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JP6921726B2 - 粒界脆化材料の破壊靱性評価方法 - Google Patents
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本発明は、粒界脆化材料の破壊靱性評価方法に関する。
ガスタービン、蒸気タービン、及び原子力機器等の高温の環境下で使用される構造部材では、焼き戻し脆化によってリン等の不純物が偏析し、粒界強度が低下する。その結果、経年的に脆化が進行し、破壊靱性が低下する。このような脆化による破壊靱性の低下は、長期信頼性に大きな影響を与える。そのため、長期間に渡って高温の環境下で使用される構造部材では、脆化後の破壊靱性を評価することが必要である。
例えば、特許文献1には、構造部材から試験片を採取して、破壊試験と非破壊試験を少なくとも1種類ずつ実施する高温構造部材の脆化診断方法が記載されている。この高温構造部材の脆化診断方法では、破壊試験及び非破壊試験を実施することで、少ない試験試料により構造部材の破面遷移温度(FATT)を測定している。これにより、長期間に渡って高温の環境下で使用される構造部材の破壊靱性を高い精度で求めている。
ところで、比較的交換が容易で使用期間が短い構造部材では、脆性破壊の中でも、結晶粒の内部を亀裂が進行して破壊が生じるへき開破壊が支配的な破壊形態となる場合がある。このような構造部材では、隣り合う結晶粒の境界が劣化して割れることで破壊が生じる粒界破壊が顕在化し難い。
特開平4−282434号公報
一方で、交換が難しい構造部材では、使用期間が長くなり、脆性破壊の中でも、粒界破壊が支配的な破壊形態となる可能性がある。また、構造部材からは、破壊靱性試験を実施可能な試験片を複数採取することが難しい場合がある。このような構造部材を対象として、少ない試験試料により粒界破壊の影響を考慮した破壊靱性の評価手法が望まれている。
本発明は、上記要望に応えるためになされたものであって、少ない試験試料により粒界破壊の影響を考慮した破壊靱性を評価可能な粒界脆化材料の破壊靱性評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の第一態様に係る粒界脆化材料の破壊靱性評価方法は、評価対象材料から取得した評価材に対して焼き戻し温度及び焼き戻し時間をパラメータとして複数の条件で脆化試験を行った後の前記評価材におけるリンの偏析率を評価材リン偏析率として測定し、複数の焼き戻し温度及び複数の焼き戻し時間に対応する前記評価材リン偏析率を取得する評価材リン偏析率取得工程、前記評価材リン偏析率取得工程で取得した前記評価材リン偏析率に基づいて、McLeanモデルを適用することにより、各焼き戻し温度における焼き戻し時間とリンの偏析率との関係である偏析率対応関係を取得する偏析率対応関係取得工程、及び、前記偏析率対応関係取得工程で取得した前記偏析率対応関係に基づいて、評価対象とする評価時間及び評価温度におけるリンの偏析率である推定リン偏析率を選択する選択工程、を有するリン偏析率推定工程と、前記評価材に対応する材料で構成された模擬材に対して熱処理を行うことで、前記選択工程で選択した評価時間及び評価温度での前記推定リン偏析率に対応するリンの偏析率である対応リン偏析率を有する偏析模擬材を取得する偏析模擬材取得工程、及び、前記偏析模擬材に対して破壊靭性試験を行う破壊靭性試験工程、を有する破壊靱性測定工程とを含む。
このような構成によれば、評価対象材料から取得した評価材に対して脆化試験を行って評価材リン偏析率が測定されることで、評価対象材料のリンの偏析率が取得される。取得した評価材リン偏析率に基づいて、McLeanモデルを適用させて偏析率対応関係が取得されることで、温度毎の時間とリンの偏析率との連続した関係が取得される。この偏析率対応関係に基づいて、任意の評価時間及び評価温度におけるリンの偏析率を有する偏析模擬材が作成される。これにより、評価時間及び評価温度における評価材と同等の性質を持つ試験試料として偏析模擬材を作成することができる。この偏析模擬材に対して、破壊靱性試験を行うことで、粒界破壊の影響を考慮した評価材の将来的な破壊靱性を推定することができる。また、任意の評価時間及び評価温度における評価材と同等の性質を持つ試料を容易に作成することができるようになる。そのため、評価対象材料から採取した評価材以上の量の偏析模擬材を容易に作成することができる。これにより、評価対象材料からの評価材の採取量に制限がある場合であっても、必要な破壊靱性試験を実施するための試験試料を確実に確保することができる。
また、本発明の第二態様に係る粒界脆化材料の破壊靱性評価方法では、第一態様において、前記偏析模擬材取得工程では、前記模擬材に対して前記熱処理がステップクーリング法に基づいて実施されてもよい。
このような構成とすることで、評価対象材料の将来的なリンの偏析率を高い精度で模擬した偏析模擬材を得ることができる。
また、本発明の第三態様に係る粒界脆化材料の破壊靱性評価方法では、第一態様において、前記偏析模擬材取得工程では、前記模擬材に対して前記熱処理が等温保持の元で実施されてもよい。
このような構成とすることで、熱処理時の模擬材の管理が容易になる。したがって、評価対象材料の将来的なリンの偏析率を模擬した偏析模擬材を容易に得ることができる。
また、本発明の第四態様に係る粒界脆化材料の破壊靱性評価方法は、評価対象材料から取得した評価材のリンの偏析率である実測リン偏析率を測定する実測リン偏析率測定工程と、前記評価材に対応する材料で構成された模擬材に対して熱処理を行うことで、前記実測リン偏析率測定工程で測定された実測リン偏析率に対応するリンの偏析率である対応リン偏析率を有する偏析模擬材を取得する模擬材取得工程、及び、前記偏析模擬材に対して破壊靭性試験を行う破壊靭性試験工程、を有する破壊靱性測定工程とを含む。
このような構成とすることで、評価対象材料から取得した評価材に対して、実測リン偏析率が測定されることで、評価対象材料の現状でのリンの偏析率が取得される。取得した実測リン偏析率に基づいて、偏析模擬材が作成される。これにより、現状での評価材と同等の性質を持つ試験試料として偏析模擬材を作成することができる。この偏析模擬材に対して、破壊靱性試験を行うことで、評価材の現状での破壊靱性を推定することができる。また、現状での評価材と同等の性質を持つ試料を容易に作成することができるようになる。そのため、評価対象材料から採取した評価材以上の量の偏析模擬材を容易に作成することができる。これにより、評価対象材料からの評価材の採取量に制限がある場合であっても、必要な破壊靱性試験を実施するための試験試料を確実に確保することができる。
本発明によれば、少ない試験試料により粒界破壊の影響を考慮した破壊靱性を評価することができる。
第一実施形態における粒界脆化材料の破壊靱性評価方法のフロー図である。 第一実施形態における偏析率対応関係取得工程で取得される偏析率対応関係の例を示すグラフである。 第一実施形態における偏析模擬材取得工程での熱処理条件を示すグラフである。 第二実施形態における偏析模擬材取得工程での熱処理条件を示すグラフである。 第三実施形態における粒界脆化材料の破壊靱性評価方法のフロー図である。
《第一実施形態》
以下、本発明に係る第一実施形態について図1から図3を参照して説明する。本実施形態の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S1は、評価対象材料の粒界破壊に起因する破壊靱性を評価する方法である。本実施形態の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S1の評価対象材料は、原子力プラントを構成する容器及び配管等の部材や、蒸気タービンやガスタービンに使用される部材である。したがって、第一実施形態の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S1では、長期間使用後の部材の将来的な粒界破壊による破壊靱性が評価される。具体的には、粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S1では、評価対象材料のリンの偏析率から評価対象とする任意の評価時間及び評価温度における評価対象材料のリンの偏析率が取得される。その後、推定されたリンの偏析率に対応するリンの偏析率を有する別の対応部材で破壊靱性試験を行うことで、将来的な評価対象材料の粒界破壊に起因する破壊靱性が推定される。図1に示すように、第一実施形態の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S1は、リン偏析率推定工程S10と、破壊靱性測定工程S20とを含んでいる。
リン偏析率推定工程S10では、評価対象材料から取得した評価材から評価対象とする評価時間及び評価温度におけるリンの偏析率が取得される。本実施形態のリン偏析率推定工程S10は、評価材リン偏析率取得工程S11と、偏析率対応関係取得工程S12と、選択工程S13とを有している。
評価材リン偏析率取得工程S11では、評価対象材料から取得した評価材から異なる焼き戻し温度及び焼き戻し時間でのリンの偏析率が取得される。本実施形態の評価材リン偏析率取得工程S11では、評価対象材料から脆化試験を行うことが可能な試験片である評価材を作成する。作成した評価材に対して、焼き戻し温度及び焼き戻し時間をパラメータとして複数の条件で脆化試験を行う。脆化試験を行った後の評価材におけるリンの偏析率を評価材リン偏析率として測定する。本実施形態では、リンの偏析率は、オージェ電子分光法によって測定される。その結果、脆化試験後の評価材のリンの偏析率(P/Feピーク比)が評価材リン偏析率として取得される。これにより、評価材リン偏析率取得工程S11では、異なる条件で測定された複数の評価材リン偏析率が取得される。
偏析率対応関係取得工程S12では、評価材リン偏析率取得工程S11で取得した評価材リン偏析率に基づいて、偏析率対応関係が取得される。本実施形態の偏析率対応関係取得工程S12では、McLeanモデルを適用することにより、偏析率対応関係が取得される。ここで、偏析率対応関係とは、各焼き戻し温度における時間と評価材リン偏析率との関係である。したがって、偏析率対応関係は、焼き戻し温度毎に取得される。
具体的には、本実施形態では、まず、図2に示すように、脆化試験でパラメータとされた焼き戻し温度毎に、焼き戻し時間を横軸にプロットし、評価材リン偏析率を縦軸にプロットする。本実施形態では、例えば、焼き戻し温度を300℃〜500℃の範囲としている。その後、プロットしたデータと、評価対象材料の初期のリンの偏析率とに応じて各温度でのMcLeanモデルのパラメータを設定する。
より具体的には、McLeanモデルでは、リンの粒界の平衡偏析量はマトリックス中のリンの濃度を用いて、以下の式1で表される。
Figure 0006921726
また、温度Tにおけるリンの粒界での偏析過程は時間tの関数として、以下の式2で表される。
Figure 0006921726
また、式2に使用される各種変数は、以下の式3〜式5によって表される。
Figure 0006921726
ここで、リンの拡散係数Dpは、以下の式6によって表される。
Figure 0006921726
上述した各式におけるパラメータを、上述したプロット及び評価対象材料の初期のリンの偏析率に合わせ込むように設定する。その結果、図2の曲線のように、偏析率対応関係は、横軸を時間(時効時間)、縦軸をリンの偏析率(P/Feピーク比)とするMcLeanモデルに対応したグラフとして温度毎に取得される。
選択工程S13では、偏析率対応関係取得工程S12で取得した偏析率対応関係に基づいて、評価対象とする評価時間及び評価温度における評価対象材料のリンの偏析率である推定リン偏析率が選択される。本実施形態の選択工程S13では、評価対象材料が使用されている温度を評価温度として選択する。また、使用開始時から使用開始後の評価対象材料を評価したい時期までの時間を評価時間として選択する。評価温度及び評価時間が定められることで、偏析率対応関係から推定リン偏析率が決定される。
破壊靱性測定工程S20では、推定リン偏析率に対応するリンの偏析率を有する偏析模擬材の破壊靱性が測定される。本実施形態の破壊靱性測定工程S20は、図1に示すように、偏析模擬材取得工程S21と、破壊靭性試験工程S22とを有している。
偏析模擬材取得工程S21では、選択工程S13で選択した評価時間及び評価温度での推定リン偏析率に対応するリンの偏析率である対応リン偏析率を有する偏析模擬材を取得する。本実施形態の偏析模擬材取得工程S21では、評価材に対応する材料で構成された模擬材に対して熱処理を行うことで、偏析模擬材が取得される。具体的には、評価対象材料から取得した材料の初期のリンの偏析率と同等のリンの偏析率を有する材料で模擬材が作成される。作成後の模擬材に熱処理を加えることで、偏析模擬材が作成される。第一実施形態の偏析模擬材取得工程S21では、模擬材に対して熱処理がステップクーリング法に基づいて実施される。具体的には、図3に示すように、評価対象材料の使用開始時の状態と同じ状態とするために、評価対象材料の製造時と同じ条件で模擬材に対して焼入れ及び焼戻しを行う。その後、ステップクーリング法によって段階的に加える温度を低下させることで、時効時間を調整して脆化促進熱処理を施す。熱処理後の模擬材のリンの偏析率をオージェ電子分光法によって測定する。測定後のリンの偏析率が推定リン偏析率と一致した場合に、熱処理を終了する。測定後のリンの偏析率が推定リン偏析率と一致しない場合には、ステップクーリング法による熱処理が継続される。これにより、評価したい時期の評価対象材料から採取可能な評価材と同等のリンの偏析率を有する偏析模擬材が作成される。
破壊靭性試験工程S22では、偏析模擬材に対して破壊靭性試験が行われる。これにより、偏析模擬材の破壊靱性が取得される。
上記のような第一実施形態の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S1によれば、評価対象材料から取得した評価材に対して、焼き戻し温度及び焼き戻し時間をパラメータとして複数の条件で脆化試験が行われる。脆化試験後に評価材リン偏析率が測定されることで、異なる条件での評価対象材料のリンの偏析率が複数取得される。取得した評価材リン偏析率に基づいて、McLeanモデルを適用させて偏析率対応関係が取得されることで、温度毎の時間とリンの偏析率との連続した関係が取得される。この偏析率対応関係に基づいて、任意の評価時間及び評価温度におけるリンの偏析率を有する偏析模擬材が作成される。これにより、評価時間及び評価温度における評価材と同等の性質を持つ試験試料として偏析模擬材を作成することができる。この偏析模擬材に対して、破壊靱性試験を行うことで、評価材の将来的な破壊靱性を推定することができる。
この際、偏析模擬材がMcLeanモデルに基づいて取得したリンの偏析率を有することで、偏析模擬材の破壊靱性試験によって、評価時間及び評価温度での評価材の粒界脆化に起因する破壊靱性に相当する値を取得することができる。したがって、評価対象材料の粒界破壊の影響を考慮した破壊靱性を評価することができる。
また、任意の評価時間及び評価温度における評価材と同等の性質を持つ試験試料を容易に作成することができるようになる。そのため、評価対象材料から採取した評価材以上の量の偏析模擬材を容易に作成することができる。これにより、評価対象材料からの評価材の採取量に制限がある場合であっても、必要な破壊靱性試験を実施するための試験試料を確保することができる。したがって、交換を容易に行うことができずに長期間に渡って高温の環境下で使用される部品であっても、粒界破壊の影響を考慮した破壊靱性を評価することができる。
また、偏析模擬材取得工程S21では、熱処理がステップクーリング法に基づいて実施される。そのため、評価対象材料の将来的なリンの偏析率を高い精度で模擬した偏析模擬材を得ることができる。
《第二実施形態》
次に、本発明の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S1の第二実施形態について、図4を参照して説明する。第二実施形態で示す粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S1では、偏析模擬材取得工程S21における模擬材に対する熱処理が第一実施形態と異なっている。したがって、第二実施形態の説明においては、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに重複説明を省略する。
図4に示すように、第二実施形態の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S1では、偏析模擬材取得工程S21において、模擬材に対して熱処理が等温保持の元で実施される。具体的には、評価対象材料の使用開始時の状態と同じ状態とするために、評価対象材料の製造時と同じ条件で模擬材に対して焼入れ及び焼戻しを行う。その後、第二実施形態では第一実施形態と異なり、熱処理の条件を等温保持として温度を一定に保ったまま、時効時間を調整して脆化促進熱処理を施す。これにより、短時間で評価材と同等のリンの偏析率を有する偏析模擬材が作成される。
このように、偏析模擬材取得工程S21でステップクーリング法ではなく等温保持として、熱処理が実施される。そのため、熱処理時の模擬材の管理が容易になる。したがって、評価対象材料の将来的なリンの偏析率を模擬した偏析模擬材を容易に得ることができる。
《第三実施形態》
次に、本発明の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S2の第三実施形態について、図5を参照して説明する。第三実施形態で示す粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S2では、リン偏析率推定工程S10の代わりに、実測リン偏析率測定工程S30が行われる点が第一実施形態と異なっている。したがって、第三実施形態の説明においては、第一実施形態及び第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに重複説明を省略する。
図5に示すように、第三実施形態の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S2では、実測リン偏析率測定工程S30と、破壊靱性測定工程S200とを含んでいる。
実測リン偏析率測定工程S30は、評価対象材料から取得した評価材の測定時のリンの偏析率である実測リン偏析率を測定する。本実施形態の実測リン偏析率測定工程S30では、評価対象材料からオージェ電子分光法を行うことが可能な評価材を作成する。ここで、実測リン偏析率測定工程S30程では、破壊靭性試験を実施するために必要な試験片サイズよりも小さなサイズの試験片として評価材が作成される。オージェ電子分光法の結果、評価材のリンの偏析率(P/Feピーク比)が実測リン偏析率として取得される。これにより、評価対象材料から取得した評価材の現状での実測リン偏析率が取得される。
破壊靱性測定工程S200では、実測リン偏析率に対応するリンの偏析率を有する偏析模擬材の破壊靱性が測定される。本実施形態の破壊靱性測定工程S200は、偏析模擬材取得工程S210と、破壊靭性試験工程S220とを有している。
第三実施形態の偏析模擬材取得工程S210では、実測リン偏析率測定工程S30で測定された実測リン偏析率に対応するリンの偏析率である対応リン偏析率を有する偏析模擬材を取得する。本実施形態の偏析模擬材取得工程S210では、評価材に対応する材料で構成された模擬材に対して熱処理を行うことで、偏析模擬材が取得される。熱処理の条件としては、第一実施形態及び第二実施形態のいずれの条件であってもよい。
破壊靭性試験工程S220では、作成された偏析模擬材に対して破壊靭性試験が行われる。これにより、偏析模擬材の破壊靱性が取得される。
第三実施形態の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法S2によれば、評価対象材料から取得した評価材に対して、実測リン偏析率が測定されることで、評価対象材料の現状でのリンの偏析率が取得される。取得した実測リン偏析率に基づいて、偏析模擬材が作成される。これにより、現状での評価材と同等の性質を持つ試験試料として偏析模擬材を作成することができる。この偏析模擬材に対して、破壊靱性試験を行うことで、評価材の現状での破壊靱性を推定することができる。
また、現状での評価材と同等の性質を持つ試料を容易に作成することができるようになる。そのため、評価対象材料から採取した評価材以上の量の偏析模擬材を容易に作成することができる。これにより、評価対象材料からの評価材の採取量に制限がある場合であっても、必要な破壊靱性試験を実施するための試験試料を確実に確保することができる。
(実施形態の他の変形例)
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、本実施形態の評価対象材料は、原子力機器や蒸気タービンやガスタービンに使用される部材であることに限定されるものではない。評価対象材料は、高温の環境下で長期間にわたって使用されることで、粒界破壊が懸念される部材であればよい。
また、偏析模擬材取得工程S21、S210で実施される熱処理は、上述した条件に限定されるものではない。偏析模擬材取得工程S21、S210で実施される熱処理は、所望の偏析模擬材を作成することが条件であればよい。
S1、S2…粒界脆化材料の破壊靱性評価方法 S10…リン偏析率推定工程 S11…評価材リン偏析率取得工程 S12…偏析率対応関係取得工程 S13…選択工程 S20、S200…破壊靱性測定工程 S21、S210…偏析模擬材取得工程 S22、S220…破壊靭性試験工程 S30…実測リン偏析率測定工程

Claims (4)

  1. 評価対象材料から取得した評価材に対して焼き戻し温度及び焼き戻し時間をパラメータとして複数の条件で脆化試験を行った後の前記評価材におけるリンの偏析率を評価材リン偏析率として測定し、複数の焼き戻し温度及び複数の焼き戻し時間に対応する前記評価材リン偏析率を取得する評価材リン偏析率取得工程、
    前記評価材リン偏析率取得工程で取得した前記評価材リン偏析率に基づいて、McLeanモデルを適用することにより、各焼き戻し温度における焼き戻し時間とリンの偏析率との関係である偏析率対応関係を取得する偏析率対応関係取得工程、及び、
    前記偏析率対応関係取得工程で取得した前記偏析率対応関係に基づいて、評価対象とする評価時間及び評価温度におけるリンの偏析率である推定リン偏析率を選択する選択工程、を有するリン偏析率推定工程と、
    前記評価材に対応する材料で構成された模擬材に対して熱処理を行うことで、前記選択工程で選択した評価時間及び評価温度での前記推定リン偏析率に対応するリンの偏析率である対応リン偏析率を有する偏析模擬材を取得する偏析模擬材取得工程、及び、
    前記偏析模擬材に対して破壊靭性試験を行う破壊靭性試験工程、を有する破壊靱性測定工程とを含む粒界脆化材料の破壊靱性評価方法。
  2. 前記偏析模擬材取得工程では、前記模擬材に対して前記熱処理がステップクーリング法に基づいて実施される請求項1に記載の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法。
  3. 前記偏析模擬材取得工程では、前記模擬材に対して前記熱処理が等温保持の元で実施される請求項1に記載の粒界脆化材料の破壊靱性評価方法。
  4. 評価対象材料から取得した評価材のリンの偏析率である実測リン偏析率を測定する実測リン偏析率測定工程と、
    前記評価材に対応する材料で構成された模擬材に対して熱処理を行うことで、前記実測リン偏析率測定工程で測定された実測リン偏析率に対応するリンの偏析率である対応リン偏析率を有する偏析模擬材を取得する模擬材取得工程、及び、前記偏析模擬材に対して破壊靭性試験を行う破壊靭性試験工程、を有する破壊靱性測定工程とを含む粒界脆化材料の破壊靱性評価方法。
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