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JP6921838B2 - パルス電界処理を用いた液体食品保存のための方法 - Google Patents
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JP6921838B2 - パルス電界処理を用いた液体食品保存のための方法 - Google Patents

パルス電界処理を用いた液体食品保存のための方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための方法に関する。本発明は、さらに、液体生成物をその方法に供する前に液体生成物が予熱される方法に関する。
パルス電界(PEF)は、高強度の外部電界による短時間のパルスの印加によって細胞膜のエレクトロポレーションを誘導する技術として使用される。この現象に関する最も広く受け入れられている理論は、生体膜に外部電界を印加することにより、脂質二重層における局所的不安定性が誘発され、最終的に細孔形成につながるということである。細孔の形成(エレクトロポレーション)は、膜を通過する透過性(電気透過性)を高め、印加電界の強度に依存して、可逆的プロセスであるか、又は高電圧で印加された場合には不可逆的であり、細胞死をもたらす。
連続流PEF処理システムでは、パルスの持続時間、2つのパルスの間の時間(休止時間)、高電界領域における流体エレメントの滞留時間及び通過時間、冷却セクションに入る前に高電界領域を離れる時間を含めた種々の臨界時間が考慮されなければならない(Mastwijk et al.,2007)。総(有効)処理時間は、パルスの数と、処理装置を通してポンプで送られた場合に高電界条件で流体エレメントによって受け取られるパルス当たりの時間との積として定義される。現在、総処理時間及び電界強度は、不可逆的エレクトロポレーションの効率を決定する重要な要因として知られている(Saulis and Wouters,2007)。不可逆的エレクトロポレーションは、2マイクロ秒の持続時間のパルスを100〜400マイクロ秒の総処理時間に関して使用する場合、10〜20kV/cmの範囲の電界強度で栄養微生物に効果的である(図1)。Reynard及び共同研究者ら(1998)は、遺伝子導入のための単一パルスのパルス持続時間に対する臨界効果を調査した。彼らは、約1ミリ秒の最低のパルス時間が配向に必要であることを見出し、1〜2.7kV/cmの電界強度で24ミリ秒持続時間のパルスを使用して3〜5ミリ秒の透過処理のための臨界応答時間を示した。
直流(DC)パルスとは対照的に、交流(AC)電流は、液体中で高電界条件を引き起こすために使用される。固定周波数(f)を有するAC電流は、1/fの持続時間を有するパルスとして見ることができるが、ここで考慮される特徴的なパルス形状は、長方形であり、これは、パルスの繰返し周波数が帯域幅(1/パルス持続時間)よりも小さいことを意味する。米国特許第2010/0297313号明細書では、1MHzを超える周波数(又は1マイクロ秒未満のパルス持続時間)のAC電流が検討されている。
特定の処理条件に関する選択は、エレクトロポレーションの種々の適用及び目的に関連している。可逆的エレクトロポレーションは、小さい又は大きい分子、例えば、薬物、オリゴヌクレオチド、抗体、及びプラスミドを細胞中に導入するために分子生物学及び臨床バイオテクノロジーにおいて頻繁に使用される手順であり、細胞が生きた状態に保つことを目標とする。不可逆的エレクトロポレーションは、細胞から分子を抽出する又は細胞を不活性化するために使用され得る。本発明では、我々は、非熱保存法としての不可逆的エレクトロポレーションを目標とし、ここでは、PEFプロセシングによって得られる最高温度及び保持時間が従来の加熱低温殺菌よりも低い。このことは、例えば、生成物の新鮮な味及び栄養価のより良好な保存における他の有益な側面をもたらす。
微生物不活性化を目標とする場合、パルス電気処理のために選択されるプロセシング条件は、いくつかの要因に依存するが、プロセシングパラメータ、微生物特性、及び処理媒体特性の3つのグループに分類することができる。
電界強度及び処理時間に加えて、温度が、PEFによる微生物不活性化の有効性にとって重要であると考えられている(Raso et al.,2014)。電界強度及び処理時間の増加は、PEF致死性の増加につながる。これらの条件の結果として、質量単位あたりより多くのエネルギーが適用されることになり、生成物の発熱がより大きくなる。不可逆的エレクトロポレーションに使用される典型的なプロセス条件は、高電圧(5〜80kV/cm)でのマイクロ秒の短いパルスの範囲内にある。
PEFによる微生物不活性化の程度は、微生物にとって致命的ではない温度範囲であっても、PEF処理の前に、培地(例えば、液体食品生成物)の温度を上昇させることによって増強される。理論に束縛されることを望むものではないが、この予熱効果は、細胞膜のリン脂質二重層構造に影響を及ぼし、細胞をPEFプロセスに対してより脆弱にする(Wouters et al.,1999)。
微生物の特性は、PEFによる微生物不活性化の有効性に影響を与える。一般に、比較的大きな微生物は、より小さい微生物よりもPEFに対してより感受性であり、グラム陰性菌は、グラム陽性菌よりもPEFに対してより感受性であることが報告されている。
PEF処理の有効性は、微生物で懸濁した液体培地において研究されることが多い。この処理培地の特性が調査されており、pHが処理の有効性にとって非常に重要であると報告されている。すなわち、PEFは、中性pHの培地におけるよりも低pHの培地においてはるかに効果的である。
不可逆的PEFプロセシングの商業的適用は、処理装置を一回通過させることによる、連続流中の微生物の不活性化を目標としている。米国特許第2012/0103831号明細書に記載されているように、処理された生成物を未処理生成物と混合することによって処理装置を通る複数回の通過を提供する循環ループは、プロセスの複雑さのために回避される。
前述のように、生成物への外部パルスの印加により、生成物にエネルギーが導入され、生成物の温度上昇をもたらす。この温度上昇は、選択されたプロセス条件及び生成物の特性に依存する(Heinz et al.,2002)。生成物の過剰な加熱を避けるために、いくつかの適用において2つの処理チャンバ間に冷却セクションが配置された(Sharma et al.,2014)。しかし、このアプローチでは、より多くの電気エネルギーと冷却のためのエネルギーが必要である。あまりに多くの加熱を避けるために、記載された別の可能性は、パルスの印加後又はパルス列後に休止を導入することである(El Zakhem et al.,2006)。しかし、インライン熱低温処理に関する典型的な時間が数秒から数分の範囲にあるのに対して、この研究(El Zakhem et al.,2007)では総処理時間が5200秒〜7800秒に増加したため、これは、商業的適用において可能ではない。少なくとも1分のパルス間又は一連のパルス間の休止は、カナダ特許第2758678号明細書に記載されているバッチシステムでも適用されている。
商業的に適用される処理条件は、PEFが10〜30kV/cmの電界強度で伝えられる条件である。これは、より高い電界強度の印加には技術的限界があり、食品材料の絶縁破壊を引き起こす可能性があるからである。
適用されるプロセス条件は、低pHを有する液体食品生成物、すなわち、約4.6未満のpHを有する高酸性フルーツジュースに適している。これらのプロセス条件は、いくつかの適用において、液体食品生成物中のより大きいサイズの微生物を不活性化するのに適しているように思われる。さらに、グラム陰性菌はグラム陽性菌よりもより効果的に不活性化され得る。特に、小さいサイズのグラム陽性菌を不活性化することは、ほとんどの場合、現在知られているPEFプロセス条件では厄介である。さらに、現在の低pHプロセス条件は、約4.6より高いpHを有する食品に有効な方法では適用できない。
液体食品生成物に関する現在のPEFプロセスは、比較的高い、すなわち5kV/cm以上、典型的に10〜30kV/cmである電界強度を包含する。これらの比較的高い電界強度は、ピーク電力の要件及び最大蓄積パルスエネルギーによる単一のパルスの持続時間における制限により、大容量までのPEFプロセシングのアップスケーリングを一般に妨げる。これらの技術的境界は、低導電性酸性フルーツジュースの保存のための単一ラインの最大処理量を5000L/hに制限する。
したがって、以下のようなPEFプロセシング条件が必要である。
− 好ましくはグラム陰性菌を不活性化すること及び/又は比較的大きいサイズの微生物を不活性化することに関する効率を失うことなく、グラム陽性菌及び/又は比較的小さいサイズの微生物を不活性化することに効率的であり、かつ/又は
− 約4.6より高いpH及び4.6より低いpHを有する液体食品生成物中の微生物及び/又は胞子を不活性化し、かつ/又は
− 既存の不活性化技術よりも経済的に収益性が高く、かつ/又は
− 適用可能であり、単一ラインを使用して、使用されている現在の最先端の条件よりもより大きい処理量体積にスケールアップする可能性を有する。
米国特許第2010/0297313号明細書 米国特許第2012/0103831号明細書 カナダ特許第2758678号明細書
Mastwijk et al.,2007 Saulis and Wouters,2007 Reynard及び共同研究者ら(1998) Raso et al.,2014 Wouters et al.,1999 Heinz et al.,2002 Sharma et al.,2014 El Zakhem et al.,2006 El Zakhem et al.,2007
本発明は、液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱して、加熱された液体生成物を得るための方法であって、
(a)液体生成物を提供する工程;
(b)液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための装置を提供する工程;
(c)前記液体生成物を前記装置の入口に供給し、前記装置を通して前記液体生成物を流す工程;
(d)前記装置中に流れている前記液体生成物に電流を連続的に発生させる工程であって、最小の1つのパルスが通過中に各流体エレメントに少なくとも10マイクロ秒のパルス持続時間で印加され、電界強度が0.1〜5kV/cmである工程;
を含み、
前記液体生成物の最高温度が前記抵抗加熱中に自律的に92℃未満のままである、方法に関する。
単一パルスのパルス持続時間が総有効処理時間よりもむしろ重要な要因であることは、本発明の一部である。本発明者らは、E τとして計算される総有効処理時間が従来のPEF処理が用いられる20kV/cmでのものよりも4倍高かったにもかかわらず、2マイクロ秒(τ)のパルス持続時間及び10kV/cmの電界強度(E)で、不活性化が効率的ではなかったことを見出した。0.1〜5kV/cmの条件では、不活性化が、10マイクロ秒を超える(例えば、100〜1000マイクロ秒)のパルス持続時間に対してのみ有効であることが見出された。
本発明の方法は、液体食品生成物及び液体飼料生成物に適用可能であり、本発明のPEFプロセシング条件は、グラム陰性菌及びグラム陽性菌を不活性化するのに同等に有効である。PEFプロセシング条件は、液体食品生成物及び液体飼料生成物に適用可能であり、この条件は、比較的大きな微生物を不活性化することと、比較的小さな微生物を不活性化することの両方に効果的である。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、PEFプロセシング条件が、比較的低いpHの現在適用されている条件及びより高いpHでの条件下で、適用可能であることを見出した。最後に、本発明者らは、当技術分野で知られている抵抗加熱によって液体生成物を所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための方法を用いて以前可能であった処理量よりも、液体食品生成物又は液体飼料生成物のより高い処理量に適用可能な、プロセシング条件を見出した。
本発明の第2の態様は、本発明による方法によって得られる液体生成物に関する。
種々のPEF処理条件後にpH3.8のオレンジジュースにおける大腸菌(Escherichia coli)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、サルモネラ・センフテンベルグ(Salmonella Senftenberg)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の生きている数の減少を示す図である。左のパネルは現在使用されているPEF条件を表し、右のパネルは本発明のPEF条件を示す。各パネルに関連する様々なPEF処理条件は、図1Bのパネルの下に言及されている。中空でない三角形は、10kV/cm、2マイクロ秒であり、中空でないグレーのダイヤモンド形は、15kV/cm、2マイクロ秒であり、中空の白い円は、20kV/cm、2マイクロ秒であり、中空でないグレーの円は、0.9kV/cm、1000マイクロ秒であり、黒い菱形は、2.7kV/cm、1000マイクロ秒であり、中空の白いダイヤモンド形は、2.7kV/cm、100マイクロ秒であり、破線は、検出限界である。 種々のPEF処理条件後にpH3.8のオレンジジュースにおける大腸菌(Escherichia coli)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、サルモネラ・センフテンベルグ(Salmonella Senftenberg)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の生きている数の減少を示す図である。左のパネルは現在使用されているPEF条件を表し、右のパネルは本発明のPEF条件を示す。各パネルに関連する様々なPEF処理条件は、図1Bのパネルの下に言及されている。中空でない三角形は、10kV/cm、2マイクロ秒であり、中空でないグレーのダイヤモンド形は、15kV/cm、2マイクロ秒であり、中空の白い円は、20kV/cm、2マイクロ秒であり、中空でないグレーの円は、0.9kV/cm、1000マイクロ秒であり、黒い菱形は、2.7kV/cm、1000マイクロ秒であり、中空の白いダイヤモンド形は、2.7kV/cm、100マイクロ秒であり、破線は、検出限界である。 オレンジジュース(pH3.8)、ココナッツ水(pH5.0)、スイカジュース(pH6.0)の温度伝導率プロファイルである。 2.7kV/cm、1000マイクロ秒でのPEF処理後のオレンジジュース、ココナッツ水及びスイカジュースにおける大腸菌(E.coli)及びL.モノサイトゲネス(L.monocytogenes)の生きている数の減少を示す図である。 未処理及びPEF処理オレンジジュースの微生物分析(n=6)を示す図であり、一部の分析が定性的であり(図4B)、他が定量的であった(図4A)。 示された期間にわたって7℃及び周囲温度で保管されたオレンジジュース試料の知覚による評価を示す図であり、搾りたてのオレンジジュースに匹敵する場合、試料は「良好」と示され、搾りたてのオレンジジュースに匹敵しない場合、「非良好」と示された。 7℃及び周囲温度での3ヶ月間の貯蔵中のPEF処理前及びPEF処理後のオレンジジュースにおける可溶性固形物(°ブリックス)の量を示す図である。 7℃及び周囲温度での3ヶ月間の貯蔵中のPEF処理前及びPEF処理後のオレンジジュースの酸度を示す図である。 7℃及び周囲温度での3ヶ月間の貯蔵中のPEF処理前及びPEF処理後のオレンジジュースのpHを示す図である。 7℃及び周囲温度での3ヶ月間の貯蔵中のPEF処理前及びPEF処理後のオレンジジュースの油含有量を示す図である。 7℃及び周囲温度での3ヶ月間の貯蔵中のPEF処理前及びPEF処理後のオレンジジュースのビタミンC含有量を示す図である。 7℃及び周囲温度での3ヶ月間の貯蔵中のPEF処理前及びPEF処理後のペクチンエステラーゼ活性を示す図である。
本発明者らは、液体食品生成物及び液体飼料生成物に適用可能なPEFプロセシング条件を見出し、この条件が、グラム陰性菌及びグラム陽性菌を不活性化するのに同等に有効であることを見出した。本発明者らはまた、液体食品生成物及び液体飼料生成物に適用可能なPEFプロセシング条件を見出し、この条件が、比較的大きな微生物を不活性化することと、比較的小さな微生物を不活性化することの両方に効果的であることを見出した。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、PEFプロセシング条件が、比較的低いpHの条件、及びより高いpHでの条件下で、適用可能であることを見出した。最後に、本発明者らは、現在利用可能な方法で以前可能であった処理量よりも、液体食品生成物及び液体飼料生成物のより大きな処理量に適用可能な、PEFプロセシング条件を見出した。
これによって、本発明者らは、微生物負荷が減少した液体生成物を得るために液体生成物を加熱するための現在知られている方法に関連する欠点の多くに対処する方法を提供する。
本発明は、液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱して、加熱された液体生成物を得るための方法であって、
(a)液体生成物を提供する工程;
(b)液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための装置を提供する工程;
(c)前記液体生成物を前記装置の入口に供給し、前記装置を通して前記液体生成物を流す工程;
(d)前記装置中に流れている前記液体生成物に電流を連続的に発生させる工程であって、最小の1つのパルスが通過中に各流体エレメントに少なくとも10マイクロ秒のパルス持続時間で印加され、電界強度が0.1〜5kV/cmである工程;
を含み、
前記液体生成物の最高温度が前記抵抗加熱中に自律的に92℃未満のままである、方法に関する。
本発明によれば、液体生成物を抵抗加熱によって加熱温度まで急速かつ均一に加熱する方法は、微生物負荷が減少した加熱された液体生成物を提供する。
液体生成物をある最高温度を超える温度、例えば、所定の最高温度まで加熱することは、新鮮な(未処理の)生成物中に存在する新鮮な風味、ビタミン及び栄養素の望まれない減少及びタンパク質の変性を引き起こし得る。構成成分の減少及び変性の程度は、生成物が処理に暴露される温度及び時間に関連する。様々な液体生成物が、酵素及び微生物不活性化の所望の程度を得るために様々な温度−時間の組合せに曝される。したがって、生成物への温度及び/又は時間の暴露が低減された代替の(非)熱プロセスが多くの関心を集めているが、これは、生成物の新鮮な特徴をよりよく保持することができるからである。温度又は暴露時間のいずれかを低下(短縮)できる場合、より良い生成物品質が期待できる。本発明の方法では、熱に対する暴露時間が大幅に短縮され、選択されたプロセス条件により、液体生成物の最高温度は、抵抗加熱中に自律的に約92℃未満のままである。好ましくは、液体生成物の最高温度は、本発明の方法による抵抗加熱中に自律的に臨界温度未満にとどまり、生成物中に存在する場合、液体生成物のこの温度では、感熱性構成成分の減少もタンパク質の変性も被らないが、同時に、液体生成物中の微生物負荷は、目的とされた許容レベルまで減少される。ここで、本発明の方法により、液体生成物の微生物負荷をなお効果的かつ効率的に低下させながら、液体生成物の過熱を防ぐプロセシング条件が適用可能となった。
本発明による方法では、単一パルスのパルス持続時間が総有効処理時間よりもむしろ重要な要因である。2マイクロ秒のパルス持続時間及び10kV/cmの電界強度を適用した場合、総有効処理時間が従来のPEF処理が用いられる電界強度である20kV/cmでの4倍であったにもかかわらず、微生物の不活性化が効率的ではなかったことが決定された。理論に束縛されることを望むものではないが、その説明は、10kV/cmの減少した電界強度で、エレクトロポレーション効果が損なわれるというものである。
本発明者らは、驚くべきことに、100〜1000マイクロ秒の延長されたパルス持続時間と組み合わせた0.1〜5kV/cmの低い電界強度の条件で、微生物不活性化が従来の熱低温殺菌又は10kV/cmでのPEF処理によって要求されるよりも集中的でない温度−時間組合せでの不活性化を達成するのに効果的であったことを見出した。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの知見は、パルス持続時間が本発明による方法において重要な要因となったことを示している。
理論に束縛されることを望むものではないが、生成物に印加される外部電界は、生成物に存在する微生物の細胞膜中のタンパク質チャネル及び/又は細胞膜の脂質ドメインに対する影響を有し、これは、チャネル及び/又はドメインにおける立体構造変化をもたらす。膜タンパク質チャネルは、脂質二重層における細孔形成に必要な150〜400mVよりもかなり低い50mVの膜電位で開く(Tsong,1992)。
多くのタンパク質チャネルの開閉は膜電位差に依存するので、電気処理が適用される場合、電位感受性タンパク質チャネルが開かれることになると仮定される。いったんこれらのチャネルが開かれると、これらのチャネルは、これらのチャネルが設計されている電流よりも高い電流を伝える。その結果、これらのチャネルは、ジュール加熱によって不可逆的に変性され得るかつ/又はそれらの官能基の電気的改変が生じる(Tsong,1992)。タンパク質チャネルの開閉は、サブマイクロ秒の時間範囲で起こる一方、タンパク質の変性は数ミリ秒から数秒かかる(Tsong,1992)。
これは、脂質二重層が影響を受ける電界強度よりも3〜8倍小さい電界強度、すなわち、脂質二重層のエレクトロポレーションによる不可逆的損傷に必要な20kV/cm(すなわち、従来のPEF条件)と比較して、タンパク質チャネルの不活性化のための2.5kV/cm〜7kV/cmの電界強度でタンパク質チャネルが影響され得ることを示唆している。本発明によれば、10〜1000マイクロ秒のパルス持続時間と組み合わされた0.1kV/cm〜5kV/cmの電界強度が、液体生成物中の微生物の効率的な不活性化を確立することに関して十分かつ有効である。例えば、本発明の方法は、1L/h PEF装置(「PEFシステム」)中の液体生成物に適用可能である。例示的液体生成物に関して、パルス持続時間を100マイクロ秒又は1000マイクロ秒のいずれかに設定し、選択された電界強度又は「電界強度」は、0.9kV/cm又は2.7kV/cmのいずれかであった。液体生成物に印加されるパルス数は、0〜35の間で変動し、2つの連続するパルス間の時間差は、0.6ミリ秒〜199ミリ秒の間で変動し、その結果、得られた最高温度は、36℃〜92℃の間で変動した。以下の本発明の方法の効率を実証するより詳細な概要、実施例1を参照されたい。
本発明者らは、微生物不活性化が栄養細胞に特に効率的であることを見出した。おそらく、本発明の方法のこの効果に基づいて、本発明による方法は、胞子を不活性化する効率的なメカニズムも提供する。胞子は、外部電気刺激の標的である、内膜における及び胞子皮層における発芽のための必須タンパク質を含有する。
本発明の方法の適用のさらなる例として、例えば、液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための1200L/h PEF装置を適用し、液体生成物のバッチが本発明の方法でプロセシングされる。パルス持続時間は1000マイクロ秒であり、電界強度は2.0kV/cmである。液体生成物に印加されるパルスの数は、約5パルスであり、2つの連続するパルス間の時間差は、3.8ミリ秒である。本発明の詳細な実施形態に関して、以下の実施例3も参照されたい。
本発明の一実施形態は、本発明の方法であって、液体生成物のpHが、pH1.5〜9.0、好ましくは4.6を超え、好ましくは4.8〜9.0、より好ましくは5.5〜8.0、より好ましくは6.0〜7.5である。本発明の一実施形態は、本発明の方法であって、pHが約5.0を超え、好ましくは約6.0である。
さらに、一実施形態では、本発明は、液体生成物のpHが、4.6未満、好ましくは1.5〜4.6、より好ましくは約1.5〜約3.8である、本発明による方法に関する。
本発明のさらなる実施形態では、本発明の方法において、液体生成物のpHが、4.6より高く、好ましくは4.6〜9.0である。本発明の一実施形態は、本発明の方法であって、液体生成物のpHが、5.0〜9.0、好ましくは6.0〜9.0である。
本発明の方法の適用可能性により、広範囲のpHを有する液体生成物が、本発明による1つの同じ方法でプロセシングされる。本発明の方法は、このように多種多様なpHを有する液体生成物をプロセシングすることに適用可能であるので、PEFプロセシングが望ましく、本発明の方法でのプロセシングに選択可能な液体生成物の多様性は非常に大きい。実質的に、例えば、食品プロセシングに適用される任意の液体生成物、成分、又は半完成生成物は、本発明の方法による急速かつ均一な加熱に適している。そのPEFプロセスがこのような広いpH範囲において効果的かつ効率的であるという本発明者らの驚くべき発見により、本発明によるPEFを組み込んだ方法で食品をプロセシングすることは、今や以前よりも広く利用可能となっている。
さらに、本発明の一実施形態は、20℃で測定して0.01〜10S/m、より好ましくは20℃で測定して0.1〜3S/m、最も好ましくは20℃で測定して0.2S/m〜0.8S/mの電気伝導率を有する、本発明による液体生成物である。
そのような電気伝導率は、本発明の方法による液体生成物の急速かつ均一な加熱を助けるので、これらの示された境界内の電気伝導性が典型的に好ましい。大部分の液体食品生成物は、液体食品生成物での本発明の方法の適用に適用可能な境界内の電気伝導率を有するので、本発明の方法は、微生物負荷を下げることが望ましい多数の液体食品生成物を処理するのに適用可能である。例えば、20℃での電気伝導率が、数バッチの液体食品生成物について測定され、例えば、クランベリージュースに関しては0.1S/m、ビールに関しては0.15S/m、リンゴジュースに関しては0.2S/m、チョコレートミルクに関しては0.4S/m、全乳に関しては0.45S/m、豆乳に関しては0.4S/m、アーモンドミルクに関しては0.25S/m、ニンジンジュースに関しては1.0S/m、トマトソースに関しては1.8S/mであった。したがって、本発明の方法は、幅広い多種多様な液体食品生成物に適用可能である。
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明のPEFプロセシング条件は、微生物不活性化のための新しいメカニズムへの道を開くように思われる。
本発明者らは、本発明のPEFプロセシング条件を適用した場合、液体食品生成物が効果的に低温殺菌される(すなわち、微生物が効果的かつ効率的に不活性化される)ことを見出した。その条件は、40℃〜92℃、好ましくは50℃〜92℃、より好ましくは約60℃〜85℃の液体食品生成物の最高温度で、10〜1000マイクロ秒、好ましくは約1000マイクロ秒、より好ましくは約100マイクロ秒のパルス持続時間と組み合わせて、0.1〜5kV/cm、好ましくは4kV/cm以下、より好ましくは3kV/cm以下の驚くほど低い電界強度を含む。
本発明によれば、本発明の方法を適用する際の低温殺菌は、処理ゾーン内の通過中に連続的に流れる液体生成物に印加されるパルスの数が、各流体エレメントについて少なくとも1、好ましくは1〜100、より好ましくは5〜50である場合、特に効率的かつ効果的である。
パルスの数は、等式1によって与えられ、nは、パルスの数であり、Vは、処理チャンバの容積(L)であり、fは、使用されるパルス周波数(Hz)であり、φは、流速(L/h)である。
Figure 0006921838
パルスの数は、本発明により、少なくとも1つのパルスが、液体生成物を急速かつ均一に加熱するための装置の処理チャンバを通って流れる全ての流体エレメントに印加される限り、プロセスを設計する上で重要なステップではない。少なくとも1つのパルスが全ての流体エレメントに印加されることを保証するために、システムは、処理チャンバにおける滞留時間が1/fより大きいという目的で設計されなければならない。印加されるパルスの数は、液体生成物の所望の処理量(φ、L/h)、液体生成物の伝導率(σ、S/m)、生成物の比熱容量(c、kJ/kg・K)、生成物の密度(ρ、kg/m)、印加された電界強度(E、V/m)、パルス持続時間(τ−pulse、s)、及びプロセスで得られる温度勾配(ΔT、℃)(液体生成物の入口温度と出口温度との間の差)に基づいたプロセス設計の結果となる。これらのパラメータ間の関係は、等式2で与えられる。
Figure 0006921838
先に述べたように、そして以下の実施例1にさらに例示されるように、パルス持続時間は、本発明の方法によるPEF処理の有効性に重要である。したがって、1つの比較的長いパルスの印加は、同様の総有効処理時間を有するより短いパルスの印加よりも効果的であり得る。
例えば、本発明の方法による1L/hrの連続流1L/h PEF装置でプロセシングされた液体生成物に関して、典型的に、パルス持続時間は、約100〜1000マイクロ秒であり、電界強度は、約2.7kV/cmである。そのとき、典型的に、パルスの数は、約1〜25であり、処理チャンバにわたる所望の温度増加に依存して、約0.6〜39ミリ秒であり、これは、2つの連続パルス間の時間差は、入口温度と最高温度との差である。
例えば、本発明の方法による1200L/h PEF装置においてプロセシングされた液体生成物バッチに関して、典型的に、パルス持続時間は、本発明による方法において、1000マイクロ秒であり、電界強度は約2.0kV/cmである。そのとき、典型的に、パルスの数は、約5であり、2つの連続パルス間の時間差は、約3.8ミリ秒である。
典型的に、本発明の方法は、本発明に従って、30L/h〜200L/hの処理量を有するPEF装置における液体生成物をプロセシングすることに適用可能である。
典型的に、本発明の方法は、本発明に従って、約30,000L/hの処理量を有するPEF装置における液体生成物をプロセシングすることに適用可能である。
本発明の一実施形態は、本発明の方法であって、液体生成物を所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための装置が、約1L/h〜約30,000L/h、好ましくは約1L/h若しくは約30L/h、又は約200L/h、若しくは約1200L/h、又は約30,000L/hの処理量を有する。
ここでも、理論に束縛されることを望むものではないが、本発明のこれらのPEFプロセシング条件は、細胞の膜のタンパク質チャネルを不活性化する理論的メカニズムに従って微生物の不活性化をもたらす。本発明のこれらの新しいPEFプロセシング条件は、PEFに関する現在使用されている処理条件と比較して、微生物不活性化における新たな機会を提供する。本発明のこれらの新たな条件では、比較的小さな微生物及び/又はグラム陽性菌と比較して、比較的大きな微生物及び/又はグラム陰性菌に関する不活性化を優先することなく、全ての栄養微生物が不活性化される。
したがって、本発明の方法で、例えば大腸菌(Escherichia coli)株、サルモネラ(Salmonella)種、他の腸内細菌科及び酢酸菌などのグラム陰性菌が液体生成物中で不活性化される。さらに、本発明の方法では、例えばリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ロイコノストック(Leuconostoc)株及びストレプトコッカス(Streptococcus)種などのグラム陽性菌も液体生成物中で不活性化される。予想される理論的メカニズムに基づいて、胞子形成細菌の細胞膜も、アリシクロバチルス(Alicyclobacillus)細菌及びクロストリジウム(Clostridium)細菌のように、電位依存性チャネルを含有するため、胞子形成細菌も不活性化され得ることが予想される。さらに、胞子自体が、外部印加パルスによって標的とされ得る、内膜及び胞子皮層における発芽に必須のタンパク質を含有する。
さらに、本発明の方法は、例えば、酵母及びカビなどの比較的大きな微生物の液体生成物における不活性化に適している。本発明の方法は、例えば、L.モノサイトゲネス(L.monocytogenes)などの比較的小さな微生物、液体生成物における不活性化にも適している。当然、本発明の方法は、実施例1に示された、これらの例証された微生物のサイズを有する微生物の液体生成物における不活性化に同等に適している。
次に、本発明のPEFプロセシング条件は、比較的低いpHを有する液体食品生成物中及び比較的高いpHを有する液体食品生成物中の微生物を不活性化することにおいて同等に効果的であるので、本発明のこれらの新たな条件では、全ての型の(液体食品)生成物中の微生物の不活性化が可能である。
最後に、現在適用されているPEF条件と比較して、本発明のPEFプロセシング条件において使用されるより低い電界強度により、本発明においてより低いピーク電圧が使用されるので、本発明のこれらの条件は、容易にスケールアップされ、本発明のPEFプロセシング条件は、より大きい体積及び処理量で産業における実施に適用可能になる。本発明の方法は、高電界領域における流体の滞留時間が約17ミリ秒〜2秒である場合、液体生成物を抵抗加熱によって加熱温度まで急速かつ均一に加熱するための装置における本発明の方法に供される液体食品生成物に特に適している。パルスの周波数は、電極の金属放出を避けるために、1kHz〜50kHzに制限される(Mastwijk、2006)。典型的に、本発明によれば、本発明の方法において、液体生成物の流速は、この場合、約1L/h〜5000L/h、好ましくは約1000L/h〜30,000L/hである。
本発明のさらなる実施形態は、液体生成物が液体食品生成物又は液体飼料生成物である、本発明の前の実施形態のいずれかによる方法である。
さらに、本発明の一実施形態は、本発明による方法であって、液体生成物が、成分、半完成生成物、又は、果物ジュース、野菜ジュース、幼児食品、ジャム、スプレッド若しくはスムージー、アルコール若しくは非アルコール飲料、乳製品、植物性ミルク生成物、液状卵、スープ、若しくはソースのような最終液体生成物である。
本発明の一実施形態は、乳製品が、ミルク、ミルク生成物、又はミルク構成成分若しくはミルク画分を含む液体組成物から選択される、液体生成物を本発明による抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための方法である。
さらに、本発明の実施形態は、本発明による方法であって、液体生成物が、ミルク、ミルク生成物、ミルク構成成分又はミルク画分を含む乳製品である。
本発明の重要な態様は、本発明によれば、PEFプロセシング中に、液体生成物の温度を約92℃未満、又は約85℃未満、又は約70℃未満、又は約60℃未満に保つために、本発明による方法において適用される装置の処理チャンバ間に冷却セクションが必要でないという知見である。
先に述べたように、現在の最先端技術の方法では、液体生成物の過熱を避けるために、冷却セクションが処理チャンバの間に追加されている。上述したように、臨界温度での加熱が非常に速く(処理チャンバにおける滞留時間であり、1秒未満である)、最高温度までの暴露時間が非常に短いので、本発明の方法に冷却が必要でないことは、本発明内で重要な知見である。
効率的な方法を有するために、本発明に記載されたように、臨界温度(生成物品質が影響を受けることになる温度である)への暴露のみが電気エネルギーで得られる。非臨界温度ドメインは、従来の加熱での予熱とすることができる。したがって、好ましくは本発明の方法において、液体生成物は、装置に供給する前に20℃〜70℃、好ましくは35℃〜65℃、より好ましくは40℃〜60℃の範囲の温度まで予熱される。本発明の一実施形態は、本発明による方法であって、液体生成物が、装置に供給される前に20℃〜70℃、好ましくは35℃〜65℃、より好ましくは40℃〜60℃の範囲の温度まで予熱される。
実際の目的のために、本発明による方法に供された液体食品生成物などの液体生成物は、周囲温度以下に直ちに冷却される、例えば、2〜8℃に冷却される。保持時間が必要ないので、液体生成物の冷却は、液体生成物が高電界領域を離れた直後(好ましくは3秒以内)に進行する。本発明の現在のプロセス設計では、冷却管が高電界領域から0.5m下流に設置され得る。3インチ配管径を有する30,000L/h(=8.3L/s)システムに関して、これは、第1の冷却セクションに入る前の2.2L体積又は0.27秒及び最高温度からの最初の10℃の臨界温度下落前の約1〜5秒(粘度に依存する)が確立され、通常は4〜7℃の範囲内の所望の出口温度に向けて(従来の)冷却がそれに続くことを意味する。
「自律的」という用語は、その通常の意味を有し、ここでは、処理中に外部冷却(又は加熱)による助けなしに本発明の方法においてある値に達する液体生成物の温度を指す。
例えば、オレンジジュース、乳製品、ココナッツ水、スイカジュースから選択される液体食品生成物などの液体生成物は、例えば、約40℃、約50℃又は約60℃に予熱される。例えば、本発明の方法の適用時に液体生成物中の微生物を効率的かつ効果的に不活性化するために、液体生成物は、約30℃〜65℃、好ましくは36℃〜59℃に予熱される。
好ましくは、液体生成物の最高温度は、本発明によれば、抵抗加熱中に自律的に約85℃未満、より好ましくは約70℃未満、約63℃未満、又は約60℃未満のままである。本発明の方法のプロセスパラメータが液体生成物の最高温度が自律的に選択された温度未満のままであるように選択されることは、本発明の一部である。本発明の方法を適用する場合、選択された温度以下で、液体生成物中に存在する微生物の効率的かつ効果的な死滅が保証される一方、新鮮な(未処理の)液体生成物中に存在する新鮮な風味、ビタミン、及び栄養素の望ましくない低下及びタンパク質の変性が防止されるか、少なくとも大部分は防止される。
本発明によるパルス持続時間で本発明による電界強度を適用することによって、本発明者らは、驚くべきことに、本発明によれば、液体生成物の温度が約92℃、又は約85°、又は約70℃、又は約60℃の最高温度未満のままであり、これにより本発明の方法が大規模な設定、例えば、商業的設定での実施に特に適したものになることを見出した。
本発明の方法の商業的適用の例は、液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための装置における液体食品生成物のプロセシングであり、本発明によれば、装置を通る液体食品生成物の流れは、約500L/h〜30,000L/h、例えば、約1200L/hである。
したがって、本発明の一実施形態は、本発明の方法であって、液体生成物の温度が、抵抗加熱の間に自律的に85℃未満、好ましくは75℃未満、より好ましくは60℃未満のままである。
一実施形態では、本発明は、電界強度が約5kV/cm未満である、本発明による方法に関する。
本発明の一実施形態は、本発明による方法であって、電界強度が、0.5〜5kV/cm、より好ましくは2.5〜4kV/cmである。一実施形態では、本発明は、電界強度が約3kV/cm未満、好ましくは約2.7kV/cm以下、より好ましくは約0.9〜約2.5kV/cmである本発明の方法に関する。
本発明の一実施形態は、本発明による方法であって、パルス持続時間が、少なくとも10マイクロ秒、より好ましくは10〜2000マイクロ秒、さらにより好ましくは50〜500マイクロ秒、最も好ましくは50〜100マイクロ秒である。一実施形態では、本発明は、パルス持続時間が約100マイクロ秒〜約1000マイクロ秒である、本発明による方法に関する。さらなる実施形態では、本発明は、パルス持続時間が1000マイクロ秒以下、好ましくは約100マイクロ秒である、本発明による方法に関する。
本発明の一実施形態は、本発明による方法であって、印加パルスがバイポーラパルスである。したがって、本発明の一実施形態は、本発明による方法であって、液体生成物に印加される最小の1パルスが、バイポーラパルス形で印加されるパルスである。電極損傷を回避するために、液体生成物にバイポーラパルスを印加することが有利である(Loeffler、1996)。当然、他の種類のパルスも本発明の方法に同等に適用可能であることは本発明の一部である。
本発明の方法は、ジュース、ソース、乳製品などの液体食品生成物中の微生物の不活性化に特に適している。すなわち、そのような液体食品生成物の例は、成分、半完成生成物、又は、果物ジュース、野菜ジュース、幼児食品、ジャム、スプレッド若しくはスムージー、アルコール若しくは非アルコール飲料、乳製品、植物ミルク生成物、液状卵、スープ若しくはソースのような最終液体生成物である。
本発明の一実施形態は、本発明による方法であって、液体生成物中の微生物の不活性化のための方法である。上述したように、本発明の方法は、抵抗加熱によって液体生成物を加熱するための現在の方法よりも多くの利点を有する。本発明の方法で達成可能な主な利点の1つは、液体生成物、例えば、液体食品生成物の低温殺菌であり、ここで、微生物が小さいか又は大きく、微生物がグラム陰性菌又はグラム陽性菌である。
実際の目的のために、本発明による方法に供される、例えば、液体食品生成物などの液体生成物は、本発明の方法が液体生成物に適用された直後に周囲温度以下、例えば、2〜8℃に冷却される。
したがって、本発明の一実施形態は、加熱された液体生成物が、液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための装置を通って流れた直後に冷却される方法である。当然、実際の目的のために、冷却は、液体生成物が装置を通って流された瞬間からすぐに、例えば、可能な限り速く、好ましくは3秒以内に適切に適用される。したがって、本発明の実施形態は、加熱された液体生成物が、液体生成物を抵抗加熱によって加熱温度まで急速かつ均一に加熱するための装置を通って移された後に冷却される方法でもある。本発明による方法が液体生成物を抵抗加熱によって加熱温度まで急速かつ均一に加熱するための装置を用いた適用に適しており、この装置が約0.5L/h〜約2000L/h、好ましくは約0.5L/h〜約2L/h、より好ましくは約1L/h、又は同等に好ましくは約100L/h〜約2000L/h、好ましくは約1000〜1500L/h、より好ましくは約1200L/hでの液体生成物の流速で作動されることは、本発明の一部である。好ましくは、流速は、約30,000L/hである。
前に述べたように、液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための方法に液体生成物を供する前に液体生成物を予熱することにより、プロセス中の不活性化効率が改善されることは、以前に確立されていた。しかしながら、当該技術分野において知られているPEF条件の適用時に、液体生成物が容認できない値まで加熱されたので、プロセスの過程中に液体生成物を冷却することが前提条件であった。上述したように、ここで、液体生成物の温度が容認できない閾値を超えないので、本発明のプロセス中の冷却が必要ではないことが、本発明内で重要な知見である。したがって、本発明の方法では、液体生成物は、プロセス中に冷却する必要はなく、液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するプロセスに供する前に、十分に予熱される。
したがって、好ましくは、本発明の方法において、液体生成物は、装置に供給される前に20℃〜70℃、好ましくは35℃〜65℃、より好ましくは40℃〜60℃の範囲の温度まで予熱される。
本発明による方法は、本発明による抵抗加熱によって液体生成物を所定の温度まで急速かつ均一に加熱する方法に供される液体生成物中に存在する微生物を不活性化するのに非常に効果的かつ効率的である。本発明の方法を、微生物を含む液体生成物に適用すると、微生物数は、少なくとも2log cfu/mL、最も好ましくは6log cfu/mL以上減少する。
したがって、好ましくは、本発明は、液体生成物中の微生物数(コロニー形成単位cfu)が、少なくとも2log cfu/mL、好ましくは少なくとも5log cfu/mL、最も好ましくは6log cfu/mL以上減少する方法である。本発明の一実施形態は、液体生成物中の微生物数が少なくとも4log cfu/mL、好ましくは少なくとも7log cfu/mL減少する本発明による方法である。
本発明者らは、液体食品生成物中の微生物数のこのような減少が、生成物の品質尺度の保存に大きく貢献することを確立した。例えば、未処理の液体食品生成物と比較して、本発明の方法に供された液体食品生成物の味、匂い、色、及び外観はより長い期間保存される。例えば、本発明の方法で、液体食品生成物オレンジジュースの味及び匂いは、ジュースが約7℃で保管された場合、本発明の方法をオレンジジュースに適用すると約60日間以上保存される。オレンジジュースが本発明の方法に供された後、周囲温度で保たれた場合、約23日間のオレンジジュースの品質の強化が同様に有益である。
本発明の方法は、液体生成物中のグラム陽性菌を不活性化すること、及び液体生成物中のグラム陰性菌を不活性化することに同等に適用可能であることが分かる。さらに、微生物の大きさは限定的な役割を果たさず、これは、より小さいサイズ又はより大きいサイズの微生物が本発明による方法によって不活性化されることを意味する。したがって、本発明まで、小さいグラム陽性菌は、液体生成物を抵抗加熱によって加熱温度まで急速かつ均一に加熱するための既知の方法で効率的に不活性化することができなかったので、本発明の様々な態様及び実施形態が当技術分野への重要な貢献である。
したがって、本発明の一実施形態は、本発明の方法であって、微生物がグラム陽性菌を任意選択で含む。
本発明の方法を液体生成物で適用する場合、液体生成物のpHは、仮に変化したとしても、プロセスの過程中に最小限に改変される。これは、本発明による方法のさらなる有益な特色である。
したがって、一実施形態では、本発明は、プロセスの終わりでの液体生成物のpHが、プロセスの開始時のpHから0.5pH単位以内、好ましくは0.2pH単位以内、より好ましくは0.1pH単位以内、最も好ましくは0.05pH単位以内である、方法に関する。
本発明による方法は、液体生成物、特に液体食品生成物に適している。
本発明の第2の態様は、上記の本発明による方法によって得られる液体生成物に関する。
本発明は、以下に提供される以下の非限定的な例によってさらに説明される。
[実施例1]
<オレンジジュースにおけるpH=3.6での大腸菌(E.coli)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、サルモネラ・センフテンベルグ(Salmonella Senftenberg)、及びサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の微生物不活性化(1L/hスケール)>
病原性及び腐敗性の微生物を、それらの形態並びに果実ジュースとのそれらの関連及び蔓延に基づいて選択した。さらに、株の耐熱性又はPEF耐性を株の選択の基準として使用した。選択された微生物を表1に列挙する。
表1.本実施例で使用された細菌株及び酵母株
Figure 0006921838
表1に列挙された、5種全ての微生物の新鮮な培養物を、凍結ストックから培地への播種及び終夜の培養によって調製した。大腸菌(Escherichia coli)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、及びサルモネラ・エンテシア亜種エンテリカ血清型センフテンベルグ(Salmonella enterica subsp.enterica serovar Senftenberg)の培養は、Timmermans et al.,2014に記載されていた。ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の新鮮な培養物を、凍結ストックから52.2gのMRS(De Man、Rosoga and Sharp broth、Merck)及び1Lの蒸留水当たり12gの寒天を含有するMRS培地への播種によって同様に調製した。プレートを30℃で終夜インキュベートした。単一のコロニーを使用して、10mLのMRSブロスを有する100mLのフラスコに接種し、振とう培養器(180rpm)において20℃で24時間培養した。この培養物から、200マイクロリットルを使用して、新鮮な19.8mLのMRSブロスに接種し、1%グルコース(100mLフラスコ)を補充し、20℃及び180rpmで24時間インキュベートした。
培養後、細胞を洗浄し、選択された微生物の懸濁液を約1.0E+8−1.0E+9cfu/mLの最終濃度までオレンジジュース(Minute Maid(登録商標))に添加した。
接種された懸濁液を、13.0±0.5mL/分の流速で1L/h PEFシステムにポンプで通し、電気処理の前に36℃に予熱した。次に、懸濁液は、垂直に配置された2つの共直線処理チャンバに入り、ここで電気的処理が行われた。処理条件(電界強度、パルス持続時間、及び印加パルスの数)の強度の多様性のために、ジュースは自律的に可変の最高温度まで加熱された(表2は、使用された条件を例示する)。保持セクションを加えなかったので、処理チャンバを離れた直後(3秒以内)に、ジュースをウォーターバスに浸された加熱スパイラルを介して冷却した。出口では、試料を無菌的に収集した。選択された周波数の多様性のために、印加されるパルスの数及び結果として起こる最高温度につながる温度上昇が変動した(表2)。試料を種々の最高温度で収集し、固定電界強度及びパルス持続時間に関する動態を決定した。
生存可能な微生物細胞の数を、100μLの連続希釈PEF処理ジュースを、0.1%ピルビン酸ナトリウムを補充した適切な寒天プレート上の滅菌ペプトン生理的食塩希釈液(PSDF)に播種して、亜致死的に損傷された細胞の増殖を強化することによって、決定した(Timmermans et al.,2014)。25℃(S.セレビシエ(S.cerevisiae))、30℃(L.モノサイトゲネス(L.monocytogenes)、L.プランタラム(L.plantarum))、又は37℃(S.センフテンベルグ(S.Senftenberg)、大腸菌(E.coli))での5日間のインキュベーション後に生存細胞を計数した。
処理チャンバの前及び直後の温度を、HYP−O T型熱電対(オメガ)を使用して測定した。さらに、最高温度を、NTC抵抗器を使用して間接的に測定し、最高温度をモニターした。処理チャンバ内の方形波バイポーラパルス、電圧、及び電流をデジタルオシロスコープ(Rigol DS1102E)で記録した。電気エネルギーを、(Mastwijk、2006)及び(Timmermans et al.2014)に従って、電圧及び電流トレースの数値積分によって得、これは、実験誤差(10%)内のカロリー電力に等しい。
全ての実験を二連で行った。
表2:本研究で使用されたPEF条件
Figure 0006921838
試験した条件を表2に提供する。処理チャンバの寸法は、可変の電界強度を得るために変動した。この可変寸法の結果として、処理チャンバ内の滞留時間は、試験された各条件に関して同じではなかった。所望の最高温度を得るために、周波数を調節した。最後に、パルスの数を、使用された滞留時間及び周波数の積を取ることによって計算した。2つのパルスの間の時間は、滞留時間をパルス数で除し、パルス持続時間を引くことによって計算した。
不活性化は、微生物の開始濃度で除された、試験された条件での生存微生物の数の対数Nとして示し、Nはlog−10(N/N)である。図1において、不活性化は、試験された微生物に関する処理チャンバの出口での最高温度の関数として示されている。左パネルでは、短パルス(2マイクロ秒)に関する様々な電界強度での不活性化を示し、これは、現在の最先端技術を示し、右パネルでは、長パルス(すなわち100又は1000マイクロ秒)に関する様々な電界強度での不活性化を示し、これは、本出願に記載された発明を実証している。
電界強度及び変動するパルス持続時間の関数としてのオレンジジュース中の大腸菌(E.coli)の不活性化を図1に示す。
図1の左のパネル(電界強度は、10kV/cm、15kV/cm又は20kV/cmであり、パルス持続時間は、2マイクロ秒である)及び図1の右のパネル(電界強度は、0.9kV/cm又は2.7kV/cmであり、パルス持続時間は、1000マイクロ秒である)の両方から図1において見ることができるように、一定のパルス持続時間での電界強度の増加は、選択された最高温度でのより多くの不活性化をもたらした。
この増加した電界強度の効果は、図1に示された他の微生物でも観察され、より高い電界強度でのより多くの不活性化を示した。
5kV/cmまでの本発明において記載された条件の電界強度のさらなる増加は、所望の数の微生物を依然として不活性化しながら最高温度をさらに低下させることが予想される。
理論に束縛されることを望むものではないが、これは、膜の臨界電界強度(E−c)に対する外部印加電界(E)の超過によって説明され、より多くの損傷及び不活性化をもたらす(Alvarez et al.,2006)。E−cは種々の微生物によって異なり、微生物不活性化には5kV/cmを超える電界強度が必要であるという技術分野における合意がある(Raso et al.,2014)。しかしながら、ここで、本発明者らは、本発明によれば、5kV/cm未満、例えば、2.7kV/cm未満の電界強度が不活性化された微生物を1.0E−7(N/N)以下の十分なレベルで達成するのに有効であることも初めて示す。図1の左のパネルと右のパネルとを比較すると、100マイクロ秒又は1000マイクロ秒のパルス持続時間での2.7kV/cmの電界強度が、当技術分野において通常適用されるより高い電界強度及びより短いパルス持続時間と比較して、より高い程度の微生物の不活性化をもたらすことが分かる。
理論に束縛されることを望むものではないが、パルス持続時間が微生物を不活性化することにおいて重要な役割を果たすことが提案され、本発明において記載された条件に関する今日使用されているものとは別のメカニズムを暗示している。パルス持続時間が十分に長い場合、電圧感受性タンパク質チャネルが開かれ、それらが設計されているよりも高い電流を伝えることになると仮定されている。結果として、チャネルは不可逆的に変性し、細胞は生存能を失うことになる。
大腸菌(E.coli)の不活性化データは、100又は1000マイクロ秒のパルスが使用される場合、2.7kV/cmでの不活性化の程度に差違を示さず、これは、パルスの臨界持続時間が100マイクロ秒未満であることを暗示している。
さらに、この新しいPEF条件を使用して、グラム陰性菌とグラム陽性菌の両方が1.0E−7(N/N)まで不活性化され得ることが分かり得る。また、微生物のサイズは、現在の最先端の条件(左パネル)で果たすような、不活性化の程度(右パネル)における顕著な役割を果たさない。酵母は、2.7kV/cmでL.プランタラム(L.plantarum)及びS.センフテンベルグ(S.Senftenberg)よりも低い最高温度で不活性化され得るが、新しいPEF条件では大腸菌(E.coli)とL.モノサイトゲネス(L.monocytogenes)間に大きな差違は見出されない。一方、現在使用されているPEF条件ではより大きな差違が見出された(左パネル)。
[実施例2]
<可変特性を有する生成物中の大腸菌(E.coli)及びリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)の微生物不活性化(1L/hスケール)>
大腸菌(Escherichia coli)(ATCC35218)及びリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)NV8を、(Timmermans et al.,2014)に記載の方法に従って、凍結ストックから調製し、Tryptone Soy Broth(大腸菌(E.coli))又はBrain Heart Infusion Broth(L.モノサイトゲネス(L.monocytogenes))中で培養した。
培養後、細胞を洗浄し、それぞれ異なるpH及び伝導率を有する(図2を参照)、オレンジジュース(Minute Maid(登録商標))、ココナッツ水(Healthy People)、又はスイカジュース(搾りたて)のいずれかに、約1.0E+8cfu/mLの濃度に達するように懸濁した。実施例1に記載したのと同じPEF装置システム及びセットアップを使用し、流速は、13.5±0.5mL/分であった。しかしながら、2.7kV/cmの電界強度及び1000マイクロ秒のパルス持続時間である1つのプロセス条件のみを使用した。3つの生成物(図2)の間で伝導率が異なるため、異なる周波数設定が必要であり、各生成物の同様の最高温度に達するために処理中に与えられるパルスの数が異なった。表3において、3つの試験されたジュースに関する試験された周波数の範囲、パルスの数、及び処理後の最高温度を示す。
不活性化は、微生物の開始濃度で除された、試験された条件での生存微生物の数の対数Nとして示し、Nはlog−10(N/N)である。
表3:本研究で使用されたPEF条件
Figure 0006921838
様々なジュース中の様々な最高温度での大腸菌(E.coli)及びL.モノサイトゲネス(L.monocytogenes)の不活性化を図3に示す。大腸菌(E.coli)(図3A)及びL.モノサイトゲネス(L.monocytogenes)(図3B)の不活性化曲線を様々な液体培地、すなわち液体生成物オレンジジュース、ココナッツ水、及びスイカジュースについて比較すると、不活性化が始まる温度に関する差違が観察されないことが分かる。さらに、不活性化の程度は、オレンジジュース、ココナッツ水、及びスイカジュースに関して類似している。これは、生成物マトリックス、すなわち液体生成物オレンジジュース、ココナッツ水及びスイカジュースの様々なpH、及び様々な電気伝導率が、不活性化の程度に対する効果を有さないことを示している。さらに、類似した温度での不活性化を示す比較可能な不活性化曲線が、グラム陰性大腸菌(E.coli)(約0.7〜1.5マイクロメートル×2〜5マイクロメートルの細菌細胞のサイズを有する)及びグラム陽性L.モノサイトゲネス(L.monocytogenes)(約0.4〜0.5マイクロメートル×0.5〜2マイクロメートルの細胞の大きさを有する)に関して見出され、これは、使用される微生物に関する差違がないことを示している。
これは、オレンジジュース、ココナッツ水、及びスイカジュースに適用された本発明の方法が、種々の異なる液体培地、すなわち異なる液体食品生成物中のグラム陽性菌及びグラム陰性菌の不活性化に関して同様に効果的かつ効率的であることを示している。
[実施例3]
<1200L/hスケールでの微生物検証>
1バッチのオレンジ(品種:Natal folha murcha)を商業的に圧縮して4.000Lのオレンジジュースを得た。オレンジジュースに微生物を接種しなかったので、オレンジジュースに自然に存在する微生物集団を研究して、大規模(1.200L/h)で1L/hで以前決定されたプロセス条件を検証した。
オレンジジュースを1.200±100L/hの流れで、ポンプで送り、59℃に予熱した。パルスを3つの垂直に配置された処理チャンバに加えて、70℃の最高温度に達した。中央処理チャンバ内の処理ゾーンの体積は、第1及び第3の(外側)処理チャンバの処理ゾーン(寸法長さ14mm、直径12mm)よりも小さかった(寸法長さ14mm、直径8mm)。電源の接続により、これは、外側の処理チャンバと比較して、中央処理チャンバにおける2倍の電界強度をもたらし、中央では1.9kV/cmであり、外側の処理チャンバでは1.0kV/cmであった。パルスは、1000マイクロ秒の固定持続時間を有した。中央処理チャンバの滞留時間は、5.4±0.5ミリ秒であり、外側処理チャンバでは、9.5±0.9ミリ秒であり、処理中に加えられたパルスの総数は、207±18Hzの繰返し率で5.1±0.01であった。
ジュースを処理チャンバから離れた直後に3秒以内に冷却したため、保持時間が最小化されて、生成物の熱負荷を減少させた。冷却後、ジュースを包装し、無菌的にかつ保存した。
未処理及びPEF処理ジュースの微生物試料を3つの異なる実験室で、二連で分析し、合計6つの未処理及びPEF試料を有した。Dowes and ITO(2001)によって記載された方法に従って、全中温性プレート数、全大腸菌群、並びに酵母及びカビの数を分析した。好酸好熱性胞子形成細菌(ATSB)をEguchi et al.,(1999)の方法に従って分析し、サルモネラ(Salmonella)をAOAC(2000)の方法に従って分析し、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)をISO11290−1(1996)の方法に従って分析し、乳酸菌をSilva et al.(2007)の方法に従って分析した。
未処理オレンジジュース及びPEF処理オレンジジュースにおける微生物不活性化の結果を図4A及びBに示す。未処理オレンジジュース中の最初の微生物負荷は、比較的高く、未処理オレンジジュース中に約1,0E+5cfu/mLが存在していた(図4A)。オレンジジュースのPEF処理後、プレート上に微生物は検出されず(全プレート数)、さらに、カビも酵母も大腸菌群もプレート上に検出されなかった(全てのプレートは、<1cfu/mLを示す。図4A参照)。図4Bにおいて、定性的データから、未処理のオレンジジュース中に存在した全ての乳酸菌及び好酸好熱性胞子形成細菌(ATSB)もオレンジジュースのPEF処理中に不活性化されたことが分かる。
[実施例4]
<品質態様及び微生物貯蔵寿命に対する本発明のPEF条件の影響>
実施例3で作製され記載されたPEF処理オレンジジュース試料を、3ヶ月間続く貯蔵寿命試験の間毎週分析した。この期間中、品質態様及び微生物数を分析した。微生物分析は、実施例3に記載されたプロセスと同様であった。品質分析に関して、当技術分野で一般に知られている方法に従って、可溶性固形物の量(JBT FoodTech Citrus Systems,2011−1)、酸性度(JBT FoodTech Citrus Systems、2011−2)、pH(JBT FoodTech Citrus Systems、2011−3)、油含有量(JBT FoodTech Citrus Systems、2011−4)、ビタミンC含有量(JBT FoodTech Citrus Systems、2011−5)、及びペクチンエステラーゼ活性(Rouse and Atkins、1955)を示された時間で測定した(表2)。試料を7℃及び室温(周囲温度20〜25℃)の両方で保管して、加速貯蔵寿命試験を促進した。
試料の微生物評価を行い、その結果を表2に示す。PEF処理試料の微生物数は、オレンジジュースが7℃で保存された場合とオレンジジュースが周囲温度保存された場合の両方で、104日間続く貯蔵寿命研究全体中に1cfu/mLの検出限界未満であることを示した。
表4.7℃又は周囲温度のいずれかで保存された、貯蔵期間中のPEF処理オレンジジュースの微生物分析の結果。
Figure 0006921838
知覚による評価は、訓練されたパネルによって行われた。試料を全体的な外観、色、匂い、及び味について評価した。搾りたてのオレンジジュースと特性が類似している場合、試料を「良好」と評価し、もはや搾りたてのジュースの高品質ではない場合、試料を「非不良」と評価した。
貯蔵寿命中の知覚による分析の結果を図5に示す。7℃で保存された試料は、64日の貯蔵寿命まで絞りたてのオレンジジュースに類似していることが示された。この貯蔵時間の後、新鮮な匂い及び味は減少するが、ジュースの外観及び色は、7℃での90日の貯蔵まで「良好」とみなされた(図5A)。周囲温度で保存されたPEF処理ジュースは、27日の貯蔵までのみ許容された(図5B)。この時間の後、もはや新鮮なジュースとはみなされなかった。
オレンジジュースの品質態様も同様にモニターした。これらの態様に関して、未処理のジュースをPEF処理の前に同様に評価して、これらの態様に対するプロセスの影響を評価した。
全可溶性固形物の量(°Brix)(図6。周囲温度及び7℃で実施された実験の曲線は、グラフの6日目以降に一致する)、酸性度(図7)、pH(図8)、油含有量(図9)及びビタミンC含量(図10)は、PEF処理及び7℃での保存及び周囲温度での保存によって変化しなかった。
差違がPEF処理の前及び後にペクチンメチルエステラーゼ(PME)活性において見出される(図11)。PEFプロセス中に発生された温度のために、PME酵素の一部が不活性化され、酵素活性の低下につながる。すなわち、本発明によるプロセス中に発生した熱は、ジュースの温度を70℃に上昇させた。本発明のPEFプロセスに供されたジュースを、連続流下でPEF装置に導入する前に59℃に予熱した。この酵素の不活性化は、酵素の残存活性が貯蔵中の柑橘類ジュースの濁り消失及びゲル化につながり得るので、低温殺菌の目的の1つである。この酵素の活性は、pH7.8及び20℃での時間の関数としてのペクチン加水分解中のmL当たりの酸の放出(1.0E+4を掛けた)として表される。一般に、ほとんどのジュース殺菌装置は、1.0E−6〜1.0E−4の値を有するペクチンエステラーゼ単位(PEU)で表されるペクチンエステラーゼ活性を有するジュースを提供する。
本願の出願当初の特許請求の範囲に係る発明の内容は、以下の通りである。
[1]
液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱して、加熱された液体生成物を得るための方法であって、
(a)液体生成物を提供する工程;
(b)液体生成物を抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための装置を提供する工程;
(c)前記液体生成物を前記装置の入口に供給し、前記装置を通して前記液体生成物を流す工程;
(d)前記装置中に流れている前記液体生成物に電流を連続的に発生させる工程であって、最小の1つのパルスが通過中に各流体エレメントに少なくとも10マイクロ秒のパルス持続時間で印加され、電界強度が0.1〜5kV/cmである、当該工程;
を含み、
前記液体生成物の最高温度が前記抵抗加熱中に自律的に92℃未満のままである、
上記方法。
[2]
前記液体生成物のpHが、pH1.5〜9.0、好ましくは4.6を超え、好ましくは4.8〜9.0、より好ましくは5.5〜8.0、より好ましくは6.0〜7.5である、[1]に記載の方法。
[3]
前記液体生成物が、20℃で測定して0.01〜10S/m、好ましくは20℃で測定して0.1〜3S/m、より好ましくは20℃で測定して0.2S/m〜0.8S/mの電気伝導率を有する、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]
前記液体生成物が、液体食品生成物又は液体飼料生成物である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記液体生成物が、成分、半完成生成物、又は、果物ジュース、野菜ジュース若しくはスムージー、ジャム、スプレッド、アルコール若しくは非アルコール飲料、乳製品、植物性ミルク生成物、液状卵、スープ、若しくはソースのような最終液体生成物である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記乳製品が、ミルク、ミルク生成物、又はミルク構成成分若しくはミルク画分を含む液体組成物から選択される、[5]に記載の方法。
[7]
前記液体生成物の温度が、前記抵抗加熱中に自律的に85℃未満、好ましくは75℃未満、より好ましくは60℃未満のままである、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記電界強度が、0.5〜5kV/cm、好ましくは2.5〜4kV/cmである、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記パルス持続時間が、少なくとも10マイクロ秒、好ましくは10〜2000マイクロ秒、より好ましくは50〜500マイクロ秒、最も好ましくは50〜100マイクロ秒である、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10]
バイポーラパルスが印加される、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記液体生成物中の微生物の不活性化のための方法である、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記加熱された液体生成物が、前記装置を通って流れた直後に冷却される、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記液体生成物が、前記装置に供給される前に、20℃〜70℃、好ましくは35℃〜65℃、より好ましくは40℃〜60℃の範囲の温度まで予熱される、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記液体生成物中の微生物数(cfu)が、少なくとも2log cfu/mL、好ましくは少なくとも5log cfu/mL、最も好ましくは6log cfu/mL以上減少する、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]
[1]〜[14]のいずれか一項に記載の方法によって得られる液体生成物。
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Claims (20)

  1. 抵抗加熱による液体生成物の酵素不活性化、微生物不活性化、又はそれらの組合せのための方法であって、
    (a)液体生成物を提供する工程;
    (b)前記液体生成物を、パルス電界を使用する抵抗加熱によって所定の温度まで急速かつ均一に加熱するための装置を提供する工程;
    (c)前記液体生成物を前記装置の入口に供給し、前記装置を通して前記液体生成物を流す工程;
    (d)前記装置中に流れている前記液体生成物にパルス電流を連続的に発生させる工程であって、最小の1つのパルスが通過中に各流体エレメントに少なくとも10マイクロ秒のパルス持続時間で印加され、電界強度が0.9から4kV/cm未満である、当該工程;
    を含み、
    前記液体生成物の最高温度が前記抵抗加熱中に自律的に40℃〜85℃のままである、
    上記方法。
  2. 前記液体生成物のpHが、pH1.5〜9.0である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記液体生成物のpHが、pH4.6〜8.0である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記液体生成物のpHが、pH1.5〜4.6である、請求項2に記載の方法。
  5. 前記液体生成物が、20℃で測定して0.01〜10S/mの電気伝導率を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記液体生成物が、20℃で測定して0.2S/m〜0.8S/mの電気伝導率を有する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記液体生成物が、液体食品生成物又は液体飼料生成物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記液体生成物が、成分、半完成生成物、又は、最終液体生成物である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記液体生成物が、果物ジュース、野菜ジュース又はスムージー、ジャム、スプレッド、アルコール又は非アルコール飲料、乳製品、植物性ミルク生成物、液状卵、スープ及びソースから選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記乳製品が、ミルク、ミルク生成物、又はミルク構成成分若しくはミルク画分を含む液体組成物から選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記液体生成物の温度が、前記抵抗加熱中に自律的に75℃未満のままである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記液体生成物の温度が、前記抵抗加熱中に60℃未満のままである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記電界強度が、2.5〜3kV/cmである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記パルス持続時間が、少なくとも100マイクロ秒である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. バイポーラパルスが印加される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記加熱された液体生成物が、前記装置を通って流れた直後に冷却される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記液体生成物が、前記装置に供給される前に、20℃〜70℃の範囲の温度まで予熱される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記液体生成物が、前記装置に供給される前に、35℃〜65℃の範囲の温度まで予熱される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記加熱された液体生成物中の微生物数(cfu)が、少なくとも5log cfu/mL減少する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 通過中に各流体エレメントに印加される最小の1つのパルスが、長方形のパルス形状を有する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
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