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JP6901129B2 - 表面処理方法、マスキング材 - Google Patents
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本発明は、自動車等の製造時に塗装やメッキ等の表面処理をする際の表面処理方法、およびその表面処理方法で使用するマスキング材に関するものである。
自動車等に使用される樹脂製の部品の多くは、外観の向上のため、塗装やメッキ等の表面処理が施されている。こうした表面処理が施された部品の中には、複数が組み合わされることにより、複合部品として構成されるものがある。
前記複合部品では、部品同士が接触等する個所に表面処理が施されている場合、その接触等する個所に振動、摺動、衝撃等の外力が加わると、擦れ音や軋み音等の不快な異音が発生する場合がある(例えば、特許文献1,2)。こうした表面処理が施された個所での異音の発生はスティックスリップ現象とも呼ばれており、通常は、異音の発生を抑制する手法として、フッ素コーティング等による表面改質、不織布等の貼付、潤滑剤の塗布等が採用されている。
特開2009−045841号公報 特開2011−073231号公報
ところが、上記の表面改質や不織布等の貼付や潤滑剤の塗布等を行うと、複合部品の組み立て作業で工程数が増してしまうため、組み立て作業が煩雑で長時間を要するものとなり、製造コストが高騰するという問題があった。
また、異音の発生の原因となる前記表面処理を、部品同士が接触等する個所に施さない手法も考えられた。しかし、部品同士の間には僅かな隙間が形成されており、この隙間から表面処理の施されていない個所が見えてしまい、外観品質が著しく低下することになるため、前記手法を採用することができないという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、外観品質を低下させることなく、簡易な作業で異音の発生を抑制することができる表面処理方法を提供することにある。
上記従来の問題点を解決する手段として、請求項1に記載の表面処理方法の発明は、複数の部品が組み合わされて為る複合部品の各部品に塗装又はメッキによる表面処理を施す方法であって、部品同士の接触部について、外縁部分では各部品に前記表面処理を施して処理領域を設け、前記処理領域よりも内側部分では部品同士のうち少なくとも一方に前記表面処理を施さずに非処理領域を設けることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表面処理方法の発明において、前記複数の部品同士の間には隙間からなる見切り部が設けられており、該見切り部の幅長Wに比べて、前記処理領域の前記接触部の外縁からの幅長Wが長くなるように設定されている(W>W)ことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の表面処理方法の発明において、前記処理領域の前記接触部の外縁からの幅長Wが5mm以下に設定されている(5mm≧W)ことを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の表面処理方法で使用するマスキング材であって、前記非処理領域を被覆可能な所定形状に形成されていることを要旨とする。
〔作用〕
本発明の表面処理方法では、塗装又はメッキによる表面処理が施される複合部品の各部品において、部品同士の接触部には、前記表面処理が施される処理領域と、前記表面処理が施されない非処理領域とが設けられている。前記部品同士の接触部では、前記非処理領域を設けた分、表面処理を施された部位同士の接触が避けられるため、異音の発生を抑制することができる。前記非処理領域は、前記接触部で前記表面処理を施さないという簡易な作業で設けることが可能であるため、前記複合部品の組み立て作業が煩雑で長時間になることを抑えることができる。
前記表面処理が施される前記処理領域は、前記接触部の外縁部分に設けられている。前記接触部で前記処理領域よりも内側部分は、前記非処理領域とされている。そして、部品同士の間の見切り部からは前記処理領域が見えて、前記非処理領域が見えないので、外観品質の低下を抑制することができる(請求項1)。
また、前記複合部品において、部品同士の間には、見栄え等を考慮して、隙間からなる見切り部が設けられている場合がある。前記処理領域は、前記接触部の外縁からの幅長Wを、前記見切り部の幅長Wを超える長さに設定(W>W)することにより、前記見切り部から前記非処理領域が見えてしまうことを抑制し、外観品質の低下を好適に抑制することができる(請求項2)。
更に、前記処理領域は、前記接触部の外縁からの幅長Wを、5mm以下に設定(5mm≧W)することにより、前記表面処理を施された部位同士の接触を好適に減らすことができるため、異音の発生を好適に抑制することができる(請求項3)。
本発明のマスキング材は、前記非処理領域を被覆可能な所定形状に形成されている。このため、前記部品の所定個所に前記マスキング材を装着して前記表面処理を施すという簡単な作業で前記非処理領域を容易に設けることができる(請求項4)。
〔効果〕
本発明によれば、外観品質を低下させることなく、簡易な作業で異音の発生を抑制することができる。
実施形態の複合部品を(a)は組み立てる状態、(b)は組み立てた状態を示す斜視図。 (a)は加飾部品の裏面を示す背面図、(b)はベース部品の表面を示す正面図。 複合部品の一部を拡大及び破断した状態を示す説明図。 実施形態のマスキング材をベース部品に(a)は装着する状態、(b)は装着して表面処理した状態を示す斜視図。
本発明を具体化した実施形態を、図面に基づき、以下に説明する。
図1(a),(b)に示すように、複合部品10は、組み合わされる複数の部品としてベース部品11と加飾部品12とを備えており、ベース部品11に加飾部品12が組み付けられることによって構成されている。
前記ベース部品11は、その表面(図1中で上面)に凹部13を有する形状に形成されている。前記加飾部品12は、ベース部品11の凹部13に収容可能な形状及びサイズに形成されているとともに、ベース部品11に組み付けられた状態で、加飾部品12の表面(図1中で上面)がベース部品11の表面と略面一になるように形成されている。
前記複合部品10において、略面一とされたベース部品11の表面と、加飾部品12の表面との間には、外観向上のために、隙間からなる見切り部14が、略均一な幅長で設けられている。
前記ベース部品11の凹部13の内底面13Aで周縁部には、複数の挿入孔15が、ベース部品11を厚み方向に貫通して形成されている。前記加飾部品12の裏面12A(図1中では図示略)には複数のピン16が、ベース部品11の挿入孔15と対応する位置になるように設けられている。
前記ピン16は、ベース部品11の挿入孔15に挿入可能な形状及びサイズに形成されているとともに、中央片16Aが加飾部品12の裏面12Aへ近づくに従い外側へ開く形状に形成されている。
前記ベース部品11への前記加飾部品12の組み付け時には、ベース部品11の挿入孔15に加飾部品12のピン16が挿入される。挿入孔15に挿入されたピン16は、挿入孔15を通り抜けた状態で、中央片16Aがベース部品11の裏面(図示略)に係止されることで、挿入孔15に対して抜け止めされる。
前記複合部品10において、前記ベース部品11には、塗装による表面処理が施されており、前記加飾部品12には、メッキによる表面処理が施されている。そして、複合部品10では、ベース部品11の凹部13の内底面13Aと、加飾部品12の裏面12Aとが、ベース部品11と加飾部品12との接触部となる。
前記ベース部品11と前記加飾部品12としては、具体的に自動車のフロントグリルとエンブレム、バックドアパネル又はトランクフードパネルとガーニッシュ、サイドドアパネルとモールディング又はガーニッシュ、コンソールパネルとシフトゲート又はコンソールカバー、メーターパネルとメーターリング、インテリジェントキーとボタンスイッチ等が例示される。
なお、複合部品10を構成するベース部品11及び加飾部品12としては、外観向上のため、両方共に塗装による表面処理が施されるもの、両方共にメッキによる表面処理が施されるもの、又は何れか一方のみに塗装による表面処理が施されて他方のみにメッキによる表面処理が施されるものであれば、特に限定されない。また、複合部品10は、ベース部品11と加飾部品12の2個の部品のみからなるものに限定されず、ベース部品11に対して2個以上の加飾部品12が組み付けられる等のように、3個以上の部品からなるものであってもよい。
図2(a)に示すように、前記接触部において、加飾部品12の裏面12Aには、メッキによる表面処理が、裏面12Aの全面にわたって施されている。
図2(b)に示すように、前記接触部において、ベース部品11の凹部13の内底面13Aには、塗装による表面処理を外周縁部分に限定して施すことにより、処理領域17が平面視枠状に設けられている。また、内底面13Aにおいて処理領域17の内側部分には、表面処理が施されないことによって、非処理領域18が設けられている。
前記複合部品10において、ベース部品11と加飾部品12の接触部では、ベース部品11の凹部13の内底面13Aに、表面処理を施した処理領域17と、表面処理を施さない非処理領域18とが設けられている。接触部において非処理領域18には、表面処理が施されていないことから、塗装による被膜(以下、「塗膜」とする)が存在しない。このため、接触部の非処理領域18では、加飾部品12のメッキによる被膜(以下、「メッキ膜」とする)と、塗膜との接触が防止されている。結果、メッキ膜と塗膜との接触個所に振動、摺動、衝撃等の外力が加わることによる擦れ音や軋み音等の不快な異音の発生(スティックスリップ現象)が抑制されている。
図3に示すように、前記複合部品10において、加飾部品12の外周面とベース部品11の凹部13の内周面との間には、前記見切り部14が設けられているため、見切り部14を介して外部から凹部13の内底面13Aが見える。この凹部13の内底面13Aにおいて、見切り部14を介して外部から見えることになる外周縁部分には、処理領域17が設けられており、この処理領域17には塗膜が存在する。従って、凹部13の内底面13Aでは、外部から見切り部14を介して、処理領域17の塗膜が見える。このため、外部から見切り部14を介して、表面処理の施されていない非処理領域18が見えることがなく、外観品質の低下が抑制される。
前記処理領域17は、接触部である凹部13の内底面13Aの外縁からの幅長Wが、前記見切り部14の平面視における幅長W(前記凹部13の内周縁と前記加飾部品12の外周縁との間の長さ)に比べて長くなるように、つまり幅長Wは、下限値が幅長Wを越えるように設定される(W>W)。幅長Wの下限値が過剰に短い場合、外部から見切り部14を介して非処理領域18が見えてしまい、外観品質が低下してしまう。
幅長Wの上限値は、好ましくは幅長Wの5倍以下(5×W≧W)、より好ましくは幅長Wの3倍以下(3×W≧W)、さらに好ましくは幅長Wの2倍以下(2×W≧W)に設定される。概ね見切り部14の幅長Wは1mm以下に設定されることから、具体的に幅長Wは、好ましくは5mm以下(5mm≧W)、より好ましくは3mm以下(3mm≧W)、さらに好ましくは2mm以下(2mm≧W)に設定される。幅長Wの上限値が過剰に長い場合、メッキ膜と塗膜との接触面積が大きくなり、外力が加わることによる不快な異音の発生を抑制することができなくなる。
前記複合部品10において、ベース部品11を表面処理する際には、マスキング材が使用される。
図4(a)に示すように、マスキング材20は、シート状の本体部21と、この本体部21の周縁部に突設された複数の脚部22とを備えている。前記本体部21は、平面視で前記非処理領域18と対応する形状・サイズとなるように形成されている。前記脚部22は、前記凹部13の内底面13Aに設けられた挿入孔15と対応する位置に形成されているとともに、この挿入孔15内に挿入可能な形状・サイズとなるように形成されている。
図4(b)に示すように、前記ベース部品11を表面処理する際には、前記マスキング材20が、前記挿入孔15に脚部22を挿入することにより、前記凹部13内に装着される。
凹部13内にマスキング材20が装着された状態で、ベース部品11を表面処理すると、マスキング材20の本体部21で被覆されていない凹部13の内底面13Aの外周縁部分は、表面処理を施されて、処理領域17が形成される。
また、マスキング材20の本体部21で被覆されている凹部13の内底面13Aの中央部は、表面処理を施されず、非処理領域18が形成される。
すなわち、処理領域17及び非処理領域18は、ベース部品11の表面処理時に、マスキング材20を凹部13内に装着するという非常に簡易な作業で形成することができる。
前記マスキング材20の製造方法は、特に限定されず、真空成形、射出成形、3Dプリンタを用いた成形等の方法が例示されるが、これらの中でも真空成形は、低コストで短時間に大量の成形が可能であるため、好ましい方法である。
マスキング材20に使用する成形材料は、例示した真空成形等の製造方法で使用可能なものであれば特に限定されず、ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリレート系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、プロピオン酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性プラスチックが例示される。
本発明の表面処理方法及びマスキング材によれば、外観品質を低下させることなく、簡易な作業で異音の発生を抑制することができることから、産業上利用可能である。
10 複合部品
11 ベース部品
12 加飾部品
12A 裏面
13 凹部
13A 内底面
14 見切り部
15 挿入孔
16 ピン
16A 中央片
17 処理領域
18 非処理領域
20 マスキング材
21 本体部
22 脚部

Claims (3)

  1. 複数の部品が組み合わされて為る複合部品の各部品に塗装又はメッキによる表面処理を施す方法であって、
    部品同士の接触部について、外縁部分では各部品に前記表面処理を施して処理領域を設け、前記処理領域よりも内側部分では部品同士のうち少なくとも一方に前記表面処理を施さずに非処理領域を設ける工程を備え、
    前記複合部品は、凹部を有するベース部品と、前記凹部に収容可能な形状及びサイズに形成された加飾部品と、を備え、前記加飾部品が前記凹部に嵌め込まれた状態で、前記加飾部品の外周面と前記凹部の内周面との間に隙間が設けられ、
    前記工程は、前記加飾部品が接触される前記凹部の内底面について、前記内底面の外縁部分を除いた部位をマスキング材で部分的に被覆し、前記マスキング材で被覆されていない前記内底面の外縁部分に限定して前記表面処理を施すことにより前記処理領域を設けることを特徴とする表面処理方法。
  2. 前記内底面の外縁からの前記処理領域の幅長W 前記隙間の幅長Wに比べ、長くなるように設定されている(W>W)請求項1に記載の表面処理方法。
  3. 前記内底面の外縁からの前記処理領域の幅長Wが5mm以下に設定されている(5mm≧W)請求項2に記載の表面処理方法。
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