
図12の上段は、系統安定性評価部23によるイベントケースごとの系統安定性の判定結果を示す。例えば、図12の上段には、過渡安定性があるか否か、周波数安定性があるか否か、電圧安定性があるか否かなどが示されている。図中の「○」は安定性があり、「×」は安定性がないことを示す。系統安定性評価部23は、これらの安定性を各安定性ごとに設定された閾値を使って判断する。
これにより、それぞれのイベントにおける、重要な安定性指標がわかる。
図12の中段は、電源制御モードの組合せパターンを示す。例えば、パターン1では、電源AはVSG制御、電源Bはドループ制御、電源CはVolt-Watt制御が指定されている。図中のその他の制御は、選択できる他の制御モードである。
このように、指定パターンを設定することで、前述の電制対象の対策テーブルと同様に、制御モードの決定ができるようになる。
図12の下段は、各パターン(図12の中段で選択した組合せパターン)のイベントケースごとの系統安定性評価結果を示す。
パターン1では、イベント1の過渡安定性と電圧安定性が改善している。
パターン2では、イベント2の周波数安定性の改善している。
各パターンの系統評価結果の中から、総改善数が一番大きなパターンが制御モードとして決定される。また、改善数以外にも悪化数を考慮し、「改善数-悪化数」で系統安定性評価結果が設定されるようにしてもよい。この他にも改善数ではなく、安定性限界となる閾値からの余裕度及び違反度などを用いてもよい。
さらに、組み合わせ数を減少するため、例えば、対象とするインバータ電源の電圧階級を特別高圧系統に限定してもよい。また、インバータ電源の連系位置でグループ化し、グループごとに制御モードを決定してもよい。なお、制御モードが異なるインバータ電源がグループ内に含まれる場合、制御モードを効果のある安定性ごとに分類し、制御モードを設定してもよい。
このように、図12の下段で生成される制御モードの組合せと安定性改善の指標を用いることにより、本実施の形態例の系統安定化システム100は、適切な制御モードパターンを決定できる。
なお、安定性の判定を行う際には、安定性の指標及び閾値として、例えば過渡安定性の場合、発電機内部位相角を指標とし、閾値を180度(発電機の脱調現象が生じる発電機内部位相角の大きさ)としてもよい。例えば電圧安定性の場合、系統の総需要(有効電力)を指標とし、閾値を電圧崩壊が生じる限界有効電力としてもよい。例えば、周波数安定性の場合、電源脱落時の周波数変化率を指標とし、閾値をインバータ電源が脱落する周波数変化率としてもよい。
さらに、判定方法として、図12に示す例では、安定性の閾値を用いて可否(「〇」又は「×」)を判定したが、安定性の閾値との差分として数値を用いてもよい。
また、インバータ電源をグループ化する場合、例えば、電気的距離(送電線インピーダンスなど)が近いインバータ電源同士でグループ化してもよいし、地理的に連系位置が近いインバータ電源同士でグループ化してもよい。
また、これらのグループ化要因に加え、インバータ電源の種類(例えば、グリッドフォーミングインバータやグリッドフォローイングインバータ)に分けてグループ化してもよい。
さらに、図12に示す例では、総改善数で判定した。このように総改善数で判定することで、簡単に適切なものを選択できる効果を有する。これに対して、系統安定性を判定する場合に、系統安定性の改善度を示す数値で判定してもよい。改善度を示す安定性の改善度を示す数値で判定して、適切なものを選択することで、安定性が確実に改善されるようになる。
また、対象とするイベントケースや、対象とする系統安定性を任意に限定し、制御モードを設定してもよい。
また、系統安定性の評価結果から、最も安定性が低いイベントを制御対象としてもよい。
さらに、系統故障や電源脱落など、イベントが発生した後に、再度制御モードを更新する設定をしてもよい。これにより、イベント発生後の系統安定化に貢献することができる。
また、制御モード設定部24は、インバータ電源の制御モードの設定に加えて、制御パラメータを設定してもよい。制御パラメータは、例えば、グリッドフォーミングインバータのVSG制御の場合、制御アルゴリズムに組み込まれている疑似慣性数や疑似ダンピング係数などのことである。この他にも、制御パラメータとして、インバータ電源の電流制御系や電圧制御系に含まれるPID(Proportional-Integral-Differential)制御のパラメータなどが該当する。
また、制御パラメータの決定方法として、例えば、制御モードの組合せパターンの中に制御パラメータを加えてもよいし、制御モードを決定した後に、各インバータ電源の制御パラメータを試行錯誤的に決定してもよい。
このように制御パラメータを含めることで、より適切にインバータ電源を制御できるようになり、系統安定化に貢献する。
<電力系統安定化装置10による制御モード設定例>
図13は、電力系統安定化装置10によるインバータ電源の制御モードの設定方法の一例を示している。
図13の上段は、2022/4/1 8:00時点における系統断面を例示している。ここでは、系統安定性評価の結果、過渡安定性が不安定な断面と判定され、過渡安定性に効果が高いVSG制御、Volt-Var制御などが設定されている。
図13の下段は、2022/4/1 12:00時点における系統断面を例示している。ここでは、系統安定性評価の結果、周波数安定性が不安定な断面と判定され、周波数安定性に効果が高いドループ制御、Frequency-Watt制御などが設定されている。
以上のように、電力系統安定化装置10は、電力系統の状態によってインバータ電源の制御モードを適切に設定することができる。
[電力系統安定化装置の表示例]
図14は、表示部102の一例を示している。表示部102には、電力系統の状態、並びに対象電源の制御モードが表示される。
図14では、電力系統の状態は、図13に示す各時刻での状態が図示され、各インバータ電源の制御モードが示されている。また、図14は、対象電源の制御モードを一覧で示している。
本実施の形態例では、表示方法として、計算機システムのモニタ表示を一例としているが、携帯端末や画面表示型のアクセサリを用いてもよい。また、図14の右下に示すように、イベントケース毎の制御を表示してもよい。
このように表示部102に対象電源の制御モードを表示することにより、インバータ電源の制御モードを活用した運用が可能となる。
[第1の実施の形態例による効果]
以上説明したように、本実施の形態例によると、制御モード決定部20は、系統安定性計算結果に基づきインバータ電源の制御モードを決定することから、最も効果的なインバータ電源の制御モードを設定することができる。特に本実施の形態例では、インバータ電源に設定される制御モードは、系統状態に応じて変化し、系統状態をインバータ電源のモード設定で適切に制御できるようになる。
また、インバータ電源は、再生可能エネルギー電源に接続されたインバータ電源であり、再生可能エネルギー電源が備える構成を使って、系統状態を安定化させることができる効果を有する。また、それぞれのインバータ電源に設定可能な制御モードは、図6に示すように予め取得して選択するようにしたので、適切な制御モードの設定が行える。
<第2の実施の形態例>
次に、本発明の第2の実施の形態例による電力系統安定化システム及び電力系統安定化方法を、図15~図20を参照して説明する。第2の実施の形態例を説明する図15~図20において、第1の実施の形態例で説明した図1~図14に対応する箇所には同一符号を付し、重複説明を省略する。
[電力系統安定化システムの構成]
図15は、第2の実施の形態例における電力系統安定化システムを電力系統に適用した場合の電力系統安定化装置10Aの全体構成を例示している。
図15に示す電力系統安定化装置10Aは、新たに電制対象電源データベースDB10、系統故障データベースDB11、制御テーブル作成結果データベースDB12、及び制御対象決定結果データベースDB13を備えている点で、第1の実施の形態例(図1)に示す電力系統安定化装置10と異なる。
電制対象電源データベースDB10には、系統イベント発生時に電源制御(電制)する対象が格納される。
系統故障データベースDB11には、系統故障情報が格納される。この系統故障情報は、計測装置150から通信ネットワーク106を介して受信される。
制御テーブル作成結果データベースDB12には、制御テーブル設定結果が格納される。
制御対象決定結果データベースDB13には、制御対象への指令結果が格納される。
その他の電力系統安定化装置10Aの構成は、図1に示す電力系統安定化装置10と同様に構成する。
[電力系統安定化装置の処理構成]
図16は、電力系統安定化装置10Aの処理の例を示す構成図である。
電力系統安定化装置10Aは、系統安定化計算部30、制御決定部40、電制対象電源データベースDB10、系統故障データベースDB11、制御テーブル作成結果データベースDB12、及び制御対象決定結果データベースDB13を備えている点で、第1の実施の形態例(図2)に示す電力系統安定化装置10と異なる。
また、制御モード設定部24は、制御モード設定結果を系統安定性計算部32に送信する。
系統安定化計算部30は、系統状態推定部31、系統安定性計算部32、制御テーブル作成部33、及び制御テーブル送信部34により構成されている。
系統状態推定部31は、系統構成データベースDB1に格納された系統構成情報と、系統計測データベースDB2に格納された系統計測情報とを用いて系統状態を推定し、その結果を系統安定性計算部32に送信すると共に、系統状態推定結果データベースDB5に格納する。
系統安定性計算部32は、系統状態推定部31の系統状態推定結果と、制御モード設定部24の制御モード設定結果と、イベントケースデータベースDB3に格納されたイベント情報とを用いて系統安定性を計算し、その結果を制御テーブル作成部33に送信すると共に、制御テーブル作成結果データベースDB12に格納する。
制御テーブル作成部33は、系統安定性計算部32の系統安定性計算結果と、電制対象電源データベースDB10の電制対象電源情報を用いて制御テーブルを作成し、制御テーブル送信部34に送信すると共に、制御テーブル作成結果データベースDB12に格納する。
制御テーブル送信部34は、制御テーブル作成部33の制御テーブル作成結果を、制御決定部40に送信する。
制御決定部40は、制御対象決定部41と制御指令部42により構成されている。
制御対象決定部41は、系統故障データベースDB11に格納された系統故障情報と、系統安定化計算部30の制御テーブル送信部34から送信された制御テーブル作成結果とを用いて制御対象となる電源を決定する。そして、制御対象決定部41は、その結果を制御指令部42に送信すると共に、制御対象決定結果データベースDB13に格納する。
制御指令部42は、制御対象決定部41の制御指令結果を、通信ネットワーク106を介して指令対象となる電源に送信する。
[データベースDB10~DB13の説明]
図17は、電制対象電源データベースDB10の一例を示す。
ここでの電制(電源制御)とは、系統の安定性や信頼性を保つために状態を変化させる機器の総称であり、本実施の形態例では、火力機やインバータ電源を示している。電源種類とは、火力機であれば、例えば同期機、あるいは誘導機など、発電所内の具体的な発電機の種別をいう。このようにタイプ分けすることにより、安定化の対策(制御テーブル)を算出する際に、電制対象を絞ることができる。
図18は、系統故障データベースDB11の一例を示す。系統故障データベースDB11には、系統故障データとして、故障箇所、故障様相などのデータが格納されている。
[系統安定化計算部30の処理]
図19は、系統安定化計算部30が行う処理を示すフローチャートである。
まず、系統安定化計算部30の系統状態推定部31は、系統構成データベースDB1と系統構成データベースDB1と系統計測データベースDB2を用いて状態推定し、状態推定結果を系統状態推定結果データベースDB8に保存する(ステップS300)。
そして、系統状態推定部31は、イベントケースデータベースDB3を用いて想定故障を選択する(ステップS301)。さらに、系統状態推定部31は、現在インバータ電源に設定されている制御モードを読み込み、系統安定性の解析条件に反映する(ステップS302)。
その後、系統安定性計算部32は、ステップS301で選択された想定故障に基づき系統安定性計算をする(ステップS303)。ここでの系統安定性は、過渡安定性、周波数安定性、電圧安定性などである。
さらに、制御テーブル作成部33は、ステップS303の系統安定性計算結果を用いて、制御テーブルを作成し、制御テーブル作成結果データベースDB12に保存する(ステップS304)。
そして、制御テーブル作成部33は、すべての想定故障(イベント)が選択済か否かをチェックする(ステップS305)。ステップS305で未選択の想定故障(イベント)がある場合には(ステップS305のNO)、ステップS301の処理へ戻る。
また、ステップS305で全ての想定故障(イベント)が選択済である場合(ステップS305のYES)、制御テーブル送信部34は、ステップS304で作成した制御テーブルを制御決定部40に送信する(ステップS306)。
[制御決定部の処理]
図20は、制御決定部40の処理を示すフローチャートである。
まず、制御決定部40の制御対象決定部41は、系統故障データを受信する(ステップS400)。
そして、制御対象決定部41は、受信した系統故障データベースDB11からの系統故障データと、制御テーブル送信部34から送信された制御テーブルとを用いて制御対象を決定し、制御対象結果データベースDB13に保存する(ステップS401)。
ステップS401で制御対象が決定されると、制御指令部42は、制御対象に対して通信ネットワーク106を介して制御指令を送信する(ステップS402)。
[第2の実施の形態例による効果]
以上説明したように、本実施の形態例によると、系統安定化計算部30は、制御モード決定部20で決定したインバータ電源の制御モードを用いて制御テーブルを作成することから、インバータ電源の系統安定化を考慮した電源制御などが可能となり、電源制御量を低減することができる。
なお、第2の実施の形態例において、制御モード決定部20と系統安定化計算部30は異なる周期で動作してもよい。例えば、系統安定化計算部30は系統状態を取得するごとに比較的短い周期で行い、制御モード決定のための演算は、それよりも長い周期で行うようにして、制御モード決定のための演算の負担を少なくしてもよい。
また、第2の実施の形態例において、制御モード決定部20によって決定されたインバータ電源の制御モード設定を用いて発電機の制御テーブルを作成しているが、その逆でもよい。この場合、制御モード決定部20の制御モード設定部24は、第1の実施の形態例で説明した方法で設定してもよいし、制御テーブル作成部33で最も電源制御量が多くなったイベントケースを対象に制御モードを設定してもよい。
[電力系統安定化装置10Aの別の構成の例]
なお、電力系統安定化装置10Aがインバータ電源の制御モードを設定する際には、需給計画を参照してもよい。
すなわち、図21に示すように、電力系統安定化装置10Aは、需給計画装置50を備えるようしてもよい。
需給計画装置50は、供給計画部51、再生可能エネルギー出力制御部52、及び供給計画データベースDB14を備える。
供給計画部51は、電力系統1についての供給計画(需給計画)を作成し、供給計画データベースDB14に保存する。
再生可能エネルギー出力制御部52は、供給計画部51が作成した供給計画に基づいて、再生可能エネルギー出力としての発電機を制御する。
制御モード決定部20の制御モード設定部24は、この需給計画装置50で作成した再生可能エネルギー出力の制御状態を判断した上で、インバータ電源の制御モードを設定する。
このように需給計画装置50での需給計画を考慮してインバータ電源の制御モードを設定することで、再生可能エネルギー出力に何らかの制御が加わった状態である場合や、天候や風速などに応じて再生可能エネルギー出力に変化があった場合でも、最適な系統状態となるインバータ電源の制御モードの設定ができる。
図22は、需給計画装置50での需給計画を考慮して制御モードを設定する例を示す。
需給計画装置50の供給計画データベースDB14には、再生可能エネルギーである太陽光発電や風力発電の出力計画値が格納されている。
ここで、再生可能エネルギーを得る発電機は、需給計画に基づいて、発電出力を予め制限する運転(デロード(Deload)運転)や出力抑制を行う場合がある。
すなわち、図22に示すように、ある時間帯において、該当する発電機において、出力上限に達して、制限される場合がある。これに対して、図21に示すように、電力系統安定化装置10Aがインバータ電源の制御モードを設定する際に、需給計画を参照してインバータ電源の制御モードを設定することで、デロード運転もしくは出力抑制によって制限された分の上げ代を生かした運転ができる可能性がある。
このように、需給計画装置50での需給計画と連携してインバータ電源の制御モードを設定することで、より詳細な制御モードの設定ができる。すなわち、電力系統安定化装置10Aでは、需給計画に応じて動的にインバータ電源の制御モードが設定され、より適切な電源系統の安定化を図ることができる。
なお、需給計画に応じて動的にインバータ電源の制御モードを設定するのは一例であり、その他の要因で動的にインバータ電源の制御モードを設定してもよい。
<変形例>
なお、ここまで説明した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上述した実施の形態例で説明した構成や処理は、各種変形や変更が可能である。
例えば、電力系統安定化装置10又は10Aとインバータ電源との通信不能時には、それぞれのインバータ電源は事前設定した通信不能時の制御モードで動作してもよいし、最新の制御モードを設定し続けてもよい。
また、系統分断によって配電系統が単独運転する場合、インバータ電源は、電力系統安定化システムで設定された制御モードではなく、単独運転モードを優先としてもよい。
また、上述した実施の形態例では、図1や図15に示す電力系統安定化装置10,10Aは、プロセッサとメモリを備えた演算処理ユニットを備えた構成としたが、その他の演算処理ユニットを使用してもよい。例えば、電力系統安定化装置10,10Aは、プロセッサ104の処理機能の一部又は全部を、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアによって実現してもよい。
また、図1,図2などの各構成図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また、図10,図11,図19,図20に示すフローチャートについても、処理結果が同じであれば、処理順序を変更したり、複数の処理を同時に実行したりしてもよい。
さらに、プログラムデータベースDB9は、図10,図11,図19,図20などのフローチャートで説明した処理を実行するプログラムを実装する必要があるが、そのプログラムについては、プログラムを格納するメモリに用意する他に、外部のメモリ、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置いて、電力系統安定化装置10又は10Aに転送してもよい。
1,1A…電力系統、2…発電機、3,3A,3B…母線、4,4A,4B…変圧器、5…送電線、6…インバータ電源(再生可能エネルギー電源)、7…負荷、10,10A…電力系統安定化装置、20…制御モード決定部、21…系統状態推定部、22…系統安定性計算部、23…系統安定性評価部、24…制御モード決定部、25…制御モード送信部、30…系統安定化計算部、31…系統状態推定部、32…系統安定性計算部、33…制御テーブル作成部、34…制御テーブル送信部、40…制御決定部、41…制御対象決定部、42…制御指令部、50…需給計画装置、51…供給計画部、52…再生可能エネルギー出力制御部、100…系統安定化システム、101…入力部、102…表示部、103…通信部、104…プロセッサ、105…メモリ、106…通信ネットワーク、107…バス、150…計測装置、200…監視制御装置、204…制御モード設定部、205…制御モード送信部、DB1…系統構成データベース、DB2…系統計測データベース、DB3…イベントケースデータベース、DB4…インバータ電源設備情報データベース、DB5…系統状態推定結果データベース、DB6…系統安定性計算結果データベース、DB7…系統安定性評価結果データベース、DB8…制御モード設定結果データベース、DB9…プログラムデータベース、DB10…電制対象電源データベース、DB11…系統故障データベース、DB12…制御テーブル作成結果データベース、DB13…制御対象決定結果データベース、DB14…供給計画データベース

Claims (10)

  1. 所定の電力系統を安定化させる電力系統安定化装置であって、
    前記電力系統の系統構成データと系統計測データを用いて、前記電力系統の系統状態を推定する系統状態推定部と、
    イベントケースを用いて前記電力系統の系統安定性を計算する系統安定性計算部と、
    前記系統安定性計算部の計算結果に基づき系統安定性を評価する系統安定性評価部と、
    前記系統安定性評価部での系統安定性の評価結果に基づき、前記電力系統に接続されたインバータ電源の制御モードを設定する制御モード設定部と、
    前記制御モード設定部で設定された制御モードを、前記インバータ電源に送信する制御モード送信部と、を備える
    電力系統安定化システム。
  2. 該制御モード設定部は、再生可能エネルギー電源に接続されたインバータ電源を対象とする
    請求項1に記載の電力系統安定化システム。
  3. 前記インバータ電源は、複数の制御モードの設定が可能であり、前記制御モード設定部は、前記電力系統に接続された前記インバータ電源で設定可能な制御モードを取得する
    請求項1に記載の電力系統安定化システム。
  4. 前記制御モード設定部は、対象とする電力系統状態に応じて動的に制御モードを変更させる
    請求項1に記載の電力系統安定化システム。
  5. 前記制御モード設定部は、対象となるインバータ電源の制御モードの組み合わせの中から系統安定性の改善数が最も多い組み合わせを制御モードとして設定する
    請求項1に記載の電力系統安定化システム。
  6. 前記制御モード設定部は、対象となるインバータ電源の制御モードの組み合わせの中から、電力系統の改善度が最も高い組み合わせを制御モードとして設定する
    請求項1に記載の電力系統安定化システム。
  7. 前記制御モード設定部で設定する制御モードには、制御パラメータが含まれている
    請求項1に記載の電力系統安定化システム。
  8. さらに、制御対象のインバータ電源のデータと系統安定性の計算結果を用いて制御テーブルを作成する系統安定化計算部と、
    系統故障データを用いて制御対象のインバータ電源を決定して制御する制御決定部を備える
    請求項1に記載の電力系統安定化システム。
  9. 前記系統安定化計算部と前記制御決定部とは、異なる周期で動作する
    請求項8に記載の電力系統安定化システム。
  10. コンピュータによる演算で、所定の電力系統を安定化させる処理を実行する電力系統安定化方法であり、
    前記コンピュータは、
    前記電力系統の系統構成データと系統計測データを用いて、前記電力系統の系統状態を推定する系統状態推定処理と、
    イベントケースを用いて前記電力系統の系統安定性を計算する系統安定性計算処理と、
    前記系統安定性計算処理による計算結果に基づき系統安定性を評価する系統安定性評価処理と、
    前記系統安定性評価処理での系統安定性の評価結果に基づき、前記電力系統に接続されたインバータ電源の制御モードを設定する制御モード設定処理と、
    前記制御モード設定処理により設定された制御モードを、前記インバータ電源に送信する制御モード送信処理と、を含む
    電力系統安定化方法。
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