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JP6765402B2 - 電解質組成物及びその応用 - Google Patents
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JP6765402B2 - 電解質組成物及びその応用 - Google Patents

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Description

本開示は、電解質組成物、より詳細には電気化学デバイス(例えば、二次電池)に好適な電解質組成物に関する。
電解質は、自由イオンを発生させ、水溶液中又は溶融状態で導電性である化合物を指す。この特性に基づいて、電解質組成物は様々な電気化学デバイス、例えば電池、キャパシタ及び電気めっき浴等で使用することができ、そこから発生した自由イオンによってデバイスの導電性経路が提供される。
二次電池は電気化学電池であり、充電式電池としても知られている。従来の電池と同様に、二次電池は正極、負極及び電解質組成物を含み、放電中に化学反応によって化学エネルギーは電気エネルギーに変換される。しかしながら従来の電池と異なり、二次電池の化学反応は可逆反応である。二次電池が放電した後、外部電源によって化学的に変化した物質をその元の状態に戻す、すなわち充電することによって、上記化学反応を逆にすることができる。充電した二次電池は、再度使用することができる。したがって、二次電池は周期的に充電及び放電することができる。市場から入手可能な通常の二次電池としては、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池及びリチウムイオン電池が挙げられる。異なる電池は、それらの性質、例えば、使用電圧、容量及び安全性の違いに起因して、異なる応用を有する。中でも、リチウムイオン電池は、それらの比較的軽い質量、高容量(高エネルギー密度)、高い使用電圧、充電可能サイクル及び高いサイクル寿命に起因して、携帯機器、電気自動車の駆動電源として、又は予備電源として広く使用されている。
リチウムイオン電池の負極材としては、リチウム金属、リチウム合金、炭素材料(例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛又はメソカーボンマイクロビーズ)、ケイ素又はケイ素-炭素材料があり得るが、その中で最も高い理論比容量(4,200mAh/g)を有するケイ素は、リチウム電池のエネルギー密度を増加させるための理想的な選択肢の1つである。しかしながら、ケイ素自体の導電性が低く、かつ充電及び放電プロセス中のケイ素の体積変化率が大きく、そのため、表面上に安定した固体電解質界面(SEI)膜(パッシベーション膜とも呼ぶ)を形成することは困難である。SEI膜は絶縁体であるがリチウムイオンの優れた伝導体であり、リチウムイオンはSEI膜を自由に通過することができる。SEI膜は有機電解質溶液中で安定であり、溶媒を電極から分離することができる。電解質溶液中の溶媒は容易に還元され、負極(特に高温の負極)上で分解される。溶媒の還元及び分解は、沈殿物の形成、ガスの発生及び電極の膨張をもたらし、それによってリチウムイオンの易動性に悪影響を与え、電池のサイクル寿命を低減させ得る。溶媒によって引き起こされる電極の損傷に起因する、電極のサイクル性能及び耐用年数の低減を回避するために、負極に関する電解質溶液の開発は、電池のサイクル安定性問題を解決し、電池の充電及び放電中の体積膨張問題を克服するように、負極材の表面上で安定かつ完全なSEI膜を形成することに主として焦点を合わせている。
リチウムイオン電池の正極材料には2つの主なカテゴリー:リン酸鉄リチウム(LFP)及び三元材料がある。正極材料としてリン酸鉄リチウムを有する電池は、良好なサイクル性能及び信頼できる安全性能という利点を有するが、不十分なエネルギー密度及び低温での劣等な性能という欠点を有し、その中で不十分なエネルギー密度はこうした電池の開発を制限する主なボトルネックである。正極材料として三元材料を有する電池は、一般式LiNi1-x-y-zCoxMnyAlzO2によって表すことができる、主としてニッケル-コバルト-マンガン(NCM)又はニッケル-コバルト-アルミニウム(NCA)の異なる元素から構成されている。正極材料がニッケル-コバルト-マンガンである電池では、安価なニッケル及びマンガン並びに比較的少量のコバルトの使用によって材料コストは低減される。その上、ニッケル-コバルト-マンガン材料は、4.35〜4.6Vの電圧範囲にわたって構造上安定しており、そのため正極としてニッケル-コバルト-マンガン材料を使用する電池も、高電圧で安定している。しかしながら、4.35V以上を有する三元パワー電池用の市販されている電解質溶液は、三元材料が大きな比表面積を有し、かつ高い被酸化性を有するニッケルを含有するという問題に主に起因して、目下のところ依然として未完成である。ニッケルは、(極微量であっても)電解質溶液中の水分を吸収する傾向があり、活性低下に導き、電解質組成物中の電解質塩と容易に反応し、それによって電池の性能、特にサイクル性能及び高温貯蔵安定性が悪影響を受ける。
通常のリチウムイオン電池の電解質組成物中の溶媒は有機溶媒であり、その電解質塩はリチウム塩である。ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)は、高エネルギー密度、良好な電気化学安定性及び優れた導電性を有する通常使用されるリチウム塩であるが、熱分解、及び特に電極板での含水量をより高くする水性バインダー(例えば、ポリアクリル酸;PAA)を頻繁に使用するケイ素含有電極で加水分解を受けやすい。ヘキサフルオロリン酸リチウムの熱分解反応は、以下の通りである:
LiPF6→LiF+PF5
ヘキサフルオロリン酸リチウムは、電解質溶液中の微量の水とも反応し得る:
LiPF6+H2O→2HF+LF+POF3
リチウム電池は、一般に-30〜60℃の温度で作動する。加水分解及び熱分解は高温環境でより激しくなり、結果として得られる酸は電極材料を腐食するだけでなくSEI膜も損傷し、したがって電池性能は急速に低下する。したがって、リチウムイオン電池の電解質溶液の調製中に、得られた電解質溶液の含水量は一般に20ppm以下に制御され、酸性度は50ppm以下に制御される。しかしながら、それでも、電解質溶液中の他の材料が電池の使用中に様々な供給源から水分又は酸性度を導入し、電解質溶液の質の劣化をもたらし得る。したがって、電解質溶液中に既存又は外部から導入された水及び酸を除去する又は低減するために、水除去及び酸低減の機能を有する電解質添加剤を開発することは、実用的な価値がある。
その上、ヘキサフルオロリン酸リチウムの分解によって生成したPF5は化学的に活性であり、電解質溶液中の添加剤又は不純物と容易に反応して、可溶性のモノマー、ダイマー及びオリゴマーを生成する。ポリマー中の共役系が増加すると、ポリマーのスペクトルが赤にシフトし、発色団を見出すことができ、電解質溶液の色度は増加する。したがって、電解質溶液の色度は、ヘキサフルオロリン酸リチウムの安定性に対する基準として使用することができる。
当該分野での上記ボトルネックに対処するために、水を除去し酸性度を低減し、SEI膜に有益であり、不純物と重合せず、それによって高温及び高電圧で電気化学デバイスがそのサイクル安定性及び体積安定性を維持することを可能にする電解質組成物の必要性が、現在産業界に存在している。
本開示の目的は、水分と相互に作用することができ、それによって電解質溶液中のリチウム塩を安定させ、電解質のさらなる加水分解、フッ化水素の発生及び電極の腐食を回避する電解質組成物を提供することである。該電解質組成物は、複素環式化合物、電解質塩及び溶媒を含み、複素環式化合物は、複素環中に、
(a)それぞれが-Si(R1)3基[式中、R1はC1〜3アルキル基又はアリール基である]に結合している少なくとも2個の窒素原子;及び
(b)少なくとも1個のカルボニル基(C=O)又はチオカルボニル基(C=S)
を含む。
本開示の電解質組成物中の複素環式化合物の存在に起因して、電池中に存在する水分を効率的に除去できるだけでなく、電解質塩の加水分解又は劣化に起因して発生した酸を効率的に低減することもできる。更に、複素環式化合物を含む本開示による電解質組成物は、水を除去し酸を低減しながらSEI膜の形成を促進する化合物も生成する。したがって、複素環式化合物を含む電解質組成物は、通常の電解質組成物と比較してより良好な安定性を有している。
本開示の別の目的は、上記電解質組成物を含む電気化学デバイスを提供することである。
本開示の実施例及び比較例のそれぞれで得た電解質組成物の、60℃で10日間貯蔵後の色度を示す図である。 本開示の実施例及び比較例のそれぞれで得た電解質組成物をケイ素-炭素負極とともに使用した時の、放電容量保持率(%)とサイクル数との関係を示すグラフである。
本明細書の開示の理解を促進するために、用語を以下に定義する。
「約」という用語は、当業者によって測定された所与の値の許容できる偏差を指し、値をどう測定又は決定するかに一部依存する。
本開示で、「アルキル」という用語は、好ましくは1〜20個の炭素原子を含む飽和の直鎖状又は分岐炭化水素基を指す。例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
複素環式化合物
本開示の複素環式化合物は、安定性を維持しながら電池性能を維持することができ、電解質添加剤としての使用に好適である。
本開示のいくつかの実施形態では、本開示に記述する複素環式化合物は、4〜7員複素環式化合物である。上述のように、複素環式化合物は、(a)それぞれが-Si(R1)3基[式中、R1はC1〜3アルキル基又はアリール基である]に結合している少なくとも2個の窒素原子、及び(b)少なくとも1個のカルボニル基(C=O)又はチオカルボニル基(C=S)を複素環中に含む。
いくつかの実施形態では、本開示の複素環式化合物は、4、5、6又は7員複素環式化合物、好ましくは4、5又は6員複素環式化合物、より好ましくは5又は6員複素環式化合物であることができ、複素環式化合物は、それぞれが-Si(R1)3基に結合している2個以上の窒素原子、限定されるものではないが、例えば、それぞれが-Si(R1)3基に結合している2個又は3個の窒素原子を複素環中に含む[式中、R1はC1〜3アルキル基又はアリール基、好ましくはメチル又はエチル基である]。
本開示の特定の実施形態によれば、複素環式化合物は、式(I):
[式中、R1は上で定義した通りであり;それぞれの「…」は、個々にかつ独立して2つの単結合又は1つの二重結合を表し;「…」が2つの単結合を表す場合、X及びYは個々にかつ独立してHを表し、「…」が二重結合を表す場合、X及びYは個々にかつ独立してO又はSを表す]
の構造を有する4〜7員複素環式化合物である。
本開示による複素環式化合物の複素環中の-N-Si(R1)3基は、水と反応して、-NH基及びシラノールを含有する対応する化合物(1)を生成することができる。例えば、それは電解質組成物中の水と反応することができ、(理論に拘束されるものではないが)反応は以下の通りである:
*-N-Si(R1)3+H2O→(R1)3SiOH+*-N-H 化合物(1)
したがって、本開示による複素環式化合物を電解質添加剤として添加することによって、電気化学デバイス(例えば、二次電池)中の望ましくない水分を除去することができる。更に、本願発明者らは、そこから生成した対応する化合物(1)は優れた耐熱性を有することを見出した。本開示のいくつかの実施形態では、電解質組成物を二次電池で使用する場合、化合物(1)を二次電池内で膜(SEI膜)形成助剤として使用することができ、電池の電解質溶液及び負極の高温での安定性を改善する。
水に加えて、本開示の複素環式化合物の複素環中の-N-Si(R1)3基は、酸とも反応して-NH基及びケイ化物を含有する対応する化合物(1)を生成することができる。例えば、それは電解質組成物中の酸(例えば、フッ化水素酸)と反応することができ、(理論に拘束されるものではないが)反応は以下の通りである:
*-N-Si(R1)3+HF→(R1)3SiF+*-N-H 化合物(1)
したがって、本開示による複素環式化合物を電解質添加剤として添加することによって、電気化学デバイス中の望ましくない酸性度を低減させることができる。更に酸との反応によって生成した対応する化合物(1)は、上述のように二次電池内で膜(SEI膜)形成助剤として使用することができ、電池の負極及び電解質溶液の高温での安定性を改善することができる。
本開示のいくつかの実施形態では、電解質組成物中の電解質塩は、加水分解によってフッ化水素を発生する。しかしながら本開示の複素環式化合物は、SiとFとの間の大きな結合エネルギーに起因してフッ化水素と反応することができ、電解質組成物中のフッ化水素の含量を低減することができる。
-Si(R1)3基に結合する前述の窒素原子に加えて、本開示の複素環式化合物は複素環中に、少なくとも1個のカルボニル基(C=O)又はチオカルボニル基(C=S)、限定されるものではないが、例えば、1個又は2個のカルボニル基及び/又はチオカルボニル基を含む。本開示の好ましい実施形態では、本開示の複素環式化合物はカルボニル基及び/又はチオカルボニル基を有し、ここでカルボニル基及び/又はチオカルボニル基は、複素環中の隣接した窒素原子とともに、アミド基(-C(=O)-N(R)-[式中、Rは水素又は-Si(R1)3である])及び/又はチオアミド基(-C(=S)-N(R)-[式中、Rは水素又は-Si(R1)3である])を形成することができる。したがって、本開示の複素環式化合物はアミノ基と共役性(conjugated property)を示すカルボニル基(及び/又はチオカルボニル基)を有し、それ故に、比較的安定であり、リチウム塩と反応しにくい。加えて、本開示の複素環式化合物に含有されるカルボニル及びチオカルボニル基は、溶媒中での複素環式化合物の分散にも寄与する。
本開示のいくつかの好ましい実施形態によれば、本開示の複素環式化合物は高い酸化電位を有し、それ故に、高温及び高圧での熱安定性及び電気化学安定性を有している。
本開示のいくつかの好ましい実施形態によれば、複素環式化合物は5又は6員複素環式化合物であり、R1はメチル基である。複素環式化合物は式(II):
[式中、「…」は二重結合であり、X及びYは、個々にかつ独立してO又はSを表す]
の構造を有する。
本開示のいくつかの好ましい実施形態によれば、複素環式化合物は、例えば、これらに限定されるものではないが、
である。
本開示の複素環式化合物は、酸を除去し、かつ水を低減するために使用することができ、高温で安定である。したがって、本開示の電解質組成物は、高温(例えば、摂氏60度)で長期間(例えば、10日)安定に維持することができる。
本開示の一実施形態では、複素環式化合物は、任意選択で、複素環中にそれぞれがC1〜3アルキル基に結合している1個、2個、3個又は4個の炭素原子を含み、好ましくは、それぞれがC1〜3アルキル基に結合している1個、2個又は3個の炭素原子を含み、ここでC1〜3アルキル基は好ましくはメチル又はエチル基である。
電解質塩
電解質塩は、電池の正極と負極との間で電荷を移動させるように機能する。本開示で使用する好適な電解質塩は特に限定されず、主として電気化学デバイス又は電気化学電池の種類に応じて決定される。
本開示の実施形態によれば、本開示で使用する好適な電解質塩はリチウム塩である。リチウム塩は、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiTaF6、LiAlCl4、Li2B10Cl10、LiCoO2、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(SO2CmF2m+1)(SO2CnF2n+1)、LiC(SO2CkF2k+1)(SO2CmF2m+1)(SO2CnF2n+1)、LiN(SO2CkF2kSO2)、LiC(SO2CkF2kSO2)(SO2CmF2m+1)、LiPFx(RF)6-x、LiBFy(RF)4-y又はこれらの組み合わせからなる群から選択され得る[式中、k=0〜10、m=0〜10、n=0〜10、x=0〜5、y=0〜3及び、RFはC1〜20ペルフルオロアルキル基又はアリール基を表す]。好ましい電解質塩としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)3、LiN(SO2F)2又はこれらの組み合わせが挙げられる。上記電解質塩は、電解質組成物の電気化学安定性及び導電性を高めることができる。
溶媒
本開示の電解質組成物中の溶媒は特に限定されず、当業者に公知の任意の好適な非水系の有機溶媒であり得る。
本開示の実施形態によれば、本開示で使用される溶媒は、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合物である非水系の有機溶媒であり得る。環状カーボネートはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート又はこれらの組み合わせを含み、鎖状カーボネートはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート又はこれらの組み合わせを含み、中でもエチレンカーボネート及びジエチルカーボネートが好ましい。
他の添加剤
本開示の実施形態によれば、本開示の電解質組成物は、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、γ-ブチロラクトン、1,4-ブタンスルトン及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の添加剤を更に含んでもよい。
本開示の好ましい実施形態によれば、添加剤はビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート又はこれらの組み合わせを含む。
本開示の別の好ましい実施形態によれば、添加剤は、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、及びフルオロエチレンカーボネート、並びに任意選択で1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、γ-ブチロラクトン、1,4-ブタンスルトン又はこれらの組み合わせであり得る環状のラクトンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
本願発明者らは、上記添加剤を膜(SEI膜)形成助剤として使用することができ、最初の充電プロセス中に負極の表面上にSEI膜を形成し、溶媒分子の分解を更に防いで、高温での電解質組成物の性能を改善し、それによって電解質の熱安定性を改善できることを見出した。
本開示の電解質組成物
上述のように、本開示の電解質組成物は複素環式化合物、電解質塩及び溶媒を含む。
本開示の好ましい実施形態によれば、複素環式化合物の含量は、電解質組成物の総質量に対して、0.01〜5質量%の範囲内、例えば、0.01質量%、0.05質量%、0.2質量%、1質量%、2質量%、3質量%、4質量%、又は5質量%、好ましくは0.2〜2質量%である。複素環式化合物の含量が0.01質量%未満である場合、水を除去し酸を低減する効果を達成することは困難である。複素環式化合物の含量が5質量%を越える場合、複素環式化合物は働きが限定される;電解質溶液中に均一に分散するのは容易ではなく、結果として得られるSEI膜は過度に厚く、電気インピーダンスに悪影響を及ぼす。
本開示の電解質組成物に含有される電解質塩の含量は、特に限定されず、当業者に公知の任意の好適な含量であってもよく、又は当業者によって必要に応じて調整されてもよい。本開示の実施形態によれば、電解質塩の体積モル濃度は、0.5M〜2Mの範囲内、例えば0.5M、1M、1.5M若しくは2Mであり、又は電解質塩の質量パーセント濃度は、7質量%〜30質量%の範囲内、例えば7質量%、8質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、28質量%若しくは30質量%である。
本開示の別の好ましい実施形態によれば、電解質組成物は他の添加剤を更に含む。他の添加剤が存在する場合、他の添加剤の含量は、電解質組成物の総質量に対して、0.5質量%〜10質量%の範囲内、例えば0.5質量%、1質量%、2質量%、4質量%、6質量%、8質量%又は10質量%、好ましくは5〜10質量%である。添加剤の含量が0.5質量%未満である場合、負極の表面上にSEI膜を十分に形成することは困難であり、高温での二次電池電解質の性能を十分に改善することは困難である。添加剤の含量が10質量%を越える場合、添加剤は負極上に過度に厚いSEI膜を形成し、電池の内部抵抗が増加し、大量のガスが生成し、それによって電池の低温及び高温性能が低下する。
本開示の電解質組成物は、低水分、低酸性度及び高温での高い安定性という特性を有し、SEI膜の形成に有利である。したがって、それは水除去、酸低減及び高温安定性を必要とする電気化学デバイスに好適である。
本開示の電解質組成物を電気化学電池に適用する場合、高圧下、高温での電気化学電池の安定性を改善することができ、ここで電気化学電池及び電解質組成物の安定性は、基準として電解質組成物の色度を使用することによって決定することができる。
本開示の電解質組成物の応用
本開示は、前述の電解質組成物の電気化学デバイスでの使用、及び前述の電解質組成物を含む電気化学デバイスを提供する。
本開示の電解質組成物は、前述の複素環式化合物を含む。複素環式化合物は、良好な水除去、酸低減及び高温耐性の特性を有し、リチウム系電気化学デバイスと適合性があるので、本開示の電解質組成物は、様々な電気化学デバイス、例えば電池、キャパシタ及び電気めっき浴で使用するのに非常に好適である。
本開示の電解質組成物は、キャパシタ、限定されるものではないが、例えば、スーパーキャパシタ又はリチウムイオンスーパーキャパシタ(LICs)で使用することができる。多孔質炭素材料の使用に起因して、これらのキャパシタから水を除去することは困難であり、それ故に、それらの耐用年数は短い。特に水除去及び高電圧耐性の特性を有する添加剤は、より高電圧(>4V)の故にLICs用に高い需要がある。本開示の電解質組成物は、良好な水除去及び酸低減効果、並びに高圧安定性を有し、リチウムイオンスーパーキャパシタに好適である。
本開示の電解質組成物は、二次電池、限定されるものではないが、例えば、リチウムイオン電池に適用することができる。本開示の電解質組成物は、酸含量を低減することができるので、正極中の金属は、高電圧で酸によって引き起こされる加速された沈殿を経験せず、それ故に安定している。負極は、電解質組成物と水又は酸との反応を通して形成された膜形成助剤に起因して、表面上に安定したSEI膜を有し、それ故に、表面の安定性を有する。よって、本開示の電解質組成物を使用する二次電池は、優れたサイクル特性、高温貯蔵性能及び容量を有する。
単に既存の製造技術及び製造装置を使用することによって、リチウムイオン電池の構造を著しく変更することも、添加剤として複雑な成分を更に添加することもなく、既存のリチウム系電気化学デバイス、特に二次電池(例えば、リチウムイオン電池)に、本開示の電解質組成物を適用することができる。
本開示をこれから、以下の実施例に関連して記述する。本開示は、本開示の趣旨から逸脱することなく以下の実施例以外の方法で実施してもよく、本開示の範囲は、単に本開示に従い、本開示によって限定されて解釈されるべきでない。加えて、本明細書で特に断らない限り、本明細書で(特に添付の特許請求の範囲で)使用する用語「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」及び同様の用語は、単数及び複数の指示対象を含むと解釈されるべきである。「約」という用語は、部分的には当業者が値をどのように決定するかによるが、許容誤差を含む測定値を修飾するために使用される。2つ以上の項目のリストで「又は」という単語は、以下の解釈:リスト中の項目のうちのどれか、リスト中のすべての項目、及びリスト中の項目の任意の組み合わせ、をすべて包含する。
電解質組成物の調製
1ppm未満の含水量及び5ppm未満の酸素含量を有する不活性な環境で、37.5質量部の溶媒エチレンカーボネート(EC)を37.5質量部のジエチルカーボネート(DEC)とよく混合した。混合溶媒に、15質量部のヘキサフルオロリン酸リチウムを徐々に添加し、それが完全に溶解するまで撹拌して混合溶液を得た。2質量部のTable 1(表1)に列挙した複素環式化合物(合成でも市販でよい)及び8質量部のフルオロエチレンカーボネート(FEC)を混合溶液に添加し、よく混合して、実施例及び比較例の電解質組成物を得た。
電解質組成物の試験方法
1.水分試験
本開示で含水量を決定するために使用した方法は、従来のカールフィッシャー法である。実施例及び比較例で調製した電解質組成物を無色透明な試薬びんに配置し、電解質組成物中の含水量を、30℃で0時間及び48時間貯蔵後に、カールフィッシャー法によって決定した。試験結果をTable 1(表1)に示す。
2.高温貯蔵試験
実施例及び比較例で調製した電解質組成物を、60℃で10日間炉に移動した。高温での貯蔵後に観察した電解質溶液の状態を、図1に示し、Table 1(表1)に報告する。
図1は、本開示による実施例で得た電解質組成物は、比較例で得た電解質組成物(複素環式化合物VC、5OM又は5Oを使用)と比較して、60℃で10日間の貯蔵後に低い色度を有することを示している。低い色度は、本開示による電解質組成物中の電解質塩の優れた安定性の証拠として使用することができる。
電池性能の試験方法
1.負極の調製
83.7質量部の人造黒鉛(T8;Tianjin Jinmei社)、0.5質量部の導電性カーボンブラック(Taiwan Maxwave Co.,Ltd.からのSuper P)、9.3質量部のケイ素粉末(AUO Crystal Corp.供給のAN1720)、1質量部のグラフェン(Eternal Materials Co.,Ltd.製造)、2.4質量部のバインダースチレンブタジエンゴム(SBR;JSR社供給のTRD104N)、0.6質量部の増粘剤カルボキシメチルセルロース(CMC;Ashland社供給のBVH8)及び2.5質量部のポリアクリル酸(PAA;Eternal Materials Co.,Ltd.製造のEtersol-1730)を十分撹拌して脱イオン水によく混合し、負極材のスラリーを生成した。
負極材のスラリーを銅箔(電池用の10μmの銅箔;Changchun Co.,Ltd.より供給)上にブレードコートし、100℃で5分間乾燥し、次に冷間プレスして負極板(プレス後のコーティング密度は7mg/cm3)を調製した。
結果として得られた負極板を直径1.2cmを有する板に切断し、不活性雰囲気中で他の部品とともに従来の方法によって標準的なコイン電池に組み立て、電池性能を試験した。部品は次の順に組み立てた:電池の底蓋、(正極としての)リチウム金属板、セパレータ、負極板、金属ガスケット、板ばねシート及び電池の上蓋。使用した電解質溶液は、実施例及び比較例で得た電解質組成物であり、セパレータは約20μmの厚さを有するポリプロピレンフィルムであった。
組み立てた電池は、電解質溶液が電極へ十分に浸透して導電性が増加するように約2〜3時間放置し、得られた電池の開回路電圧は約2.5〜3Vであった。
2.容量保持率試験
電池性能はArbin Instruments社から入手可能な充放電機(モデル:LBT21084)を使用して測定した。
予備プロセス:
充電:電池を0.1Cの定電流で10時間充電し、次に0.01Vの定電圧で1時間充電した。
放電:電池を0.1Cの電流で10時間放電した。
充電及び放電プロセスを上記条件下で3回繰り返し、最初の3サイクルは固体電解質界面を形成するために使用した。
最初及び50番目のサイクルの放電容量:
充電:電池を0.2Cの定電流で5時間充電し、次に0.01Vの定電圧で1時間充電した。
放電:電池を0.5Cの電流で2時間放電した。
固体電解質界面を形成するための上記3サイクルを計算に含め、4番目のサイクルで測定した放電容量を最初のサイクルの放電容量と見なした。
上記条件下で充電及び放電プロセスを49回繰り返した後、50番目のサイクルで測定した放電容量が50番目のサイクルの放電容量であった。
容量保持率=(50番目のサイクルの放電容量/最初のサイクルの放電容量)x100%。
図2は、実施例及び比較例のそれぞれの容量保持率を示す。上記式を使用して容量保持率を計算し、Table 1(表1)に記録した。Table 1(表1)から理解できるように、本開示による実施例で得た複素環式化合物を含有する電解質組成物を使用した電池は、ケイ素-炭素負極とともに使用した場合、比較例と比較して、より良好な放電容量保持率を有している。
本開示の上述の実施形態は、例示だけを意図している。多数の代替の実施形態が、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得る。

Claims (11)

  1. 複素環式化合物、電解質塩及び溶媒を含む電解質組成物であって、
    複素環式化合物が、
    (a) それぞれが-Si(R1)3基[式中、R1はC1〜3アルキル基又はアリール基である]に結合している少なくとも2個の窒素原子;及び
    (b) 少なくとも1個のカルボニル基又はチオカルボニル基
    をその複素環中に含み、かつ、
    複素環式化合物が、5又は6員複素環式化合物である、電解質組成物。
  2. R1が、メチル又はエチル基である、請求項1に記載の電解質組成物。
  3. 複素環式化合物の含量が、電解質組成物の総質量に対して0.01〜5質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の電解質組成物。
  4. 添加剤を更に含み、添加剤が、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,3-プロパンスルトン、1,3-プロペンスルトン、γ-ブチロラクトン、1,4-ブタンスルトン又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の電解質組成物。
  5. 添加剤の含量が、電解質組成物の総質量に対して0.5〜10質量%の範囲である、請求項4に記載の電解質組成物。
  6. 電解質塩の質量パーセント濃度が、7〜30質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の電解質組成物。
  7. 電解質塩が、リチウム塩を含む、請求項1又は2に記載の電解質組成物。
  8. リチウム塩が、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)3、LiN(SO2F)2、又はこれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の電解質組成物。
  9. 溶媒が、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合により形成された非水系の有機溶媒であり、
    環状カーボネートが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート又はこれらの組み合わせを含み、
    鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート又はこれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の電解質組成物。
  10. 複素環式化合物が、その複素環中に、それぞれがC1〜3アルキル基に結合している1個又は2個の炭素原子を更に含む、請求項1又は2に記載の電解質組成物。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の電解質組成物の、電気化学デバイスにおける使用。
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