以下に本発明の第1〜第8の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。
また本明細書及び添付図面においては、n又はpを冠した領域や層では、それぞれ電子又は正孔が多数キャリアであることを意味する。またnやpに付す+や−は、+及び−が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物濃度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。またn+とn+のように同じ表記であっても、必ずしも同じ不純物濃度であることが示されている訳ではない。
<第1の実施の形態>
(半導体装置の構造)
第1の実施の形態に係る半導体装置は、図1に示すように、複数のストライプ状の基本セル…1001j−1,1001j,1001j+1…;…1002j−1,1002j,1002j+1…が配置された活性部と、活性部の周囲に設けられた周辺耐圧構造300とを備える。複数の基本セル…1001j−1,1001j,1001j+1…;…1002j−1,1002j,1002j+1…は、上面を正面から見て額縁状の周辺耐圧構造300の内側の活性部の中に埋め込まれている。
基本セル100ij(i=1,2;nを2以上の正数として、j=1〜n)は、図2に示すように、主電流が流れる領域である標準ユニット110ij及びこの標準ユニット110ijに接続され標準ユニット110ijにおけるSiCのボディ領域(3,4)とソース領域を短絡させるための領域である内蔵トランジスタ120ijを備える。ここでチャネル領域3及びベース領域4からなるSiCの領域を「ボディ領域(3,4)」と定義する。標準ユニット110ij及び内蔵トランジスタ120ijは、1個の基本セル100ijの中に、それぞれ1個以上配置できる。
複数の基本セル…1001j−1,1001j,1001j+1…;…1002j−1,1002j,1002j+1…は、それぞれが図1中の上下方向を長手とするストライプ状のトポロジーで、左右方向にストライプが並設される。活性部の内側には、図1中の中央の高さの右側寄りに設けられた略正方形状のゲートパッド400と、このゲートパッド400の左辺から中央部をゲートパッド400の左側に延びるゲートランナー500とが配置されている。
活性部はゲートパッド400及びゲートランナー500により大きく上下に2分割されており、左右方向の両端を除き2分割された上側の領域に、複数の基本セル…1001j−1,1001j,1001j+1…が配列されている。また上側の領域に、複数の基本セル…1002j−1,1002j,1002j+1…が配列されている。
尚、第1の実施の形態では活性部は上下の2分割であるが、上下方向にm個以上に分割してi=1〜mとしてもよい(mは1以上の正数である。)。また図1中の基本セル1002jの下端にAを付した破線の円で囲んだように、各ストライプの両端には、破線の矩形状領域で模式的に例示した内蔵トランジスタ1202j(内蔵トランジスタ120ij)が対をなしてそれぞれ設けられている。
第1の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100ijは、標準ユニット110ij及び内蔵トランジスタ120ijに亘って設けられた、SiCを主材料とする高濃度のn型(n+)の第1ドレイン領域1を備える。第1ドレイン領域1の上部には、第1ドレイン領域1より低濃度のn型のドリフト層2が設けられている。
ドリフト層2は例えばドレイン領域1の上にエピタキシャル成長することにより形成できる。ドリフト層2の不純物濃度及び厚さは、SiCの場合、例えば1200Vの耐圧素子においてはそれぞれ約1.0×1016cm−3及び約10umであり、高耐圧にするほど、低濃度で、より厚くする必要がある。ドリフト層2の上部には高濃度のp型(p+)のベース領域4が設けられている。ベース領域4は、チャネル領域3とドリフト層2の間のpn接合に高い逆バイアスが印加された場合に、チャネル領域3がパンチスルーすることを防止する。
また第1の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100ijは、ベース領域4の上部の一部に設けられた、ベース領域4より低濃度のp型のチャネル領域3を備える。チャネル領域3は例えばベース領域4の上にエピタキシャル成長することにより形成できる。ドリフト層2、ベース領域4及びチャネル領域3は、いずれも標準ユニット110ij及び内蔵トランジスタ120ijに亘って設けられている。
ドレイン領域1及びドリフト層2は、基本セル100の標準ユニット110ij及び内蔵トランジスタ120ijの間で共通する構造である、またベース領域4以上の上層の構造については、標準ユニット110ij及び内蔵トランジスタ120ijとで互いに異なる。
(標準ユニットの構造)
図2に示す構造は図3のD−D方向から見た断面図であり、標準ユニット110を示す。チャネル領域3の上部の一部に、図3に示すように、基本セル100ijのストライプの長手方向に沿って平行に延びるように設けられた高濃度のn型(n+)の第1ソース領域5を備える。
第1ソース領域5は、基本セル100ijの長手方向に沿って、第1ソース領域5を貫通してチャネル領域3の上面を露出させる開口部のパターンが上下方向に配列した表面パターンを有する。図3は主にSiCの表面側の平面を上方から見た構造を示している。図3中では、チャネル領域3や第1ソース領域5の上に位置する第1の絶縁膜、第2の絶縁膜等の図示は省略している。
第1ソース領域5を貫通する開口部のパターンが形成されている第1ソース領域5の平面パターンは額縁状に形成できる。第1ソース領域5の開口部に露出したチャネル領域3のパターンは略矩形状である。図3中の上下に2個それぞれ露出したチャネル領域3の中には、第1ポテンシャルバリア層13a1と、第1ポテンシャルバリア層13a2の矩形パターンが形成されている。第1ソース領域5は、チャネル領域3を露出させる複数の開口部のパターンが一定の間隔を空けて離散的に配列されることにより、梯子状のパターンとなって表れる。
図4に示す構造は図3のB−B方向から見た断面に対応する。図4に示すように、上部の一部を第1ソース領域5に囲まれたチャネル領域3の下方のベース領域4の両側には、高濃度のn型(n+)のJFET領域2b1,2b2が、低濃度のn型の打返し領域2a1,2a2の下となる位置に設けられている。
すなわち、JFET領域2b1,2b2の上にはチャネル領域3を挟むように打返し領域2a1,2a2が設けられている。打返し領域2a1,2a2は、いずれもn型の不純物元素をイオン注入することにより、p型のチャネル領域の導電性をn型に反転させた領域である。チャネル領域3の表面の反転層を流れるキャリアは、打返し領域2a1,2a2とJFET領域2b1,2b2を経由して、ドリフト層2へ向かう。
また標準ユニット110ijにおけるチャネル領域3の上には、図2に示すように、第1の絶縁膜7が選択的に設けられる。また図2に示す断面位置では現れないが、第1の絶縁膜7の上には複数(図3において2本)の第1ゲート電極が、図3に示した第1ソース領域5の長手方向(図3において上下方向)に沿って第1ソース領域5の上方を平行に延びている。
第1ゲート電極のゲート絶縁膜をなす第1の絶縁膜7は酸化膜(SiO2)等である。高耐圧素子は15V〜30V程度のゲート電圧で駆動する場合が多く、信頼性を確保する上で、第1の絶縁膜7の厚さは通常50nm〜150nm程度のものが使用される。また第1の絶縁膜7及び第1ゲート電極の上には、層間絶縁膜11が設けられている。
また図2及び図3に示すように、第1ソース領域5の開口部に露出するチャネル領域3の上には、チャネル領域3への多数キャリアの注入を防止する第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2が設けられている。第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2としては、例えばチャネル領域3との間でショットキー接合を有する、金(Au)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)等の金属膜が使用できる。
図4に示すように、ソース電極9は、チャネルコンタクト部17bにおいて、チャネル領域3とショットキー接合を形成する第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2を介してチャネル領域3と接触している。図2及び図3に示すように、チャネル領域3を露出させる2個の開口部の中央に位置する第1ソース領域5の上には、第1オーミック接合層12が設けられている。第1オーミック接合層12は、本発明の「第1のオーミック接合層」に相当する。
第1オーミック接合層12としては、例えばNi、Niとアルミニウム(Al)の化合物であるNiAl等の金属を含むシリサイド膜が使用できる。図5に示すように、ソース電極9は、ソースコンタクト部17aにおいて、第1オーミック接合層12を介して第1ソース領域5と接触している。
また第1ゲート電極8の上には層間絶縁膜11が設けられ、図2に示すように、層間絶縁膜11の開口部を介して、第1オーミック接合層12及び第1ポテンシャルバリア層13a1にソース電極9が接合している。ソース電極9は、第1オーミック接合層12を介して第1ソース領域5と電気的に接続すると共に、第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2を介してチャネル領域3と電気的に接続する。
(内蔵トランジスタの構造)
図1〜図3に示した内蔵トランジスタ120ijは、標準ユニット110ijの第1ソース領域5と同じ深さに第1導電型の第2ドレイン領域5a及び第2ソース領域5bを備える横型のMOSFETである。図から分かるように第2ドレイン領域5aは第1ソース領域5に接して一体となっている。第2ドレイン領域5aは、第1ソース領域5と同様に高濃度のn型(n+)である。
内蔵トランジスタ120ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に、第2ドレイン領域5aと離間して設けられた高濃度のn型(n+)の第2ソース領域5bを備える。そして内蔵トランジスタ120ijの領域におけるチャネル領域3の内部に、第2ソース領域5bに接して高濃度のp型(p+)のベースコンタクト領域6aが設けられている。
ベースコンタクト領域6aの深さはチャネル領域3の厚みより深く、図2に示したように、ベース領域4の上部の一部に達するように設けられている。また第2ドレイン領域5aと第2ソース領域5bの間のチャネル領域3の上には、第2の絶縁膜7aが設けられ、第2の絶縁膜7aの上には、第1ゲート電極8と電気的に接続された第2ゲート電極8aが設けられている。
第2の絶縁膜7aは、第1の絶縁膜7と同様に酸化膜(SiO2)等であり、第2ゲート電極8aのゲート絶縁膜をなす。既に説明したように、2本の第1ゲート電極8が第2ゲート電極8aの両側を図3の上下方向に延び、第2ゲート電極8aの少なくとも一方の端部で、第1ゲート電極8と接続されている。図2に示すように、第2ゲート電極8aの上には、標準ユニット110ij及び内蔵トランジスタ120ijに亘って設けられている層間絶縁膜11の一部が位置する。
内蔵トランジスタ120ijは、SiCの表面上で第2の絶縁膜7aを貫通するコンタクトホールを介して、ベースコンタクト領域6aの表面及び第2ソース領域5bの表面を短絡するように設けられた第2オーミック接合層12aを備える。第2オーミック接合層12aとしては、第1オーミック接合層12の場合と同様に、Ni、NiAl等の金属を含むシリサイド膜が使用できる。
ベースコンタクト領域6aと第2ソース領域5bの表面それぞれに異なる金属が接触するようにしてもよいし、同一の金属を用いてもよい。また内蔵トランジスタ120ijの層間絶縁膜11を貫通するコンタクトホールを介して第2オーミック接合層12aに接続された第1フローティング電極9aが設けられている。ベースコンタクト領域6a及び第2ソース領域5bは、第2オーミック接合層12aを介して第1フローティング電極9aに接続されている。
第1の実施の形態に係る半導体装置のそれぞれの基本セル100ijは、図6に例示したような等価回路で表すことができる。図6中の左上側には、標準ユニット110ijとして示されるMOSFETと、このMOSFETのバックゲートであるチャネル領域3及びソース電極9間に接続された、内蔵トランジスタ120ijとして示されるMOSFETとが表されている。
また内蔵トランジスタ120ijの寄生ボディダイオード121、並びにチャネル領域3及び第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2によって形成されるpショットキーダイオード130を、内蔵トランジスタ120ijにそれぞれ並列に接続して表すことができる。また内蔵トランジスタ120ij及びpショットキーダイオード130等の接合容量の和からなる寄生接合容量140を、内蔵トランジスタ120ijに並列に接続して表すことができる。
(半導体装置の動作)
ソース電極9に対し第1ゲート電極8に閾値以上の電圧を印加すると第1ゲート電極8直下のチャネル領域3の表面電位が変化してチャネル領域3の表面に反転層が形成される。この状態でソース電極9に対しドレイン電極10に正の電圧を印加すると、図5の左右両側にそれぞれ電子の経路が出来る。
図5の左側に表れる経路は、ソース電極9−第1オーミック接合層12−第1ソース領域5−チャネル領域3の表面反転層−打返し領域2a1−JFET領域2b1−ドリフト層2−ドレイン領域1−ドレイン電極10となる。
また図5の右側に表れる経路は、ソース電極9−第1オーミック接合層12−第1ソース領域5−チャネル領域3の表面反転層−打返し領域2a2−JFET領域2b2−ドリフト層2−ドレイン領域1−ドレイン電極10となる。その結果、ドレイン電極10からソース電極9へ電流が流れ、標準ユニット110ijがオン状態となる。
標準ユニット110ijのオン状態では、第1ゲート電極8に接続された内蔵トランジスタ120ijの第2ゲート電極8aの電位により、内蔵トランジスタ120ijがオンする。そのため、第1ソース領域5から、第1ソース領域5に接続された内蔵トランジスタ120ijの第2ドレイン領域5a及び第2ソース領域5bを介して内蔵トランジスタ120ijの第1フローティング電極9aに電子が流入する。このとき第1フローティング電極9aは、MOSFETとしての内蔵トランジスタ120ijのソース電極をなす。
流入した電子は高濃度のp型(p+)のベースコンタクト領域6aと接触する第2オーミック接合層12a又は第1フローティング電極9aで電子−正孔変換が行われる。変換後、正孔はチャネル領域3及びベース領域4に供給され、チャネル領域3及びベース領域4は第1ソース領域5と同電位となる。
一方、標準ユニット110ijのソース電極9に対し第1ゲート電極8に印加される電圧が閾値以下になると、チャネル領域3表面の反転層が消滅するため、標準ユニット110ijがオフ状態となり電流は流れない。そして第1ゲート電極8に負電圧が印加されると正孔がチャネル領域3とゲート酸化膜との界面にトラップされる。このとき、チャネル領域3とソース電極9の間には第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2が設けられているため、正孔はショットキー接合によりチャネル領域3には注入されない。
ショットキー接合の正孔に対するバリアハイトは、バリアを超えて熱的な励起による正孔の注入が積層欠陥の成長に必要な電流密度を超えない値として0.5eV以上が必要で、1eV以上が望ましい。一方、L負荷アバランシェ降伏時等の正孔電流による寄生バイポーラ動作を抑制するうえで正孔電流によるp型ボディ領域の電圧降下を1V程度以下に抑えることが可能な条件として、4H−SiCのバンドギャップ3.26eVより1eV以上低い2.26eV以下のバリアハイトが望ましい。
チャネル領域3及びベース領域4は、ソース電極9の電位に対し負電位となるが、オフ状態であるため問題は生じない。むしろベース領域4に挟まれたJFET領域2b1,2b2が若干ピンチオフし易くなるため、耐圧が向上する。一方、ドレイン電極10に負電圧が印加された場合、ショットキー接合が逆バイアスとなり、ショットキー接合の容量に応じた短時間における少ない電流しか流れない。
(第1比較例)
図7に示した第1比較例に係る半導体装置は、ベースコンタクト領域6及び第1ソース領域5の表面に、図5の場合と同様に第1オーミック接合層12が設けられたプレナー型のSiC縦型パワーMOSFETである。
この第1オーミック接合層12により、ベースコンタクト領域6及び第1ソース領域5のそれぞれの間にオーミックコンタクトが形成されている。しかし、図2及び図3等に示した第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2及び内蔵トランジスタ120ijは設けられていない。
第1比較例に係る半導体装置及び第1の実施の形態に係る半導体装置を、それぞれ図8の単相インバータの例に示す、負荷インダクタ24に接続された4個のMOSFET20a〜20dとして用いた場合を考える。2個のMOSFET20a,20dが導通している場合、電流Iaが負荷インダクタ24に流れる。また2個のMOSFET20a,20dをオフすると、負荷インダクタ24に流れていた電流は転流し、2個のダイオード21c,21bを流れる電流Ibとなる。
第1比較例に係る半導体装置を用いた単相インバータの場合、SiCのボディダイオードに電流を流さない様に、ダイオードの順方向電圧がSiCのビルトイン電圧以上にならないように、4個のダイオード21a,21b,21c,21dを大面積のダイオードにしなければならない。
一方、第1の実施の形態に係る半導体装置を4個のMOSFET20a〜20dとして用いた単相インバータの場合、第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2により、低い逆電圧では、ボディ領域(3,4)に正孔が継続的に注入されない。そのため4個のダイオード21a,21b,21c,21dを比較的小面積で順方向電圧の高いダイオードとしても、SiCの半導体装置と並列に接続した場合に、半導体装置のボディダイオードに電流が流れることがない。
(第2比較例)
図9に、本発明と同一発明者により、チャネル領域3にショットキー接合又はヘテロ接合を形成し、正孔の継続的な注入を防止すると共に、アバランシェ降伏時には正孔を引き抜くことが可能で、寄生バイポーラ動作を防止することが可能な構造のSiC半導体装置を第2比較例として示す。第2比較例に係る半導体装置には、ベースコンタクト領域6及び第1ソース領域5の表面には、第1の実施の形態に係る半導体装置の場合と同様に第1ポテンシャルバリア層13a,13bが設けられている。
また第1ソース領域5の表面には、第1の実施の形態に係る半導体装置の場合と同様に第1オーミック接合層12が設けられている。しかし、第1の実施の形態に係る半導体装置の内蔵トランジスタ120ijは設けられていない。
ここで、SiC半導体を用いたMOSFETにおいては、MOSFETの界面に多数の準位が存在することが知られている。この界面準位の存在により、ゲートしきい値電圧Vthの上昇及びJFET効果の増加が発生することが本発明者の研究により分かった。この現象を図10中のMOSFETのチャネル部のバンド図を用いて説明する。図10では、実線で示したチャネル領域3及び破線で示した第1ソース領域5の両方を重ねて表示すると共に、同じエネルギーで重なる共通部分を点線で示している。
図10(a)はMOSFETのゲートに負電圧を印加した場合のバンド図で、チャネル領域3表面に蓄積層が形成される場合を示している。この状態で蓄積層の正孔は界面準位にトラップされる。一方、図10(b)はMOSFETのゲートにゲートしきい値電圧Vth以上の電圧を印加した場合のバンド図で、第1ソース領域5からチャネル領域3の反転層を介して電子が界面準位に落込みトラップされた正孔と再結合して消滅する様子を示している。この現象は所謂チャージポンピング法と呼ばれる界面準位のエネルギーと密度分布を調べる方法と同じである。
尚、図10では正孔トラップで説明したが、正孔はチャネル領域3からしか供給されず、電子は第1ソース領域5からしか供給されないため、電子トラップであっても同様の現象が発生する。そのためMOSFETのゲートに交互に図10(a)及び図10(b)の状態になるような電圧を印加すると、図11の等価回路に示すように、チャネル領域3から第1ソース領域5に向かって電流Icpが流れる。
この電流Icpは、ゲートに印加する電圧の持続時間が、トラップされる時定数及び再結合する時定数より十分長い場合では、ゲートに印加する電圧の周波数をfとすると、式(1)で表される。
Icp=q・(Nh+Ne)f …(1)
ここで、ゲート電圧の振幅とトラップのエネルギー分布に応じて決まる正孔トラップ数をNh、電子トラップ数をNe、qを素電荷とする。尚、図11中では、電流Icpは、流れる電流の平均値として表されている。
この電流Icpにより、p型のボディ領域(3,4)は負電位になるが、ショットキー接合、又は第1ソース領域5及びチャネル領域3間の接合等におけるリーク電流とバランスする電位になる。したがって、トラップ量が多く、リーク電流が小さいとチャネル領域3の電位はソース電位を基準として大きな負の値になる。
その結果、所謂バックゲート効果によりMOSFETのゲートしきい値電圧Vthが増大し、p型のボディ領域(3,4)とJFET領域2b1,2b2のpn接合の逆バイアスが増加してJFET効果が増大する。そのため、MOSFETのオン電圧が増加する。正孔トラップはチャネル領域のフラットバンド電圧にも依存するがゲート電圧0V付近では発生しない。
しかしながら通常の応用では、例えば図8に示したようなブリッジ構成の回路においては、MOSFET20cのオフ時に、対抗アームのMOSFET20aがオンすると、MOSFET20cのソースードレイン間電圧に最大上昇率dV/dtの変化が発生する。この最大上昇率dV/dtの変化により、MOSFET20cのドレイン−ゲート間容量を介し電流が流れ、この電流によるゲート抵抗の電圧降下によってゲート電圧が持ち上がり、MOSFETが誤オンする。このように誤オンすることを防止するため、通常オフ時にゲートを負バイアスすることが行われている。
第2比較例に係る半導体装置の場合、上記したMOSFETの界面準位が存在する。正孔がトラップされる状態はフラットバンド電圧、ゲートしきい値電圧Vth等にも依存するが、ゲート電圧が0V付近以下の電圧で発生する。そのため、ゲートしきい値電圧Vthの低い素子では、ゲート電圧が0Vでは正孔はトラップされない場合もある。しかし、ゲートしきい値電圧Vthの低い素子ほど誤オンが発生し易く、誤オンを防止するためゲートをより大きく負バイアスする必要が生じてしまうため、この現象が発生してしまう。一方、第1の実施の形態に係る半導体装置の場合、オン期間においてp型のボディ領域(3,4)と第1ソース領域5を短絡する内蔵トランジスタ120ijにより、ゲート酸化膜とチャネル領域界面のトラップ準位によるチャージポンピング効果による、ゲートしきい値電圧Vthの上昇及びJFET抵抗の増大によるオン電圧の上昇を防止することができる。
第1の実施の形態に係る半導体装置によれば、p型のボディ領域(3,4)とソース電極9間がオーミック接合ではなく、ボディ領域(3,4)に多数キャリアの注入を防止するポテンシャルバリア層を有する接合である。そのため、低い逆電圧では正孔が継続的に注入されず、半導体装置と並列に比較的小面積で順方向電圧の高いダイオードを接続した場合でも、半導体装置のボディダイオードに電流が流れない。よって再結合による積層欠陥の成長が発生しないため、オン抵抗の劣化を有効に解消できる。
また第1の実施の形態に係る半導体装置によれば、内蔵トランジスタ120ijは、周辺耐圧構造300に近接した部分、ゲートパッド400に近接した部分、及びゲートランナー500に近接した部分のうちのいずれかの位置に埋め込まれている。このように基本セル100のそれぞれの内蔵トランジスタ120ijが配置されることにより、内蔵トランジスタ120ijにソース電極9と分離した第1フローティング電極9aが存在しても、ソース電極9へのワイヤーボンディング等を好適に行える。
(半導体装置の製造方法)
第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を、図12〜図17を参照して例示的に説明する。まず図12に示すように、例えば4H−SiCのn+型の半導体基板1subを用意し、この半導体基板1subの上面上に4H−SiCの単結晶層をエピタキシャル成長してn型のドリフト層2を形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術により選択イオン注入用のレジストマスクを形成し、Al等のp型不純物を所定の場所にイオン注入する。更にベース領域4の上部に、同様に4H−SiCの単結晶層をエピタキシャル成長してp型のチャネル領域3を連続的に形成する。
チャネル領域3をエピタキシャル成長させることにより、イオン注入でチャネル領域3を形成する場合(いわゆるDMOS)に比較して、イオン注入のダメージによるチャネルモビリティの低下が生じない。そのためチャネルモビリティが高い高性能な半導体装置を得ることができる。
その後、フォトリソグラフィ技術により選択イオン注入用のレジストマスクを形成し、チャネル領域3の上部の一部に、窒素(N)イオン等のn型を呈する不純物元素イオンを多段イオン注入して、打返し領域2a1,2a2を形成する。
このとき、JFET領域2b1,2b2の導入濃度を、ドリフト層2の濃度より高めれば、JFET抵抗を低減することができる。またJFET領域2b1,2b2と同時に、ベース領域4とドリフト層2の境界部分にもドリフト層2より高い濃度に不純物を導入し、キャリアの広がり抵抗を小さくする、電流拡散層(Current Spreading Layer,CSL)を形成してもよい。
次に、フォトリソグラフィ技術により選択イオン注入用のレジストマスクを形成し、チャネル領域3の上部の一部に、n型を呈する不純物元素イオンをイオン注入法により注入する。このイオン注入は、射影飛程がチャネル領域3の内部に留まる程度になるように調整して行い、図13に示すように、n+型の第1ソース領域5、n+型の第2ドレイン領域5a及びn+型の第2ソース領域5bを同時に、且つ、選択的に形成する。
更に、フォトリソグラフィ技術により選択イオン注入用のレジストマスクを別途形成し、後に予定される工程で内蔵トランジスタ120ijとなる領域におけるチャネル領域3の上部の一部にp型を呈する不純物元素イオンを、加速電圧を変えて多段で注入してもよい。
この多段イオン注入は、射影飛程がベース領域4の上部の一部に届く程度になるように加速電圧を変えて多段に調整して行い、p+型のベースコンタクト領域6を第2ソース領域5bに接するように選択的に形成してもよい。
次に図14に示すように、半導体基板1subの上面上に、熱酸化処理によりSiO2膜を積層して絶縁膜7zを形成する。この絶縁膜7zの上に、不純物元素が添加されたドープドポリシリコン膜を化学的気相成長(CVD)法等で成膜する。この後ドープドポリシリコン膜を、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術等を用いて選択的に除去してパターニングし、第1ゲート電極8及び第2ゲート電極8aのパターンを形成する。
次に第1ゲート電極8及び第2ゲート電極8aの上に、例えばCVD法等によりSiO2膜を成膜して絶縁膜11zを形成する。次に、フォトリソグラフィ技術により、ソースコンタクト部17a、チャネルコンタクト部17b及びソースチャネルコンタクト部17cのそれぞれのコンタクトホール開孔用のエッチングマスクを形成する。
このエッチングマスクを用いて、第1ソース領域5の開口部を貫通して露出したチャネル領域3の上部の絶縁膜7z及び絶縁膜11zを反応性イオンエッチング(RIE)等で除去する。同時に開口部同士の間に位置する第1ソース領域5の上部、並びに第2ソース領域5b及びベースコンタクト領域6aの上部の一部の絶縁膜7z及び絶縁膜11zも除去する。
これにより、図15に示すように、標準ユニット110ijの形成予定領域にコンタクトホールを有する第1の絶縁膜7のパターン及び層間絶縁膜11のパターンが形成される。また同時に、内蔵トランジスタ120ijの形成予定領域にコンタクトホールを有する第2の絶縁膜7aのパターンと、層間絶縁膜11のパターンとが定着される。
次に図16に示すように、半導体基板1subの上面上に、例えばスパッタリング、真空蒸着法等によりNi,NiAl等の金属膜を成膜する。次に、フォトリソグラフィ技術により、この金属膜がソースコンタクト部17a及びソースチャネルコンタクト部17cの上面にのみ残るようにエッチングマスクを形成する。
そしてこのエッチングマスクを用いて、ソースコンタクト部17a及びソースチャネルコンタクト部17cの上面以外の金属膜をエッチングして除去し、第1オーミック接合層12及び第2オーミック接合層12aを同時に形成する。第1オーミック接合層12及び第2オーミック接合層12aの形成は、リフトオフ工程によって行ってもよい。
また半導体基板1subの下面側を化学的機械研磨(CMP)して厚みを減じ、図1に示したようなドレイン領域1を形成する。そしてドレイン領域1の表面にNi等の金属膜を成膜し、この金属膜をパターニングしてドレイン電極10を形成する。
その後、熱処理(シンタリング)をして、第1オーミック接合層12及び第2オーミック接合層12aと第1ソース領域5とのオーミック接触性、及びドレイン電極10とドレイン領域1とのオーミック接触性を改善する。また第1オーミック接合層12及び第2オーミック接合層12aをシリサイド膜に形成するときは、熱処理によりシリサイド化させることになる。
次に、半導体基板1subの上面上に、スパッタリング又は真空蒸着法等により、ショットキー接合をなす金属膜を成膜する。そしてこの金属膜を、第1オーミック接合層12及び第2オーミック接合層12aの場合と同様に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術等を用いて選択的に除去し、第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2を同時に形成する。
その後、図17に示すように、Al等の金属膜9zをスパッタリング、真空蒸着法等により全面に成膜する。そしてフォトリソグラフィ技術により、図2に示したように、ソース電極9を、第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2及び第1オーミック接合層12に接触するように形成する。同時にソース電極9から分離したパターンとなる第1フローティング電極9aを、第2オーミック接合層12aに接触するように形成する。ソース電極9、第1フローティング電極9a及び層間絶縁膜11の上に、図示を省略するSiO2膜やパッシベーション膜等を積層すれば、図1〜3に示したような半導体装置を得ることができる。
<第2の実施の形態>
(半導体装置の構造)
第2の実施の形態に係る半導体装置が、第1の実施の形態の場合と異なる点は、第1ポテンシャルバリア層13b,13cがチャネル領域3の表面に露出した部分だけではなく、第1オーミック接合層12及び第2オーミック接合層12a上及び層間絶縁膜11上に形成されている点である。
第2の実施の形態に係る半導体装置は、図18に示すように、1個以上の標準ユニット110aij及び内蔵トランジスタ120aijを含む基本セル100aを備える。第2の実施の形態に係る半導体装置は、標準ユニット110aij及び内蔵トランジスタ120aijに亘って設けられた、SiCを主材料とする高濃度のn型(n+)の第1ドレイン領域1を備える。
また第2の実施の形態に係る半導体装置は、第1ドレイン領域1の上部に設けられた、第1ドレイン領域1より低濃度のn型のドリフト層2と、このドリフト層2の上部に設けられた高濃度のp型(p+)のベース領域4とを備える。また第2の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100aijは、ベース領域4の上部の一部に設けられた、ベース領域4より低濃度のp型のチャネル領域3を備える。
また第2の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100aijは、標準ユニット110aijにおけるチャネル領域3の上部の一部に、基本セル100のストライプの長手方向に沿って平行に延びるように設けられた高濃度のn型(n+)の第1ソース領域5を備える。また標準ユニット110aijにおけるチャネル領域3の上には、第1の絶縁膜7が選択的に設けられる。
また第1の絶縁膜7の上には第1ゲート電極が、第1ソース領域5の長手方向に沿って平行に延びている。またチャネル領域3を露出させる2個の開口部の中央に位置する第1ソース領域5の上には、第1オーミック接合層12が設けられている。また層間絶縁膜11及び第1オーミック接合層12の上に設けられた第1ポテンシャルバリア層13bの上にはソース電極9が設けられている。
また第2の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100aijは、内蔵トランジスタ120aijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に設けられ第1ソース領域5と電気的に接続された第1導電型の第2ドレイン領域5aを備える。第2ドレイン領域5aは第1ソース領域5と連続するように一体的に設けられている。
また第2の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100aijは、内蔵トランジスタ120aijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に、第2ドレイン領域5aと離間して設けられた高濃度のn型(n+)の第2ソース領域5bを備える。
また第2ドレイン領域5aと第2ソース領域5bの間のチャネル領域3の上には、第2の絶縁膜7aが設けられ、第2の絶縁膜7aの上には、第1ゲート電極8と電気的に接続された第2ゲート電極8aが設けられている。第2の実施の形態に係る半導体装置の他の構造については、第1の実施の形態に係る半導体装置の対応する層又は領域等と等価であるため、重複説明を省略する。
図19に示すように、第2の実施の形態に係る半導体装置の、第1ソース領域5の開口部に配置された第1ポテンシャルバリア層13bが、露出したチャネル領域3の表面上だけでなく、表面上から連続して層間絶縁膜11上にも形成されている。この第1ポテンシャルバリア層13bは、標準ユニット110aijにおける層間絶縁膜11上に広がっており、図20に示すように、互いに隣接する開口部の間の第1ソース領域5の上に配置された第1オーミック接合層12の上にも形成されている。
第1ポテンシャルバリア層13b,13cとして、例えばTiを用いたショットキー金属をショットキー電極として使用した場合は、第1ポテンシャルバリア層13b,13cはバリア層として働き、半導体装置の特性の劣化を防止する効果が得られる。また、第1ポテンシャルバリア層13b,13cを半導体基板の上面の全面に成膜した後、ソース電極9の形成の場合と同じフォトマスクを用いてエッチングすれば、製造工数を削減することができる。第2の実施の形態に係る半導体装置の他の効果については、第1の実施の形態に係る半導体装置の場合と同様である。
<第3の実施の形態>
(半導体装置の構造)
第3の実施の形態に係る半導体装置が第1の実施の形態の場合と異なる点は、第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2に接するチャネル領域3の内部に、例えば1×1018cm−3程度の比較的高濃度(p+)のp型領域3aを設けた点である。
第3の実施の形態に係る半導体装置は、図21に示すように、1個以上の標準ユニット210ij及び内蔵トランジスタ220ijを含む基本セル200ijを備える。第2の実施の形態に係る半導体装置は、標準ユニット210ij及び内蔵トランジスタ220ijに亘って設けられた、SiCを主材料とする高濃度のn型(n+)の第1ドレイン領域1を備える。
また第3の実施の形態に係る半導体装置の基本セル200ijは、第1ドレイン領域1の上部に設けられた、第1ドレイン領域1より低濃度のn型のドリフト層2と、このドリフト層2の上部に設けられた高濃度のp型(p+)のベース領域4と、を備える。また第3の実施の形態に係る半導体装置の基本セル200ijは、ベース領域4の上部の一部に設けられた、ベース領域4より低濃度のp型のチャネル領域3を備える。
第3の実施の形態に係る半導体装置は、標準ユニット210ijにおけるチャネル領域3の上部の一部に、基本セル200ijのストライプの長手方向に沿って平行に延びるように設けられた高濃度のn型(n+)の第1ソース領域5を備える。また標準ユニット210ijにおけるチャネル領域3の上には、第1の絶縁膜7が選択的に設けられる。また、第1の絶縁膜7の上には第1ゲート電極が、第1ソース領域5の長手方向に沿って平行に延びている。
また第1ソース領域5の開口部の内側に露出するチャネル領域3の上には、チャネル領域3への多数キャリアの注入を防止する第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2が設けられている。第1ソース領域5の非開口部の上には、第1オーミック接合層12が設けられている。また層間絶縁膜11、第1オーミック接合層12及び第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2の上にはソース電極9が設けられている。
第3の実施の形態に係る半導体装置の基本セル200ijは、内蔵トランジスタ220ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に設けられ第1ソース領域5と電気的に接続された第1導電型の第2ドレイン領域5aを備える。第2ドレイン領域5aは第1ソース領域5と連続するように一体的に設けられている。
また第3の実施の形態に係る半導体装置の基本セル200ijは、内蔵トランジスタ220ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に、第2ドレイン領域5aと離間して設けられた高濃度のn型(n+)の第2ソース領域5bを備える。また第2ドレイン領域5aと第2ソース領域5bの間のチャネル領域3の上には、第2の絶縁膜7aが設けられ、第2の絶縁膜7aの上には、第1ゲート電極8と電気的に接続された第2ゲート電極8aが設けられている。
p型領域3aは、図22に示すように、略矩形状であり、矩形の外縁が第1ソース領域5の開口部の内縁と、略矩形状の開口部の内縁と略矩形状の第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2の外縁との間に位置するように設けられている。またp型領域3aは、図23に示すように、チャネル領域3と略同じ厚みで設けられている。第3の実施の形態に係る半導体装置の他の構造については、第1及び第2の実施の形態に係る半導体装置の対応する層又は領域等と等価であるため、重複説明を省略する。
第3の実施の形態に係る半導体装置によれば、アバランシェ降伏時等に発生した正孔を、ショットキー接合を介して排出することで流れる電流による電圧降下を小さく抑え、寄生バイポーラ動作を抑えることができる。よって、チャネル領域3全体の濃度を上げ、ゲートしきい値電圧Vthが高くなった場合であっても有効である。第3の実施の形態に係る半導体装置の他の効果については、第1の実施の形態に係る半導体装置の場合と同様である。
<第4の実施の形態>
(半導体装置の構造)
第4の実施の形態に係る半導体装置が第1の実施の形態の場合と異なる点は、図24に示すように、活性部の中にnショットキーセル…6001j−1,6001j,6001j+1…;…6002j−1,6002j,6002j+1…を備える点である。nショットキーセル600ijは、通常の基本セル100ijと共に活性部の中に分散して埋め込まれている。
すなわち第4の実施の形態に係る半導体装置は、第1の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100ijと同様に、標準ユニット110ij及び内蔵トランジスタ120ijに亘って設けられた、SiCを主材料とする高濃度のn型(n+)の第1ドレイン領域1と、この第1ドレイン領域1の上部に設けられた、第1ドレイン領域1より低濃度のn型のドリフト層2と、を備える。
また第4の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100ijは、ドリフト層2の上部に設けられた高濃度のp型(p+)のベース領域4と、このベース領域4の上部の一部に設けられた、ベース領域4より低濃度のp型のチャネル領域3と、を備える。
また第4の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100ijは、標準ユニット110ijにおけるチャネル領域3の上部の一部に、基本セル100ijのストライプの長手方向に沿って平行に延びるように設けられた高濃度のn型(n+)の第1ソース領域5を備える。また標準ユニット110ijにおけるチャネル領域3の上には、第1の絶縁膜7が選択的に設けられる。
また第1の絶縁膜7の上には第1ゲート電極が、第1ソース領域5の長手方向に沿って平行に延びている。また第1ソース領域5の開口部の内側に露出するチャネル領域3の上には、チャネル領域3への多数キャリアの注入を防止する第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2が設けられている。
互いに隣接する開口部の間の第1ソース領域5の上には、第1オーミック接合層12が設けられている。また層間絶縁膜11、第1オーミック接合層12及び第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2の上にはソース電極9が設けられている。
第4の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100ijは、内蔵トランジスタ120ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に設けられ第1ソース領域5と電気的に接続された第1導電型の第2ドレイン領域5aを備える。第2ドレイン領域5aは、第1ソース領域5と連続するように一体的に設けられている。
また第4の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100ijは、内蔵トランジスタ120ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に、第2ドレイン領域5aと離間して設けられた高濃度のn型(n+)の第2ソース領域5bを備える。また第2ドレイン領域5aと第2ソース領域5bの間のチャネル領域3の上には、第2の絶縁膜7aが選択的に設けられている。
第2の絶縁膜7aの上には、第1ゲート電極8と電気的に接続された第2ゲート電極8aが設けられている。第4の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100ijにおける他の構造については、第1〜第3の実施の形態に係る半導体装置の対応する層又は領域等と等価であるため、重複説明を省略する。
nショットキーセル600ijには、図25に点線囲みの領域で例示するように、図2で示したようなチャネル領域3及びチャネル領域3の下のベース領域4の部分が設けられず、ボディ領域の表面に打返し領域2a3の上面が露出する。ショットキー金属である第1ポテンシャルバリア層13dは、図26に示すように、打返し領域2a3の上面及び打返し領域2a3の周囲のチャネル領域3の一部の上に重なるように設けられている。また打返し領域2a3の下には、図26に示すように、高濃度のn型(n+)のJFE領域2b3が設けられている。
打返し領域2a3を挟むチャネル領域3の間隔は、耐圧を確保するため基本セル100ijと同等が望ましい。またnショットキーセル600ijの幅は基本セル100ijより広くしてもよい。nショットキーセル600ijの幅を広くした場合耐圧が低下するので、nショットキーセル600ijの中に複数のチャネル領域3及びベース領域4を形成し、チャネル領域3の間隔を同一に保つように形成するのがよい。
また、図27に示すように、第1ポテンシャルバリア層13dは、ショットキーコンタクト部であるソースチャネルコンタクト部17cを介してソース電極9に接続されている。またチャネル領域3及びチャネル領域3の下のベース領域4はnショットキーセル600ijの端部で基本セル100と接続されている。
尚、第4の実施の形態ではチャネル領域3上の一部にも第1ポテンシャルバリア層13dが形成されているが、打返し領域2a1,2a2上にのみ第1ポテンシャルバリア層13d及びコンタクト部を形成してもよい。
また第1ポテンシャルバリア層13dをなすショットキー金属としては、p型及びn型に共通の金属を用いてもよいし、或いは互いに異なる、それぞれの導電型に対して最適な金属を用いてもよい。
また図24〜図27に示したnショットキーセル600では、内蔵トランジスタ120ijをなす横型MOSFETは形成されていない。しかし隣接する基本セル100から第1ソース領域5を延長させ、内蔵トランジスタ120ijの第2ドレイン領域5aを形成し、内蔵トランジスタ120ijを形成してもよい。
第4の実施の形態に係る半導体装置では、nショットキー接合により、半導体装置に並列して接続させるショットキーダイオードを内蔵できるため、半導体装置の外部にショットキーダイオードを別途接続する必要がなくなる。また第4の実施の形態に係る半導体装置は、ショットキーバリアダイオードを同一チップ上で工程を増加させることなく製造できる。
p型ショットキー接合は現状では良好な特性までいたっていない。それはp型とn型の同一濃度での抵抗が大きく、コンタクト抵抗が比較的大きいためである。このため、アバランシェ降伏時等の正孔電流をソース電極に流す際の電圧降下が大きく、寄生バイポーラ動作を防止するには、比較的大きなショットキー領域を形成する必要がある。
特に、本発明における半導体装置のn型ショットキー接合は小面積でよいため、チップ面積の増加が少なく、外付けショットキーダイオードのためのダイボンディング部や、ワイヤーボンディングが不要になるといった点で効果が大きい。第4の実施の形態に係る半導体装置の他の効果については、第1の実施の形態に係る半導体装置の場合と同様である。
<第5の実施の形態>
(半導体装置の構造)
図1〜図27で示した半導体装置は、いずれも第1ゲート電極8はプレナーゲート型であった。第5の実施の形態に係る半導体装置の、第1の実施の形態の場合と異なる点は、打ち返し領域2a1,2a2と打ち返し領域2a1,2a2に接するチャネル領域3の部分にトレンチ部18a,18bが形成されたトレンチゲート型である点である。
第5の実施の形態に係る半導体装置は、図28に示すように、1個以上の標準ユニット710ij及び内蔵トランジスタ720ijを含む基本セル700ijを備える。第5の実施の形態に係る半導体装置の基本セル700ijは、標準ユニット710ij及び内蔵トランジスタ720ijに亘って設けられた、SiCを主材料とする高濃度のn型(n+)の第1ドレイン領域1を備える。
また第5の実施の形態に係る半導体装置の基本セル700ijは、第1ドレイン領域1の上部に設けられた、第1ドレイン領域1より低濃度のn型のドリフト層2と、このドリフト層2の上部に設けられた高濃度のp型(p+)のベース領域4と、を備える。また第5の実施の形態に係る半導体装置の基本セル700ijは、ベース領域4の上部の一部に設けられた、ベース領域4より低濃度のp型のチャネル領域3を備える。
また第5の実施の形態に係る半導体装置の基本セル700ijは、標準ユニット710ijにおけるチャネル領域3の上部の一部に、基本セル700ijのストライプの長手方向に沿って平行に延びるように設けられた高濃度のn型(n+)の第1ソース領域5を備える。また第1ソース領域5の開口部の内側に露出するチャネル領域3の上には、チャネル領域3への多数キャリアの注入を防止する第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2が設けられている。
また互いに隣接する開口部の間の第1ソース領域5の上には、第1オーミック接合層12が設けられている。また層間絶縁膜11、第1オーミック接合層12及び第1ポテンシャルバリア層13a1,13a2の上にはソース電極9が設けられている。
また第5の実施の形態に係る半導体装置の基本セル700ijは、内蔵トランジスタ720ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に設けられ第1ソース領域5と電気的に接続された第1導電型の第2ドレイン領域5aを備える。第2ドレイン領域5aは第1ソース領域5と連続するように一体的に設けられている。
また第5の実施の形態に係る半導体装置の基本セル700ijは、内蔵トランジスタ720ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に、第2ドレイン領域5aと離間して設けられた高濃度のn型(n+)の第2ソース領域5bを備える。第5の実施の形態に係る半導体装置の他の構造については、第1〜第4の実施の形態に係る半導体装置の対応する層又は領域等と等価であるため、重複説明を省略する。
図28に示すように、トレンチ部18a,18bは、第1の実施の形態に係る半導体装置の第1ゲート電極8の直下に対応する位置に設けられている。すなわちトレンチ部18a,18bは図3の半導体装置においてSiC表面上でチャネル領域3と打返し領域2a1,2a2が露出した部分に相当する位置に設けられている。
図29に示すように、トレンチ部18a,18bのそれぞれの内側には、第1の絶縁膜7を介してトレンチ型の第1ゲート電極8a1,8b1が形成されている。また図30に示すように、ドリフト層2の上部には、高濃度のp型(p+)のベース領域4が、上面がチャネル領域3の下面に接するように選択的に設けられている。第5の実施の形態に係る半導体装置の、トレンチ型であること以外の他の効果については、第1の実施の形態に係る半導体装置の場合と同様である。
尚、第5の実施の形態に係る半導体装置では、標準ユニット710ijの第1ゲート電極8a1,8b1を内蔵トランジスタ720ij側に延ばして設けることにより、延びた部分を内蔵トランジスタ720ijの第2ゲート電極として使用できる。しかし、このように標準ユニット710ijのゲート電極と内蔵トランジスタ720ijのゲート電極とを一体的に使用する場合、内蔵トランジスタ720ijにおけるチャネル幅は、第2ソース領域5b及び第2ドレイン領域5aの深さとなる。
すなわち図3に示したようなプレナー型の場合に比べ、チャネル幅が小さくなる。そのためSiCのボディ領域の表面上に、図2に示したような第2の絶縁膜7a及び第2ゲート電極8aを形成して、内蔵トランジスタ720ij側のみプレナーゲート型のMOSFETを形成してもよい。
<第6の実施の形態>
(半導体装置の構造)
第6の実施の形態に係る半導体装置が、第1の実施の形態の場合と異なる点は、図33の平面図から分かるように、第1ソース領域5の開口部の内側の構造である。図3では第1ソース領域5の開口部の内側にチャネル領域3が露出していたが、図33では第1ソース領域5の開口部の内側にチャネル領域3は見えない。
図33の平面構造に対応して、図32の断面構造でも、第1ソース領域5の開口部の内側が図1に示した構造とは異なる。図32に示すように、第6の実施の形態に係る半導体装置が、複数のストライプ状の基本セル800ijを配置する活性部と、活性部の周囲の周辺耐圧構造300とを備える点では図1に示した第1の実施の形態に係る半導体装置と同様である。
第6の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、図32に示すように、1個以上の標準ユニット810ij及び内蔵トランジスタ820ijを含む。標準ユニット810ijは主電流が流れる領域であり、内蔵トランジスタ820ijは、標準ユニット810ijに接続され標準ユニット810ijにおけるSiCのボディ領域(3,4)とソース領域を短絡させる。
第6の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、標準ユニット810ij及び内蔵トランジスタ820ijに亘って設けられた、SiCを主材料とする高濃度のn型(n+)の第1ドレイン領域1を備える。また第6の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、第1ドレイン領域1の上部に設けられた、第1ドレイン領域1より低濃度のn型のドリフト層2と、このドリフト層2の上部に設けられた高濃度のp型(p+)のベース領域4と、を備える。
また第6の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、ベース領域4の上部の一部に設けられた、ベース領域4より低濃度のp型のチャネル領域3を備える。また第6の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、標準ユニット810ijにおけるチャネル領域3の上部の一部に、基本セル800ijのストライプの長手方向に沿って平行に延びるように設けられた高濃度のn型(n+)の第1ソース領域5を備える。
また互いに隣接する開口部の間の第1ソース領域5の上には、第1オーミック接合層12が設けられている。また層間絶縁膜11及び第1オーミック接合層12の上にはソース電極9が設けられている。また第6の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、内蔵トランジスタ820ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に設けられ第1ソース領域5と電気的に接続された第1導電型の第2ドレイン領域5aを備える。
第2ドレイン領域5aは第1ソース領域5と連続するように一体的に設けられている。また第6の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、内蔵トランジスタ820ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に、第2ドレイン領域5aと離間して設けられた高濃度のn型(n+)の第2ソース領域5bを備える。
第6の実施の形態に係る半導体装置は、図32に示すように、チャネル領域3の内側の第1ソース領域5に囲まれた領域に設けられたn型の打返し領域2a4,2a5を備える。また第6の実施の形態に係る半導体装置は、打返し領域2a4,2a5の内側に設けられた高濃度のp型(p+)のベースコンタクト領域6b1,6b2を備える。
また第6の実施の形態に係る半導体装置は、打返し領域2a4,2a5に接合する第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2と、ベースコンタクト領域6b1,6b2に接合する第3オーミック接合層12b1,12b2とを備える。第1ソース領域に囲まれた領域の内側における第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2及び第3オーミック接合層12b1,12b2のそれぞれは、同一の第2フローティング電極9b1,9b2に接続される。第3オーミック接合層12b1,12b2は、本発明の「第2のオーミック接合層」に相当する。
打返し領域2a4,2a5は、図33に示すように、平面パターンで額縁状であり、少なくとも一部で第1ソース領域5に接触するように設けられている。ベースコンタクト領域6b1,6b2は、図34に示すように、内蔵トランジスタ820ijのベースコンタクト領域6aと同様に、ベース領域4の上部に到達する深さである。尚、第6の実施の形態に係る半導体装置のソースコンタクト部17aの位置における、図3中のC−C線で示したような基本セル800ijの断面構造は、図5で示した第1の実施の形態に係る半導体装置の基本セル100ijの断面構造と等価である。
第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2は、打返し領域2a4,2a5の表面上の一部において、層間絶縁膜11の開口部におけるショットキー領域コンタクト部17dに設けられている。第6の実施の形態に係る半導体装置の第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2は、図33に示すように、平面パターンで額縁状である。第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2はショットキー金属であり、打返し領域2a4,2a5との間にショットキー接合が形成される。
第3オーミック接合層12b1,12b2は、ベースコンタクト領域6b1,6b2の表面上の一部において、層間絶縁膜11の開口部におけるコンタクト領域コンタクト部17eに設けられている。第3オーミック接合層12b1,12b2は、図33に示すように、平面パターンで矩形状である。第3オーミック接合層12b1,12b2はシリサイド層である。第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2及び第3オーミック接合層12b1,12b2の上には、層間絶縁膜11の内側に第2フローティング電極9b1,9b2がソース電極9と絶縁して設けられている。
打返し領域2a4,2a5は第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2を介して、ベースコンタクト領域6b1,6b2は第3オーミック接合層12b1,12b2を介して、それぞれ第2フローティング電極9b1,9b2に接続されている。打返し領域2a4,2a5は、図34に示すように、第1ゲート電極8の下の打返し領域2a1,2a2と同時に形成してよい。また第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2及び打返し領域2a4,2a5で構成されるショットキーダイオードのオン抵抗を低減するため、打返し領域2a4,2a5のみ、更に高濃度の不純物をイオン注入して形成してもよい。
図33に示したように、第6の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、ショットキー領域コンタクト部17d及びコンタクト領域コンタクト部17eが、内蔵トランジスタ820ij側の端部から中央に向かって交互に形成されるように、標準ユニット810ijが繰り返し配列している。
図35中に、図32中の状態とは天地を逆にして例示した第2フローティング電極9b1を用いて示すように、第2フローティング電極9b1,9b2は、平面パターンで矩形状に表れる板状であり、矩形の4辺から立ち上がる側壁によって囲まれた凹部を有する。凹部の中央には、周囲の側壁から離間した突起部が設けられている。突起部は平面パターンで矩形状であり、図34中に上面として斜線を付して示される表面91が、第3オーミック接合層12b1と接合する。
一方、周囲の側壁は平面パターンで額縁状であり、図34中に上面として斜線を付して示される表面92が、第2ポテンシャルバリア層13b1と接合する。第6の実施の形態に係る半導体装置の他の構造については、第1〜第5の実施の形態に係る半導体装置の対応する層又は領域等と等価であるため、重複説明を省略する。
(半導体装置の動作)
通常のオン動作、すなわちソース電極9の電位に対してドレイン電極10の電位が高い場合には、第1ゲート電極8にゲートしきい値電圧Vth以上の電圧を印加すると、第1ゲート電極8直下のチャネル領域3の表面に反転層が形成される。そしてドレイン電極10、ドレイン領域1、ドリフト層2、図5中の左側に示す領域に表れるJFET領域2b1、打返し領域2a1、チャネル領域3の表面の反転層、第1ソース領域5、第1オーミック接合層12、ソース電極9の経路で電流が流れる。
一方、ドレイン電極10、ドレイン領域1、ドリフト層2、図5中の右側に示す領域に表れるJFET領域2b2、打返し領域2a2、チャネル領域3の表面の反転層、第1ソース領域5、第1オーミック接合層12、ソース電極9の経路にも電流が流れる。
このとき、内蔵トランジスタ820ijの第2ゲート電極8aにも、ゲートしきい値電圧Vth以上の電圧が印加されている。ベース領域4及びチャネル領域3は、内蔵トランジスタ820ijのベースコンタクト領域6a、第2ソース領域5b、第2ゲート電極8a直下のチャネル領域3の表面の反転層、第2ドレイン領域5a、第2ソース領域5bを介してソース電極9に接続されている。そのためチャネル領域3すなわち標準ユニット810ijのバックゲートは、ソース電極9とほぼ同電位となり、通常の縦型MOSFETの場合と同じ動作となる。
一方、第1ゲート電極8の電位をゲートしきい値電圧Vth以下の電位にしてオフにした場合、チャネル領域3の表面の反転層は消滅し、標準ユニット810ijには電流が流れなくなる。このときドレイン電極は、電源電圧により上昇し、ドリフト層2、打返し領域2a1,2a2及びJFET領域2b1,2b2のn型の領域と、ベース領域4及びチャネル領域3のp型の領域との間のpn接合が逆バイアスされて空乏層が広がり、耐圧を保持する。
空乏層が広がるためには、ベース領域4及びチャネル領域3から電流がソース電極9側に流れる必要がある。ここでショットキー領域コンタクト部17dにおいては、ショットキー金属である第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2及び打返し領域2a4,2a5で構成されるショットキーダイオードは順方向バイアスとなる。そのためショットキー領域コンタクト部17dにおける電流は、ベース領域4及びチャネル領域3から、ベースコンタクト領域6b1,6b2、第3オーミック接合層12b1,12b2、第2フローティング電極9b1,9b2、第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2、打返し領域2a4,2a5、第1ソース領域5の経路で流れる。
更に、第1ソース領域5に流れた電流は、ソースコンタクト部17aにおいて、第1ソース領域5から、第1オーミック接合層12、ソース電極9の経路で流れる。この経路と同じ経路の電流が、インダクタンス負荷での遮断等、アバランシェ降伏によりドリフト層2に正孔が発生した場合にも流れ、寄生バイポーラトランジスタ動作を抑制することができる。
上記のオン、オフ動作を繰り返すと、ベース領域4及びチャネル領域3が、チャージポンピング効果により、ソース電極9に対し負バイアスされる。しかし第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2及び打返し領域2a4,2a5で構成されるショットキーダイオードが逆バイアスとなるため、ショットキー接合経由でベース領域4及びチャネル領域3に正孔を補給することができない。そのため、ベース領域4及びチャネル領域3が負バイアスされる。
しかしオフ期間にベース領域4及びチャネル領域3が負バイアスされても、オン期間では内蔵トランジスタ820ijも同時にオンする。そのため、内蔵トランジスタ820ijも経由でベース領域4及びチャネル領域3に正孔を補給し、ソース電極9とほぼ同電位を実現できる。よってゲートしきい値電圧Vthの増加、JFET効果の増加によるオン抵抗の増加が起こることはない。
尚、オフ時にベース領域4及びチャネル領域3が負バイアスされても、ゲートしきい値電圧Vthが上昇するため、チャンネルリークが抑制され、JFET効果によりJFET領域2b1,2b2のピンチオフが促進され、耐圧が向上するなどの利点はあっても、悪影響は生じない。
次に図8を参照して、第6の実施の形態に係る半導体装置をブリッジ回路のMOSFET20a〜20dに適用した場合に電流Ibが流れる状態の動作を説明する。電流Ibが流れる場合、ドレイン電極10の電位がソース電極9の電位より負になる。
ここで図7に示した第1比較例の場合、MOSFET20cに並列接続されたショットキーダイオードであるダイオード21cのオン電圧がMOSFET20cのボディダイオードのビルトイン電圧を超えると、ベース領域4及びチャネル領域3からドリフト層2に正孔が注入され、積層欠陥成長による劣化が発生してしまう。
しかし第6の実施の形態に係る半導体装置の場合、第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2及び打返し領域2a4,2a5で構成されるショットキーダイオードが逆バイアスとなるため、ソース電極9を経由して、ベース領域4及びチャネル領域3への正孔の補給が行われない。そのため、MOSFET20a及びMOSFET20cの両方がオフするデッドタイムにおいても、正孔の注入による劣化が発生しない。ただし、電流が流れない場合は、負荷インダクタ24のインダクタンスにより大きな電圧が発生するため、小面積であってもショットキーダイオードのダイオード31cが必要である。
尚、デッドタイム後にMOSFET20cをオンした場合は、内蔵トランジスタ820ijも同時にオンするため、内蔵トランジスタ820ijを経由して、ベース領域4及びチャネル領域3に正孔を補給することができるようになる。しかしMOSFET20cをオンしているため、MOSFET20cのチャネルによってMOSFET20cのボディダイオードを短絡することになるため、ボディダイオードには電流が流れない。
第6の実施の形態に係る半導体装置の等価回路図は、図3に示した第1の実施の形態に係る半導体装置の等価回路図と同様に表せる。図3中の寄生ボディダイオード121は、第6の実施の形態に係る半導体装置の内蔵トランジスタ820ijの寄生ボディダイオードに対応する。
図3中のpショットキーダイオード130は、第6の実施の形態に係る半導体装置の第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2及び打返し領域2a4,2a5で構成されるショットキーダイオードに対応する。図3中の寄生接合容量140は、第6の実施の形態に係る半導体装置の内蔵トランジスタ820ij及びショットキーダイオードの接合容量からなる寄生接合容量に対応する。
第6の実施の形態に係る半導体装置の場合も、第1の実施の形態に係る半導体装置と同様に内蔵トランジスタ820ijが設けられている。そのため、ゲート酸化膜とチャネル領域界面のトラップ準位によるチャージポンピング効果による、ゲートしきい値電圧Vthの上昇及びJFET効果の増加を防止して、オン電圧の上昇を防止することができる。
また第6の実施の形態に係る半導体装置は、p型のボディ領域(3,4)とソース電極9間に、良好なショットキー特性が得られるように、n型のショットキーダイオードを直列接続した構造である。そのため、低い逆電圧では正孔が継続的に注入されず、半導体装置と並列に比較的小面積で順方向電圧の高いダイオードを接続した場合でも、半導体装置のボディダイオードに電流が流れない。よって再結合による積層欠陥の成長が発生しないため、オン抵抗の劣化を有効に解消できる。第6の実施の形態に係る半導体装置の他の効果については、第1の実施の形態に係る半導体装置と同様である。
<第7の実施の形態>
(半導体装置の構造)
第7の実施の形態に係る半導体装置が、第6の実施の形態の場合と異なる点は、第4の実施の形態の場合と等価な構造を有し、半導体装置に並列して接続されるnショットキーセル…6001j−1,6001j,6001j+1…;…6002j−1,6002j,6002j+1…を、活性部の内側に備える点である。
すなわち第7の実施の形態に係る半導体装置では、nショットキーセル600ijが、第6の実施の形態で説明した基本セル800ijと共に活性部の内側に分散して埋め込まれている。そのため、第7の実施の形態に係る半導体装置の平面図は、図24に示した半導体装置における基本セル100ijを基本セル800ijに置換した場合と同様に表れる。また第7の実施の形態に係る半導体装置のnショットキーセル600ijの上面も、図25に示したnショットキーセル600ijと同様に表れる。
第7の実施の形態に係る半導体装置は、図33で示した第6の実施の形態に係る半導体装置の場合と同様に、1個以上の標準ユニット810ij及び内蔵トランジスタ820ijを含む基本セル800ijを備える。標準ユニット810ijは主電流が流れる領域であり、内蔵トランジスタ820ijは、標準ユニット810ijに接続され標準ユニット810ijにおけるSiCのボディ領域(3,4)とソース領域を短絡させる。
第7の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、標準ユニット810ij及び内蔵トランジスタ820ijに亘って設けられた、SiCを主材料とする高濃度のn型(n+)の第1ドレイン領域1を備える。また第7の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、第1ドレイン領域1の上部に設けられた、第1ドレイン領域1より低濃度のn型のドリフト層2と、このドリフト層2の上部に設けられた高濃度のp型(p+)のベース領域4と、を備える。
また第7の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、ベース領域4の上部の一部に設けられた、ベース領域4より低濃度のp型のチャネル領域3を備える。また第7の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、標準ユニット810ijにおけるチャネル領域3の上部の一部に、基本セル800ijのストライプの長手方向に沿って平行に延びるように設けられた高濃度のn型(n+)の第1ソース領域5を備える。
また互いに隣接する開口部の間の第1ソース領域5の上には、第1オーミック接合層12が設けられている。また層間絶縁膜11及び第1オーミック接合層12の上にはソース電極9が設けられている。また第7の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、内蔵トランジスタ820ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に設けられ第1ソース領域5と電気的に接続された第1導電型の第2ドレイン領域5aを備える。
第2ドレイン領域5aは第1ソース領域5と連続するように一体的に設けられている。また第7の実施の形態に係る半導体装置の基本セル800ijは、内蔵トランジスタ820ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に、第2ドレイン領域5aと離間して設けられた高濃度のn型(n+)の第2ソース領域5bを備える。
また第7の実施の形態に係る半導体装置は、チャネル領域3の内側の第1ソース領域5に囲まれた領域に設けられたn型の打返し領域2a4,2a5を備える。また第6の実施の形態に係る半導体装置は、打返し領域2a4,2a5の内側に設けられた高濃度のp型(p+)のベースコンタクト領域6b1,6b2を備える。
また第7の実施の形態に係る半導体装置は、打返し領域2a4,2a5に接合する第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2と、ベースコンタクト領域6b1,6b2に接合する第3オーミック接合層12b1,12b2とを備える。第1ソース領域に囲まれた領域の内側における第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2及び第3オーミック接合層12b1,12b2のそれぞれは、同一の第2フローティング電極9b1,9b2に接続される。第7の実施の形態に係る半導体装置の他の構造については、第1〜第6の実施の形態に係る半導体装置の対応する層又は領域等と等価であるため、重複説明を省略する。
図36中には、第7の実施の形態に係る半導体装置の等価回路図では、標準ユニット810ijとして示されるMOSFETと、このMOSFETのバックゲートであるチャネル領域3及びソース電極9間に接続された、内蔵トランジスタ820ijとして示されるMOSFETとが表されている。
また内蔵トランジスタ820ijの寄生ボディダイオード821、並びにチャネル領域3及び第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2によって形成されるpショットキーダイオード830を、内蔵トランジスタ820ijにそれぞれ並列に接続して表す。また内蔵トランジスタ820ij及びpショットキーダイオード830等の接合容量の和からなる寄生接合容量840を、内蔵トランジスタ820ijに並列に接続して表す。またnショットキーセル600ijによって構成されるショットキーダイオードを、ソース及びドレイン間に並列に接続して表す。
第7の実施の形態に係る半導体装置によれば、第4の実施の形態に係る半導体装置と同様に、ショットキーバリアダイオードを同一チップ上で工程を増加させることなく製造でき、外付けショットキーダイオードのためのダイボンディング部や、ワイヤーボンディングが不要になる。第7の実施の形態に係る半導体装置の、nショットキーセル600ijを内蔵すること以外の他の効果については、第6の実施の形態に係る半導体装置の場合と同様である。
<第8の実施の形態>
(半導体装置の構造)
第8の実施の形態に係る半導体装置が、第6の実施の形態の場合と異なる点は、図37に示すように、打ち返し領域2a1,2a2と打ち返し領域2a1,2a2に接するチャネル領域3の部分にトレンチ部18a1,18b1が形成されたトレンチゲート型である点である。
第8の実施の形態に係る半導体装置は、図33で示した第6の実施の形態に係る半導体装置の場合と同様に、1個以上の標準ユニット910ij及び内蔵トランジスタ920ijを含む基本セル900ijを備える。標準ユニット910ijは主電流が流れる領域であり、内蔵トランジスタ920ijは、標準ユニット910ijに接続され標準ユニット910ijにおけるSiCのボディ領域(3,4)とソース領域を短絡させる。
第8の実施の形態に係る半導体装置の基本セル900ijは、標準ユニット910ij及び内蔵トランジスタ920ijに亘って設けられた、SiCを主材料とする高濃度のn型(n+)の第1ドレイン領域1を備える。また第8の実施の形態に係る半導体装置の基本セル900ijは、第1ドレイン領域1の上部に設けられた、第1ドレイン領域1より低濃度のn型のドリフト層2と、このドリフト層2の上部に設けられた高濃度のp型(p+)のベース領域4と、を備える。
また第8の実施の形態に係る半導体装置の基本セル900ijは、ベース領域4の上部の一部に設けられた、ベース領域4より低濃度のp型のチャネル領域3を備える。また第8の実施の形態に係る半導体装置の基本セル900ijは、標準ユニット910ijにおけるチャネル領域3の上部の一部に、基本セル900ijのストライプの長手方向に沿って平行に延びるように設けられた高濃度のn型(n+)の第1ソース領域5を備える。
また互いに隣接する開口部の間の第1ソース領域5の上には、第1オーミック接合層12が設けられている。また層間絶縁膜11及び第1オーミック接合層12の上にはソース電極9が設けられている。また第8の実施の形態に係る半導体装置の基本セル900ijは、内蔵トランジスタ920ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に設けられ第1ソース領域5と電気的に接続された第1導電型の第2ドレイン領域5aを備える。
第2ドレイン領域5aは第1ソース領域5と連続するように一体的に設けられている。また第8の実施の形態に係る半導体装置の基本セル900ijは、内蔵トランジスタ920ijの領域におけるチャネル領域3の上部の一部に、第2ドレイン領域5aと離間して設けられた高濃度のn型(n+)の第2ソース領域5bを備える。
また第8の実施の形態に係る半導体装置は、チャネル領域3の内側の第1ソース領域5に囲まれた領域に設けられたn型の打返し領域2a4,2a5を備える。また第6の実施の形態に係る半導体装置は、打返し領域2a4,2a5の内側に設けられた高濃度のp型(p+)のベースコンタクト領域6b1,6b2を備える。
また第8の実施の形態に係る半導体装置は、打返し領域2a4,2a5に接合する第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2と、ベースコンタクト領域6b1,6b2に接合する第3オーミック接合層12b1,12b2とを備える。第1ソース領域に囲まれた領域の内側における第2ポテンシャルバリア層13b1,13b2及び第3オーミック接合層12b1,12b2のそれぞれは、同一の第2フローティング電極9b1,9b2に接続される。
ベースコンタクト領域6b1,6b2は、図38に示すように、ベース領域4bの上に設けられている。尚、第8の実施の形態に係る半導体装置のソースコンタクト部17aの位置における、図28中のM−M線で示したような基本セル900ijの断面構造は、図30で示した第5の実施の形態に係る半導体装置の基本セル700ijの断面構造と等価である。
トレンチ部18a1,18b1は、図37に示したように、内蔵トランジスタ920ij側の端部において、標準ユニット910ijの内側に留まるように、内蔵トランジスタ920ij側の領域には延びていない。
内蔵トランジスタ920ijの第2ゲート電極は、図32で示した内蔵トランジスタ820ijの第2ゲート電極8aのように、SiCのボディ領域の表面上に設けることが好ましい。これは、既に第5の実施の形態で説明したように、標準ユニット910ijの第1ゲート電極8a1,8b1を内蔵トランジスタ920ij側に延ばして第2ゲート電極を設けると、内蔵トランジスタ920ijにおけるチャネル幅が小さくなることを回避できるためである。第8の実施の形態に係る半導体装置の他の構造については、第1〜第7の実施の形態に係る半導体装置の対応する層又は領域等と等価であるため、重複説明を省略する。
第8の実施の形態に係る半導体装置の、トレンチ型であること以外の他の効果については、第6の実施の形態に係る半導体装置の場合と同様である。
(その他の実施の形態)
本発明は上記の開示した第1〜第8の実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施の形態及び運用技術が明らかになると考えられるべきである。
例えば上記の第1〜第8の実施の形態は、いずれもpショットキー接合のポテンシャルバリアにより正孔の注入を防止する例で説明した。しかし、ヘテロ接合のポテンシャルバリアにより正孔の注入を防止することも可能であることは言うまでもない。或いは、ポテンシャルバリア層として、多結晶シリコン(ドープドポリシリコン)層を用いても、ショットキー接合と等価な代替機能により正孔の注入を防止することができる。
また本発明は第1〜第8の実施の形態の構成を部分的に組み合わせて構成することもできる。以上のとおり、本発明は上記に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。