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JP6807680B2 - 被検体分析方法 - Google Patents
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Description

本発明は、被検体分析方法に関するものである。
被検体を分析する方法として、該被検体に励起光を照射したときに発生するラマン散乱光のスペクトルに基づく方法が知られている。ラマン散乱スペクトルは被検体の分子振動を反映したものであることから、ラマン散乱スペクトルの形状に基づいて被検体を分析することができる。しかし、この分析方法では、通常、ラマン散乱の効率が非常に小さく、被検体が微量である場合には分析が困難である。このことから、従来、この分析方法が実用的に適用される被検体は、鉱物や高密度なプラスチックなどの物質に限定されてきた。
一方、表面増強ラマン散乱(Surface Enhanced Raman Scattering:SERS)分光は、ラマン散乱効率の大幅な向上により高感度の測定が可能であり、低濃度試料の分析が可能であるとして注目されている。SERS分光では、励起光が照射された金属微小構造において増強された電場(光子場)を発生させること(第1条件)、および、その増強された電場が到達する金属微小構造のごく近傍に定常的に被検体が存在すること(第2条件)、の2つの主条件が満たされることにより、被検体から高強度のラマン散乱光を発生させることができる。
第1条件を効率よく達成するために、近年では、ナノメートルオーダーのサイズの多様な形状の金属微小構造配列体が設計され、この金属微小構造配列体を表面に備える基板(SERS基板)を利用してSERS分光による被検体の分析を行うことが検討されている。
特許文献1に記載された発明は、銀の錯イオンを含む溶液に分散剤を加えた銀鏡反応により基板上に銀ナノ微粒子(金属微小構造)を析出させることでSERS基板を作製し、このSERS基板に被検体を滴下するなどしてSERS分光による被検体の分析を行う。
非特許文献1には、還元剤により金属イオンを還元して金属コロイド(金属微小構造)が分散した分散液を作製すると、この分散液から還元剤由来のSERS光が観測されることが記載されている。
SERS基板を利用する場合および金属コロイド分散液を利用する場合の何れにおいても、SERS分光による被検体の分析を行うには上記第2条件が満たされることが必要である。すなわち、増強された電場が得られる領域は、金属微小構造に依存して空間的に制限されており、多くの場合は金属微小構造の間隙に位置する。したがって、第2条件をも満たしてSERS光を効率よく発生させるためには、この制限された間隙に被検体が存在することが必要である。
特開2007−198933号公報
Kerker, M.; Siiman, O.; Bumm, L.A.; Wang, D. S. Appl. Opt. 1980, 19, 3253. Tominaga, M.;Shimazoe, T.; Nagashima, M.; Taniguchi, I. Journal of ElectroanalyticalChemistry 2008, 615, 51.
第2条件を満たすためには、被検体は、金属微小構造を構成する金属に対して親和性が高く吸着し易いことが必要である。このような被検体として、ピリジンおよびその誘導体、ならびに、チオール基を有する化合物が挙げられる。しかし、増強された電場を効率よく発生させることができるSERS基板により第1条件を満たすことができたとしても、金属微小構造を構成する金属に対して親和性が低く吸着し難い被検体は、金属微小構造の狭隘な間隙に入り込むことができず、第2条件を満たすことができないので、SERS分光による被検体の分析を行うことが困難である。
SERS基板や金属コロイドを利用して行うSERS分光による被検体の分析は、予めSERS基板や金属コロイドを用意しておく必要がある。SERS光は特に銀(Ag)を用いる場合に効率よく発生するものの、銀は酸化し易い。分光測定時にSERS基板上の銀の微小構造や銀コロイドの表面に酸化膜が形成されていると、効率的なSERS分光による被検体の分析ができない。また、分光測定時までにSERS基板や金属コロイドが汚染されないようにする必要があり、これらの扱いは容易でない。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、金属微小構造を構成する金属に対して親和性が低い被検体であっても高効率なSERS分光による被検体の分析を容易に行うことができる方法を提供することを目的とする。
本発明の被検体分析方法は、還元作用を有する被検体を分析する方法であって、(1) 被検体、金属イオンの溶液およびpH調整剤を混合して混合液を作製する混合ステップと、(2) 混合液中の被検体の還元作用により混合液中の金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させるとともに、被検体または被検体由来の物質を金属微小構造に付着させる金属微小構造生成ステップと、(3) 支持体上の金属微小構造に励起光を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する測定ステップと、(4) ラマン散乱光のスペクトルに基づいて被検体を分析する分析ステップと、を備える。
混合ステップにおいて、被検体および金属イオンの溶液を混合して中間混合液を作製し、この中間混合液およびpH調整剤を混合して混合液を作製するのが好適である。金属微小構造生成ステップにおいて、加湿環境下で支持体を所定時間に亘って静置して金属微小構造を支持体上に生成させるのが好適である。
本発明の被検体分析方法は、金属微小構造生成ステップと測定ステップとの間に設けられ、支持体上において金属微小構造が生成されている領域を洗浄する洗浄ステップを更に備えるのが好適である。また、測定ステップにおいて、支持体上において金属微小構造を液体に浸漬させた状態とし、その浸漬した金属微小構造に励起光を照射するのが好適である。
本発明によれば、金属微小構造を構成する金属に対して親和性が低い被検体であっても、高効率なSERS分光による被検体の分析を容易に行うことができる。
図1は、被検体分析方法のフローチャートである。 図2は、実施例1〜8それぞれで用いた試料を纏めた表である。 図3は、実施例1〜8それぞれの測定ステップS4においてSERS光スペクトルの測定の際に用いた顕微分光装置1の光学系を示す図である。 図4は、実施例1〜5それぞれの測定ステップS4において得られたSERS光スペクトルを示す図である。 図5は、実施例6〜8それぞれの測定ステップS4において得られたSERS光スペクトルを示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、被検体分析方法のフローチャートである。この被検体分析方法は、還元作用を有する被検体を分析する方法であって、混合ステップS1、金属微小構造生成ステップS2、洗浄ステップS3、測定ステップS4および分析ステップS5を順に行うことで被検体の分析を行う。
混合ステップS1では、被検体を含む被測定溶液、金属イオンの溶液およびpH調整剤を十分に混合して、混合液を作製する。これら被測定溶液、金属イオン溶液およびpH調整剤の混合の仕方または順序として様々な態様があり得る。被測定溶液、金属イオン溶液およびpH調整剤を同時に混合してもよい。また、被測定溶液および金属イオン溶液を混合して中間混合液を作製し、次に、この中間混合液およびpH調整剤を混合して最終的な混合液を作製してもよい。
被検体は、還元作用を有する化合物であれば任意であり、例えば糖類およびアルデヒド等である。被検体としての糖類には、グルコース、フルクトースおよびガラクトース等が含まれる。金属イオンは、被検体の還元作用により還元され得るものであれば任意であり、例えば金イオンや銀イオン等である。pH調整剤は、混合液をアルカリ性とするために混合される。最終的な混合液として混合される金属イオン溶液およびpH調整剤それぞれの量および濃度は、被測定溶液の量および被測定溶液中の被検体の濃度に応じて適切に調製される。
金属微小構造生成ステップS2では、被検体の還元作用により金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させるとともに、被検体または被検体由来の物質を金属微小構造に付着させる。支持体上の金属微小構造とは、金属微粒子が析出してその凝集体が支持体上に島状に分布している構造である。このとき、混合液の蒸発を防止するために加湿環境下で支持体を所定時間に亘って静置するのが好ましい。
支持体は、中間混合液または混合液を作製する際に用いた容器であってもよいが、容器とは別に用意された基板であってもよく、基板として例えばスライドガラスであってもよい。また、所定パターンで撥水処理したスライドガラスを用いて、このスライドガラス上の撥水処理していない領域において混合液を作製して金属微小構造を生成させてもよい。容器とは別に用意された基板を支持体として用いる場合には、中間混合液およびpH調整剤それぞれを適量だけ基板上に滴下して、マイクロピペット等を用いて基板上で中間混合液とpH調整剤とを十分に混合して最終的な混合液を作製し、基板上で金属微小構造を生成させる。
被検体としてグルコースを例にして説明すると、塩基性条件下においてグルコース(Glucose)が酸化されると、グルコン酸(Gluconic acid)、グルカン酸、グリコール酸、シュウ酸、ギ酸等が生成され、その反応に応じて複数個の水素イオンHおよび電子eが放出される(非特許文献2参照)。一方、混合液中に溶解して存在するn価の金属イオンMn+はn個の電子eの供給により還元され、固体状の金属Mが生成される。そして、この金属Mはコロイド状の金属微粒子となる。これが凝集して金属微小構造が支持体上に生成される。
洗浄ステップS3では、支持体上において金属微小構造が生成されている領域を水(好適には超純水)により洗浄する。この洗浄により、後の測定ステップS4での測定に不要な溶液を除去することができる。なお、この洗浄ステップS3は試料によっては行わなくてもよい。
測定ステップS4では、支持体上の金属微小構造に励起光を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する。励起光照射方向に対してラマン散乱光測定方向は任意であり、後方散乱光および前方散乱光の何れを測定してもよいし、他の方向への散乱光を測定してもよい。また、測定光学系の途中に、ラマン散乱光を選択的に透過させる光フィルタを設けるのが好ましい。励起光は好適にはレーザ光である。励起光が照射された金属微小構造において増強された電場が発生し(第1条件)、その増強された電場が到達する金属微小構造に被検体または被検体由来の物質が付着している(第2条件)ので、測定されるラマン散乱光は、被検体または被検体由来の物質から発生したSERS光である。
支持体上の狭い領域に金属微小構造が生成されている場合には、顕微分光装置を用いて励起光を照射するとともにSERS光スペクトルを測定するのが好ましい。支持体上の金属微小構造が生成されている領域が乾燥している状態で、励起光を照射してSERS光スペクトルを測定してもよい。金属微小構造に付着した被検体または被検体由来の物質が励起光照射により焼損することを抑制する為には、支持体上において金属微小構造を液体(例えば水)に浸漬させた状態とし、その浸漬した金属微小構造に励起光を照射するのが好ましい。この場合、液浸対物レンズを用いるのが好ましい。
分析ステップS5では、ラマン散乱光(SERS光)のスペクトルに基づいて被検体を分析する。具体的には、得られたSERS光スペクトルにおいてピークが現れるラマンシフト量の位置および該ピークの高さに基づいて、被検体を分析する。
次に実施例1〜8について説明する。図2は、実施例1〜8それぞれで用いた試料を纏めた表である。
実施例1では、金属イオン溶液として5mM硝酸銀水溶液を用い、pH調整剤として10mM水酸化カリウム水溶液を用い、被検体を含む被測定溶液として1mMグルコース水溶液を用いた。実施例2では、金属イオン溶液として10mM硝酸銀水溶液を用い、pH調整剤として10mM水酸化カリウム水溶液を用い、被検体を含む被測定溶液として1mMガラクトース水溶液を用いた。
実施例3では、金属イオン溶液として10mM硝酸銀水溶液を用い、pH調整剤として10mM水酸化カリウム水溶液を用い、被検体を含む被測定溶液として1mMフルクトース水溶液を用いた。実施例4では、金属イオン溶液として25mM硝酸銀水溶液を用い、pH調整剤として10mM水酸化カリウム水溶液を用い、被検体を含む被測定溶液として12mMホルムアルデヒド水溶液を用いた。
実施例5では、金属イオン溶液として50mM硝酸銀水溶液を用い、pH調整剤として10mM水酸化カリウム水溶液を用い、被検体を含む被測定溶液として68mMアセトアルデヒド水溶液を用いた。実施例6では、金属イオン溶液として25mM硝酸銀水溶液を用い、pH調整剤として25mM水酸化カリウム水溶液を用い、被検体を含む被測定溶液として5.65mMベンズアルデヒド水溶液を用いた。
実施例7では、金属イオン溶液として10mM硝酸銀水溶液を用い、pH調整剤として25mM水酸化カリウム水溶液を用い、被検体を含む被測定溶液として20mMプロピオンアルデヒド水溶液を用いた。実施例8では、金属イオン溶液として10mM硝酸銀水溶液を用い、pH調整剤として10mM水酸化カリウム水溶液を用い、被検体を含む被測定溶液として100mMブチルアルデヒド水溶液を用いた。
グルコース、ガラクトース、フルクトース、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよびブチルアルデヒドは、何れも、還元作用を有する被検体である。金属微小構造を支持する支持体としてスライドガラスを用いた。
実施例1〜8それぞれの手順は共通であり以下のとおりであった。混合ステップS1では、金属イオン溶液、pH調整剤および被測定溶液それぞれを所定濃度に調整した。支持体としてのスライドガラス上に金属イオン溶液10μLを滴下し、この滴下スポットに対して被測定溶液10μLを更に滴下して、これら金属イオン溶液と被測定溶液とを十分に混合して中間混合液を作製した。そして、この滴下スポットに対してpH調整剤5μLを更に滴下して、中間混合液とpH調整剤とを十分に混合して混合液を作製した。
金属微小構造生成ステップS2では、加湿環境下でスライドガラス上の液滴を1時間に亘って静置して、被検体の還元作用により金属イオンを還元して金属微小構造をスライドガラス上に生成させるとともに、被検体または被検体由来の物質を金属微小構造に付着させた。洗浄ステップS3では、スライドガラス上において金属微小構造が生成されている領域を超純水により洗浄して、後の測定ステップS4での測定に不要な溶液を除去した。
測定ステップS4では、スライドガラス上の金属微小構造に励起光(波長632.8nmのHe-Neレーザ光)を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光(SERS光)のスペクトルを測定した。このとき、顕微分光装置を用いるとともに、スライドガラス上において金属微小構造を超純粋に浸漬させた状態とし、水浸対物レンズを介して、その浸漬した金属微小構造に励起光を照射した。
図3は、実施例1〜8それぞれの測定ステップS4においてSERS光スペクトルの測定の際に用いた顕微分光装置1の光学系を示す図である。支持体(スライドガラス)21の表面に、金属微粒子が析出してその凝集体が島状に分布している金属微小構造22を形成した。この金属微小構造22に被検体(または被検体由来の物質)23を付着させた。これら金属微小構造22および被検体23を水24に浸漬させた。
励起光源11として、波長632.8nmのレーザ光を励起光Lとして出力するHe-Neレーザ光源を用いた。励起光源11から出力された励起光Lは、ダイクロイックミラー12により反射された後、水浸対物レンズ13を経て金属微小構造22および被検体23に照射された。水浸対物レンズ13の倍率は63倍であり、開口数は1.0であった。水浸対物レンズ13を経て試料面に照射されたレーザ光のパワーは69μWであった。
励起光Lの照射により発生して水浸対物レンズ13により捕集されたラマン散乱光(SERS光)Lは、ダイクロイックミラー12および光フィルタ14を透過して、分光器15に入射された。分光器15は冷却CCD検出器を備えたものであり、この分光器15によりSERS光のスペクトルが測定された。
図4は、実施例1〜5それぞれの測定ステップS4において得られたSERS光スペクトルを示す図である。図5は、実施例6〜8それぞれの測定ステップS4において得られたSERS光スペクトルを示す図である。これらの図において、横軸はラマンシフト量(単位cm-1)を表し、縦軸はラマン散乱強度(任意単位)を表す。また、これらの図において、SERS光スペクトルの縦軸のゼロ点は実施例毎に異なっている。
図4に示されたSERS光スペクトルは、グルコース、ガラクトース、フルクトース、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドそれぞれを被検体として用いた場合に得られたものである。これらの被検体では略同じ形状のSERS光スペクトルが得られた。ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドそれぞれが酸化すると、ギ酸が生成される。また、糖類(グルコース、ガラクトース、フルクトース等)が酸化剤(金属イオン)により分解された場合にも、ギ酸が生成される。したがって、図4に示されたSERS光スペクトルは、被検体由来の物質であるギ酸が金属微小構造に吸着したことにより得られたものであると考えられる。
図5に示されたSERS光スペクトルは、ベンズアルデヒド、プロピオンアルデヒドおよびブチルアルデヒドそれぞれを被検体として用いた場合に得られたものである。これらを被検体として用いた場合には、図4に示されたものとは異なる形状のSERS光スペクトルが得られた。SERS光スペクトルのうちラマンシフト量1000cm-1付近の形状は、元の被検体のスペクトルと同様である。しかし、SERS光スペクトルのうちC=O伸縮振動に帰属されるラマンシフト量1600cm-1付近の形状は、元の被検体のスペクトルとは大きく異なる。したがって、これら被検体は分解されずにホルミル基がカルボキシル基に酸化されたことを示すと考えられる。
以上のとおり、本実施形態の被検体分析方法は、合液中の被検体の還元作用により混合液中の金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させるとともに、被検体または被検体由来の物質を金属微小構造に付着させ、これに対する励起光照射により発生するラマン散乱光(SERS光)のスペクトルを測定して、このスペクトルに基づいて被検体を分析する。従来の分析方法と比べると、本実施形態の被検体分析方法は簡便かつ迅速に分析を行うことができる。
従来の分析方法においては、SERS分光が可能な被検体は、金属微小構造を構成する金属に対して親和性が高く吸着し易いものに限られている。これに対して、本実施形態の被検体分析方法では、金属微小構造を構成する金属に対して親和性が低く吸着し難い被検体であっても、その被検体または被検体由来の物質が金属微小構造の狭隘な間隙に入り込むことができ、第2条件を満たすことができるので、SERS分光による被検体の分析を行うことが可能となる。
従来の分析方法においては、SERS光スペクトル測定に際して事前にSERS基板や金属コロイドを用意しておくことが必要である。これに対して、本実施形態の被検体分析方法は、SERS光スペクトル測定の直前に、金属微小構造の生成および被検体(または被検体由来の物質)の金属微小構造への付着を同時に行うことができる。したがって、本実施形態の被検体分析方法は、酸化しやすい銀による金属微小構造を生成する場合であっても、銀の酸化の問題を抑制することができ、効率的なSERS分光を行うことができる。また、本実施形態の被検体分析方法は、SERS基板や金属コロイの事前用意が不要であるので、これらの汚染が問題となることはなく、被検体の分析を容易に行うことができる。
また、従来の金属コロイド分散液を利用する分析方法は、被検体が微量である場合にはSERS分光が困難である。これに対して、本実施形態の被検体分析方法は、被検体が微量であってもSERS分光が可能である。
1…顕微分光装置、11…励起光源、12…ダイクロイックミラー、13…水浸対物レンズ、14…光フィルタ、15…分光器、21…支持体、22…金属微小構造、23…被検体(または被検体由来の物質)、24…水。

Claims (5)

  1. 還元作用を有する被検体を分析する方法であって、
    前記被検体、金属イオンの溶液およびpH調整剤を混合して混合液を作製する混合ステップと、
    前記混合液中の前記被検体の還元作用により前記混合液中の前記金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させるとともに、前記被検体または前記被検体由来の物質を前記金属微小構造に付着させる金属微小構造生成ステップと、
    前記支持体上の前記金属微小構造に励起光を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する測定ステップと、
    前記ラマン散乱光のスペクトルに基づいて前記被検体を分析する分析ステップと、
    を備える被検体分析方法。
  2. 前記混合ステップにおいて、前記被検体および前記金属イオンの溶液を混合して中間混合液を作製し、この中間混合液および前記pH調整剤を混合して混合液を作製する、
    請求項1に記載の被検体分析方法。
  3. 前記金属微小構造生成ステップにおいて、加湿環境下で前記支持体を所定時間に亘って静置して前記金属微小構造を前記支持体上に生成させる、
    請求項1または2に記載の被検体分析方法。
  4. 前記金属微小構造生成ステップと前記測定ステップとの間に設けられ、前記支持体上において前記金属微小構造が生成されている領域を洗浄する洗浄ステップを更に備える、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の被検体分析方法。
  5. 前記測定ステップにおいて、前記支持体上において前記金属微小構造を液体に浸漬させた状態とし、その浸漬した前記金属微小構造に励起光を照射する、
    請求項1〜4の何れか1項に記載の被検体分析方法。
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