以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(運転支援装置)
本発明の実施形態に係る運転支援装置は、図1に示すように、処理回路1、周囲センサ2、車両センサ3、生体情報センサ4、記憶装置5、出力インターフェース(I/F)6及びアクチュエータ7を備える。本実施形態に係る運転支援装置は、例えば図2に示すように、車両100に搭載され、車両100の周囲の状況に応じて車両100の挙動を自動的に制御することにより、車両100の走行を支援する。
周囲センサ2は、前方の状況を含む車両100の周囲状況を検出するセンサである。周囲センサ2は、例えば、カメラ21、レーダ22及び通信機23を備える。周囲センサ2を構成するセンサの種類や数はこれに限定されない。
カメラ21は、車両100の周囲の所定の範囲を撮像し、周囲の画像を取得する固体撮像素子からなる。カメラ21は、取得した画像から周囲の他車両、歩行者、自転車等の対象の車両100に対する相対位置、相対速度、車両100と対象との間の距離、道路上の車線境界線(白線)等の道路構造を含む車両100の周囲状況のデータを検出し、検出された周囲状況のデータを処理回路1に出力する。カメラ21は、ステレオカメラや全方位カメラであってもよく、赤外線カメラを含むようにしてもよい。
レーダ22としては、例えばミリ波や超音波を用いた測距レーダやレーザレンジファインダ(LRF)等を使用可能である。レーダ22は、車両100の周囲の所定の範囲を走査し、周囲の3次元距離データを取得する。レーダ22は、3次元距離データから車両100に対する周囲の対象の相対位置、相対速度、車両100と対象との間の距離等を車両100の周囲状況のデータとして検出する。レーダ22は、検出された車両100の周囲状況のデータを処理回路1に出力する。
通信機23は、無線通信により外部から車両100の周囲状況のデータを取得する通信インターフェースである。通信機23は、例えば、他の車両との間の車車間通信、路側機との間の路車間通信等により、車両100に対する周囲の他の車両の相対位置、相対速度、相対加速度等の走行状況を検出し、周囲状況のデータとして処理回路1に出力する。通信機23は、車線単位の車線単位の渋滞情報、交通規制情報等の交通情報を周囲状況のデータとして取得してもよい。
車両センサ3は、車両100の位置情報を含む車両100の走行状況を検出するセンサである。車両センサ3は、全地球航法測位システム(GNSS)受信機31、車速センサ32、加速度センサ33及び角速度センサ34を備える。なお、車両センサ3を構成するセンサの種類や数はこれに限定されない。
GNSS受信機31は、GNSSは、例えば全地球測位システム(GPS)におけるGPS受信機である。GNSS受信機31は、複数の航法衛星から受信した信号に基づいて、車両100の緯度、経度及び高度を示す位置情報を算出し、処理回路1に出力する。
車速センサ32は、例えば車両100の車輪速から車速を検出し、処理回路1に出力する。加速度センサ33は、車両100の加速度を検出し、処理回路1に出力する。角速度センサ34は、車両100の角速度を検出し、処理回路1に出力する。
生体情報センサ4は、乗員の違和感を取得可能な乗員の生体情報を検出し、処理回路1に出力する。生体情報センサ4は、例えば乗員の生体情報として脳波を検出する脳波センサからなる。その他、生体情報としては、乗員の脳血流、心拍数、呼吸、発汗量等を採用可能である。生体情報センサ4は、乗員の顔画像を取得するイメージセンサであってもよい。生体情報センサ4は、乗員の生体情報を処理回路1に出力する。
記憶装置5としては、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置等が使用可能である。記憶装置5は、コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体からなり、単一のハードウェアであっても複数のハードウェアから構成されてもよい。記憶装置5は、処理回路1に内蔵されていてもよい。記憶装置5は、地図データ51及び行動データベース52及び判断基準データ53を記憶している。
地図データ51は、道路種別、道路形状及び制限速度等を含む。行動データベース52は、本実施形態に係る運転支援装置による反応行動及び関連付けられたデータを記録するデータベースである。判断基準データ53は、本実施形態に係る運転支援装置による反応行動の決定時に参照される値(閾値)である。行動データベース52及び判断基準データ53の詳細は後述する。
処理回路1は、本発明の実施形態に係る運転支援装置が行う動作に必要な処理の算術論理演算を行う電子制御ユニット(ECU)等のコントローラであり、例えば、プロセッサ、記憶装置及び入出力インターフェースを備えてもよい。プロセッサには、算術論理演算装置(ALU)、制御回路(制御装置)、各種レジスタ等を含む中央演算処理装置(CPU)等に等価なマイクロプロセッサ等を対応させることができる。処理回路1に内蔵又は外付けされる記憶装置は、半導体メモリやディスクメディア等からなり、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM及びRAM等の記憶媒体を含んでいてもよい。例えば、記憶装置に予め記憶された、本発明の実施形態に係る運転支援装置の動作に必要な一連の処理を示すプログラム(運転支援プログラム)をプロセッサが実行し得る。
処理回路1は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)等で物理的に構成してもよく、汎用の半導体集積回路中にソフトウェアによる処理で等価的に設定される機能的な論理回路等でも構わない。処理回路1を構成する各部は、単一のハードウェアから構成されてもよく、それぞれ別個のハードウェアから構成されてもよい。例えば、処理回路1は、車載インフォテイメント(IVI)システム等のカーナビゲーションシステムと、先進運転支援システム(ADAS)等の運転支援システムとで構成できる。処理回路1は、周囲センサ2、車両センサ3、生体情報センサ4、記憶装置5、出力I/F6及びアクチュエータ7のそれぞれとコントローラエリアネットワーク(CAN)バス等の通信ネットワークで互いに接続されている。
処理回路1は、周囲環境認識部11、車線変更検出部12、行動決定部13、目標算出部14、車両制御部15、提示制御部16及び違和感検出部17等の論理ブロックを機能的若しくは物理的なハードウェア資源として備える。
処理回路1は、車両センサ3により取得された車両100の位置情報、速度、加速度及び角速度に基づいて、記憶装置5に記憶された地図データ51における車両100の現在位置を逐次算出する。処理回路1は、車両100の現在位置から、乗員等により設定された目的地までの走行経路を設定し、制限速度や先行車の速度に応じた目標速度で走行経路に沿って走行するように車両100を制御する。
周囲環境認識部11は、図2に示すように、周囲センサ2により検出された周囲状況に基づいて、車両100が走行する走行車線L2、走行車線L2に隣接する隣接車線L1,L3を認識し、走行車線L2及び隣接車線L1,L3のそれぞれを走行する車両100の周囲の他車両を認識する。周囲環境認識部11は、周囲センサ2により検出された車両100に対する他車両の相対位置、相対速度、車両100と他車両との間の距離を取得する。
車線変更検出部12は、周囲環境認識部11に認識された他車両のうち、隣接車線L1,L3の車両100より前方の所定の距離範囲を走行する対象車両200を検出し、対象車両200の走行車線L2への車線変更の意図(予兆)を検出する。車線変更検出部12は、例えば、周囲センサ2により検出された対象車両200の方向指示器の状態、対象車両200の隣接車線L3における幅方向の位置の推移等に基づいて、対象車両200の車線変更の意図を検出する。図2に示す例において、車線変更検出部12は、カメラ21から取得された画像に基づいて対象車両200の方向指示器の状態を認識し、対象車両200の左側の車線への車線変更の意図を検出する。
車線変更検出部12は、図3に示すように、地図データ51から取得される道路形状に基づいて、対象車両200の車線変更の意図を検出するようにしてもよい。即ち、車線変更検出部12は、地図データ51から対象車両200が走行する隣接車線L3が対象車両200の前方において走行車線L2に合流することを認識し、合流地点からの距離に基づいて対象車両200の車線変更の意図を検出するようにしてもよい。或いは、車線変更検出部12は、車両100の周囲の他車両の相対位置を検出し、対象車両200の先行車と対象車両200との位置関係、車両100の先行車の有無等に基づいて、車線変更の意図を検出するようにしてもよく、通信機23を介した対象車両200との車車間通信により車線変更の意図を検出するようにしてもよい。
行動決定部13は、周囲センサ2により取得される車両100の周囲状況、行動データベース52、判断基準データ53等に基づいて、車線変更検出部12により検出された対象車両200の車線変更の意図に対する車両100の反応行動を決定する。行動決定部13は、対象車両200の車線変更の意図が検出されたことに応じて、少なくとも車両100と対象車両200との間の距離dに基づいて反応行動を決定する。例えば、行動決定部13は、距離dを、対象車両200の時系列の相対位置から取得される対象車両200の相対速度で除算することにより、車両100と対象車両200との衝突時間(TTC)を算出する。但し、距離dは、道路に沿う方向の距離であるため、実際は車両100及び対象車両200は、TTC経過後に衝突することはない。
行動決定部13は、TTCが所定の閾値Tα以上の場合、対象車両200に車両100の前方を譲る行動を反応行動として決定し、閾値Tα未満の場合、対象車両200に車両100の後方を譲る行動を反応行動として決定する。閾値Tαは、車線変更に対する反応行動を決定する判断基準の閾値である判断基準データ53として記憶装置5に記憶される。閾値Tαが大きい程、対象車両200に車両100の後方を譲る反応行動の決定が増加し、閾値Tαが小さい程、対象車両200に車両100の前方を譲る反応行動の決定が増加する。
行動決定部13による反応行動の決定方法は、TTCと閾値Tαの比較結果に応じる方法に限られない。例えば、行動決定部13は、例えば、車両100と対象車両200との車間時間(THW)と対応する閾値Tβとの比較結果に応じる方法であってもよい。THWは、車両100と対象車両200と間の距離dを車両100の車速で除算することにより算出される。
或いは、行動決定部13は、図3に示すように、車両100の周囲状況に応じて、対象車両200が走行する隣接車線L3の反対側の隣接車線L1への車線変更を車両100の反応行動として決定してもよい。行動決定部13は、例えば、対象車両200の車線変更の意図が検出され、車両100から所定の距離範囲に隣接車線L1を走行する他車両が存在しない場合、隣接車線L1への車線変更を反応行動として決定する。行動決定部13は、車両100から所定の距離範囲の走行車線L2に先行車又は後続車が存在する場合に限り、隣接車線L1への車線変更を反応行動として決定するようにしてもよい。
行動決定部13により決定され得る車両100の反応行動の種類は、行動データベース52に記録されている。行動データベース52は、過去に車線変更検出部12が車線変更の意図を検出した時の車両100の周囲状況と、車線変更に対して決定された反応行動と、反応行動に対する乗員の違和感の有無とが互いに関連付けられて記録される。
目標算出部14は、行動決定部13により決定された反応行動を実行するための車両100の速度、加速度、操舵量等の目標値を算出する。例えば図2に示すように、対象車両200の走行車線L2への車線変更に対して、対象車両200に車両100の前方を譲る反応行動が決定された場合、目標算出部14は、車両100が減速するような目標速度及び目標加速度を算出する。速度、加速度、操舵量等の目標値は、走行道路の制限速度、車両100の先行車及び後続車の有無、周囲の混雑度合等に基づいて決定され得る。
車両制御部15は、目標算出部14により算出された目標値を実現する、アクチュエータ7を制御する制御信号を生成し、アクチュエータ7に出力することにより、行動決定部13により決定された反応行動を実行するように車両100を制御する。また、車両制御部15は、周囲センサ2により検出された車両100の周囲状況及び車両センサ3により検出された車両100の走行状況に基づいて、予め決定された走行経路に沿って車両100が走行するようにアクチュエータ7を制御する。なお、反応行動の実行時において、車両制御部15は、乗員が関与せずに駆動制御、制動制御、操舵制御のすべてを行う自動運転を行ってもよい。或いは、車両制御部15が駆動制御、制動制御、操舵制御の少なくとも一部を行う自動運転を行うとともに、乗員が運転操作の一部を行ってもよい。
アクチュエータ7は、車両制御部15からの制御信号に応じて車両100の走行を制御する。アクチュエータ7は、アクセルアクチュエータ71、ブレーキアクチュエータ72及びステアリングアクチュエータ73を備える。アクセルアクチュエータ71は、例えばスロットルバルブからなり、車両100のアクセル開度を制御する。ブレーキアクチュエータ72は、例えば油圧回路からなり、車両100のブレーキの制動動作を制御する。ステアリングアクチュエータ73は、例えばステアリングシャフトにトルクを伝達可能なモータからなり、ステアリングシャフトの操舵量を制御する。
提示制御部16は、行動決定部13により決定された反応行動の計画を乗員に対して提示するように出力I/F6を制御する。提示制御部16は、例えば、反応行動として、対象車両200に車両100の前方又は後方を譲る旨や、車両100が車線変更を行う旨を乗員に提示するように出力I/F6を制御する。提示制御部16は、車両100が走行する道路を示す画像上に反応行動を示す車両100の軌跡を表示するように出力I/F6を制御するようにしてもよい。或いは、提示制御部16は、行動決定部13により決定された反応行動の実行を促す誘導指示を乗員に対して提示するように出力I/F6を制御するようにしてもよい。
出力I/F6は、提示制御部16による制御に応じて行動決定部13により決定された反応行動の計画や、乗員に対する反応行動の誘導指示等を乗員に対して提示する。出力I/F6は、表示装置61及びスピーカ62を備える。表示装置61は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイであり、画像、文字情報、アイコン等により反応行動の計画や乗員に対する誘導指示等を表示する。スピーカ62は、音声や報知音により反応行動の計画や乗員に対する誘導指示等を示す音声を再生する。
違和感検出部17は、生体情報センサ4により検出された乗員の生体情報から、乗員の違和感を検出する。ここで、乗員の違和感とは、乗員が想定する車両100の行動に対する実際の行動の差に起因して乗員が覚える違和感を意味する。例えば、図2に示すように、乗員が車両100の後続車300を認識していたが、対象車両200に前方を譲る反応行動が実行され、車両100が減速して後続車300との距離が短くなった場合、乗員は違和感を覚え得る。また、乗員が対象車両200に前方を譲ることを想定していたが、対象車両200に後方を譲る反応行動が実行され、車両100が加速した場合、乗員が違和感を覚え得る。
例えば、生体情報センサ4が脳波センサである場合、違和感検出部17は、乗員の脳波に基づいて検出される。以下、生体情報センサ4が脳波センサであるとして、違和感検出部17による違和感の検出方法について説明する。
脳波センサは、複数の電極を有し、複数の電極が乗員(例えば運転者又は運転者以外の同乗者)の頭部に取り付けられる。脳波センサの複数の電極は、例えば図4に示すように、国際10−20法に準拠し、認知機能に関わる乗員の頭頂部Fz,Fcz,Cz,CPzに配置される。脳波センサが有する複数の電極の頭部への取り付け方法は特に限定されないが、例えば複数の電極を設けた装着型の電極キャップで構成されていてもよい。脳波センサは、乗員の脳波(脳活動)のデータを検出し、検出された脳波のデータを処理回路1に出力する。
例えば、違和感検出部17は、脳波センサにより検出された乗員の脳波のデータに対して周波数解析を行い、思考や認知の結果として現れる脳の反応を示す事象関連電位(ERP)を検出することにより乗員の違和感の発生を検出する。例えば、記憶装置5に乗員が違和感を覚えたときの脳波のパターンを予め記憶しており、記憶装置5に記憶された脳波のパターンと、脳波センサにより検出された脳波のパターンとの一致度から乗員の違和感の有無を判断してもよい。
違和感検出部17は、例えば図5に示すように、所定時間T(例えば500ミリ秒)の脳波信号からN個の特徴量p1,p2,…,pNを抽出し、脳波の特徴ベクトルP=(p1,p2,…,pN)を生成する。特徴量は、例えば一定間隔でサンプリングした値等を使用可能である。違和感検出部17は更に、図6に示すように、違和感を覚えているときの脳波の特徴量を特徴空間へ配置したときの特徴量領域Dを決定する。特徴量領域Dの決定は、例えば複数サンプルがあれば、ベクトル集合{P}の重心点を中心とし集合{P}を包含する円を特徴量領域Dとする。違和感検出部17は、脳波センサによりリアルタイムで計測された乗員の脳波の特徴ベクトルPと、違和感の特徴量領域Dを比較し、脳波の特徴ベクトルPが特徴量領域Dに属する場合、乗員の違和感が有ると判断する。一方、脳波の特徴ベクトルPが特徴量領域Dに属さない場合、違和感検出部17は、乗員の違和感が無いと判断する。
また、乗員の通常時の脳波と違和感を覚えている時の脳波のデータがあれば、違和感検出部17は、線形判別法により、図6に示す平面P0を設定し、平面P0を用いて、乗員の違和感の有無を判断してもよい。また、違和感検出部17は、サポート・ベクター・マシン(SVM)やニューラル・ネットワーク法等により乗員の違和感の有無を判断してもよい。
行動決定部13は、違和感検出部17により車両100の反応行動に対する乗員の違和感が検出された場合、記憶装置5に記憶された判断基準データ53を調整する。例えば、図2に示す例において、対象車両200に前方を譲る反応行動に対して、乗員の違和感が検出された場合、行動決定部13は、判断基準データ53を、対象車両200に後方を譲る反応行動の決定が増加する側に変更する。即ち、判断基準データ53としてTTCにおける閾値Tαが記憶されている場合、行動決定部13は、閾値Tαを所定の割合で増加させる。反対に、対象車両200に後方を譲る反応行動に対して、乗員の違和感が検出された場合、行動決定部13は、判断基準データ53を、対象車両200に前方を譲る反応行動の決定が増加する側に変更する。即ち、判断基準データ53としてTTCにおける閾値Tαが記憶されている場合、行動決定部13は、閾値Tαを所定の割合で減少させる。閾値Tαを増加又は減少させる割合は、適宜設定可能である。
(運転支援方法)
次に、図7のフローチャートを参照して、本発明の実施形態に係る運転支援装置を用いた運転支援方法の一例を説明する。図7に示す一連の処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS1において、周囲環境認識部11は、車両センサ3により検出された走行状態及び周囲センサ2により検出された車両100の周囲状況から、走行車線L2及び隣接車線L1,L3のそれぞれを走行する車両100の周囲の他車両を認識する。車線変更検出部12は、周囲センサ2により取得される車両100の周囲状況から、隣接車線L1,L3の車両100より前方を走行する対象車両200の、走行車線L2への車線変更の意図を検出する。
ステップS2において、行動決定部13は、周囲センサ2により取得される車両100の周囲状況、行動データベース52、判断基準データ53等に基づいて、ステップS1で検出された対象車両200の車線変更の意図に対する車両100の反応行動を決定する。例えば、行動決定部13は、対象車両200までの距離を対象車両200の相対速度で除算することにより対象車両200とのTTCを算出する。そして、行動決定部13は、TTCを判断基準データ53として記憶される閾値Tαと比較することにより、車両100が実行すべき反応行動を決定する。
ステップS3において、目標算出部14は、ステップS2で決定された反応行動が、対象車両200に車両100の前方を譲る行動であるか否かを判定する。対象車両200に車両100の前方を譲る反応行動である場合、ステップS4に処理を進め、前方を譲る反応行動でない場合、ステップS7に処理を進める。
ステップS4において、目標算出部14は、車両100が減速するような目標速度及び目標加速度を算出する。車両制御部15は、目標算出部14により算出された目標速度及び目標減速度を実現する制御信号をアクチュエータ7に出力することにより、減速して対象車両200に前方を譲る反応行動を実行するように車両100を制御する。
ステップS5において、違和感検出部17は、生体情報センサ4により検出される乗員の生体情報に基づいて、対象車両200に前方を譲る反応行動の実行から所定時間内に乗員の違和感を検出したか否かを判定する。例えば、生体情報センサ4が脳波センサである場合、違和感検出部17は、乗員の脳波に基づいて乗員の違和感の有無を判定する。乗員の違和感が検出された場合、ステップS6に処理を進め、乗員の違和感が検出されない場合、ステップS1に処理を戻す。
ステップS6において、行動決定部13は、ステップS5で乗員の違和感が検出されたことに応じて、記憶装置5に記憶された判断基準データ53を、対象車両200に後方を譲る反応行動の決定が増加する側に変更する。例えば、行動決定部13は、判断基準データ53がTTCにおける閾値Tαである場合、閾値Tαを所定の割合で増加させる。
ステップS7において、目標算出部14は、車両100が車速を維持又は加速するような目標速度及び目標加速度を算出する。車両制御部15は、目標算出部14により算出された目標速度及び目標減速度を実現する制御信号をアクチュエータ7に出力することにより、車速維持又は加速して対象車両200に後方を譲る反応行動を実行するように車両100を制御する。
ステップS8において、違和感検出部17は、生体情報センサ4により検出される乗員の生体情報に基づいて、対象車両200に後方を譲る反応行動の実行から所定時間内に乗員の違和感を検出したか否かを判定する。例えば、生体情報センサ4が脳波センサである場合、違和感検出部17は、乗員の脳波に基づいて乗員の違和感の有無を判定する。乗員の違和感が検出された場合、ステップS9に処理を進め、乗員の違和感が検出されない場合、ステップS1に処理を戻す。
ステップS9において、行動決定部13は、ステップS8で乗員の違和感が検出されたことに応じて、記憶装置5に記憶された判断基準データ53を、対象車両200に前方を譲る反応行動の決定が増加する側に変更する。例えば、行動決定部13は、判断基準データ53がTTCにおける閾値Tαである場合、閾値Tαを所定の割合で減少させる。調節された閾値Tαは、次回以降の周期における反応行動の決定に使用される。
(違和感検出方法)
次に、図8のフローチャートを参照しながら、図7のステップS5及びS8の処理に相当する違和感検出方法の一例を説明する。以下において、生体情報センサ4が脳波センサであり、乗員の脳波から違和感を検出する例について説明する。
先ず、ステップS21において、脳波センサが、乗員の脳波信号をリアルタイムに計測する。ステップS22において、違和感検出部17は、所定時間T(例えば500ミリ秒)で計測した脳波信号を記憶装置5に記憶させる。ステップS23において、違和感検出部17が、所定時間Tの脳波信号からN個の特徴量を抽出し、脳波の特徴ベクトルP=(p1,p2,…,pN)を生成する。
ステップS24において、違和感検出部17は、記憶装置5から特徴空間へ配置したときの特徴量領域Dを読み出して、乗員からリアルタイムで計測した脳波の特徴ベクトルPと違和感の特徴量領域Dを比較する。脳波の特徴ベクトルPが特徴量領域Dに属する場合、ステップS25に移行し、乗員の違和感が有ると判断する。一方、ステップS24において脳波の特徴ベクトルPが特徴量領域Dに属していない場合、ステップS26に移行し、乗員の違和感が無いと判断する。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る運転支援装置によれば、周囲状況及び判断基準に基づいて、対象車両200の車線変更に対する反応行動を決定し、反応行動に対する乗員の違和感を検出し、違和感が検出された場合に判断基準を調整する。対象車両200の車線変更に対する車両100の行動を決定する際、乗員の判断には個人差があるため、画一的な基準により反応行動を自動的に決定すると、車両100の反応行動に対して乗員に違和感を覚えさせる可能性がある。本実施形態に係る運転支援装置は、乗員の違和感に応じて反応行動を決定する判断基準を調整するため、自動的に決定される反応行動に対する乗員の違和感を低減することができる。
更に、本発明の実施形態に係る運転支援装置では、前方を譲る反応行動に対する違和感が検出された場合、後方を譲る反応行動の決定が増加する側に判断基準を変更し、後方を譲る反応行動に対する違和感が検出された場合、前方を譲る反応行動の決定が増加する側に変更する。即ち、違和感が検出される反応行動と異なる反応行動の決定が増加する側に判断基準が調整されるため、乗員の嗜好が反映された判断基準を設定することができ、同様の状況における同様の反応行動が決定され難くなり、乗員の違和感を低減又は解消することができる。
更に、本発明の実施形態に係る運転支援装置では、車両100の周囲状況に応じて、対象車両200が走行する隣接車線L3の反対側の隣接車線L1への車線変更を車両100の反応行動として決定され得る。このため、対象車両200の車線変更に対する反応行動の選択肢が増加され、よりスムーズな反応行動が可能となり、乗員に与える違和感を低減することができる。
更に、本発明の実施形態に係る運転支援装置では、車両100の反応行動に対する乗員の違和感を、乗員の脳波に基づいて検出することができる。このため、乗員の違和感を検出するための生体情報を取得する際の乗員の負担を低減することができる。
(第1変形例)
本発明の実施形態の第1変形例に係る運転支援装置を用いた運転支援方法は、車両100の反応行動に対して車両100の乗員の違和感が検出された場合、即座に反応行動の実行を中止する点で上述の実施形態と異なる。第1変形例において説明しない構成、作用及び効果は、上述の実施形態と同様であり、重複するため省略する。
図9のフローチャートを参照して、本発明の実施形態の第1変形例に係る運転支援装置を用いた運転支援方法の一例を説明する。図9のステップS31〜S35、S37〜S38の処理は、上述の図7のステップS1〜S5、S7〜S8の処理とそれぞれ同一であるため、重複する説明を省略する。
ステップS35で対象車両200に前方を譲る反応行動に対して乗員の違和感が検出された場合、ステップS36に処理が進められる。ステップS36において、車両100の周囲状況に基づいて、ステップS32で決定された反応行動を中止しても車両100の周囲の他車両の交通を妨げる可能性がないという安全条件を満たす場合、車両制御部15は、ステップS34で開始された、減速して対象車両200に前方を譲る反応行動を中止する。即ち、車両制御部15は、車速維持又は加速を開始する。また、ステップS36において、行動決定部13は、ステップS35で乗員の違和感が検出されたことに応じて、記憶装置5に記憶された判断基準データ53を、対象車両200に後方を譲る反応行動の決定が増加する側に変更する。
ステップS38で対象車両200に後方を譲る反応行動に対して乗員の違和感が検出された場合、ステップS39に処理が進められる。ステップS39において、車両100の周囲状況に基づいて、ステップS32で決定された反応行動を中止しても車両100の周囲の他車両の交通を妨げる可能性がないという安全条件を満たす場合、車両制御部15は、ステップS37で開始された、車速維持又は加速して対象車両200に後方を譲る反応行動を中止する。即ち、車両制御部15は、減速を開始する。また、ステップS39において、行動決定部13は、ステップS38で乗員の違和感が検出されたことに応じて、記憶装置5に記憶された判断基準データ53を、対象車両200に前方を譲る反応行動の決定が増加する側に変更する。
このように、本発明の実施形態の第1変形例に係る運転支援装置によれば、反応行動に対する乗員の違和感が検出された場合、安全条件を満たせば即座に反応行動を中止することができる。これにより、自動的に決定された反応行動に対する乗員の違和感を更に低減することができる。
(第2変形例)
本発明の実施形態の第2変形例として、図10のフローチャートを参照して、周囲状況に応じた反応行動と、乗員の違和感の有無とが互いに関連付けられた行動データベース52を用いた反応行動決定方法の詳細を説明する。
ステップS41において、車線変更検出部12は、周囲センサ2により取得される車両100の周囲状況から、隣接車線L1,L3の車両100より前方を走行する対象車両200の、走行車線L2への車線変更の意図を検出する。
ステップS42において、行動決定部13は、周囲センサ2により取得される車両100の周囲状況、行動データベース52及び判断基準データ53を用いて、対象車両200の車線変更に対する反応行動を決定する。即ち、行動決定部13は、行動データベース52を参照して、ステップS41における周囲状況と合致する状況における反応行動のうち、乗員の違和感の検出が少ない反応行動を選択する。
ステップS43において、行動決定部13は、ステップS42で決定された反応行動に対する、違和感検出部17により検出される違和感の有無を行動データベース52に記録することにより、行動データベース52を更新する。
このように、行動データベース52を用いて違和感を決定し、違和感の有無に応じて行動データベースを更新することにより、採用可能な反応行動の選択肢が複数ある場合であっても、乗員に違和感を与える可能性が最も低い反応行動を決定することができる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、本発明の実施形態においては、提示制御部16が、行動決定部13により決定された反応行動の実行指示を乗員に対して提示するように出力I/F6を制御してもよい。そして、車両制御部15による車両制御に対する乗員の違和感を検出する代わりに、行動決定部13により決定された反応行動に対する乗員の違和感を検出してもよい。この場合であっても、行動決定部13により決定された反応行動に対する乗員の違和感を低減又は解消することができる。
その他、上記の実施形態において説明される各構成を任意に応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。