以下、本発明に基づき構成される人事管理システムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1には、本発明に基づき構成される人事管理システムの一例を模式的に示している。本実施形態の人事管理システム1は、部署(部署A〜部署C)毎に割り当てられている端末手段Y1〜Y3と、該端末手段Y1〜Y3が接続される管理サーバ10と、評価部署端末20と、該端末手段Y1〜Y3、評価部署端末20と、該管理サーバ10とを接続する接続手段としての通信ネットワーク2とを含み、さらに、該部署A〜Cと並列に新入社員の入社後の配属先として設定される「社内大学」と、該社内大学に所属する新入社員が使用し通信ネットワーク2に接続された端末手段Y4を含んでいる。なお、図では説明の便宜上、部署を3つのみ示しているが、当然これに限定されるわけではなく、当該企業がこれより多数の部署により組織された場合も含む。また、図1では、一点鎖線を境に、左側に企業内を、右側に当該企業とは会計を異にする外部組織を示す。
管理サーバ10は、コンピュータから構成され、高速な中央演算処理装置(CPU)、大規模な記憶手段(RAM、ROM等の主記憶装置、磁気ディスク等の補助記憶装置等)を備えたものであることが好ましいが、これに限定されるものではない。該管理サーバ10には、コントロール手段、口座記憶手段、新入社員名簿記憶手段等が備えられており、詳細については、後述する。
本実施形態では、説明の便宜上、端末手段Y1〜Y4を部署、社内大学単位で配置した例を示すが、必ずしも部署、社内大学毎に1台である必要はなく、各個人に1台ずつ割り当てるようにしてもよい。該端末手段Y1〜Y4は、パーソナルコンピュータを使用することができるが、これに限らず携帯型のタブレット型端末を使用する等、後述する業務情報を入力し、管理サーバ10に情報を送信できる機能を備えるものであれば、どのような端末を使用することもできる。
通信ネットワーク2は、一般的に知られたインターネット回線を利用することができる。インターネット回線を利用することを想定して通信ネットワーク2を構成することで、端末手段Y1〜Y3が当該企業の外部にある状態でも管理サーバ10にアクセスして必要な情報の入力が可能になる。なお、本発明はこれに限定されず、企業内のみに限定したLAN(Local Area Netwaork)回線のみで当該通信ネットワーク2を構成すること、或いはインターネット回線と企業内のLANを組み合わせて構成することも可能であり、有線、無線を含め端末手段Y1〜Y4と管理サーバ10とを接続することが可能なあらゆるネットワーク手段を採用することができる。
図に示すように、各部署A〜Cには、各部署A〜Cに所属する従業員(a1〜a12、b1〜b8、c1〜c10)が紐付けされており、被評価対象となる各部署A〜Cと従業員がグループ化されている。本発明における「部署」は、複数の従業員が所属する集合体を指すものであればよく、形式や名称により限定されず、部門、部、課、係、グループ等、いかなる集合体をも含む。また、該社内大学には、新入社員(n1〜n10)が所属しており、新入社員も当該企業の従業員であるが、本明細書においては、説明の都合上、通常の部署に所属する者を「従業員」と呼び、入社後に該社内大学に所属させられている従業員を「新入社員」と呼び、区別している。
管理サーバ10は、金銭の授受が発生することが想定される外部組織G(サプライヤー、官公庁、輸送会社、ユーザー、ライセンサー、ライセンシー等)と通信ネットワーク2を介して接続されており、外部組織Gと当該企業との業務、及び該業務に対する支払い金額の情報が管理サーバ10で管理されるように構成されている。
本実施形態における人事管理システム1の管理サーバ10について、図2を用いてさらに詳細に説明する。管理サーバ10には、少なくとも、コントロール手段12、口座記憶手段14、新入社員名簿記憶手段15が備えられている。該コントロール手段12は、ポイント設定部12a、ポイント交換部12b、外部支出入管理部12c、人事評価部12d、及び社内大学管理部12eにより構成される。
外部支出入管理部12cは、外部支出管理部121と、外部収入管理部122とから構成され、人事評価部12dは、部署評価部123と、個人評価部124とから構成されている。該コントロール手段12を構成するポイント設定部12a、ポイント交換部12b、外部支出入管理部12c、人事評価部12d、社内大学管理部12eは、コンピュータプログラムから構成され、管理サーバ10のメモリに登録され、端末手段Y1〜Y4から入力された情報に基づき、割り当てられた処理を適宜実行する。また、該口座記憶手段14、新入社員名簿記憶手段15は、磁気ディスク等の補助記憶装置により構成され、該口座記憶手段14に設定される部署口座、個人口座、及び新入社員に割り当てられる新入社員口座のポイントは、ポイント交換部12bにより管理される。
人事評価部12dは、口座記憶手段14に記憶された従業員の口座のポイントの残高情報を参照しながら部署評価、個人評価を実行するものであり、人事評価部12dによって実行され得られた人事評価の情報は、管理サーバ10にアクセスする端末手段の内、人事評価を担う担当者がアクセスしていることが識別された評価部署端末20から閲覧することができるように設定される。
本発明の人事管理システム1は、概ね以上のように構成されており、該人事管理システム1で流通するポイントが、どのようにして各口座に振り込まれるのかについて、業務及びポイントの流れの例を図3に基づいて、部署口座及び個人口座の構成例については図4を参照しながら説明する。なお、図3では、説明の都合上、社内大学については、記載を省略している。
本発明において扱われる部署、及び従業員の口座の一例が図4(a)に示されている。部署Aの口座は、部署Aのポイントを管理する部署口座XAと、部署Aに紐付けされた従業員(全12名)に割り当てられ個人の業務遂行により発生するポイントを管理するための個人口座a1〜a12と、から構成されている。
部署Bの口座は、上記した部署Aと同様に、部署Bのポイントを管理する部署口座XBと、部署Bに紐付けされた従業員(全8名)に割り当てられ個人の業務遂行により発生するポイントを管理するための個人口座b1〜b8とから構成され、部署Cの口座も上記と同様に、部署Cのポイントを管理する部署口座XCと、部署Cに紐付けされた従業員(全10名)に割り当てられ個人の業務遂行により発生するポイントを管理するための個人口座c1〜c10とから構成されている。ここで、「部署口座」とは、部署、及び所属する従業員に部署外から振り込まれたポイント、及び部署、及び所属する従業員が外部の部署、又は個人口座に振り込んだポイントを管理するための口座であり、「個人口座」とは、従業員個人が業務を依頼し、或いは請け負った業務に関連して交換されたポイントを管理するためのものである。より具体的に言えば、部署口座、又は従業員の個人口座から他の部署に所属する従業員の個人口座にポイントが振り込まれた場合は、振り込まれた従業員の個人口座にポイントが加算されると共に、該ポイントが振り込まれた従業員の個人口座が紐付けされた部署の部署口座にも同額のポイントが加算される。また、部署に所属する従業員の個人口座から他の部署に所属する従業員の個人口座にポイントが振り込まれた場合は、振り込んだ従業員の個人口座からポイントが減算されると共に、振り込んだ個人口座が紐付けされた部署の部署口座からも該ポイントが減算される。そして、部署に所属する従業員の個人口座の間、あるいは部署に所属する従業員の個人口座と部署口座との間においてポイントの交換があった場合は、当該部署の部署口座は変動しない。
上述した各口座の残高の情報は、管理サーバ10に備えられた口座記憶手段14に記憶されるものであり、人事評価の対象となる所定の期間の期初、例えば年度の初めにおける各部署の部署口座XA、XB、XC、及び各個人口座a1〜a12、b1〜b8、c1〜c10のポイント残高はすべて0に設定される。そして、各部署A〜Cに割り当てられた端末手段Y1〜Y3によって、各部署、各従業員によって遂行される業務、該業務に応じて設定されるポイント、及び各業務が完了した旨の情報等が入力されることにより、各口座のポイント残高が変化する。実際に業務が発生してから各口座のポイント残高が増減する過程を、より具体的に説明する。
先ず、外部組織Gに分類されるユーザーUが、当該企業の製品P(1,000万円)を購入すべく営業を担当する部署Cに発注したものとする(図3中(ア))。本業務は、外部組織Gからの収入となる業務であるため、本件業務を割り当てられた部署Cに所属する従業員c1が、端末手段Y3から、管理サーバ10内に構成されたコントロール手段12の外部支出入管理部12cの外部収入管理部122にアクセスし、部署Cが1,000万円で製品Pを受注したこと、従業員c1に1,000,000ポイントで当該業務が割り当てられたことを入力する。
上記製品Pは、ベースとなる製品に対してユーザーUの要求仕様に合わせたカスタマイズが必要であるため、従業員c1は、ユーザーUの要求仕様に基づくカスタマイズを、設計担当の部署Bの従業員b1に依頼する(図3中(イ))。この際、従業員c1と、従業員b1との間で、業務に必要な負荷、時間を考慮し、当該設計に係る業務に応じたポイントが設定される。本実施形態では、当該設計業務に応じたポイントを1,000,000ポイントと設定し、請け負った従業員b1は、所属する部署の端末手段Y2から、管理サーバ10のコントロール手段12にアクセスし、ポイント設定部12aに、依頼元の部署情報、当該業務内容、それに応じたポイントを入力する。
従業員b1は要求仕様に従いカスタマイズ設計を行い、受注した上記設計業務を完了させる。製品Pの設計図面が完成した旨を従業員c1に報告し(図3中(ウ))、正式に受領されれば、従業員b1が遂行した業務が完了した旨の情報を、端末手段Y2からコントロール手段12にアクセスして入力する。本件業務は、部署Cから請け負った業務であるため、コントロール手段12のポイント交換部12bは、部署Cの部署口座XCから従業員b1の個人口座b1に対して1,000,000ポイントを振り込むポイント交換を実施する。なお、本実施形態では、部署口座XCから直接個人口座b1にポイントを振り込むようにしたが、これに限定されず、形式的に部署口座Cから担当している従業員である個人口座c1に1,000,000ポイントを振り込み、個人口座c1を経由して部署Bの個人口座b1に振り込むようにしてもよい。この時点では、部署B、部署Cの部署口座XB、XC、従業員b1の個人口座b1は、以下のように変化する。
部署B:
部署口座XB=1,000,000ポイント
個人口座b1=1,000,000ポイント
部署C:
部署口座XC=−1,000,000ポイント
補足すると、本発明の「ポイント交換部」の作用により、部署口座、又は従業員の個人口座から他の部署に所属する従業員の個人口座にポイントが振り込まれた場合は、振り込まれた従業員の個人口座にポイントが加算されると共に、該従業員が所属する部署の部署口座にも同ポイントが加算されるようになっているため、部署Cの部署口座XCから他の部署Bの従業員b1の個人口座b1に1,000,000ポイントが振り込まれると共に、部署口座XBにも同ポイントが加算されている。
完成した設計図面に基づき従業員c1は、製造を担当する部署Aに製品Pの製造を依頼する。従業員b1によって作成された該設計図面は、製造を担当する部署Aに送られ、部署Aが請け負う製品Pの製造業務の負荷、製造に必要な部品代等の製造コストを考慮して8,000,000ポイントが設定され発注される(図3中(エ))。製品Pの製造は、部署Aに所属する複数の従業員によってなされるものであり、従業員個人ではなく部署Aに発注される。部署Aでは、当該製品Pの製造を担当する担当者として従業員a1〜a4の4名を割り当て、当該製造業務に応じ1人につき500,000ポイントが設定される。そして、該担当者は、部署Aが部署Cから製品Pの製造を8,000,000ポイントで受注したこと、該製造業務を部署A内の従業員a1〜a4に割り当て、従業員a1〜a4が製造に係る業務を500,000ポイントで請け負ったことを、部署Aの端末手段Y1から管理サーバ10にアクセスし、ポイント設定部12aに入力する。なお、本実施形態では、部署Cから部署Aに対して製品Pの製造を依頼したが、例えば、設計を担当する部署Bに対して製造を含めた業務を依頼し、部署Bから部署Aに対して製品Pの製造が依頼されるようにしてもよい。
部署Aでは、製品Pを製造するに当たり、部品p1、p2を外部のサプライヤーから購入する必要があるため、外部組織GのサプライヤーSに必要部品p1、p2を600万円で発注する(図3中(オ))。この業務は、外部組織Gに対する支出を伴うものであるため、コントロール手段12の外部支出管理部12cの外部支出管理部121に業務内容、及び実際の支出予定の金額が登録される。なお、説明の都合上、発注する部品をp1、p2のみで記載したが、実際は複数のサプライヤーに対してより多数の部品が発注されることが想定される。
サプライヤーSに発注していた部品p1、p2が部署Aに納品されると(図3中(カ))、部署Aからは、部品p1、p2に応じた金額600万円がサプライヤーSに支払われる。端末手段Y1から、部品p1、p2が納品され部品p1、p2の代金が支払われた旨の情報がコントロール手段12に入力されると、外部支出管理部121が実行されることにより、口座記憶手段14のポイントを管理するポイント交換部12bに該情報が伝達され、部署Aの部署口座XAから当該代金に相当するポイント=6,000,000ポイントが差し引かれる。この時点では、部署A〜Cの部署口座XA、XB、XC、及び従業員の個人口座b1の残高は、以下のようになる。
部署A:
部署口座XA=−6,000,000ポイント
部署B:
部署口座XB=1,000,000ポイント
個人口座b1=1,000,000ポイント
部署C:
部署口座XC=−1,000,000ポイント
部署Aにおいて製品Pの製造を担当する従業員a1〜a4は、割り当てられた当該業務を遂行し、製品Pを組み立てて完成させ、ユーザーUとの窓口となる部署Cに納品する(図3中(キ))。なお、部署A、部署Cは同じ企業内の部署であることから、当該「納品」は、必ずしも製品Pを物理的に部署Cに移動させることを意味せず、製品Pを部署A内に、或いは、当該企業内の所定の完成品置場に保管し、製品Pが完成した旨の報告が部署Cになされることでもよい。そして、製品Pが部署Cに納品された後、製造を担当した部署Aの端末手段Y1から、製品Pの製造業務が完了した旨をコントロール手段12に入力する。これにより、ポイント設定部12aに設定されていたポイントに基づいて、部署Cの部署口座XCから部署Aの部署口座XAに8,000,000ポイントが振り込まれ、それと同時に部署口座XAから部署Aに所属する製造を担当した従業員a1〜a4の個人口座a1〜a4のそれぞれに500,000ポイントが振り込まれる。ここで、本発明に基づき構成されたコントロール手段12では、部署口座から当該部署に所属する従業員にポイントを振り込んだ場合は、部署口座XAの口座を変動させないようにしている。これにより、各口座の残高は以下のようになる。
部署A:
部署口座XA=2,000,000ポイント
個人口座a1=500,000ポイント
個人口座a2=500,000ポイント
個人口座a3=500,000ポイント
個人口座a4=500,000ポイント
部署B:
部署口座XB=1,000,000ポイント
個人口座b1=1,000,000ポイント
部署C:
部署口座XC=−9,000,000ポイント
個人口座c1=−9,000,000ポイント
上記の口座残高の変化について補足すると、部署Cの部署口座XCから部署Aに振り込まれた8,000,000ポイントは、部署Aの部署口座XAに振り込まれ、該部署口座XAの残高が−6,000,000ポイントから2,000,000ポイントとなる。そして、部署口座XAから、製品Pの製造を担当した従業員a1〜a4の各個人口座a1〜a4に500,000ポイントが振り込まれる。ここで、上述したように、同じ部署内におけるポイントの交換では部署口座を変動させないようにしているので、部署Aの部署口座XAは2,000,000ポイントのままで変化はしない。
部署Cは、製品Pの完成を受け、当該製品PをユーザーUに納品する(図3中(ク))。製品Pを受領したユーザーUは、製品Pの代金として1,000万円を部署Cに支払う。この、納品完了、支払完了情報を従業員c1が端末手段Y3から入力する。ユーザーUから支払われた代金1,000万円は、外部組織Gから支払われる現実の金銭であり、図3に示す外部収入管理部122が実行されることにより、ユーザーUから1,000万円の収入があった旨の情報がポイント交換部12bに送られ、代金1,000万円に相当する10,000,000ポイントが部署Cの部署口座XCに振り込まれる。それと同時に当該業務が完了したことにより、部署口座XCから、部署Cにおいて当該業務を担当した従業員c1の個人口座c1に1,000,000ポイント振り込まれる。以上で、製品Pが外部組織GのユーザーUから発注され、企業内にて各部署が連携し、最終的に製品PがユーザーUに納入されるまでの業務が遂行されたことになる。これにより、各口座の残高は以下のようになる。
部署A:
部署口座XA=2,000,000ポイント
個人口座a1=500,000ポイント
個人口座a2=500,000ポイント
個人口座a3=500,000ポイント
個人口座a4=500,000ポイント
部署B:
部署口座XB=1,000,000ポイント
個人口座b1=1,000,000ポイント
部署C:
部署口座XC=1,000,000ポイント
個人口座c1=1,000,000ポイント
なお、上述したポイントの振り込み、交換等は、単なる一例にすぎず、業務に伴ってポイントが振り込まれる際の振り込み先、ポイント額等、ポイント交換の時期は適宜部署、従業員間において調整される。例えば、上述した実施例では、製品Pのカスタマイズ設計を、部署Bの従業員b1に直接依頼したが、従業員b1個人ではなく、部署Bに対して業務を依頼し、適宜部署B内にて必要業務を適任者に振り分けてもらうようにしてもよく、その場合はカスタマイズ設計の対価となるポイントは部署Cの部署口座XCから部署Bの部署口座XBに振り込まれ、部署口座XBから個人口座b1へ業務に応じたポイントが振り込まれることとなる。
上述した実施形態においては、業務完了までの過程で、各口座の残高が負の値(マイナス)になることがある。よって、この途中の段階で評価を行う場合、各従業員が業務を問題なく遂行しているにも係わらず、口座の残高に基づいて評価を実施すると、評価の結果において不公平が生じる場合が想定される。これを防止すべく、業務発生から完了までの間のポイントを一時的に立て替えて振り込む、仮想の「銀行(バンク)」のような役割を担う構成をポイント交換部に備えることもできる。本実施形態でいえば、部署Cの部署口座XCから部署Bの従業員b1の個人口座b1への振り込み、製品Pを製造した部署Aの部署口座XAへのポイント振り込み、或いは、部署Aから外部組織GのサプライヤーSに対する金銭の支払いに伴うポイントの支出を、当該「銀行(バンク)」が立て替えて実施し、各業務の完了に伴いポイントが各口座に振り込まれた時点で、立て替えられていたポイント分を、当該「銀行(バンク)」に返済するようにしてもよい。そのようにすることで、順調に遅滞もなく遂行されている業務であるにも関わらず、評価のタイミングによって不当に低い評価をされることが防止される。
上述したように、各部署、従業員が請け負った業務が遂行されることにより、部署口座、個人口座のポイントの残高が増減する。図4(a)には、所定期間、例えば6ケ月間の業務を遂行することにより蓄積された口座のポイント残高が示されている。なお、図4(a)では、部署Bを除く部署A、Cについては、全ての個人口座についての残高を示しておらず、一部省略されている。ここで、図4(a)に示すように、部署Aの部署口座XAの残高は12,000,000ポイントであり、各個人口座の内、最も残高が高い個人口座は個人口座a3の1,250,000ポイント、最も残高が低い個人口座は、個人口座a4の500,000ポイントであったことが理解される。
同様に、部署Bの部署口座XBの残高は12,000,000ポイントであり、個人口座の残高が最も高いのは、個人口座b8の1,600,000ポイント、最も低いのは個人口座b2の900,000ポイントであること、さらに、部署Cの部署口座XCの残高は13,000,000ポイントであり、個人口座の残高が最も高いのは個人口座c2の2,500,000ポイント、最も低いのは個人口座c10の900,000ポイントであることが理解される。なお、上述したように、各口座の残高は業務を遂行するに伴い単純に増加するものではなく、業務の発注、受注を互いにし合うことで増減するものである。また、部署口座は、各部署に所属する従業員の個人口座のポイントの他に、部署口座に直接振り込まれたポイントも含んでおり、必ずしも個人口座のポイントの合算とならないことは上述した説明から明らかなとおりである。
人事評価部12dの部署評価部123、個人評価部124の作用について説明する。部署評価部123は、所定の期間の部署の評価を実行すべく、所定の期間の期末日における各部署A〜Cの部署口座XA〜XCの残高を当該部署の所属人数(部署A:12名、部署B:8名、部署C:10名)で除算する。これにより、図4(b)に示されているように、各部署の一人当たりのポイントが算出される。この数値に基づいて部署A〜Cの評価を実施する。図4(b)の例では、最も高い評価を得るのは、部署Bであり、最も低い評価となるのは、部署Aとなる。このように、単純に部署の部署口座の残高が大きくても必ずしもその部署が高評価とはならず、一人当たりのポイントが高い部署が、効率よく企業の業績に貢献したとして評価されるのである。
これに対し、個人の評価は、個人評価部124を実行することで、個人口座のポイントの残高に基づいて実施される。図4(a)から明らかなように、最も残高が高かった従業員は、部署Cに所属する従業員c2であり、最も低かった従業員は、部署Aに所属する従業員a4であった。このように、部署の評価、及び当該個人口座のポイントの残高に基づいて部署、個人の評価が実施されることになる。
図2に示されているように、人事管理システム1の管理サーバ10内には、本発明に基づき構成される社内大学の制度を企業内に実現すべく、社内大学管理部12e、新入社員名簿記憶手段15が設けられており、さらに、口座記憶手段14内には、社内大学に所属する新入社員のポイントを記憶する新入社員口座n1〜n10が設定される。
社内大学管理部12eは、名簿作成部125、業務研修管理部126を含んでいる。名簿作成部125は、新入社員名簿記憶手段15に対し、該社内大学に所属する新入社員の情報を含む新入社員名簿151を作成する名簿作成ステップを実行する機能を有する。また、業務研修管理部126は、該社内大学に所属する新入社員が、該社内大学に配属されてから卒業するまでを管理するものであり、各部署又は従業員が社内大学に所属する新入社員用に用意する業務研修案件を新入社員に橋渡しし、新入社員が該業務研修案件を業務として請け負って実行した場合に、前記したポイント交換部12bを介して、業務を依頼した各部署の部署口座、又は従業員の個人口座から新入社員の新入社員口座に対してポイントを振り込ませるポイント振込みステップを実行する機能を有している。該社内大学制度の元では、新入社員は入社後、全員が社内大学の所属とされ、該社内大学の卒業条件を満たすことで卒業資格を得て、各部署に配属されることになる。なお、本実施形態における卒業条件は、2年以内に業務研修案件を実施することで新入社員口座に振り込まれたポイントの合計が2000万ポイントに達することとされている。図5〜8を参照しながら、該社内大学制度についてより具体的に説明する。
図5に示すように、当該企業に入社した新入社員は、先ず社内大学に入学(配属)しなければならず、名簿作成部125によって名簿作成ステップが実行され、社内大学に所属することになった新入社員の情報が記録される新入社員名簿151が作成される(ステップS1)。該新入社員名簿151は、図6に示されているように、管理サーバ10内の新入社員名簿記憶手段15の記憶領域に設定される。該新入社員名簿151には、新入社員の名前、年齢、専攻等の基本情報、社内大学に配属された後に請け負って実施した業務研修案件の履歴が記憶され、該業務研修を実施することにより蓄積され口座記憶手段14に記録されているポイントの残高が読み込まれ記憶される。なお、本実施形態では、社内大学に所属する新入社員を10名とし、各新入社員を新入社員n1〜n10とする。
社内大学に所属する新入社員n1〜n10は、各部署、又は従業員個人が新入社員に業務研修案件として用意した業務を請け負って実行する業務研修活動を実行し(ステップS2)、その対価としてポイントを獲得することにより、各自の新入社員口座n1〜n10にポイントを蓄積する。コントロール手段12の社内大学管理部12eは、各部署、或いは従業員個人が用意する業務研修案件を新入社員n1〜n10に橋渡しする機能を有しており、図7を参照しながら、該業務研修案件が橋渡しされる過程をより具体的に説明する。
部署A、部署B、部署Cが、それぞれ、新入社員n1〜n10に依頼する業務研修案件A、B、Cを用意し、該業務研修管理部126内に設定されるオークションシステムに登録するものとする。この際、該オークションシステムには、各業務研修案件A〜Cの内容、実施期限、実施された後に付与される所定のポイント(例えば、10万ポイント)等が登録され、社内大学に所属する新入社員n1〜n10が該オークションシステムに登録された該業務研修案件を社内大学の端末手段Y4から閲覧できる状態となる。新入社員n1〜n10がオークションシステムの掲示された情報を閲覧して自分が実施したい業務研修案件が見つかった場合は、自分が実施したい業務研修案件を選択して登録する。図7に示す実施形態では、新入社員n1が業務研修案件A〜Cに登録し、新入社員n2が業務研修案件A、Cに登録したことから、業務研修案件A、Cで両者が競合しており、いずれに業務研修案件A、Cを依頼するかを決定するためのオークションが実施される。より具体的には、業務研修案件A、Cに対し、いくらのポイントで請け負うことが可能かを新入社員n1、新入社員n2が決め、上記所定のポイント(10万ポイント)から減額したポイントで入札する。そして、入札したポイントの値が少ない方が各業務研修案件を落札し、業務研修案件を請け負う権利を獲得する。本実施形態では、業務研修案件Aが新入社員n1に9万5千ポイントで落札され、業務研修案件Cが新入社員n2によって9万ポイントで落札されたものとする。これにより、部署Aから業務研修案件Aが新入社員n1に、部署Cから業務研修案件Cが新入社員n2に依頼され、新入社員n1、新入社員n2が実行する。業務研修案件Bは、新入社員n1が単独で登録しているため、これ以上、他の新入社員からの登録がなければ、登録された条件で新入社員n1が落札し、実施することになる。このようにして新入社員n1、新入社員n2が該業務研修案件A〜Cを請け負って実施すると、業務研修案件A、Cについては、上記したオークションシステムで落札した際のポイント(9万5千ポイント、9万ポイント)が、業務研修案件Bについては、部署Bが予め設定したポイント(10万ポイント)が、それぞれ新入社員口座n1、新入社員口座n2に振り込まれるように、ポイント交換部12bによって振込ステップが実行される。
上記したような業務研修案件の依頼は、必ずしも該オークションシステムの利用に限定されない。例えば、図7に示すように、該部署Cが業務研修案件Dを新入社員n3に実施させたい場合は、該オークションシステムを利用せずに、業務研修管理部126を介して新入社員n3に直接依頼することも可能である。また、上記した実施形態では、各部署A〜Cが用意した業務研修案件A〜Dを新入社員に実施させるようにしたが、必ずしも部署単位で業務研修案件を用意することに限定されず、従業員個人が業務研修案件を用意して該オークションシステム等を利用して依頼するようにしてもよい。このようにして、社内大学に所属する新入社員n1〜n10は、様々な部署、従業員個人から実際の業務を業務研修案件として請け負って各部署において直接指導を仰ぎながら遂行し、ポイントを得て、新入社員口座n1〜n10に徐々にポイントを蓄積していく。各新入社員は、業務研修案件を実行することにより、単に業務体験をするのみならず、各部署の仕事内容や業務の進め方、部署内の雰囲気を知ることができ、部署側も、新入社員n1〜n10の業務を遂行する能力、適性、人柄を詳細に把握することができる。
図5のフローに戻り説明を続けると、各新入社員n1〜n10は、該社内大学制度の元で業務研修案件を実施してポイントを取得しながら、2年以内に振り込まれたポイントの合計が2000万ポイントに達したか否かを常にチェックされる(ステップS3)。そして、該ステップS3にて入社後2年以内で2000万ポイントに達したと判定(Yes)された場合、ステップS4に進み、社内大学を卒業可能な卒業資格者となって、新入社員名簿151の各個人の所定の基本情報の欄に、卒業資格者である旨の情報が記録される。
図8に示すように、新入社員が卒業資格者となった場合は(本実施形態では、新入社員n5と新入社員n10とする。)、業務研修管理部126内に設けられた新入社員を獲得するためのドラフトシステムが実行され(ステップS5)、各部署に対し、卒業資格者リストに新たに新入社員n5、n10が掲載されたことが通知される。卒業資格者リストに掲載された新入社員n5、n10の配属を希望する部署は、該新入社員n5、新入社員n10を獲得するために該新入社員n5、n10に対して拠出するポイントを決め、該ドラフトシステム上で指名することを表明する(ステップS6)。なお、獲得意思の表明と共に該拠出するポイントの数値も登録されるが、拠出されるポイントは第三者には公表されない。そして、ステップS6にて新入社員n5、新入社員n10に対する指名があった場合(Yes)、ステップS7に進み、入札に応じて受諾するか否かを新入社員自身が検討する。ここで、例えば、図8に示すように、一人の新入社員n5に対して、複数の部署(部署A、部署B)が獲得の意思を表明した場合は、原則として各部署から提示された拠出ポイントが最も高い部署(本実施形態では、部署A。)が、新入社員n5と配属に向けた交渉を行う権利を得る。新入社員n5に異存がなければ、部署Aからの指名、すなわち入札を受諾し(Yes)、新入社員n5の配属先が部署Aに決定される。
しかし、新入社員n5の配属先の決定は、あくまでも新入社員n5の意思に基づき決定されるのであり、新入社員n5が上記ステップS7において部署Aからの入札を受諾しない場合(No)は、拠出するポイントが2番目であった部署Bと交渉を行うか、又は新入社員n5自身が配属を希望する部署を探す求配属先活動を実施し(ステップS8)、希望する部署と相談の上、配属先を決定する。このようにして、ステップS7にて入札してくれた部署への配属を受諾するか、ステップS8における求配属先活動により配属先が決定されたならば、所属が社内大学から配属先へ転籍となり、社内大学は卒業となる。
図5のステップS3に戻り説明を続けると、ステップS3にて、業務研修案件の実行により振り込まれたポイントが2000万ポイントに達していないと判定される場合(No)は、ステップS9にて社内大学に配属されてから2年が経過したか否かが判定される。2年が経過していない場合(No)は、ステップS2に戻り、引き続き業務研修案件を実施し、2000万ポイントを目指すことになる。もし、2000万ポイントに達せずに2年が経過してステップS9にてYesとなった場合は、その時点で、自分で配属先を探す求配属先活動を実施し、受け入れてくれる部署を探すことになる(ステップS10)。そして、配属先を見つけたならば、卒業資格者とならないまま当該配属先へ転籍となり、社内大学は任意退学となる。
本発明に基づき設定される社内大学に配属された新入社員n1〜n10は、各部署に配属されることにより、社内大学の新入社員名簿から削除され、所属が各部署になり、各部署に紐付けされた一般の従業員となる。各部署に配属された後は、他の従業員と同様に、所属する部署、他の部署、或いは従業員個人から業務依頼を受けて業務を遂行してポイントを得て、個人口座に蓄積されたポイントを使用して他の部署、従業員個人に業務を依頼することができる。そうして、蓄積されたポイントに基づき、年度末には、一従業員として人事評価がなされる。
本発明に基づき構成された人事管理システム1に採用される社内大学制度は、上記した実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲に含まれる限り、様々な変形例を想定することができる。例えば、社内大学に配属された後の卒業条件に、全員が実施すべき必須の業務研修案件の実施を含めることができる。例えば、半導体ウエーハの加工装置を開発し製造する企業であれば、当該加工装置に関連する業務、例えば、当該加工装置の改良、メンテナンス、及び該加工装置を使用する顧客対応等を必須の業務研修案件とし、当該必須の業務研修案件によって所定ポイントを得ることを条件にしてもよい。
また、卒業資格を得るための条件を一つのパターンに限定せず、様々な条件を組み合わせて、複数のパターンで卒業資格を得るように設定することもできる。例えば、
ア)半導体ウエーハの加工装置に関連する業務研修案件(以下「重要業務研修案件」という。)を実行することによって振り込まれたポイントが所定ポイントに達した上で、合計2000万ポイントに達した場合
イ)重要業務研修案件により振り込まれたポイントが所定ポイントの半分に達した上で、他の業務研修案件によって2000万ポイントを蓄積した場合
ウ)重要業務研修案件を実施せず(所定ポイントの半分未満)に他の業務研修案件を実施することにより2000万ポイントに達した場合
等を卒業の条件とすることができ、ア)〜ウ)のいずれの条件を満たすことによって卒業資格を得たのかを、新入社員名簿151の卒業資格者情報に付記するようにしてもよい。
本実施形態では、上述の人事管理システム1上において流通するポイントを、現実社会に流通する通貨(円)と同等の価値と定義して用いたが、これに限定されず、現実に流通する通貨と切り離し、企業内の仮想通貨として考案された独自のポイントとすることができる。なお、現実社会で流通する通貨と同等の数値をポイントとして流通させれば、各従業員、或いは部署が企業に対してどの程度貢献したのかが一目瞭然となる効果が得られるので好ましい。また、現実の通貨と同等のポイントを流通させることにより、業務を外部に依頼する場合と、企業内部の部署に依頼する場合とにおけるコスト判断も効率よくでき、無駄なコストを削減することにも繋がる。
上述した本実施形態では、企業内の管理サーバ10にコントロール手段12、口座記憶手段14を配設した例を示したが、該コントロール手段12、口座記憶手段14が現実に配設される場所は特に限定されない。昨今では、災害時等における情報の喪失等を回避するため、企業の外部にサーバを分散して配置することも行われており、通信ネットワーク2を介して企業の外部に配置されたサーバに該コントロール手段12、口座記憶手段14、新入社員名簿記憶手段15を登録し、人事管理システム1を構成することができる。