JP6830603B2 - アスコクロリン及びイリシコリンaの製造方法 - Google Patents
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Description
[1]下記(1)〜(5)のいずれかの塩基配列であって、イリシコリンAのエポキシ化反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascF。
(1)配列表の配列番号5に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号5に記載の塩基配列からなる遺伝子と60%以上の同一性を有する塩基配列
(3)イリシコリンAのエポキシ化反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列
(4)配列番号12又は33に記載のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号12又は33に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列
[2]下記(1)〜(5)のいずれかの塩基配列であって、イリシコリンAエポキシドの環化反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascG。
(1)配列表の配列番号6に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号6に記載の塩基配列からなる遺伝子と60%以上の同一性を有する塩基配列
(3)イリシコリンAエポキシドの環化反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列
(4)配列番号13又は34に記載のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号13又は34に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列
[3]下記(1)〜(5)のいずれかの塩基配列であって、イリシコリンAからAscFタンパク質及びAscGタンパク質の反応によって生成した化合物の脱水素化によりアスコクロリンを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascH。
(1)配列表の配列番号7に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号7に記載の塩基配列からなる遺伝子と60%以上の同一性を有する塩基配列
(3)イリシコリンAからAscFタンパク質及びAscGタンパク質の反応によって生成した化合物の脱水素化によりアスコクロリンを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列
(4)配列番号14又は35に記載のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号14又は35に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列
[4]下記(1)〜(5)のいずれかの塩基配列であって、LL−Z1272βからイリシコリンAを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascE。
(1)配列表の配列番号4に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号4に記載の塩基配列からなる遺伝子と60%以上の同一性を有する塩基配列
(3)LL−Z1272βからイリシコリンAを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列
(4)配列番号11、32又は40に記載のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号11、32又は40に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列
[5]下記(1)〜(5)のいずれかの塩基配列であって、アセチルCoAからo−オルセリン酸を生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascD。
(1)配列表の配列番号3に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号3に記載の塩基配列からなる遺伝子と60%以上の同一性を有する塩基配列
(3)アセチルCoAからo−オルセリン酸を生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列
(4)配列番号10、31又は39に記載のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号10、31又は39に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列
[6]下記(1)〜(5)のいずれかの塩基配列であって、o−オルセリン酸からイリシコリン酸Bを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascB。
(1)配列表の配列番号1に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子と60%以上の同一性を有する塩基配列
(3)o−オルセリン酸からイリシコリン酸Bを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列
(4)配列番号8、29又は37に記載のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号8、29又は37に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列
[7]下記(1)〜(5)のいずれかの塩基配列であって、イリシコリン酸BからLL−Z1272βを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascC。
(1)配列表の配列番号2に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号2に記載の塩基配列からなる遺伝子と60%以上の同一性を有する塩基配列
(3)イリシコリン酸BからLL−Z1272βを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列
(4)配列番号9、30又は38に記載のアミノ酸配列と60%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号9、30又は38に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列
[8]上記[1]〜[7]に記載の遺伝子ascF、ascG、ascH、ascE、ascD、ascB及びascCのいずれか1つの遺伝子又はこれらの組み合わせの遺伝子が挿入されており、かつ、該挿入された遺伝子を発現する、形質転換体(ただし、ヒトを除く)。
[9]上記[8]に記載の形質転換体を用いて、イリシコリンAを得る工程を含む、イリシコリンAの製造方法。
[10]上記[8]に記載の形質転換体を用いて、アスコクロリンを得る工程を含む、アスコクロリンの製造方法。
本明細書における「イソプレノイド」は、通常知られているとおりのイソプレンを構成単位とする化合物であれば特に限定されず、例えば、イリシコリン酸B、イリシコリン酸A、LL−Z1272β、イリシコリンA(LL−Z1272α)、イリシコリンAエポキシド、イリシコリンC、アスコクロリン、アスコフラノン及びこれらの誘導体などが挙げられる。ただし、本明細書では、主として、アスコフラノン、イリシコリンA及びアスコクロリン並びにこれらの誘導体のことを「イソプレノイド」とよぶ場合がある。
本発明の一態様の遺伝子ascBは、o−オルセリン酸からイリシコリン酸Bを生成する反応を触媒する活性を有する酵素(以下、「酵素(1)」ともよぶ。)のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む。
遺伝子ascB、ascC、ascD、ascE、ascF、ascG及びascH(以下、これらを総称して「酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子」とよぶ場合がある。)は、上記した酵素活性を有する酵素(1)乃至(7)が有するアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むものであれば特に限定されない。酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子が形質転換体内で発現することにより酵素(1)乃至(7)が生産される。本明細書における「遺伝子の発現」とは、転写や翻訳などを介して、遺伝子によってコードされる酵素が本来の触媒活性を有する態様で生産されることを意味する。また、「遺伝子の発現」には、遺伝子の高発現、すなわち、遺伝子が挿入されたことにより、宿主生物が本来発現する量を超えて、該遺伝子によってコードされる酵素が生産されることを包含する。
塩基配列やアミノ酸配列の配列同一性を求める方法は特に限定されないが、例えば、通常知られている方法を利用して、野生型遺伝子や野生型遺伝子によってコードされる酵素のアミノ酸配列と対象となる塩基配列やアミノ酸配列とをアラインメントし、両者の配列の一致率を算出するためのプログラムを用いることにより求められる。
酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子は、例えば、イリシコリンA、アスコクロリンなどのイソプレノイドの生産能がある生物種や酵素(1)乃至(7)の発現が見られる生物種などに由来する。酵素(1)乃至(7)の酵素をコードする遺伝子の由来生物としては、例えば、微生物などが挙げられる。微生物の中でも糸状菌はアスコクロリン生産能があることが知られている菌種が多いことから好ましい。アスコクロリン生産能を有する糸状菌の具体例としては、アクレモニウム属糸状菌、トリコデルマ属糸状菌、フザリウム属(Fusarium)糸状菌、シリンドロカルポン属(Cylindrocarpon)糸状菌、バーティシリウム属(Verticillium)糸状菌、ネクトリア属(Nectria)糸状菌などが挙げられ、より具体的にはアクレモニウム・スクレロティゲナム(Acremonium sclerotigenum)などが挙げられる。
酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子は、適当な公知の各種ベクター中に挿入することができる。さらに、このベクターを適当な公知の宿主生物に導入して、酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子を含む組換えベクター(組換え体DNA)が導入された形質転換体を作製できる。酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子の取得方法や、酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子の塩基配列、酵素(1)乃至(7)のアミノ酸配列情報の取得方法、各種ベクターの製造方法や形質転換体の作製方法などは、当業者にとって適宜選択することができる。また、本明細書では、形質転換や形質転換体にはそれぞれ形質導入や形質導入体を包含する。酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子のクローニングの一例を非限定的に後述する。
酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子を含む組換えベクター(組換え体DNA)は、酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子のいずれかを含むPCR増幅産物と各種ベクターとを、酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子の発現が可能な形で結合することにより構築することができる。例えば、適当な制限酵素で酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子のいずれかを含むDNA断片を切り出し、該DNA断片を適当な制限酵素で切断したプラスミドと連結することにより構築することができる。または、プラスミドと相同的な配列を両末端に付加した該遺伝子を含むDNA断片と、インバースPCRにより増幅したプラスミド由来のDNA断片とを、In−Fusion HD Cloning Kit(クロンテック社製)などの市販の組換えベクター作製キットを用いて連結させることにより得ることができる。
形質転換体の作製方法は特に限定されず、例えば、常法に従って、酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子が発現する態様で宿主生物に挿入する方法などが挙げられる。具体的には、酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子のいずれかを発現誘導プロモーター及びターミネーターの間に挿入したDNAコンストラクトを作製し、次いで酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子を含むDNAコンストラクトで宿主生物を形質転換することにより、酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子を過剰発現する形質転換体が得られる。本明細書では、宿主生物を形質転換するために作製された、発現誘導プロモーター−酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子−ターミネーターからなるDNA断片及び該DNA断片を含む組換えベクターをDNAコンストラクトと総称してよぶ。
宿主生物としては、酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子を含むDNAコンストラクトによる形質転換により、酵素(1)乃至(7)を生産することができる生物であれば特に限定されず、例えば、微生物や植物などが挙げられ、微生物としては、アスペルギルス属微生物、アクレモニウム属微生物、ネオネクトリア属微生物、フザリウム属微生物、エシェリキア(Escherichia)属微生物、サッカロマイセス(Saccharomyces)属微生物、ピキア(Pichia)属微生物、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属微生物、ジゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属微生物、トリコデルマ(Trichoderuma)属微生物、ペニシリウム(Penicillium)属微生物、クモノスカビ(Rhizopus)属微生物、アカパンカビ(Neurospora)属微生物、ムコール(Mucor)属微生物、ネオサルトリア(Neosartorya)属微生物、ビッソクラミス(Byssochlamys)属微生物、タラロミセス(Talaromyces)属微生物、アジェロミセス(Ajellomyces)属微生物、パラコッシディオイデス(Paracoccidioides)属微生物、アンシノカルプス(Uncinocarpus)属微生物、コッシディオイデス(Coccidioides)属微生物、アルフロデルマ(Arthroderma)属微生物、トリコフィトン(Trichophyton)属微生物、エクソフィラ(Exophiala)属微生物、カプロニア(Capronia)属微生物、クラドフィアロフォラ(Cladophialophora)属微生物、マクロホミナ(Macrophomina)属微生物、レプトスファエリア(Leptosphaeria)属微生物、ビポラリス(Bipolaris)属微生物、ドチストローマ(Dothistroma)属微生物、ピレノフォラ(Pyrenophora)属微生物、ネオフシコッカム(Neofusicoccum)属微生物、セトスファエリア(Setosphaeria)属微生物、バウドイニア(Baudoinia)属微生物、ガエウマノミセス(Gaeumannomyces)属微生物、マルッソニナ(Marssonina)属微生物、スファエルリナ(Sphaerulina)属微生物、スクレロチニア(Sclerotinia)属微生物、マグナポルセ(Magnaporthe)属微生物、ヴェルチシリウム(Verticillium)属微生物、シュードセルコスポラ(Pseudocercospora)属微生物、コレトトリカム(Colletotrichum)属微生物、オフィオストーマ(Ophiostoma)属微生物、メタルヒジウム(Metarhizium)属微生物、スポロスリックス(Sporothrix)属微生物、ソルダリア(Sordaria)属微生物、アラビドプシス(Arabidopsis)属植物などが挙げられ、微生物及び植物が好ましい。イリシコリンA、アスコクロリン、アスコフラノンなどのイソプレノイドの生産能が認められる糸状菌や酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子をゲノムDNA上に有する糸状菌であってもよい。ただし、どのような場合であっても、宿主生物からヒトは除かれる。
アクレモニウム・スクレロティゲナム由来の酵素(1)乃至(7)をコードする遺伝子としては、例えば、配列番号1〜7に記載の塩基配列をそれぞれ有する遺伝子ascB、ascC、ascD、ascE、ascF、ascG及びascHが挙げられる。なお、AscB、AscC、AscD、AscE、AscF、AscG及びAscHタンパク質のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号8〜14として示す。
形質転換体の一態様は、糸状菌や植物などを宿主生物として、遺伝子ascD、ascB、ascC、ascE、ascF、ascG及びascHのいずれか一つ、又はこれらの組み合わせが挿入されており、かつ、該挿入された遺伝子を発現するように形質転換した形質転換体(以下、「形質転換体(1)」ともよぶ。)である。宿主生物が、アクレモニウム・スクレロティゲナムなどのアスコクロリンやアスコフラノンの産生能が認められる生物である場合は、挿入された遺伝子は恒常的に強制発現若しくは内在性の発現よりも高発現にすること、又は細胞増殖後の培養後期で条件発現させることが望ましい。このような形質転換体は、発現したAscD、AscB、AscC、AscE、AscF、AscG及び/又はAscHの作用によって宿主生物では生産しない、又は生産したとしても微量であるイリシコリンA又はアスコクロリンを検出可能以上に生産することができる。
本発明の一態様の製造方法は、形質転換体(1)又は形質転換体(2)を宿主細胞に適した条件で培養することにより、イリシコリンA又はアスコクロリンを得る工程を少なくとも含む、イリシコリンA又はアスコクロリンの製造方法である。
本発明の一態様の遺伝子、形質転換体、ノックアウト生物及び製造方法を利用して得られたアスコクロリン、イリシコリンAなどのイソプレノイドは、抗原虫活性、抗腫瘍活性、血糖低下作用、血中脂質低下作用、糖化阻害作用、抗酸化作用など種々の生理活性を有することが期待できる機能性生体物質であるとともに、その特徴を活かして、医薬品、医薬部外品などやこれらの製品を製造するための原料として利用可能である。
アスコフラノン産生菌であるアクレモニウム・スクレロティゲナム(Acremonium sclerotigenum F−1392株;J.Antibiot.70:304−307(2016)参照)を用いて、アスコフラノンの産生量が400倍以上異なる2つの培養サンプルを取得した。
麹菌アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae NRRC4239株)のpyrG破壊株/ku70破壊株に、麹菌発現用にコドンを改変した配列番号15〜18の遺伝子ascB、ascC、ascD及びascEのいずれかを含む発現カセットを導入した。
(w/v)ポリペプトン、0.5%(w/v)酵母エキス、0.5%(w/v)リン酸2水素1カリウム、0.05%(w/v)硫酸マグネシウム・7水和物)にAs−D株、As−DB株、As−DBC株及びAs−DBCE株を植菌し、30℃で4日間培養した。培養後の菌体を濾紙上に回収した後、吸引濾過により水分を取り除いた。
As−DBCE株と同様にして、麹菌発現用にコドンを改変した配列番号22〜24の遺伝子ascF、ascG及びascHのいずれかを含む発現カセットを順次導入することで、AscF発現カセットを導入したAs−DBCEF株;AscF及びAscGの発現カセットを導入したAs−DBCEFG株;及び、AscF、AscG及びAscHの発現カセットを導入したAs−DBCEFGH株を作製した。これらの株を上記と同様にして培養し、HPLC解析を行った。
アスペルギルス・ソーヤ NRRC4239株のpyrG破壊株に対し、麹菌発現用にコドンを改変した配列番号22〜24の遺伝子ascF、ascG及びascHの発現カセットのいずれかを多コピーで導入したAs−F株、As−G株及びAs−H株を作製した。これらの株の作製にあたっては、Ptef−asc遺伝子−Talp−pyrG3をpUC19に挿入したプラスミドDNAを形質転換用DNAとして用いた。
(1)野生株反応液:野生株の粗酵素液、イリシコリンAの標準品、1mM NADPH、1mM NADH、1mM ATP及び3mM MgCl2の混合液
(2)As−F反応液:As−F株の粗酵素液、イリシコリンAの標準品、1mM NADPH、1mM NADH、1mM ATP及び3mM MgCl2の混合液
(3)As−FG反応液:As−F株の粗酵素液、As−G株の粗酵素液、イリシコリンAの標準品、1mM NADPH、1mM NADH、1mM ATP及び3mM MgCl2の混合液
(4)As−FGH反応液:As−F株の粗酵素液、As−G株の粗酵素液、As−H株の粗酵素液、イリシコリンAの標準品、1mM NADPH、1mM NADH、1mM ATP及び3mM MgCl2の混合液
上記のin vitro解析により、As−F反応液ではm/z値423のピークが確認されたため、アスペルギルス・ソーヤ NRRC4239株で発現させたAscFの粗酵素液による反応生成物はジヒドロキシ化されたイリシコリンA(図6参照)であることが予測された。しかしながらホソノらの文献(J Antibiot (Tokyo). 2009 Oct;62(10):571−4.)によると、アクレモニウム属微生物において、イリシコリンAエポキシド(m/z値405)が蓄積していることが明らかとなっており、よって本来のAscF反応生成物はイリシコリンAエポキシドであると考えられた。つまり、アスペルギルス・ソーヤ NRRC4239株では、内在性のエポキシドヒドロラーゼによってイリシコリンAエポキシドが開環し、ジヒドロキシル化されたイリシコリンAが生成している可能性が考えられた。そこで、As−DBCEF株において、アスペルギルス・ソーヤ由来のエポキシドヒドロラーゼをコードすると予測される遺伝子のうち、最も発現量の高いエポキシドヒドロラーゼ遺伝子(配列番号36)を欠損させたAs−DBCEF−ΔEH株を作製した。As−DBCEF−ΔEH株を上記と同様に培養し、HPLC解析を行ったところ、As−DBCEF株では見られなかった新たなピークが確認された。また、MS解析により、該ピークはエポキシド化合物に相当するm/z値を有していることがわかった。よって、AscFはイリシコリンAのエポキシ化反応を触媒することがわかった。
アクレモニウム・スクレロティゲナム由来の配列番号8〜11のAscB〜Eのアミノ酸配列を基に、Blast検索した結果、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)においても配列番号37〜40のAscB〜Eホモログ(配列同一性はそれぞれ47%、53%、52%、66%)を有しており、さらにこれらをコードするascB〜E遺伝子はゲノム上で隣接していることがわかった。このことから、配列番号37〜40もまたイリシコリンAの生合成酵素であることが予測された。そこで、NITEより購入したトリコデルマ・リーゼイNBRC31329株のゲノムDNAを鋳型とし、配列番号41及び42のプライマーを用いてPCR反応を行うことで、配列番号43のascC遺伝子(Tr−ascC)をクローニングした。なお、配列番号43のTr−ascC遺伝子はイントロンを含んでいる塩基配列であるが、イントロン予測の結果、配列番号38のAscCタンパク質をコードしていると考えられた。
[配列番号1]ascB
[配列番号2]ascC
[配列番号3]ascD
[配列番号4]ascE
[配列番号5]ascF
[配列番号6]ascG
[配列番号7]ascH
[配列番号8]AscBタンパク質
[配列番号9]AscCタンパク質
[配列番号10]AscDタンパク質
[配列番号11]AscEタンパク質
[配列番号12]AscFタンパク質
[配列番号13]AscGタンパク質
[配列番号14]AscHタンパク質
[配列番号15]コドン改変ascB
[配列番号16]コドン改変ascC
[配列番号17]コドン改変ascD
[配列番号18]コドン改変ascE
[配列番号19]Ptef
[配列番号20]Talp
[配列番号21]pyrG
[配列番号22]コドン改変ascF
[配列番号23]コドン改変ascG
[配列番号24]コドン改変ascH
[配列番号25]Ptef−Fw
[配列番号26]Ptef−Rv
[配列番号27]ascD−Fw
[配列番号28]ascD−Rv
[配列番号29]AscBタンパク質
[配列番号30]AscCタンパク質
[配列番号31]AscDタンパク質
[配列番号32]AscEタンパク質
[配列番号33]AscFタンパク質
[配列番号34]AscGタンパク質
[配列番号35]AscHタンパク質
[配列番号36]A.sojae由来エポキシドヒドロラーゼ遺伝子
[配列番号37]AscBタンパク質
[配列番号38]AscCタンパク質
[配列番号39]AscDタンパク質
[配列番号40]AscEタンパク質
[配列番号41]Tr−ascC−Fw
[配列番号42]Tr−ascC−Rv
[配列番号43]Tr−ascC
[配列番号44]pyrG3
Claims (10)
- 下記(1)、(2)、(4)及び(5)のいずれかの塩基配列であって、イリシコリンAのエポキシ化反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascF。
(1)配列表の配列番号5に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号5に記載の塩基配列からなる遺伝子と90%以上の同一性を有する塩基配列
(4)配列番号12に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号12に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列 - 下記(1)、(2)、(4)及び(5)のいずれかの塩基配列であって、イリシコリンAエポキシドの環化反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascG。
(1)配列表の配列番号6に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号6に記載の塩基配列からなる遺伝子と90%以上の同一性を有する塩基配列
(4)配列番号13に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号13に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列 - 下記(1)、(2)、(4)及び(5)のいずれかの塩基配列であって、イリシコリンAからAscFタンパク質及びAscGタンパク質の反応によって生成した化合物の脱水素化によりアスコクロリンを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascH。
(1)配列表の配列番号7に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号7に記載の塩基配列からなる遺伝子と90%以上の同一性を有する塩基配列
(4)配列番号14に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号14に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列 - 下記(1)、(2)、(4)及び(5)のいずれかの塩基配列であって、LL−Z1272βからイリシコリンAを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascE。
(1)配列表の配列番号4に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号4に記載の塩基配列からなる遺伝子と90%以上の同一性を有する塩基配列
(4)配列番号11に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号11に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列 - 下記(1)、(2)、(4)及び(5)のいずれかの塩基配列であって、アセチルCoAからo−オルセリン酸を生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascD。
(1)配列表の配列番号3に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号3に記載の塩基配列からなる遺伝子と90%以上の同一性を有する塩基配列
(4)配列番号10に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号10に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列 - 下記(1)、(2)、(4)及び(5)のいずれかの塩基配列であって、o−オルセリン酸からイリシコリン酸Bを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascB。
(1)配列表の配列番号1に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子と90%以上の同一性を有する塩基配列
(4)配列番号8に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号8に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列 - 下記(1)、(2)、(4)及び(5)のいずれかの塩基配列であって、イリシコリン酸BからLL−Z1272βを生成する反応を触媒する活性を有する酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む、遺伝子ascC。
(1)配列表の配列番号2に記載の塩基配列又は該塩基配列に相補的な塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列
(2)配列番号2に記載の塩基配列からなる遺伝子と90%以上の同一性を有する塩基配列
(4)配列番号9に記載のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列
(5)配列番号9に記載のアミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換及び/
又は付加されたアミノ酸配列をコードする塩基配列 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の遺伝子ascF、ascG、ascH、ascE、ascD、ascB及びascCのいずれか1つの遺伝子又はこれらの組み合わせの遺伝子が挿入されており、かつ、該挿入された遺伝子を発現する、形質転換体(ただし、ヒトを除く)。
- 請求項8に記載の形質転換体を用いて、イリシコリンAを得る工程を含む、イリシコリンAの製造方法。
- 請求項8に記載の形質転換体を用いて、アスコクロリンを得る工程を含む、アスコクロリンの製造方法。
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