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JP6695087B2 - 一組のガスに対応する一組の質量電荷比を求めるためのシステムおよび方法 - Google Patents
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JP6695087B2 - 一組のガスに対応する一組の質量電荷比を求めるためのシステムおよび方法 - Google Patents

一組のガスに対応する一組の質量電荷比を求めるためのシステムおよび方法 Download PDF

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Description

本発明は、一組のガス(ガスのセット)に対する複数のイオン質量電荷比を求めることに関し、より詳細には、予定された時間に対応した、測定する一組のガスに対する、質量電荷比の最適な組み合わせ(セット)を求めるためのシステムおよび方法に関するものである。
従来、種々のサンプリング点で、手動でガス試料を採取し、次いで従来の分析装置を用いて試料を分析することが通常行われていた。この種のサンプリングおよび分析は各サンプリング点でガスを非常に正確に分析できるが、様々なサンプリング点で、手動で測定するのに費やされる時間が問題であった。この問題に加えて、従来の質量測定方法は、全イオン種の全範囲を分析するのに非常に長い時間を必要とするにもかかわらず、ガス毎に固定された質量電荷比を使用した精度は劣っている。限られた質量電荷比のセットを測定し、Bマトリクスのサブセットを使用して、非負最小二乗法を適用するといった方法は、速度と精度とのトレードオフである。また、測定される質量電荷比が決まっていても、多くのガスが自明でない断片化パターンによって断片化されるので、この方法は複雑なものとなる。
多くの用途において、ガス分子比率のデータを、高速でモニターし、制御することが必要とされており、例えば工業プロセスでは、所定の精度を所定の応答時間で得られることが必要とされている。一組のガスのために質量電荷比を全範囲スキャン(測定)する従来の方法は時間がかかり過ぎ、またガス毎に固定された質量電荷比を用いる従来の方法は不正確である。
したがって、前述の問題および欠点を克服し、予定された時間に応じて、測定するイオン質量電荷比の最適なセット(組み合わせ)を求めることが可能なシステムおよび方法が依然として必要とされている。
本発明の一態様は、第1のタイプのセンサを使用してガス混合物を測定するためのシステムである。第1のタイプのセンサは、ガス混合物中の一組のガス(ガスのセット)に対する測定結果(スキャン出力)を生成する。測定結果は、一組のガスに対応する質量電荷比(質量対電荷比、mass to charge ratio)の関数として、検出されたイオンのスペクトルを含む。このシステムは、データベースと、モジュールのセットとを含む。データベースは、一組のガスの標準的な断片化およびイオン化ポテンシャルに関連する標準参照データを格納する。モジュールのセットは、マトリクス乗算モジュールと、質量電荷比抽出モジュールとを含む。マトリクス乗算モジュールは、一組のガスのノミナル濃度(予想濃度、予定濃度、基準濃度、公称濃度)のベクトルで作成された対角行列でBマトリクスを前乗算し、調整されたBマトリクス(Ba)を取得するように構成される。Bマトリクスは、標準参照データに関するP、T、CおよびRマトリクスの乗算である。P(Pマトリクス)は、ピーク形状を表す畳み込み行列であり、T(Tマトリクス)は各主要な質量電荷比(m/z)におけるトランスミッション効率(伝達効率)であり、R(Rマトリクス)は各ガスに対する相対イオン化ポテンシャルであり、C(Cマトリクス)は主要な質量電荷比(測定に不可欠な質量電荷比)における各ガスに対する理想的な応答を表すリファレンススペクトル(基準スペクトル、参照スペクトル)である。対角行列は、主対角線の外側のエントリがすべてゼロであるマトリクスである。質量電荷比抽出モジュールは、調整されたBマトリクス(Ba)に基づいて、予定の予算内で、一組のガスを測定するための一組の質量電荷比(質量電荷比のセット)を選択するように構成される。
マトリクス乗算モジュールは、一組のガスのノミナル濃度の逆数のベクトルから生成される対角行列をBマトリクスに前乗算し、調整されたBマトリクス(Ba)を得るように構成された、第1のマトリクス乗算モジュールを含んでもよい。質量電荷比抽出モジュールは、特異値分解モジュール、主成分取得モジュール、主成分乗算モジュール、および主要な質量電荷比選択モジュールを含んでもよい。特異値分解モジュールは、Ba=U*diag(E)*Vhの特異値分解を求めるように構成される。Baは、調整されたBマトリクス(Ba)の部分行列の転置行列である。U*diag(E)*Vhは、特異値分解(SVD)であり、実行列または複素行列の行列分解である。主成分取得モジュールは、入力に基づいて、Baの第1の主成分の数を取得するように構成される。主成分乗算モジュールは、第1の主成分の各ベクトルをそれに対応する固有値で乗算し、Bマトリクスの各列について、対応する固有値を乗算した第1の主成分のベクトルを加算するように構成される。主要な質量電荷比選択モジュールは、質量電荷比に対応する固有値が閾値(t)以下である全ての質量電荷比を除外することにより、測定する上位の主要な質量電荷比(必要な質量電荷比、不可欠な質量電荷比)を選択するように構成される。
質量電荷比抽出モジュールは、閾値以下の質量電荷比を除外するように構成された質量電荷比除外モジュールをさらに含んでもよい。
主要な質量電荷比選択モジュールは、主成分の数および閾値が増加したときに、増加した数の質量電荷比を選択するように構成されてもよい。
マトリクス乗算モジュールは、一組のガスのノミナル濃度のベクトルから生成される対角行列をBマトリクスに前乗算し、調整されたBマトリクス(Ba)を得るように構成される、第2のマトリクス乗算モジュールを含んでもよい。質量電荷比抽出モジュールは、質量電荷比選択モジュールと、質量電荷比決定モジュールとを含んでもよい。質量電荷比選択モジュールは、(a)調整されたBマトリクスの列の最大強度を有する質量電荷比を選択し、(b)選択された質量電荷比においてBマトリックス内の全強度の昇順でガスを優先順位付けし、(c)最大強度の第1の質量電荷比がすでに選択されていれば、次に高い強度を有する第2の質量電荷比を選択するように構成される。質量電荷比決定モジュールは、(a)質量電荷比が第1のガスに対して存在するか否かを判断し、(b)ガス混合物中の一組のガスに優先順位付するための質量電荷比の総数よりも、選択された質量電荷比の総数が少ないか否かを判定するように構成される。このシステム(質量分析計システム)は、予定の時間内で、ガス混合物中の一組のガスを測定するための、競合しない情報の質量電荷比を次々に選択する。
質量電荷比決定モジュールは、さらに、(c)第1のガスに対して質量電荷比が存在する場合、質量電荷比のリストに質量電荷比を加え、(d)質量電荷比が第1のガスに対して存在しないとき、ガス混合物のガスのリストから第1のガスを削除するように構成されてもよい。
質量電荷比決定モジュールは、さらに、(e)ガスのリストが空でないか、またはガス混合物中の一組のガスを優先順位付けできないかを決定するように構成されてもよい。
モジュールのセットは、選択された一組の質量電荷比(質量電荷比のセット)を含む測定結果(スキャン出力)に基づいてガス混合物を分析するように構成された分析モジュールをさらに含んでもよい。システムは、データベースおよびモジュールのセットを格納するメモリと、モジュールのセットを実行するプロセッサとをさらに含んでもよい。システムはさらに、第1のタイプのセンサを含んでもよい。
本発明の他の態様は、コンピュータに実装される方法である。この方法は、第1のタイプのセンサを使用して測定するためのガス混合物の質量電荷比のセットを選択することを含む。第1のタイプのセンサは、ガス混合物の一組のガス(ガスのセット)に対する測定結果(スキャン出力)を生成する。測定結果は、一組のガスに対応する質量電荷比の関数として検出されたイオンのスペクトルを含む。質量電荷比のセットを選択することは、以下のステップを含む。(i)調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、一組のガスのノミナル濃度のベクトルを用いて生成される対角行列を用いてBマトリクスを前乗算すること、(ii)調整されたBマトリクスに基づいて、予定の時間内で、一組のガスを測定するための質量電荷比のセットを抽出すること。Bマトリクスは、P、T、CおよびRマトリクスの乗算である。Pは、ピーク形状を表す畳み込みマトリクスであり、Tは、各主要な質量電荷比におけるトランスミッション効率であり、Rは、各ガスの相対イオン化ポテンシャルであり、Cは、主要な(不可欠な)質量電荷比における各ガスの理想的な応答を表す基準スペクトルである。
前乗算するステップは、調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、一組のガスのノミナル濃度の逆数のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスを前乗算するステップを含んでもよい。抽出するステップは、以下のステップを含み得る。(a)Ba=U*diag(E)*Vhの特異値分解を求め、(b)入力に基づいて、Baの第1の主成分の数を取得し、(c)第1の主成分の各ベクトルに、それに対応する固有値を乗算し、Bマトリクスの各列について、対応する固有値と乗算された第1の主成分のベクトルを加算し、さらに、(d)質量電荷比に対応する固有値が閾値以下であるすべての質量電荷比を除外することにより、測定する上位主要な質量電荷比を選択する。Baは、調整されたBマトリクス(Ba)の部分行列の転置行列である。U*diag(E)*Vhは、特異値分解であり、実行列または複素行列の行列分解である。
抽出するステップは、主成分の数および閾値が増加したときに、増加した質量電荷比の数を選択するステップをさらに含んでもよい。
前乗算するステップは、調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、一組のガスのノミナル濃度のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスを前乗算することを含んでもよい。抽出するステップは、ガス混合物中の一組のガスについて競合しない情報の質量電荷比を次々に選択するため、以下のステップを含んでもよい。(a)調整されたBマトリクス(Ba)の列の最大強度を有する質量電荷比を選択し、(b)選択された質量電荷比におけるBマトリクス中の全強度の昇順でガスを優先順位付けし、(c)最大強度を有する第1の質量電荷比が既に選択されているときは、次に高い強度を有する第2の質量電荷比を選択し、(d)質量電荷比が第1のガスに対して存在するか否かを判断し、(e)ガス混合物中の一組のガスを優先順位付けするための質量電荷比の総数より、選択された質量電荷比の総数が少ないか否かを判断し、(f)ガスのリストが空ではないか、またはガス混合物中の一組のガスを優先順位付けできないかを判断する。
抽出ステップはさらに、(g)第1のガスに対して質量電荷比が存在する場合、質量電荷比のリストに質量電荷比を加え、(h)質量電荷比が第1のガスに対して存在しないとき、ガス混合物のガスのリストから第1のガスを削除するステップを含んでもよい。
この方法は、選択された一組の質量電荷比のセットの測定結果に基づいて、ガス混合物を分析するステップをさらに含んでもよい。
本発明のさらに別の態様は、コンピュータが上記のシステムとして動作するための命令を含むコンピュータプログラム(プログラム製品)である。プログラム(プログラム製品)は、記憶媒体に格納されて供給されてもよい。
このシステムは、予定された時間(確保できる時間)に応じて最適な質量電荷比のセット(一組の質量電荷比)を決定するために使用される。システムは、すべての範囲を測定する(全スキャンを行う)よりもはるかに速い性能を得ることができる。このシステムは、ピークに重なりがあるために情報が実施的に劣化する場合でも、全てのイオンの組み合わせをスキャンする代わりに、最適なピークを決定し、測定する質量電荷比に加えたり、変更したりすることを示唆する。このシステムは、測定対象となる質量電荷比の数を変えることにより、速度に対する精度をトレードオフするために用いられる。このシステムは、質量電荷比リストに追加される各質量電荷比の精度について、限界効用関数が減るように用いられる。
本明細書における実施形態のこれらおよび他の態様は、以下の説明および添付の図面と併せて考慮すると、よりよく認識され理解されるであろう。しかしながら、以下の説明は、好ましい実施形態およびその多数の具体的な詳細を示しているが、限定としてではなく例示として与えられていることを理解されたい。本発明の精神から逸脱することなく、本明細書の実施形態の範囲内で多くの変更および修正を加えることができ、本明細書の実施形態はすべてのそのような修正を含む。
以下の実施形態は、図面を参照した以下の詳細な説明から、よりよく理解されるであろう。
図1は、本明細書の一実施形態による、ガス混合物中の一組のガス(ガスのセット)を測定するための一組の質量電荷比(質量電荷比のセット)を選択するためのシステムを含む、システムの概要を示す。 図2は、本明細書の一実施形態による、ガス混合物中の一組のガスについて、競合しない情報を含む質量電荷比を次々に選択するためのシステムを含む、システムの概要を示す。 図3は、本明細書の一実施形態による図1のシステムを展開した状態を示す。 図4は、本明細書の一実施形態による図2のシステムを展開した状態を示す。 図5は、本明細書の一実施形態による、ガス混合物中の一組のガスを測定するための質量電荷比のセットを選択するためのプロセスを示すフローチャートである。 図6は、本明細書の一実施形態による、ガス混合物中の一組のガスに対して、競合しない情報を含む、次々と測定するための質量電荷比を選択するためのプロセスを示すフローチャートである。 図7は、本明細書の一実施形態による、図1の、ガス混合物中の一組のガスを測定する質量電荷比のセットを選択するためのコンピュータ実施方法を示すフローチャートである。 図8Aは、本明細書の一実施形態による、ガス混合物中の一組のガスに対する矛盾しない情報を用いて質量電荷比を次々に選択するための、コンピュータに実装された方法を示すフローチャートである。 図8Bは、図8Aに続く、フローチャートである。 図9は、本明細書の一実施形態による、予定の時間内に、質量電荷比を高精度でスキャンするための制御ループを示すブロック図である。 図10は、本明細書の一実施形態による、第1のタイプのセンサ(質量分析計)の斜視図を示す。 図11は、本明細書の実施形態によるシステムのコンピュータアーキテクチャの概略図を示す。
本明細書の実施形態ならびにその様々な特徴および有利な詳細は、図面とともに示され、さらに詳述される非限定的な実施形態を参照して、より十分に説明される。本明細書の実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知の構成要素および処理技術の説明は省略する。本明細書で使用される例は、単に本明細書の実施形態が実施され得るものであり、当業者が本明細書の実施形態を実施することをさらに可能にすることを意図したものである。したがって、実施例は、本明細書の実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
上述したように、予定の時間内にスキャンする複数の質量電荷比を選択するためのシステムおよび方法が依然として必要とされている。本明細書の実施形態は、ガス混合物中の一組のガスを測定するための質量電荷比のセットを抽出(すなわち質量電荷比のセットの選択)する第1の方法を実装する第1の質量電荷比抽出システムを含むシステムを提供する。本明細書の実施形態は、ガス混合物中の一組のガスを測定するための、競合しない情報を含む、質量電荷比を次々と選択する第2の方法を実装する第2の質量電荷比抽出システムを含むシステムを提供する。以下では、図面、より具体的には図1から図11が参照され、図面を通じて、共通の参照記号が、共通する特徴を示し、好ましい実施形態が示される。
図1は、本明細書の実施形態による、ガス混合物中の一組のガス(ガスのセット)を測定する、一組の質量電荷比(質量電荷比のセット)を選択するためのシステムを含むシステムを示す。このシステムは、供給源102と、第1のタイプのセンサ104と、供給源102を測定(スキャン)するためのシステム50とを含む。システム50は、供給源102を分析および/または監視するためのシステムであってもよい。システム50は、第1の質量電荷比抽出システム106を含む。供給源102はガスを含む。第1の質量電荷比抽出システム106は、第1のタイプのセンサ104に電気的に接続されていてもよい。第1のタイプ(第1の種類)のセンサ104は、ガス混合物における一組のガスに対する測定結果(スキャン結果、スキャン出力)を生成する。測定結果は、検出されたイオンのスペクトルを含み、それは一組のガスに対応する質量電荷比の関数として得られる。一実施形態では、第1のタイプのセンサ104は質量分析計を含む。一実施形態では、第1のタイプのセンサ104の一例が米国特許第9,666,422号に開示されている。第1の質量電荷比抽出システム106は、予定の時間(限られた時間、タイムバジェット)に応答して、Bマトリクス(B行列)で示される、一組のガスを測定するための一組の質量電荷比を抽出する。Bマトリクスは、P、T、CおよびRマトリクスの行列乗算として定義される。Bマトリクスは、次のように表すことができる。
Figure 0006695087
ここで、Pマトリクス(P)は、ピーク形状を表す畳み込みマトリクスであり、
Tマトリクス(T)は、主要な質量電荷比(測定に必要な質量電荷比、測定に不可欠な質量電荷比、m/z)のそれぞれにおける伝達効率(トランスミッション効率)であり、
Rマトリクス(R)は、各ガスに対する相対イオン化ポテンシャルであり、
Cマトリクス(C)は、主要なm/z値における、各ガスに対する理想的な応答を表す基準スペクトルである。
第1の質量電荷比抽出システム106は、一組のガスのノミナル濃度(基準濃度、公称濃度)の逆数のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスを前乗算することで、調整されたBマトリクス(Baマトリクス、Ba)を得る。対角行列は、主対角線の外側のエントリがすべてゼロである行列である。第1の質量電荷比抽出システム106は、さらに、ガス混合物中の一組のガスの予想されたノミナル濃度にわたり、現状の強度を正規化する。一実施形態では、一組のガスに対する主要な質量電荷比(測定に不可欠な質量電荷比)に対応する、調整されたBマトリクス(Ba)のサブマトリクスを、ガス混合物中の一組のガスの予想されたノミナル濃度にわたり、現状の強度を正規化するために使用できる。
第1の質量電荷比抽出システム106は、Ba=U*diag(E)*Vhの特異値分解(SVD)を求める。diag(E)は、Baの固有値を含む対角行列を表す。Baは、調整されたBマトリクス(Ba)の部分マトリクス(小行列)の転置行列である。Bマトリクスは、質量電荷比に対応する行と、ガスに対応する列とで構成されているので、Baの行列転置が必要である。U*diag(E)*Vhは特異値分解(Singular Value Decomposition、SVD)であり、実行列または複素行列への分解である。SVDは、極分解の拡張により、半正定値正規行列の任意の行列(m×n)への固有分解を一般化したものである。第1の質量電荷比抽出システム106は、主成分の数(n)に関連する入力を取得し、diag(E)*Vhの最初の「n」個の行を選択する。主成分は、最大共分散を持つ入力成分の線形結合である新しい変数の正規直交基底における観測値に対応するものである。
最初の「n」行は、Baのいくつかの第1の主成分を含んでもよい。第1の質量電荷比抽出システム106は、第1の主成分のそれぞれのベクトルに、それに対応する固有値を乗算する(例えば、diag(E)の対角要素およびベクトルの合計)。「固有値(Eigen−values)」という用語は、線形連立方程式(すなわち行列方程式)に関連するスカラ値の特別なセットを指す。固有値は、特性根(characteristic roots)、特性値(characteristic values)、固有値(proper values)、または潜在根(latent roots)と呼ばれることがある。一実施形態では、各列は1つの質量電荷比に対応する。第1の質量電荷比抽出システム106は、より大きい固有値を有する主成分により高い重み付けを行う。一実施形態では、第1の質量電荷比抽出システム106は、質量電荷比空間にあるベクトル(すなわち、調整されたBマトリクス(Ba)内のエネルギーの大部分に対応するベクトル)を低次元空間に縮小してもよい。ベクトルを正則化するために、第1の質量電荷比抽出システム106は、閾値(t)以下の質量電荷比(m/z)を除くか、または、測定対象となる上位「m」の質量電荷比を選択する。ここで、「m」は質量電荷比の数である。
システム50および/または第1の質量電荷比抽出システム106は、質量分析計または他の機器内のコントローラ、コンピュータ、携帯電話、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、タブレット、電子ノートブック、またはスマートフォンであってもよい。一実施形態では、第1のタイプのセンサ104は、第1の質量電荷比抽出システム106内に埋め込まれた、またはそれに接続されていてもよい。第1の質量電荷比抽出システム106はクラウドサーバであってもよい。一実施形態では、第1の質量電荷比抽出システム106は、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは任意の半導体装置に実装される。一実施形態では、第1の質量電荷比抽出システム106は、主成分の数(n)および閾値(t)が増加したときに、数を増やして質量電荷比を選択してもよい。
図2は、本明細書の一実施形態による、ガス混合物中の一組のガスに対し、競合しない情報をもつ質量電荷比を次々に選択するためのシステムを含むシステムを示す図である。このシステムは、供給源102と、第1のタイプのセンサ104と、供給源102を測定、分析または監視するためのシステム50とを含む。システム50は、第2の質量電荷比抽出システム202を含む。第2の質量電荷比抽出システム202は、第1のタイプのセンサ104に電気的に接続されていてもよい。第2の質量電荷比抽出システム202は、調整されたB行列(Ba)を得るために、一組のガスのノミナル濃度のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスを前乗算する。
いくつか数の質量電荷比(m)を測定(スキャン、走査)するために、第2の質量電荷比抽出システム202は、ガス混合物中の一組のガスに対する調整されたBマトリクス(Ba)の列において最大の強度を有する第1の質量電荷比を選択する。ガス混合物は、複数のガス「g」を含んでもよい。第2の質量電荷比抽出システム202は、最大強度を有する第1の質量電荷比が既に選択されている場合、次に高い強度を有する第2の質量電荷比を選択してもよい。同様に、第2の質量電荷比抽出システム202は、それに続く最高強度の、それに続く質量電荷比を選択してもよい。第2の質量電荷比抽出システム202は、選択された質量電荷比における全強度の昇順で、複数のガスが、配列され/優先順位付けされてもよい。第2の質量電荷比抽出システム202は、ガス混合物中の第1のガスがまだ選択されていなければ、その第1のガスに対する、調整されたBマトリクス(Ba)の列における最大強度に対応する質量電荷比をさらに選択する。第2の質量電荷比抽出システム202はさらに、第1のガスに対する質量電荷比が存在するか否かを判定する。
第1のガスに対応する質量電荷比が存在する場合、第2の質量電荷比抽出システム202は、その質量電荷比を、質量電荷比のリストに追加して第1のガスの全強度を更新し、選択した質量電荷比の総数を増分する。第2の質量電荷比抽出システム202は、選択された質量電荷比の総数が、測定する(スキャンする、スキャン対象の)質量電荷比の数(m)未満であるかどうかを判定する。選択された質量電荷比の総数が、測定する質量電荷比の数(m)よりも少ない場合、第2の質量電荷比抽出システム202は、選択された質量電荷比の合計強度の昇順で、複数のガスが配列され/優先順位付けされる。第2の質量電荷比抽出システム202はさらに、第1のガスに対する質量電荷比がすでに選択されているかどうかを判定する。第1のガスに対応する質量電荷比が、まだ選択されていなければ、第2の質量電荷比抽出システム202は、次に、複数のガス「g」のリストから第1のガスを削除する。第2の質量電荷比抽出システム202は、複数のガス「g」のリストが空ではないかどうかを判定する。ガス「g」のリストが空ではない場合、第2の質量電荷比抽出システム202は、選択された質量電荷比における全強度の昇順で、複数のガスが配列され/優先順位付けされる。
第2の質量電荷比抽出システム202はクラウドサーバとすることができる。一実施形態では、第2の質量電荷比抽出システム202は、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは任意の半導体装置に実装されてもよい。第2の質量電荷比抽出定システム202は、コントローラ、コンピュータ、携帯電話、PDA(パーソナルデジタルアシスタント)、タブレット、電子ノートブック、スマートフォンまたはクラウドサービスであってもよい。一実施形態では、第1のタイプのセンサ104は、第2の質量電荷比抽出システム202内に埋め込まれてもよい。
図3は、図1の第1の質量電荷比抽出システム106を含むシステム50の展開図であり、第1の質量電荷比抽出システム106は、本明細書の実施形態による、予定の時間内(時間予算内)で測定する、供給源102の一組のガスに対する一組の質量電荷比のセットを選択するためのシステムである。システム50は、分析システムまたは質量分析計システムであってもよい。システム50は、メモリユニットおよびプロセッサ(質量電荷比抽出用のプロセッサ)を含んでもよい。メモリユニットは、データベース302と、システム50のモジュールのセットとを含む。データベース302は、一組のガスについての標準的な断片化およびイオン化ポテンシャルに関連するデータを格納する。専用プロセッサは、第1の質量電荷比抽出システム106および分析器モジュール70となる、マトリクス乗算モジュール61および質量電荷比抽出モジュール62を含むモジュールのセットを実行する。マトリクス乗算モジュール61は、調整されたBマトリクス(Ba)を取得し、第1のマトリクス乗算モジュール304を含む。質量電荷比抽出モジュール62は、調整されたBマトリクスに基づき、所定の時間内で測定する、一組のガスに対する質量電荷比のセット(一組の質量電荷比)を選択し、特異値分解モジュール306、主成分取得モジュール308、主成分乗算モジュール310、質量電荷比除外モジュール312、主要な質量電荷比を選択する(測定に不可欠な質量電荷比を選択する)モジュール314を含む。
第1のマトリクス乗算モジュール304は、調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、一組のガスのノミナル濃度(予定濃度、予想濃度、基準濃度、公称濃度)の逆数のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスを前乗算する。一実施形態では、第1のマトリクス乗算モジュール304は、ガス混合物中の一組のガスの予想ノミナル濃度にわたり、現状の強度(電流強度)を正規化する。一実施形態では、一組のガスに対し主要な質量電荷比(測定に必要な質量電荷比)に対応する調整されたBマトリクス(Ba)のサブ行列を使用して、ガス混合物中の一組のガスの予想ノミナル濃度にわたる現状の強度(電流強度)を正規化することができる。
特異値分解モジュール306は、Ba=U*diag(E)*Vhの特異値分解を求める。diag(E)は、Baの固有値を含む対角行列を表す。Baは、調整されたBマトリクス(Ba)の部分行列のマトリクス転置行列である。Bマトリクスは質量電荷比に対応する行とガスに対応する列とで構成されるので、Baのマトリックス転置が必要である。主成分取得モジュール308は、主成分の数(n)に関連する入力を取得し、diag(E)*Vhの最初の「n」の行を選択する。最初の「n」行は、BaTのいくつかの第1の主成分を含んでもよい。主成分乗算モジュール310は、第1の主成分のそれぞれのベクトルに、それに対応する固有値を乗算する(例えば、diag(E)の対角要素であり、Bマトリクスの各列に、対応する固有値を乗算した第1の主成分のベクトルを合計する)。
一実施形態では、主成分乗算モジュール310は、より大きい固有値を有する主成分を高く重み付けしてもよい。質量電荷比除外モジュール312は、閾値(t)以下の質量電荷比(m/z)を除外する。主要な質量電荷比選択モジュール314は、質量電荷比が閾値(t)以下である全ての質量電荷比を除外(ドロップ)させることによって、測定する上位「m」の質量電荷比を選択する。「m」は質量電荷比の数である。一実施形態では、主要な質量電荷比選択モジュール314は、主成分の数(n)および閾値(t)が増加すれば、数を増やして質量電荷比を選択してもよい。
第1の質量電荷比抽出システム106では、例えば、質量電荷比抽出モジュール62は、所定の時間内で、供給源102のガス混合物を測定するために選択された質量電荷比のセットを含む測定結果を生成または出力するように第1のタイプのセンサ104を制御してもよい。第1の質量電荷比抽出システム106では、例えば、質量電荷比抽出モジュール62は、選択された質量電荷比のセットを含む第1のタイプのセンサ104の測定結果を出力してもよい。分析器(分析モジュール)70は、第1の質量電荷比抽出システム106によって選択された質量電荷比のセットを含む第1のタイプのセンサ104によって生成された測定結果に基づいて、ガス混合物を連続的または断続的に分析または監視する。
図4は、図2の第2の質量電荷比抽出システム202を含むシステム50の展開図であり、システム202は、本明細書の実施形態による、所定の時間内で、供給源102のガス混合物中の一組のガスについて、競合しない情報を含む質量電荷比を次々に選択するためのシステムである。システム50および第2の質量電荷比抽出システム202は、質量分析計システム、分析器または他の一般的または特別な機器であってもよい。システムは、メモリユニットおよびプロセッサ(質量電荷比抽出用のプロセッサ)を含んでもよい。メモリユニットは、データベース402とモジュールのセットとを含む。システムデータベース402は、一組のガス(ガスのセット)の標準的な断片化およびイオン化ポテンシャルに関連するデータを格納する。プロセッサは、第2の質量電荷比抽出システム202および分析器モジュール70のために、マトリクス乗算モジュール61および質量電荷比抽出モジュール62を含むモジュールのセットを実行する。マトリクス乗算モジュール61は、調整されたBマトリクス(Ba)を取得し、第2のマトリクス乗算モジュール404を含む。質量電荷比抽出モジュール62は、調整されたBマトリクスに基づいて、予定の時間内で測定する、一組のガスに対する質量電荷比のセット(一組の質量電荷比)を選択し、質量電荷比選択モジュール406および質量電荷比決定モジュール408を含む。
第2のマトリクス乗算モジュール404は、調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、一組のガスのノミナル濃度のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスを前乗算する。
質量電荷比選択モジュール406は、ガス混合物中の一組のガス(ガスのセット)に対する、調整されたBマトリクス(Ba)の列の中で最大の強度を有する第1の質量電荷比を選択する。ガス混合物は、複数のガス「g」を含んでもよい。質量電荷比選択モジュール406は、最大強度を有する第1の質量電荷比が既に選択されている場合、次に高い強度を有する第2の質量電荷比を選択してもよい。同様に、質量電荷比選択モジュール406は、それに続く最も高い強度を有する、質量電荷比を続いて選択してもよい。質量電荷比選択モジュール406は、選択された質量電荷比における全強度の昇順で、複数のガスが配列され/優先順位付けされてもよい。質量電荷比選択モジュール406は、ガス混合物中の第1のガスがまだ選択されていなければ、第1のガスに対する、調整されたBマトリクス(Ba)の列における最大強度に対応する質量電荷比をさらに選択する。
質量電荷比決定モジュール408は、さらに、第1のガスに対する質量電荷比が存在するか否かを判定する。第1のガスに対する質量電荷比が存在する場合、質量電荷比決定モジュール408は、その質量電荷比を、質量電荷比のリストに追加し、第1ガスの全強度を更新し、選択した質量電荷比の総数を増分する。質量電荷比決定モジュール408は、選択された質量電荷比の総数が、測定する質量電荷比の数(m)未満であるか否かを判定する。選択された質量電荷比の総数が、測定する質量電荷比の数(m)よりも少ない場合、質量電荷比決定モジュール408は、選択された質量電荷比の合計強度の昇順で、複数のガスを配列し/優先順位付けする。質量電荷比決定モジュール408は、第1のガスに対する質量電荷比が存在するか否かを判定する。第1のガスに対する質量電荷比が存在していなければ、質量電荷比決定モジュール408は、次に、複数のガス「g」のリストから第1のガスを削除する。質量電荷比決定モジュール408は、複数のガス「g」のリストが空ではないか否かを判定する。ガス「g」のリストが空ではなければ、第2の質量電荷比抽出システム202は、選択された質量電荷比における全強度の昇順でガスを配列し/優先順位付けする。
第2の質量電荷比抽出システム202は、また、予定の時間内(時間予算内)で供給源102のガス混合物を測定(スキャン)するために選択された質量電荷比のセット(一組の質量電荷比)を含む測定結果を生成または出力するように第1のタイプのセンサ104を制御してもよい。第2の質量電荷比抽出システム202は、選択された質量電荷比のセットを含む、第1のタイプのセンサ104の測定結果を出力してもよい。分析モジュール70は、第2の質量電荷比抽出システム202によって選択された質量電荷比のセットを含む測定結果に基づいて、ガス混合物を分析または監視する。
図5は、本明細書の実施形態による、ガス混合物中の一組のガス(ガスのセット)に対する一組の質量電荷比(質量電荷比のセット)を選択するためのプロセスを示すフローチャートである。ステップ502において、Bマトリクス、主成分の数(n)、閾値(t)、または質量電荷比の数(m)を含む入力を取得する。ステップ504において、一組のガスのノミナル濃度の逆数のベクトルから作成される対角マトリクスでBマトリクスが前乗算され、調整されたBマトリクス(Ba)を得る。ステップ506において、Ba=U*diag(E)*Vhの特異値分解(SVD)が求められる。ステップ508において、主成分の数(n)に関連する入力が取得され、diag(E)*Vhの最初の「n」個の行が選択される。第1の主成分のそれぞれのベクトルは、それに対応する固有値(例えば、diag(E)の対角要素)で乗算される。対応する固有値で乗算された第1の主成分のベクトルが各列に追加される。ステップ510において、閾値「t」を上回る上位の主要な質量電荷比が、閾値(t)を下回る質量電荷比(m/z)を除外することによって選択される。
図6は、本明細書の一実施形態による、測定する一組のガス(ガスのセット)に対し、競合しない情報として(競合しないように)、質量電荷比を次々と選択するためのプロセスを示すフローチャートである。プロセスは、ステップ602で始まる。ステップ604において、Bマトリクス、および質量電荷比の数(m)を含む入力が得られる。ステップ606において、ガス混合物中の一組のガスに対する調整されたBマトリクス(Ba)の列において最大の強度を有する第1の質量電荷比(m/z)が選択される。一実施形態では、最大強度を有する第1の質量電荷比がすでに選択されている場合、次に高い強度を有する第2の質量電荷比(m/z)が選択される。ステップ608において、複数のガスは、選択された質量電荷比における全強度の昇順で配列され/優先順位付けされる。
ステップ610において、第1のガスに対する質量電荷比が存在するか否かが求められる。第1のガスの質量電荷比が存在すれば、ステップ612において、その質量電荷比が、質量電荷比のリストに追加され、第1のガスの全強度を更新し、選択した質量電荷比の総数が増分される。第1のガスに対する質量電荷比が存在しなければ、ステップ614において、第1のガスが、複数のガス「g」のリストから削除される。ステップ616において、選択された質量電荷比の総数が、測定する質量電荷比の数(m)未満であるかどうかが判定される。選択された質量電荷比の総数が測定する質量電荷比の数(m)よりも少ない場合、選択された質量電荷比の合計強度の昇順でガスが配列され/優先順位付けされる。選択された質量電荷比の総数が質量電荷比の数(m)以上であれば、プロセスはステップ620で終了する。ステップ618において、複数のガス「g」のリストが空でないか否かが判定される。ガス「g」のリストが空ではなければ、システム202は、選択された質量電荷比における全強度の昇順で、複数のガスを配列/優先順位付けする。ガスが、ガスのリストに含まれていない場合、プロセスはステップ620で終了する。
図7は、本明細書の実施形態による、図1の測定するガス混合物中の一組のガスに対する質量電荷比のセット(一組の質量電荷比)を選択するステップを含む、コンピュータ実装方法を示すフローチャートである。ステップ702において、第1のタイプのセンサ104を使用してガス混合物中の一組のガスに対する測定結果が生成される。測定結果は、一組のガスに対応する質量電荷比の関数として、検出されたイオンのスペクトルを含む。ステップ704において、第1のマトリクス乗算モジュール304を用いて、調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、ガスのノミナル濃度の逆数のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスが前乗算(pre-multiplied)される。ステップ706において、特異値分解モジュール306を用いて、Ba=U*diag(E)*Vhの特異値分解が求められる。Baは、調整されたBマトリクス(Ba)の部分マトリクスの転置行列である。U*diag(E)*Vhは、特異値分解(SVD)であり、実数行列または複素数行列の行列分解である。
ステップ708において、主成分取得モジュール308を用い、入力に基づいて、Baの第1の主成分の数が取得される。ステップ710において、主成分乗算モジュール310を用いて、第1の主成分の各ベクトルはその対応する固有値で乗算され、Bマトリクスの各列について、対応する固有値を乗算した第1の主成分のベクトルが加算される。ステップ712において、主要な質量電荷比選択モジュール314を使用して、質量電荷比が閾値(t)を下回るときに、それら全ての質量電荷比を落とす(除外する)ことにより、測定対象となる上位の主要な質量電荷比が選択される。一実施形態では、質量電荷比除外モジュール312を用いて、質量電荷比(m/z)が閾値(t)を下回ると、質量電荷比が除外される(落とされる)。
図8A−8Bは、本明細書の一実施形態による、ガス混合物中の一組のガス(ガスのセット)に対し競合しない情報を持つ質量電荷比を次々に選択するためのコンピュータ実装方法を示すフローチャートである。ステップ802において、第1のタイプのセンサ104を用いて、ガス混合物中の一組のガスに対する測定結果が生成される。ステップ804において、第2のマトリクス乗算モジュール404を用いて、調整されたBマトリクス(Ba)を得るため、ガスのノミナル濃度のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスが前乗算される。ステップ806において、質量電荷比選択モジュール406を用い、調整されたBマトリクス(Ba)の列において最大の強度を有する第1の質量電荷比が選択される。ステップ808において、質量電荷比選択モジュール406を用い、選択された質量電荷比におけるBマトリクス内の全強度の昇順に複数のガスが優先順位付けされる。ステップ810において、質量電荷比選択モジュール406を用い、最大強度を有する第1の質量電荷比(最初の質量電荷比)がすでに選択されていれば、次に高い強度を有する第2の質量電荷比(2番目の質量電荷比)が選択される。ステップ812において、質量電荷比決定モジュール408を用い、質量電荷比が第1のガスに対して存在するか否かを判定する。
ステップ814で、質量電荷比決定モジュール408を用い、ガス混合物中の一組のガス(ガスのセット)に優先順位を付けるための質量電荷比の総数より、選択された質量電荷比の総数が少ないか否かを判定する。ステップ816で、質量電荷比決定モジュール408を用い、ガスのリストが空でないか、またはガス混合物中の一組のガスを優先順位付けできないかを判定する。一実施形態では、質量電荷比決定モジュール408を用い、質量電荷比が第1のガスに対して存在するときに、その質量電荷比が、質量電荷比のリストに追加される。別の実施形態では、質量電荷比決定モジュール408を用い、質量電荷比が第1のガスに対して存在しなければ、ガス混合物のガスのリストから第1のガスが削除される。
図9は、本明細書の一実施形態による、予定の時間内で、高精度で、質量電荷比を測定する(スキャンする)ための制御ループを示すブロック図である。ブロック図は、制御入力902(例えば基準ガス試料)と、コントローラ904と、システム906と、第1のタイプのセンサ104とを含む。コントローラ904は、システム906と電気的に接続されてもよい。コントローラ904は、予定の時間内で、高精度で、安定的に、一組のガス(ガスのセット)を取得し、その一組のガスを制御してもよい。制御ループにおいて、システム906と一体化されている第1のタイプのセンサ104を使用して、一組のガスに対する質量電荷比が、所定の予定の時間内で測定される。一実施形態では、一組のガスのための複数の質量電荷比が、第1のタイプのセンサ104の精度で、予定の時間内で測定される。一実施形態では、図5に開示されている方法を用い、所定の精度および予定の時間(すなわち、複数の質量電荷比を測定(スキャン)するための応答時間)で測定するために、一組の質量電荷比(質量電荷比のセット)が選択/抽出される。別の実施形態では、図6に開示されている方法を用い、所定の精度および予定の時間(すなわち、質量電荷比を測定するための応答時間)で、一組の質量電荷比(質量電荷比のセット)が、一組のガスについて競合しない情報を持ち、次々に選択され、測定される。
本明細書の実施形態によって提供される技法は、集積回路チップ(図示せず)上に実装することができる。チップ設計は、グラフィカルコンピュータプログラミング言語で作成され、コンピュータ記憶媒体(ディスク、テープ、物理ハードドライブ、またはストレージアクセスネットワークなどの仮想ハードドライブなど)に格納される。設計者がチップ、またはチップを製造するために使用されるフォトリソグラフィマスクを製造しない場合、設計者は、得られる設計を物理的手段によって(例えば、設計を記憶する記憶媒体のコピーを提供することによって)、または電子的に(例えばインターネットを通じて)、直接的または間接的に、そのような会社に送信する。
格納された設計は次に、フォトリソグラフィマスクの製造に適したフォーマット(例えば、GDSII)に変換され、それは通常、ウェハ上に形成されるべき対象のチップ設計の複数のコピーを含む。フォトリソグラフィマスクは、エッチングまたは他の方法で処理されるウェハ(および/またはその上の層)の領域を画定するために利用される。
結果として得られる集積回路チップは、そのままのウェハ形態(すなわち、複数のパッケージされていないチップを有する単一のウェハ)として、ベアダイとして、またはパッケージ形態で、製造業者によって流通されてもよい。後者の場合、チップは単一チップパッケージ(マザーボードまたは他のより高いレベルのキャリアに固定されたリードを有するプラスチックキャリアなど)またはマルチチップパッケージ(表面相互接続または埋込み相互接続のいずれかまたは両方を有するセラミックキャリアなど)の中にマウントされる。いずれにせよ、チップは次に、(a)マザーボードなどの中間製品、または(b)最終製品の一部として、他のチップ、個別の回路素子、および/または他の信号処理装置と一体化される。最終製品は、玩具および他のローエンド用途から、ディスプレイ、キーボードまたは他の入力装置、および中央プロセッサを有する高度なコンピュータ製品までの範囲にわたる集積回路チップを含む任意の製品とすることができる。
本明細書の実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、またはハードウェア要素とソフトウェア要素の両方を含む実施形態の形をとることができる。ソフトウェアで実施される実施形態は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むがこれらに限定されない。さらに、本明細書の実施形態は、コンピュータまたは任意の命令実行システムによって使用される、またはそれに関連して使用されるプログラムコードを提供する、コンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を取り得る。この説明の目的のために、コンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用される、またはそれに関連して使用されるためのプログラムを含む、格納する、通信する、伝播する、または輸送することができる任意の装置とすることができる。
媒体は、電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線、または半導体のシステム(あるいは装置またはデバイス)または伝搬媒体とすることができる。コンピュータ可読媒体の例には、半導体または固体メモリ、磁気テープ、取り外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、硬質磁気ディスクおよび光ディスクが含まれる。光ディスクの現在の例には、コンパクトディスク−読み取り専用メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク−読み取り/書き込み(CD−R/W)およびDVDが含まれる。
プログラムコードを記憶および/または実行するのに適したデータ処理システムは、システムバスを介してメモリ要素に直接または間接的に結合された少なくとも1つのプロセッサを含む。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実行中に使用されるローカルメモリ、大容量記憶装置、および実行中にコードが大容量記憶装置から検索されなければならない回数を減らすために、少なくともいくつかのプログラムコードの一時記憶を提供するキャッシュメモリを含み得る。
入出力(I/O)装置(キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイス、リモートコントロールなどを含むがこれらに限定されない)は、直接または介在するI/Oコントローラを介してシステムに結合することができる。ネットワークアダプタをシステムに結合して、介在するプライベートネットワークまたはパブリックネットワークを介してデータ処理システムを他のデータ処理システムまたはリモートプリンタまたは記憶装置に結合することも可能になる。モデム、ケーブルモデム、およびイーサネット(登録商標)カードは、現在利用可能なネットワークアダプタのほんの一部である。
図10は、本明細書の一実施形態による、第1のタイプのセンサ104(質量分析計)の斜視図を示す。第1のタイプのセンサ104は、一組のガス1002と、電子銃1004と、電磁石1006と、イオンビーム1008と、イオン検出器1010とを含む。イオン化される一組のガス(ガスのセット)1002は、供給源102から得られる。電子銃1004は、イオン化粒子から電子を追加または除外することにより、一組のガス1002の粒子をイオン化する。電子銃1004は、電子イオン化プロセスを用いて、気化されたまたは気体状態の粒子をイオン化する。第1のタイプのセンサ104内の電磁石1006は、荷電粒子の質量(すなわち、重量)を測定するための電界または磁界を発生させる。磁場は、それらの運動量(すなわち、それらの質量にしたがい、磁場による力を、イオンを分離するためにどのくらい使用できるか)に従ってイオンを分離する。分離されたイオンは質量分析器を通ってイオン検出器1010上に向けられる。一実施形態では、断片(フラグメント)の質量の違いにより、質量分析器はそれらの質量電荷比を用いてイオンを分類することができる。イオン検出器1010は、指標量の値を測定し、したがって一組のガス1002中に存在する各イオンの存在量を計算するためのデータを提供する。イオン検出器1010は、イオンが表面を通過するとき、または表面に衝突するときに誘導される電荷または生成される電流のいずれかを記録する。一実施形態では、質量スペクトルは、第1の質量電荷比抽出システム106または第2の質量電荷比抽出システム202に表示される。
本明細書の実施形態を実施するための代表的なハードウェア環境を図11に示す。この概略図は、本明細書の実施形態による第1の質量電荷比抽出システム106/第2の質量電荷比抽出システム202のハードウェア構成を示す。質量電荷比抽出システム(106、202)は、少なくとも1つのプロセッサまたは中央処理装置(CPU)10を含む。CPU10はシステムバス12を介してランダムアクセスメモリ(RAM)14、読み出し専用メモリ(ROM)16、および入出力(I/O)アダプタ18といった種々の装置に相互接続されている。I/Oアダプタ18は、ディスク装置11およびテープドライブ13などの周辺装置、あるいはシステムによって読み取り可能な他のプログラム記憶装置に接続することができる。質量電荷比抽出システム(106、202)は、プログラム記憶装置上で本発明の命令を読み取り、これらの命令に従って本明細書の実施形態の方法を実行することができる。
質量電荷比抽出システム(106、202)は、キーボード15、マウス17、スピーカ24、マイクロフォン22、および/またはタッチスクリーン装置(図示せず)またはリモコンなどの他のユーザインタフェース装置を、ユーザ入力を集めるためのバス12に接続する、ユーザインタフェースアダプタ19をさらに含む。さらに、通信アダプタ20は、バス12をデータ処理ネットワーク25に接続し、ディスプレイアダプタ21は、バス12を、例えばディスプレイ、モニター、プリンタまたは送信機のような出力装置として具体化され得るディスプレイ装置23に接続する。
第1の質量電荷比抽出システム106は、以下のように3つのガス試料(ガスサンプル、例えば、ガス0、ガス1、およびガス2)および合計で10の質量電荷比(m/zs)(例えば、1m/z〜10m/z)をBマトリクスで得る。
Figure 0006695087
ここで、Pマトリクス(ピーク形状を表す畳み込みマトリクス)、Tマトリクス(各主要なm/zにおける伝達効率(transmission efficiencies))、およびRマトリクス(各ガスに対する相対イオン化ポテンシャル)は単位行列(すなわち対角線上に1を有する対角行列)である。Cマトリクス(各ガスの主要なm/z値における理想的な応答を表す参照スペクトル)は、Bマトリクスと同じ行列である。
第1の質量電荷比抽出システム106は、予定の時間を設定し、その中で、以下のノミナル濃度(基準濃度、公称濃度)で3つの質量電荷比を測定することを可能にする。
Figure 0006695087
一実施形態では、第1の質量電荷比抽出システム106は、質量計の出力を、質量電荷比に対応して、以下のベクトルで表す。
Figure 0006695087
第1の質量電荷比抽出システム106は、3つのガス試料に対して前乗算技術(pre-multiplication technique)(図1で説明したように、調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、Bマトリクスを対角行列で前乗算する)を適用し、以下のようにスケーリングされたBマトリクスを得る。
Figure 0006695087
第1の質量電荷比抽出システム106は、図5で説明した方法を適用して、3つのガスサンプルの複数の質量電荷比について、以下の順位付け(重みづけ)を得る。
Figure 0006695087
第1の質量電荷比抽出システム106は、6番目、4番目、および8番目の質量電荷比を選択することができ、これらは、3つのガスの組成を計算するための質量電荷比のセット(組み合わせ)として適したものである。一実施形態では、4番目の質量電荷比が、3つのガスに対して寄与しているにもかかわらず選択される。
一実施形態では、第2の質量電荷比抽出システム202は、図6で説明した方法を適用し、以下の、調整されたBマトリクス(Ba)を得る。
Figure 0006695087
図6で説明した方法を用い、第2の質量電荷比抽出システム202は、次の順序、すなわち4番目、6番目、8番目の順序で質量電荷比を選択し、同じ結果が得られる。
グリーディ法(すなわち、ベクトル「y」の中で最も信号強度が大きい質量電荷比を選ぶ、欲張りな方法)、図5で説明した方法、図6で説明した方法により、幾つかの予定された時間に対して、選択された質量電荷比を比較する表である。
Figure 0006695087
この表からわかるように、図5に記載の方法および図6に記載の方法により、グリーディ法よりも優れた結果をもたらす。さらに、この表からわかるように、図5に記載の方法および図6に記載の方法により、同様の結果が得られ、わずかな相違は、図6に記載の方法において、質量電荷比の順番が異なる程度である。
上記の態様の1つは、予定の時間内で測定する一組のガス1002に対する一組の質量電荷比(質量電荷比のセット)を選択するためのシステムである。このシステムは、第1のタイプのセンサ104と、第1の質量電荷比抽出システム106とを含む。第1のタイプのセンサ104は、ガス混合物に含まれる一組のガス(ガスのセット)1002に対する測定結果(スキャン出力)を生成する。測定結果は、一組のガス1002に対応する質量電荷比の関数として、検出されたイオンのスペクトルを含む。第1の質量電荷比抽出システム106は、第1のタイプのセンサ104に接続される。第1の質量電荷比抽出システムは、メモリユニットと、質量電荷比抽出用のプロセッサとを備える。メモリユニットは、データベース302と、モジュールのセットとを格納する。データベース302は、一組のガス1002の標準的な断片化およびイオン化ポテンシャルに関連するデータを格納する。質量電荷比抽出用のプロセッサは、モジュールのセットを実行する。モジュールのセットは、第1のマトリクス乗算モジュール、特異値分解モジュール、主成分取得モジュール、主成分乗算モジュール、および主要な質量電荷比選択モジュールを含むことを特徴とする。第1のマトリクス乗算モジュール304は、調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、ガスのノミナル濃度の逆数のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスを前乗算するように構成される。Bマトリクスは、P、T、CおよびRマトリクスの乗算である。P(Pマトリクス)は、ピーク形状を表す畳み込みマトリクスであり、T(Tマトリクス)は、各主要な質量電荷比(integral mass to charge ratio、(m/z))における伝達効率(transmission efficiently)であり、R(Rマトリクス)は、各ガスに対する相対イオン化ポテンシャルであり、C(Cマトリクス)は、参照スペクトル(基準スペクトル)であり、主要なm/z値における、各ガスの理想的な応答を表す。対角行列は、主対角線の外側のエントリがすべてゼロであるマトリクスである。特異値分解モジュール306は、Ba=U*diag(E)*Vhの特異値分解を決定するように構成される。Baは、調整されたBマトリクス(Ba)の部分マトリクスの転置行列である。U*diag(E)*Vhは特異値分解(SVD)であり、実行列または複素行列の行列分解である。主成分取得モジュール308は、入力に基づいて、Baの第1の主成分の数を取得するように構成される。主成分乗算モジュール310は、第1の主成分の各ベクトルを、それに対応する固有値で乗算し、Bマトリクスの各列について、対応する固有値を乗算した第1の主成分のベクトルを加算するように構成される。主要な質量電荷比選択モジュール314は、質量電荷比が閾値(t)以下であると、それら全ての質量電荷比を除外することにより、測定する上位の主要な質量電荷比を選択するように構成される。
一実施形態では、システムはさらに、閾値(t)未満の質量電荷比(m/z)を除外するように構成された質量電荷比除外モジュール312を含む。
別の実施形態では、主要な質量電荷比選択モジュール314は、主成分の数(n)および閾値(t)が増加したときに、増加した数の質量電荷比を選択するように構成される。
上記の別の態様では、予定の時間内で、ガス混合物中の一組のガス(ガスのセット)1002について、競合しない情報の質量電荷比を次々に選択するための質量分析計システムが提供される。質量分析計システムは、第1のタイプのセンサ104および第2の質量電荷比抽出システム202を含む。第1のタイプのセンサ104は、ガス混合物の一組のガス1002に対する測定結果を生成する。測定結果(スキャン出力)は、一組のガス1002に対応する質量電荷比の関数として、検出されたイオンのスペクトルを含む。第2の質量電荷比抽出システム202は、第1のタイプのセンサ104に接続される。第2の質量電荷比抽出システム202は、メモリユニットと、質量電荷比抽出用のプロセッサとを備える。メモリユニットは、データベース402とモジュールのセットとを格納する。システムデータベース402は、一組のガス1002の標準的な断片化およびイオン化ポテンシャルに関連するデータを格納する。質量電荷比抽出用のプロセッサは、モジュールのセットを実行する。モジュールのセットが、第2のマトリクス乗算モジュールと、質量電荷比選択モジュールと、質量電荷比決定モジュールとを含むことを特徴とする。第2のマトリクス乗算モジュール404は、調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、ガスのノミナル濃度のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスを前乗算するように構成される。質量電荷比選択モジュール406は、(a)調整されたBマトリクス(Ba)の列で最大強度を有する質量電荷比を選択し、(b)選択された質量電荷比でBマトリクス内の全強度の昇順でガスを優先順位付けし、(c)最大強度の第1の質量電荷比がすでに選択されている場合は、次に高い強度の第2の質量電荷比を選択するように構成される。質量電荷比決定モジュール408は、(a)質量電荷比が第1のガスに対して存在するか否かを判断し、(b)ガス混合物中の一組のガス1002に優先順位を付けるための、質量電荷比の総数より、選択された質量電荷比の総数が少ないか否かを判定するように構成される。
一実施形態では、質量電荷比決定モジュール408は、(a)第1のガスに対して質量電荷比が存在する場合、質量電荷比のリストに、その質量電荷比を加え、(b)質量電荷比が第1のガスに対して存在しないときは、ガス混合物のガスのリストから第1のガスを削除するように構成される。
他の実施形態では、質量電荷比決定モジュール408は、ガスのリストが空でないか、またはガス混合物中の一組のガス1002を優先順位付けできないかを決定するように構成される。
上記の別の態様では、第1の質量電荷比抽出システム106を用いて、測定するガスサンプルの一組の質量電荷比(質量電荷比のセット)を選択するためのコンピュータ実装方法が提供される。本方法によって特徴付けられるものは、以下のステップを含む。(a)第1のタイプのセンサ104を用いて、ガス混合物中の一組のガス1002に対する測定結果を生成するステップ(702)。(b)第1のマトリクス乗算モジュール304を用いて、調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、ガスのノミナル濃度の逆数のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスを前乗算するステップ(704)。(c)特異値分解モジュール306を用いて、Ba=U*diag(E)*Vhの特異値分解を求めるステップ(706)。(d)主成分取得モジュール308を用いて、入力に基づいて、Baの第1の主成分の数を取得するステップ(708)。(e)主成分乗算モジュール310を用いて、第1の主成分の各ベクトルをその対応する固有値で乗算し、Bマトリクスの各列について、対応する固有値を乗算した第1主成分のベクトルを加算するステップ(710)。および(f)主要な質量電荷比選択モジュール314を用いて、質量電荷比が閾値(t)を下回るときは、それら全ての質量対電荷比を除外することにより、測定する上位の主要な(不可欠の)質量電荷比を選択するステップ(712)。測定結果は、一組のガスに対応する質量電荷比の関数として検出されたイオンのスペクトルを含む。Baは、調整されたBマトリクス(Ba)の部分行列の転置行列である。U*diag(E)*Vhは、特異値分解(SVD)であり、実行列または複素行列の行列分解である。
一実施形態では、この方法はさらに、主要な質量電荷比選択モジュール314を用いて、主成分の数(n)および閾値(t)が増加したときに、増加した数の質量電荷比を選択するステップをさらに含む。
さらに別の態様は、第2の質量電荷比抽出システム202を使用して、ガス混合物中の一組のガス(ガスのセット)1002について、競合しない情報の質量電荷比を次々に選択するためのコンピュータ実装方法である。この方法によって特徴付けられるものは、以下のステップを含む。(a)第1のタイプのセンサ104を用いて、ガス混合物中の一組のガス1002に対する測定結果を生成するステップ(802)。(b)第2のマトリクス乗算モジュール404を用いて、調整されたBマトリクス(Ba)を得るために、ガスのノミナル濃度のベクトルから作成される対角行列でBマトリクスを前乗算するステップ(804)。(c)質量電荷比選択モジュール406を用いて、調整されたBマトリクス(Ba)の列の中で最大の強度を有する第1の質量電荷比を選択するステップ(806)。(d)質量電荷比選択モジュール406を用いて、選択された質量電荷比における、Bマトリクス内の全強度の昇順にガスを優先順位付けするステップ(808)。(e)質量電荷比選択モジュール406を用いて、最大強度を有する第1の質量電荷比がすでに選択されていれば、次に高い強度を有する第2の質量電荷比を選択するステップ(810)。(f)質量電荷比決定モジュール408を用いて、質量電荷比が第1のガスに対して存在するか否かを判断するステップ(812)。(g)質量電荷比決定モジュール408を用いて、ガス混合物中の一組のガス(1002)に優先順位を付けるための質量電荷比の総数よりも、選択された質量電荷比の総数が少ないか否かを判定するステップ(814)。および、(h)質量電荷比決定モジュール408を用いて、ガスのリストが空ではないか否か、またはガス混合物中の一組のガスの優先順位付けが可能か否かを判断するステップ(816)。
一実施形態では、本方法は、以下のステップをさらに含む。(a)質量電荷比決定モジュール408を用いて、質量電荷比が第1のガスに対して存在する場合、質量電荷比のリストに、その質量電荷比を追加するステップ、および(b)質量電荷比決定モジュール408を用いて、質量電荷比が第1のガスに対して存在しない場合に、ガス混合物のガスのリストから第1のガスを削除するステップ。
特定の実施形態の前述の説明は、現在の知識を適用することによって、一般的な概念から逸脱することなく特定の実施形態などの様々な用途に容易に修正および/または適応することができるように本明細書の実施形態の一般的な性質を全て明らかにする。そのような適応および変更は、開示された実施形態の同等物の意味および範囲内で包含されるべきであり、包含されることを意図している。本明細書で使用されている表現または用語は説明を目的としており、限定を目的としていないことを理解されたい。したがって、本明細書の実施形態は好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者は、本明細書の実施形態が添付の特許請求の範囲の精神および範囲内で修正を加えて実施できることを認識するであろう。

Claims (17)

  1. 第1のタイプのセンサを使用してガス混合物を測定するためのシステムであって、前記第1のタイプのセンサは、前記ガス混合物中の一組のガスに対して測定結果を生成し、前記測定結果は、前記一組のガスに対応する質量電荷比の関数として検出された複数のイオンのスペクトルを含み、
    当該システムは、
    前記一組のガスの標準的な断片化およびイオン化ポテンシャルに関連する標準参照データを格納するデータベースと、
    モジュールのセットとを有し、
    前記モジュールのセットは、
    前記標準参照データに関するP、T、CおよびRマトリクスであって、前記Pマトリクスは、ピーク形状を表す畳み込み行列であり、前記Tマトリクスは、主要な質量電荷比のそれぞれにおけるトランスミッション効率であり、前記Rマトリクスは、各ガスに対する相対イオン化ポテンシャルであり、前記Cマトリクスは、前記主要な質量電荷比における各ガスに対する理想的な応答を表すリファレンススペクトルであり、前記P、T、CおよびRマトリクスの乗算により得られるBマトリクスを、前記一組のガスのノミナル濃度のベクトルから生成される対角行列で前乗算し、調整されたBマトリクスを得るように構成されたマトリクス乗算モジュールと、
    前記一組のガスに対し、前記調整されたBマトリクスに基づき、予定の時間内で測定するための一組の質量電荷比を選択するように構成された質量電荷比抽出モジュールとを含む、システム。
  2. 請求項1において、
    前記マトリクス乗算モジュールは、前記一組のガスの前記ノミナル濃度の逆数のベクトルから生成される前記対角行列で前記Bマトリクスを前乗算することにより、前記調整されたBマトリクスを得るように構成された第1のマトリクス乗算モジュールを含み、
    前記質量電荷比抽出モジュールは、
    Ba=U*diag(E)*Vhの特異値分解を求めるように構成された特異値分解モジュールであって、前記Baは前記調整されたBマトリクスの部分行列の転置行列であり、前記U*diag(E)*Vhは特異値分解であり、実行列または複素行列の行列分解である、特異値分解モジュールと、
    入力に基づいて、前記Baの第1の主成分の数を取得するように構成された主成分取得モジュールと、
    前記第1の主成分の各ベクトルに、それに対応する固有値を乗算し、前記Bマトリクスの各列について、対応する固有値を乗算した前記第1の主成分のベクトルを加算するように構成された主成分乗算モジュールと、
    質量電荷比に対応する前記固有値が閾値以下であるすべての質量電荷比を除外することにより、測定する上位の主要な質量電荷比を選択するように構成された、主要な質量電荷比選択モジュールとを含む、システム。
  3. 請求項2において、
    前記質量電荷比抽出モジュールは、前記質量電荷比に対応する固有値が前記閾値以下の前記質量電荷比を除外するように構成された質量電荷比除外モジュールをさらに含む、システム。
  4. 請求項2または3において、
    前記主要な質量電荷比選択モジュールは、前記主成分の数および前記閾値が増加したときに、前記増加した数の質量電荷比を選択するように構成される、システム。
  5. 請求項1において、
    前記マトリクス乗算モジュールは、前記一組のガスの前記ノミナル濃度のベクトルから生成される前記対角行列を前記Bマトリクスに前乗算し、前記調整されたBマトリクスを得るように構成された第2のマトリクス乗算モジュールを含み、
    前記質量電荷比抽出モジュールは、
    前記調整されたBマトリクスの列の最大強度を有する質量電荷比を選択し、
    前記選択された質量電荷比において、前記Bマトリクス中の全強度の昇順で前記ガスを優先順位付けし、
    最大強度を有する第1の質量電荷比が既に選択されていれば、次に高い強度を有する第2の質量電荷比を選択するように構成された質量電荷比選択モジュールと、
    第1のガスに対して選択された前記質量電荷比が存在するか否かを判定し、
    前記ガス混合物中の前記一組のガスに優先順位付けるための質量電荷比の総数より、前記選択された質量電荷比の総数が少ないか否かを判断するように構成された質量電荷比決定モジュールとを含む、システム。
  6. 請求項5において、
    前記質量電荷比決定モジュールは、さらに、
    前記第1のガスに対して前記質量電荷比が存在する場合、質量電荷比のリストに前記質量電荷比を加え、
    前記質量電荷比が前記第1のガスに対して存在しない場合、前記ガス混合物のガスのリストから前記第1のガスを削除するように構成されている、システム。
  7. 請求項5または6において、
    前記質量電荷比決定モジュールは、さらに、
    前記ガスのリストが空でないか、または、前記ガス混合物中の前記一組のガスを優先順位付けできないかを判断するように構成される、システム。
  8. 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
    前記モジュールのセットは、選択された前記一組の質量電荷比を含む前記測定結果に基づいて前記ガス混合物を分析するように構成された分析モジュールをさらに含む、システム。
  9. 請求項1ないし8のいずれかにおいて、さらに、
    前記データベースおよび前記モジュールのセットを格納するメモリと、
    前記モジュールのセットを実行するプロセッサとを有する、システム。
  10. 請求項1ないし9のいずれかにおいて、さらに、
    第1のタイプのセンサを有する、システム。
  11. 第1のタイプのセンサを用いて測定するガス混合物の一組の質量電荷比を選択することを含む、コンピュータに実装される方法であって、前記第1のタイプのセンサは、前記ガス混合物中の一組のガスに対する測定結果を生成し、前記測定結果は、前記一組のガスに対応する質量電荷比の関数として検出されたイオンのスペクトルを含み、前記質量電荷比のセットを選択することは、
    P、T、CおよびRマトリクスの乗算により得られるBマトリクスであって、前記Pマトリクスは、ピーク形状を表す畳み込み行列であり、前記Tマトリクスは、主要な質量電荷比のそれぞれにおけるトランスミッション効率を示し、前記Rマトリクスは、各ガスに対する相対イオン化ポテンシャルを示し、前記Cマトリクスは、前記主要な質量電荷比における各ガスに対する理想的な応答を表すリファレンススペクトルであり、調整されたBマトリクスを得るために、前記一組のガスのノミナル濃度のベクトルから生成される対角行列で前記Bマトリクスを前乗算することと、
    前記調整されたBマトリクスに基づいて、予定の時間内で、前記一組のガスを測定するための前記一組の質量電荷比を抽出することとを含む、方法。
  12. 請求項11において、
    前記前乗算することは、前記調整されたBマトリクスを得るために、前記一組のガスの前記ノミナル濃度の逆数のベクトルから生成される前記対角行列で前記Bマトリクスを前乗算することを含み、
    前記抽出することは、
    Ba=U*diag(E)*Vhの特異値分解であって、前記Baは前記調整されたBマトリクスの部分行列の転置行列であり、前記U*diag(E)*Vhは特異値分解であり、実行列または複素行列の行列分解である、特異値分解を求めることと、
    入力に基づいて前記Baの第1の主成分の数を取得することと、
    前記第1の主成分の各ベクトルに、それに対応する固有値を乗算し、前記Bマトリクスの各列について、対応する固有値を乗算した前記第1の主成分の前記ベクトルを加算することと、
    質量電荷比に対応する前記固有値が閾値以下であるすべての質量電荷比を除外することにより、測定する上位の主要な質量電荷比を選択することとを含む、方法。
  13. 請求項12において、
    前記抽出することは、さらに、前記主成分の数および前記閾値が増加したときに、増加した数の質量電荷比を選択することを含む、方法。
  14. 請求項11において、
    前記前乗算することは、前記調整されたBマトリクスを得るために、前記一組のガスの前記ノミナル濃度の前記ベクトルから生成される対角行列で前記Bマトリクスを前乗算することを含み、
    前記抽出することは、
    前記調整されたBマトリクスの列の最大強度を有する質量電荷比を選択することと、
    前記選択された質量電荷比において、前記Bマトリクス中の全強度の昇順で前記ガスを優先順位付けすることと、
    最大強度を有する第1の質量電荷比が既に選択されているときは、次に高い強度を有する第2の質量電荷比を選択することと、
    第1のガスに対して選択された前記質量電荷比が存在するか否かを判断することと、
    前記ガス混合物中の前記一組のガスに優先順位付けするための質量電荷比の総数より前記選択された質量電荷比の総数が少ないか否かを判断することと、
    前記ガスのリストが空でないか、または前記ガス混合物中の前記一組のガスを優先順位付けできないかを判断することとを含む、方法。
  15. 請求項14において、
    前記抽出することは、さらに、
    前記第1のガスに対して前記質量電荷比が存在する場合、質量電荷比のリストに前記質量電荷比を追加することと、
    前記質量電荷比が前記第1のガスに対して存在しない場合、前記ガス混合物のガスのリストから前記第1のガスを削除することとを含む、方法。
  16. 請求項11ないし15のいずれかにおいて、さらに、
    前記選択された一組の質量電荷比の測定結果に基づいて、前記ガス混合物を分析することをさらに有する、方法。
  17. コンピュータが、請求項1ないし9のいずれかに記載のシステムとして動作するための命令を含む、コンピュータプログラム。
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