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JP6875890B2 - 円筒形酸化物焼結体の製造方法、及び敷板 - Google Patents
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JP6875890B2 - 円筒形酸化物焼結体の製造方法、及び敷板 - Google Patents

円筒形酸化物焼結体の製造方法、及び敷板 Download PDF

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Description

本発明は、スパッタリングターゲット用の円筒形酸化物焼結体の製造方法、及び当該製造方法で使用される敷板に関する。
従来から使用されているスパッタリングターゲットは、使用効率が数10〜30%程度であり、平板形状を呈している。近年では、スパッタリングターゲット使用効率が70〜80%と高効率の円筒形スパッタリングターゲットが注目されている。当該円筒形スパッタリングターゲットは、回転しながらスパッタされるため、高効率冷却による高電力投入が可能であるので、成膜速度が速く生産性に優れる方法として普及しつつある。
また、円筒形スパッタリングターゲットは、加工が容易であるため、機械的強度の高い金属材料では、広く使用されている。しかしながら、酸化物材料からなる円筒形スパッタリングターゲットは、一般に硬くて脆いという特性を有するため、未だに十分に普及していない。特に、円筒形酸化物焼結体は、焼結工程の中で10%〜20%の体積収縮があるため、その変形防止対策として、特許文献1では、丸棒や球状のセラミックス材の転がりを利用した摺動層と複数のセラミックス部材からなる焼結治具を用いる等の変形抑制方法が開示されている。
特開2008−184337号公報
しかしながら、特許文献1では、円筒形酸化物焼結体の焼結冶具への配置が複雑であり、丸棒や球状のセラミックス材の自由転がりによるため、変形抑制の効果が安定しないことが懸念される。例えば、炉床の僅かな傾斜で焼結中の熱収縮の際に円筒形酸化物成形体が動いて炉壁や隣接する成形体に接触したり、酸化物の焼結密度に影響する酸素等のガス導入口を有する敷板では、ガス流入によるガス圧力で円筒形酸化物成形体の位置が動いたりして、円筒形酸化物焼結体が変形して、その高真円度の確保が困難となる。また、円筒形酸化物焼結体の変形に加えて、スパッタ時におけるガスとの反応が不均一であった場合には、単一の焼結体であっても密度が均一にならない問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、円筒形酸化物焼結体の変形を抑制して、真円度の高い円筒形酸化物焼結体を確実に製造することの可能な、新規かつ改良された円筒形酸化物焼結体の製造方法、及び当該製造方法で使用する敷板を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、焼成炉を用いて円筒形酸化物成形体を焼結させて円筒形酸化物焼結体を製造する円筒形酸化物焼結体の製造方法であって、円筒形成形型のキャビティ内に原料粉末又は造粒粉末を充填し、加圧成形して円筒形酸化物成形体を得る成形工程と、前記円筒形酸化物成形体を前記焼成炉内に敷板を介して配置する配置工程と、前記敷板を介して配置した円筒形酸化物成形体を前記焼成炉において焼成して円筒形酸化物焼結体を得る焼成工程と、を有し、前記敷板は、台座部と、外縁が前記台座部の頂面側に設けられ、該外縁から中心にかけて傾斜を有するように凹状に形成される凹部と、前記凹部の中心側から立設された、外径が前記円筒形酸化物焼結体の内径より小さい円筒形状のガス導入管と、が一体的に形成されてなり、前記配置工程では、前記ガス導入管を覆うように、前記円筒形酸化物成形体を直立させて配置することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、円筒形酸化物成形体が焼結時に自重によって敷板の凹部の内側面に沿って中心に向かって均一に収縮するようになるので、歪みや変形の少ない真円度の高い円筒形酸化物焼結体を効率的に製造できる。また、このようにすれば、円筒形酸化物成形体の内側にも反応ガスが流入するので、外側の焼結速度の差が小さくなり、より均一に円筒形酸化物成形体を焼結できるようになる。
このとき、本発明の一態様では、前記敷板の前記凹部は、前記外縁から中心にかけて全方位に亘り同じ曲率で縮径するように凹状に形成されることとしてもよい。
このようにすれば、円筒形酸化物成形体の底面側に形成されるテーパ部が凹部の湾曲した内側面に沿って当接するようになるので、焼結時に円筒形酸化物成形体が自重によって敷板の凹部の中心に向かって均一に収縮することによって、歪みや変形の少ない真円度の高い円筒形酸化物焼結体を効率的に製造できる。
また、本発明の一態様では、前記ガス導入管の側面には、複数のガス導入口が設けられていることとしてもよい。
このようにすれば、円筒形酸化物成形体の内側と外側の焼結速度の差が小さくなるので、より均一に円筒形酸化物成形体を焼結できるようになる。
また、本発明の一態様では、前記敷板は、アルミナ又はジルコニアから形成されることとしてもよい。
このようにすれば、高温耐久性を有し、その表面状態が容易に変化せず、かつ、焼結時に円筒形酸化物成形体と反応しない材質で敷板が形成されるので、より安定した状態で円筒形酸化物成形体を焼結できるようになる。
また、本発明の一態様では、前記敷板の表面粗さを算術平均粗さRaで3μm以下とすることとしてもよい。
このようにすれば、円筒形酸化物成形体が自重で凹部の内面に沿って滑りやすくなるので、真円度の高い円筒形酸化物焼結体が効率的に製造できる。
また、本発明の一態様では、前記成形工程では、冷間等方圧加圧により加圧成形して前記円筒形酸化物成形体を得ることとしてもよい。
このようにすれば、冷間等方圧加圧による加圧成形で底面側にテーパ部が形成され易い円筒形酸化物成形体から歪みや変形の少ない真円度の高い円筒形酸化物焼結体を効率的に製造できるようになる。
また、本発明の他の態様は、円筒形酸化物成形体を焼成炉内に配置し、該円筒形酸化物成形体を焼結させて円筒形酸化物焼結体を製造する際に介在させる敷板であって、台座部と、外縁が前記台座部の頂面側に設けられ、該外縁から中心にかけて傾斜を有するように凹状に形成される凹部と、前記凹部の中心側から立設された、外径が前記円筒形酸化物焼結体の内径より小さい円筒形状のガス導入管と、が一体的に形成されてなることを特徴とする。
本発明の他の態様によれば、円筒形酸化物成形体が焼結時に自重によって敷板の凹部の内面に沿って中心に向かって均一に収縮するようになるので、歪みや変形の少ない真円度の高い円筒形酸化物焼結体を効率的に製造できるようになる。
以上説明したように本発明によれば、円筒形酸化物成形体が焼結時に自重によって敷板の凹部の内側面に沿って中心に向かって均一に収縮するようになるので、焼結工程後においても歪みや変形の少ない真円度の高い円筒形酸化物焼結体を効率的に製造できる。
本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法の概略を示すフロー図である。 (A)は、本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法で使用される敷板の斜視図であり、(B)は、当該敷板の平面図であり、(C)は、図2(B)のA−A線断面図である。 本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法の配置工程における円筒形酸化物成形体の敷板への配置状態を示す斜視図である。 図3のB−B線断面図である。 図4のC部の拡大図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
まず、本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法の概略について、図面を使用しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法の概略を示すフロー図である。
本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法は、マグネトロン型回転カソードスパッタリング装置において、スパッタリングターゲットとして用いられる円筒形酸化物ターゲット材となる円筒形酸化物焼結体を製造する際に適用される。具体的には、焼成炉を用いてスパッタリングターゲット用の円筒形酸化物成形体を焼結させて円筒形酸化物焼結体を製造する際に適用される。
本実施形態の円筒形酸化物焼結体の製造方法は、成形工程S11と、配置工程S12と、焼成工程S13とを有し、これらの工程S11乃至S13が図1に示すフローで行われることによって、円筒形酸化物焼結体が生成される。
成形工程S11は、円筒形成形型のキャビティ内に原料粉末又は造粒粉末を充填し、CIP法等により加圧成形して円筒形酸化物成形体を得る工程である。本実施形態では、原料粉末は、特に制限されることなく、目的とする円筒形スパッタリングターゲットの組成に応じて適宜選択することができる。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)からなる円筒形スパッタリングターゲットを得ようとする場合には、原料粉末として、酸化インジウム(In)粉末と酸化スズ(SnO)粉末を用いることができる。また、AZO(Aluminium Zinc Oxide)からなる円筒形スパッタリングターゲットを得ようとする場合には、原料粉末として、酸化アルミニウム(Al)粉末と酸化亜鉛(ZnO)粉末を用いることができる。
なお、原料粉末を所定の割合で混合した後、そのままの状態で成形することも可能であるが、純水、バインダ及び分散剤等と混合した後、噴霧乾燥してから、造粒粉末としてからキャビティ内に充填することが好ましい。造粒粉末は、原料粉末と比べて高い流動性を有しており、充填性に優れている。このため、原料粉末の代わりに、造粒粉末を用いることで、工業規模の製造においても、高密度の円筒形酸化物成形体を容易に得ることができる。
本実施形態では、成形は、CIP(Cold Isostatic Pressing:冷間等方圧加圧)成形による加圧成形で行われる。加圧成形は、CIP成形が一般的であるが、高密度の円筒形成形体が得られるものであれば、CIP成形に限らない。CIP成形の場合、キャビティ内に原料粉末又は造粒粉末を充填した後、円筒形成形型をCIP装置に投入し、加圧成形する。
なお、水等の圧媒が成形型内に侵入することを防ぐために、円筒形成形型を真空包装した上で、CIP装置に投入してもよい。CIP成形における保持圧力は、98MPa〜294MPaとすることが好ましい。保持圧力が98MPa未満では、得られる円筒形酸化物成形体の密度を十分に高いものとすることができない場合がある。一方、保持圧力が294MPaを超えると、CIP装置に対する負荷が過度に大きくなるばかりか、生産コストの上昇を招くこととなる。
このとき、保持圧力で保持する時間(保持時間)は、1分〜30分とすることが好ましく、3分〜10分とすることがより好ましい。保持時間が1分未満では、得られる円筒形酸化物成形体の密度を十分に高いものとすることができない場合がある。一方、保持時間が30分を超えると、生産性が悪化することとなる。
配置工程S12では、円筒形酸化物成形体を焼成炉内に敷板を介して配置する工程である。本実施形態では、焼結変形の少ない高真円度の円筒形酸化物焼結体を効率的に作製するために、円筒形酸化物成形体が配置される敷板がすり鉢状に傾斜していることを特徴とする。
本発明者は、前述した本発明の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、配置工程S12で使用する敷板をすり鉢状にすることで、焼結時に円筒形酸化物成型体が自重により、すり鉢状の傾斜に沿って中心に向かって均一に収縮されるので、歪みや変形の少ない真円度の高い円筒形酸化物焼結体を効率的に製造できることを見出した。そして、これらの知見に基づいて、更に研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
具体的には、敷板は、略円筒形状の台座部の頂面側に、外縁から中心にかけて全方位に亘り同じ曲率で縮径するように凹状に形成される凹部が設けられて、すり鉢状の形状となっている。そして、配置工程S12では、円筒形酸化物成形体を敷板の凹部に直立させて配置することを特徴とする。なお、本実施形態における敷板の詳細な構成、及び当該敷板を用いた配置工程S12の詳細な説明については、後述する。
焼成工程S13は、配置工程S12で焼成炉内に敷板を介して配置した円筒形酸化物成形体を焼成して円筒形酸化物焼結体を得る工程である。円筒形酸化物成形体の焼成条件は、その組成や大きさ、焼成炉の特性などに応じて適宜選択すべきものであり、特に制限されることはないが、概ね下記の条件で焼成することができる。
焼成工程S13では、最初に室温から特定の温度(脱バインダ温度)まで、一定の時間(脱バインダ時間)をかけて昇温することにより、円筒形酸化物成形体に含まれる有機成分を除去することが必要となる。この際の脱バインダ温度は、300℃〜600℃とすることが好ましく、400℃〜500℃とすることがより好ましい。また、脱バインダ時間は、50時間〜300時間とすることが好ましく、100時間〜300時間とすることがより好ましい。このような脱バインダ温度および脱バインダ時間であれば、円筒形酸化物成形体に含まれる有機成分を十分に除去することができる。
なお、脱バインダ段階中は、雰囲気ガスを炉内容積1mあたり100L/分〜600L/分、好ましくは200L/分〜400L/分で供給することが必要となる。雰囲気は、大気、酸素、又はそれらの任意の混合ガスであればよい。
脱バインダ段階後、炉内温度を焼成温度まで昇温し、この温度で一定時間保持することにより、円筒形酸化物成形体を焼結させる。焼成温度は、円筒形酸化物成形体の組成によって異なるが、例えば、酸化インジウムを主成分とする場合には、1200℃〜1600℃とすることが好ましく、高密度の円筒形酸化物焼結体を得る観点から、1300℃〜1600℃とすることがより好ましい。
一方、酸化亜鉛を主成分とする場合には、1000℃〜1400℃とすることが好ましく、同様の観点から、1250℃〜1350℃とすることがより好ましい。また、焼成温度での保持時間は、5時間〜40時間とすることが好ましく、10時間〜30時間とすることがより好ましい。
なお、焼結段階における雰囲気は、円筒形酸化物成形体の組成によって異なるが、組成に応じて大気や酸素、またはこれらの混合ガスを、炉内容積1mあたり100L/分〜600L/分、好ましくは200L/分〜400L/分供給する。
次に、本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法で使用される敷板の構成の詳細について、図面を使用しながら説明する。図2(A)は、本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法で使用される敷板の斜視図であり、図2(B)は、当該敷板の平面図であり、図2(C)は、図2(B)のA−A線断面図である。
本実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法で使用される敷板10は、高温耐久性、耐熱性を有し、その表面状態が安定している材質であるアルミナ又はジルコニアから一体成型によって構成され、図2(A)に示すように、台座部12と、凹部14と、ガス導入管16と、を備えることを特徴とする。なお、本実施形態では、敷板10は、一体成型されたものとしているが、台座部やガス導入管等の複数の部品をそれぞれ別体で成型したものを組み立てて構成したものとしてもよい。
台座部12は、焼成炉内で焼成対象となる円筒形酸化物成形体を支持する略円筒形状の基板である。凹部14は、図2(A)乃至(C)に示すように、その外縁14aが台座部12の頂面側に設けられ、その内側面14bが当該外縁14aから中心Oにかけて全方位に亘り同じ曲率で縮径するように凹状に形成されており、当該内側面14bの底面側が円筒形酸化物成形体の載置面となっている。ガス導入管16は、敷板10の凹部14の内側面14bに載置される円筒形酸化物成形体の内周面側にガスを導入するために、凹部14の中心側に立設される円筒形状の部材である。
本実施形態では、焼成炉内で円筒形状の酸化物成形体を焼結させて円筒形状の酸化物焼結体を作製する際に、焼結変形の少ない高真円度の円筒形酸化物焼結体を得るために、配置工程で円筒形酸化物成形体を焼成炉内に配置する際に使用する敷板10は、台座部12に外縁14aが台座部12の頂面側に設けられ、当該外縁14aから中心Oにかけて傾斜した、すなわち、すり鉢状に傾斜した凹部14が設けられていることを特徴とする。
具体的には、少なくとも円筒形酸化物成形体を直立させる位置から敷板10の中心Oにかけてのすり鉢状の傾斜は、凹部14の底面側をテーパ面として捉えた場合に20〜30度の範囲とすることが好ましい。また、凹部14の底面側の形状を曲率半径で定義する場合、凹部14の断面の曲率半径、すなわち、凹部14の内側面14bの底面側の曲面の曲率半径は、円筒形酸化物成形体の外径が200mmとした際に、160mm以上200mm以下としている。
このように、本実施形態では、配置工程で使用する敷板10がすり鉢状の傾斜を有する構成となっているので、円筒形酸化物成形体を敷板10の凹部14の底面側に載置した際に、当該成形体の焼結時に、自重によって敷板10の凹部14の内側面14bに沿って中心に向かって全方位に亘って均一に収縮するようになる。このため、歪みや変形の少ない真円度の高い円筒形酸化物焼結体が効率的に製造できるようになる。
また、本実施形態では、敷板10は、高温耐久性を備え、その表面状態が容易に変化せず、かつ、焼成時に円筒形酸化物成形体と化学的に反応しない安定している材質で構成されることが好ましいので、アルミナ又はジルコニアから構成される。敷板10の表面に関しては、特に限定しないが、円筒形酸化物成形体を焼結して得られる焼結体が自重によって十分滑り易い表面粗さであることが好ましいので、表面粗さRaは、3μm以下とする。
さらに、本実施形態では、敷板10の凹部14の中心側には、焼結させる円筒形酸化物成形体の内側に酸素等のガスを導入するための円筒形状のガス導入管16が立設されている。ガス導入管16は、図2(A)乃至(C)に示すように、両端が底部側ガス導入口16bと頂部側ガス導入口16cとなる管状部材であり、その側面に複数の側面側ガス導入口16aが所定の間隔で設けられる構成となっている。
ガス導入管16の外径は、焼結収縮した円筒形酸化物焼結体の内径よりも十分小さいことが好ましく、少なくとも焼結後の焼結体の内径の20%から40%小さく設定する。ガス導入管16の高さは、成形体の内周面側にガスをより均等に導入した上で安定的に当該成形体を支持するために、少なくとも焼結後の焼結体の高さの1/3以上に設定する。例えば、焼結後の円筒形酸化物成形体の内径をφ130mm程度として、高さを260mmとした場合では、ガス導入管16は、外径がφ90mm、高さが130mmとする。
また、本実施形態では、ガス導入管16の側面に側面側ガス導入口16aを設けることによって、成形体にガスを吹きかけることができるので、側面側ガス導入口16aがない場合比べて、成形体内側の焼結速度が速くなり、成形体の内外差が無くなるので、より均一に焼結ができるようになる。側面側ガス導入口16aは、1つ又は複数設けることができるが、成形体をより均一に焼結するために、複数均等に設けることが好ましい。また、側面側ガス導入口16aの大きさは、特に限定はないが、直径20mm〜30mmがよい。
このように、円筒形酸化物成形体の内側にも反応ガスが流入するように、側面側に複数のガス導入口16aを有するガス導入管16を設けることによって、当該円筒形酸化物成形体の内側により均等に反応ガスが当たるようにした上で、当該成形体の外側の焼結速度との差が小さくなる。このため、より密度のバラつきが低減された均一な円筒形酸化物成形体を焼結できるようになる。
また、焼成炉内に配置された成形体に導入する酸素等の反応ガスの供給速度や供給密度は、酸化物の焼結密度に影響を及ぼす。さらに、焼成炉内へのガス流入によるガス圧力でも円筒形酸化物成形体の位置が動く場合があるので、ガスとの反応が不均一になることによって、作製される焼結体の密度が安定しないことが懸念される。
このため、底部側ガス導入口16bの形状や大きさは、特に限定しないが、小さすぎるとガス流量が不足して成形体の焼結が不十分になってしまい、大きすぎると円筒形酸化物焼結体を支持できないので、底部側ガス導入口16bは、敷板の略中心に配置し、その開口面積は、成形体1個あたり50cm程度以下とすることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法の配置工程で敷板を使用することによる作用・効果について、図面を使用しながら説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法の配置工程における円筒形酸化物成形体の敷板への配置状態を示す斜視図であり、図4は、図3のB−B線断面図であり、図5は、図4のC部の拡大図である。
円筒形酸化物成形体を作製する際に、円筒形成形型のキャビティ内に原料粉末、又は造粒粉末を充填した後、円筒形成形型をCIP装置に投入し、加圧成形すると、全面より均等に圧力がかかるため、CIPにより加圧成形された成形体1は、図4に示すように、成形後の頂面側端部1a及び底面側端部1bは、内径から外径に向かう凹部状の曲面でテーパとなる。すなわち、円筒形酸化物成形体1の頂面側端部1aは、図3及び図4に示すように、内側から外側に向けて下がるテーパ状となり、底面側端部1bは、図4及び図5に示すように、内側から外側に向けて上がるテーパ状となっている。
また、円筒形酸化物成形体1を所定の温度で焼結した場合、10〜20%程度収縮するが、当該円筒形酸化物成形体1の頂面側端部1a及び底面側端部1bの内径から外径に向かうテーパの大きさは、図4及び図5に示すように、当該成形体1の焼結前後でほぼ同一である。このため、本実施形態では、敷板10の凹部14のすり鉢状の傾斜を円筒形酸化物成形体1の底面側端部1bのテーパの大きさに合わせる構成としている。
具体的には、例えば、円筒形酸化物成形体1の外径がφ200mm程度であれば、敷板10の凹部14の円筒形酸化物成形体1を直立させる位置から敷板10の中心Oにかけてのすり鉢状の傾斜は、テーパの場合、20〜30度、曲率半径であれば、160〜200mmとすることが好ましく、特に、180mmが好ましい。また、敷板10の凹部14のすり鉢状の傾きは、R形状の方がより円筒形酸化物成形体1の頂面側端部1a及び底面側端部1bのテーパ形状に近いためより好ましい。このように、敷板10の凹部14を円筒形酸化物成形体1の底面側端部1bの形状に合わせることによって、成型体1を均一に支えることができる上で、焼結時の成形体の倒れ防止にも有効となる。
なお、敷板10の凹部14のすり鉢状の傾斜が少ないと、滑りが不十分となり、円筒形酸化物成形体1が同心円状に収縮することが難しくなり、高真円度が保てなくなる。このため、敷板10の凹部14の傾斜角度は、当該成形体1が十分滑りやすい傾斜角度であることが好ましいので、上述したように、凹部14の傾きは、上述した数値範囲となるような曲率半径を伴うR状の傾きとすることが好ましく、直線状のテーパとした場合には、20〜30度の傾きとすることが好ましい。
このように、本実施形態では、すり鉢状の形状の敷板10を用いて円筒形酸化物成形体1を支持することによって、当該円筒形酸化物成形体1は、焼結時に自重により敷板10の凹部14のすり鉢状の傾斜に沿って中心に向かって均一に収縮されるようになる。このため、焼結工程後においても歪みや変形の少ない真円度の高い円筒形酸化物焼結体2が効率的に得られるようになる。
特に、本実施形態では、CIPにより加圧成形されて得られる円筒形酸化物成形体の底面側に形成されるテーパの形状に合わせて、凹部が形成されたすり鉢状の敷板を用いて、当該成形体を支持して焼成を行うので、CIPにより加圧成形されて得られた円筒形酸化物成形体を焼成して円筒形酸化物焼結体を作製する際に、より効率的に歪みや変形の少ない真円度の高い円筒形酸化物焼結体が得られるようになる。
このように、円筒形酸化物成形体の高温焼結に伴う収縮変形対策として、従来のような丸棒や球体の転がりによる複雑な構成とするのではなく、本実施形態では、アルミナやジルコニウム等の耐熱性のセラミックスからなる炉焼板となる敷板として、すり鉢状の敷板を用いて当該成形体を支持することによって、容易に真円度の高い円筒形酸化物焼結体が得られるようになっている。
すなわち、本実施形態では、円筒形酸化物成形体自体の熱収縮による寸法変化に対して重力に引き寄せられる力を加えることによる円筒形酸化物成形体の均一熱収縮の自然作用を妨げずに焼結させることによって、焼結前の真円度1.0の円筒形酸化物成形体から焼成工程中に真円度が低下し難い円筒形酸化物焼結体が得られるようになっている。
従来のような真円度が低い円筒形酸化物焼結体では、焼結体の内径及び外径が歪んで断面が楕円になる傾向があり、真円度の高い円筒形バッキングチューブにInろう材でろう付けするのに適した同様に真円度の高い円筒形酸化物加工体を得るためには、焼結体の内径及び外径の歪みや楕円傾向を考慮した分を増量した大型の成形体を必要としていた。このため、原料粉末を過剰に使用することによるコストアップ及び過剰な分の焼結体を研削加工するための加工時間の長時間化や、加工砥石の消耗劣化を早める等の生産性を高める上での課題となっていた。
これに対して、本実施形態の円筒形酸化物焼結体の製造方法では、円筒形酸化物焼結体の真円度を高位で安定させることが実現されるので、焼結体の変形分を考慮することなく、円筒形酸化物成形体の体積を決定できる。このため、原料粉末の節約をした上で、高真円度が求められる加工体の研削加工時間の短縮と加工砥石の消耗劣化の抑制が図ることによって、結果的に円筒形酸化物加工体の生産性向上が可能となるので、極めて大きな工業的価値を有する。
次に、本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法について、実施例により詳しく説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1は、Sn−Zn−O系酸化物焼結体とした。本実施例では、はじめに、酸化亜鉛粉末と酸化錫粉末を酸化錫粉末の割合が47.6質量%で秤量し、原料酸化物粉末の濃度が65質量%となるように、純水とバインダのポリビニルアルコール(PVA)と分散剤を加えてビーズミル(アシザワファインテック株式会社製)で混合及び解砕して所望のスラリーを得た。このスラリーをスプレードライヤ(大川原化工機株式会社製)で噴霧乾燥して比重約2g/cmの球状造粒粉末を得た後、当該造粒粉末を円筒形ゴム型に充填して圧力294MPaの冷間静水圧プレス(冷間等方圧加圧、CIP)装置に投入して外径200mm、内径160mm、高さ300mmの円筒形酸化物成形体を作製して、常圧焼成炉(丸祥電器株式会社製)で高温焼成して4個の円筒形酸化物焼結体を得た。
本実施例では、焼結の際、円筒形酸化物成形体及び直径300mmのアルミナ製の敷板を円筒形酸化物成形体中心軸と敷板中心軸が概略一致するように配置した(図3参照)。詳しくは、敷板のすり鉢は、曲率半径180mmで凹面加工し表面粗さRaを3μm以下のものを使用した。また、敷板のすり鉢底部には、焼結密度に影響するガスを導入するための中空状のガス導入管を設置した。ガス導入管は、外径90mm、内径40mm、高さ130mmとした。さらに、ガス導入管の横壁に直径30mmの導入口を4カ所設けた。なお、敷板表面の算術平均粗さRaを3μm以下としたのは、円筒形酸化物成形体のすべり易さを考慮したものである。
また、焼結工程は、常圧焼成炉内に配置した本発明の一実施形態に係る敷板のガス導入管に空気を流しながら450℃まで昇温してバインダを除去した後、続いて酸素ガスを流しながら1350℃まで昇温して焼結を行って、円筒形酸化物焼結体を作製した。これらの円筒形酸化物焼結体を冷却後に取り出した円筒形酸化物焼結体の全数4個とも当初配置した中心軸位置を大きく外れることなく、外径約165mm、内径約130mm、高さ約260mmに収縮した。さらに、ノギスを用いて焼結体下端部の内径4か所を測定した結果では、内径最大値と最小値の差が平均0.8mm、真円度で約0.99とほぼ真円の焼結体が得られた。
この後、円筒形酸化物焼結体は外径155mm、内径135mm、高さ240mmに研削加工し、外径133mm、内径125mm、長さ300mmの円筒形バッキングチューブにInろう材でろう付けして、長さ300mmの円筒形スパッタリングターゲットを作製して、これにDCスパッタリングを実施したところでは、スパッタリング中の異常放電はなく、ターゲットの割れもなかった。なお、スパッタリングは、電力2.5kW、0.3PaのArガスを導入して実施した。
(比較例1)
本発明の一実施形態に係るすり鉢状の敷板を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして円筒形酸化物焼結体を4個作製した。結果、比較例1の焼結体も炉内位置の大きな移動はなかったが、4個とも歪み楕円状の変形がみられた。ノギスを用いて焼結体下端部内径を測定したところ最大値と最小値の差は、平均6.0mmと真円度で約0.96となった。また、その円筒形焼結体4個を外径155mm、内径135mm、高さ240mmに研削加工したところ、2個に微小な割れが発生し、残りの割れのない1個を外径133mm、内径125mm、長さ300mmのバッキングチューブにInろう材を用いてろう付けして、長さ300mmの円筒形ターゲットを作製した。
しかしながら、電力2.5kW、0.3PaのArガスを導入してDCスパッタリングしたところ、異常放電が発生しターゲットに割れが発生した。そのため、割れた加工体をバッキングチューブから取り外して、代わりに割れていない加工体をInろう材でろう付けし直して円筒形ターゲットを作製して、再び上記条件でDCスパッタリングしたところ正常に放電しターゲットの割れも見られなかった。
実施例1と比較例1で示した各4個の円筒形酸化物焼結体の内径差と、内径差から計算された真円度、及び個々の焼結体を研削加工した後の割れの有無について、下記の表1にまとめて、本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法による効果を整理した。
Figure 0006875890
表1に示すように、実施例1における焼結体真円度は、4個とも0.99以上と高い真円度であり、加工体の割れも4個中0個であったが、比較例1における焼結体真円度は、ばらつきが見られ、悪いもので焼結体真円度が0.93となっていた。また、4個中比較的真円度が低い2個の焼結体には、加工体にした際に割れが起きていた。この原因は、比較例1の成形体の焼結が進んでいく際に、本来1.0であった成形体の断面となる真円形状が楕円形状に変形することで焼結体中に歪みを残した結果、その歪みが研削加工中の外力の影響を受けて加工体の割れを引き起こしたものと考えられる。
このように成形体の断面が楕円形状に変形した理由として、円筒形酸化物成形体の底部と敷板との接触部分での偶発的な引っかかりにより成形体の自然の均等な熱収縮を妨げたことによるものと考えられる。なお、焼結する以前の成形体の真円度は、実施例1及び比較例1共に全て1.0であることを確認している。
以上の結果から、焼成炉で成形体を焼結させて焼結体を作製する際に、本発明の一実施形態に係るすり鉢状の敷板を使用しなかった比較例1と比べて、すり鉢状の敷板を使用した実施例1では、より真円度の高い焼結体がバラツキなく作製されていたので、焼結体の割れの発生が抑制されることが分かった。このことから、本発明の一実施形態に係る円筒形酸化物焼結体の製造方法における敷板を適用することによって、より真円度の高い焼結体が確実に作製されるので、焼結体の割れを抑制できることが分かった。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、円筒形酸化物焼結体の製造方法で使用する敷板の構成、円筒形酸化物焼結体の製造方法の動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
1 円筒形酸化物成形体、1a 頂部側傾斜面、1b 底部側傾斜面、2 円筒形酸化物焼結体、10 敷板、12 台座、14凹部、14a 外縁部、14b 内側面、16 ガス導入管、16a (側面側)ガス導入口、16b (底部側)ガス導入口、16c (頂部側)ガス導入口、S11 成形工程、S12 配置工程、S13 焼成工程

Claims (7)

  1. 焼成炉を用いて円筒形酸化物成形体を焼結させて円筒形酸化物焼結体を製造する円筒形酸化物焼結体の製造方法であって、
    円筒形成形型のキャビティ内に原料粉末又は造粒粉末を充填し、加圧成形して円筒形酸化物成形体を得る成形工程と、
    前記円筒形酸化物成形体を前記焼成炉内に敷板を介して配置する配置工程と、
    前記敷板を介して配置した円筒形酸化物成形体を前記焼成炉において焼成して円筒形酸化物焼結体を得る焼成工程と、を有し、
    前記敷板は、台座部と、外縁が前記台座部の頂面側に設けられ、該外縁から中心にかけて傾斜を有するように凹状に形成される凹部と、前記凹部の中心側から立設された、外径が前記円筒形酸化物焼結体の内径より小さい円筒形状のガス導入管と、が一体的に形成されてなり、
    前記配置工程では、前記ガス導入管を覆うように、前記円筒形酸化物成形体を直立させて配置することを特徴とする円筒形酸化物焼結体の製造方法。
  2. 前記敷板の前記凹部は、前記外縁から中心にかけて全方位に亘り同じ曲率で縮径するように凹状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の円筒形酸化物焼結体の製造方法。
  3. 前記ガス導入管の側面には、複数のガス導入口が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の円筒形酸化物焼結体の製造方法。
  4. 前記敷板は、アルミナ又はジルコニアから形成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の円筒形酸化物焼結体の製造方法。
  5. 前記敷板の表面粗さを算術平均粗さRaで3μm以下とすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の円筒形酸化物焼結体の製造方法。
  6. 前記成形工程では、冷間等方圧加圧により加圧成形して前記円筒形酸化物成形体を得ることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の円筒形酸化物焼結体の製造方法。
  7. 円筒形酸化物成形体を焼成炉内に配置し、該円筒形酸化物成形体を焼結させて円筒形酸化物焼結体を製造する際に介在させる敷板であって、
    台座部と、
    外縁が前記台座部の頂面側に設けられ、該外縁から中心にかけて傾斜を有するように凹状に形成される凹部と、
    前記凹部の中心側から立設された、外径が前記円筒形酸化物焼結体の内径より小さい円筒形状のガス導入管と、
    が一体的に形成されてなることを特徴とする敷板。
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