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JP6906803B2 - プローブおよびその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、プローブおよびその製造方法、特に、スピンデバイスを検査するためのプローブおよびその製造方法に関する。
従来、この種のプローブとしては、カーボンナノチューブを非磁性体であるPt(白金)で被覆して形成されるものが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。このプローブでは、プローブの先端を被検査体としてのBi(ビスマス)の薄膜に接触させて、プローブから薄膜に電流を流すことにより、ラシュバ効果によりスピン偏極した電流(スピン流)を薄膜に生成する。こうして生成したスピン流に対して逆スピンホール効果により発生する電圧を測定することで、スピンデバイスのスピンの状態を検出している。
東野剛之,平原徹,長谷川修司、「ビスマス超薄膜の表面状態における電流誘起スピン偏極の測定」、日本物理学会 2011年秋季大会、2011年9月23日
しかしながら、上述のプローブでは、スピンデバイスに電流を流す必要があるから、スピンデバイスとしては導電体から形成されているものに限定されてしまう。また、スピンデバイスに電流を流すから、測定した電圧には電流に起因する電圧が含まれ、スピン流に起因する電圧を測定することが困難となってしまう。したがって、スピンデバイスへの電流の流れ込みを抑制しつつスピン流を注入することが望まれている。
また、こうしたプローブでは、スピンデバイスのスピン圧を測定することも望まれている。
本発明のプローブおよびその製造方法は、スピンデバイスへの電流の流れ込みを抑制しつつスピン流を注入したり、スピンデバイスのスピン圧を測定したりすることが可能なプローブを提供することを主目的とする。
本発明のプローブおよびその製造方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のプローブは、
スピンデバイスの検査に用いるプローブであって、
先端部に、絶縁体または半導体により形成される基板と、導電性の磁性体により形成される第1層と、導電性の非磁性体により形成される第2層と、がこの順で積層されており、
前記第2層は、厚さがスピンが緩和するよりも薄い厚さとして予め定められた所定厚さとなるように形成されている、
ことを要旨とする。
この本発明のプローブは、先端部に、絶縁体または半導体により形成される基板と、導電性の磁性体により形成される第1層と、導電性の非磁性体により形成される第2層と、がこの順で積層されている。そして、第2層は、厚さがスピンが緩和するよりも薄い厚さとして予め定められた所定厚さとなるように形成されている。第1層と第2層との間に電流を流すと、第1層と第2層との界面に電流が流れ、第2層のこの界面付近に電流の向きおよび磁性体の磁化の向きに応じたスピンの蓄積が生じてスピン圧が生成される。第2層は、所定厚さに形成されている。したがって、プローブの先端部の第2層をスピンデバイスに接触させた状態で第1層と第2層との間に電流を流すことにより、第2層からスピンデバイスにスピン流を注入することができる。このスピン流の注入に際し、スピンデバイスに電流を流す必要はない。また、プローブの先端部の第2層をスピン圧が発生しているスピンデバイスに接触させると、スピン拡散により第1層と第2層との界面に電流が生じ、第1層と第2層との間に起電力が生じる。このとき、流れる電流はスピン圧に比例するため、電流を測定することによりスピンデバイスのスピン圧を測定することができる。この結果、スピンデバイスへ電流が流れ込むことを抑制しつつスピン流を注入したり、スピンデバイスのスピン圧を測定することが可能なプローブを提供することができる。ここで、「スピンデバイス」とは、電子のもつ電荷およびスピンを利用して作動するデバイスをいう。
こうした本発明のプローブにおいて、前記第2層は、前記非磁性体のスピン緩和長の2倍以下の厚さになるように形成してもよい。
また、本発明のプローブにおいて、前記磁性体は、Ni,Co,Fe,Gd,FeNi合金,パーマロイ、ミューメタル、サマリウムコバルト、Nd,Al−Ni−Co,フェライトのうちのいずれかとしてもよい。
さらに、本発明のプローブにおいて、前記非磁性体は、Cu,Ag,Al,Au,Pt,Rh,Pd,Ir,Ru,Os,Al−Cu,Cu−Sn,Cu−Au,Cu−Beのうちのいずれかとしてもよい。
そして、本発明のプローブにおいて、前記基板と前記第1層との間に、前記導電性の磁性体より電気伝導率の高い導電体から形成される第3層、を備えるものとしてもよい。第3層と第1層と第2層との間に電流を流すことにより、第3層を備えておらず同一の電流を第1層と第2層との間に流すものに比して、第2層の第1層と反対側の面における電位勾配が小さくなる。これにより、第2層の第1層と反対側の面をスピンデバイスに接触させたときにスピンデバイスに局所的に電流が流れることを抑制することができる。この場合において、前記導電体は、Cu,Ag,Al,Auのいずれかとしてもよい。
本発明のプローブの製造方法は、
スピンデバイスの検査に用いられ、先端部に、絶縁体または半導体により形成される基板と、導電性の磁性体により形成される第1層と、導電性の非磁性体により形成される第2層と、がこの順で積層されており、前記第2層は、厚さがスピンが緩和するよりも薄い厚さとして予め定められた所定厚さとなるように形成される、プローブの製造方法であって、
前記基板の表面の少なくとも一部に、前記導電性の磁性体により磁性体層を形成する第1工程と、
前記磁性体層上に、前記導電性の非磁性体により、厚さがスピンが緩和する厚さよりも薄い非磁性体層を形成する第2工程と、
前記磁性体層と前記非磁性体層とが形成されている前記基板を、前記磁性体層と前記非磁性体層とが積層されている部分で分割する第3工程と、
を備えることを要旨とする。
この本発明のプローブの製造方法では、絶縁体または半導体により形成される基板の表面の少なくとも一部に、導電性の磁性体により磁性体層を形成し、磁性体層上に、導電性の非磁性体により、厚さがスピンが緩和するよりも薄い厚さとして予め定められた所定厚さとなるように非磁性体層を形成し、磁性体層と非磁性体層とが形成されている基板を、磁性体層と非磁性体層とが積層されている部分で分割する。これにより、スピンデバイスの検査に用いられ、先端部に、絶縁体または半導体により形成される基板と、導電性の磁性体により形成される第1層と、導電性の非磁性体により形成される第2層と、がこの順で積層されており、第2層は、所定厚さに形成される、プローブを製造することができる。ここで、「スピンデバイス」とは、電子のもつ電荷およびスピンの2つの自由度を利用して作動するデバイスをいう。
こうした本発明のプローブの製造方法において、前記第1工程では、前記基板の表面に前記導電性の磁性体より電気伝導度が高い導電体により高導電体層を形成した後に、前記高導電体層上に前記磁性体層を形成してもよい。こうすれば、基板と第1層との間に、導電性の磁性体より電気伝導率の高い導電体から形成された第3層、を備えるプローブを製造することができる。
また、本発明のプローブの製造方法において、前記第3工程は、ステルスダイシングまたは劈開により、前記磁性体層と前記非磁性体層とが形成されている前記基板を、前記磁性体層と前記非磁性体層とが積層されている部分で分割してもよい。
本発明の一実施例としてのプローブ20の端面の概略を示す概略図である。 プローブ20の先端部20aの拡大図である。 先端部20aを図2におけるA方向から見た側面の概略を示す概略図である。 プローブ20に電流源30を接続したときの様子を示す説明図である。 プローブ20におけるスピン流の様子をシミュレーションするための先端部20aのモデル70の構成を説明するための説明図である。 モデル70において、第2層26を試料に接触させない状態で第1層24と第2層26との間に電流を流したときのスピン偏極率の分布のシミュレーションの結果を示す説明図である。 スピンの蓄積が生じているモデル70を試料に接触させたときのモデル70におけるスピン偏極率の分布のシミュレーションの結果を示す説明図である。 スピンの蓄積が生じているモデル70を試料に接触させたときのモデル70において発生する電圧の分布のシミュレーションの結果を示す説明図である。 プローブ20からスピンデバイスにスピン流が注入していることを検証している様子を示す説明図である。 抵抗Rsの角度θの依存性の測定結果を示すグラフである。 プローブ20の製造フローの一例を示すフローチャートである。 ステップS100の工程を実行した後の基板60の様子を説明するための説明図である。 ステップS110の工程を実行した後の基板60,Ni層62,Cu層64の様子を説明するための説明図である。 ステップS120の工程で基板60を分割した後の様子を説明するための説明図である。 変形例のプローブ220の先端部220aの構成の概略を示す構成概略図である。 変形例のプローブ220の先端部220aを図15のB方向から見た側面の概略を示す概略図である。 変形例のプローブ320の先端部320aの構成の概略を示す構成概略図である。 変形例のプローブ320の先端部320aを図17のC方向から見た側面の概略を示す概略図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのプローブ20の端面の概略を示す概略図である。図2は、プローブ20の先端部20aの拡大図である。図3は、先端部20aを図2におけるA方向から見た側面の概略を示す概略図である。
プローブ20は、図1〜図3に示すように、Si(シリコン)により形成され全体として長板形状の基板22の先端部に、第1層24と、第2層26と、がこの順に積層されている。
第1層24は、Ni(ニッケル)により、厚さが100nmで、長手方向の長さL1が40μm,短手方向の長さL2が10μmの略矩形状となるように形成されている。第1層24は、基板22の表面に、基板22の端辺22bに沿うように配置されている。
第2層26は、Cu(銅)により、厚さが所定厚さD2、長手方向の長さL3が40μm,短手方向の長さL4が10μmの略矩形状となるよう形成されている。所定厚さD2は、第2層26においてスピンが緩和するよりも薄い厚さとして予め実験や解析などで定められた厚さであり、Cuのスピン緩和長の約2倍以下の長さである。実施例では、所定厚さD2を、100nmとしている。第2層26は、基板22の端辺22bと略直角をなす端辺22cに沿って、一方の端部が第1層24の一方の端部に重なるように配置されている。
こうした構成により、プローブ20の先端部20aは、基板22と、第1層24と、第2層26と、が積層された構造となっている。
次に、こうして構成されたプローブ20の動作について説明する。図4は、プローブ20に電流源30を接続したときの様子を示す説明図である。第1層24,第2層26に電流源30を接続し、第1層24と第2層26との間に電流を流すと、第1層24,第2層26との界面に電流が流れる。Niは、磁性体であり、Cuは、非磁性体であるから、第1層24,第2層26の界面に電流が流れると、第2層26のこの界面付近に電流の向きおよびNiの磁化の向きに応じたスピンの蓄積が生じてスピン圧が生成される。第2層26は、厚さが所定厚さD2、すなわち、第2層26においてスピンが緩和するよりも薄い厚さとなるように形成されている。したがって、プローブ20の先端部20aの第1層24,第2層26が積層されている部分の第2層26の表面26aをスピンデバイスに接触させた状態で第1層24と第2層26との間に電流を流すことにより、第2層26からスピンデバイスにスピン流を注入することができる。
図5は、プローブ20におけるスピン流の様子をシミュレーションするための先端部20aのモデル70の構成を説明するための説明図である。モデル70は、実施例のプローブ20の先端部20aをモデル化したものであり、先端部20aと同一の寸法となっている。図中、矢印のx軸,y軸は、それぞれ図6〜図8のx軸,y軸の方向を示している。シミュレーションでは、スピンを2種類のチャージとして扱う2流体モデルとしている。このモデルでは、Niは、スピン拡散長を3×10−9m,スピン偏極率を0.23,抵抗率を6.99×10−8Ωmとしている。Cuは、スピン拡散長を1×10−6m,スピン偏極率を0,抵抗率を1.68×10−8Ωmとしている。
図6は、モデル70において、第2層26を試料に接触させない状態で第1層24と第2層26との間に電流を流したときのスピン偏極率の分布のシミュレーションの結果を示す説明図である。モデル70では、図示するように、第1層24と第2層26との間に電流を流すと、スピンの蓄積が生じる。
図7は、スピンの蓄積が生じているモデル70を試料に接触させたときのモデル70におけるスピン偏極率の分布のシミュレーションの結果を示す説明図である。図8は、スピンの蓄積が生じているモデル70を試料に接触させたときのモデル70において発生する電圧の分布のシミュレーションの結果を示す説明図である。図8中、縦軸は、第1層24と第2層26との間に1mAの電流を流したときに先端部20aに発生する電圧を示している。スピンの蓄積が生じているモデル70を試料に接触させると、図7に示すように、面方向に1μm程度の範囲でスピンが減少している。モデル70では、面方向に1μm程度の範囲のスピンが試料に注入されている。モデル70では、面方向に1μm程度の範囲、つまり、比較的広い範囲のスピンが試料に流れ込んでいることから、第1層24と第2層26との界面の電流密度が小さいときでも、大きなスピン流を試料に注入することができる。なお、図8に示すように、スピンの蓄積が生じているモデル70を試料に接触させることにより発生する電圧擾乱は十分小さいことがわかる。
図9は、プローブ20からスピンデバイスにスピン流が注入していることを検証している様子を示す説明図である。図9において、プローブ20には、図4に示した電流源30を接続しているが、電流源30については図示していない。ここでは、スピンデバイスとして、Auにより厚さが100nm,長手方向の長さが90μm,短手方向の長さが1μmの細線40を用いている。また、環境温度を7Kとし、プローブ20の先端部20aの第2層26の表面26aを細線40に接触させた状態で電流源30からプローブ20の第1層24,第2層26間に1mAの電流を流したときに、細線40に生じる電圧Vsおよび電流Isを端子50,52で検出し、電圧Vsを細線40に流れる電流Isで除した抵抗Rsの角度θ(第1層24の長手方向の一辺と細線40とのなす角度)の依存性を測定した。角度θは、プローブ20を固定した状態で細線40を回転させることにより変更している。
図10は、抵抗Rsの角度θの依存性の測定結果を示すグラフである。図示するように、角度θに対して抵抗Rがsinカーブを示すことから、逆スピンホール効果が発生している、つまり、プローブ20からスピン流が注入されていることがわかる。このように、プローブ20の先端部20aの第2層26の表面26aをスピンデバイスに接触させた状態で第1層24と第2層26との間に電流を流すことにより、第2層26からスピンデバイスにスピン流を注入することができる。このスピン流の注入に際し、スピンデバイスに電流を流す必要はないから、スピンデバイスへ電流が流れ込むことを抑制しつつ、スピン流を注入することができる。また、スピンデバイスへ電流を流す必要がなく、スピンデバイスが絶縁体により形成されているときでも、スピン流を注入することができる。
また、先端部20aの第2層26の表面26aをスピン圧が発生しているスピンデバイスに接触させると、スピン拡散によりスピンが第1層24と第2層26との界面に流れて、第1層24と第2層26との間に起電力が生じると考えられる。このとき、流れる電流は、スピンデバイスに発生しているスピン圧に比例するから、第1層24と第2層26との間に生じる電圧もしくは第1層24と第2層26との間に流れる電流を測定することにより、スピンデバイスのスピン圧を測定することができると考えられる。
続いて、プローブ20の製造方法について説明する。図11は、プローブ20の製造フローの一例を示すフローチャートである。
最初に、Si(シリコン)から形成された基板60にNi(ニッケル)からなるNi層62を形成する(ステップS100)。図12は、ステップS100の工程を実行した後の基板60の様子を説明するための説明図である。Ni層62は、厚さが100nmのNi(ニッケル)を基板60に堆積させ、EBリソグラフィ法を用いて、基板60の中央部に長手方向の長さが長さL1の2倍,短手方向の長さが長さL2の2倍の略矩形状となるように形成されている。
続いて、Ni層62が形成された基板60にCu(銅)からなるCu層64を形成する(ステップS110)。図13は、ステップS110の工程を実行した後の基板60,Ni層62,Cu層64の様子を説明するための説明図である。Cu層64は、厚さが所定厚さD2となるようにCu(銅)を堆積させ、EBリソグラフィ法を用いて、基板60の中央部に、長手方向がNi層62の長手方向と90度の角度をなし、長手方向の長さが長さL3の2倍、短手方向の長さが長さL4の2倍の略矩形状となるように形成されている。
次に、ステルスダイシング装置によるステルスダイシング法を用いて、Ni層62,Cu層64とが形成された基板60をNi層62,Cu層64が積層している部分で分割して(ステップS120)、製造を終了する。図14は、ステップS120の工程で基板60を分割した後の様子を説明するための説明図である。こうした工程により、図示するように、2つのプローブ20と、プローブ20と線対称に第1層24,第2層26が配置された2つのプローブ120とを製造することができる。なお、プローブ120は、プローブ20と同様に、第1層24,第2層26との間に電流を流すことによりスピンデバイスにスピン流を注入したり、スピンデバイスのスピン圧を第1層24,第2層26の間の電圧または電流として測定するプローブとして機能することができる。
以上説明した実施例のプローブ20によれば、先端部20aに、基板22と、Niにより形成した第1層24と、Cuにより厚さが所定厚さD2(スピンが緩和するよりも薄い厚さ)となるように形成した第2層26と、をこの順に積層することにより、スピンデバイスへ電流が流れ込むことを抑制しつつスピン流を注入したり、スピンデバイスのスピン圧を測定することが可能なプローブを提供することができる。
また、実施例のプローブ20の製造方法によれば、Siにより形成された基板60の表面に、Ni層62を形成し、Ni層62が形成された基板22の表面に、一部がNi層62に重なるように、Cuにより厚さが所定厚さD2のCu層64を形成し、ステルスダイシング装置によって、Ni層62,Cu層64を形成した基板22を、Ni層62とCu層64とが積層された部分で分割する。これにより、プローブ20を製造することができる。
実施例のプローブ20では、長板状の基板22の端部に第1層24と第2層26とを積層しているが、プローブ20の先端部20aに基板22と第1層24と第2層26との積層構造を形成すればよいから、例えば、基板22の図1における長手方向の長さを長さL1とし、基板22と第1層24と第2層26とを積層したものを別の長板状の部材の端部に取り付けてもよい。
実施例のプローブ20の製造方法では、ステルスダイシング装置によって、Ni層62,Cu層64を形成した基板22を、Ni層62とCu層64とが積層された部分で分割している。しかしながら、Ni層62,Cu層64を形成した基板22を、Ni層62とCu層64とが積層された部分で分割する手法としてはステルスダイシング装置によるものに限定されたものではなく、例えば、劈開など、Ni層62とCu層64とが積層された部分を分割する手法であればいかなる手法でも構わない。
実施例のプローブ20では、第1層24,第2層26を略矩形状に形成し、一方の端部が第1層24の一方の端部に重なるように配置し、プローブ20の先端部20aの第2層26の表面26aをスピンデバイスに接触させた状態で第1層24,第2層26に電流を流すことにより、スピンデバイスにスピン流を注入している。このとき、第2層26の表面26aには、電位勾配が生じて、この電位勾配によりスピンデバイスに局所的な電流が生じてしまう。こうした不都合を抑制するために、図15,図16に例示する変形例のプローブ220の先端部220aのように、Cuにより形成される第2層226を略L字形状として、略L字の屈曲している部分と基板22との間にNiにより形成された第1層224を配置し、第1層224と第2層226の略L字の両端との間に電流を流してもよい。第2層226には2方向から電流が流れるから、プローブ20のように第2層26に1方向から電流を流すものに比して、第1層224と第2層226とが積層されている部分における電位勾配をより小さくすることができる。これにより、第2層226の表面226aをスピンデバイスに接触させたときに、スピンデバイスに局所的に電流が流れることを抑制できる。また、図17,図18に例示する変形例のプローブ320の先端部320aのように、第1層224と基板22との間にCu(銅)やAg(銀),Al(アルミニウム),Au(金)などの第1層224を形成する磁性体よりも電気伝導度が高い導電性を有する第3層328を形成してもよい。この場合、第2層226の両端と第3層328との間に電流を流すことにより、スピンデバイスに局所的に電流が流れることをより抑制することができる。なお、変形例のプローブ320は、図11に例示した製造フローにおいて、ステップS100の処理において、基板60に、Cu(銅)やAg(銀),Al(アルミニウム),Au(金)などの第1層224を形成する磁性体よりも電気伝導度が高い導電性を有する高導電体層を形成した後に、Ni層62を形成することにより、製造すればよい。
実施例のプローブ20や変形例のプローブ220,320では、第2層26,226を、一部が第1層24,224と重なるよう形成しているが、第1層24,224と第2層26,226とを同一の形状に形成して、第2層26,226の全てが第1層24,224と重なるように形成してもよい。この場合、第1層24,224,第2層26,226と電流源30とを接続する配線などを設けてもよい。
実施例のプローブ20や変形例のプローブ220,320では、基板22を、Siにより形成しているが、他の半導体や絶縁体により形成してもよい。
実施例のプローブ20や変形例のプローブ220,320では、第1層24,224をNiにより形成しているが、導電性のある磁性体であればいかなるもので形成してもよく、例えば、Co(コバルト),Fe(鉄),Gd(ガドニウム),FeNi合金,パーマロイ、ミューメタル、サマリウムコバルト、Nd(ネオジウム),Al−Ni−Co,フェライトのうちのいずれかにより形成してもよい。
実施例のプローブ20や変形例のプローブ220,320では、第2層26,226をCuにより形成しているが、導電性のある非磁性体であればいかなるもので形成してもよく、例えばAg,Al(アルミニウム),Au,Pt(白金),Rh(ロジウム),Pd(パラジウム),Ir(イリジウム),Ru(ルテニウム),Os(オスミウム),Al−Cu,Cu−Sn(スズ),Cu−Au,Cu−Be(ベリリウム)のうちのいずれかにより形成してもよい。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、プローブの製造産業などに利用可能である。

Claims (8)

  1. スピンデバイスの検査に用いるプローブであって、
    先端部に、絶縁体または半導体により形成される基板と、導電性の磁性体により形成される第1層と、導電性の非磁性体により形成される第2層と、がこの順で積層されており、
    前記第2層は、厚さがスピンが緩和するよりも薄い厚さとして予め定められた所定厚さとなるように形成されている、
    プローブ。
  2. 請求項1記載のプローブであって、
    前記第2層は、前記非磁性体のスピン緩和長さの2倍以下の厚さになるように形成されている、
    プローブ。
  3. 請求項1または2に記載のプローブであって、
    前記磁性体は、Ni,Co,Fe,Gd,FeNi合金,パーマロイ、ミューメタル、サマリウムコバルト、Nd,Al−Ni−Co,フェライトのうちのいずれかである、
    プローブ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載のプローブであって、
    前記非磁性体は、Cu,Ag,Al,Au,Pt,Rh,Pd,Ir,Ru,Os,Al−Cu,Cu−Sn,Cu−Au,Cu−Beのうちのいずれかである、
    プローブ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載のプローブであって、
    前記基板と前記第1層との間に、前記導電性の磁性体より電気伝導率の高い導電体から形成された第3層、
    を備えるプローブ。
  6. 請求項記載のプローブであって、
    前記導電体は、Cu,Ag,Al,Auのいずれかである、
    プローブ。
  7. スピンデバイスの検査に用いられ、先端部に、絶縁体または半導体により形成される基板と、導電性の磁性体により形成される第1層と、導電性の非磁性体により形成される第2層と、がこの順で積層されており、前記第2層は、厚さがスピンが緩和するよりも薄い厚さとして予め定められた所定厚さとなるように形成される、プローブの製造方法であって、
    前記基板の表面の少なくとも一部に、前記導電性の磁性体により磁性体層を形成する第1工程と、
    前記磁性体層上に、前記導電性の非磁性体により厚さが前記所定厚さとなるように非磁性体層を形成する第2工程と、
    前記磁性体層と前記非磁性体層とが形成されている前記基板を、前記磁性体層と前記非磁性体層とが積層されている部分で分割する第3工程と、
    を備えるプローブの製造方法。
  8. 請求項7記載のプローブの製造方法であって、
    前記第1工程では、前記基板の表面に前記導電性の磁性体より電気伝導度が高い導電体により高導電体層を形成した後に、前記高導電体層上に前記磁性体層を形成する、
    プローブの製造方法。
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