1.第1実施形態
本実施形態では、発光装置として有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置を例示する。この発光装置は、例えば、後述する電子機器としてのHMD(Head Mounted Display)に好適に用いることができるものである。
なお、以下の各図において、必要に応じて相互に直交する座標軸としてXYZ軸を付し、各矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を−方向とする。なお、+Z方向を上方、−Z方向を下方ということもあり、+Z方向から見ることを平面視あるいは平面的という。さらに、以下の説明において、例えば、基板に対して「基板上に」との記載は、基板の上に接して配置される場合、基板の上に他の構造物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接して配置され、一部が他の構造物を介して配置される場合のいずれかを表すものとする。
1.1.有機EL装置の構成
本実施形態に係る発光装置としての有機EL装置の構成について、図1から図3を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る発光装置としての有機EL装置の構成を示す概略平面図である。図2は、有機EL装置の発光画素の電気的な構成を示す等価回路図である。図3は、有機EL装置の発光画素の構成を示す概略平面図である。
図1に示すように、発光装置としての有機EL装置100は、素子基板10、複数の発光画素20、データ線駆動回路101、一対の走査線駆動回路102、および複数の外部接続用端子103を備えている。複数の発光画素20は、素子基板10の表示領域Eにマトリクス状に配置されている。データ線駆動回路101および一対の走査線駆動回路102は、複数の発光画素20を駆動制御する周辺回路である。複数の外部接続用端子103は、図示しない外部回路と電気的に接続される。本実施形態の有機EL装置100は、アクティブ駆動型、かつトップエミッション型の発光装置である。なお、以降、表示領域Eのことを表示面ともいう。
表示領域Eには、青色(B)の発光が得られる発光画素20Bと、緑色(G)の発光が得られる発光画素20Gと、赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rとが配置されている。また、同色の発光が得られる発光画素20が、±Y方向である、図面上における縦方向に配列されている。異なる色の発光が得られる発光画素20が、±X方向である、図面上における横方向にB,G,Rの順に繰り返して配置されている。
このような発光画素20の配置は、ストライプ方式と呼ばれるものである。発光画素20の配置はこれに限定されるものではない。例えば、異なる色の発光が得られる発光画素20の横方向における配置は、B,G,Rの順でなくてもよく、例えば、R,G,Bの順としてもよい。なお、発光画素20から光が出射される方向は、+Z方向であり、素子基板10の法線方向と一致する。
発光画素20の詳細な構成については後述するが、本実施形態における発光画素20B,20G,20Rの各々は、発光素子としての有機EL素子と、B,G,Rの各色に対応するカラーフィルターとを備えている。該カラーフィルターは、有機EL素子の発光をB,G,Rの各色に変換してフルカラー表示とするものである。また、有機EL素子から出射される光の発光波長範囲のうち、特定波長の光の輝度を向上させる光の共振構造が発光画素20B,20G,20Rごとに構築されている。
複数の発光画素20B,20G,20Rは、各々サブ画素として機能するものである。すなわち、有機EL装置100は、表示領域Eの±X方向および±Y方向に配列された複数のサブ画素である、複数の発光画素20B,20G,20Rを備えている。
B,G,Rに対応して発光する3つの発光画素20B,20G,20Rによって、画像表示における1つの画素単位が構成されている。換言すれば、隣り合う発光画素20B,20G,20Rの3つのサブ画素によって、表示単位における1つの画素が構成される。なお、画素単位の構成はこれに限定されず、B,G,R以外の、白色を含む発光色が得られる発光画素20が画素単位に含まれていてもよい。
複数の外部接続用端子103は、素子基板10の第1辺部に沿って、±X方向に配列されて設けられている。データ線駆動回路101は、±Y方向において外部接続用端子103と表示領域Eとの間に配置され、±X方向に延在している。走査線駆動回路102は、±X方向において表示領域Eを挟んで一対が設けられている。
上述したように、表示領域Eには、複数の発光画素20がマトリクス状に設けられている。図2に示すように、素子基板10には、発光画素20に対応する信号線として、走査線11、データ線12、点灯制御線13、電源線14が設けられている。本実施形態では、走査線11と点灯制御線13とが±X方向に沿って延在し、データ線12と電源線14とが±Y方向に沿って延在している。なお、等価回路図である図2の以下の説明においては、電気的に接続されることを、単に接続されるともいう。
表示領域Eには、マトリクス状に配置された複数の発光画素20におけるm行に対応して、複数の走査線11と複数の点灯制御線13とが設けられている。複数の走査線11と複数の点灯制御線13とは、それぞれ図1に示した一対の走査線駆動回路102に接続される。また、マトリクス状に配置された複数の発光画素20におけるn列に対応して、複数のデータ線12と複数の電源線14とが設けられている。複数のデータ線12は、それぞれ図1に示したデータ線駆動回路101に接続される。複数の電源線14は、複数の外部接続用端子103のうちいずれかと接続される。
走査線11とデータ線12との交差部付近に、発光画素20の画素回路を構成する第1トランジスター21、第2トランジスター22、第3トランジスター23、蓄積容量24、および発光素子である有機EL素子30が設けられている。
有機EL素子30は、陽極である画素電極31と、陰極36と、これらの電極間に挟まれた、発光層を含む機能層35とを有している。陰極36は、複数の発光画素20にまたがって共通に設けられた電極であり、例えば、電源線14に与えられる電源電圧Vddに対して、低位の基準電位VssやGND(グランド)の電位が与えられる。
第1トランジスター21および第3トランジスター23は、例えば、nチャネル型のトランジスターである。第2トランジスター22は、例えば、pチャネル型のトランジスターである。
第1トランジスター21において、ゲート電極は走査線11に接続され、一方の電流端はデータ線12に接続され、他方の電流端は第2トランジスター22のゲート電極と、蓄積容量24の一方の電極とに接続されている。
第2トランジスター22の一方の電流端は、電源線14に接続されると共に蓄積容量24の他方の電極に接続されている。第2トランジスター22の他方の電流端は、第3トランジスター23の一方の電流端に接続されている。換言すれば、第2トランジスター22と第3トランジスター23とは、一対の電流端のうち1つの電流端を共有している。
第3トランジスター23において、ゲート電極は点灯制御線13に接続され、他方の電流端は有機EL素子30の画素電極31に接続されている。第1トランジスター21、第2トランジスター22および第3トランジスター23のそれぞれにおける一対の電流端は、一方がソースであり、他方がドレインである。
このような画素回路において、走査線駆動回路102から走査線11に供給される走査信号Yiの電圧水準がHiレベルになると、nチャネル型の第1トランジスター21がオン状態(ON)となる。オン状態(ON)の第1トランジスター21を介してデータ線12と蓄積容量24とが電気的に接続される。そして、データ線駆動回路101からデータ線12にデータ信号が供給されると、データ信号の電圧水準Vdataと電源線14に与えられた電源電圧Vddとの電位差が蓄積容量24に蓄積される。
走査線駆動回路102から走査線11に供給される走査信号Yiの電圧水準がLowレベルになると、nチャネル型の第1トランジスター21がオフ状態(OFF)となる。そのため、第2トランジスター22のゲート・ソース間電圧Vgsは、電圧水準Vdataが与えられたときの電圧に保持される。また、走査信号YiがLowレベルになった後に、点灯制御線13に供給される点灯制御信号Vgiの電圧水準がHiレベルとなり、第3トランジスター23がオン状態(ON)となる。そうすると、第2トランジスター22のソース・ドレイン間には、第2トランジスター22のゲート・ソース間電圧Vgsに応じた電流が流れる。この電流は、具体的には、電源線14から第2トランジスター22および第3トランジスター23を経由して、有機EL素子30に至る経路で流れる。
有機EL素子30は、有機EL素子30に流れる電流の大きさに応じて発光する。有機EL素子30に流れる電流は、第2トランジスター22のゲート・ソース間の電圧Vgsで設定される第2トランジスター22と、有機EL素子30の動作点とによって定まる。第2トランジスター22のゲート・ソース間の電圧Vgsは、走査信号YiがHiレベルのときに、データ線12の電圧水準Vdataと電源電圧Vddとの電位差によって蓄積容量24に保持された電圧である。このように、発光画素20は、データ信号における電圧水準Vdataおよび第3トランジスター23がオン状態になる期間の長さによって発光輝度が規定される。つまり、データ信号における電圧水準Vdataの値によって、発光画素20において、画像情報に応じた輝度の階調性を与えることが可能となる。
ここで、発光画素20の画素回路は、3つのトランジスター21,22,23を有することに限定されず、発光画素20を表示駆動可能な画素回路であればよく、例えば、2つのトランジスターを用いる回路構成であってもよい。また、画素回路を構成するトランジスターは、nチャネル型のトランジスターでもよく、pチャネル型のトランジスターでもよく、nチャネル型のトランジスターおよびpチャネル型のトランジスターの双方を備えるものであってもよい。さらに、発光画素20の画素回路を構成するトランジスターは、半導体基板にアクティブ層を有するMOS型トランジスター(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよく、薄膜トランジスターであってもよく、電界効果トランジスターであってもよい。
図3に示すように、発光画素20B,20G,20Rの各々は、平面視で矩形状であり、長手方向が±Y方向に沿って配置されている。発光画素20B,20G,20Rの各々には、図2に示した等価回路の有機EL素子30が設けられている。ここで、発光画素20B,20G,20Rごとに設けられた有機EL素子30を区別するために、有機EL素子30B,30G,30Rとして説明することもある。また、有機EL素子30の画素電極31を発光画素20B,20G,20Rごとに区別するため、画素電極31B,31G,31Rとして説明することもある。
発光画素20Bには、画素電極31B、および画素電極31Bと第3トランジスター23とを電気的に接続させるコンタクト部31Bcが設けられている。同様にして、発光画素20Gには、画素電極31G、および画素電極31Gと第3トランジスター23とを電気的に接続させるコンタクト部31Gcが設けられている。発光画素20Rには、画素電極31R、および画素電極31Rと第3トランジスター23とを電気的に接続させるコンタクト部31Rcが設けられている。画素電極31B,31G,31Rは、共に平面視で略矩形状であり、長手方向の+Y方向側に各コンタクト部31Bc,31Gc,31Rcが各々配置されている。
発光画素20B,20G,20Rの各々は、開口29B,29G,29Rを有している。開口29B,29G,29Rは、隣り合う画素電極31同士を電気的に絶縁すると共に、画素電極31B,31G,31R上に機能層と接する領域を規定する絶縁構造である。本実施形態では、開口29B,29G,29Rの形状や大きさは同一としている。
1.2.発光画素の構成
図4を参照して、発光画素20の構成について説明する。図4は、XZ平面に沿う発光画素の概略断面図である。なお、図4においては、第1トランジスター21、第2トランジスター22、第3トランジスター23のなどの図示を省略している。また、図4は、図1に示した表示領域Eにおける平面的な中心エリアを含む領域に対応している。
図4に示すように、有機EL装置100は、発光画素20B,20G,20R、カラーフィルター50などが形成された素子基板10と、透光性の封止基板70とを備えている。素子基板10と封止基板70とは、接着性と透明性とを兼ね備えた樹脂層60によって貼り合わされている。
カラーフィルター50は、B,G,Rの各色に対応したフィルター層50B,50G,50Rを有している。各フィルター層50B,50G,50Rは、素子基板10において、発光画素20B,20G,20Rの各々に対応して配置されている。
有機EL装置100は、封止基板70側から発光が取り出されるトップエミッション構造である。有機EL素子30の機能層35から発せられた光は、対応するフィルター層50B,50G,50Rのいずれかを透過して封止基板70側から出射される。
本実施形態では、素子基板10の基材10sは、シリコン基板を用いている。なお、トップエミッション構造を採用するため、基材10sには不透明なセラミック基板や半導体基板を用いてもよい。
基材10s上には、上述したトランジスターやコンタクト部などの接続配線を含む、図示しない画素回路層、反射層としての反射電極16、増反射層17、第1保護層18、埋め込み絶縁層19、第2保護層26、調整層27、有機EL素子30、画素分離層29、封止層40、カラーフィルター50などが形成されている。
反射電極16は、後述する共振構造における反射層としても機能し、光反射性と導電性とを有する材料から形成されている。該材料としては、例えば、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、Cu(銅)、Ti(チタン)などの金属、これらの金属の合金が採用可能であり、複数層としてもよい。本実施形態ではTi/Al-Cuの2層構造とし、光を反射する反射面にAl−Cu合金を採用している。反射電極16の層厚は、特に限定されないが、例えば約150nmである。反射電極16は、平坦で、各発光画素20の開口29B,29G,29Rよりも平面視にて広く形成されている。なお、本明細書において層厚とは、±Z方向における各層の厚さをいう。
増反射層17は、反射電極16上に形成された酸化珪素膜であり、光反射性を向上させる増反射層として機能する。増反射層17は、反射電極16の形成工程において、パターニングのハードマスクとしても用いられる。これによって、上記の形成工程において、反射電極16を発光画素20ごとに区画する際、発光画素20の周縁に溝が形成される。すなわち、図4に示したように、ある発光画素20の反射電極16と、これと隣り合う発光画素20の反射電極16との間に溝が設けられる。増反射層17の層厚は、特に限定されないが、例えば約35nmである。
第1保護層18は、増反射層17上に形成された窒化珪素膜であり、発光画素20を区画する溝の内面にも形成される。増反射層17の形成には、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いる。
埋め込み絶縁層19は、発光画素20を区画する溝を埋めて平坦化するための酸化珪素層である。埋め込み絶縁層19の形成には、例えば、高密度プラズマCVD法を用いる。酸化珪素層は、増反射層17上、および発光画素20を区画する溝を埋めて形成された後、溝の上部に選択的にレジストを形成し、全面エッチバックすることで形成される。この際、第1保護層18がエッチングストッパーとなることで第1保護層18が露出し、かつ、溝は埋め込み絶縁層19で充填され、平坦化される。
第2保護層26は、第1保護層18および埋め込み絶縁層19の上に形成された平坦な窒化珪素層である。第2保護層26の形成には、例えば、プラズマCVD法を用いる。第1保護層18および第2保護層26の合計の層厚は、特に限定されないが、例えば約55nmである。
調整層27は、後述する共振構造における光路の長さ、すなわち光路長を調整するための調整層の一部であり、本発明の絶縁膜の一例でもある。詳しくは、発光画素20Gでは、第2保護層26上に、調整層27として第2調整層27bが1層形成されている。発光画素20Rでは、第2保護層26上に、調整層27として第1調整層27aおよび第2調整層27bが形成されている。発光画素20Bでは、第2保護層26上に調整層27は形成されておらず、画素電極31Bが第2保護層26の上に直接形成されている。第1調整層27aおよび第2調整層27bは、酸化シリコン膜である。調整層27の詳細については後述する。
画素電極31は、透光性の陽極であって、透光性と導電性とを有する透明導電膜にて形成されている。本実施形態では、好適例としてITO(Indium Tin Oxide)を用いている。画素電極31は、例えば、スパッタ法を用いて成膜した後、パターニングによってサブ画素ごとに区画される。画素電極31の層厚は、特に限定されないが、例えば表示領域Eにおける平面的な中心エリアで約20nmである。画素電極31の詳細については後述する。
画素分離層29は、隣り合う画素電極31間に形成されると共に、各発光画素20の開口29B,29G,29Rを区画する。画素分離層29の形成材料には酸化珪素を用いている。
有機EL素子30は、画素電極31と半透過反射層としての陰極36との間に、機能層35が挟まれた構成である。機能層35は、複数の層が積層されて成る。機能層35の層厚は、特に限定されないが、例えば約100nmである。機能層35の詳細については後述する。
陰極36は半透過反射性である。本実施形態では、陰極36として、Mg(マグネシウム)とAgとを共蒸着したMgAg合金の薄膜を用いている。陰極36の層厚は、特に限定されないが、例えば約20nmである。
封止層40は、第1無機封止層41、有機中間層42、第2無機封止層43から成る。第1無機封止層41は、ガスバリア性および透明性に優れた形成材料を用いて、陰極36を覆って形成される。該形成材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化チタンなどの金属酸化物などの無機化合物が挙げられる。本実施形態では、好適例として第1無機封止層41に酸窒化珪素を用いている。封止層40の層厚は、特に限定されないが、例えば約400nmである。
有機中間層42は、透明性を有する有機樹脂層であって、第1無機封止層41を覆って形成される。有機中間層42の形成材料には、好適例としてエポキシ樹脂を用いている。有機中間層42として、当該形成材料を印刷法やスピンコート法にて塗布して硬化させることにより、第1無機封止層41の表面における凹凸形状や異物が覆われて平坦化される。
第2無機封止層43は、無機化合物層であって、有機中間層42を覆って形成される。第2無機封止層43は、第1無機封止層41と同様に、透明性とガスバリア性とを具備し、かつ耐水性および耐熱性に優れた無機化合物を用いて形成される。本実施形態では、好適例として第2無機封止層43に酸窒化珪素を用いている。
カラーフィルター50は、表面が平坦化された第2無機封止層43上に形成される。カラーフィルター50の各フィルター層50B,50G,50Rは、各色に対応した顔料を含む感光性樹脂を塗布して露光、現像することにより形成される。
1.3.共振構造
図5を参照して、発光画素20における共振構造について説明する。図5は、発光画素における共振構造を示す模式断面図である。なお、図5では、図4における発光画素20B,20G,20Rに対応する領域を拡大して示している。
図5に示すように、有機EL素子30は、画素電極31と陰極36との間に発光機能層としての機能層35が挟まれている。すなわち、複数のサブ画素である複数の発光画素20B,20G,20Rの各々は、反射電極16、陰極36、反射電極16と陰極36との間に設けられた機能層35、および、反射電極16と機能層35との間に設けられた画素電極31を有している。また、発光画素20G,20Rは、反射電極16と画素電極31との間に設けられた、第1の層厚を有する絶縁膜である調整層27を有している。
第1の層厚とは、調整層27における±Z方向の厚さであり、調整層27が備わる発光画素20の色種によって異なる。第1の層厚は、特に限定されないが、例えば、発光画素20Gの場合には約50nmであり、発光画素20Rの場合には約110nmである。これに対して、発光画素20Bは、反射電極16と画素電極31との間に調整層27が設けられていない。なお、発光画素20Bは、発光画素20G,20Rと異なる第1の層厚を有する絶縁膜としての調整層27を備える構成であってもよい。
ここで、反射電極16と機能層35との間に設けられた、画素電極31と調整層27とは、後述する共振構造における光学距離である光路長を調整する機能を有している。
機能層35は、画素電極31側から上方へ向かって順に積層された、正孔注入層(HIL)32、有機発光層(EML)33、電子輸送層(ETL)34を含む有機発光層である。これらの各層は、例えば、蒸着法を用いて形成される。
画素電極31と陰極36との間に駆動電位を印加することにより、画素電極31から機能層35に正孔が注入され、陰極36から機能層35に電子が注入される。機能層35に含まれる有機発光層33では、注入された正孔と電子が励起子(エキシトン)を形成し、励起子(エキシトン)が消滅する際にエネルギーの一部が蛍光や燐光となって放出される。なお、機能層35は、正孔注入層32、有機発光層33、電子輸送層34以外に、正孔や電子の有機発光層33への注入性や輸送性を改善あるいは制御する、例えば、正孔輸送層や電子注入層あるいは中間層を含んでいてもよい。
有機EL素子30に駆動電圧が印可されると、有機発光層33は白色光を放射する。好適例として、青(B)、緑(G)、赤(R)の発光が得られる有機発光層を組み合わせることで白色光を得ている。また、青(B)と黄(Y)の発光が得られる有機発光層を組み合わせても擬似白色光を得ることができる。機能層35は、発光画素20B,20G,20Rにまたがって共通に形成されている。
有機EL装置100では、機能層35が放射する光を、反射電極16と陰極36との間で共振させる共振構造が備えられている。そのため、B,G,Rの各発光色に対応した共振波長において輝度が強調された発光が得られる。
共振構造における、発光画素20B,20G,20Rごとの共振波長は、反射電極16と陰極36との間の光学的な距離Dによって決まり、具体的には、下記の数式(1)を満たすように設定される。なお、距離Dのことを光路長ともいう。
D={(2πm+φL+φU)/4π}λ ・・・(1)
数式(1)において、mは0および正の整数(m=0,1,2,・・・)、φLは反射電極16での反射における位相シフト、φUは陰極36での反射における位相シフト、λは定在波のピーク波長である。また、共振構造における各層の光学的な距離は、光が透過する各層の層厚と屈折率との積で表される。
数式(1)は、主光線が表示面に対して垂直な方向の場合における基本式であり、主光線が傾いた場合については想定されていない。特に、小型化された表示装置において画角を大きくした際に、表示エリアの周縁部では主光線の角度が大きくなり光路長が長くなって色度変移が発生してしまう。この点に鑑み、発明者等は、数式(1)を踏まえた上で、画角を加味した、光路長を調整する構成を考案した。具体的な構成の説明に先立ち、従来技術の課題から詳しく説明する。
1.4.画角と光路長
図6Aは、虚像を表示する装置の光学系を示す模式図である。図6Bは、表示面略中央部のサブ画素における主光線の傾きを示す模式断面図である。図6Cは、表示面端部のサブ画素における主光線の傾きを示す模式断面図である。ここで、図6Aは、光学系90を映像光の進行方向に沿って側面から見た図である。光学系90は、カメラのビューファインダーや、HMDに搭載可能な光学系である。本実施形態では、HMDの光学系として説明する。
図6Aに示すように、光学系90は、表示装置92と、接眼レンズ95とを備えている。表示装置92は、有機ELパネルであり、平面的なサイズは接眼レンズ95の平面積より小さい。表示装置92が小さいことは、頭部に装着されるHMDにおける装着性を向上させるために、小型軽量であることが求められている点などの理由による。接眼レンズは、凸レンズである。
表示装置92に表示される画像は、接眼レンズ95で拡大されて、映像光として眼EYに入射する。映像光は、表示装置92の表示面Eの中央から垂直に延在する光軸Kを中心とした光束であり、表示面Eから広角で広がり、接眼レンズ95で収束して眼EYに入射する。光軸Kは、表示面Eの中央から接眼レンズ95の中央を通り眼EYの中心を結ぶ直線である。
眼EYでは、接眼レンズ95で拡大された映像光により形成される虚像が視認される。なお、接眼レンズ95と眼EYとの間には、他の各種レンズや導光板などが設けられていてもよい。
光学系90において、大きな虚像を得るためには、画角Fを大きくする必要がある。接眼レンズ95よりも平面的な面積が小さな表示装置92を用いて、画角Fを大きくするためには、主光線の角度を大きくする必要がある。
ここで、主光線について説明する。主光線とは、画素から出射される光束のうち、適用される光学系において、主に用いられる光束の中心軸のことである。例えば、表示面Eの略中央に位置するサブ画素P1において、主光線は光軸Kに沿った光であり、光軸Kに対する主光線の傾きである、図示しない角度θ1は、略0°である。同様に、表示面Eの+Y方向の端部に位置するサブ画素P2では、主光線の傾きは光軸Kに対して外側に広がる角度θ2となる。また、表示面Eの−Y方向の端部に位置するサブ画素P3では、主光線の傾きは光軸Kに対して、サブ画素P2とは反対側の外側に広がる角度θ2となる。なお、角度θ2は、用途にもよるが、例えば概ね10°から20°程度である。
このように、サイズが小さな表示装置92を用いて、画角Fを大きくするためには、表示面の端部側に位置するサブ画素の主光線の角度を大きくする必要がある。主光線の角度を大きくした場合、表示装置92を従来の表示装置と見做した場合には、色度変移が発生してしまうという課題があった。
図6Bに示すように、断面P1aでは、表示面Eの略中央部のサブ画素P1の断面を模式的に示している。サブ画素P1では、主光線の角度θ1は略0°であるため、共振構造の光路長D1は数式(1)に基づいて、光路長の調整層47を1層備えた長さに設定されている。サブ画素P1では、色度変移は発生しない。なお、サブ画素P1,P2,P3は、緑色の画素であるものとして説明する。
図6Cに示すように、断面図P2aでは、表示面Eの端部のサブ画素P2の断面を模式的に示している。サブ画素P2では、主光線の角度θ2は、角度θ1よりも大きいが、光路長の設定はサブ画素P1と同一であった。そのため、光路長が光路長D1よりも長い光路長D2となっていた。したがって、光路長D1で共振条件を満たす光路長設定において、主光線が傾いて光路長D2となることにより、狙いと異なる波長で共振することで色度変移が発生していた。
1.5.光路長の調整
本実施形態の有機EL装置100における光路長調整の構成およびその効果について、図7から図10を参照して説明する。図7は、表示領域における特定のサブ画素の配置を示す平面図である。図8は、第1のサブ画素および第2のサブ画素の模式断面図である。図9は、画素電極の厚さを示す模式断面図である。図10は、シミュレーションによる出射される光のスペクトルを示すグラフである。ここで、図8および図9では、図7におけるA−A’断面を図示している。なお、図8では、発光画素20において、±Z方向に沿った、反射電極16から陰極36までの構成のみを図示している。また、図9では、画素電極31を模式的に示しており、発光画素20の色ごとに異なる調整層27などの層厚の違いに起因する凹凸を省略している。
上述したように、有機EL装置100は、表示領域Eに複数の発光画素20を備えている。図7に示すように、複数の発光画素20は、第1サブ画素S1および第2サブ画素S2を含んでいる。第1サブ画素S1は、表示領域Eにおいて平面的な中心エリアに配置されている。第2サブ画素S2は、上記中心エリアよりも周縁のエリアに配置されている。また、複数の発光画素20は、第3サブ画素S3も含んでいる。第3サブ画素S3は、第1サブ画素S1と同様に、表示領域Eにおいて平面的な中心エリアに配置されている。ここで、以降、表示領域Eの平面的な中心エリアを単に中心エリアともいい、該中心エリアよりも周縁のエリアを単に周縁のエリアともいう。
ここで、第1サブ画素S1は、図4に示した調整層27を有する発光画素20R,20Gのいずれかであり、第2サブ画素S2は、第1サブ画素S1と同色の発光画素20である。したがって、第1サブ画素S1および第2サブ画素S2における、上記共振構造から出射される光の波長域は、同じ第1波長域となる。また、第3サブ画素S3は、第1サブ画素S1とは異なる色の発光画素20である。本実施形態では、第1サブ画素S1および第2サブ画素S2を発光画素20Rとし、第3サブ画素S3を発光画素20Bとする。このとき、第1波長域は、概ね赤色光の波長域である580nmから750nmの範囲となる。
なお、本実施形態では、第1サブ画素S1および第2サブ画素S2を発光画素20Rとしたが、これに限定されない。第1サブ画素S1および第2サブ画素S2は、調整層27を有する発光画素20Gであってもよく、調整層27を有しない発光画素20Bであってもよい。第1サブ画素S1および第2サブ画素S2が発光画素20Gである場合には、第1波長域は、概ね緑色光の波長域である495nmから570nmの範囲となる。第1サブ画素S1および第2サブ画素S2が発光画素20Bである場合には、第1波長域は、概ね青色光の波長域である430nmから495nmの範囲となる。
図8に示すように、第1サブ画素S1と第2サブ画素S2とは、同一の層構成を有していながら、画素電極31の層厚が異なっている。すなわち、第2サブ画素S2における画素電極31の厚さは、第1サブ画素S1における画素電極31の厚さよりも厚い。第1サブ画素S1および第2サブ画素S2における調整層27の厚さは、共通である。図示を省略するが、第3サブ画素S3において、画素電極31の厚さは第1サブ画素S1における画素電極31の厚さと共通であり、調整層27の厚さは第1サブ画素S1および第2サブ画素S2における調整層27の厚さとは異なっている。
図9に示すように、第1サブ画素S1が配置される中心エリアから±X方向の両端に向かって、画素電極31の厚さが厚くなっている。また、図示を省略するが、YZ平面に沿った、中心エリアを含む断面においても、中心エリアから±Y方向の両端に向かって、画素電極31の厚さが厚くなっている。中心エリアと、±X方向および±Y方向の両端である表示領域Eの外縁との画素電極31の厚さの差、すなわち層厚の差は、概ね2nmから20nm程度である。なお、画素電極31における、中心エリアと周縁のエリアとの層厚の差は、±X方向および±Y方向に設定されることに限定されない。上記層厚の差は、±X方向および±Y方向のいずれか片方にのみ設定されてもよい。
図10は、第1サブ画素S1および第2サブ画素S2が発光画素20Rである場合に、シミュレーションで得られた出射される光のスペクトルの一部を拡大したものである。図10では、横軸が出射される光のスペクトルの波長であり、縦軸が出射される光のスペクトルの強度である。1点鎖線は、第1サブ画素S1における出射される光のスペクトルを示しており、上述した主光線の角度θ1が略0°の場合に該当する。実線は、第2サブ画素S2における出射される光のスペクトルを示しており、図6Cに示した主光線の角度θ2が25°の場合に該当する。破線は、上述した画素電極31の厚さの差を設定しない比較例であり、従来の有機EL装置を想定した水準である。該比較例では、従来の有機EL装置における、第2サブ画素S2に相当する位置にあるサブ画素S2’の出射される光のスペクトルを示している。破線も、図6Cに示した主光線の角度θ2が25°の場合に該当する。なお、図示を省略するが、上記従来の有機EL装置における、主光線の角度θ1が略0°の場合の出射される光のスペクトルは、第1サブ画素S1における出射される光のスペクトルと同様である。
図10に示すように、第2サブ画素S2における出射される光のスペクトルは、主光線の角度θ2が25°であるにもかかわらず、第1サブ画素S1と略同等である。特に、第2サブ画素S2の出射される光のスペクトルのピーク波長は、第1サブ画素S1の出射される光のスペクトルのピーク波長と略等しい。すなわち、第2サブ画素S2では、第1サブ画素S1に対して色度変移の発生が抑えられていることが示された。
これに対して、比較例である従来の有機EL装置のサブ画素S2’の出射される光のスペクトルは、第1サブ画素S1の出射される光のスペクトルに対して、低波長側へシフトしている。すなわち、サブ画素S2’では第1サブ画素S1に対して色度変移が発生し、従来の有機EL装置は、視野角特性が有機EL装置100に対して劣ることが分かった。
1.6.有機EL装置の製造方法
本実施形態の発光装置としての有機EL装置100の製造方法について、図11、図12、図13A、図13B、図13Cを参照して説明する図11は、第1マスクとしての開口規定マスクの外観を示す平面図である。図12は、第2マスクとしての層厚調整マスクの外観を示す平面図である。図13A、図13Bおよび図13Cは、画素電極の形成方法を示す模式断面図である。ここで、図13A、図13Bおよび図13Cでは、図12のB−B’線に対応する断面を示し、基材10s上に形成された画素電極31より下層の図示を省略している。なお、以下の説明においては図4も参照することとする。
本実施形態の有機EL装置100の製造方法は、素子基板10の製造方法を含み、素子基板10の製造方法に備わる工程以外では公知の技術が採用可能である。また、本発明の1つの特徴部分は、素子基板10における画素電極31の形成工程にある。したがって、以降は、画素電極31の形成方法についてのみ述べることとする。なお、素子基板10の製造方法においても、特に断りがない限り公知の技術が採用可能である。
有機EL装置100は、表示領域Eにおいてマトリクス状に配置された、第1サブ画素S1および第2サブ画素S2を含む複数のサブ画素を備えている。図4に示したように、複数のサブ画素の各々は、反射層としての反射電極16、絶縁膜としての調整層27、画素電極31、発光機能層としての機能層35、および半透過反射層としての陰極36を有している。また、複数のサブ画素は、機能層35が放射する光を、反射電極16と陰極36との間で共振させる共振構造を備えている。
本実施形態の有機EL装置100の製造方法は、後述する、第1マスクとしての開口規定マスクM1と、第2マスクとしての層厚調整マスクM2と、を用いて、スパッタ法によって画素電極31を形成する工程を含む。図11に示すように、表示領域Eを規定する開口規定マスクM1は、略額縁状の平板であって、平面視にて表示領域Eとほぼ等しい形状の窓部351を有している。すなわち、開口規定マスクM1の窓部351の配置および形状によって、画素電極31の配置および形状が規定される。開口規定マスクM1には、ステンレススチールなどの公知のメタルマスクが採用可能である。
図12に示すように、層厚調整マスクM2は、平板状であって、平面視にて略円形の開口部352a,352b,352cがそれぞれ複数設けられている。複数の開口部352a,352b,352cは、開口規定マスクM1の窓部351と略重なる領域に配置されている。以降、開口部352a,352b,352cを、単に開口部352ともいう。複数の開口部352は、第1サブ画素S1に対応する領域である、表示領域Eにおける平面的な中心エリアよりも、第2サブ画素S2に対応する領域である、上記中心エリアの周縁のエリアで密に設けられている。
詳しくは、複数の開口部352の数は、中心エリアに配置される分が少なく、周縁のエリアに配置される分が多い。これに加えて、開口部352a,352b,352cの大きさである平面的な面積を変えている。具体的には、開口部352cから開口部352b、さらに開口部352aまで、開口の直径が順に大きくされている。開口部352aの直径に対して、開口部352bの直径は約2/3であり、開口部352cの直径は約1/2である。そして、中心エリア周辺に開口部352cが配置され、周縁のエリアに開口部352aが配置され、中心エリアと周縁のエリアとの間に開口部352bが配置されている。層厚調整マスクM2には、ステンレススチールなどの公知のメタルマスクが採用可能である。
層厚調整マスクM2では、以上の構成によって、上述したエリアごとに開口に疎密の差が設けられている。これにより、画素電極31の層厚を、中心エリアで厚く、周縁のエリアで薄くすることが可能となる。
本実施形態の層厚調整マスクM2では、開口部352の数と大きさとによってエリアごとの開口の疎密の差を構成したが、開口部352の数または大きさのいずれか一方によって構成してもよい。開口部352の平面的な形状は、略円形に限定されず、楕円形、多角形、スリット状、および不定形のいずれであってもよく、開口部352として異なる形状を組み合わせて用いてもよい。また、複数の開口部352の数、および個々の大きさは上記に限定されない。さらに、開口部352を設けるために、層厚調整マスクM2を金属製のメッシュで形成してもよい。
次に、開口規定マスクM1および層厚調整マスクM2を用いた、画素電極31の形成方法について述べる。図13Aに示すように、画素電極31を形成する工程では、基材10s側に開口規定マスクM1を配置し、スペーサーSPを介して層厚調整マスクM2を重ねて配置する。
スペーサーSPは、開口規定マスクM1の窓部351よりも大きな開口部を有する額縁状の平板である。スペーサーSPの形状は上記に限定されない。スペーサーSPは、画素電極31の層厚を調整するために用いるが、開口規定マスクM1および層厚調整マスクM2のみで画素電極31の所望の層厚が確保できる場合には、スペーサーSPを用いなくてもよい。
基材10sに対して、開口規定マスクM1、スペーサーSP、および層厚調整マスクM2を重ねて配置した状態で、層厚調整マスクM2側からスパッタ処理を行う。詳しくは、画素電極31の形成材料であるITOをターゲットとし、該ターゲットからスパッタ粒子DPを生じさせる。そして、層厚調整マスクM2の開口部352および開口規定マスクM1の窓部351を介して、スパッタ粒子DPを基材10s上に堆積させる。このとき、上述したように層厚調整マスクM2は開口の疎密を有しているため、平面的にスパッタ粒子DPは均等に堆積しない。すなわち、層厚調整マスクM2の開口の疎密に応じて、スパッタ粒子DPの堆積量に差が生じ、この差が画素電極31の層厚の差となる。
これによって、図13Bに示すように、画素電極31が設けられる。画素電極31は、表示領域Eにおいて、中心エリアの層厚が厚く、周縁のエリアの層厚が薄くなる。なお、この段階では、表示領域Eよりも平面的に外側の領域まで画素電極31が及んでいる。
次に、画素電極31にエッチング処理などを施して、図13Cに示すように、画素電極31の平面的な形状を表示領域Eに対応する形状に加工する。また、パターニングによって、画素電極31を複数の発光画素20ごとに区画する。これにより、画素電極31が形成される。
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
有機EL装置100において視野角特性を向上させることができる。詳しくは、第2サブ画素S2における画素電極31の厚さは、第1サブ画素S1における画素電極31の厚さよりも厚い。すなわち、表示領域Eにおいて、中心エリアと周縁のエリアとで、共振構造における光学距離である光路長が変えられている。そのため、中心エリアに対して、周縁のエリアで画角が大きくなっても、光路長を積極的に変えて光路長を調整し、共振波長のずれを補正することが可能となる。これにより、色度変移の発生を抑えることができる。したがって、視野角特性が向上した発光装置を提供することができる。
絶縁膜である調整層27の第1の層厚によって、共振構造における光路長が調整される。そのため、共振構造から放射される光を干渉により強めて、光の取り出し効率を向上させることができる。
第1サブ画素S1および第2サブ画素S2と第3サブ画素S3とで、共振構造における光路長が変えられる。そのため、第1サブ画素S1および第2サブ画素S2と第3サブ画素S3とで、異なる共振波長の光を取り出すことができる。
層厚調整マスクM2の複数の開口部352を介して、画素電極31の形成材料のスパッタ粒子DPが堆積する。そして、複数の開口部352の開口の疎密によって、第2サブ画素S2に対応する周縁のエリアにおいて、第1サブ画素S1に対応する中心エリアと比べて画素電極31を厚く形成することができる。すなわち、視野角特性が向上した有機EL装置100を製造することができる。
2.第2実施形態
本実施形態では、第1実施形態と同様に、発光装置としての有機EL装置の製造方法を例示する。この発光装置は、例えば、後述する電子機器としてのHMDに好適に用いることができるものである。なお、本実施形態に係る有機EL装置の製造方法は、第1実施形態に対して、画素電極の形成工程に用いる第2マスクとしての層厚調整マスクの形態を異ならせたものである。そのため、第1実施形態と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
2.1.層厚調整マスク
本実施形態の層厚調整マスクの複数の形態について、図14から図17を参照して説明する。図14から図17は、第2実施形態に係る第2マスクとしての層厚調整マスクの外観を示す平面図である。ここで、図14から図17では、層厚調整マスクにおける表示領域Eに対応する領域のみを示している。また、図14から図17では、後述する金属メッシュの網の目の粗さ、すなわち複数の開口部の疎密をグラデーションの濃淡で表している。詳しくは、図14から図17では、上記網の目が大きいほどグラデーションを薄く、上記網の目が小さいほどグラデーションを濃くしている。なお、以下の説明では、特に断りがない限り平面視した状態を述べる。
図14に示すように、本実施形態の第2マスクの一例である層厚調整マスクM21は、平板状の金属メッシュで構成されている。金属メッシュは、複数の開口部である、図示しない網の目を有している。金属メッシュには、例えば、ステンレススチール製のワイヤーを編み込んだものなどが採用可能である。
層厚調整マスクM21は、エリア211およびエリア212を含む複数のエリアを有している。該複数のエリアの各々は、矩形状であって、±Y方向に層厚調整マスクM21を分割して±X方向に配列されている。
層厚調整マスクM21では、第1サブ画素S1に対応する領域がエリア211であり、第2サブ画素S2に対応する領域がエリア212である。エリア211はエリア212よりも、網の目が小さい。また、エリア211からエリア212に向かって、段階的に金属メッシュの網の目が大きくされている。
以上の構成により、層厚調整マスクM21を用いれば、金属メッシュの網の目の大小によって、第1サブ画素S1から第2サブ画素S2に向かって、画素電極31の層厚を厚くすることができる。なお、層厚調整マスクM21を用いると、±Y方向における画素電極31の層厚の差は生じない。
次に、本実施形態の第2マスクの他の例である層厚調整マスクM22,M23,M24について説明する。
図15に示すように、層厚調整マスクM22は、エリア221およびエリア222を含む複数のエリアを有している。該複数のエリアは、層厚調整マスクM21と同様に、長手方向が±Y方向に沿う矩形状である。層厚調整マスクM22は、第1サブ画素S1に相当する領域であるエリア221が+X方向へオフセットしており、この点が層厚調整マスクM21と異なっている。第2サブ画素S2に対応する領域は、エリア222である。
図16に示すように、層厚調整マスクM23は、エリア231およびエリア232を含む複数のエリアを有している。該複数のエリアは、第1サブ画素S1に対応するエリア231を除き、略矩形の額縁状に形成されている。エリア231は、層厚調整マスクM23の略中央にあって、矩形状に形成されている。第2サブ画素S2に対応する領域はエリア232であり、層厚調整マスクM23の周縁に配置されている。エリア231からエリア232に向かって、段階的に金属メッシュの網の目が大きくされている。
図17に示すように、層厚調整マスクM24は、エリア241およびエリア242を含む複数のエリアを有している。層厚調整マスクM24では、第1サブ画素S1に対応する領域であるエリア241が+Xおよび+Y方向にオフセットしており、この点が層厚調整マスクM23と異なっている。第2サブ画素S2に対応する領域は、エリア242である。エリア242は、層厚調整マスクM24の隣り合う2辺の周縁に沿って設けられ、略L字状を成している。
ここで、第2マスクとしての層厚調整マスクにおける複数のエリアは、矩形状や額縁状などであることに限定されず、略円形や略楕円形であってもよい。また複数のエリアの数や配置は、上記に限定されない。さらに、本実施形態では、金属メッシュの網の目の大小がエリアごとに段階的に変化する構成としたが、これに限定されない。
本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
3.第3実施形態
本実施形態では、第1実施形態と同様に、発光装置としての有機EL装置の製造方法を例示する。本実施形態に係る有機EL装置の製造方法は、以下に述べる画素電極の形成方法を含み、第1実施形態に対して画素電極の形成方法を異ならせたものである。そのため、第1実施形態と同一の構成部位については同一の符号を使用し、重複する構成部位および製造工程の説明は省略する。
3.1.画素電極の形成方法
本実施形態に係る画素電極331の形成方法について、図18から図20Cを参照して説明する。図18は、第3実施形態に係る画素電極の形成方法を示す工程フロー図である。図19は、グレースケールフォトマスクの外観を示す平面図である。図20Aから図20Cは、画素電極の形成方法を示す模式断面図である。なお、以下の説明においては図4も参照することとする。
ここで、図19では、グレースケールフォトマスクにおける表示領域Eに対応する領域のみを示している。また、図19では、露光工程における露光用の光の透過率をグラデーションの濃淡で表している。詳しくは、図19では、上記透過率が大きいほどグラデーションを薄く、上記透過率が小さいほどグラデーションを濃くしている。また、図20A、図20Bおよび図20Cでは、上記実施形態における図12のB−B’線に相当する断面を示し、基材10s上に形成された画素電極331より下層の図示を省略している。
本実施形態の有機EL装置は、表示領域Eにおいてマトリクス状に配置された、第1サブ画素S1および第2サブ画素S2を含む複数のサブ画素を備えている。複数のサブ画素の各々は、反射層としての反射電極16、絶縁膜としての調整層27、画素電極331、発光機能層としての機能層35、および半透過反射層としての陰極36を有している。また、複数のサブ画素は、機能層35が放射する光を、反射電極16と陰極36との間で共振させる共振構造を備えている。第1サブ画素S1は、表示領域Eにおいて平面的な中心エリアに配置され、第2サブ画素S2は、上記中心エリアよりも周縁のエリアに配置されている。
図18に示すように、画素電極331の形成方法は、工程S01から工程S04を含んでいる。
工程S01では、まず、調整層27上にITOのベタ膜として導電性膜331xを形成する。導電性膜331xの形成方法には、スパッタ法や蒸着法などの気相法、スピンコート法などの液相法といった公知の技術が採用可能である。このとき、導電性膜331xの層厚は、形成する画素電極331の層厚のうちで最も厚い層厚、換言すれば周縁のエリアにおける層厚以上とする。
次いで、導電性膜331xを形成した後に、導電性膜331x上にポジ型のレジストRExを塗布する。ポジ型のレジストRExには、樹脂および感光剤を含む公知のレジストが採用可能である。また、レジストRExの塗布方法には公知の技術が採用可能である。そして、工程S02へ進む。
工程S02では、グレースケールフォトマスクPMを用いて、塗布されたレジストRExの一部を階調露光する。グレースケールフォトマスクPMは、図19に示すように、表示領域Eに対応する領域に、エリア341およびエリア342を含む複数のエリアを有している。該複数のエリアは、第1サブ画素S1に対応するエリア341を除き、略矩形の額縁状に形成されている。エリア341は、表示領域Eに対応する領域の略中央にあって、矩形状に形成されている。第2サブ画素S2に対応する領域はエリア342であり、表示領域Eの周縁に対応して配置されている。エリア341からエリア342に向かって、エリアごとに、露光用の光の透過率が段階的に小さくされている。
グレースケールフォトマスクPMには、フィルムマスク、ガラスマスク、クロムマスクなどの公知のグレースケールレクチルが採用可能である。グレースケールフォトマスクPMにおける、複数のエリアの形状および配置は上記に限定されない。複数のエリアの形状および配置としては、例えば、第2実施形態の層厚調整マスクM21,M22,M24におけるグラデーションの濃淡を反転させたものが挙げられる。
図20Aに示すように、レジストRExの上方にグレースケールフォトマスクPMを重ねて配置する。そして、グレースケールフォトマスクPMを介して、レジストRExへ露光用の光Lを照射する。このとき、グレースケールフォトマスクPMを表示領域Eよりも大きく形成しておき、光LによってグレースケールフォトマスクPMの縮小像をレジストRExに投映してもよい。
グレースケールフォトマスクPMは、上述したように、光Lに対する透過率が異なる複数のエリアを有している。そのため、光Lは、上記複数のエリアの透過率に応じて、光量に大小の差がつけられてレジストRExに照射される。換言すれば、グレースケールフォトマスクPMによってレジストRExが受ける露光量は、第2サブ画素S2に対応する周縁のエリアよりも第1サブ画素に対応する中心エリアの方が大きい。これにより、レジストRExは、周縁のエリアと比べて中心エリアが強く露光される。
露光用の光Lとしては、可視光線または紫外線のいずれを用いてもよく、光源には、水銀ランプやレーザーなど公知の光源が採用可能である。そして、工程S03へ進む。
工程S03では、露光されたレジストRExを現像してレジスト層REとする。レジストRExは、グレースケールフォトマスクPMに対応して、露光量が平面的に異なっている。レジストRExは、ポジ型であるため、露光量が大きい程、深く現像される。すなわち、図20Bに示すように、レジスト層RExは、第1サブ画素S1に対応する中心エリアの層厚が薄く、第2サブ画素S2に対応する周縁のエリアの層厚が厚く形成される。詳しくは、中心エリアから±X方向の両端に向かって、レジスト層REの厚さが厚くなっている。また、図示を省略するが、YZ平面に沿った、中心エリアを含む断面においても、中心エリアから±Y方向の両端に向かって、レジスト層REの厚さが厚くなっている。レジストRExの現像には、塩基性水溶液などを用いる公知の現像方法が採用可能である。そして、工程S04へ進む。
工程S04では、レジスト層REと導電性膜331xとをエッチングして、エッチバックによってレジスト層REの断面形状を導電性膜331xに転写し、導電性膜331xから画素電極331を形成する。詳しくは、中心エリアにおける画素電極331が所望の厚さとなるように、エッチング条件を調節してハーフエッチングを施す。上記厚さは、特に限定されないが、本実施形態では約20nmとしている。
エッチングの方法としては特に限定されないが、公知のドライエッチングが採用可能である。これにより、図20Cに示すように、レジスト層REの断面形状が導電性膜331xに転写されて、平面的に層厚の差を有する画素電極331の断面形状が形作られる。つまり、第1サブ画素S1が配置される中心エリアから±X方向の両端に向かって、画素電極331の厚さが厚くなる。また、図示を省略するが、YZ平面に沿った、中心エリアを含む断面においても、中心エリアから±Y方向の両端に向かって、画素電極331の厚さが厚くなる。中心エリアと、±X方向および±Y方向の両端である表示領域Eの外縁との画素電極331の厚さの差、すなわち層厚の差は、概ね2nmから20nm程度である。なお、画素電極331における、中心エリアと周縁のエリアとの層厚の差は、±X方向および±Y方向に設定されることに限定されない。上記層厚の差は、±X方向および±Y方向のいずれか片方にのみ設定されてもよい。
このとき、画素電極331の平面的な形状を表示領域Eに対応する形状に加工する。また、パターニングによって、画素電極331を複数の発光画素20ごとに区画する。これにより、画素電極331が形成される。
本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
周縁のエリアと比べて中心エリアのレジストRExの一部がより露光される。レジストRExはポジ型であることから、現像によって、周縁のエリアよりも中心エリアのレジストRExが深く感光して除去される。そのため、レジスト層REは、中心エリアよりも周縁のエリアが厚い断面形状に形成される。そして、エッチバックによって該断面形状が導電性膜331xに転写される。これによって、中心エリアが薄く、周縁のエリアが厚い画素電極331を形成することができる。すなわち、視野角特性が向上した有機EL装置を製造することができる。
4.第4実施形態
本実施形態の電子機器について、ヘッドマウントディスプレイを例に挙げて説明する。図21は、第4実施形態に係る電子機器としてのヘッドマウントディスプレイを示す模式図である。
図21に示すように、本実施形態のヘッドマウントディスプレイ1000は、一対の光学ユニット1001L,1001Rを備えている。また、ヘッドマウントディスプレイ1000は、図示を省略するが、電源部および制御部、ヘッドマウントディスプレイ1000を使用者の頭部に装着するための装着部などを備えている。一対の光学ユニット1001L,1001Rは、使用者の左右の眼に対応した情報を表示する。ここで、一対の光学ユニット1001L,1001Rは、左右対称の構成であるため、以下、右眼Rey用の光学ユニット1001Rを例として説明する。
光学ユニット1001Rは、表示部100Rと、集光光学系1002と、屈曲した導光体1003と、を備えている。表示部100Rから出射された表示光の進行方向に向かって、集光光学系1002、導光体1003がこの順番で配置されている。導光体1003には、ハーフミラー層1004が設けられている。この配置により、光学ユニット1001Rにおいて、表示部100Rから出射された表示光は、集光光学系1002を介して導光体1003に入射し、ハーフミラー層1004で反射されて右眼Reyに導かれる。
表示部100Rは、制御部から伝送された表示信号を、文字や映像などの画像情報として表示することが可能である。表示部100Rに表示された画像情報は、集光光学系1002によって実像から虚像へ変換されて、導光体1003に入射する。表示部100Rには、上記実施形態の有機EL装置100が適用されている。
導光体1003は、ロッドレンズを組み合わせたものであり、ロッドインテグレーターを形成している。導光体1003に入射した表示光は、上記ロッドレンズ内で全反射されてハーフミラー層1004へ伝達される。ハーフミラー層1004は、上記表示光の光束を右眼Reyに向かって反射させる角度で配置されている。
ハーフミラー層1004に入射した表示光である映像は、虚像である。これにより、使用者は、表示部100Rに投影された虚像と、ハーフミラー層1004の先の外界と、の双方を視認することが可能である。すなわち、ヘッドマウントディスプレイ1000は、シースルー型の投射型表示装置である。
ここで、表示部100Rの平面的なサイズは、集光光学系1002の平面的なサイズよりも小さく設定されている。小さな表示部100Rで大きな虚像を得るためには、画角を大きくする必要がある。表示部100Rには上記実施形態の有機EL装置100が適用されているため、画角を大きくしても色度変移の発生が抑えられる。
左眼Ley用の光学ユニット1001Lは、右眼Rey用の光学ユニット1001Rと同様に、上記実施形態の有機EL装置100が適用された表示部100Lを備えている。光学ユニット1001Lの構成および機能は、右眼Rey用の光学ユニット1001Rと同様である。そのため、光学ユニット1001Lの説明は省略する。
本実施形態によれば、上記実施形態の発光装置である有機EL装置100が搭載されているため、視野角特性に優れた表示を可能とするヘッドマウントディスプレイ1000を提供することができる。
なお、上記実施形態の有機EL装置100が搭載されるヘッドマウントディスプレイ1000は、両眼に対応した一対の光学ユニット1001L,1001Rを備える構成に限定されない。ヘッドマウントディスプレイ1000は、例えば、光学ユニット1001R,1001Lのいずれか片方を備える構成であってもよい。また、ヘッドマウントディスプレイ1000は、シースルー型であることに限定されず、外光を遮断した状態で映像を視認する没入型であってもよい。
また、上記実施形態の有機EL装置100が搭載される電子機器は、ヘッドマウントディスプレイに限定されない。上記実施形態の有機EL装置100は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、電子ビューファインダー(EVF)、および携帯型情報端末などの表示部としても好適に用いることができる。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
発光装置は、表示領域に、第1サブ画素および第2サブ画素を備え、第1サブ画素および第2サブ画素は、反射層と、半透過反射層と、反射層と半透過反射層との間に設けられた発光機能層と、反射層と発光機能層との間に設けられた画素電極と、を有し、発光機能層が放射する光を、反射層と半透過反射層との間で共振させる共振構造を備え、第1サブ画素および第2サブ画素における、共振構造から出射される光の波長域が第1波長域であり、第2サブ画素における画素電極の厚さが、第1サブ画素における画素電極の厚さよりも厚い。
この構成によれば、発光装置において視野角特性を向上させることができる。詳しくは、第2サブ画素における画素電極の厚さは、第1サブ画素における画素電極の厚さよりも厚い。つまり、表示領域に備わる第1サブ画素と第2サブ画素とで、光路長が変えられている。そのため、画角が大きくなっても、光路長を積極的に変えて光路長を調整し、共振波長のずれを補正することが可能となる。これにより、色度変移の発生を抑えることができる。したがって、視野角特性が向上した発光装置を提供することができる。
上記の発光装置において、第1サブ画素および第2サブ画素は、反射層と画素電極との間に設けられた、第1の層厚を有する絶縁膜を備えることが好ましい。
この構成によれば、絶縁膜の第1の層厚によって、共振構造における光路長が調整される。そのため、共振構造から放射される光を干渉により強めて、光の取り出し効率を向上させることができる。
発光装置は、表示領域に、第1サブ画素、第2サブ画素および第3サブ画素を備え、第1サブ画素、第2サブ画素および第3サブ画素は、反射層と、半透過反射層と、反射層と半透過反射層との間に設けられた発光機能層と、反射層と発光機能層との間に設けられた画素電極と、反射層と画素電極との間に設けられた絶縁膜と、を有し、発光機能層が放射する光を、反射層と半透過反射層との間で共振させる共振構造を備え、第2サブ画素における画素電極の厚さが、第1サブ画素における画素電極の厚さより厚い。
この構成によれば、発光装置において視野角特性を向上させることができる。詳しくは、第2サブ画素における画素電極の厚さは、第1サブ画素における画素電極の厚さよりも厚い。つまり、表示領域に備わる第1サブ画素と第2サブ画素とで、光路長が変えられている。そのため、画角が大きくなっても、光路長を積極的に変えて光路長を調整し、共振波長のずれを補正することが可能となる。これにより、色度変移の発生を抑えることができる。したがって、視野角特性が向上した発光装置を提供することができる。
上記の発光装置において、第1サブ画素および第3サブ画素における画素電極の厚さは、共通であり、第1サブ画素および第2サブ画素における絶縁膜の厚さは、共通であり、第3サブ画素における絶縁膜の厚さは、第1サブ画素および第2サブ画素における絶縁膜の厚さとは異なることが好ましい。
この構成によれば、第1サブ画素および第2サブ画素と第3サブ画素とで、共振構造における光路長が変えられる。そのため、第1サブ画素および第2サブ画素と第3サブ画素とで、異なる共振波長の光を取り出すことができる。
上記の発光装置において、第1サブ画素は、表示領域において平面的な中心エリアに配置されており、第2サブ画素は、中心エリアよりも周縁のエリアに配置されていることが好ましい。
この構成によれば、中心エリアと周縁のエリアとで共振構造における光路長が変えられる。そのため、中心エリアに対して周縁のエリアで画角が大きくなっても、光路長を積極的に変えて光路長を調整し、共振波長のずれを補正することが可能となる。これにより、色度変移の発生がさらに抑えられ、視野角特性をさらに向上させることができる。
電子機器は、上記の発光装置を備える。
この構成によれば、視野角特性が向上した発光装置を備えることによって、表示品質が向上した電子機器を提供することができる。
発光装置の製造方法は、表示領域に配置された、第1サブ画素および第2サブ画素を含み、第1サブ画素および第2サブ画素が、反射層と、絶縁膜と、画素電極と、発光機能層と、半透過反射層とを有すると共に、発光機能層が放射する光を、反射層と半透過反射層との間で共振させる共振構造を備えた発光装置の製造方法であって、表示領域を規定する第1マスクと、複数の開口部が設けられた第2マスクと、を用いて、スパッタ法によって画素電極を形成する工程を含み、第1サブ画素は、表示領域において平面的な中心エリアに配置され、第2サブ画素は、中心エリアよりも周縁のエリアに配置され、第2マスクの複数の開口部は、第1サブ画素に対応する中心エリアよりも第2サブ画素に対応する周縁のエリアで密である。
この構成によれば、第2マスクの複数の開口部を介して、画素電極の形成材料のスパッタ粒子が堆積する。そして、複数の開口部の疎密によって、第2サブ画素に対応する周縁のエリアにおいて、第1サブ画素と比べて画素電極を厚く形成することができる。すなわち、視野角特性が向上した発光装置を製造することができる。
発光装置の製造方法は、表示領域に配置された、第1サブ画素および第2サブ画素を含み、第1サブ画素および第2サブ画素が、反射層と、絶縁膜と、画素電極と、発光機能層と、半透過反射層とを有すると共に、発光機能層が放射する光を、反射層と半透過反射層との間で共振させる共振構造を備えた発光装置の製造方法であって、導電性膜を形成した後に、導電性膜上にポジ型のレジストを塗布する工程と、グレースケールフォトマスクを用いて、塗布されたレジストの一部を露光する工程と、露光されたレジストを現像してレジスト層とする工程と、レジスト層と導電性膜とをエッチングして、エッチバックによってレジスト層の断面形状を導電性膜に転写し、導電性膜から画素電極を形成する工程と、を含み、第1サブ画素は、表示領域において平面的な中心エリアに配置され、第2サブ画素は、中心エリアよりも周縁のエリアに配置され、グレースケールフォトマスクによってレジストが受ける露光量は、第2サブ画素に対応する周縁のエリアよりも第1サブ画素に対応する中心エリアの方が大きい。
この構成によれば、周縁のエリアと比べて中心エリアのレジストの一部がより露光される。レジストはポジ型であることから、現像によって、周縁のエリアよりも中心エリアのレジストが深く感光して除去される。そのため、レジスト層は、中心エリアよりも周縁のエリアが厚い断面形状に形成される。そして、エッチバックによって該断面形状が導電性膜に転写される。これによって、中心エリアが薄く、周縁のエリアが厚い画素電極を形成することができる。すなわち、視野角特性が向上した発光装置を製造することができる。