JP6896445B2 - 熱接着テープの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2では、ビニルベンジルエーテル化ノボラック樹脂、ノボラック型又はレゾール型フェノール樹脂、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物及びヘキサメチレンテトラミンからなる硬化性樹脂組成物が開示されている。
特許文献3では、部分エステル化エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、オクタノイルペルオキシド等の有機過酸化物、フェノール樹脂および有機ケイ素化合物を含む液晶表示セル用シール剤が開示されている。
しかしながら、接着層に酸が含まれていると、熱接着テープの保管時等の熱接着テープを加熱していないときであっても、酸により、フェノール樹脂と架橋剤との反応が徐々に促進され接着層の硬化が進行する場合がある。熱接着テープの加熱圧着前において接着層の硬化が既に進行している場合、被着体を熱接着テープに加熱圧着しても、被着体に対する熱接着テープの接着力が十分に得られないおそれがある。
本発明は、加熱されたときの接着層の硬化が促進され、保管時等の加熱されていないときに接着層が硬化しにくい熱接着テープ等を提供することを目的とする。
図1は、本実施の形態が適用される熱接着テープ1について示した断面図である。
図示する熱接着テープ1は、基材2と、基材2の一方および他方のそれぞれの表面側に設けられた接着層3とを備える。なお以後、説明の便宜上、図中一方の表面側である上部の接着層3を接着層3a(第1の接着層)と言い、図中他方の表面側である下部の接着層3を接着層3b(第2の接着層)と言うことがある。なお図示はしていないが、図1において、接着層3の基材2とは逆の表面側に剥離ライナー等を備えていてもよい。
また熱接着テープ1の厚さが250μmを超えると、熱接着テープ1を巻回させてロール状の製品にするときに過度にロールの径が大きくなったり、シワが入りやすくなる。また熱接着テープ1の製造工程において溶剤が残存しやすくなったり、接着層3表面に凹凸ができやすく外観が悪化しやすくなる。
基材2は、接着層3を形成する支持体となるものである。そして基材2は、熱接着テープ1全体の機械的強度を確保する機能が求められるとともに、熱接着テープ1が貼り付けられる被着体に対し追従し、柔軟にその形状を変化することができる機能が求められる。
本実施の形態では、この接合部3cが生じることにより、基材2と接着層3との密着性が向上するとともに、基材2自身の層割れを防ぐことができ、接着層3が本来有する凝集力を十分に発現することが可能となる。なお図では、開口部Hの全てに接合部3cが形成されているが、必ずしもその必要はなく、接合部3cは、一部の開口部Hに形成されていれば足りる。
また基材2の厚さは、30μm以上120μm以下であることが好ましい。
接着層3は、加熱することで硬化し、その際に加圧されることで熱接着テープ1と被着体との間で接着力を発揮させる機能層である。
本実施の形態では、接着層3は、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、フェノール樹脂、過酸化物、およびフェノール樹脂架橋剤を含む。
分岐構造を有するアクリルニトリル−ブタジエンゴムは、接着層3に対し適度な柔軟性を付与すると同時に極めて高い凝集力を付与することができる。本実施の形態において使用される分岐構造を有するアクリルニトリル−ブタジエンゴムは、アクリルニトリル−ブタジエンゴムの中でも、重合温度が25℃〜50℃で製造されるホットラバーに分類されるもので、例えば、下記化1式で表される。
本実施の形態では、分岐構造を有するアクリルニトリル−ブタジエンゴムとして、例えば、重量平均分子量(Mw)が30万のものを使用することができる。
ここで、本実施の形態では、分解することに起因して酸を発生させる過酸化物を好適に使用することができる。すなわち、この過酸化物が接着層3に含まれていると、熱接着テープ1が加熱されたときに接着層3が硬化する速度が向上する。具体的には、本実施の形態の熱接着テープ1を加熱すると、上述したように、まず、過酸化物が熱分解し、発生した遊離ラジカルによりアクリルニトリル−ブタジエンゴムが架橋される。この際、遊離ラジカルはアクリルニトリル−ブタジエンゴムから引き抜いた水素と反応し、酸を生成する。次いで、この酸によりフェノール樹脂とフェノール樹脂架橋剤との反応が促進されフェノール樹脂の架橋が起こりフェノール樹脂の硬化が促進されることで、接着層3が硬化する速度が向上する。
ここで、半減期温度とは、1分間過酸化物を加熱したときに、過酸化物が分解することで過酸化物の濃度が加熱直前の濃度から半減する温度を意味する。
過酸化物の半減期温度が130℃よりも低い場合、過酸化物を加熱していないときであっても過酸化物が分解して酸が発生しやすくなる。この場合、熱接着テープ1の保管時等の熱接着テープ1を加熱していないときであっても、フェノール樹脂の硬化が進行しやすくなる。
過酸化物が0.5質量部未満であると、この過酸化物から発生する酸の量が少なく、熱接着テープ1を加熱したときのフェノール樹脂の硬化が促進されにくい。
また、過酸化物が5質量部を超えると、過酸化物を加熱していないときに過酸化物が徐々に分解することで発生する酸の量が多くなる。この場合、熱接着テープ1の保管時等の熱接着テープ1を加熱していないときであっても、フェノール樹脂の硬化が進行しやすくなる。
図2は、熱接着テープ1の製造方法について説明したフローチャートである。
まず剥離ライナーおよび目付量が40g/m2以下の不織布からなる基材を準備する(ステップ101:剥離ライナー・基材準備工程)。
さらに、この塗布膜を乾燥させることで、剥離ライナーの上に接着層3a(第1の接着層)が形成される(ステップ104)。このステップ103〜ステップ104の工程は、剥離ライナーに接着層用溶液を塗布し、第1の接着層を形成する第1の接着層形成工程として捉えることができる。
次に剥離ライナーに形成された接着層3a(第1の接着層)に基材2の一方の表面側を貼り合せる(転写する)。(ステップ105:貼り合せ工程)
さらにこの塗布膜を乾燥させることで、基材2の他方の表面側に接着層3b(第2の接着層)が形成される(ステップ107)。このステップ106〜ステップ107の工程は、基材2の他方の表面側に接着層用溶液を塗布し、第2の接着層を形成する第2の接着層形成工程であると把握することができる。
なおここでは基材2に接着層3bを形成する際に、基材2の上に直接接着層3bを形成したが、別の剥離ライナーに接着層3bを形成した後、基材2に転写してもよい。また接着層用溶液を基材2の両面に同時に塗布し、接着層3aおよび接着層3bを同時に形成してもよい。
以上の工程により全体の厚さを、100μm以上250μm以下とし、本実施の形態の熱接着テープ1を製造することができる。
その一方で、熱接着テープ1を加熱していないときには、過酸化物の分解が起こりにくく酸が発生しにくいため、接着層3の硬化が進行しにくい。そのため、熱接着テープ1を使用せずに保管している間、熱接着テープ1の接着力が失われにくい。
〔熱接着テープ1の作製〕
(実施例1)
本実施例では、基材2として、目付量が5g/m2、厚さが30μmの不織布を用いた。またこの不織布の繊維は、比重1.38のポリエステルからなるものを使用した。具体的には、JX ANCI株式会社製のミライフT05(登録商標)を使用した。
まず溶剤として酢酸エチルを用い、この溶剤に分岐構造を有するアクリルニトリル−ブタジエンゴム、フェノール樹脂、過酸化物、およびフェノール樹脂架橋剤を投入し撹拌することで溶解させ、固形分濃度40質量%の接着層用溶液を作製した。このとき分岐構造を有するアクリルニトリル−ブタジエンゴムとしては、日本ゼオン株式会社製のNipol(登録商標)1001LGを用いた。またフェノール樹脂としては、荒川化学工業株式会社製のタマノル(登録商標)531を用いた。なお、タマノル531にはフェノール樹脂架橋剤として、ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン)が9質量%含まれる。また、分岐構造を有するアクリルニトリル−ブタジエンゴムとフェノール樹脂との質量比率は、100/120とした。また過酸化物としては、日油株式会社製のナイパーBMTを用いた。
なお、ナイパーBMTの半減期温度は、131℃である。また接着層3は、アクリルニトリル−ブタジエンゴムを100質量部としたときに、ナイパーBMTを3質量部含むようにした。
次に接着層3aに基材2を貼り合せた。
続いて基材2の他方の表面側に接着層用溶液を塗布し、乾燥させることにより接着層3bを形成した。そして熱接着テープ1全体の厚さを140μmとした。
以上の工程により本実施例の熱接着テープ1を作製した。
実施例1に対し、表1に示すように変更を行なった以外は、実施例1と同様にして熱接着テープ1を作製した。
つまり実施例2、3、6では、接着層3に含まれる過酸化物の種類を変更したものを使用した。具体的には、実施例2では、日油株式会社製のパーブチルOを使用した。下記化5式の一般式(4)は、パーブチルOとしての2−エチルヘキサノイル−t−ブチルペルオキシドの構造式である。一般式(4)における2−エチルヘキサノイル−t−ブチルペルオキシドを加熱すると、酸素−酸素結合が開裂してラジカルが2−エチルヘキサノイル−t−ブチルペルオキシドに対して1当量生成し、このラジカルは、カルボン酸になる。つまり、パーブチルOを熱分解すると、このパーブチルOに対して酸が1当量発生する。なお、パーブチルOの半減期温度は、134℃である。また接着層3は、アクリルニトリル−ブタジエンゴムを100質量部としたときに、パーブチルOを3質量部含むようにした。
実施例1に対し、表1に示すように変更を行なった以外は、実施例1と同様にして熱接着テープ1を作製した。
つまり比較例1では、接着層3に過酸化物が含まれていない。
また、比較例2では、過酸化物の替わりとしての安息香酸が接着層3に含まれている。
また、比較例3では、過酸化物として、日油株式会社製のパーヘキシル(登録商標)Iを使用した。下記化8式の一般式(7)は、パーヘキシルIとしてのt−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネートの構造式である。一般式(7)におけるt−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネートを加熱すると、ラジカルおよび二酸化炭素が生成するが、酸は発生しない。なお、パーヘキシルIの半減期温度は、155℃である。また接着層3は、アクリルニトリル−ブタジエンゴムを100質量部としたときに、パーヘキシルIを3質量部含むようにした。
実施例1〜6および比較例1〜3の熱接着テープについての接着力の評価として、熱接着テープに剪断力を加え、これに対する接着力を評価した。
具体的には、2枚のガラスクロスを用意し、この2枚のガラスクロスで熱接着テープを挟み、加熱圧着により、2枚のガラスクロスを熱接着テープで接合した。評価に使用したガラスクロスの厚さは0.17mm、破断強度は約300N/10mmである。
なお、2通りの加熱圧着の条件により、ガラスクロスを熱接着テープで接合したものを準備した。具体的には、160℃、1.47×105N/m2の圧力で20秒間押圧を行ってガラスクロスを熱接着テープで接合したものと、170℃、1.47×105N/m2の圧力で10秒間押圧を行ってガラスクロスを熱接着テープで接合したものとを準備した。
また、実施例1〜6および比較例1〜3の熱接着テープについての、加熱圧着時において接着層が硬化する速度の評価として、加熱圧着後における熱接着テープの不溶解分を評価した。ここで、熱接着テープの不溶解分とは、熱接着テープの全重量に対する、熱接着テープのうちの溶剤に溶解していない分の重量の割合を意味する。
酸とフェノール樹脂とが反応して生成する生成物は、溶剤に対して不溶の性質を有する。そのため、加熱圧着後における熱接着テープの不溶解分が多いほど、加熱圧着時においてより多くの酸が発生し、反応が進行したと考えられる。加熱圧着時において発生した酸の量が多いほど、接着層が硬化する速度がより速まる。
なお、加熱圧着の条件は、保管前接着力評価における加熱圧着の条件と同様のものとした。すなわち、160℃、1.47×105N/m2の圧力で20秒間押圧を行って剥離ライナーを熱接着テープで接合したものと、170℃、1.47×105N/m2の圧力で10秒間押圧を行って剥離ライナーを熱接着テープで接合したものとを準備した。また、不溶解分評価では、実施例1〜6および比較例1〜3の熱接着テープについて、基材が含まれていないものを用いた。
その後、この熱接着テープを溶剤としての10g〜20gのメチルエチルケトンに浸漬し、ミックスローターで24時間攪拌させた。続いて、ステンレスメッシュを用いて溶液を濾過し、熱接着テープの不溶解分を抽出した。ステンレスメッシュは、100meshのものを用いた。なお、このメッシュの未使用時における重量を、重量W2とする。
その後、熱接着テープの不溶解分が残存しているメッシュを、防爆型乾燥機により80℃の環境下で乾燥させ、その後放冷した。続いて、このメッシュの重量を測定し、測定値をW3とした。そして、((W3−W2)/W1)から算出される不溶解分を評価した。なお、実施例1〜6および比較例1〜3の熱接着テープについて、加熱圧着前の不溶解分は、何れも0%であった。
また、実施例1〜6および比較例1〜3の熱接着テープについての、一定期間の保管後における接着力について評価した。
具体的には、実施例1〜6および比較例1〜3の熱接着テープについて、これらの熱接着テープの作製後、80℃の環境下で1週間保管した。そして、保管前接着力評価の方法と同様の条件での加熱圧着により、2枚のガラスクロスを保管後の熱接着テープで接合し、被着体である2枚のガラスクロスに対して剪断力を加え、これに対する接着力の評価を行った。
さらに、熱接着テープを加熱圧着せずに保管しているときにおける接着層の硬化の程度を評価するために、実施例1〜6および比較例1〜3の熱接着テープについての、一定期間の保管後における不溶解分を評価した。
熱接着テープの保管後における不溶解分が多いほど、保管時に、接着層に含まれる過酸化物からより多くの酸が発生し、反応が進行していると考えられる。保管時に多くの酸が発生するほど、加熱圧着前において接着層が硬化する程度が大きくなる。
その後、保管前不溶解分評価の方法と同様の方法により、ステンレスメッシュを用いて熱接着テープの不溶解分を抽出した。ただし、保管後不溶解分評価では、保管時において酸が発生した量を評価するため、保管前不溶解分評価とは異なり、加熱圧着していない熱接着テープの不溶解分を抽出している。
そして、メッシュの未使用時における重量を重量W5、熱接着テープの不溶解分が残存しているメッシュの重量を重量W6として、((W6−W5)/W4)から算出される不溶解分を評価した。
接着力の評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜6の熱接着テープ1については、いずれの条件による加熱圧着で作製したものも、保管前の接着力、1週間保管後の接着力のそれぞれに対し全て合格であった。
また、実施例1〜6の熱接着テープ1については、いずれの条件による加熱圧着で作製したものも、保管前の不溶解分が大きく増加しており、加熱圧着時の接着層の硬化が促進されていると考えられる。さらに、1週間保管後の熱接着テープについての不溶解分の増加が抑制されており、保管時の接着層の硬化が進みにくくなっていると考えられる。
これについて、比較例1では、過酸化物をそもそも用いておらず、また比較例3では、過酸化物は用いているもののこの過酸化物は分解することに起因して酸を発生させない。そのため、この比較例1および比較例3では、いずれも、熱接着テープの加熱圧着の際に酸が発生せず、フェノール樹脂の架橋が十分に進行しておらず、接着層の硬化が不十分であり、これにより、被着体に対する熱接着テープの接着力が十分に得られなかったものと考えられる。
これは、熱接着テープを1週間保管している間に、安息香酸とフェノール樹脂とが反応してフェノール樹脂の架橋が進行し、接着層の硬化が進行したものと考えられる。そして、この接着層の硬化が十分に進んだ後に被着体を熱接着テープに加熱圧着しても、被着体に対する熱接着テープの接着力が十分に得られなかったものと考えられる。
Claims (1)
- 剥離ライナーおよび不織布からなる基材を準備する剥離ライナー・基材準備工程と、
アクリルニトリル−ブタジエンゴム、フェノール樹脂、分解することに起因して酸を発生させる過酸化物、およびフェノール樹脂架橋剤を含む接着層用溶液を作製する接着層用溶液作製工程と、
前記剥離ライナーに前記接着層用溶液を塗布し、第1の接着層を形成する第1の接着層形成工程と、
前記剥離ライナーに形成された前記第1の接着層に前記基材の一方の表面側を貼り合せる貼り合せ工程と、
前記基材の他方の表面側に前記接着層用溶液を塗布し、第2の接着層を形成する第2の接着層形成工程と、
を含む、熱接着テープの製造方法。
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