以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。まず本実施形態に係る磁粉探傷用検査液の構成について詳細に説明する。本実施形態に係る磁粉探傷用検査液(以下検査液と称する)は、磁粉探傷に用いられる。検査液は、溶媒としての水に磁粉及びトレーサを混合させた溶液である。磁粉は、欠陥としての傷部を検出するために検査液に含有される。一方、トレーサは、被検査液の表面を流れる検査液の流速及び流れ方向を測定するために含有される。
磁粉は、磁性体であって、溶媒としての水に不溶の粒子である。磁粉の粒子径は、3μm〜70μm程度である。トレーサは、溶媒としての水に不溶な粒子である。トレーサの粒子径は、50μm〜100μm程度である。検査液は、磁粉及びトレーサが分散した状態で磁粉探傷に用いられる。そして、トレーサは、光が照射された際に、磁粉が発する光と少なくとも明るさまたは波長の異なる光を発するように構成される。
なお、照射される光とは、紫外線及び可視光を含むものである。一方で、磁粉及びトレーサが発する光とは、可視光であり、紫外線によって励起されて発する光及び反射光を含む。つまり、磁粉及びトレーサは、紫外線の照射によって励起されて光を発する構成であっても良く、紫外線の照射によって励起されない単に可視光を反射する構成であっても良い。
磁粉及びトレーサが発する光の波長は、特に限定されるものではなく、同じであっても良い。また、磁粉及びトレーサが発する光の波長が同じ場合には、磁粉及びトレーサは、発する光の明るさが異なるように構成される。
紫外線の照射によって励起されて光を発する磁粉としては、酸化鉄の粉体の表面を蛍光体で被覆した構成が例示できる。この磁粉は、紫外線が照射されることで蛍光体が励起されて光を発する。紫外線の照射によって励起されて光を発するトレーサとしては、蛍光体を含む粉末材料を造粒した構成や、粉体、例えば合成樹脂の粉体の表面を蛍光体で被覆した構成等が例示できる。このトレーサは、紫外線が照射されることで蛍光体が励起されて光を発する。このような構成の磁粉及びトレーサは、異なる蛍光体を用いたり、異なる粒子径としたり、蛍光体の量を変えたりすることで、磁粉及びトレーサが発する光の明るさや波長を調節することができる。
紫外線の照射によって励起されない磁粉としては、蛍光体を含まない構成であり、表面に何も被覆されていない酸化鉄の粉体、酸化鉄の粉体の表面が着色剤で被覆された構成等が例示できる。この磁粉は、照射された可視光を反射する。紫外線の照射によって励起されないトレーサとしては、合成樹脂の粉体、合成樹脂の粉体の表面が着色剤で被覆された構成等が例示できる。このトレーサは、照射された可視光を反射する。なお、このような構成の磁粉及びトレーサは、色の異なる着色剤を用いる等して、反射する光の波長が異なるように構成される。
なお、トレーサは、磁性体である磁粉と異なり、非磁性体であることが好ましい。詳細については後述するが、トレーサが非磁性体であることによって、傷部を検出するための磁粉指示模様の形成にトレーサが影響を及ぼすことがなく、傷部の検出確度が低下しない。
なお、検査液は、分散剤や防錆剤等を更に含有する構成であっても良い。分散剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル型非イオン系界面活性剤および陰イオン活性剤を用いることができる。防錆剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム等を用いることができる。また、磁粉及びトレーサに用いられる蛍光体は、紫外線によって励起されて光を発するものであれば良く、市販の蛍光顔料及び蛍光染料を用いることができる。また、検査液における、分散剤、防錆剤等の濃度は適宜設定できる。また、検査液の溶媒は、白灯油であっても良い。検査液の溶媒が白灯油である場合には、磁粉及びトレーサは、白灯油に不溶な構成とする。
次に本実施形態に係る磁粉探傷装置の構成について詳細に説明する。なお、以下では、紫外線の照射によって励起されて光を発する磁粉及びトレーサを含有する検査液を用いて探傷を行う磁粉探傷装置を例示して説明する。図1は、本実施形態に係る磁粉探傷装置1の一例が示された概略構成図である。図2は、散布部13、回収部14、及びタンク17が示された概略構成図である。ここで、説明の便宜上、図1において、後述する撮像部16の側を上とし、後述する回収部14の側を下とする。また、図2において、検査液11の流れ方向が矢印d1によって示され、後述する磁化部12、後述する照射部15、撮像部16等の記載は省略されている。
図1、図2に示されるように、磁粉探傷装置1は、例えば角柱状の被検査物10の表面(外周面)における欠陥としての傷部を、磁粉を用いて検出するように構成される。磁粉探傷装置1は、検査液11と、磁化部12と、散布部13と、回収部14と、照射部15と、撮像部16と、図示せぬ制御部等を備える。詳細につては後述するが、磁粉探傷装置1は、被検査物10に磁粉を含有する検査液11を散布し、検査液11が散布されている被検査物10を磁化して傷部に磁粉指示模様を形成し、被検査物10に紫外線を照射し、紫外線が照射された被検査物10の表面を撮像し、撮像された画像に基づいて傷部を検出するように構成される。更に、磁粉探傷装置1は、被検査物10が磁化される前において、被検査物10に紫外線を照射し、紫外線が照射され、検査液11が流れる被検査物10の表面を撮像し、撮像された画像に基づいて被検査物10の表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を算出して測定するように構成される。
検査液11は、タンク17に貯留される。検査液11は、磁粉及びトレーサを含有する。磁粉及びトレーサは、紫外線の照射によって励起されて光を発する。そして、磁粉及びトレーサは、発する光の波長が略同じであり、トレーサの光が磁粉の光よりも明るくなるように構成されている。
タンク17は、貯留する検査液11の物性に影響を与えることがない材料で形成される。タンク17の材料としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅、合成樹脂等を用いることができる。タンク17は、検査液11を攪拌する図示せぬ攪拌器を備える。攪拌器としては、検査液中に配置される攪拌子と撹拌子を回転させる回動装置を備える構成が例示できる。そして、タンク17には、磁粉及びトレーサが分散された状態で検査液11が貯留されている。なお、タンク17の構成は特に限定されるものではない。タンク17は、磁粉及びトレーサが分散された状態で検査液11を貯留するように構成されていれば良い。例えば、タンク17は、上部の開口を閉塞する蓋部を更に備える構成であっても良く、検査液11が含有する磁粉、トレーサ等の濃度を測定する濃度測定部を備える構成であっても良い。
磁化部12は、被検査物10に磁界を印加し、少なくとも被検査物10の表層部を磁化するように構成される。より詳細には、磁化部12は、通電法及びコイル法を用いて被検査物10の表層部を磁化するように構成される。磁化部12は、図1に示すように、被検査物10の両端に接触して被検査物10に電流を流す電極18,19と、被検査物10の両端近傍に配置される励磁コイル20,21等を備える。励磁コイル20,21には、被検査物10が挿通される。
磁化部12は、電極18,19によって被検査物10に電流を流すことで、被検査物10の軸方向と直交する方向(周方向)に磁場を形成する。また、磁化部12は、励磁コイル20,21に電流が流れることで、被検査物10の軸方向に磁場を形成する。そして、電極18,19と励磁コイル20,21に流れる電流の位相を変えることで、被検査物10に回転磁界を印加することができ、被検査物10の表面でいずれの方向に延びる傷部からも漏洩磁束を発生させることができる。
なお、磁化部12の構成は特に限定されるものではない。磁化部12は、被検査物10に磁界を印加し、少なくとも被検査物10の表層部を磁化するように構成されていれば良い。磁化部12は、電磁石または永久磁石の磁極間に被検査物10を配置して被検査物10を磁化する極間法等、上述とは異なる磁化方法によって被検査物10を磁化する構成であっても良い。そして、磁化部12の磁化方法は、被検査物10の形態に応じて適宜選択できる。
散布部13は、被検査物10に検査液11を散布するように構成される。散布部13は、検査液11を圧送する散布ポンプ22と、散布ポンプ22によって圧送された検査液11を吐出する散布ノズル23と、切換弁24等を有する。
散布ポンプ22の吸入側は、配管25aによってタンク17に接続される。散布ポンプ22の吐出側は、配管25bによって切換弁24に接続される。散布ノズル23は、被検査物10の上方に配置され、配管25cによって切換弁24に接続される。切換弁24には、配管25b,25cの他に、一端がタンク17に接続される配管25dの他端が接続される。
切換弁24は、散布ポンプ22によって圧送される検査液11を、散布ノズル23が接続される配管25c、またはタンク17に接続される配管25dに流すことができるように構成される。切換弁24は、空気圧で作動する3ポートエアオペレートバルブであり、検査液11に含有される磁粉の影響を受けないように構成されている。そして、タンク17と、散布ポンプ22と、散布ノズル23が分岐接続される切換弁24とが配管25a,25b,25dによって循環接続される循環回路26が形成されている。
検査液11は、常時循環回路26を循環する。循環回路26を循環する検査液11は、磁粉及びトレーサが分散された状態に維持される。そして、散布ノズル23から検査液11を散布する際には、切換弁24から散布ノズル23に検査液11が送られる。ここで、検査液11が循環回路26を循環している際の配管25c内の検査液は、流動しないため、磁粉及びトレーサが分散せずに沈降した状態である。しかし、配管25cは散布ノズル23と切換弁24とを接続するだけであり、配管25c内の検査液11はごくわずかである。したがって、散布部13は、磁粉及びトレーサが分散された検査液11を瞬時に散布することができ、磁粉及びトレーサが分散された検査液11が散布されるまでの待ち時間が少なく、探傷時間の短縮が図れる。
散布ノズル23は、多数の吐出口から検査液11を吐出させ、検査液11を散布するように構成されている。なお、散布される検査液11の吐出状態は適宜選択することができ、散布ノズル23の吐出口の数、形状、開口面積、検査液11の吐出時の流速等を変えることで変更することができる。例えば、散布ノズル23は、吐出口の開口面積を調節可能な絞り機構を備える構成としても良い。検査液11の吐出時の流速は、散布ポンプ22の吐出量を変更することで調節することができる。なお、配管25bや配管25cに流量調節弁等を設けて散布ノズル23から散布される検査液11の流量を調節する構成としても良い。
ここで、タンク17は、循環回路26を構成する配管25dから吐出される検査液11によって貯留する検査液11を渦状に流動させて攪拌するように構成されても良い。このような構成にすることで、攪拌器を用いることなく簡易な構成で検査液11を攪拌することができ、生産性が向上される。
散布部13は、被検査物10に上方から検査液11を散布する。散布される検査液11は、磁粉及びトレーサが分散された状態である。散布された検査液11は、散布ノズル23から吐出される際の勢い(運動エネルギ)と重力(位置エネルギ)によって被検査物10の表面を流れる。
ここで、被検査物10は、散布部13によって検査液11が散布されている状態で磁化部12によって磁化される。磁化された被検査物10は、被検査物10の表面に欠陥としての傷部が存在する場合、その傷部に起因する漏洩磁界が生じる。磁化された被検査物10の傷部の上を通過する磁粉は、漏洩磁界によってこの傷部に引き付けられる。そして、漏洩磁界によって磁粉が傷部に集合することで、傷部に起因する磁粉指示模様が形成される。
なお、検査液11に含有されるトレーサが非磁性体である場合には、トレーサは漏洩磁界によって傷部に引き付けられることはない。そして、検査液11が含有するトレーサは、この磁粉指示模様の形成に殆ど影響を及ぼすことはなく、傷部の検出確度が低下することはない。
磁粉指示模様を好適に形成する観点において、被検査物10の表面を流れる検査液11の流速は、約20mm/s〜100mm/sであることが好ましく、このような流速となるように散布ノズル23から吐出される検査液の吐出速さや吐出量等を適宜調節する。検査液11の流速が100mm/sより大であると、磁粉が漏洩磁束に引き付けられずに流されてしまい、磁粉指示模様が形成されにくくなる。そして、傷部の検出漏れが生じて、傷部の検出確度が低下しやすくなる。一方、検査液の流速が20mm/sより小であると、傷部とは異なる部位に磁粉が残留しやすくなって傷部の誤検出が増加し、傷部の検出確度が低下しやすくなる。また、磁粉指示模様が形成されるまでに多くの時間を要し、探傷時間が長くなってしまう。
散布部13によって被検査物10に散布された余剰の検査液11は、重力によって下方へ落下し、回収部14によって回収される。
なお、散布部13の構成は特に限定されるものではない。散布部13は、タンク17に貯留される攪拌状態の検査液11を被検査物10に散布するような構成であれば良い。例えば、散布部13は、複数の散布ノズル23を備える構成であっても良い。また、散布部13は、切換弁24及び配管25dを備えない構成、つまり循環回路26を備えない構成であっても良く、散布ポンプ22と散布ノズル23が配管25bで接続される構成とすることもできる。しかしながら、循環回路26を備える構成とすることが好ましい。このような構成にすることで、攪拌状態の検査液11を散布することができる。また、磁粉、トレーサ等の配管内面への付着や配管のつまりが防止され、検査液11を良好に散布することができる。また、散布ノズル23の配置は特に限定されるものではない。散布部13は、検査液11を被検査物10の側方等から被検査物10に散布する構成であっても構わない。
回収部14は、散布部13によって被検査物10に散布された検査液11を回収してタンク17に戻すように構成される。回収部14は、回収受け27と、回収配管28とを有する。回収受け27は、鉛直断面形状が略U字状の受け皿であり、被検査物10の下方に配置される。回収受け27の底部は、タンク17の検査液11の液面よりも上方に位置している。回収配管28は、一端が回収受け27の底部に接続し、他端がタンク17に接続する。
回収部14は、散布部13によって被検査物10に散布された検査液11を回収受け27によって回収し、回収した検査液11をタンク17に戻す。したがって、回収部14によって回収された検査液11は、散布部13によって散布される検査液11として再利用され、環境への負荷の低減と検査液11の廃棄処理費用の低減が図れる。
なお、回収部14の構成は特に限定されるものではない。回収部14は、散布部13によって散布された検査液11を回収してタンク17に戻すように構成されていれば良い。例えば、回収部14は、回収受け27によって回収された検査液11をタンク17へ圧送するポンプを備える構成としても良い。このような構成にすることで、回収受け27を、タンク17の検査液の液面よりも下方に配置することができ、設計の自由度が増加される。また、回収受け27によって回収された検査液11を確実にタンク17に戻すことができ、回収受け27における検査液11のオーバーフロー等を防止できる。また、回収受け27は、被検査物10の側方を覆うような構成であっても良い。このような構成にすることで、散布部13によって散布された検査液11をより確実に回収することができる。
照射部15は、後述する撮像部16が撮像する被検査物10の表面(外周面)に光としての紫外線を照射するように構成される。照射部15は、光源としての図示せぬ紫外線LED(Light Emitting Diode)または紫外線ランプ、冷却装置としての図示せぬファン等を有する。照射部15は、被検査物10の上方に配置される。そして、照射部15は、撮像部16によって撮像される被検査物10の表面に上方から紫外線を照射する。検査液11が含有する磁粉及びトレーサは、照射部15によって紫外線が照射されている領域内において、この紫外線によって励起されて発光する。
なお、照射部15の構成は特に限定されるものではない。照射部15は、撮像部16が撮像領域内にある少なくとも磁粉及びトレーサを撮像できるように、被検査物10の表面に光を照射するように構成されていれば良い。そして、照射部15は、検査液11の構成に応じた光を照射するように構成される。例えば、検査液11が含有する磁粉及びトレーサが紫外線で励起しない構成の場合には、照射部15は、可視光、例えば白色光を被検査物10の表面に照射するように構成される。
照射部15は、磁化部12によって生成される磁界の影響を避けるために、磁気シールドを備える構成であっても良い。また、照射部15の配置は特に限定されるものではない。照射部15は、被検査物10の表面に側方等から紫外線を照射するように構成されても良い。
照射部15は、紫外線や可視光をパルス照射するような構成であっても良い。このような構成にすることで、照射部15は、高強度の紫外線や可視光を常時照射可能な構成とする必要がなく、安価な構成にすることができる。また、照射部15は、不必要な光の照射をせず、エネルギ効率の良い光の照射が可能となる。また、検査液11の温度上昇による粘性の変化が防止され、検査液11の流速に変化が生じにくく、傷部の検出確度の低下を防止できる。また、紫外線や可視光の光源の長寿命化が期待できる。なお、パルス照射する時間は、被検査物10の表面を流れる検査液11の流速等に応じて適宜設定される。
撮像部16は、照射部15によって光としての紫外線が照射された被検査物10の表面を撮像するように構成される。撮像部16は、被検査物10の上方に配置され、被検査物10の表面を上方から撮像する。撮像部16によって撮像された原画像は、ここでは図示せぬ制御部に送られる。なお、撮像装部16の撮像領域内にある磁粉及びトレーサは、照射部15の紫外線によって励起されて発光する。
撮像部16としては、エリアカメラを用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラを用いることができる。撮像部16のシャッタースピードと撮像される画像の分解能は、照射部15が照射する光の強度、被検査物10の表面を流れる検査液11の流速等に応じて適宜設定される。撮像部16によって撮像される画像は、カラー画像であっても良く、モノクロ画像であっても良い。
ここで、撮像部16は、2つの状態における被検査物10の表面を撮像するように構成される。一方は、被検査物10は磁化されておらず、被検査物10の表面を検査液11が流れている状態であって、検査液11が散布されている最中の状態である。他方は、検査液11の散布が終わった後であって、磁粉指示模様の形成が行われた状態である。詳細については後述するが、一方の状態で撮像された画像は、被検査物10の表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を測定するために使用される。他方の状態で撮像された画像は、被検査物10の表面の傷部を検出するために使用される。なお、他方の状態において、被検査物10は磁化されていることが好ましい。このような構成にすることで、磁粉が飛ばされる等して磁粉指示模様が崩れることが防止される。
なお、撮像部16の構成は特に限定されるものではない。例えば、撮像部16は、磁化部12によって生成される磁界の影響を避けるために、磁気シールドを備える構成であっても良い。また、照射部15が紫外線や可視光をパルス照射する場合には、撮像部16は照射部15のパルス照射に同期して撮像するように構成される。また、撮像部16は、複数枚の画像を撮像するように構成されも良く、動画を撮像するように構成されも構わない。また、撮像部16の配置は特に限定されるものではない。撮像部16は、被検査物10の表面を側方等から撮像するように構成されても良い。
次に、本実施形態に係る磁粉探傷装置1の制御系統について説明する。図3は、磁粉探傷装置1の制御系統のブロック図である。磁粉探傷装置1は、制御部30を備え、この制御部30によって、磁化部12、散布部13、照射部15、撮像部16等が制御され、自動制御によって被検査物10の表面の欠陥としての傷部を検出することができるように構成されている。
制御部30は、種々の設定値や、各種センサによる検出値等の入力信号を読み込むとともに、制御信号を出力することで、磁粉探傷装置1の動作を制御するように構成されている。制御部30としては、演算処理及び制御処理を行うCPU(Central Processing Unit)、データが格納される主記憶装置、タイマ、入力回路、出力回路、並びに電源回路等の含まれたマイクロコンピュータが例示される。ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)に例示される主記憶装置には、本実施形態に係る動作を実行するための制御プログラムと、各種データが格納されている。なお、これらの各種プログラムとデータ等は、外部の記憶装置に格納され、制御部30が読み出す形態とされても良い。
制御部30には、磁化部12、散布部13、照射部15、撮像部16等が電気的に接続されている。なお、制御部30には、図3に示された構成以外の各種センサ等が電気的に接続されている。
制御部30は、検出部31を有している。検出部31は、例えばプログラムによって構成される。検出部31は、撮像部16から入力される画像信号(原画像)に所定の処理(画像処理)を行うことによって、被検査物10の表面の欠陥を検出するように構成される。検出部31が画像処理を行う対象は、被検査物10は磁化されており、検査液11の散布が終わった後であって、磁粉指示模様の形成が行われた被検査物10の表面が撮像された原画像である。
検出部31は、原画像における磁粉指示模様が強調されるような強調処理を原画像に対して行う。強調処理としては、例えば、LUT(Look Up Table)変換処理、拡大・収縮処理、シェーディング処理、これらの各種処理を組み合わせた処理を用いることができる。
次に、検出部31は、強調処理された画像を主記憶装置に格納された予め定められた閾値で二値化処理して磁粉指示模様を抽出する。この閾値は、磁粉及びトレーサが発する光の明るさに応じて適宜設定され、磁粉指示模様を抽出した画像にトレーサが発する光が含まれないように設定される。したがって、原画像にトレーサが発する光が写っていたとしても、磁粉指示模様の抽出にトレーサが影響を及ぼすことはない。そして、検出部31は、抽出された磁粉指示模様に対して、例えば面積、長さ、幅等といった形状に関する要素に基づく処理を行って欠陥としての傷部を抽出する。
なお、検出部31は、上述の構成に限定されるものではない。検出部31は、原画像から欠陥を検出することができるように構成されていれば良い。検出部31は、例えば、抽出された磁粉指示模様に対して、膨張処理を行った後に傷部を抽出する構成であっても良い。なお、膨張処理とは、抽出された磁粉指示模様を所定の方向へ所定の量だけ拡大させる処理である。膨張処理によって抽出した磁粉指示模様の途切れを補うことができ、傷部の検出確度が向上される。また、検出部31は、原画像に異なる閾値で二値化処理を複数回行う構成であっても良い。
また、検出部31は、複数の画像処理をパイプライン処理によって並行して処理する構成であっても良い。このような構成にすることで、傷部の有無の判定までに要する時間を短縮することができる。
検出部31は、撮像部16による撮像と連動するリアルタイム処理によって傷部を検出する。しかしながら、検出部31は、撮像部16による撮像と連動せず、撮像部16によって撮像された複数の原画像を蓄積してから処理を行うバッチ処理によって傷部を検出しても良い。このような構成にすることで、検出部31による制御部30の演算負荷が低減され、生産性が向上される。
また、検出部31は、制御部30に接続された別の制御部に備えられる構成であっても良い。このような構成にすることで、制御部30の演算負荷が低減され、例えば磁粉探傷装置1は各種の処理をリアルタイムでスムースに行うことができ、検出時間の短縮を図ることができる。
制御部30は、更に算出部32を有している。算出部32は、例えばプログラムによって構成される。算出部32は、撮像部16から入力される原画像に所定の画像処理を行うことによって、被検査物10の表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を算出するように構成される。算出部32が画像処理を行う対象は、被検査物10は磁化されておらず、表面を検査液11が流れており、検査液11が散布されている最中の被検査物10の表面が撮像された原画像である。
ここで、トレーサは、検査液11の溶媒である水と一体となって流れる。つまり、トレーサの速度及び移動方向は、検査液11の流速及び流れ方向と略同じである。そして、原画像にはトレーサが発する光の軌跡(トレーサの軌跡)が写される。算出部32は、このトレーサの軌跡から検査液11の流速及び流れ方向を算出する。
算出部32は、まず原画像におけるトレーサの軌跡が強調されるような強調処理を原画像に対して行う。強調処理としては、例えば、LUT(Look Up Table)変換処理、拡大・収縮処理、シェーディング処理、これらの各種処理を組み合わせた処理を用いることができる。
次に、算出部32は、強調処理された画像を主記憶装置に格納された予め定められた閾値で二値化処理してトレーサの軌跡を抽出する。図4には、トレーサの軌跡33が抽出された画像の一例の概略図を示す。この閾値は、磁粉及びトレーサが発する光の明るさに応じて適宜設定され、トレーサの軌跡33を抽出した画像に磁粉が発する光が含まれないように設定される。したがって、原画像に磁粉が発する光が写っていたとしても、トレーサの軌跡33の抽出に磁粉が影響を及ぼすことはない。
そして、算出部32は、検査液11の流速及び流れ方向として、抽出されたトレーサの軌跡33と撮像部16のシャッタースピードに基づいてトレーサの速度及び移動方向を算出する。算出されたトレーサの速度及び移動方向は、検査液11の流速及び流れ方向として、制御部30の主記憶装置に格納され、図示せぬ表示部に表示される。
なお、算出部32は、トレーサの軌跡33を抽出する際、画像の端と交わっているトレーサの軌跡33、他のトレーサの軌跡33と交わっているトレーサの軌跡33等を抽出しないようにする除外処理等も行う。算出部32は、この除外処理によって、より確度の高いトレーサの速度及び移動方向を算出できる。
ここで、検査液11は被検査物10の表面を膜状に流れる。検査液11の膜厚は、例えば2mm以下である。このような流れの流速と流れ方向を実測することは困難である。しかしながら、算出部32は、撮像部16によって撮像された原画像に基づいて検査液11の速度及び移動方向を算出できる。したがって、磁粉探傷装置1は、検査液11の速度及び移動方向を容易に測定できる。
また、検査液11の速度及び流れ方向は、画像処理によって算出して測定されるため、測定を行う検査員によってばらつきが生じることがなく測定される。検査員は、この測定値から検査液11の流動状態を定量的に評価することが可能となる。したがって、磁粉探傷装置1は、傷部の検出確度の維持管理を良好に行うことができる。
なお、複数のトレーサの軌跡が抽出される場合には、算出部32は、各トレーサの速度及び移動方向を算出して検査液11の流れ分布を作成しても良い。また、算出部32は、各トレーサの速度及び移動方向を算出し、その平均を検査液11の流速及び流れ方向としても良い。
ここで、検査液11の流速及び流れ方向を良好に測定する観点から、トレーサの濃度は、50個/mL〜500個/mLであることが好ましい。トレーサの濃度が50個/mLより小であると、撮像された原画像に写るトレーサの軌跡33の数が少なくなり、検査液11の流速及び流れ方向を算出しにくくなる。トレーサの濃度が500個/mLより大であると、撮像された原画像に写るトレーサの軌跡33の数が多くなり、トレーサの軌跡33が交差する等して、検査液11の流速及び流れ方向を算出しにくくなる。また、算出部32による制御部30の演算負荷が増加してしまう。
また、算出部32が画像処理を行う原画像に写るトレーサの軌跡33の数は、5個〜50個であることが好ましい。トレーサの軌跡33の数が5個より小であると、検査液11の流速及び流れ方向を算出しにくくなる。トレーサの軌跡の数33が50個より大であると、トレーサの軌跡33が交差する等して、検査液11の流速及び流れ方向を算出しにくくなる。また、算出部32による制御部30の演算負荷が増加してしまう。
また、磁粉の蛍光係数に対するトレーサの蛍光係数の比は5以上であることが好ましい。この比が5より小であると、検出部31及び算出部32における画像処理において、磁粉が発する光とトレーサが発する光とを区別しにくくなり、傷部の検出と検査液11の流速及び流れ方向の算出がしにくくなる。ここで、蛍光係数は、単位がcd/Wであり、JIS−Z−2320で規定される明るさを表す一つの指標であり、表面の紫外線放射照度(W/m2)に対する表面の輝度(cd/m2)である。なお、検査液11が含有する磁粉及びトレーサが紫外線で励起しない構成の場合には、同一強度の可視光が照射された際の磁粉が反射する光の輝度(cd/m2)に対するトレーサが反射する光の輝度(cd/m2)の比が、5以上であることが好ましい。
また、算出部32によって画像処理がされる原画像を撮像する際の撮像部16のシャッタースピードは、検査液11の流速、トレーサが発する光の明るさ、撮像部16の撮像範囲の大きさ等に応じて適宜設定され、例えば1ms〜100msとされる。撮像されるトレーサの軌跡33の長さは、このシャッタースピードに応じて変化する。
また、検出部31によって画像処理がされる原画像を撮像する際の撮像部16のシャッタースピードは、磁粉が発する光の明るさ等に応じて適宜設定される。この撮像部16のシャッタースピードは、算出部32によって画像処理がされる原画像を撮像する際の撮像部16のシャッタースピードと同じであっても良く、異なっていても良い。
また、照射部15が紫外線をパルス照射する場合、算出部32によって画像処理がされる原画像を撮像する際の撮像部16のシャッタースピードは、照射部15が紫外線を照射している時間より長くても良い。この場合には、照射部15は、撮像部16がシャッターを開いている間に紫外線をパルス照射するように構成される。撮像されるトレーサの軌跡33の長さは、照射部15が紫外線を照射している時間に応じて変化する。そして、算出部32は、この時間と抽出したトレーサの軌跡33に基づいて検査液11の流速及び流れ方向を算出する。
このような構成にすることで、照射部15の紫外線の照射時間を必要最小限とすることができ、照射部15を安価な構成にすることができる。また、照射部15は、撮像部16の撮像に不要な紫外線を照射することがなく、エネルギ効率の良い紫外線の照射が可能となる。
なお、算出部32は、上述の構成に限定されるものではない。算出部32は、原画像から検査液11の流速及び流れ方向を算出するように構成されていれば良い。算出部32は、例えば、微小な時間差で撮像された2つの原画像に画像処理を行って、トレーサが発する光を追跡してトレーサの速度及び移動方向を算出し、検査液11の流速及び流れ方向とする構成であっても良い。また、算出部32は、原画像に異なる閾値で二値化処理を複数回行う構成であっても良い。
また、算出部32は、複数枚の原画像に画像処理を行って、トレーサの軌跡33を抽出して、検査液11の流速及び流れ方向を算出する構成であっても良い。このような構成にすることで、抽出されるトレーサの軌跡33の数が増加し、より確度の高い検査液11の流速及び流れ方向の測定ができる。また、検査液11の流れ分布を作成することも容易となる。
また、算出部32は、複数のトレーサの軌跡33が抽出される場合には、検査液11の流速及び流れ方向の算出に用いるトレーサの軌跡33が検査員によって選択されるように構成されても良い。
また、算出部32が画像処理する原画像は、表面を検査液11が流れており、検査液11が散布されている最中の被検査物10の表面が撮像された原画像であれば良い。検査液11のトレーサが非磁性体である場合には、被検査物10は磁化された状態であっても構わない。非磁性体のトレーサは、被検査物10が磁化されていてもその影響を受けることはない。そして、算出部32は、被検査物10の磁化の有無に関わらず、速度及び移動方向を算出することができる。
なお、検査液11の流速及び流れ方向を良好に算出する観点において、算出部32が画像処理する原画像は、被検査物10が磁化されていない状態の画像であることが好ましい。つまり、磁粉指示模様の形成が行われていない状態の画像であることが好ましい。このような構成にすることで、算出部32は、画像処理する原画像において、トレーサが発する光と磁粉指示模様とを区別する必要がなく、検査液11の流速及び流れ方向の測定が容易となる。また、より確度の高い検査液11の流速及び流れ方向の測定ができる。
また、算出部32は、複数の画像処理をパイプライン処理によって並行して処理する構成であっても良い。このような構成にすることで、検査液11の流速及び流れ方向を測定するまでに要する時間を短縮することができる。
算出部32は、撮像部16による撮像と連動するリアルタイム処理によって検査液11の流速及び流れ方向を算出する。しかしながら、算出部32は、撮像部16による撮像と連動せず、撮像部16によって撮像された複数の原画像を蓄積してから処理を行うバッチ処理によって検査液11の流速及び流れ方向を算出しても良い。このような構成にすることで、算出部32による制御部30の演算負荷が低減され、生産性が向上される。また、多数の算出された検査液11の流速及び流れ方向に基づいて、検査液11の流動状態を把握することが可能となる。この流動状態に基づいて、検査液11の散布の改善及び適正化が容易となり、傷部の検出確度の向上を図ることができる。
また、算出部32は、制御部30に接続された別の制御部に備えられる構成であっても良い。このような構成にすることで、制御部30の演算負荷が低減され、例えば磁粉探傷装置1は各種の処理をリアルタイムでスムースに行うことができる。
なお、磁粉探傷装置1は上述の構成に限定されるものではない。磁粉探傷装置1は、検査液11の構成に応じて適宜変更される。例えば、検査液11が含有する磁粉及びトレーサが波長の異なる光を発するように構成される場合には、撮像部16は、カラー画像を撮像するように構成されると良い。また、検出部31は、磁粉及びトレーサが発する光の波長に応じて設定される閾値を用いて原画像に画像処理を行って磁粉指示模様を抽出するように構成される。この閾値は、磁粉指示模様を抽出した画像にトレーサが発する光が含まれないように設定される。また、算出部32は、検出部31と同様に、磁粉及びトレーサが発する光の波長に応じて設定される閾値を用いて原画像に画像処理を行ってトレーサの軌跡33を抽出するように構成される。この閾値は、トレーサの軌跡33を抽出した画像に磁粉が発する光が含まれないように設定される。
このような構成にすることで、磁粉探傷装置1は、検査液11が含有する磁粉及びトレーサが波長の異なる光を発するように構成される場合に、被検査物10の表面を流れる検査液11の速度及び移動方向を容易に測定することができる。
また、このように磁粉及びトレーサが波長の異なる光を発するように構成される場合には、磁粉探傷装置1は、2つの撮像部16を備える構成としても良い。一方の撮像部16は、磁粉が発する光が透過し、トレーサが発する光が透過しないフィルタを備える構成とする。他方の撮像部16は、トレーサが発する光が透過し、磁粉が発する光が透過しないフィルタを備える構成とする。検出部31は、一方の撮像部16によって撮像された原画像に画像処理を行って傷部を検出する。算出部32は、他方の撮像部16によって撮像された原画像に画像処理を行って検査液11の流速及び流れ方向を算出する。
このような構成であっても、磁粉探傷装置1は、検査液11が含有する磁粉及びトレーサが波長の異なる光を発するように構成される場合に、被検査物10の表面を流れる検査液11の速度及び移動方向を容易に測定することができる。
ここで、一方の撮像部16によって撮像された原画像、つまり検出部31が画像処理を行う原画像には、トレーサが発する光が写ることはない。また、他方の撮像部16によって撮像された原画像、つまり算出部32が画像処理を行う原画像には、磁粉指示模様が写ることはない。したがって、検出部31は、画像処理において、トレーサが発する光と磁粉指示模様とを区別する必要がなく、比較的簡単な画像処理でより高い確度の傷部の検出ができる。同様に、算出部32は、画像処理によってトレーサが発する光と磁粉指示模様とを区別する必要がなく、比較的簡単な画像処理でより高い確度の検査液11の流速及び流れ方向の算出ができる。したがって、検出部31及び算出部32による制御部30の演算負荷が低減され、生産性が向上される。また、磁粉探傷装置1は、傷部の検出確度及び検査液11の流速及び流れ方向の測定確度が向上される。
なお、一方の撮像部16は、磁粉が発する光が透過し、トレーサが発する光が透過しないフィルタを備えなくても良い。検出部31は、検査液11が被検査物10の表面を流れていない状態で撮像された原画像に基づいて行われる。この状態で撮像された原画像に写るトレーサは、被検査物10の表面に残留してしまったものである。したがって、一方の撮像部16がフィルタを備えない構成であっても、一方の撮像部16よって撮像される原画像に写るトレーサの数はわずかであり、上述と同様の効果が得られる。
なお、磁粉探傷装置1は、上述の2つのフィルタを切換可能に備える1つの撮像部16を備える構成であっても良い。また、磁粉探傷装置1は、トレーサが発する光が透過し、磁粉が発する光が透過しないフィルタを着脱可能に備える1つの撮像部16を備える構成であっても良い。このような構成にすることで、上述の2つの撮像部16を備える構成と同様の効果が得られるとともに、部品点数が削減されて生産性が向上される。
なお、磁粉及びトレーサが波長の異なる光を発するように構成される場合には、トレーサは非磁性体とすることが好ましい。このような構成にすることで、磁粉指示模様が磁粉のみで形成され、検出部31による磁粉指示模様の抽出が複雑になることを防止できる。
また、磁粉及びトレーサが紫外線の照射によって励起しない構成の場合には、照射部15は、可視光、例えば白色光を照射するように構成される。ここで、磁粉及びトレーサは反射する光の波長が異なるように構成される。したがって、上述の磁粉及びトレーサが波長の異なる光を発するように構成される場合と同様に、磁粉探傷装置1は、撮像部16をカラー画像の撮像ができる構成にしたり、2つの撮像部16を備える構成にしたりする。そして、このような構成にすることで、磁粉探傷装置1は、磁粉及びトレーサが紫外線の照射によって励起しない構成であっても、被検査物10の表面を流れる検査液11の速度及び移動方向を容易に測定することができる。
なお、磁粉が発するまたは反射する光の波長とトレーサが発するまたは反射する光の波長が異なる場合、この波長の差の絶対値は100nm以上であることが好ましい。このような構成にするにすることで、検出部31及び算出部32における画像処理において、磁粉が発する光とトレーサが発する光とを区別しやすくなり、傷部の検出と検査液11の流速及び流れ方向の算出が容易となる。
また、磁粉探傷装置1は、測定された検査液11の流速及び流れ方向が予め定められた範囲内であるかを判定する判定部と、音や光によって検査員に異常を知らせる警報部とを備える構成であっても良い。判定部としては、制御部30に備えられるプログラムが例示できる。警報部としては、警報音発生装置やランプ点滅装置などが例示でき、制御部30によって制御される。そして、磁粉探傷装置1は、判定部によって測定された検査液11の流速及び流れ方向が予め定められた範囲内であるかを判定し、範囲外であると判定された際に警報部を作動させて検査員に異常を知らせるように構成されても良い。
このような構成にすることで、例えば同一形状の複数の被検査物10を探傷する際、検査員が検査液11の流動状態の変化に多大な注意を払う必要がなくなり、検査員の負担が軽減され、傷部の検出確度の維持管理を容易に行うことができる。
また、磁粉探傷装置1は、撮像部16によって撮像された原画像に画像処理を行って傷部を検出する構成に限定されるものではない。例えば、磁粉探傷装置1は、被検査物10に形成された磁粉指示模様を検査員が目視し、検査員によって傷部の検出が行われるように構成されても良い。
また、磁粉探傷装置1は、磁化部12、散布部13、照射部15、撮像部16等が検査員によって手動で操作される構成であっても良い。このような構成にすることで、制御部30の構成が簡略され、生産性が向上する。
以上に説明がなされたように、本実施形態に係る磁粉探傷装置1は、磁粉を含有する検査液11と、検査液11を被検査物10に散布する散布部13と、被検査物10に光を照射する照射部15と、光が照射され、検査液11が流れる被検査物10の表面を撮像する撮像部16と、撮像部16によって撮像された原画像を処理して、表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を算出する算出部32と、を備え、検査液11は、トレーサを更に含有し、トレーサは、光が照射された際に、磁粉が発する光と少なくとも明るさまたは波長の異なる光を発する。
そして、本実施形態によれば、被検査物10の表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を容易に測定できる磁粉探傷装置を提供することができる。
また、本実施形態に係る磁粉探傷用検査液11は、磁粉及びトレーサを含有し、トレーサは、光が照射された際に、磁粉が発する光と少なくとも明るさまたは波長の異なる光を発する。
そして、本実施形態によれば、被検査物10の表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を容易に測定できる磁粉探傷装用検査液を提供することができる。
ここで、本実施形態に係る検査液11は、磁粉探傷に用いられる磁粉を含有する溶液において、更にトレーサを含有する構成である。したがって、検査液11は、容易かつ安価に製造することができる。
また、画像処理によって傷部の探傷を行う磁粉探傷装置において、検査液に更にトレーサを含有させるとともに、プログラムによって構成される算出部32を更に備える構成とすることで、本実施形態に係る磁粉探傷装置1となる。したがって、本実施形態に係る磁粉探傷装置1は、画像処理によって傷部の探傷を行う磁粉探傷装置の主要な構成を変更することなく、容易かつ安価に製造することができる。
次に、本実施形態に係る磁粉探傷方法の概要について説明する。なお、以下では、紫外線の照射によって励起されて光を発する磁粉及びトレーサを含有する検査液11を用いて、図1〜図3に示される磁粉探傷装置1による被検査物10の表面の傷部の探傷を例示して説明する。図5は、本実施形態に係る磁粉探傷方法の概要が示された流れ図である。本実施形態は、検査液11を被検査物10に散布する工程と、被検査物10に光を照射する工程と、光が照射され、検査液11が流れる被検査物10の表面を撮像する工程と、撮像された原画像を処理して、表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を算出する工程と、を備えることを特徴とする。以下では、各工程を更に詳細に説明する。
まず、散布部13による被検査物10の表面への検査液11の散布が開始される(ステップS1)。散布部13は、上述したように、被検査物10に上方から磁粉及びトレーサが分散された状態の検査液11を散布する。散布部13によって被検査物10に散布された余剰の検査液は、重力によって下方へ落下し、回収部14によって回収される。
次に、照射部15による被検査物10の表面への紫外線の第1の照射が行われる(ステップS2)。照射部15は、上述したように、撮像部16によって撮像される被検査物10の表面に上方から光としての紫外線を照射する。検査液11が含有する磁粉及びトレーサは、照射部15によって紫外線が照射されている領域内において、この紫外線によって励起されて発光する。
次に、撮像部16による第1の撮像が行われる(ステップS3)。この際、検査液11は被検査物10の表面を流れている。撮像部16は、第1の撮像として、照射部15によって紫外線が照射されている領域であって、表面を検査液11が流れており、検査液11が散布されている最中の被検査物10の表面を撮像する。つまり、第1の撮像とは、紫外線が照射され、検査液11が流れる被検査物10の表面の撮像である。撮像された原画像は、制御部30へ送られる。なお、紫外線の第1の照射(ステップS2)は、第1の撮像(ステップS3)が終了するまで継続される。
次に、算出部32による被検査物10の表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向の算出が行われる(ステップS4)。算出部32は、第1の撮像(ステップS3)で撮像された原画像に所定の画像処理を行って、トレーサの軌跡33を抽出する。そして、算出部32は、検査液11の流速及び流れ方向として、抽出されたトレーサの軌跡33と第1の撮像(ステップS3)におけるシャッタースピードに基づいてトレーサの速度及び移動方向を算出する。算出されたトレーサの速度及び移動方向は、検査液11の流速及び流れ方向として、制御部30の主記憶装置に格納され、図示せぬ表示部に表示される。
ここで、検査液11の流速及び流れ方向の算出は、第1の撮像(ステップS3)で撮像された原画像に基づいて行われる。したがって、被検査物10の表面を膜状に流れる検査液11であっても容易にその流速及び流れ方向を算出することができる。また、算出された検査液11の速度及び流れ方向は、磁粉探傷を行う検査員によってばらつきが生じることがない。
次に、磁化部12による被検査物10の磁化が行われる(ステップS5)。磁化部12は、上述したように、被検査物10に回転磁界を印加し、被検査物10の表層部を磁化する。被検査物10の表面に傷部がある場合には、傷部の延びる方向に関係なく、傷部から漏洩磁束が発生する。なお、被検査物10の磁化(ステップS5)は、後述する撮像部16による第2の撮像が終了するまで継続される。
次に、散布部13による被検査物10の表面への検査液11の散布の停止が行われる(ステップS6)。検査液11の散布の停止(ステップS6)は、被検査物10の磁化(ステップS5)が開始されてから所定の時間が経過した後に行われる。ステップS5からステップS6までの間、検査液11は磁化された被検査物10の表面を流れ続ける。被検査物10の表面に傷部がある場合には、この傷部に起因する漏洩磁界に検査液11に含有される磁粉が引き付けられ、傷部に起因する磁粉指示模様が形成される。なお、検査液11に含有されるトレーサが非磁性体である場合には、トレーサは漏洩磁界によって傷部に引き付けられることはなく、トレーサが磁粉指示模様の形成に影響を及ぼすことはない。
次に、照射部15による第2の被検査物10の表面への紫外線の照射が行われる(ステップS7)。照射部15は、紫外線の第1の照射(ステップS2)と同様に、撮像部16によって撮像される被検査物10の表面に上方から光としての紫外線を照射する。紫外線の第2の照射(ステップS7)によって紫外線が照射されている領域は、紫外線の第1の照射(ステップS2)によって紫外線が照射されている領域と同じである。照射部15によって紫外線が照射されている領域に磁粉指示模様がある場合、磁粉指示模様を形成する磁粉の蛍光体が励起されて発光する。
次に、撮像部16による第2の撮像が行われる(ステップS8)。この際、検査液11は被検査物10の表面を流れていない。撮像部16は、第2の撮像として、照射部15によって紫外線が照射されている領域であって、検査液11の散布が終わった後であって、磁粉指示模様の形成が行われた被検査物10の表面を撮像する。第2の撮像(ステップS8)によって撮像される領域は、第1の撮像(ステップS3)によって撮像される領域と同じである。撮像された原画像は、制御部30へ送られる。なお、紫外線の第2の照射(ステップSS)は、第2の撮像(ステップS8)が終了するまで継続される。
ここで、ステップS8において、検査液11は被検査物10の表面を流れていない。そして、トレーサは、被検査物10の表面にわずかに付着するものの、撮像部16が撮像する領域内で移動して線状となることがなく、原画像に殆んど写り込まない。
次に、検出部31による欠陥としての傷部の検出が行われる(ステップS9)。検出部31は、第2の撮像(ステップSS)で撮像された原画像に所定の画像処理を行って、磁粉指示模様を抽出する。検出部31は、抽出された磁粉指示模様に基づいて、傷部の有無の判定を行い、傷部を検出する。そして、探傷を終了する。
ここで、傷部の検出は、検査液11が被検査物10の表面を流れていない状態で撮像された原画像に基づいて行われるので、トレーサは原画像に殆んど写り込まない。したがって、トレーサが傷部の候補として抽出されたとしても、その領域は小さく、傷部ではないと判定することができる。また、トレーサが発する光と磁粉が発する光の明るさの違いに基づいて磁粉指示模様のみを抽出することができる。したがって、トレーサは、傷部の検出に影響を及ぼすことがなく、検査液11がトレーサを含有することで傷部の検出確度が低下することはない。
なお、磁粉探傷方法は、上述の方法に限定されるものではない。磁粉探傷方法は、検査液11の構成に応じて適宜変更される。例えば、検査液11が含有する磁粉及びトレーサが紫外線の照射によって励起しないように構成される場合には、紫外線の第1の照射(ステップS2)及び紫外線の第2の照射(ステップS7)において、紫外線に替わって可視光、例えば白色光を照射する。
また、検査液11が含有する磁粉及びトレーサが波長の異なる光を発するように構成される場合には、第1の撮像(ステップS3)及び第2の撮像(ステップS8)において、フィルタ越しに被検査物10の表面を撮像しても良い。なお、第1の撮像(ステップS3)では、トレーサが発する光が透過し、磁粉が発する光が透過しないフィルタを用いる。一方、第2の撮像(ステップS8)では、磁粉が発する光が透過し、トレーサが発する光が透過しないフィルタを用いる。このような方法にすることで、検出部31及び算出部32による制御部30の演算負荷を低減し、生産性を向上することができる。また、傷部の検出確度及び検査液11の流速及び流れ方向の測定確度を向上することができる。
また、被検査物10の磁化(ステップS5)は、第2の撮像(ステップS8)の際に磁粉指示模様が形成されるように行われれば良く、その開始及び終了の時期は特に限定されるものではない。例えば、被検査物10の磁化(ステップS5)は、検査液の散布の開始(ステップS1)が行われる前に開始されても良く、第2の撮像(ステップS8)の前に終了されても構わない。しかしながら、形成された磁粉指示模様が第2の撮像(ステップS8)の前に崩れることを防止するために、被検査物10の磁化(ステップS5)は、第2の撮像(ステップS8)が終了されるまで継続されることが好ましい。
また、磁粉探傷方法は、紫外線の第1の照射(ステップS2)と紫外線の第2の照射(ステップS7)を1つの紫外線を照射するステップにしても良い。つまり、紫外線の第1の照射(ステップS2)を、第2の撮像(ステップS8)が終了するまで継続する構成であっても良い。しかしながら、エネルギ効率の観点において、紫外線の照射は、紫外線の第1の照射(ステップS2)と紫外線の第2の照射(ステップS7)とに分けられることが好ましい。
また、磁粉探傷方法は、図6に示されるように、紫外線の第1の照射(ステップS12)を第1の撮像(ステップS13)中に行っても良い。また、紫外線の第2の照射(ステップS17)を第2の撮像(ステップS18)中に行っても良い。ここで、図6は、本実施形態に係る別の磁粉探傷方法の概要が示された流れ図である。なお、図6に示される別の磁粉探傷方法は、図5に示される磁粉探傷方法において、ステップS2、ステップS3、ステップS7、及びステップS8が異なる方法であり、これらのステップ以外は図5に示される磁粉探傷方法と同様である。図5に示される磁粉探傷方法と同様の部分の説明については省略される。
別の磁粉探傷方法において、検査液11の散布の開始(ステップS1)が行われた後、撮像部16のシャッターが開かれて第1の撮像が開始される(ステップS13a)。そして、撮像部16がシャッターを開いている間に、紫外線の第1の照射(ステップS12)が行われる。紫外線の第1の照射(ステップS12)が終了した後、撮像部16のシャッターが閉じられて第1の撮像が終了される(ステップS13b)。
同様に、検査液11の散布の停止(ステップS6)が行われた後、撮像部16のシャッターが開かれて第2の撮像が開始される(ステップS18a)。そして、撮像部16がシャッターを開いている間に、紫外線の第2の照射(ステップS17)が行われる。紫外線の第2の照射(ステップS17)が終了した後、撮像部16のシャッターが閉じられて第2の撮像が終了される(ステップS18b)。
このような方法にすることで、照射部15の紫外線の照射時間を必要最小限とすることができ、照射部15を安価な構成にすることができる。また、照射部15は、撮像部16の撮像に不要な紫外線を照射することがなく、エネルギ効率の良い紫外線の照射が可能となる。
以上に説明がなされたように、本実施形態に係る磁粉探傷方法は、磁粉を含有する検査液11を被検査物10に散布する工程と、被検査物10に光を照射する工程と、光が照射され、検査液11が流れる被検査物10の表面を撮像する工程と、撮像された原画像を処理して、表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を算出する工程と、を備え、検査液11は、トレーサを更に含有し、トレーサは、非磁性体であり、光が照射された際に、磁粉が発する光と少なくとも明るさまたは波長の異なる光を発する。
そして、本実施形態によれば、被検査物10の表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を容易に測定する磁粉探傷方法を提供することができる。
以下に実施例を示して、本開示を更に詳細、且つ具体的に説明する。しかしながら、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
<材料、及び測定方法>
[実施例1]
図1〜図3に示される本実施形態に係る磁粉探傷装置1、及び本実施形態に係る磁粉探傷用検査液11が用いられた。すなわち、磁粉探傷装置1は、検査液11を被検査物10に散布する散布部13と、被検査物10に光を照射する照射部15と、光が照射され、検査液11が流れる被検査物10の表面を撮像する撮像部16と、撮像部16によって撮像された原画像を処理して、表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を算出する算出部32と、を備え、検査液11は、磁粉及びトレーサを含有し、トレーサは、非磁性体であり、光が照射された際に、磁粉が発する光と少なくとも明るさまたは波長の異なる光を発するといった特徴を有していた。
非水溶性蛍光顔料(シンロイヒ株式会社製:シンロイヒカラーFZ−6056M)を主成分とする粉末材料を造粒して非磁性体のトレーサが作製された。トレーサは、粒子径が約50μm〜100μmで、蛍光係数が約70cd/Wとなるように作成された。作製されたトレーサ、及び磁粉(マークテック株式会社製:スーパーマグナ蛍光磁粉、LY−30)を水に含有させて検査液11が作製された。磁粉は、粒子径が約4.5μm〜6.4μmであり、蛍光係数が約5.8cd/Wであった。検査液11は、磁粉濃度が約0.5g/Lで、トレーサ濃度が約300個/mLとなるように作製された。被検査物10として、SS400から形成される帯状の鋼板が用意された。被検査物10は、両側端部が上方へ向かって折り曲げられ、幅が約210mmである底部を有する樋状に形成された。被検査物10の底部の表面には、深さが約0.12mmで長さが約30mmで幅が約50μmである傷部が形成された。傷部は被検査物10の幅方向に延びていた。
そして、図6に示される磁粉探傷方法によって被検査物10の底部の表面の探傷が行われた。この際、磁化部12によって被検査物10に印加される磁界の強さは約80エルステッドであった。散布部13の散布ノズル23から吐出される検査液11の流量は約2L/minであった。照射部15によって照射される紫外線の強度は、被検査物10の底部の表面の照射領域の中央で約4000μW/cm2であった。検査液11の磁粉及びトレーサが紫外線で励起されて発する光は、緑黄色であった。検査液11は、被検査物10の底部の表面を一方の端部から他方の端部に向かって膜状に流れるように散布された。被検査物10の底部の表面を流れる検査液11の膜厚は、約0.5mmであった。
また、図7に示されるように、磁化部12から被検査物10に磁界が印加される時間は4.5sであり、散布部13から検査液11が散布される時間は4sであり、紫外線の第1の照射及び紫外線の第2の照射における照射部15の紫外線照射時間は10msであり、第1の撮像及び第2の撮像における撮像部16のシャッタースピードは20msであった。ここで、図7は、磁化部12、散布部13、照射部15、及び撮像部16の動作を示すタイムチャートであり、1つの被検査物10の探傷におけるタイムチャートが示されている。
詳細には、撮像部16は、散布部13によって被検査物10に検査液11が散布され始めてから1s後にシャッターを開いて第1の撮像を開始する。照射部15は、撮像部16がシャッターを開いた時から5ms後に紫外線を照射して紫外線の第1の照射を開始する。そして、照射部15は、撮像部16のシャッターが閉まる5ms前に紫外線の第1の照射を終了する。
また、撮像部16は、散布部13による検査液11の散布が終了してから2s後にシャッターを開いて第2の撮像を開始する。照射部15は、撮像部16がシャッターを開いた時から5ms後に紫外線を照射して紫外線の第2の照射を開始する。そして、照射部15は、撮像部16のシャッターが閉まる5ms前に紫外線の第2の照射を終了する。なお、磁化部12による被検査物10の磁化は、散布部13による検査液11の散布が終了する2s前から開始する。
したがって、実施例1に係る方法は、磁粉を含有する検査液11を被検査物10に散布する工程と、被検査物10に紫外線を照射する工程と、紫外線が照射され、検査液11が流れる被検査物10の底部の表面を撮像する工程と、撮像された原画像を処理して、表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を算出する工程と、を備え、検査液11は、トレーサを更に含有し、トレーサは、紫外線が照射された際に、磁粉が発する光と明るさの異なる光を発する等といった本実施形態に係る特徴を有していた。
[実施例2]
実施例2では、上述の実施例1において、検査液11が含有するトレーサ及び撮像部11の構成の構成、第1の撮像(ステップS13)、及び第2の撮像(ステップS18)以外は、実施例1と同様であった。
実施例2のトレーサは、非水溶性蛍光顔料(シンロイヒ株式会社製:シンロイヒカラーFZ−5037)を主成分とする粉末材料を造粒して作製された。実施例2のトレーサは、非磁性体であり、粒子径が約50μm〜100μmで、蛍光係数が約15cd/Wとなるように作成された。作製されたトレーサ、及び蛍光係数が約5.8cd/Wである磁粉(マークテック株式会社製:スーパーマグナ蛍光磁粉、LY−30)を水に含有させて検査液11が作製された。実施例2の検査液11は、磁粉濃度が約0.5g/Lで、トレーサ濃度が約300個/mLとなるように作製された。実施例2の検査液11の磁粉が紫外線で励起されて発する光は緑黄色であった。実施例2の検査液11のトレーサが紫外線で励起されて発する光は赤色であった。
実施例2の撮像部16には、650nm以上の波長の光を透過することができるフィルタを着脱可能に設けた。実施例2の撮像部16は、このフィルタ越しに撮像した際には、磁粉が紫外線で励起されて発する光は撮像することができず、トレーサが紫外線で励起されて発する光は撮像できた。
実施例2では、図6に示される磁粉探傷方法において、第1の撮像(ステップS13)ではフィルタ越しに撮像し、第2の撮像(ステップS18)ではフィルタが取り外された状態で撮像した。そして、実施例2に係る磁粉探傷方法は、実施例1と同様に、本実施形態に係る特徴を有していた。
[比較例1]
比較例1では、上述の実施例1において、検査液11の構成以外は、実施例1と同様であった。比較例1では、検査液11にトレーサが含有されなかった。したがって、比較例1に係る磁粉探傷方法は、本実施形態に係る特徴を有していなかった。
[比較例2]
比較例2では、上述の実施例2において、検査液11の構成以外は、実施例2と同様であった。比較例2では、検査液11にトレーサが含有されなかった。したがって、比較例2に係る磁粉探傷方法は、本実施形態に係る特徴を有していなかった。
<評価方法>
(検査液11の流速及び流れ方向の測定)
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2について、検査液11の流速及び流れ方向を50回測定した。実施例1は、測定された流速が230mm/s〜500mm/sであり、その平均値が315.8mm/sであり、測定された流れ方向がいずれも被検査物10の幅方向と略垂直な方向であった。実施例2は、測定された流速が210mm/s〜430mm/sであり、その平均値が319.5mm/sであり、測定された流れ方向がいずれも被検査物10の幅方向と略垂直な方向であった。比較例1及び比較例2は、検査液11がトレーサを含有しないため、検査液11の流速及び流れ方向を測定できなかった。
(傷部の検出)
実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2について、被検査物10の傷部の検出を行った。実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2は、いずれも過検出が生じることなく、傷部を検出することができた。
上述された実施例から以下の点が導き出された。実施例1及び実施例2では、測定された被検査物10の表面を流れる検査液11の流速の平均値と流れ方向に大きな差異はなかった。なお、被検査物10の底部の幅は約210mmであり、散布される検査液11の流量は約2L/minであり、被検査物10の表面を流れる検査液11の膜厚は約0.5mmである。したがって、被検査物10の表面を流れる検査液11の流速は約320mm/sと推測される。そして、実施例1及び実施例2では、測定された被検査物10の表面を流れる検査液11の流速にばらつきはあるものの、このばらつきは妥当と考えられる範囲に収まっており、流速の平均値は、この推測値からかけ離れた値ではなかった。また、実施例1及び実施例2では、検査液11がトレーサを含有することによって傷部の検出確度が低下しないことが示された。
以上の実施例の結果から、本実施形態に係る磁粉探傷装置1、磁粉探傷方法、磁粉探傷用検査液11では、被検査物10の表面を膜状に流れる検査液の流速及び流れ方向を容易に測定でき、傷部の検出確度も低下しないことが示された。したがって、本実施形態では、被検査物10の表面を流れる検査液11の流速及び流れ方向を容易に測定できる磁粉探傷装置1、磁粉探傷方法、及び磁粉探傷用検査液11を提供することができることが示された。