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JP6823263B2 - 絶縁被覆用フィルム - Google Patents
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本発明は、電線を絶縁するために使用される絶縁被覆用フィルムおよびそれを用いた極細電線に関する。
近年、デジタル情報通信の発展および需要拡大に伴い、多くの情報電子機器の信号伝送に電線が広く用いられている。
情報電子機器の内部配線に用いられる電線は、電線の中でも特に線が細いことから極細電線と呼ばれ、直径が小さく、多本数を並列配置など、まとめて使用されることが多い。一般的には、芯線の周囲を、絶縁のため樹脂で押出し被覆し、あるいは細幅の絶縁体をスパイラル状に巻き付けて被覆して、被覆電線とする構造や、特許文献1に示すように、さらにその上に編組や撚線などからなる外部導体を巻き付けた上に同じように樹脂で押出し被覆あるいは細幅の絶縁体をらせん状に巻き付けて被覆とし、極細同軸ケーブルとする構造などがある。上記の細幅の絶縁体としては、ポリエステルなどのプラスチックテープが用いられる。そして、このようなプラスチックテープを重ね巻きする際、巻いたテープがほどけないように接着層を設けて、テープの重ね部分を接着させているとともに、配線区分の目的で識別を容易にするため、または導体の色を遮蔽するため、青、赤、黄、緑、白などの色付けが施されるのが通常である。プラスチックテープに着色する場合は通常、フィルムに任意の色の顔料や染料を含んだ着色層をコーティングし、所望の色合いを得ている。
特開2006−32073号公報
上記の識別用の色として識別、あるいは意匠性の面から黒色が求められることがあるが、黒色のプラスチックテープを得るには下記のような困難があった。
まず、例えば複数の色を混色して黒を得ようと思うと、黒本来の色度に対して青みがかったり緑がかったりと、他の色との識別には不十分であったり、色が薄すぎて導体の色が透けてしまい、遮蔽の役割を果たさないという問題があった。
そのため、黒色には工業的には安価なカーボンブラックがよく用いられるが、本用途にカーボンブラックを用いると、内部の芯線、あるいは外部導体の絶縁が十分でなくなってしまう問題がある。
本発明は、上記の課題に対し、識別性および遮蔽性の高い黒色を有し、かつ絶縁性が高い絶縁被覆用のフィルムを提供せんとするものである。
上記の課題に鑑み、本発明は、極細電線に用いられる絶縁被覆用フィルムであって、総厚みが0.5〜15μmであり、少なくとも片方の面の色度Lが0〜40であり、透過率が0〜10%であり、該フィルムのいずれの面も表面比抵抗が2×1011Ω/□以上であることを特徴とする絶縁被覆用フィルムである。
本発明の絶縁被覆用フィルムによれば、識別性および遮蔽性の高い黒色を有し、かつ絶縁性が高い絶縁被覆用のフィルムが得られ、これを用いることで内部の導体が十分遮蔽され、透けて見えない意匠性の高い黒色を呈した極細電線を得ることができる。かつ、絶縁性が高いため信頼性が向上するとともに、絶縁体を薄くでき、より細径の極細電線を得ることができる。
本発明の絶縁被覆用フィルムの図である。 一般的な電線の一例として、シールドケーブルの断面図である。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明の絶縁被覆用フィルムの例を図1に示す。
本発明の絶縁被覆用フィルムは、層構成として特に限定されないが、下記(1)〜(5)に例示されるような構造を持つ。
(1)基材フィルム/着色層/接着層
(2)基材フィルム/(着色+接着層)
(3)基材フィルム/着色層
(4)基材フィルム/接着層
(5)基材フィルムのみ
(「/」はこの順に積層することを意味する。)。
本発明の絶縁被覆用フィルムの色度は、青みがかったり緑がかったりすることで他の色との混同を防ぐため、識別性の観点で、Lが0〜40である必要がある。aが0以上1.0以下、bが−10以上0以下であることが好ましい。より好ましくはLが31以下であり、さらに好ましくはLが28以下であることで、漆黒のような真の黒色を呈し、識別性や意匠性が著しく向上する。
本発明の絶縁被覆用フィルムの透過率は、導体の色を遮蔽し識別性を得るため、0〜10%の範囲である必要がある。10%超では導体の色が透けて見えてしまうおそれがあるという観点から、より好ましくは0〜8%の範囲である。
本発明の絶縁被覆用フィルムの表面比抵抗は、絶縁性の観点で、フィルムのいずれの面も2×1011Ω/□以上である必要がある。4×1011Ω/□以上であることが好ましい。また、上記(1)〜(4)のように複数の層で構成されたフィルムの場合は、いずれの層について測定しても1×1010Ω/□以上であることが好ましく、より好ましくは5×1010Ω/□以上であり、さらに好ましくは9×1010Ω/□以上である。
上述の、本発明の絶縁被覆用フィルムの色度や透過率を調整する方法は特に限定されず、一般に知られているように、着色層、あるいはその他の層(例えば、上記(2)の構成では着色+接着層、(4)あるいは(5)の構成では基材フィルム)に顔料を混練する方法などがあげられる。3原色や、シアン系、マゼンタ系、イエロー系の顔料を適量混練し調整することができるが、それだけでは外観上青みがかったり緑がかったりして識別性が不十分であることがある。顔料として、カーボンブラックを添加するのが工業的にも安価であるが、カーボンブラックが電気伝導性を持つため、カーボンブラックの添加量が多いと表面比抵抗が低下し、絶縁性が低下してしまう。
そこで着色層にカーボンブラックを用いる場合は、その含有量は、着色層固形分における割合が6〜40wt%の範囲とすることが好ましい。6wt%未満では、多色、特に青色との識別が不十分であり、40wt%を超えると絶縁性が劣ることがある。より好ましくは10〜30wt%の範囲である。
上述の色度、透過率、表面比抵抗を両立させるために、3原色や、シアン系、マゼンタ系、イエロー系の顔料を適量混練した上に、カーボンブラックを添加するのが好ましい。あるいは、カーボンブラックに表面処理を施し、絶縁性を上げたものを用いても良い。
本発明で用いられる基材フィルムとしては、特に限定されず、一般的に使用される高分子フィルムが使われる。高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリパラキシレンなどのフィルムが挙げられる。また、これらの共重合体や、他の有機重合体との混合体、積層体であっても良い。これらの高分子フィルムに、公知の添加剤、例えば、滑剤や可塑剤などが含まれても良い。より好ましくは、コスト、加工性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)及びこれらの共重合体から選ばれた1種であることが好ましく、特に好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)である。
また、基材フィルム自体を着色して黒色とし、上記(4)あるいは(5)の構成にすることもできる。
本発明の絶縁被覆用フィルムの総厚みは、0.5〜15μmの範囲である。0.5μm未満ではフィルムの耐電圧が低いことから絶縁性に劣り、15μmを超えて厚くすると剛性が必要以上に強くなり、使用に耐えうる極細電線が作製できない。より好ましくは基材フィルムの厚みは1.0〜10μmの範囲である。
本発明における着色層としては、特に限定されず、一般的に使用される着色材、バインダー、微粒子などからなるものである。着色材としては、一般に使用される顔料、染料より適宜選択して用いることができる。バインダーは、基材フィルムとの接着性のある熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、アセトンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、天然ゴム、石油計樹脂、ロジン系樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。微粒子としては、たとえばメラミン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子などの有機粒子、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミニウム粉、ケイソウ土などの無機粒子が挙げられる。これら粒子は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
本発明における着色層の形成方法は、特に限定されないが、着色層の材料を有機溶剤に溶解分散して、基材フィルム上に塗布乾燥して設けることができる。塗布方法としては、例えばグラビアコーター、リバースロールコーター、ワイヤバーコーター、エアドクタコートなどの方法を用いて形成することができる。なかでも好ましくはグラビアコーティングを用いて形成された着色層である。
本発明における着色層の厚みは、特に限定されないが、100〜3000nmの範囲であることが好ましい。100nm未満では薄すぎて色相が出ないおそれがあり、3000nmを超えて厚くするとマイクロスリット後にシールド導体の外周に螺旋状に巻き回す際、インク粉落ちが生じる場合がある。下地を遮蔽できる程度の色相を確保しつつインク粉落ちが発生しないという観点から、より好ましくは500〜2000nmの範囲である。
本発明における接着層は、熱硬化性接着剤が好ましく、種類としては特に限定されないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂が挙げられる。取り扱いや加工性の良さや良好な機械的特性を持つことから、不飽和ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
本発明における接着層の厚みは、特に限定されないが、100〜3000nmの範囲であることが好ましい。100nm未満では薄すぎて接着しないおそれがあり、3000nmを超えて厚くするとコーティングの加工性が悪くなるという観点から、より好ましくは500〜2000nmの範囲である。
また、本発明における絶縁被覆用フィルムは、極細電線に好適に用いられる。
本発明の絶縁被覆用フィルムを用いて作成された電線の一例として、シールドケーブルの断面図を図2に示す。
シールドケーブルの構成は、並行2心型となっている。中心導体(芯線)を絶縁体で絶縁した2本の芯線を対にして、シールド導体で覆い、このシールド導体と2本の芯線との間に、シールド導体の導電面と接触するようにドレインワイヤを縦添えし、相互に導通して電磁波遮蔽性を確保している。さらに、シールド導体が巻きほぐれないように、外被として熱接着機能を有する絶縁被覆フィルムを巻いて接着している。本発明の絶縁被覆用フィルムは、この外被として好適に用いられる。被覆方法は特に限定されるものではなく、スパイラル巻きであってもシガレット巻きであってもかまわない。
[物性の測定方法並びに効果の評価方法]
(1)総厚み
株式会社ミツトヨ製のデジマチック標準外側マイクロメータ(型番「MDC−25SX」)を用いて、フィルムを10枚重ねして測定し、総厚み(μm)を求めた。
(2)色度
コニカミノルタ株式会社製の分光測色計(型番「CM−2500d」)を用いて、測定視野は2°とし、L表色系で規定されるLを測定し、色度を求めた。
測定面は、基材フィルムが露出している面の反対面とした。
(3)透過率
伊原電子株式会社製のポータブル白黒透過濃度計(型番「Ihac−T5」)を用いて、透過濃度を測定し、透過率(%)を求めた。測定面は、基材フィルムが露出している面の反対面とした。
(4)表面比抵抗
JIS C2151:2006(附属書2)の方法に従い測定した。上記に規定の形状の電極を、フィルムの両面にアルミニウム蒸着することにより形成し、測定装置に日置電機株式会社製の超絶縁計 SM−8220を用い、フィルム表面に1分間に250Vの電圧をかけ、表面比抵抗を測定した。測定面は、基材フィルムが露出している面の反対面とした。
(5)電線の絶縁性試験
絶縁被覆用フィルムを、所定の幅に裁断し、シールド導体にスパイラル状に巻き付け被覆したのち、測定装置にZumbach社のスパークテスターを用い、1KVの直流電圧を、編組を(+)極、電線の最外周を(−)極=アースとして印加し、5m/minで連続的に全長検査し、絶縁破壊の発生個数をカウントした。10mで0〜1個絶縁破壊が発生するものを良好「○」とし、10mで2個以上絶縁破壊が発生するものを不良「×」とした。
(6)芯線の色の隠蔽性
絶縁被覆用フィルムを、所定の幅に裁断し、シールド導体にスパイラル状に巻き付けたとき、導体の色が遮蔽出来ているものを良好「○」、導体の色が遮蔽できていないものを不良「×」とした。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
厚み4.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)“ルミラー(登録商標)”タイプ名 CX40)を基材として、該フィルムの片面に、シアン系、マゼンタ系、イエロー系の顔料を混練した中に、乾燥後の着色層固形分におけるカーボンブラックの割合が8wt%となるように混練して黒色に調製したインクを用い、乾燥後の厚みが1000nmになるように着色層を形成し、さらにその上に、接着層として、東特塗料株式会社製のポリエステル系樹脂PK−21を硬化剤とともに乾燥後の厚みが1000nmになるように塗工した。
このとき、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面比抵抗は9×1011Ω/□であって、この上に着色層を形成した状態の表面比抵抗は2×1012Ω/□であった。同様に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に接着層を形成した状態の表面比抵抗は5×1011Ω/□であった。
このように作製した絶縁被覆用フィルムを、幅2.5mmに裁断して、シールド導体にスパイラル状に巻き付け、熱接着することで黒色のシールドケーブルを作製し、コート面の表面比抵抗、電線の絶縁性試験、導体の色の遮蔽性を評価した。
コート面の表面比抵抗は6×1011Ω/□であって、電線の絶縁性試験は0個と良好、導体の遮蔽性は○と良好であった。
(実施例2)
着色層のカーボンブラックの割合を35wt%とした以外は、実施例1と同様に実施した。コート面の表面比抵抗は4×1011Ω/□であって、電線の絶縁性試験は1個と良好、導体の遮蔽性は○と良好であった。
(比較例1)
着色層のカーボンブラックの割合を42wt%とした以外は、実施例1と同様に実施した。コート面の表面比抵抗は3×1010Ω/□であって、電線の絶縁性試験は5個と不良、導体の遮蔽性は○と良好であった。
(比較例2)
着色層にカーボンブラックを含有させなかった以外は、実施例1と同様に実施した。コート面の表面比抵抗は7×1011Ω/□であって、電線の絶縁性試験は0個と良好、導体の遮蔽性は×と不良であった。
(比較例3)
着色層にカーボンブラックを含有させず、かつ、シアン系、マゼンタ系の顔料のみの混練で着色層を形成した以外は、実施例1と同様に実施した。コート面の表面比抵抗は8×1011Ω/□であって、電線の絶縁性試験は0個と良好、導体の遮蔽性は×と不良であった。
(比較例4)
厚み20.0μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とした以外は、実施例1と同様に実施した。コート面の表面比抵抗は7×1011Ω/□であったが、厚すぎてスパイラル状にうまく巻けず、シールドケーブルを作製することが出来なかった。
Figure 0006823263
1. 絶縁被覆用フィルム
1a.基材フィルム
1b.着色層
1c.接着層
2. 一般的なシールドケーブル
3. 中心導体(芯線)
4. 絶縁体
5. ドレインワイヤ
6. シールド導体
6a.金属層
6b.基材フィルム
7. 外被(絶縁被覆用フィルム)
7a.基材フィルム
7b.着色層
7c.接着層

Claims (4)

  1. 極細電線に用いられる絶縁被覆用フィルムであって、総厚みが0.5〜15μmであり、少なくとも片方の面の色度Lが0〜40であり、透過率が0〜10%であり、該フィルムのいずれの面も表面比抵抗が2×1011Ω/□以上であることを特徴とする絶縁被覆用フィルム。
  2. 少なくとも片方の面に熱接着性を有する接着層を有する請求項1に記載の絶縁被覆用フィルム。
  3. 層構成が、基材フィルム/着色層/接着層、または、基材フィルム/(着色および接着層)、または、基材フィルム/着色層、または、基材フィルム/接着層、または、基材フィルムのみ、のいずれかである請求項1に記載の絶縁被覆用フィルム。
  4. 着色層がカーボンブラックを含有しており、カーボンブラックの含有量が6〜40wt%である請求項3に記載の絶縁被覆用フィルム。
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