図面を参照して実施例の電気自動車を説明する。図1に、実施例の電気自動車2の電気系統のブロック図を示す。本実施例の電気自動車2は、エンジン61の動力を利用して走行したり、メインバッテリ4の電力を利用して走行したりするハイブリッド車である。メインバッテリ4の電力を利用して走行する場合、電気自動車2は、メインバッテリ4から供給される電力により第2モータ8を駆動し、第2モータ8の動力によって駆動輪(図示せず)を回転させる。エンジン61を利用して走行する場合には、電気自動車2は、第1モータ6をセルモータとして使用しエンジン61を始動させる。
そして、電気自動車2は、動力分割機構62によって、エンジン61が発生させた動力の一部を駆動輪に伝達する一方で、その残りの動力を第1モータ6に伝達させて第1モータ6に発電させる。第1モータ6で発電した電力は、第2モータ8に供給して駆動輪の回転に利用したり、メインバッテリ4に充電したりすることもできる。
尚、エンジン61を利用して走行している際に、さらにメインバッテリ4からも第2モータ8に電力を供給して、駆動輪を回転させることも可能である。また、メインバッテリ4から電力を供給することなく、第1モータ6で発電した電力だけで第2モータ8を駆動して走行することも可能である(バッテリレス走行)。
メインバッテリ4は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池である。本実施例では、メインバッテリ4は、所定の高電圧(例えば、約200V(ボルト))を出力する。電気自動車2は、エンジンの動力で第1モータ6を発電し、発電したその電力をメインバッテリ4に充電する。走行中の電気自動車2が減速する場合には、第2モータ8で回生発電し、その回生電力をメインバッテリ4に充電する。メインバッテリ4には、メインバッテリ4の電圧VBを測定する電圧センサ4aが取り付けられている。メインバッテリ4は、メイン電源配線10を介して、電力制御ユニット(PCU)12に接続されている。メイン電源配線10は、メインバッテリ4の正極端子に接続された正極線10aと、メインバッテリ4の負極端子に接続された負極線10bを備えている。
PCU12は、メインバッテリ4と、第1モータ6及び第2モータ8との間に設けられている。PCU12は、平滑コンデンサ14、コンバータ16及びインバータ18を備えている。平滑コンデンサ14は、メイン電源配線10の電圧を平滑化する。コンバータ16は、メインバッテリ4から供給される電力の電圧を、必要に応じて第1モータ6や第2モータ8の駆動に適した電圧まで昇圧する。加えてコンバータ16は、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力の電圧を、メインバッテリ4への充電に適した電圧まで降圧させたりもする。本実施例では、第1モータ6や第2モータ8の駆動に用いる電圧は約600Vである。インバータ18は、メインバッテリ4から供給される直流電力を第1モータ6や第2モータ8を駆動するための三相交流電力に変換する。また、第1モータ6や第2モータ8が発電した三相交流電力をメインバッテリ4へ充電するための直流電力に変換する。
メインバッテリ4とPCU12の間には、システムメインリレー(SMR)20が設けられている。SMR20は、メイン電源配線10の正極線10aの導通と非導通を切り換えるスイッチ20aと、メイン電源配線10の負極線10bの導通と非導通を切り換えるスイッチ20bを備えている。すなわち、SMR20は、メイン電源配線10の導通と非導通を切り換える。尚、非導通は、遮断と称される場合もある。
電気自動車2は、メインバッテリ4よりも電圧が低いサブバッテリ22を備えている。サブバッテリ22は、典型的には、鉛蓄電池で構成される二次電池である。サブバッテリは、補機バッテリと称される場合もある。本実施例では、サブバッテリ22の電圧は約13Vである。サブバッテリ22は、サブ電源配線24を介して、パワーステアリングやエアーコンディショナなどの補機26に接続されている。サブバッテリ22には、サブバッテリ22の電圧VSを測定する電圧センサ22aが取り付けられている。サブ電源配線24は、サブバッテリ22の正極端子に接続された正極線24aと、サブバッテリ22の負極端子に接続された負極線24bを備えている。サブ電源配線24の負極線24bは、典型的には、接地電位(基準電位)である。
SMR20よりもPCU12側のメイン電源配線10とサブ電源配線24とは、第1DC−DCコンバータ28を介して接続されている。図1では、「第1DC−DCコンバータ」を「DDC1」と表記してある。第1DC−DCコンバータ28は、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧機能と、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧機能を有している。第1DC−DCコンバータ28は、いわゆる双方向DC−DCコンバータである。電気自動車2では、第1DC−DCコンバータ28が降圧動作を行うことで、SMR20の導通/非導通に関わらず、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力をサブバッテリ22に充電する。また、電気自動車2では、第1DC−DCコンバータ28が昇圧動作を行うことで、SMR20の導通/非導通に関わらず、サブバッテリ22の電力を利用して第1モータ6や第2モータ8を駆動する。
SMR20よりもメインバッテリ4側のメイン電源配線10とサブ電源配線24とは、第2DC−DCコンバータ30を介して接続されている。図1では、「第2DC−DCコンバータ」を「DDC2」と表記してある。第2DC−DCコンバータ30は、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作を行うことができる。第2DC−DCコンバータ30は、いわゆる単方向DC−DCコンバータである。本実施例の第2DC−DCコンバータ30は、後述するブースト回路53から出力可能なバックアップ電力を供給するバックアップ配線59cを備えている。これにより、サブバッテリ22の出力電圧が補機26の駆動可能電圧Vxよりも低い場合であっても補機26の駆動を可能にしている。尚、図2中の符号59a、59bは、ダイオードを示す。これらについては、ブースト回路53の説明において言及する。
電気自動車2では、SMR20の導通時に、第1DC−DCコンバータ28と第2DC−DCコンバータ30の少なくとも一方が降圧動作を行う。これにより、メインバッテリ4からの電力や、第1モータ6や第2モータ8が発電した電力を、第1DC−DCコンバータ28と第2DC−DCコンバータ30の少なくとも一方を介して、サブバッテリ22に充電する。第1DC−DCコンバータ28と第2DC−DCコンバータ30の両方が降圧動作を行う場合、第1DC−DCコンバータ28と第2DC−DCコンバータ30のいずれか一方を介してサブバッテリ22に充電する場合に比べて、サブバッテリ22に供給される電流が大きくなる。そのため、サブバッテリ22の充電に要する時間が短くなる。
電気自動車2は、電子制御ユニット(ECU)60を備えている。ECU60には、電圧センサ4a、22aなど、電気自動車2に搭載された各種のセンサの計測データが入力される。また、車内LANを介して、他のECU(例えば、エンジン制御用のECU(エンジンECU))から各種の制御情報などを取得する。本実施例では、電圧センサ4aからメインバッテリ4の電圧VBの計測データが入力され、電圧センサ22aからサブバッテリ22の電圧VSの計測データが入力される。それらのデータ(及び他のデータ)を参照して、ECU60は、PCU12、SMR20、第1DC−DCコンバータ28、第2DC−DCコンバータ30など、電気自動車2の電気系統を構成する各構成要素の動作を制御する。またECU60は、電気自動車2の走行中などにおけるメインバッテリ4やサブバッテリ22の充電時及び放電時の電圧VB、VSの情報を充放電履歴としてログファイル(半導体メモリ)などに記録する。これにより、メインバッテリ4やサブバッテリ22の出力電圧の履歴をECU60が参照したり、車両メンテナンス時にサービススタッフに提供することが可能になる。
図2に、第1DC−DCコンバータ28の構成例を示す。以下の説明では、第1DC−DCコンバータ28に関しメイン電源配線10側(PCU12側)を一次側といい、サブ電源配線24側(サブバッテリ22側)を二次側という。
第1DC−DCコンバータ28は、一次側フィルタ32、一次側回路34、トランス36、二次側回路38、二次側フィルタ40及び制御回路42を備えている。第1DC−DCコンバータ28は、トランス36を介する絶縁型DC−DCコンバータである。本実施例では、一次側フィルタ32、一次側回路34、トランス36、二次側回路38、二次側フィルタ40及び制御回路42は、筐体57内に収容されている。
一次側フィルタ32は、コンデンサ32aで構成されており、第1DC−DCコンバータ28のメイン電源配線10側でのノイズの発生を抑制する。一次側回路34は、スイッチング素子34a、34b、34c、34dと、これらのスイッチング素子34a−34dに夫々並列に接続された還流ダイオード34e、34f、34g、34hを備えている。スイッチング素子34a−34dは、典型的には、パワーMOSFETやIGBTなどの電力用の半導体スイッチであり、オンオフ動作を制御可能に制御端子が制御回路42に接続されている。
本実施例では、スイッチング素子34aとスイッチング素子34bは直列に接続されており、またスイッチング素子34cとスイッチング素子34dも直列に接続されている。これらの直列接続されたスイッチング素子34a、34b及びスイッチング素子34c、34dは、一次側フィルタ32のコンデンサ32aに並列に接続されている。一次側回路34は、スイッチング回路と称される場合もある。
トランス36は、一次側コイル36aと二次側コイル36bを備えている。これらのコイルは所定の巻線比でコアに巻回されている。この巻線比に応じて、トランス36では、一次側コイル36aから二次側コイル36bへ降圧して電力を供給し、また二次側コイル36bから一次側コイル36aへ昇圧して電力を供給する。一次側コイル36aの一端(始端又は終端)は、スイッチング素子34aとスイッチング素子34bの間に接続されており、また一次側コイル36aの他端(終端又は始端)は、スイッチング素子34cとスイッチング素子34dの間に接続されている。
二次側回路38は、スイッチング素子38a、38b、38c、38dと、これらのスイッチング素子38a−38dに並列に接続された還流ダイオード38e、38f、38g、38h、並びにチョークコイル38i及びコンデンサ38jを備えている。チョークコイルは、インダクタと称したり、単にコイルと称したりする。スイッチング素子38a−38dも、スイッチング素子34a−34dと同様に、典型的には、パワーMOSFETやIGBTなどの電力用の半導体スイッチであり、オンオフ動作を制御可能に制御端子が制御回路42に接続されている。
本実施例では、スイッチング素子38aとスイッチング素子38bは直列に接続されており、またスイッチング素子38cとスイッチング素子38dも直列に接続されている。チョークコイル38iとコンデンサ38jは、トランス36側から見てL型のローパスフィルタを構成するように接続されており、これらは、直列接続されたスイッチング素子38a、38b及びスイッチング素子38c、38dに対して、並列に接続されている。二次側コイル36bの一端は、スイッチング素子38aとスイッチング素子38bの間に接続されており、また二次側コイル36bの他端は、スイッチング素子38cとスイッチング素子38dの間に接続されている。二次側回路38は、スイッチング回路と称される場合もある。
二次側フィルタ40は、第1DC−DCコンバータ28のサブ電源配線24側でのノイズの発生を抑制する。本実施例では、二次側フィルタ40は、二次側回路38から見て、チョークコイル40aとコンデンサ40bによりL型のローパスフィルタを構成している。
制御回路42は、前述のECU60(図1参照)と通信可能である。制御回路42は、ECU60からの指示(制御コマンド)に従って、一次側回路34のスイッチング素子34a、34b、34c、34dと、二次側回路38のスイッチング素子38a、38b、38c、38dの動作を制御する。
第1DC−DCコンバータ28の動作について説明する。第1DC−DCコンバータ28が降圧動作をする場合には、一次側回路34において直流電力から交流電力に変換し、トランス36において降圧して、二次側回路38において交流電力から直流電力に変換する。この場合、二次側回路38ではスイッチング素子38a−38dは動作することなく、還流ダイオード38e−38hによる整流と、チョークコイル38i及びコンデンサ38jによる平滑化がなされる。これにより、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する。この際、制御回路42が一次側回路34のスイッチング素子34a−34dのオン/オフのタイミングを調整することで、第1DC−DCコンバータ28が降圧動作をするときのデューティ比を調整することが可能になる。第1DC−DCコンバータ28の降圧動作においては、デューティ比が大きくなるほどメイン電源配線10(PCU12)からサブ電源配線24へ供給される電力が増加する。
逆に、第1DC−DCコンバータ28が昇圧動作をする場合には、二次側回路38において直流電力から交流電力に変換し、トランス36において昇圧して、一次側回路34において交流電力から直流電力に変換する。この場合には、一次側回路34ではスイッチング素子34a−34dは動作することなく、還流ダイオード34e−34hにより整流されて一次側フィルタ32において平滑化される。これにより、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する。この際、制御回路42が二次側回路38のスイッチング素子38a−38dのオン/オフのタイミングを調整することで、第1DC−DCコンバータ28が昇圧動作をするときのデューティ比を調整することが可能になる。第1DC−DCコンバータ28の昇圧動作においては、デューティ比が大きくなるほどサブ電源配線24からメイン電源配線10(PCU12)へ供給される電力が増加する。
尚、図2に示した第1DC−DCコンバータ28の一次側フィルタ32、一次側回路34、二次側回路38、二次側フィルタ40の具体的な回路構成はあくまでも一例である。そのため、第1DC−DCコンバータ28としては、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作と、サブ電源配線24からメイン電源配線10へ昇圧して電力を供給する昇圧動作が可能であれば、どのような構成のものを用いてもよい。
次に、第2DC−DCコンバータ30の構成などを説明する。図3に、第2DC−DCコンバータ30の構成例を示す。図4に、第2DC−DCコンバータ30の降圧動作時の電力供給経路を示す。図5に、第2DC−DCコンバータ30のブースト動作時の電力供給経路を示す。以下の説明では、第2DC−DCコンバータ30に関しメイン電源配線10側(メインバッテリ4側)を一次側といい、サブ電源配線24側(サブバッテリ22側)を二次側という。
図3に示すように、第2DC−DCコンバータ30は、一次側フィルタ44、一次側回路46、トランス48、二次側回路50、二次側フィルタ51、出力スイッチ52、ブースト回路53、内部電源54及び制御回路56を備えている。第2DC−DCコンバータ30は絶縁型DC−DCコンバータである。一次側フィルタ44、一次側回路46、トランス48、二次側回路50、二次側フィルタ51、出力スイッチ52、ブースト回路53、内部電源54及び制御回路56は、筐体58内に収容されている。
一次側フィルタ44は、コンデンサ44aで構成されており、第2DC−DCコンバータ30のメイン電源配線10側でのノイズの発生を抑制する。一次側回路46は、スイッチング素子46a、46b、46c、46dと、これらのスイッチング素子46a−46dに並列に接続された還流ダイオード46e、46f、46g、46hを備えている。スイッチング素子46a−46dも、スイッチング素子34a−34dと同様に、典型的には、パワーMOSFETやIGBTなどの電力用の半導体スイッチであり、オンオフ動作を制御可能に制御端子が制御回路56に接続されている。
本実施例では、スイッチング素子46aとスイッチング素子46bは直列に接続されており、またスイッチング素子46cとスイッチング素子46dも直列に接続されている。これらのスイッチング素子46a、46b及びスイッチング素子46c、46dは、一次側フィルタ44のコンデンサ44aに並列に接続されている。一次側回路46は、スイッチング回路と称される場合もある。
トランス48は、一次側コイル48aと二次側コイル48bを備えている。これらのコイルは所定の巻線比でコアに巻回されている。この巻線比に応じて、トランス48では、一次側コイル48aから二次側コイル48bに降圧して電力を供給する。本実施例では、二次側コイル48bには同コイル巻線の中央に相当する中点タップ48cが設けられており、グランドに接続されている。一次側コイル48aの一端は、スイッチング素子46aとスイッチング素子46bの間に接続されており、一次側コイル48aの他端は、スイッチング素子46cとスイッチング素子46dの間に接続されている。
二次側回路50は、ダイオード50a、50b、チョークコイル50e及びコンデンサ50fを備えている。ダイオード50a、50bは、トランス48の二次側コイル48bから出力される交流電圧を直流電圧に整流する整流回路を構成している。チョークコイル50eとコンデンサ50fは、トランス48側から見てL型のローパスフィルタを構成するように接続されており、これらは、整流回路として接続されたダイオード50a、50bに対して、並列に接続されている。チョークコイル50eは、後述するように、ブースト回路53のコイル53aに対して磁気結合するように構成されており、本実施例では当該ブースト回路53の一部として機能する。
二次側フィルタ51は、第2DC−DCコンバータ30のサブ電源配線24側でのノイズの発生を抑制する。本実施例では、二次側フィルタ51は、二次側回路50から見て、チョークコイル51aとコンデンサ51bによりL型のローパスフィルタを構成している。
出力スイッチ52は、サブ電源配線24の正極線24aが接続される第2DC−DCコンバータ30の出力端子と、二次側フィルタ51の出力端との間を筐体58内で接続する内部配線24a1、24a2に設けられるスイッチングデバイスである。典型的には、パワーMOSFETやIGBTなどの電力用の半導体スイッチである。出力スイッチ52は、そのオンオフ動作が制御回路56により制御されるように制御端子が制御回路56に接続されている。制御回路56は、第2DC−DCコンバータ30が降圧動作を行う場合には出力スイッチ52がオン状態を維持するように制御する。
ブースト回路53は、コイル53a、スイッチング素子53b及びダイオード53cを備えている。コイル53aは、一端側が内部配線24a2に接続され、他端側がスイッチング素子53bに接続されている。前述した二次側回路50のチョークコイル50eは、ブースト回路53には含まれていないが、ブースト回路53の一部として機能する。すなわち、コイル53aは、いわゆる昇圧コイルであり、二次側回路50のチョークコイル50eに対して巻回数が少なくかつ磁気結合するように構成されている。より具体的には、例えば、コイル53a及びチョークコイル50eは、コイル53aが一次側コイルとして機能し、チョークコイル50eが二次側コイルとして機能し得る、昇圧トランスを構成する。コイル53a及びチョークコイル50eは、磁気結合することが可能であれば、昇圧トランスの構成に限られることはなく、どのような構成のものを用いてもよい。
スイッチング素子53bは、典型的には、パワーMOSFETやIGBTなどの電力用の半導体スイッチであり、コイル53aの他端側とグランドとの間に接続されている。スイッチング素子53bの制御端子も制御回路56に接続されており、制御回路56によりオンオフ動作を制御することができるように構成されている。スイッチング素子53bにも、スイッチング素子34a−34d、38a−38d、46a−46dと同様に、還流ダイオード53cが逆並列に接続されている。尚、直列接続されているコイル53aとスイッチング素子53bに流れる電流の最大値を所定値以下に制御するため、不図示の抵抗をこれらに対して直列に設ける場合もある。
内部電源54は、IGCT端子や内部配線24a1(二次側フィルタ51の出力側と出力スイッチ52の間を接続する電気配線)からダイオード55aを介して入力される直流電圧を制御回路56の駆動電圧Vppに降圧して出力する電源回路である。IGCT端子には、電気自動車2のパワー(イグニッション)スイッチのオンに伴って所定電圧が供給される。ここでは図示しないが、例えば、降圧トランスとスイッチング素子などにより構成される。ダイオード55aは電流方向を制御する整流素子である。ダイオード55aが接続されている内部電源54の入力側には、平滑コンデンサ55bが接続されている。
本実施例では、第2DC−DCコンバータ30には、バックアップ配線59cが設けられている。バックアップ配線59cの一端側は、二次側フィルタ51の出力側と出力スイッチ52との間を繋ぐ内部配線24a1に接続されている。またバックアップ配線59cの他端側は、補機26の入力側に接続されている。バックアップ配線59cは、順方向が補機26の入力側に向くダイオード59bを備えている。これにより、後述のように、サブバッテリ22の電圧低下時などにおいて、ブースト回路53が動作することで、サブバッテリ22の出力電圧が補機26の駆動可能電圧Vxよりも低い場合であっても補機26に対する駆動電力の供給を可能にしている。
尚、補機26には、サブバッテリ22の正常電圧出力時における駆動電力の供給ルートとして、順方向が補機26の入力側に向くダイオード59aを備えた配線59dが接続されている。
制御回路56は、ECU60(図1参照)と通信可能である。制御回路56は、ECU60からの指示(制御コマンド)に従って、一次側回路46のスイッチング素子46a、46b、46c、46d、ブースト回路53のスイッチング素子53bや出力スイッチ52の動作を制御する。
第2DC−DCコンバータ30の動作を説明する。図4は、図3の回路図に、第2DC−DCコンバータ30が降圧動作を行うときの二次側の電流の流れを太線で追加した図である。図4に示すように、第2DC−DCコンバータ30が降圧動作をする場合、一次側回路46において直流電力から交流電力に変換し、トランス48において降圧して、二次側回路50において交流電力から直流電力に変換する。この場合、二次側回路50ではダイオード50a、50bによる整流と、チョークコイル50e及びコンデンサ50fによる平滑化がなされる。これにより、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して、サブバッテリ22及び補機26に電力を供給する(図4に示す太い実線の経路)。この際、出力スイッチ52がオン(導通)状態である。また、ブースト回路53のスイッチング素子53bは、オフ(遮断)状態を保つ。この状態において、制御回路56が一次側回路46のスイッチング素子46a−46dのオン/オフのタイミングを調整することで、第2DC−DCコンバータ30が降圧動作をするときのデューティ比を調整することが可能になる。第2DC−DCコンバータ30の降圧動作においては、デューティ比が大きくなるほどメイン電源配線10(メインバッテリ4)からサブ電源配線24へ供給される電力が増加する。
尚、第2DC−DCコンバータ30としては、図3に示すような、一次側回路46がスイッチング素子46a−46dを備えており、制御回路56が一次側回路46の動作を制御する構成に限られない。例えば、二次側回路50がスイッチング素子を備えており、制御回路56が二次側回路50の動作を制御する構成にしてもよい。また、一次側回路46と二次側回路50の夫々がスイッチング素子を備えており、制御回路56が一次側回路46と二次側回路50のそれぞれの動作を制御する構成にしてもよい。また図3に示した第2DC−DCコンバータ30の一次側フィルタ44、一次側回路46、二次側回路50、二次側フィルタ51などの具体的な回路構成はあくまでも一例であって、第2DC−DCコンバータ30としては、メイン電源配線10からサブ電源配線24へ降圧して電力を供給する降圧動作が可能であれば、どのような構成のものを用いてもよい。
このような降圧動作に対して、第2DC−DCコンバータ30がブースト動作をする場合は、図5に示すように、別の電力供給経路が構成される。図5は、図3の回路図に、第2DC−DCコンバータ30がブースト動作を行うときの二次側の電流の流れを太線で追加した図である。第2DC−DCコンバータ30がブースト動作をする場合には、まず出力スイッチ52をオフ(遮断)状態に設定する。これにより、二次側フィルタ51の出力側とサブバッテリ22の正極線24aとの電気的な接続が切断されてブースト動作が可能になる。ブースト動作では、この状態において、制御回路56がスイッチング素子53bを所定周期でオンオフを繰り返すスイッチング制御を行う。これにより、コイル53a及びスイッチング素子53bを経由して、オン状態においてはサブバッテリ22の正極線24aからグランドに電流が流れ、オフ状態においてはその逆方向に電流が流れる(図5に示す太い実線の経路)。
すなわち、スイッチング素子53bをオンオフ制御すると、コイル53aに交番電流が流れることから、コイル53aに磁気結合している二次側回路50のチョークコイル50eには誘導起電力が生じる。本実施例では、コイル53aの巻回数は、チョークコイル50eに対して巻回数が少ない(チョークコイル50eの巻回数は、コイル53aに対して巻回数が多い)。そのため、二次側フィルタ51の出力側に接続される内部配線24a1やバックアップ配線59cに発生する電圧は、サブ電源配線24の(サブバッテリ22)の電圧よりも高くなる。即ち、第2DC−DCコンバータ30は、バックアップ配線59cを介してサブバッテリ22よりも高い電圧の直流電力を補機26に供給することが可能になる(図5に示す太い破線の経路)。
このようなブースト動作に伴って、ダイオード55aを介して内部配線24a1に接続される内部電源54の入力側にも、サブバッテリ22よりも高い電圧の直流電力を供給することが可能になる(図5に示す太い一点鎖線の経路)。尚、図4に示したブースト回路53のコイル53a、スイッチング素子53bなどの具体的な回路構成はあくまでも一例であって、ブースト回路53としては、二次側回路50のチョークコイル50eに誘導起電力を発生させることが可能であれば、どのような構成のものを用いてもよい。また、二次側回路50のチョークコイル50eではなく、チョークコイル50eの一端側又は他端側に直列に接続された別個のコイル(インダクタ)において、ブースト回路53による誘導起電力を発生させる構成を用いてもよい。
本実施例の電気自動車2は、メインバッテリ4が所定の高電圧を出力しなくなった場合、例えば、サブバッテリ22から供給される電力だけで、操舵系などの特定の補機26を制御する。しかし、このような場合に、サブバッテリ22の充電容量が十分でなかったり、バッテリセルの一部が劣化していたりすると、操舵系などの特定の補機26の制御に必要な電圧Vxを確保することが困難になり得るため、第2DC−DCコンバータ30が上記のブースト動作を行う。本実施例の電気自動車2では、ECU60がメインバッテリ4の出力電圧を監視する所定制御において、図6に示す制御処理を実行することにより、第2DC−DCコンバータ30によるブースト動作を可能にしている。図6に、電気自動車2のECU60がメインバッテリ4を監視する際に実行する制御処理の流れを示す。
本制御処理では、ECU60は、まずステップS2により、電圧センサ4aで計測されるメインバッテリ4の電圧VBやメインバッテリ4の充放電状態の履歴情報(充放電履歴)などを取得する。そして、ステップS3によりメインバッテリ4の状態判定を行う。この判定は、例えば、SOC(State Of Charge)の最大値や出力電圧の最高値などに基づいて行われる。尚、SOCは、充電率と称される場合もあり、満充電を100%とした場合におけるメインバッテリ4の充電割合(単位%)のことである。
ステップS3により、メインバッテリ4の状態が正常であると判定した場合には(S3;正常)、当該電気自動車2においては、操舵などの運転操作に障害が生じる蓋然性が低いことから、本制御処理を終了する。これに対して、メインバッテリ4の状態が異常であると判定した場合には(S3;異常)、当該電気自動車2は、操舵などの運転操作において障害が生じる可能性がある。そのため、ECU60は、ステップS4に処理を移行して、第2DC−DCコンバータ30の出力スイッチ52をオフにする。すなわち、ECU60は、第2DC−DCコンバータ30の制御回路56に対して、出力スイッチ52をオフ状態にする制御コマンドを送る。これにより、第2DC−DCコンバータ30は、前述のブースト動作が可能になる。
続くステップS5では、ECU60は、電気自動車2のエンジン61の情報(エンジン情報)を取得する。エンジン情報は、例えば、エンジンECUから取得する。そして、ステップS6によりそのエンジン情報に基づいて、エンジン61の現在の状態を判定する。エンジン61が現在も動作している場合には(S6;動作中)、ステップS8に処理を移行して、第1DC−DCコンバータ28による降圧動作を開始する。すなわち、当該電気自動車2では、エンジン61が発生させた動力の一部により第1モータ6が発電しているため、その交流電圧をPCU12によりメインバッテリ4への充電に適した直流電圧に変換かつ降圧し、さらにそれを第1DC−DCコンバータ28によって補機26に適した電圧Vxに降圧する。これにより、操舵系などの特定の補機26の制御が可能になる。
一方、エンジン61が現在停止してはいるものの、第1モータ6がエンジン61をクランキングするセルモータとして機能することが可能である場合には(S6;停止中・クランキング可)、ステップS7に処理を移行して、第1モータ6によるエンジン61のクランキングを開始する。これにより、エンジン61が動作を開始すれば、エンジン61の動力の一部を受けて今度は第1モータ6が発電するため、ステップS8により第1DC−DCコンバータ28による降圧動作を開始することで、上記のように操舵系などの特定の補機26の制御が可能になる。
他方、エンジン61が現在停止しており、かつ第1モータ6がエンジン61をクランキングするセルモータとして機能することが不可能である場合には(S6;停止中・クランキング不可)、ステップS9に処理を移行して電圧センサ22aで計測されるサブバッテリ22の電圧VSの情報を取得する。そして、次のステップS10により、電圧センサ22aの現在の電圧VSが、補機26に適した電圧Vx未満であるか否かを判定する。
ステップS10の判定処理によって、電圧センサ22aの現在の電圧VSが補機26に適した電圧Vx未満でないと判定された場合には(S10;NO)、当該電圧センサ22aから供給される電力により特定の補機26を制御することが可能である。
これに対して、ステップS10の判定処理によって、電圧センサ22aの現在の電圧VSが補機26に適した電圧Vx未満であると判定された場合には(S10;YES)、続くステップS11により第2DC−DCコンバータ30によるブースト動作を開始する。すなわち、ECU60は、第2DC−DCコンバータ30の制御回路56に対して、ブースト回路53のスイッチング素子53bをオンオフ制御する制御コマンドを送る。これにより、第2DC−DCコンバータ30は、前述のブースト動作を開始することから、バックアップ配線59cを介して補機26に適した駆動電力を供給することが可能になり、また特定の補機26の制御が可能になる。
このようにステップS8、S11などによる処理が完了すると、本制御処理を終える。尚、ステップS3において、メインバッテリ4の状態が異常であると判定した場合には(S3;異常)、当該電気自動車2のインスツルメントパネル(不図示)にメインバッテリ4が故障している(又は異常である)内容の警告表示を出力してもよい。これにより、当該電気自動車2の運転者に対して、メインバッテリ4の故障などを知らせることが可能になる。
以上のとおり、本実施例の電気自動車2では、第2DC−DCコンバータ30の二次側フィルタ51とサブバッテリ22の間でサブ電源配線24(内部配線24a1、24a2)の導通と非導通を切り換える出力スイッチ52と、出力スイッチ52よりもサブバッテリ22側のサブ電源配線24(内部配線24a2)に接続された補機26と、出力スイッチ52よりも二次側フィルタ51側のサブ電源配線24(内部配線24a1)とグランドとの間に接続されるブースト回路53(二次側回路50のチョークコイル50eに磁気結合するコイル53a及びコイル53aに流れる電流をオンオフ制御するスイッチング素子53bを有する)と、出力スイッチ52よりも二次側フィルタ51側のサブ電源配線24(内部配線24a1)と補機26の間を接続しており、補機26へ電力を供給する方向にダイオード59bが設けられるバックアップ配線59cと、を備えている。
これにより、サブ電源配線24(内部配線24a1、24a2)を非導通に出力スイッチ52を切り換えた後、ブースト回路53のスイッチング素子53bをオンオフ制御すると、コイル53aに交番電流が流れるため、二次側回路50のチョークコイル50eに生じた誘導起電力がバックアップ配線59cを介して補機26に供給される。バックアップ配線59cには補機26へ電力を供給する方向にダイオード59bが設けられている。そのため、補機26には直流電力が供給されることから、サブバッテリ22の出力電圧VSが不足する場合であっても、操舵系などの特定の補機26を制御することが可能になる。
また、本実施例の電気自動車2では、第2DC−DCコンバータ30の二次側回路50を構成するチョークコイル50eを、ブースト回路53のコイル53aとともに昇圧トランスを構成する部品の一部として用いた。これにより、第2DC−DCコンバータ30の既存回路の一部を共用するので、部品点数の削減によりブースト回路53の製品コストや体格の増大を抑制することが可能になる。特に、昇圧トランスの一次側コイルを構成するブースト回路53のコイル53aに対して、巻線比により同トランスの二次側コイルの体格が大きくならざるを得ない場合には、体格増大の抑制効果が大きい。
本実施例の電気自動車2では、図3−図5に示すように、第2DC−DCコンバータ30内にブースト回路53を設ける構成を採用した。つまり、第2DC−DCコンバータ30として、その筐体58内に出力スイッチ52、ブースト回路53及びバックアップ配線59cの一部を構成した。しかしこれに限られることなく、ブースト回路53のコイル53aが第2DC−DCコンバータ30のチョークコイル50eと磁気結合可能であれば、第2DC−DCコンバータ30の外部(別体)に、出力スイッチ52、ブースト回路53及びバックアップ配線59cを設けるように構成してもよい。このように本実施例では、ブースト回路53などを筐体58内に設けているが、第2DC−DCコンバータ30が、ブースト回路53を除いた「一次側フィルタ44、一次側回路46、トランス48、二次側回路50、二次側フィルタ51、内部電源54、制御回路56など」により構成されると理解することにより、出力スイッチ52、ブースト回路53及びバックアップ配線59cが第2DC−DCコンバータ30とは別に設けられていることがわかる。
実施例技術に関する留意点を述べる。PCU12が電力制御ユニットの一例に相当する。SMR20のスイッチ20aが第1スイッチの一例に相当する。内部配線24a1、24a2がサブ電源配線の一例に相当する。補機26がバックアップ対象負荷の一例に相当する。チョークコイル50eがフィルタコイルの一例に相当する。チョークコイル50e及びコンデンサ50fがフィルタ回路の一例に相当する。出力スイッチ52が第2スイッチの一例に相当する。スイッチング素子53bがスイッチング素子の一例に相当する。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。