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JP6763382B2 - 光通信装置、光通信システムおよび光通信方法 - Google Patents
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Description

本発明は、信号光を利用する無線通信の技術に関する。
近年、衛星や気球などの飛行体を用いる無線通信ネットワークを構築する動きが活発化してきている。その飛行体を用いる無線通信ネットワークには、地表に構築する通信ネットワークと比較して、例えば基地局を飛行体に作ることにより基地局が災害に遭い難くなるので、災害耐力が高くなるという利点がある。また、飛行体を用いる無線通信ネットワークには、配線設備を設置する等の工事の費用を削減できるというような利点もある。このような飛行体を用いる無線通信ネットワークのユーザは増加することが予想され、このユーザの増加に伴って、当該無線通信ネットワークで使用する電波の周波数帯域が逼迫することが想定されている。このため、その飛行体を用いる無線通信ネットワークで利用する無線通信として、現在主流であるマイクロ波に代わって、格段に広帯域化が期待できる光周波数帯を用いる空間光通信(FSO(Free Space Optics))が注目されている。
大容量な空間光通信システムを実現するためには、伝送信号光のビットレートの高速化技術と波長多重技術が必要とされている。また、空間光通信システムにおいては、上空の飛行体と地上との間の長距離を信号光が伝搬するので、その伝搬による信号光の減衰が大きく、このために、高感度な受信装置が必要である。その受信装置には、光ファイバ通信技術と共通の技術、すなわち、シングルモードファイバ(SMF(Single Mode Fiber))を用いる光送受信技術が応用される。空間光通信システムにおいてシングルモードファイバを用いる理由は、例えば、低雑音かつ高利得な直接光増幅技術、高感度なデジタルコヒーレント受信技術、高ビットレート送受信技術、および、高密度波長多重(DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing))技術などの光送受信技術を利用することが可能だからである。
ところで、シングルモードファイバを用いる空間光通信システムにおいては、自由空間を伝搬した信号光(レーザ光)はシングルモードファイバにおけるコア径の小さなコアに入射(結合)しなければならない。このため、人工衛星等の上空の飛行体と地上局との間での空間光通信システムにおいては、十分な光パワーを集光するために、受信装置は大きな開口径を有する望遠鏡を備える必要がある。この場合、その望遠鏡の口径は大気中を伝搬した信号光(レーザ光)の空間コヒーレンス半径の数倍以上となるため、信号光は風など大気の乱れの影響を受けやすくなる。すなわち、乱流現象と熱現象により生じる大気の屈折率の局所的な揺らぎが発生している部分を通過する際に、信号光が屈折し当該屈折に起因して信号光が偏向する。このため、望遠鏡で集光された信号光のビームスポットの乱れが大きくなる。このように、ビームスポットの乱れにより受信装置に入射する信号光の強度が大きく変動するため、空間光通信システムは、安定な通信が困難であるという問題が生じる。特に、大きな強度変動による信号光の大きな減衰(フェード)が発生すると、受信データのエラーや欠損が生じる。このため、空間光通信システムには、エラー訂正符号(FEC(Forward Error Correction))のオーバヘッドが増大する問題や、再送処理が必要となる問題が発生する。このような問題は、空間光通信システムの実効スループットの低下を招くことになる。
上述したように、空間光通信システムにおいては、大気伝搬中に信号光が受ける波面の乱れにより、通信が不安定になるという問題が発生する虞がある。このような問題を解決する技術がこれまでに多数提案されている。
特許文献1(特表2013-535871号公報)に開示されている受信装置は、集光部と、波長デマルチプレクサと、複数の光検出器と、信号処理部とを含む。当該受信装置は、波長デマルチプレクサから複数の個別のファイバ端面に光を収集し、徐々に細くなっているファイバ・バンドル等を用いて、光検出器に入力するために信号光を単一の出力ファイバに集中させる構成を備えている。このような構成により、この受信装置においては、ビームスポットの乱れに対しても安定なファイバ結合が実現される。また、特許文献1には、コア径をテーパー状にシングルモードファイバと同等の径まで細くすることにより、結合した信号光をシングルモードファイバのコアに集中させ、後段のシングルモードファイバに適応した光部品と接続が可能な構成も開示されている。
特許文献2(特許第4701454号公報)に開示されている空間光通信システムを構築する通信装置は、集光部と、ファイバ・バンドルと、複数の光受信器と、複数の光送信器と、送受信制御部とを含む。この通信装置は、対向装置から受信した信号光の集光位置と同じ位置から信号光を送信する構成を備えている。この構成により、大気揺らぎや周辺温度変化による集光系のたわみに依らずに、対向装置側では、その通信装置からの信号光が信号光発射点に集光する。
非特許文献1(“次世代超大型光学赤外線望遠鏡 計画説明書”)には、信号光の波面の歪みを計測して補正する補償光学(AO(Adaptive Optics))技術が開示されている。この技術では、大気揺らぎによって歪んだ受信光の波面が波面センサにより観測され、この観測結果を利用して微小電気機械システム(MEMS(Micro Electro Mechanical System))等を使用する波面補正素子が制御される。
特表2013-535871号公報 特許第4701454号公報
"次世代超大型光学赤外線望遠鏡 計画説明書"、国立天文台TMT推進室、2012年7月
上空の飛行体と地上局との間で通信を行う場合には、地上局側では電力供給が容易なため電力使用量に対する制限が小さいのに対し、上空の飛行体は太陽光発電等の蓄電装置の電力で動作しているため電力使用量に対する制限が大きい。また、上空では大気密度が薄いため強制空冷の効率が極めて低いことから、自然放射のみで発熱対策を講ずる必要がある。したがって、飛行体に搭載する通信装置は、電力消費量および電力消費量に関係する信号処理量を可能な限り削減する必要がある。
また、特許文献1に開示されている構成では、複数の光検出器を使用することが前提とされている。このため、この構成は、地上局を受信端とする信号光の通信に適用することは可能であるが、飛行体を受信端とする信号光の通信に適用することは困難である。
特許文献2に開示されている構成は、地上局側で信号光を送信する最適な状態を選択することによって、上空の飛行体の負荷を削減することが可能である。当該構成は、地上局で信号光を受信する際に、集光後のビームスポットがファイバ・バンドルを構成する各シングルモードファイバのコア径よりも十分小さい場合には効果を発揮する。しかしながら、一般的に、ビームスポットはシングルモードファイバのコア径より大きくなってしまうため、特許文献2に開示されている構成は、地上局で信号光を受信する際に、その効果を十分に発揮できない。
非特許文献1に開示されている補償光学技術は、受信信号光の波面歪みを参照して送信信号光に予め逆歪みを施すことは可能ではある。しかしながら、当該技術は、大気揺らぎ変動の周波数である数kHz(キロヘルツ)の乱れを考慮して波面補償を行うことは、信号処理の速度に起因して困難である。
本発明は上記のような課題を解決するために考え出された。すなわち、本発明の主な目的は、上空の飛行体に備えられる通信装置における消費電力量や発熱量を増加することなく、大気揺らぎ等による信号光(ビームスポット)の乱れを補償できる通信技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の光通信装置は、
自由空間を通って入射した受信側信号光を伝送するマルチモードタイプの伝送媒体と、
前記伝送媒体を通った受信側信号光に含まれる複数の互いに異なる伝搬モードの強度分布状態に応じた分配比でもって前記受信側信号光を複数の受信側信号光に分配する受信側分配器と、
送信対象の送信側信号光を複数の送信側信号光に分配する送信側分配器と、
前記分配された各受信側信号光における光強度と位相のうちの一方又は両方を検知する機能と、前記分配された各送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方に対する制御目標の値を前記検知結果に応じた値に設定する機能とを有する信号処理装置と、
前記分配された送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方を前記信号処理装置により設定された値となるように調整する変調器と、
前記変調器により調整された後の複数の送信側信号光を合成する合成器と
を備える。
また、本発明の光通信システムは、
本発明の光通信装置と、
当該光通信装置と信号光によって通信する通信相手側の光通信装置と
を備え、
前記光通信装置は、地上側に設置され、
前記通信相手側の光通信装置は、上空を飛行する飛行体に備えられている。
さらに、本発明の光通信方法は、
自由空間を通って入射した受信側信号光をマルチモードタイプの伝送媒体で受け、
前記伝送媒体を通った受信側信号光に含まれる複数の互いに異なる伝搬モードの強度分布状態に応じた分配比でもって前記受信側信号光を複数の受信側信号光に分配し、
前記分配された各受信側信号光における光強度と位相のうちの一方又は両方を検知し、
送信対象の送信側信号光を複数の送信側信号光に分配し、
前記分配された各送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方に対する制御目標の値を前記検知結果に応じた値に設定し、
前記分配された送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方を前記設定された値となるように調整し、
前記調整された後の複数の送信側信号光を合成し、合成後の送信側信号光を出射する。
本発明によれば、上空の飛行体に備えられる通信装置における消費電力量や発熱量を増加することなく、大気揺らぎ等による信号光の乱れを補償できる。
本発明に係る第1実施形態の光通信装置の構成を簡略化して表すブロック図である。 光通信システムの一構成例を簡略化して表すブロック図である。 本発明に係る第2実施形態の光通信装置およびそれを備えた光通信システムの構成を簡略化して表すブロック図である。 発明者によるシミュレーションで使用した信号光の経路モデルを説明する図である。 発明者によるシミュレーションの結果を表すグラフである。 発明者による別のシミュレーションの結果を表すグラフである。 本発明に係る第4実施形態の光通信装置の構成を説明する図である。 第4実施形態の光通信装置に備えられる監視装置の一構成例を説明する図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る第1実施形態の光通信装置の構成を簡略化して表すブロック図である。第1実施形態の光通信装置1は、伝送媒体3と、受信側分配器4と、信号処理装置5と、合成器8と、変調器9と、送信側分配器10とを備えている。
伝送媒体3は、信号光を伝送するマルチモードタイプの伝送媒体(例えば光ファイバ)であり、この第1実施形態では、自由空間を通って光通信装置1に入射した信号光(以下、受信側信号光と記す)を伝送する。
受信側分配器4は、伝送媒体3を通った受信側信号光に含まれる複数の互いに異なる伝搬モードの強度分布状態に応じた分配比でもって、受信側信号光を複数の受信側信号光に分配する構成を備えている。
送信側分配器10は、送信対象の送信側信号光を受け取った場合に、その受け取った送信側信号光を複数の送信側信号光に分配する構成を備えている。
信号処理装置5は、分配された受信側信号光における光強度と位相のうちの一方又は両方を検知する機能を有する。また、信号処理装置5は、前記分配された各送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方に対する制御目標の値を前記検出結果に応じた値に設定する機能をさらに有する。
変調器9は、送信側分配器10により分配された送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方を、信号処理装置5により設定された値となるように調整する構成を備えている。
合成器8は、変調器9により調整された後の複数の送信側信号光を合成する構成を備えている。
この合成器8により合成された送信側信号光が光通信装置1の通信相手に向けて自由空間に出射される。
この第1実施形態の光通信装置1は、上記のような構成を備えることにより、受信側信号光と位相共役状態を作り出す送信側信号光を出射することが可能である。そのような位相共役状態の送信側信号光(ビームスポット)は、自由空間における大気の揺らぎ等に因る乱れが抑制されるので、光通信装置1は、通信相手が受信する信号光(送信側信号光)のノイズを低減でき、かつ、光強度を強くすることができる。つまり、光通信装置1は、通信相手の構成や信号処理手法を変更することなく、当該通信相手が受信する信号光の強度を強めることができる。換言すれば、光通信装置1は、通信相手の消費電力量や発熱量を増加することなく、大気揺らぎ等による送信側信号光(ビームスポット)の乱れを補償でき、通信相手が受信する信号光の強度を強めることができ、また、信号光のノイズの低減を図ることができる。
さらに、この第1実施形態の光通信装置1は、自由空間を通ってきた受信側信号光を、マルチモードタイプの伝送媒体3でもって伝送する構成を備えている。マルチモードタイプの伝送媒体は、信号光が通るコア径がシングルモードタイプの伝送媒体のコア径よりも大きいことから、シングルモードタイプの伝送媒体に比べて、自由空間を通ってきた受信側信号光が入射しやすい。これにより、光通信装置1は、受信側信号光の受信強度を強めることができる。さらに、マルチモードタイプの伝送媒体3を利用することによって受信側信号光の受信強度を強めることができるので、光通信装置1は、受信強度を強めるために大型の受信装置や高感度で高額な受信装置を設けなくて済むという効果を得ることができる。
この第1実施形態の光通信装置1は、図2に表されるような光通信システム13を構築できる。この光通信システム13は、第1実施形態の光通信装置1と、当該光通信装置1の通信相手である光通信装置15とを備えている。光通信装置15は、飛行体(例えば人工衛星や気球)16に搭載される。これに対し、光通信装置1は、地上側に設置される地上局として機能する。これら光通信装置1,15は、信号光を無線通信する構成を備えている。つまり、図2に表される光通信システム13は、空間光通信(FSO(Free Space Optics))システムである。
この光通信システム13は、第1実施形態の光通信装置1を備えているので、飛行体16に搭載されている光通信装置15の消費電力量と発熱量を抑制することが可能である。また、光通信システム13は、光通信装置1,15間における信号光の無線通信の安定化を図ることができ、これにより、無線通信に対する信頼性を高めることができる。
<第2実施形態>
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。
図3は、第2実施形態の光通信装置を備えた光通信システムの構成を簡略化して表すブロック図である。この第2実施形態の光通信システム18は、空間光通信(FSO(Free Space Optics))システムであり、信号光を通信する光通信装置20,21を有して構成される。この第2実施形態では、光通信装置20は、人工衛星や気球等の飛行体に備えられる通信装置であり、光通信装置21は、地上側に設置され地上局として機能する通信装置である。
光通信装置20は、光送信器23と、光増幅器24と、ビームスプリッタ25と、光増幅器26と、光受信器27と、伝送媒体28と、集光部29とを有する。光送信器23は、送信対象の信号光を生成する構成を備えている。光増幅器24は、光送信器23により生成された信号光を増幅する構成を備えている。この増幅された送信対象の信号光は、ビームスプリッタ25と伝送媒体(例えばシングルモードタイプの光ファイバ)28を介して集光部29に伝送される。
集光部29は、伝送媒体28から出射された送信対象の信号光を平行光線30に変換し光通信装置21に向けて自由空間に出射(送信)する機能を備えている。光通信装置20には、集光部29から出射された平行光線30が自由空間の大気等を通って地上局である光通信装置21に伝送されるように、集光部29の向き等を制御する構成(図示せず)が備えられている。
また、集光部29は、光通信装置21から自由空間を通ってきた受信側の信号光である平行光線30を集光する機能を備えている。この第2実施形態では、その集光した受信側の信号光が伝送媒体28に入射するように、例えば、集光部29と伝送媒体28の端面との位置関係が設計されている。
ビームスプリッタ25は、光送信器23から出力された送信対象の信号光を集光部29に向けて通し、かつ、集光部29から伝送されてきた受信側の信号光を光受信器27に導く構成を備えている。
増幅器26は、信号光を増幅する構成を備えている。
光受信器27は、増幅器26を通ってきた信号光を例えば電気信号に変換する構成を備えている。
光通信装置21は、集光部32と、伝送媒体33と、光分配合成器34と、伝送媒体35と、ビームスプリッタ36と、増幅器37と、受信器38と、信号処理装置40と、送信器41と、分配器(送信側分配器)42と、増幅器43と、変調器44とを備える。
集光部32は、自由空間を通ってきた信号光(以下、受信側信号光とも記す)である平行光線30を集光する機能を備えている。伝送媒体33は、信号光を伝送するマルチモードタイプの伝送媒体(例えば光ファイバ)である。ここでは、集光部32により集光された受信側信号光が伝送媒体33のコアに入射するように、集光部32と伝送媒体33の端面との位置関係が設定されている。
光分配合成器34は、マルチモードタイプの伝送媒体33に接続されると共に、シングルモードタイプの複数の伝送媒体35に接続されている。この光分配合成器34は、伝送媒体33から入力した信号光(受信側信号光)を複数に分配し、分配した各信号光を、対応する伝送媒体35に出力する機能を備えている。
この第2実施形態では、光分配合成器34は、伝送媒体33から入力した受信側信号光を単に分配するのではなく、受信側信号光に含まれる複数の互いに異なる伝搬モードの強度分布状態に応じた分配比でもって当該受信側信号光を複数の受信側信号光に分配する。例えば、光分配合成器34は、受信側信号光における直線偏波(Linear Polarization:LP)モードの強度分布状態(例えば、LP01モードとLP21モードを含む複数のLPモードの強度分布状態)に応じた分配比でもって受信側信号光を複数に分配する。光分配合成器34は、その分配した各受信側信号光を、それぞれ、対応する伝送媒体35に出力する。つまり、各伝送媒体35には、互いに異なる伝搬モードとの対応関係が設定されており、当該対応する伝搬モードに応じた光強度を持った受信側信号光が伝送される。なお、このように、各伝送媒体35は、互いに異なる伝搬モードとの対応関係が設定されているが、この第2実施形態では、光分配合成器34が各伝送媒体35に出力する受信側信号光は、同じ伝搬モード(例えばLP01モード)の信号光である。
さらに、光分配合成器34は、各伝送媒体35から入力した信号光(送信側信号光)を合成し、合成した信号光を伝送媒体33に出力する機能を備えている。すなわち、この第2実施形態では、光分配合成器34は、受信側分配器としての機能と、合成器としての機能とを備えている。
このような機能を持つ光分配合成器34の構成は、例えば、下記の参考文献1あるいは参考文献2に記載されている構成を採用することができる。
[参考文献1] Sergio G. Leon―Saval et al., “Mode―selective photonic lanterns for space division multiplexing”, Opt. Express 22, 1036 (2014)
[参考文献2] Guillaume Labroille et al., “Efficient and mode selective spatial mode multiplexer based on multi―plane light conversion”, arXiv:1404.6455 (2014)
光分配合成器34から各伝送媒体35に出力された受信側信号光は、伝送媒体35と増幅器37を介して受信器38に伝送される。ところで、この第2実施形態では、光分配合成器34から各増幅器37に至る信号光の伝送経路には、それぞれ、ビームスプリッタ36が介設されている。各ビームスプリッタ36は、変調器44にも接続されている。ビームスプリッタ36は、光分配合成器34から伝送媒体35に出力された信号光を増幅器37に向けて出力し、かつ、変調器44側から入力した信号光を光分配合成器34に向けて出力する構成を備えている。
増幅器37は、光分配合成器34から出力された受信側信号光を増幅する構成を備えている。受信器38は、各増幅器37に対応して設けられている。各受信器38は、増幅器37により増幅された受信側信号光を受け当該受信側信号光を電気信号に変換する構成を備えている。その変換後の電気信号は、信号処理装置40に出力される。
送信器41は、送信対象の信号光(以下、送信側信号光とも記す)を生成し、当該送信側信号光を出力する構成を備えている。
分配器(送信側分配器)42は、送信器41から出力された送信側信号光を複数の送信側信号光に分配する構成を備えている。この分配器42による分配後の送信側信号光の数は、光分配合成器34が受信側信号光を分配する数と同数である。
分配器42から出力された各送信側信号光は、それぞれ増幅器43と変調器44とビームスプリッタ36を介して光分配合成器34に伝送される。
増幅器43は、送信側信号光を増幅する構成を備えている。変調器44は、送信側信号光を変調する構成を備えている。この変調器44による送信側信号光の変調度等は、信号処理装置40により制御される。
信号処理装置40は、受信器38から受信した電気信号を信号処理する機能を有する。さらに、この第2実施形態では、信号処理装置40は、各受信器38から受信した電気信号を利用し、デジタルコヒーレント信号処理技術を適用することにより、各伝送媒体35を伝送している受信側信号光の光強度と位相を検知(算出)する機能を有する。
さらにまた、信号処理装置40は、その検知した結果に基づいて、送信側信号光が受信側信号光と位相共役の関係となるように、各変調器44による送信側信号光の変調度を設定する機能を備えている。この第2実施形態では、信号処理装置40は、送信側信号光が受信側信号光と位相共役状態となるように、受信側信号光から検知した位相の情報に基づいて、送信側信号光における制御対象である位相の制御目標の値を設定する。この制御目標の値は、信号処理装置40から、対応する変調器44に伝達され、変調器44は、その制御目標値に基づいて送信側信号光を変調する。
各変調器44から出力された送信側信号光は、ビームスプリッタ36を介し光分配合成器34に伝送され、当該光分配合成器34により合成される。そして、合成された送信側信号光は、伝送媒体33と集光部32を通って光通信装置20に向けて自由空間に出射される。この第2実施形態では、この出射された送信側信号光は、受信側信号光と位相共役状態となる。
この第2実施形態における光通信装置21は上記のように構成されている。これにより、次のような効果を得ることができる。すなわち、第2実施形態における光通信装置21は、受信した信号光(受信側信号光)と位相共役となる送信側信号光を通信相手に向けて出射することができる。これにより、光通信装置21の通信相手(つまり、飛行体に搭載されている光通信装置20)は、光通信装置20,21間の大気の揺らぎ等に因る悪影響が緩和された信号光を受信することが可能となる。このため、光通信装置20は、光強度の強い受信信号光を受信できるから、受信信号光が弱い場合のような電力消費量および発熱量が大きい受信装置を設けなくて済むという効果を得ることができる。
また、光通信装置21は、上記のように、受信側信号光と位相共役となる送信側信号光を通信相手に向けて出射することができる。これにより、通信相手である光通信装置20は、伝送媒体28がシングルモードタイプの光ファイバであっても、その光通信装置21からの信号光は安定的に伝送媒体28に入射できることとなる。換言すれば、光通信装置21は、通信相手である光通信装置20における集光部29と、シングルモードタイプの伝送媒体28とによる信号光の結合効率の安定化を図ることができる。
このような効果を本発明者はシミュレーションにより確認している。図4は、そのシミュレーションにて想定された信号光の経路のモデルを説明する図である。このモデルは、参考文献3に記載されている伝送モデルを適用したものである。
[参考文献3] 高橋他、“SDM型光空間受信器の検討(1)FMFによる結合効率の改善”、2015年電子情報通信学会総合大会、B−3−23(2015)
図4に表されているモデルでは、シングルモードタイプの光ファイバ50から集光部51に向けて直線偏波LP01モードの信号光が出射されるとする。集光部51は、例えば直径1メートルの球面レンズであり、ここでは、集光部51から出射された信号光は理想的な平行光であると仮定する。この集光部51による信号光(平行光)は、大気の存在限界である高度50キロメートルから地上の集光部57に向けて垂直伝搬されるとする。このモデルでは、高度50キロメートルから地上に垂直伝搬された場合の信号光と同様の信号光を、限られた空間で得るために、集光部51,57間における信号光の経路には、大気を模すランダム位相スクリーン52,53,54,55,56が介設される。これらランダム位相スクリーン52〜56は、大気に因る揺らぎと同様の揺らぎを信号光に与える。ここでは、その揺らぎは、参考文献4に記載されている屈折率構造パラメータCn2により求まる揺らぎとしている。また、このシミュレーションでは、大気中に平均風速10メートル毎秒(m/s)の風が吹いていると仮定して、ランダム位相スクリーン52〜56を動かしている。
[参考文献4] 豊嶋他、“地上-低軌道衛星間光通信回線におけるレーザビーム大気伝搬特性,”、信学会論文誌B、Vol.J94−B、No.3、p.409 (2011)
集光部57も集光部51と同様な集光部とし、当該集光部57は、入射した信号光(平行光)を焦点位置に集光する。この焦点位置に光ファイバ58の端面が位置し、集光部57から出射された信号光は光ファイバ58に入射する。なお、ここでは、集光部51から集光部57に向かう方向に伝搬される信号光をダウンリンク信号光と言い、逆向き(集光部57から集光部51に向かう方向)に伝搬される信号光をアップリンク信号光と言うものとする。
このシミュレーションでは、光ファイバ58に入射したダウンリンク信号光を異なる21個の直線偏波モードに分配し、分配された各々の信号光における位相および強度が算出される。
その後、集光部57から集光部51に向かう方向に伝搬するアップリンク信号光が生成される。このアップリンク信号光は、21個の直線偏波モードを合成した信号光であり、その強度は各1ミリワットとする。また、アップリンク信号光は、ダウンリンク信号光と位相共役状態で多重できるように、シミュレーションにより得られたダウンリンク信号光の強度と位相の情報に基づいて位相が制御される。
このようなアップリンク信号光が、光ファイバ58から出射し、ダウンリンク信号光と位相共役状態でもって、ダウンリンク信号光とは逆向きの経路により伝搬され、光ファイバ50に入射する。
シミュレーションでは、その光ファイバ50に入射した信号光における直線偏波のLP01モードの信号光に関し、50ミリ秒の期間中に10ミリ秒毎にその受信信号光の強度が算出されている。図5は、そのシミュレーションにより得られた算出結果を表すグラフである。このグラフの横軸は時間を表し、縦軸は、光ファイバ50に入射した直線偏波のLP01モードの信号光の強度(受信強度)を表している。また、グラフ中の丸印(●)は、21個の直線偏波モードを合成した信号光であるアップリンク信号光が、ダウンリンク信号光と位相共役状態でもって伝搬している場合における受信強度の算出結果を表している。実線Aは丸印を繋いだ線である。グラフ中の三角印(▲)は、21個の直線偏波モードを合成した信号光であるアップリンク信号光が、単純に多重化している状態(位相共役でない状態)で伝搬している場合における受信強度の算出結果を表している。実線Bは三角印を繋いだ線である。グラフ中の菱形印(◆)は、比較例であり、アップリンク信号光がLP01モードの信号光である場合における受信強度の算出結果を表している。実線Cは菱形印を繋いだ線である。
このシミュレーションでは、光ファイバ50側は人工衛星等の飛行体に搭載された光通信装置20側に相当し、光ファイバ58側は第2実施形態における光通信装置21側に相当する。また、シミュレーションにより算出された光ファイバ50における信号光の受信強度は、光通信装置20で受信される信号光の受信強度と見なすことができる。このシミュレーション結果(実線A参照)に表されているように、第2実施形態の如く、光ファイバ58から出射される信号光(アップリンク信号光)がダウンリンク信号光と位相共役状態でもって伝搬されることにより、受信強度の安定化が図られている。これに比べて、アップリンク信号がダウンリンク信号光と単に多重化している場合(実線B参照)には、受信強度が不安定に変動していることが分かる。さらに、アップリンク信号が直線偏波のLP01モードの信号光である場合(実線C参照)には、受信強度が弱い上に、変動している。
すなわち、この第2実施形態の光通信装置21は、通信相手から受信した信号光と位相共役状態となる信号光をその通信相手に向けて送信することにより、通信相手である光通信装置20における受信信号光の強度を強めることができる。これにより、通信相手である光通信装置20は、大型、高精度さらに高額な受信装置を備えなくて済むため、信号光の受信に関係する消費電力量および発熱量を削減することが可能となる。
また、この第2実施形態の光通信装置21は、集光部32からの光を受ける伝送媒体33としてマルチモードタイプの伝送媒体(光ファイバ)を備えている。マルチモード光ファイバは、シングルモード光ファイバよりも信号光を伝搬するコアの径が大きいので、伝送媒体33がシングルモード光ファイバである場合に比べて、光通信装置21は、信号光の受信強度を高めることができる。
なお、この第2実施形態では、信号処理装置40は、受信側信号光の位相を検知し、当該検知結果に基づいて、送信側信号光の位相に対する制御目標の値を設定している。これに代えて、信号処理装置40は、受信側信号光の位相の検知結果だけでなく、当該検知結果と、増幅器37における自己位相変調(SPM(Self Phase Modulation))による位相回転とを考慮して、送信側信号光の位相に対する制御目標の値を設定してもよい。つまり、受信側信号光に含まれている各伝搬モードの信号光強度は変動しやすいために、その信号光強度が大きく関与する増幅器37の自己位相変調も変動する。この変動の影響を抑制するために、信号処理装置40は、各増幅器37における位相回転量を算出し、この算出値をも考慮して、送信側信号光の制御対象の位相の制御目標値を設定してもよい。
また、この第2実施形態では、ビームスプリッタ36から受信器38までの受信側信号光の経路と、送信器41からビームスプリッタ36までの送信側信号光の経路とは別々である。このため、環境温度の変化に因る光路長の変化によって、各伝搬モードに対応する信号光の相対的な位相が変化する。このような相対的な位相変化が生じると、送信側信号光と受信側信号光の位相共役状態が崩れ、これにより、飛行体の光通信装置20における伝送媒体28に入射する信号光の強度が劣化してしまう虞がある。このことを考慮し、光通信装置21において、受信側信号光を通る経路と、送信側信号光が通る経路とが別々な部分において、温度変化の影響が小さい光路を採用してもよい。例えば、そのような光路として、平面光導波路(PLC(Planar Lightwave Circuit))が採用されてもよい。
<第3実施形態>
以下に、本発明に係る第3実施形態を説明する。なお、この第3実施形態の説明において、第2実施形態の通信システムを構成する構成部分と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
第2実施形態における光通信装置21の変調器44は、送信側信号光の位相を制御する構成を備えているのに対し、この第3実施形態では、変調器44として、送信側信号光の位相と光強度の両方を調整可能な変調器を採用している。そのような信号光の位相と光強度の両方を調整可能な変調器としては、例えば、マッハツェンダ(Mach-Zehnder)型変調器があり、この変調器を参考文献5に記載されているように制御する。
[参考文献5] 米国特許第7023601号
この第3実施形態では、送信側信号光における位相と光強度の両方が制御対象であり、信号処理装置40は、それら位相と光強度の両方の制御目標値を設定する機能を備えている。例えば、信号処理装置40は、次のようにして送信側信号光における光強度の制御目標値を設定する。ここで、信号光における伝搬モードnの光強度をPn(n=1,2,・・・・)とし、その伝搬モードnの光強度における制御目標値をQn(n=1,2,・・・・)とする。信号処理装置40は、式(1)に表されるような関係が満たされるように制御目標値Qnを設定する。
P1:P2:P3:・・・=Q1:Q2:Q3:・・・ (1)
変調器44は、信号処理装置40により設定された制御目標値となるように送信側信号光の位相および光強度を調整する。
上記以外の光通信装置21およびそれを備えた光通信システムの構成は、第2実施形態で述べた構成と同様である。
この第3実施形態の光通信装置21およびそれを備えた光通信システムは、第2実施形態と同様の構成を備えているので、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この第3実施形態の光通信装置21は、送信側信号光の位相だけでなく、光強度も調整することにより、送信側信号光と受信側信号光の位相共役状態を作り出している。これにより、第3実施形態の光通信装置21は、通信相手である光通信装置20に向けて、より強い光強度の信号光を提供することができる。このことは、発明者によるシミュレーションにより確認されている。
このシミュレーションでは、第2実施形態で述べたシミュレーションで使用した信号光の経路のモデル(図4参照)を利用している。このモデルにおいて、ダウンリンク信号光とアップリング信号光における伝搬モード間の強度分布(強度比)が同様となるように、条件が設定された。このような条件の基で、シングルモードタイプの光ファイバ50に入射するアップリンク信号光の受信強度が算出された。さらに、光ファイバ58から出射した出射点でのアップリンク信号光の強度に対する光ファイバ50に入射した入射点でのアップリング信号光の強度の比が効率として算出された。図6は、その算出結果を表すグラフである。図6において、縦軸はその効率を表し、横軸は時間を表している。このグラフ中の丸印(●)は、21個の直線偏波モードを合成した信号光であるアップリンク信号光における伝搬モード間の強度分布が受信時点でのダウンリンク信号光と異なり均一であり、かつ、アップリンク信号光が受信時点でのダウンリンク信号光と位相共役状態である場合における算出結果を表している。実線Aは丸印を繋いだ線である。グラフ中の四角印(■)は、21個の直線偏波モードを合成した信号光であるアップリンク信号光における伝搬モード間の強度分布が受信時点でのダウンリンク信号光と同様であり、かつ、アップリンク信号光が受信時点でのダウンリンク信号光と位相共役状態である場合における算出結果を表している。実線Dは四角印を繋いだ線である。
このシミュレーションでは、前述したように、光ファイバ50側は人工衛星等の飛行体に搭載された光通信装置20側に相当し、光ファイバ58側は第3実施形態における光通信装置21側に相当する。また、シミュレーションにより算出された光ファイバ50における信号光の受信強度は、光通信装置20で受信される信号光の受信強度と見なすことができる。光ファイバ58から出射された信号光の強度は、光通信装置21から送信された信号光の強度と見なすことができる。図6に表されているように、アップリンク信号光における伝搬モード間の強度分布がダウンリンク信号光と同様である場合(実線D参照)には、異なる場合(実線A参照)よりも効率が0.8〜2.2デシベル(dB)程度向上している。すなわち、この第3実施形態における光通信装置21の構成を備えることによって、光通信装置21は、出射する信号光の強度が同じであっても、光通信装置20で受信される信号光の強度を高めることができる。
ところで、光通信装置21から出射する信号光の強度に制限が有る場合がある。例えば、集光部32に入力光のパワー制限がある場合がある。このように入力光のパワー制限がある理由は、次の通りである。集光部32は、例えば、レンズやミラーを有して構成される。例えば、数ワット程度の強い信号光が集光部32に入射すると、レンズやミラーが発熱し当該熱により歪みが生じてしまう場合がある。これにより、光学系アライメントがずれ、信号光の指向性の精度がずれてしまう原因となる。このため、集光部32に入力する光のパワーを制限する場合がある。
第3実施形態の光通信装置21は、上記のように出射する信号光の強度に制限(限界)がある場合であっても、光通信装置20で受信する信号光の強度を強めることができるので、出射する信号光の強度に制限がある場合にその効果を特に発揮する。
なお、この第3実施形態では、変調器44が、送信側信号光の強度と位相を調整する構成を備えている。これに対し、例えば、そのような送信側信号光の強度と位相を調整する変調器44に代えて、送信側信号光の強度を制御する強度制御器と、送信側信号光の位相を制御する位相制御器とが別々に配設されてもよい。
さらに、変調器44が光強度を調整するのに代えて、分配器42による送信側信号光の分配比を動的に制御する構成としてもよい。例えば、分配器42は、分配した複数の送信側信号光の強度分布状態(分配比)が、伝送媒体33に入射した受信側信号光に含まれる伝搬モード(例えば直線偏波(LP)モード)の強度分布状態(分配比)と同様となるように、送信側信号光を分配する構成を備えていてもよい。換言すれば、分配器42は、各伝送媒体35間の送信側信号光の強度比(分配比)が、光分配合成器34による各伝送媒体35間の受信側信号光の分配比(強度比)と同様になるように、送信側信号光を分配する構成を備えていてもよい。なお、光分配合成器34による受信側信号光の分配比の情報は、信号処理装置40から供給される。
また、この第3実施形態では、光通信装置21は、通信相手から受信した受信側信号光における伝搬モードの強度分布状態に基づいて、送信側信号光における伝搬モードの強度分布状態を調整(設定)している。これに対し、光通信装置21は、例えば、受信側信号光における伝搬モードの強度分布状態に加えて、分配器42から集光部32に至るまでの信号損失をも考慮し、送信側信号光における伝搬モードの強度分布状態を調整する構成としてもよい。すなわち、信号光は、光分配合成器34や伝送媒体33などにおいて、損失が生じ、その損失量は、伝搬モードによって異なる。このようなモード間損失差(MDL(Mode Dependent Loss))を考慮し、光通信装置21における送信側分配器42は、送信側信号光における伝搬モードの強度分布状態を調整する構成としてもよい。
さらに、この第3実施形態では、複数の増幅器43が設置されている。これに対し、省スペース化や低コスト化を図るために、それら増幅器43が省略され、マルチモードタイプの伝送媒体33にマルチモード光増幅器が介設されてもよい。そのマルチモード光増幅器は、例えば、参考文献6に示されているような増幅器により構成される。
[参考文献6] Y. Jung et al., “Reconfigurable modal gain control of a few-mode EDFA supporting 6 spatial modes”, IEEE Photon. Tech. Lett. 26, 1100-1103 (2014)
上記のようなマルチモード増幅器を利用する場合には、その増幅器の性能により光通信装置21から出射する信号光の強度に限界がある。このような場合であっても、この第3実施形態の光通信装置21は、光通信装置20において受信される信号光の強度の低下を抑制することができる。
<第4実施形態>
以下に、本発明に係る第4実施形態を説明する。なお、この第4実施形態の説明において、第2と第3の実施形態の光通信装置および通信システムを構成する構成部分と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
図7は、第4実施形態における光通信装置21において、第2実施形態あるいは第3実施形態における光通信装置21とは異なる構成部分およびその関連部分を抜き出して表す図である。この第4実施形態では、光通信装置21は、第2実施形態あるいは第3実施形態の構成に加えて、ビームスプリッタ46と、監視装置47とを備えている。ビームスプリッタ46は、伝送媒体33に介設されており、伝送媒体33に伝送されている送信側信号光(つまり、多重化後の送信側信号光)の一部を分岐し、当該分岐した信号光を監視装置47に向けて出力する構成を備えている。
監視装置47は、送信側信号光を監視し、当該監視結果を信号処理装置40に出力する構成を備えている。図8は、監視装置47の具体的な一構成例を表す図である。この図8に表される監視装置47は、集光部62と、波面センサ63と、制御部64とを有して構成されている。この図8の例では、ビームスプリッタ46から監視装置47に伝送された送信側信号光は、伝送媒体61から集光部62に向けて出射される構成を備えている。集光部62は、伝送媒体61から入射した信号光を平行光線に変換する機能を備えている。波面センサ63は、その平行光線を受け、受けた光に応じた電気信号を出力する構成を備えている。制御部64は、その波面センサ63から出力された電気信号を解析することによって、集光部62に入射した信号光の波面状態(例えば光強度や位相)を検知(モニタ)する機能を備えている。
図8に表されているような監視装置47を構成する波面センサ63は、例えば、参考文献7に記載されているようなシャックハルトマン(Shack-Hartmann)型波面センサを利用することができる。
[参考文献7] R. G. Lane et al., “Wave-front reconstruction using a Shack-Hartmann sensor”, Applied Optics, Vol.31, Issue 32, pp.6902-6908 (1992)
この第4実施形態では、信号処理装置40は、受信側信号光の情報により算出した目標の送信側信号光と、監視装置47の検知(モニタ)結果による送信側信号光との相関の度合いを算出する機能を備えている。そして、信号処理装置40は、その算出結果を利用して、出射される送信側信号光が目標の送信側信号光となるように、変調器44を制御する機能を備えている。すなわち、信号処理装置40は、変調器44をフィードバック制御する機能を備えている。
この第4実施形態の光通信装置21は、第2実施形態あるいは第3実施形態の光通信装置21と同様の構成を備えているので、第2実施形態あるいは第3実施形態と同様の効果を得ることができる。その上、この第4実施形態の光通信装置21は、出射する送信側信号光の位相などを監視(モニタ)し、この監視結果を利用して、変調器44をフィードバック制御する構成を備えている。これにより、光通信装置21は、より精度良く受信側信号光と位相共役状態となる送信側信号光を出力することができ、通信相手である光通信装置20に、光強度が強く、かつ、ノイズの小さい信号光を通信することができる。
すなわち、増幅器43や変調器44は、環境温度や電源ノイズ等の悪影響を受け、出力する送信側信号光に不要な揺らぎが生じることが懸念される。これに対し、この第4実施形態の光通信装置21は、そのような送信側信号光を検知し、この検知結果を利用して変調器44をフィードバック制御しているので、そのような送信側信号光の揺らぎを補償することができる。
<その他の実施形態>
なお、この発明は第1〜第4の実施形態に限定されず、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第4実施形態では、監視装置47は、波面センサ63を有する構成である。これに代えて、監視装置47は、光分配合成器34と増幅器37と受信器38と同様の受信系の構成を備え、当該受信系の信号光の経路を利用して送信側信号光の一部を信号処理装置40にフィードバックする構成を備えていてもよい。
また、第1〜第4の実施形態では、光通信装置1,21の通信相手は、飛行体に搭載されている光通信装置である例を示している。しかしながら、光通信装置1,21の通信相手は、信号光の無線通信を行うことが可能な光通信装置であれば、飛行体に搭載されている光通信装置に限定されない。ただ、本発明は、消費電力や発熱量の制限が厳しい通信装置に向けて信号光を無線送信する光通信装置に適用することにより、よりその効果を発揮することができる。
さらに、第2〜第4の実施形態では、信号処理装置40は、送信側信号光が受信側信号光と位相共役状態となるように送信側信号光の光強度と位相の一方又は両方の制御目標の値を設定している。これに対し、信号処理装置40は、送信側信号光が受信側信号光と位相共役状態以外の目的の状態(例えば予測技術などの導入により位相共役状態に若干の調整を施した状態)となるように送信側信号光の光強度と位相の一方又は両方の制御目標の値を設定してもよい。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2015年7月17日に出願された日本出願特願2015−142769を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1,21 光通信装置
3,33 伝送媒体
4 受信側分配器
5,40 信号処理装置
8 合成器
9,44 変調器
10 送信側分配器
13,18 光通信システム
34 光分配合成器
38 受信器
41 送信器
42 分配器

Claims (8)

  1. 自由空間を通って入射した受信側信号光を伝送するマルチモードタイプの伝送媒体と、
    前記伝送媒体を通った受信側信号光に含まれる複数の互いに異なる伝搬モードの強度分布状態に応じた分配比でもって前記受信側信号光を複数の受信側信号光に分配する受信側分配器と、
    送信対象の送信側信号光を複数の送信側信号光に分配する送信側分配器と、
    前記分配された各受信側信号光における光強度と位相のうちの一方又は両方を検知する機能と、前記分配された各送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方に対する制御目標の値を前記検知結果に応じた値に設定する機能とを有する信号処理装置と、
    前記分配された送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方を前記信号処理装置により設定された値となるように調整する複数の変調器と、
    前記複数の変調器により調整された後の複数の送信側信号光を前記異なる伝搬モードの強度分布状態に応じて合成する合成器と
    を備える光通信装置。
  2. 前記信号処理装置は、前記送信側信号光を前記受信側信号光と位相共役状態にすべく前記制御目標の値を前記異なる伝搬モードの強度分布状態毎に設定する請求項1に記載の光通信装置。
  3. 前記信号処理装置は、前記合成器により合成された前記送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方を検知し、この検知結果をも考慮して前記制御目標の値を前記異なる伝搬モードの強度分布状態毎に設定する請求項1又は請求項2に記載の光通信装置。
  4. 前記合成器により合成された後の送信側信号光を増幅する増幅器をさらに備える請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の光通信装置。
  5. 前記送信側分配器により分配された後の前記送信側信号光を増幅する増幅器をさらに備える請求項1又は請求項2又は請求項3に記載の光通信装置。
  6. 前記受信側分配器と前記合成器を別々に設けるのに代えて、前記受信側分配器と前記合成器との両方の機能を持つ光分配合成器を備える請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の光通信装置。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れか一つに記載の光通信装置と、
    当該光通信装置と信号光によって通信する通信相手側の光通信装置と
    を備え、
    前記光通信装置は、地上側に設置され、
    前記通信相手側の光通信装置は、上空を飛行する飛行体に備えられている光通信システム。
  8. 自由空間を通って入射した受信側信号光をマルチモードタイプの伝送媒体で受け、
    前記伝送媒体を通った受信側信号光に含まれる複数の互いに異なる伝搬モードの強度分布状態に応じた分配比でもって前記受信側信号光を複数の受信側信号光に分配し、
    前記分配された各受信側信号光における光強度と位相のうちの一方又は両方を検知し、
    送信対象の送信側信号光を複数の送信側信号光に分配し、
    前記分配された各送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方に対する制御目標の値を前記検知結果に応じた値に設定し、
    前記分配された送信側信号光の光強度と位相のうちの制御対象である一方又は両方を前記設定された値となるように複数の変調器を用いて調整し、
    前記調整された後の複数の送信側信号光を前記異なる伝搬モードの強度分布状態に応じて合成し、合成後の送信側信号光を出射する光通信方法。
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