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JP6718354B2 - 廃棄物の焼却処理方法 - Google Patents
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本発明は、可燃物を含む廃棄物の焼却処理方法に関する。
現在使用が禁止されている有害なPCBを含有する廃棄物は、専用の焼却炉において焼却処理されることで無害化される。PCB含有廃棄物の焼却処理方法として、特許文献1には、PCB含有廃棄物を上方が開放されたドラム缶等の容器に収容し、その状態でドラム缶を炉内に搬入して加熱処理を行う方法が開示されている。
ところで、PCBを含有する廃棄物には、絶縁紙とアルミ箔で構成されるコンデンサ素子などの可燃物を多く含有するものがある。例えば素子中の絶縁紙には、PCB汚染油が含浸されており、焼却処理時の発熱量が大きくなる。このような可燃物を含む廃棄物を一度に大量に焼却炉に搬入すると、燃焼反応による発熱量が大きくなりすぎてしまう。その結果、焼却炉の許容温度の上限を超過した高温状態となり、焼却炉の炉材が劣化、損傷するおそれがある。また、急激な燃焼反応による一時的な酸素の欠乏によって、炉内のCO濃度の上昇を招き、CO濃度を低減させるための排ガス処理の負荷が増大することも懸念される。
それらの問題を未然に防ぐ手法として、特許文献2には可燃物の導入路に散水装置を備えた焼却処理装置が開示されている。特許文献2では可燃物への散水量を調節することで過剰燃焼の抑制を図っている。
特開2011−56504号公報 特開2016−90148号公報
しかしながら、特許文献2の焼却処理装置は、散水により廃棄物の燃焼開始時期を遅らせることはできるが、同一のタイミングで焼却処理装置に投入された廃棄物の燃焼は、廃棄物の投入後、同時期に開始されることになる。したがって、特許文献2の焼却処理装置を以てしても、同一のタイミングで投入された廃棄物は、依然として一度に大量に燃焼されることになる。このため、前述のような焼却炉の炉材の劣化や損傷、CO濃度の上昇に起因する排ガス処理の負荷の増大といった懸念事項は解消されない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、可燃物を含む廃棄物の焼却処理において、焼却炉に搬入された廃棄物が一度に大量に燃焼することを抑制することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、可燃物を含む廃棄物の焼却処理方法であって、貯液性を有し、かつ開口部を有した、複数の収容領域それぞれに該廃棄物が収容され、かつ各収容領域内の沸騰性液体の量がそれぞれ異なる状態となるように前記沸騰性液体が前記収容領域に入れられることで構成される焼却対象単位を焼却炉に搬入し、前記廃棄物の焼却処理を行うことを特徴としている。
本発明によれば、可燃物を含む廃棄物の焼却処理において、焼却炉に搬入された廃棄物が一度に大量に燃焼することを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る焼却炉の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る廃棄物の収容状態を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本実施形態ではPCBを含有する廃棄物の焼却処理を例に挙げて説明する。まず、廃棄物Wを焼却する焼却炉10は、図1に示すように加熱処理前の廃棄物Wが待機する搬入待機室11と、廃棄物Wの加熱処理を行う処理室12と、加熱処理後の廃棄物Wが待機する搬出待機室13を備えている。搬入待機室11と処理室12の間、および、処理室12と搬出待機室13との間には開閉自在な扉14が設けられている。
処理室12は、廃棄物Wを加熱する昇温部12aと、加熱された廃棄物Wの温度を保持する温度保持部12bと、廃棄物Wを冷却する冷却部12cとを有している。また、処理室12の昇温部12aには、処理室内で発生する排ガスを排気する排気管15が接続されている。廃棄物Wは、台車2に載せられた上部が開放された状態のドラム缶3に収容されている。なお、図1では焼却炉10の構造を説明するために、1つのドラム缶3が台車2に載せられた状態を簡易的に示しているが、より詳細に説明すると、図2のように台車2に3つのドラム缶3が載せられている。
次に、本実施形態に係る廃棄物の焼却処理方法について説明する。
まず、図2に示すように3つのドラム缶それぞれに廃棄物Wを収容し、各ドラム缶3を台車2に載せる。本実施形態においては、3つのドラム缶3に収容される廃棄物Wの合計量が従来の台車1台分に載せる廃棄物の量と等しくなっている。
続いて、3つのドラム缶3のうち、2つのドラム缶3に水を入れる。このとき、2つのドラム缶3に入れる水の量を互いに異なる量とする。一方で、残りの1つのドラム缶3には水を入れない。このようにして、廃棄物Wが収容される各ドラム缶内の水の量を互いに異なる状態とする。以下の説明では、廃棄物Wが収容され、かつ水の量が互いに異なる状態となった3つのドラム缶3を総称して“焼却対象単位U”という。本実施形態における廃棄物の処理方法では、複数の焼却対象単位Uが設けられ、各焼却対象単位Uが順次焼却炉10に搬入されていく。また、以下の説明では、水が入っていないドラム缶3を第1のドラム缶3a、水が入っている2つのドラム缶3のうち、水の量が少ない方のドラム缶3を第2のドラム缶3b、水の量が多い方のドラム缶3を第3のドラム缶3cと称する。また、第1のドラム缶3aに収容されている廃棄物を第1の廃棄物W、第2のドラム缶3bに収容されている廃棄物を第1の廃棄物W、第3のドラム缶3cに収容されている廃棄物を第3の廃棄物Wと称する。
各ドラム缶3の水の量がそれぞれ異なる状態のまま、焼却炉内に台車2が搬入され、焼却対象単位Uは搬入待機室11を介して処理室12に到達する。ここで各ドラム缶内の廃棄物Wが加熱されることになる。このとき、第1の廃棄物Wは、第1のドラム缶3a内において処理室内の雰囲気に接した状態にあり、第2の廃棄物Wおよび第3の廃棄物Wに先立って燃焼が開始される。一方、第2の廃棄物Wおよび第3の廃棄物Wは、それぞれ第2のドラム缶3b内および第3のドラム缶3cの内部に水蒸気が満たされた状態にあり、第2の廃棄物Wおよび第3の廃棄物Wの燃焼は開始されない。ただし、第2のドラム缶3bおよび第3のドラム缶3cの水は加熱されることで蒸発速度が速まり、水量が減っていく。この間に第1の廃棄物Wに含まれる可燃物の燃焼により第1のドラム缶3aにおける発熱量が大きくなるが、ドラム缶1つ分の廃棄物の過剰燃焼であるため、台車1台あたりの過剰燃焼による発熱量は従来よりも小さくなっている。
第2のドラム缶3bに貯留する水の蒸発が進行し、第2のドラム缶3bに貯留されていた水が無くなると、第2の廃棄物Wの温度がさらに上昇して、燃焼が開始される。この頃には、第1の廃棄物Wの過剰燃焼による発熱量が最大となる燃焼のピークは過ぎている。このため、第2のドラム缶3bの水が更に蒸発し、第2の廃棄物Wが燃焼のピークを迎える頃には、第1の廃棄物Wの発熱量は小さくなっているか、燃焼自体が既に終了している。一方、第2のドラム缶3bよりも多くの水が貯留している第3のドラム缶3cでは依然として水が残った状態にあり、第3の廃棄物Wの燃焼は開始されない。
そして、第3のドラム缶3cの水の蒸発が進行し、第3のドラム缶3cに貯留されていた水が無くなると、第3の廃棄物Wの温度がさらに上昇して、燃焼が開始される。この頃には、第2の廃棄物Wの燃焼のピークは過ぎている。このため、第3のドラム缶3cの水が更に蒸発し、第3の廃棄物Wが燃焼のピークを迎える頃には、第2の廃棄物Wの発熱量は小さくなっているか、燃焼自体が既に終了している。
その後、処理室12を通過する間に第3の廃棄物Wの燃焼も終了し、搬出待機室13を介して焼却対象単位Uが炉外に搬出される。
このように、本実施形態に係る廃棄物の焼却処理方法では、廃棄物Wを3つのドラム缶3に分けて収容し、各ドラム缶内の水の量を異なる量とした状態で廃棄物Wを焼却炉に搬入する。この状態で廃棄物の焼却処理を行うことにより、各ドラム缶3に収容された廃棄物Wの燃焼ピークの発生タイミングをずらすことが可能となる。即ち、同一のタイミングで搬入された廃棄物Wが一度に大量に燃焼することを回避することができ、廃棄物の同時燃焼による過大な発熱に起因する炉材の劣化や損傷を抑えることができる。また、急激な燃焼反応を抑えることができるため、CO濃度の上昇を抑えることができ、排ガス処理の負荷を軽減することが可能となる。
また、本実施形態に係る廃棄物の焼却処理方法では、各ドラム缶3に収容された廃棄物Wの燃焼ピークの発生タイミングを自在に制御することができるため、例えば焼却炉の内面炉材のうち燃焼ガスによる劣化が進みやすい箇所において燃焼ピークが発生しないようにコントロールをするなどして焼却炉全体としての延命化を図る等の応用も可能である。
なお、本実施形態ではPCBを含有する廃棄物を焼却処理対象物としたが、焼却処理対象物は、可燃物を含む廃棄物であれば、PCBを含有しないものであっても良い。
また、本実施形態では3本のドラム缶のうち、1本のドラム缶には水を入れていないが、ドラム缶が複数用いられる場合には全てのドラム缶に水を入れても良い。この場合であっても、各ドラム缶の水の量が互いに異なっていれば、各廃棄物の燃焼開始時期をずらすことは可能である。
また、本実施形態ではドラム缶3に水を入れることとしたが、ドラム缶3に入れるものは水に限定されない。沸点が焼却炉の炉外温度よりも高く、炉内温度よりも低い、不燃性の液体または液状含水物であれば良い。本発明においては、このような液体または液状含水物を“沸騰性液体”と称する。なお、炉や排ガス、焼却処理に与える影響がなく、量の調節が容易であるという観点から、沸騰性液体は水であることが好ましい。また、各ドラム缶3に入れる沸騰性液体の量は、沸騰性液体として用いる液体の種類や炉内における沸騰性液体の蒸発の早さに応じて適宜変更されるものであるが、1つのドラム缶内の廃棄物が十分に燃焼してから、他のドラム缶内の廃棄物の燃焼が開始されるような量に調節することが好ましい。
また、本実施形態では上部が開放された状態のドラム缶3に廃棄物Wを収容することとしたが、収容する容器について必ずしも上部の全面が開放されている必要はなく、炉室内で沸騰性液体が蒸発した際に、蒸発したガスが容器から排出されるための開口部が設けられていればよい。さらにまた、廃棄物Wを収容する容器はドラム缶3に限定されず、他の容器であっても良い。なお、水を入れやすく、搬送しやすいという観点からは上部が開放された容器であることが好ましい。
また、本実施形態では、廃棄物を3本のドラム缶3に分けて収容することとしたが、ドラム缶3の本数はこれに限定されない。また、1本のドラム缶3の内部を仕切り、そのドラム缶3の中に廃棄物を収容する複数の収容領域を設けるようにしても良い。この場合であっても、各収容領域に沸騰性液体が貯えられ、沸騰性液体は炉内での時間の経過により蒸発して、量が減っていき、液体が無くなったタイミングで燃焼が開始する。即ち、各収容領域は沸騰性液体を貯留することが可能な貯液性を有する構造となっていれば良い。ただし、燃焼時期をずらすという目的を阻害しない範囲で沸騰性液体の流出や流入は許容される。なお、1本のドラム缶の内部を仕切って複数の収容領域を設ける場合には、各収容領域に廃棄物が収容され、かつ各収容領域の沸騰性液体の量が互いに異なる状態となった1本のドラム缶が焼却対象単位となる。即ち、“焼却対象単位”とは、貯液性を有し、かつ開口部を有した、複数の収容領域それぞれに該廃棄物が収容されており、かつ各収容領域内の沸騰性液体の量がそれぞれ異なる状態となるように前記沸騰性液体が前記収容領域に入れられている、収容領域のまとまりのことである。
以上の点に鑑みると、廃棄物が一度に大量に燃焼することを抑制するためには、貯液性を有し、かつ開口部を有した、複数の収容領域それぞれに該廃棄物を収容し、かつ各収容領域内の沸騰性液体の量がそれぞれ異なる状態となるように収容領域に沸騰性液体を入れることで構成される焼却対象単位を焼却炉に搬入して焼却処理を実施すれば良い。なお、焼却炉の構造は本実施形態で説明したものに限定されない。例えば各部屋が仕切られておらず、焼却対象単位が途中で停止せずに移動し続ける構成の炉であっても良い。この場合でも、焼却対象単位内では廃棄物が異なるタイミングで燃焼するため、上記実施形態と同様に廃棄物が一度に大量に燃焼することを回避することができる。
また、本実施形態では、廃棄物Wを台車2で搬送することとしたが、搬送機構はこれに限定されない。廃棄物Wや水がこぼれにくい状態で焼却処理を行うことができるという観点からは搬送機構として台車を用いることが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明に係る焼却処理方法は、処理室の出入口を閉じた状態で焼却処理を行う焼却炉(以下、密閉型焼却炉と呼ぶ)において特に好適に利用することができる。なぜなら、上記実施形態のような密閉型焼却炉においては、焼却処理の対象物の搬入および搬出が断続的となるために、処理効率を高めるには一度にできるだけ大量に焼却処理の対象物を搬入する必要があり、可燃物が一度に大量に燃焼する問題が生じやすいためである。上記実施形態のPCBを含有する廃棄物の焼却炉は、密閉型焼却炉の典型例である。
本発明に係る焼却処理方法でコンデンサ素子の焼却処理を実施した。まず、200リットルの上部が開放されたドラム缶3本にコンデンサ素子を40kgずつ収容し、3本のうちの2本のドラム缶に沸騰性液体として水を入れた。続いて、3本のドラム缶内の水の量を0リットル、20リットル、40リットルである状態で各ドラム缶を1台の台車にまとめて載せた。その後、ドラム缶を載せた台車を焼却炉内に搬入して廃棄物の焼却処理を実施した。なお、コンデンサ素子は、可燃物であるPCB含有油を含浸した絶縁紙とアルミ箔とを重ね合わせたものをロール巻きにしてパッケージ内に封入した構成となっている。
ドラム缶を炉内に搬入した後、焼却処理中の炉内温度を測定したところ、間隔を空けて計3回の急激な温度上昇が見られ、ドラム缶ごとに異なるタイミングで燃焼のピークを迎えたことが確認された。温度上昇時の炉内温度の最高値は、3回の温度上昇時ともに炉の許容温度上限である970℃以下であった。また、排ガス処理後のCO濃度を測定したところ、排出基準である100ppm未満のCO濃度となっていた。
本実施例からも示されるように、本発明に係る廃棄物の焼却処理方法によれば、廃棄物の燃焼ピークをずらすことが可能となり、廃棄物の過剰燃焼に起因する炉材の劣化やCO濃度の上昇を抑えることができる。
本発明は、PCB含有廃棄物の焼却処理に適用することができる。
2 台車
3 ドラム缶
3a 第1のドラム缶
3b 第2のドラム缶
3c 第3のドラム缶
10 焼却炉
11 搬入待機室
12 処理室
12a 昇温部
12b 温度保持部
12c 冷却部
13 搬出待機室
14 扉
15 排気管
U 焼却対象単位
W 廃棄物
第1の廃棄物
第2の廃棄物
第3の廃棄物

Claims (4)

  1. 可燃物を含む廃棄物の焼却処理方法であって、
    貯液性を有し、かつ開口部を有した、複数の収容領域それぞれに該廃棄物が収容され、
    かつ各収容領域内の沸騰性液体の量がそれぞれ異なる状態となるように前記沸騰性液体が前記収容領域に入れられることで構成される焼却対象単位を焼却炉に搬入し、
    前記廃棄物の焼却処理を行う、廃棄物の焼却処理方法。
  2. 各収容領域は上部が開放された複数の容器内の領域である、請求項1に記載された廃棄物の焼却処理方法。
  3. 前記収容領域に収容された前記廃棄物の搬送に台車を用いる、請求項1又は2に記載された廃棄物の焼却処理方法。
  4. 前記廃棄物がPCBを含む廃棄物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載された廃棄物の焼却処理方法。
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