以下、実施形態によるブレーキ装置およびブレーキシステムを、4輪自動車に搭載した場合を例に挙げ、添付図面に従って説明する。なお、図4に示す流れ図の各ステップは、それぞれ「S」という表記を用いる(例えば、ステップ1=「S1」とする)。
図1において、車両のボディを構成する車体1の下側(路面側)には、例えば左右の前輪2(FL,FR)と左右の後輪3(RL、RR)とからなる合計4個の車輪が設けられている。車輪(各前輪2、各後輪3)は、車体1と共に車両を構成している。車両には、制動力を付与するためのブレーキシステムが搭載されている。以下、車両のブレーキシステムについて説明する。
前輪2および後輪3には、それぞれの車輪(各前輪2、各後輪3)と共に回転する被制動部材(回転部材)としてのディスクロータ4が設けられている。前輪2用のディスクロータ4は、液圧式のディスクブレーキである前輪側ディスクブレーキ5により制動力が付与される。後輪3用のディスクロータ4は、電動駐車ブレーキ機能付の液圧式のディスクブレーキである後輪側ディスクブレーキ6により制動力が付与される。
左右の後輪3に対応してそれぞれ設けられた一対(一組)の後輪側ディスクブレーキ6は、後述の駐車ブレーキ制御装置26と共にブレーキ装置(電動駐車ブレーキ装置)を構成している。また、後輪側ディスクブレーキ6は、駐車ブレーキ制御装置26および後述のESC制御装置17と共にブレーキシステムを構成している。図2に示すように、後輪側ディスクブレーキ6は、例えば、キャリアと呼ばれる取付部材6Aと、ホイルシリンダとしてのキャリパ6Bと、制動部材(摩擦部材、摩擦パッド)としての一対のブレーキパッド6Cと、押圧部材としてのピストン6Dとを含んで構成されている。
取付部材6Aは、車両の非回転部に固定され、ディスクロータ4の外周側を跨いで形成されている。キャリパ6Bは、取付部材6Aにディスクロータ4の軸方向への移動を可能に設けられている。ブレーキパッド6Cは、取付部材6Aに移動可能に取付けられ、ディスクロータ4に当接可能に配置されている。ピストン6Dは、ブレーキパッド6Cをディスクロータ4に押圧する。
この場合、キャリパ6Bは、ブレーキペダル9の操作等に基づいてシリンダ6B1内に液圧(ブレーキ液圧)が供給(付加)されることにより、ブレーキパッド6Cをピストン6Dで推進する。このとき、ブレーキパッド6Cは、キャリパ6Bの爪部6B2とピストン6Dとによりディスクロータ4の両面に押圧される。これにより、ディスクロータ4と共に回転する後輪3に制動力が付与される。
さらに、後輪側ディスクブレーキ6には、電動アクチュエータ7と押圧部材保持機構8とが設けられている。電動アクチュエータ7は、電動機としての電動モータ7Aと、該電動モータ7Aの回転を減速する減速機構(図示せず)等を含んで構成されている。電動モータ7Aは、ピストン6Dを推進するための駆動源となるものである。押圧部材保持機構8は、ブレーキパッド6Cの押圧力を保持する保持機構である。即ち、押圧部材保持機構8は、電動モータ7Aの回転をピストン6Dの軸方向の変位に変換すると共に、電動モータ7Aにより推進したピストン6Dを保持する。押圧部材保持機構8は、例えば、スピンドルナット機構等の回転直動変換機構として構成されている。
後輪側ディスクブレーキ6は、ブレーキペダル9の操作等に基づいて発生するブレーキ液圧によりピストン6Dを推進させ、ブレーキパッド6Cでディスクロータ4を押圧することにより、車輪(後輪3)延いては車両に制動力を付与する。これに加えて、後輪側ディスクブレーキ6は、後述するように、駐車ブレーキスイッチ25からの信号等に基づく作動要求に応じて、電動モータ7Aにより押圧部材保持機構8を介してピストン6Dを推進させ、車両に制動力(駐車ブレーキないし補助ブレーキ)を付与する。
即ち、駐車ブレーキ装置としての後輪側ディスクブレーキ6は、駐車ブレーキを付与するためのアプライ要求となる駐車ブレーキ要求信号(アプライ要求信号)に応じてピストン6Dを電動モータ7Aで推進して車両の制動を保持することが可能となっている。これと共に、後輪側ディスクブレーキ6は、ブレーキペダル9の操作に応じて液圧源(後述のマスタシリンダ12、必要に応じて液圧供給装置15)からの液圧供給により車両の制動が可能となっている。
このように、後輪側ディスクブレーキ6は、電動モータ7Aによりディスクロータ4にブレーキパッド6Cを押圧し該ブレーキパッド6Cの押圧力を保持する押圧部材保持機構8を有し、かつ、電動モータ7Aによる押圧とは別に付加される液圧によりディスクロータ4にブレーキパッド6Cを押圧可能に構成されている。
一方、左右の前輪2に対応してそれぞれ設けられた一対(一組)の前輪側ディスクブレーキ5は、駐車ブレーキの動作に関連する機構を除いて、後輪側ディスクブレーキ6とほぼ同様に構成されている。即ち、図1に示すように、前輪側ディスクブレーキ5は、取付部材(図示せず)、キャリパ5A、ブレーキパッド(図示せず)、ピストン5B等を備えているが、駐車ブレーキの作動、解除を行うための電動アクチュエータ7(電動モータ7A)、押圧部材保持機構8等を備えていない。しかし、前輪側ディスクブレーキ5は、ブレーキペダル9の操作等に基づいて発生する液圧によりピストン5Bを推進させ、車輪(前輪2)延いては車両に制動力を付与する点で、後輪側ディスクブレーキ6と同様である。
なお、前輪側ディスクブレーキ5は、後輪側ディスクブレーキ6と同様に、電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキとしてもよい。また、実施形態では、駐車ブレーキ装置として、電動モータ7Aを備えた液圧式のディスクブレーキ6を用いている。しかし、これに限定されず、駐車ブレーキ装置は、例えば、電動ドラム式の駐車ブレーキを備えたディスクブレーキ、電動モータでケーブルを引っ張ることにより駐車ブレーキをアプライ作動させるケーブルプラー式駐車ブレーキ装置等を用いてもよい。即ち、駐車ブレーキ装置は、電動モータ(電動アクチューエータ)の駆動に基づいて摩擦部材(パッド、シュー)を回転部材(ロータ、ドラム)に押圧(推進)し、その押圧力の保持と解除とを行うことができる構成であれば、各種の電動駐車ブレーキ機構を用いることができる。
車体1のフロントボード側には、ブレーキペダル9が設けられている。ブレーキペダル9は、車両のブレーキ操作時に運転者によって踏込み操作され、この操作に基づいて各ディスクブレーキ5,6は、常用ブレーキ(サービスブレーキ)としての制動力の付与および解除が行われる。ブレーキペダル9には、ブレーキランプスイッチ、ペダルスイッチ、ペダルストロークセンサ等のブレーキ操作検出センサ(ブレーキセンサ)10が設けられている。
ブレーキ操作検出センサ10は、ブレーキペダル9の踏込み操作の有無、または、その操作量を検出し、その検出信号をESC制御装置17に出力する。ブレーキ操作検出センサ10の検出信号は、例えば、車両データバス20、または、ESC制御装置17と駐車ブレーキ制御装置26とを接続する通信線(図示せず)を介して伝送される(駐車ブレーキ制御装置26に出力される)。
ブレーキペダル9の踏込み操作は、倍力装置11を介して、油圧源として機能するマスタシリンダ12に伝達される。倍力装置11は、ブレーキペダル9とマスタシリンダ12との間に設けられた負圧ブースタ(気圧倍力装置)または電動ブースタ(電動倍力装置)として構成され、ブレーキペダル9の踏込み操作時に踏力を増力してマスタシリンダ12に伝える。
このとき、マスタシリンダ12は、マスタリザーバ13から供給(補充)されるブレーキ液により液圧を発生させる。マスタリザーバ13は、ブレーキ液が収容された作動液タンクにより構成されている。ブレーキペダル9により液圧を発生する機構は、上記の構成に限られるものではなく、ブレーキペダル9の操作に応じて液圧を発生する機構、例えば、ブレーキバイワイヤ方式の機構等であってもよい。
マスタシリンダ12内に発生した液圧は、例えば一対のシリンダ側液圧配管14A,14Bを介して、液圧供給装置15(以下、ESC15という)に送られる。ESC15は、各ディスクブレーキ5,6とマスタシリンダ12との間に配置され、マスタシリンダ12からの液圧をブレーキ側配管部16A,16B,16C,16Dを介して各ディスクブレーキ5,6に分配する。これにより、車輪(各前輪2、各後輪3)のそれぞれに対して相互に独立して制動力を付与する。この場合、ESC15は、ブレーキペダル9の操作量に従わない態様でも、各ディスクブレーキ5,6に液圧を供給すること、即ち、各ディスクブレーキ5,6の液圧を高めることができる。
このために、ESC15は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成される専用の制御装置、即ち、液圧供給装置用コントロールユニットとも呼ばれるESC制御装置17を有している。ESC制御装置17は、ESC15の各制御弁(図示せず)を開,閉したり、液圧ポンプ用の電動モータ(図示せず)を回転,停止させたりする駆動制御を行う。これにより、ESC制御装置17は、ブレーキ側配管部16A〜16Dから各ディスクブレーキ5,6に供給されるブレーキ液圧を増圧、減圧または保持する制御を行う。これにより、種々のブレーキ制御、例えば、倍力制御、制動力分配制御、ブレーキアシスト制御、アンチロックブレーキ制御(ABS)、トラクション制御、車両安定化制御(横滑り防止を含む)、坂道発進補助制御、自動停止制御、自動運転制御等が実行される。
このように、ESC制御装置17は、各ディスクブレーキ5,6のピストン5B,6Dへの液圧供給を制御して制動力を制御する制動力制御装置となるものである。ESC制御装置17には、車両電源となるバッテリ18(ないしエンジンによって駆動されるジェネレータ)からの電力が、電源ライン19を通じて給電される。図1に示すように、ESC制御装置17は、車両データバス20に接続されている。なお、ESC15の代わりに、公知のABSユニットを用いることも可能である。さらに、ESC15を設けずに(即ち、省略し)、マスタシリンダ12とブレーキ側配管部16A〜16Dとを直接的に接続することも可能である。
車両データバス20は、車体1に搭載されたシリアル通信部としてのCAN(Controller Area Network)を構成している。車両に搭載された多数の電子機器(例えば、各種のECU)、ESC制御装置17、駐車ブレーキ制御装置26等は、車両データバス20により、それぞれの間で車両内の多重通信を行う。この場合、車両データバス20に送られる車両情報としては、例えば、ブレーキ操作検出センサ10、マスタシリンダ液圧を検出するM/C圧力センサ21、ホイルシリンダ液圧を検出するW/C圧力センサ22からの検出信号(出力信号)による情報(車両情報)が挙げられる。
さらに、車両データバス20に送られる車両情報としては、例えば、イグニッションスイッチ、シートベルトセンサ、ドアロックセンサ、ドア開センサ、着座センサ、車速センサ、操舵角センサ、アクセルセンサ(アクセル操作センサ)、スロットルセンサ、エンジン回転センサ、ステレオカメラ、ミリ波レーダ、勾配センサ(傾斜センサ)、シフトセンサ(トランスミッションデータ)、加速度センサ(Gセンサ)、車輪速センサ、車両のピッチ方向の動きを検知するピッチセンサ等からの検出信号(出力信号)による情報(車両情報)も挙げられる。
車両データバス20には、ESC制御装置17、駐車ブレーキ制御装置26に加え、自動ブレーキ制御装置23が接続されている。自動ブレーキ制御装置23は、自動ブレーキ指令(自動ブレーキ制動指令値)を出力する自動ブレーキ用コントロールユニットである。自動ブレーキ制御装置23も、ESC制御装置17、駐車ブレーキ制御装置26と同様にマイクロコンピュータを含んで構成され、車両データバス20を介してESC制御装置17、駐車ブレーキ制御装置26等と接続されている。
ここで、自動ブレーキ制御装置23は、例えば、外界認識センサ24に接続されている。外界認識センサ24は、車両周囲の物体の位置を計測する物体位置計測装置を構成するもので、例えば、ステレオカメラ、シングルカメラ等のカメラ(例えば、デジタルカメラ)、および/または、レーザレーダ、赤外線レーダ、ミリ波レーダ等のレーダ(例えば、半導体レーザ等の発光素子およびそれを受光する受光素子)を用いることができる。なお、外界認識センサ24は、カメラ、レーダに限らず、車両の周囲となる外界の状態を認識(検出)できる各種のセンサ(検出装置、計測装置、電波探知機)を用いることができる。
自動ブレーキ制御装置23は、外界認識センサ24の検出結果(情報)に基づいて、例えば、前方の物体(例えば、他車両、障害物)との距離等を算出すると共に、この距離と現在の車両の走行速度等とに基づいて、付与すべき制動力(制動液圧)に対応する自動ブレーキ制動指令値を算出する。算出された自動ブレーキ制動指令値は、自動ブレーキ制御装置23から自動ブレーキ指令として車両データバス20に出力される。
この場合に、例えば、ESC制御装置17は、車両データバス20を介して自動ブレーキ指令を取得すると、この取得した自動ブレーキ指令に基づいて、ESC15の制御弁の開閉および液圧ポンプ用の電動モータの駆動を行う。即ち、ESC15は、自動ブレーキ指令に基づいて、ディスクブレーキ5,6に供給されるブレーキ液圧を増圧することにより、車輪(各前輪2、各後輪3)に制動力(自動ブレーキ)を付与する。
このとき、ESC制御装置17は、車両が停止すると、必要に応じて、駐車ブレーキ制御装置26にアプライ要求(アプライ指令)を出力する。即ち、ESC制御装置17は、ESC15によるブレーキ液圧を解除(減圧)する前に、駐車ブレーキ制御装置26に対してアプライ要求を出力する。例えば、ESC制御装置17は、自動ブレーキにより車両が停止した後、ESC15の負荷(液圧ポンプの負荷、電動モータの負荷、制御弁の負荷等)を低減すべく、液圧による制動から電動駐車ブレーキによる制動に切換えるときに、駐車ブレーキ制御装置26に対してアプライ要求を出力する。また、ESC制御装置17は、例えば、運転者の駐車意志(シートベルトの解除や運転席側のドアが開くこと)を検出したときに、液圧の制動から電動駐車ブレーキの制動に切換えるために、駐車ブレーキ制御装置26に対してアプライ要求を出力するようにすることもできる。駐車ブレーキ制御装置26は、ESC制御装置17からのアプライ要求に基づいて、電動モータ7Aをアプライ側に駆動することにより、ESC15によるブレーキ液圧が解除された後も、駐車ブレーキによって制動力を付与することができる。
車体1内には、運転席(図示せず)の近傍となる位置に、操作スイッチとしての駐車ブレーキスイッチ(PKB−SW)25が設けられている。駐車ブレーキスイッチ25は、運転者によって操作される操作指示部となるものである。駐車ブレーキスイッチ25は、運転者の操作指示に応じた駐車ブレーキの作動要求(保持要求となるアプライ要求、解除要求となるリリース要求)に対応する信号(作動要求信号)を、駐車ブレーキ制御装置26へ伝達する。即ち、駐車ブレーキスイッチ25は、電動モータ7Aの駆動(回転)に基づいてピストン6D延いてはブレーキパッド6Cをアプライ作動(保持作動)またはリリース作動(解除作動)させるための作動要求信号(保持要求信号となるアプライ要求信号、解除要求信号となるリリース要求信号)を、駐車ブレーキ用コントロールユニット(コントローラ)となる駐車ブレーキ制御装置26に出力する。
運転者により駐車ブレーキスイッチ25が制動側(アプライ側)に操作されたとき、即ち、車両に制動力を付与するためのアプライ要求(制動保持要求)があったときは、駐車ブレーキスイッチ25からアプライ要求信号(駐車ブレーキ要求信号)が出力される。この場合は、後輪側ディスクブレーキ6の電動モータ7Aに、該電動モータ7Aを制動側に回転させるための電力が、駐車ブレーキ制御装置26を介して給電される。このとき、押圧部材保持機構8は、電動モータ7Aの回転に基づいてピストン6Dをディスクロータ4側に推進(押圧)し、推進したピストン6Dを保持する。これにより、後輪側ディスクブレーキ6は、駐車ブレーキ(ないし補助ブレーキ)としての制動力が付与された状態、即ち、アプライ状態(制動保持状態)となる。
一方、運転者により駐車ブレーキスイッチ25が制動解除側(リリース側)に操作されたとき、即ち、車両の制動力を解除するためのリリース要求(制動解除要求)があったときは、駐車ブレーキスイッチ25からリリース要求信号が出力される。この場合は、後輪側ディスクブレーキ6の電動モータ7Aに、該電動モータ7Aを制動側とは逆方向に回転させるための電力が、駐車ブレーキ制御装置26を介して給電される。このとき、押圧部材保持機構8は、電動モータ7Aの回転によりピストン6Dの保持を解除する(ピストン6Dによる押圧力を解除する)。これにより、後輪側ディスクブレーキ6は、駐車ブレーキ(ないし補助ブレーキ)としての制動力の付与が解除された状態、即ち、リリース状態(制動解除状態)となる。
駐車ブレーキは、例えば車両が所定時間停止したとき(例えば、走行中に減速に伴って、車速センサの検出速度が4km/h未満の状態が所定時間継続したときに停止と判断)、エンジンが停止したとき、シフトレバーをPに操作したとき、ドアが開いたとき、シートベルトが解除されたとき等、駐車ブレーキ制御装置26での駐車ブレーキのアプライ判断ロジックによる自動的なアプライ要求に基づいて、自動的に付与(オートアプライ)する構成とすることができる。また、駐車ブレーキは、例えば車両が走行したとき(例えば、停車から増速に伴って、車速センサの検出速度が5km/h以上の状態が所定時間継続したときに走行と判断)、アクセルペダルが操作されたとき、クラッチペダルが操作されたとき、シフトレバーがP、N以外に操作されたとき等、駐車ブレーキ制御装置26での駐車ブレーキのリリース判断ロジックによる自動的なリリース要求に基づいて、自動的に解除(オートリリース)する構成とすることができる。オートアプライ、オートリリースは、駐車ブレーキスイッチ25が故障したときに、自動的に制動力の付与または解除を行うスイッチ故障時補助機能として構成することができる。
さらに、車両の走行時に駐車ブレーキスイッチ25によるアプライ要求があった場合、より具体的には、走行中に緊急的に駐車ブレーキを補助ブレーキとして用いる等の動的駐車ブレーキ(動的アプライ)の要求があった場合も、駐車ブレーキ制御装置26は、駐車ブレーキスイッチ25の操作に応じて制動力の付与と解除を行う。例えば、駐車ブレーキ制御装置26は、駐車ブレーキスイッチ25が制動側に操作されている間(制動側への操作が継続している間)制動力を付与し、その操作が終了すると制動力の付与を解除する。このとき、駐車ブレーキ制御装置26は、車輪(各後輪3)の状態、即ち、車輪がロック(スリップ)しているか否かに応じて、自動的に制動力の付与と解除(ABS制御)を行う構成とすることができる。
電動機制御装置としての駐車ブレーキ制御装置26は、後輪側ディスクブレーキ6,6の電動モータ7A,7Aと共にブレーキ装置(駐車ブレーキ装置)を構成している。また、駐車ブレーキ制御装置26は、後輪側ディスクブレーキ6,6の電動モータ7A,7AおよびESC制御装置17と共にブレーキシステムを構成している。駐車ブレーキ制御装置26は、マイクロコンピュータ等によって構成される演算回路(CPU)27を有し、駐車ブレーキ制御装置26には、バッテリ18(ないしエンジンによって駆動されるジェネレータ)からの電力が電源ライン19を通じて給電される。
駐車ブレーキ制御装置26は、後輪側ディスクブレーキ6,6の電動モータ7A,7Aの駆動を制御し、車両の駐車、停車時(必要に応じて走行時)に制動力(駐車ブレーキ、補助ブレーキ)を発生させる。即ち、駐車ブレーキ制御装置26は、左右の電動モータ7A,7Aを駆動することにより、ディスクブレーキ6,6を駐車ブレーキ(必要に応じて補助ブレーキ)として作動(アプライ・リリース)させる。このために、駐車ブレーキ制御装置26は、入力側が駐車ブレーキスイッチ25に接続され、出力側は各ディスクブレーキ6,6の電動モータ7A,7Aに接続されている。
駐車ブレーキ制御装置26は、運転者の駐車ブレーキスイッチ25の操作による作動要求(アプライ要求、リリース要求)、駐車ブレーキのアプライ・リリースの判断ロジックによる作動要求、ABS制御による作動要求に基づいて、左右の電動モータ7A,7Aを駆動し、左右のディスクブレーキ6,6のアプライ(保持)またはリリース(解除)を行う。このとき、後輪側ディスクブレーキ6では、各電動モータ7Aの駆動に基づいて、押圧部材保持機構8によるピストン6Dおよびブレーキパッド6Cの保持または解除が行われる。このように、駐車ブレーキ制御装置26は、ピストン6D(延いてはブレーキパッド6C)の保持作動(アプライ)または解除作動(リリース)のための作動要求信号に応じて、ピストン6D(延いてはブレーキパッド6C)を推進するべく電動モータ7Aを駆動制御する。
図3に示すように、駐車ブレーキ制御装置26の演算回路27には、記憶部としてのメモリ28に加えて、駐車ブレーキスイッチ25、車両データバス20、電圧センサ部29、モータ駆動回路30、電流センサ部31等が接続されている。車両データバス20からは、駐車ブレーキの制御(作動)に必要な車両の各種状態量、即ち、各種車両情報を取得することができる。
なお、車両データバス20から取得する車両情報は、その情報を検出するセンサを駐車ブレーキ制御装置26(の演算回路27)に直接接続することにより取得する構成としてもよい。また、駐車ブレーキ制御装置26の演算回路27は、車両データバス20に接続された他の制御装置(例えばESC制御装置17)から前述の判断ロジックやABS制御に基づく作動要求が入力されるように構成してもよい。この場合は、前述の判断ロジックによる駐車ブレーキのアプライ・リリースの判定やABSの制御を、駐車ブレーキ制御装置26に代えて、他の制御装置、例えばESC制御装置17で行う構成とすることができる。即ち、ESC制御装置17に駐車ブレーキ制御装置26の制御内容を統合することが可能である。
駐車ブレーキ制御装置26は、例えばフラッシュメモリ、ROM、RAM、EEPROM等からなる記憶部としてのメモリ28を備えている。メモリ28には、前述の駐車ブレーキのアプライ・リリースの判断ロジックやABSの制御のプログラムが格納されている。これに加え、メモリ28には、後述の図4に示す処理フローを実行するための処理プログラム、即ち、自動ブレーキ後のアプライ制御に用いる処理プログラム等が格納されている。
なお、実施形態では、駐車ブレーキ制御装置26をESC制御装置17と別体としたが、駐車ブレーキ制御装置26をESC制御装置17と一体に構成してもよい。また、駐車ブレーキ制御装置26は、左右で2つの後輪側ディスクブレーキ6,6を制御するようにしているが、左右の後輪側ディスクブレーキ6,6毎に設けるようにしてもよく、この場合には、それぞれの駐車ブレーキ制御装置26を後輪側ディスクブレーキ6に一体的に設けることもできる。
図3に示すように、駐車ブレーキ制御装置26には、電源ライン19からの電圧を検出する電圧センサ部29、左右の電動モータ7A,7Aをそれぞれ駆動する左右のモータ駆動回路30,30、左右の電動モータ7A,7Aのそれぞれのモータ電流を検出する左右の電流センサ部31,31等が内蔵されている。これら電圧センサ部29、モータ駆動回路30、電流センサ部31は、それぞれ演算回路27に接続されている。
これにより、駐車ブレーキ制御装置26の演算回路27では、アプライまたはリリースを行うときに、電流センサ部31,31により検出される電動モータ7A,7Aのモータ電流の変化(電流値の変化)に基づいて、ディスクロータ4とブレーキパッド6Cとの当接・離接の判定、電動モータ7Aの駆動の停止の判定(アプライ完了の判定、リリース完了の判定)等を行うことができる。
駐車ブレーキ制御装置26は、車両データバス20、または、ESC制御装置17と駐車ブレーキ制御装置26とを接続する通信線(図示せず)を介してESC制御装置17と(電気的に)接続されている。この場合、駐車ブレーキ制御装置26は、ESC制御装置17からのアプライ要求(制動保持要求)に応じて電動モータ7Aの駆動を制御することができる。例えば、ESC制御装置17は、自動ブレーキ制御装置23からの自動ブレーキ指令に基づいてESC15を制御することにより、ディスクブレーキ5,6にブレーキ液圧を供給する。このとき、ESC制御装置17は、車両が停止すると、必要に応じて(例えば、ESC15によるブレーキ液圧を解除する前に)、駐車ブレーキ制御装置26にアプライ要求を出力する。この場合、駐車ブレーキ制御装置26は、車両が停止状態でESC制御装置17からアプライ要求を受けて電動モータ7Aを駆動させ、ディスクブレーキ6をアプライ状態(制動保持状態)とする。
一方、自動ブレーキで車両が停止した直後に、運転者が再び発進しようとした場合に、ESC制御装置17からのアプライ要求に基づいてディスクブレーキ6をアプライ状態にすると、車両の円滑な発進が阻害されるおそれがある。そこで、実施形態では、駐車ブレーキ制御装置26は、車両が停止状態になった後に運転者の発進意志が検出されると、ESC制御装置17からのアプライ要求による制動力の保持を禁止する。即ち、駐車ブレーキ制御装置26は、車両が停止状態になった後に運転者の発進意志が検出されると、ESC制御装置17からのアプライ要求によって電動モータ7Aを駆動しない。
この場合、運転者の発進意志は、アクセル開度と制動保持状態の解除操作とのうちの少なくともいずれかによって検出される。即ち、駐車ブレーキ制御装置26は、車両データバス20を介して取得されるアクセルセンサ(アクセル操作センサ)の検出信号(アクセル開度)に基づいて、運転者のアクセル操作が検出されると、運転者に発進意志があると判定する。例えば、アクセル開度が0.5%以上になると、運転者に発進意志があると判定する。また、駐車ブレーキ制御装置26は、駐車ブレーキスイッチ25からのリリース要求が入力されることにより、運転者の解除操作(駐車ブレーキのリリース操作)が検出されると、運転者に発進意志があると判定する。この場合、駐車ブレーキ制御装置26は、ESC制御装置17からのアプライ要求を受けても、電動モータ7Aをアプライ側へ駆動することを禁止する(電動モータ7Aをアプライ側へ駆動しない)。このような駐車ブレーキ制御装置26の制御、即ち、ESC制御装置17からのアプライ要求を受けたときの電動モータ7Aの制御に関しては、後で詳しく述べる。
実施形態による4輪自動車のブレーキシステムは、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
車両の運転者がブレーキペダル9を踏込み操作すると、その踏力が倍力装置11を介してマスタシリンダ12に伝達され、マスタシリンダ12によってブレーキ液圧が発生する。マスタシリンダ12内で発生したブレーキ液圧は、シリンダ側液圧配管14A,14B、ESC15およびブレーキ側配管部16A,16B,16C,16Dを介して各ディスクブレーキ5,6に分配され、左右の前輪2と左右の後輪3とにそれぞれ制動力が付与される。
この場合、各ディスクブレーキ5,6では、キャリパ5A,6B内のブレーキ液圧の上昇に従ってピストン5B,6Dがブレーキパッド6Cに向けて摺動的に変位し、ブレーキパッド6Cがディスクロータ4,4に押し付けられる。これにより、ブレーキ液圧に基づく制動力が付与される。一方、ブレーキ操作が解除されたときには、キャリパ5A,6B内へのブレーキ液圧の供給が停止されることにより、ピストン5B,6Dがディスクロータ4,4から離れる(後退する)ように変位する。これによって、ブレーキパッド6Cがディスクロータ4,4から離間し、車両は非制動状態に戻される。
次に、車両の運転者が駐車ブレーキスイッチ25を制動側(アプライ側)に操作したときは、駐車ブレーキ制御装置26から後輪側ディスクブレーキ6の電動モータ7Aに給電が行われ、電動モータ7Aが回転駆動される。また、例えば、自動ブレーキにより車両が停止したときに、ESC制御装置17からのアプライ要求があると、駐車ブレーキ制御装置26から後輪側ディスクブレーキ6の電動モータ7Aに給電が行われ、電動モータ7Aが回転駆動される。
後輪側ディスクブレーキ6では、電動モータ7Aの回転運動が押圧部材保持機構8により直線運動に変換され、ピストン6Dが推進する。これにより、ブレーキパッド6Cによりディスクロータ4が押圧される。このとき、押圧部材保持機構8は、例えば、螺合による摩擦力(保持力)により制動状態を保持される。これにより、後輪側ディスクブレーキ6は、駐車ブレーキとして作動(アプライ)される。即ち、電動モータ7Aへの給電を停止した後にも、押圧部材保持機構8により、ピストン6Dは制動位置に保持される。
一方、運転者が駐車ブレーキスイッチ25を制動解除側(リリース側)に操作したときには、駐車ブレーキ制御装置26から電動モータ7Aに対してモータが逆転するように給電される。この給電により、電動モータ7Aが駐車ブレーキの作動時(アプライ時)と逆方向に回転される。このとき、押圧部材保持機構8による制動力の保持が解除され、ピストン6Dがディスクロータ4から離れる方向に変位することが可能になる。これにより、後輪側ディスクブレーキ6は、駐車ブレーキとしての作動が解除(リリース)される。
次に、駐車ブレーキ制御装置26の演算回路27で行われる制御処理について、図4を参照しつつ説明する。図4の制御処理は、例えば、駐車ブレーキ制御装置26に通電している間、所定の制御周期で、即ち、所定時間(例えば、10ms)毎に繰り返し実行される。
駐車ブレーキ制御装置26が起動すると、駐車ブレーキ制御装置26は、S1で、自動ブレーキ後の駐車ブレーキ(PKB)のアプライ要求(作動要求)があるか否かを判定する。即ち、S1では、ESC制御装置17から車両データバス20を介して駐車ブレーキ制御装置26にアプライ要求が入力されたか否かを判定する。ここで、ESC制御装置17は、自動ブレーキ制御装置23からの自動ブレーキ指令に基づいてESC15を制御することによりディスクブレーキ5,6にブレーキ液圧を供給し、車両が停止すると、駐車ブレーキ制御装置26にアプライ指令を出力する。駐車ブレーキ制御装置26は、S1で、ESC制御装置17からアプライ要求を受けたか否かを判定する。
S1で「NO」、即ち、ESC制御装置17からのプライ要求なしと判定した場合は、リターンを介してスタートに戻り、S1以降の処理を繰り返す。一方、S1で「YES」、即ち、ESC制御装置17からのアプライ要求ありと判定した場合は、S2に進む。S2では、アクセルペダルの操作があるか否かを判定する。即ち、S2では、駐車ブレーキ制御装置26は、車両データバス20を介して取得されるアクセルセンサ(アクセル操作センサ)の検出信号(アクセル開度)に基づいて、運転者のアクセル操作があるか否かを判定する。
S2で「NO」、即ち、運転者のアクセル操作がないと判定された場合は、S3に進む。S3では、駐車ブレーキスイッチ(PKB−SW)25の解除操作があるか否かを判定する。即ち、S3では、駐車ブレーキ制御装置26に駐車ブレーキスイッチ25からリリース要求が入力されたか否かを判定する。S3で「NO」、即ち、駐車ブレーキスイッチ25のリリース要求がないと判定された場合は、S4に進む。S4では、駐車ブレーキ制御装置26は、電動モータ7Aをアプライ側に駆動する。即ち、駐車ブレーキ制御装置26は、後輪側ディスクブレーキ6をアプライ状態とするためのアプライ制御を行う。S4で、後輪側ディスクブレーキ6をアプライ状態としたら、リターンを介してスタートに戻り、S1以降の処理を繰り返す。
一方、S2で「YES」、即ち、運転者のアクセル操作がありと判定された場合は、リターンを介してスタートに戻り、S1以降の処理を繰り返す。また、S3で「YES」、即ち、駐車ブレーキスイッチ25のリリース要求がありと判定された場合も、リターンを介してスタートに戻り、S1以降の処理を繰り返す。これらの場合は、運転者が車両を発進させようとしている(発進意志あり)と考えられるため、S4に進むことなく、即ち、電動モータ7Aをアプライ側に駆動することなく、スタートに戻り、S1以降の処理をくり返す。
なお、図4では、S2で「YES」と判定されると、リターンに進む構成としている。これに対し、例えば、S2で「YES」と判定した後に、エンジンの回転数の判定と、シフトレバーの位置の判定とを行う構成としてもよい。エンジンの回転数の判定は、エンジンが始動(駆動)しているか否かの判定である。例えば、エンジン回転センサにより検出され車両データバス20を介して取得されるエンジン回転数が、予め設定した所定の回転数よりも低い(例えば、300rpm以下の)場合には、エンジンが停止していると判定し、アクセル操作ありでも、運転者に発進意志がないとすることができる。この場合、即ち、エンジンが停止いている(例えば、所定の回転数よりも低い)と判定された場合は、S3またはS4に進む。
一方、エンジンが始動している(例えば、所定の回転数以上である)と判定された場合は、シフトレバーの位置を判定する。シフトレバーの位置の判定は、シフトレバーがP、N以外の位置であるか否かの判定である。例えば、シフトセンサにより検出され車両データバス20を介して取得されるシフトレバーの位置が、PまたはNの場合には、エンジンが始動しており、かつ、アクセル操作ありでも、運転者に発進意志がないとすることができる。この場合、即ち、シフトレバーの位置がPまたはNであると判定された場合は、S3またはS4に進む。一方、シフトレバーの位置がP、N以外である場合は、運転者の発進意志あり(発進意志確定)とし、リターンに進む(電動モータ7Aのアプライ方向への駆動を禁止する)。
かくして、実施の形態では、図4のS1で「YES」、即ち、ESC制御装置17からのプライ要求ありと判定されても、図4のS2で「YES」、または、S3で「YES」と判定されることにより、運転者の発進意志が検出されると、S4に進まない。即ち、駐車ブレーキ制御装置26は、車両が停止状態になった後に運転者の発進意志が検出されると、ESC制御装置17からのアプライ要求があっても、アプライ要求による制動力の保持を禁止する。換言すれば、車両が停止状態になった後に運転者の発進意志が検出されると、ESC制御装置17からのアプライ要求があっても、電動モータ7Aをアプライ側に駆動しない。このため、電動モータ7Aによってピストン6Dが推進せず、後輪側ディスクブレーキ6がリリース状態を維持する。これにより、運転者の発進意志が優先され、車両を円滑に発進させることができる。
図5は、車速とアクセルペダル操作とESC制御装置17からのアプライ要求と駐車ブレーキの動作の時間変化の一例を示している。ESC制御装置17からのアプライ要求に従って電動モータ7Aをアプライ側に駆動すると、図5に破線の特性線41で示すように、後輪側ディスクブレーキ6がアプライ状態となる。この場合は、アクセルペダルの操作があるにも拘わらず、後輪側ディスクブレーキ6がアプライ状態となることにより、車両の円滑な発進が阻害されるおそれがある。これに対して、実施形態では、図4のS2で「YES」と判定されると、電動モータ7Aをアプライ側に駆動しない。このため、図5に実線の特性線42で示すように、後輪側ディスクブレーキ6のリリース状態が維持される。これにより、車両を円滑に発進させることができる。
実施の形態では、駐車ブレーキ制御装置26は、運転者の発進意志を、運転者のアクセル操作(アクセル開度)、および、駐車ブレーキスイッチ25のリリース操作によって検出する。即ち、図4のS2では、運転者のアクセル操作の有無から運転者の発進意志を検出する。また、図4のS3は、駐車ブレーキスイッチ25のリリース要求の有無から運転者の発進意志を検出する。このため、運転者の発進意志を確実に検出できる。
なお、実施形態では、各ディスクブレーキ5,6のピストン5B,6Dへの液圧供給を制御して制動力を制御する制動力制御装置を、液圧供給装置であるESC15の制御装置、即ち、ESC制御装置17とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、制動力制御装置を、マスタシリンダの液圧を制御する電動倍力装置の制御装置、即ち、電動倍力制御装置としてもよい。
実施形態では、左右の後輪側ディスクブレーキ6を電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキとした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、左右の前輪側ディスクブレーキ5を電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキとしてもよい。また、前輪と後輪の全ての車輪(4輪全て)のブレーキを電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキにより構成してもよい。即ち、車両の少なくとも一対の車輪のブレーキを、電動駐車ブレーキ機能付のディスクブレーキにより構成することができる。
実施形態では、駐車ブレーキ装置(電動駐車ブレーキ機構)として、電動駐車ブレーキ付の液圧式ディスクブレーキ6を例に挙げて説明した。しかし、ディスクブレーキ式のブレーキ機構に限らず、ドラムブレーキ式のブレーキ機構として構成してもよい。さらに、ディスクブレーキにドラム式の電動駐車ブレーキを設けたドラムインディスクブレーキ、電動モータでケーブルを引っ張ることにより駐車ブレーキの保持を行う構成等、ブレーキ機構は各種のものを採用することができる。
以上説明した実施形態に基づくブレーキ装置およびブレーキシステムとして、例えば下記に述べる態様のものが考えられる。
(1).第1の態様としては、被制動部材に制動部材を押圧するピストンを推進する電動機と、ピストンへの液圧供給を制御して制動力を制御する制動力制御装置に接続され、該制動力制御装置からの制動保持要求に応じて電動機の駆動を制御する電動機制御装置と、を備え、電動機制御装置は、車両が停止状態になった後に運転者の発進意志が検出されると、制動力制御装置からの制動保持要求による制動力の保持を禁止する。
この第1の態様によれば、電動機制御装置は、車両が停止状態になった後に運転者の発進意志が検出されると、制動力制御装置からの制動保持要求があっても、制動保持要求による制動力の保持を禁止する。このため、電動機によってピストンが推進せず、運転者の発進意志が優先され、車両を円滑に発進させることができる。
(2).第2の態様としては、第1の態様において、運転者の発進意志は、アクセル開度と制動保持状態の解除操作とのうちの少なくともいずれかによって検出される。
この第2の態様によれば、運転者の発進意志を確実に検出できる。
(3).第3の態様としては、被制動部材に制動部材を押圧するピストンを推進する電動機と、電動機の駆動を制御する電動機制御装置と、ピストンへの液圧供給を制御して制動力を制御する制動力制御装置と、を備え、電動機制御装置は、車両が停止状態で制動力制御装置から制動保持要求を受けて電動機を駆動させ制動保持状態とするブレーキシステムであって、電動機制御装置は、車両が停止状態になった後に運転者の発進意志が検出されると、制動力制御装置からの制動保持要求によって電動機を駆動しない。
この第3の態様によれば、電動機制御装置は、車両が停止状態になった後に運転者の発進意志が検出されると、制動力制御装置からの制動保持要求があっても、電動機を駆動しない。このため、電動機によってピストンが推進せず、運転者の発進意志が優先され、車両を円滑に発進させることができる。
(4).第4の態様としては、第3の態様において、運転者の発進意志は、アクセル開度と制動保持状態の解除操作とのうちの少なくともいずれかによって検出される。
この第4の態様によれば、運転者の発進意志を確実に検出できる。