JP6914356B2 - 偏光子の製造方法 - Google Patents
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Description
1つの実施形態においては、上記処理液は、炭酸水素ナトリウムおよびクエン酸から選択される少なくとも1つを含む。
1つの実施形態においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を基材に塗布することにより形成されたポリビニルアルコール系樹脂層であり、該基材と該ポリビニルアルコール系樹脂層との積層体が、延伸および染色に供される。
A−1.偏光子の製造方法の概略
本発明の実施形態による偏光子の製造方法は、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムを、少なくとも延伸および染色することを含む。代表的には、当該製造方法は、PVA系樹脂フィルムを準備する工程、延伸工程、膨潤工程、染色工程、架橋工程、洗浄工程、および乾燥工程を含む。PVA系樹脂フィルムが供される各工程は、任意の適切な順序およびタイミングで行われ得る。したがって、各工程を上記の順序で行ってもよく、上記とは異なる順序で行ってもよい。必要に応じて、1つの工程を複数回行ってもよい。さらに、上記以外の工程(例えば、不溶化工程)を任意の適切なタイミングで行ってもよい。
PVA系樹脂フィルムを形成するPVA系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%以上100モル%未満であり、好ましくは95.0モル%〜99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%〜99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光子を得ることができる。ケン化度が高すぎる場合には、ゲル化してしまうおそれがある。
延伸工程において、PVA系樹脂フィルムは、代表的には3倍〜7倍に一軸延伸される。延伸方向は、フィルムの長手方向(MD方向)であってもよく、フィルムの幅方向(TD方向)であってもよい。延伸方法は、乾式延伸であってもよく、湿式延伸であってもよく、これらを組み合せてもよい。また、架橋工程、膨潤工程、染色工程等を行う際にPVA系樹脂フィルムを延伸してもよい。なお、延伸方向は、得られる偏光子の吸収軸方向に対応し得る。
膨潤工程は、通常、染色工程の前に行われる。膨潤工程は、例えば、PVA系樹脂フィルムを膨潤浴に浸漬することにより行われる。膨潤浴としては、通常、蒸留水、純水等の水が用いられる。膨潤浴は、水以外の任意の適切な他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、アルコール等の溶媒、界面活性剤等の添加剤、ヨウ化物等が挙げられる。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。好ましくは、ヨウ化カリウムが用いられる。膨潤浴の温度は、例えば、20℃〜45℃である。また、浸漬時間は、例えば、10秒〜300秒である。
染色工程は、PVA系樹脂フィルムを二色性物質で染色する工程である。好ましくは二色性物質を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、二色性物質を含む染色液にPVA系樹脂フィルムを浸漬させる方法、PVA系樹脂フィルムに当該染色液を塗工する方法、当該染色液をPVA系樹脂フィルムに噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、染色液にPVA系樹脂フィルムを浸漬させる方法である。二色性物質が良好に吸着し得るからである。
架橋工程においては、通常、架橋剤としてホウ素化合物が用いられる。ホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。好ましくは、ホウ酸である。架橋工程においては、ホウ素化合物は、通常、水溶液の形態で用いられる。
洗浄工程は、代表的には、架橋工程以降に行われ得る。洗浄工程は、代表的には、PVA系樹脂フィルムを洗浄液に浸漬させることにより行われる。洗浄液の代表例としては、純水が挙げられる。純水にヨウ化カリウムを添加してもよい。
乾燥工程は、任意の適切な方法により行うことができる。乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、加熱乾燥等が挙げられる。加熱乾燥が好ましく用いられる。加熱乾燥を行う場合、加熱温度は、例えば、30℃〜100℃である。また、乾燥時間は、例えば、20秒〜10分間である。
本発明の製造方法により得られる偏光子は、その厚みの上限が、1つの実施形態においては80μmであり、別の実施形態においては20μmであり、さらに別の実施形態においては10μmであり、さらに別の実施形態においては5μmであり、さらに別の実施形態においては3μmであり、さらに別の実施形態においては2μmである。厚みの下限は、1つの実施形態においては0.5μmであり、別の実施形態においては0.6μmであり、さらに別の実施形態においては0.8μmである。本発明の製造方法によれば、厚みが薄い偏光子であっても後述のような所望の単体透過率を実現することができ、さらに、高温環境下における単体透過率変化量を顕著に抑制することができる。
ΔTsa(%)=Ts30−Ts0
ここで、Ts0は加熱試験前の単体透過率であり、Ts30は105℃の環境下に30時間置いた後の単体透過率である。また、本明細書において単体透過率に関して単にTsと記載する場合は、加熱前の単体透過率Ts0を意味する。
ΔTsb(%)=Ts500−Ts0
ここで、Ts0は上記のとおり加熱試験前の単体透過率であり、Ts500は60℃、90%RHの環境下に500時間置いた後の単体透過率である。
本発明の製造方法により得られる偏光子は、代表的には、その片側または両側に保護フィルムが積層された状態で(すなわち、偏光板として)使用される。実用的には、偏光板は、最外層として粘着剤層を有する。粘着剤層は、代表的には画像表示装置側の最外層となる。粘着剤層には、セパレーターが剥離可能に仮着され、実際の使用まで粘着剤層を保護するとともに、ロール形成を可能としている。
実施例および比較例で得られた積層体の偏光子側に反射型偏光子(3M社製、商品名「DBEF」)を貼り合わせた。次いで、熱可塑性樹脂基材を剥離し、当該剥離面に、厚み20μmのアクリル粘着剤層を介して厚み1.3mmの無アルカリガラスを貼り合せ、試験サンプルとした。この試験サンプルを105℃の条件で30時間加熱した(加熱試験)。また、この試験サンプルを60℃、90%RHの条件で500時間加熱加湿した(加湿試験)。試験前、加熱試験後、加湿試験後の偏光子の単体透過率を、それぞれ、積分球付き分光光度計(日本分光株式会社製、製品名:V7100)を用いて測定した。加熱前の単体透過率Ts0、加熱試験後の単体透過率Ts30および加湿試験後の単体透過率Ts500から、下記式を用いて単体透過率変化量ΔTsaおよびTsbをそれぞれ求めた。
ΔTsa(%)=Ts30−Ts0
ΔTsb(%)=Ts500−Ts0
また、加熱試験の加熱時間を15時間とした場合のΔTsa´´(%)=Ts15−Ts0および、加熱試験の加熱時間を20時間とした場合のΔTsa´(%)=Ts20−Ts0も求めた。
(2)偏光子の外観
上記(1)の加熱試験および加湿試験後の偏光子の外観を目視により観察し、以下の基準で評価した。さらに、上記(1)の試験サンプルを20℃、98%RHの条件で50時間および100時間加熱加湿した後の外観変化も目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:変色が認められなかった
△:変色がわずかに認められた
×:変色が顕著であった
(3)色相
実施例および比較例で得られた積層体について、紫外可視分光光度計(日本分光製 V−7100)を用いて直交b値を測定した。比較例1を基準として、その差Δbを求めた。
熱可塑性樹脂基材として、吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)を用いた。基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、テンター延伸機を用いて、140℃で積層体の長手方向と直交する方向に4.5倍空中延伸した(延伸処理)。
次いで、積層体を液温25℃の染色浴(ヨウ素濃度1.4重量%およびヨウ化カリウム濃度9.8重量%の水溶液)に12秒間浸漬させ、染色した(染色処理)。
次いで、積層体を液温25℃の洗浄浴(純水)に6秒間浸漬させた(第1洗浄処理)。
次いで、液温60℃の架橋浴(ホウ素濃度1重量%およびヨウ化カリウム濃度1重量%の水溶液)に16秒間浸漬させた(架橋処理)。
次いで、積層体を液温25℃の洗浄浴(ヨウ化カリウム濃度1重量%の水溶液)に3秒間浸漬させた(第2洗浄処理)。
次いで、積層体を60℃のオーブンで21秒間乾燥させた(第1乾燥処理)。
次いで、積層体のPVA系樹脂層にバーコーターを用いて処理液(炭酸水素ナトリウム0.5重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液:pH=3.2)を塗布した。なお、処理液のpHは、希硫酸を混合することにより調整した。
最後に、積層体を50℃のオーブンで60秒間乾燥させ、厚み1.2μmのPVA系樹脂層(偏光子)を有する積層体を得た。
得られた積層体を上記(1)〜(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液として炭酸水素ナトリウム0.5重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=4.8)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液として炭酸水素ナトリウム0.5重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=6.0)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液として炭酸水素ナトリウム0.5重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=7.8)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液としてクエン酸0.2重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=3.2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。なお、処理液のpHは、水酸化ナトリウムを混合することにより調整した。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液としてクエン酸0.2重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=6.0)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。なお、処理液のpHは、水酸化ナトリウムを混合することにより調整した。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液としてクエン酸0.2重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=7.8)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。なお、処理液のpHは、水酸化ナトリウムを混合することにより調整した。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液を塗布しなかったこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液を塗布する代わりに第2洗浄処理に処理液を用いた(すなわち、積層体を処理液に浸漬した)こと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。なお、処理液は、炭酸水素ナトリウム1.0重量%の水溶液(pH=6.0)であった。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液を塗布する代わりに第2洗浄処理に処理液を用いた(すなわち、積層体を処理液に浸漬した)こと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。なお、処理液は、酢酸ナトリウム0.6重量%の水溶液(pH=6.0)であった。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液を塗布する代わりに第2洗浄処理に処理液を用いた(すなわち、積層体を処理液に浸漬した)こと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。なお、処理液は、クエン酸0.4重量%の水溶液(pH=6.0)であった。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液として炭酸水素ナトリウム0.5重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=2.8)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液として炭酸水素ナトリウム0.5重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=8.2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液としてクエン酸0.2重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=2.8)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。なお、処理液のpHは、水酸化ナトリウムを混合することにより調整した。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液としてクエン酸0.2重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=8.2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。なお、処理液のpHは、水酸化ナトリウムを混合することにより調整した。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液として酢酸ナトリウム0.6重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=6.0)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
処理液として硫酸ナトリウム0.6重量%およびイソプロピルアルコール50重量%の水溶液(pH=6.0)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、偏光子を有する積層体を得た。得られた積層体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
Claims (2)
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、少なくとも延伸および染色することを含む、偏光子の製造方法であって、
該染色の後に、該ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに処理液を塗布または噴霧することを含み、
該処理液のpHが3〜8の範囲であり、かつ、該処理液が該pHの範囲において緩衝作用を有し、
該ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが、ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を基材に塗布することにより形成されたポリビニルアルコール系樹脂層であり、該基材と該ポリビニルアルコール系樹脂層との積層体が、延伸および染色に供される、
偏光子の製造方法。 - 前記処理液が、炭酸水素ナトリウムおよびクエン酸から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の製造方法。
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