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JP6925978B2 - エチレン性不飽和カルボン酸またはエステルを製造するためのプロセス - Google Patents
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JP6925978B2 - エチレン性不飽和カルボン酸またはエステルを製造するためのプロセス - Google Patents

エチレン性不飽和カルボン酸またはエステルを製造するためのプロセス Download PDF

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Description

本発明は、塩基の存在下にカルボン酸エステルをホルムアルデヒドまたはその供給源と縮合させることにより、エチレン性不飽和カルボン酸またはエステル、具体的にはα,β不飽和カルボン酸またはエステル、より具体的にはアクリル酸またはエステル(例えば、(アルク(alk))アクリル酸または(アルク)アクリル酸アルキルエステル、具体的には(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル))を製造するためのプロセス、具体的には、これらに限定されるものではないが、この種の塩基の存在下に、プロピオン酸アルキルエステル、例えばプロピオン酸メチルをホルムアルデヒドまたはその供給源と縮合させることにより、(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル、例えば、メタクリル酸メチルを製造するためのプロセスに関する。特に本発明は、メタクリル酸(MAA)およびメタクリル酸メチル(MMA)の製造に関する。
この種の酸またはエステルは、式R−CH−COOR(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、アクリル系化合物の技術分野において知られている好適な置換基、例えば、アルキル基、特に、低級アルキル基(例えば、1〜4個の炭素原子を含むもの)である)で表されるアルカン酸エステルを、ホルムアルデヒド等の好適なメチレン供給源と反応させることにより生成することができる。したがって、例えば、メタクリル酸またはそのアルキルエステル、特にメタクリル酸メチルは、プロピオン酸メチルとメチレン供給源としてのホルムアルデヒドとの接触反応により生成することができる。
特許文献1には、多孔質シリカゲル上に担持されたセシウム触媒を用いて飽和脂肪族モノカルボン酸をホルムアルデヒドと気相縮合させることによる、α,β不飽和脂肪族カルボン酸の製造が記載されている。セシウム/シリカ触媒の存在下におけるプロピオン酸およびホルムアルデヒドからのメタクリル酸の製造は、273℃〜408℃の範囲の温度で実施され、メタクリル酸に対する選択性は81〜88%の範囲である。
上に述べたように、MMAの公知の製造方法は、ホルムアルデヒドを使用したプロピオン酸メチル(MEP)からMMAへの接触転化である。特許文献2には、シリカに担持された触媒の存在下における、アルカン酸またはエステル、特にプロピオン酸メチルとホルムアルデヒドとの接触反応による、エチレン性不飽和酸またはエステルの製造が記載されている。この触媒を用いた、プロピオン酸メチル、メタノールおよびホルマリンからのメタクリル酸メチル(MMA)およびメタクリル酸(MA)の製造が、350℃で実施されており、その結果としてMMAおよびMAの収率は3〜12%となり、MMAおよびMAに対する選択性は88〜97%となった。
不均一系の問題は、高温を必要とするために費用が嵩むことに加えて、望ましくない副生成物の生成も増加することにある。
特許文献3には、塩基の存在下におけるラクトンとホルムアルデヒド供給源との反応において、水を除去するために乾燥剤の使用が可能であることが開示されており、ホルムアルデヒド供給源はポリオキシメチレンまたはアルデヒドである。ラクトン中間体は加水分解に対し非常に安定であり、環構造に起因して高度に活性化されており、不均一および均一塩基触媒の両方が検討されている。他方、直鎖状エステルはそれよりもはるかに加水分解を受けやすく、活性化度合いははるかに低い。
米国特許第485070号明細書 米国特許第6544924号明細書 国際公開第00/58298号パンフレット
驚くべきことに、カルボン酸エステルとホルムアルデヒドまたはその供給源との液相反応において、特定の金属塩が、収率および選択性の両方を向上させるために非常に有効であることをここに見出した。
本発明の第1の態様によれば、塩基性金属塩の存在下に、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源を非環式カルボン酸エステルと液相反応させることによる、エチレン性不飽和カルボン酸またはエステル、好適には、α,βエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルを製造するためのプロセスが提供される。
塩基
好適には、塩基性金属塩は、第I族金属または第II族金属の塩である。好適には、塩基性金属塩は、第I族金属または第II族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、メチル炭酸塩、アルコキシド(メトキシド、t−ブトキシド等)、フッ化物およびリン酸塩から選択され、より好適には、塩基性金属塩は、第I族金属または第II族金属のメトキシド、炭酸塩または炭酸メチル塩から選択される。誤解を避けるために述べると、本明細書において使用される第I族金属とは、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)およびセシウム(Cs)を意味する。誤解を避けるために述べると、本明細書において使用される第II族金属とは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)を意味する。好適には、第I族金属または第II族金属は、カリウム(K)、セシウム(Cs)、ルビジウム(Rb)またはバリウム(Ba)から選択され、より好適には、セシウム(Cs)またはルビジウム(Rb)から選択される。
好適には、塩基性金属塩は、酸化カリウム、酸化セシウム、酸化ナトリウム、酸化ルビジウム、酸化バリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、水酸化バリウム、リン酸カリウム、リン酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸ルビジウム、リン酸バリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ルビジウムメトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、ルビジウムt−ブトキシド、セシウムt−ブトキシド、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸ルビジウム、炭酸バリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素バリウム、メチル炭酸カリウム、メチル炭酸ナトリウム、メチル炭酸セシウム、メチル炭酸ルビジウムまたはメチル炭酸バリウムから選択することができ、より好適には、セシウムメトキシド、ルビジウムメトキシド、炭酸セシウム、炭酸ルビジウム、メチル炭酸セシウムまたはメチル炭酸ルビジウム、最適には、炭酸セシウムまたはメチル炭酸セシウム、特にメチル炭酸セシウムである。
好適な塩基性金属塩としては、セシウム(Cs)またはルビジウム(Rb)の炭酸塩(炭酸水素塩およびメチル炭酸塩を含む)が挙げられる。有利には、本発明の塩基性金属塩は、本発明の反応生成物への転化率および選択性が著しく高い。
好適な塩基性第I族金属または第II族金属塩は、300℃以下の温度、より典型的には250℃以下の温度、最適には200℃以下の温度で反応媒体に少なくとも一部が溶解する第I族金属または第II族金属の塩である。
塩基性金属塩は、反応を行う間、任意の好適な形態で反応媒体中に存在することができる。好適には、塩基性金属塩は、反応媒体中に実質的に完全に溶解させることができるか、あるいは反応媒体および塩基性金属塩を一緒にスラリーの形態とすることができ、その場合、塩基性金属塩の一部は反応媒体/液相中に溶解しており、一部は不溶、したがって固体形態のままである。より好適には、塩基性金属塩は反応媒体/液相中に実質的に完全に溶解している。
連続式反応は、反応体の一部を固相として実施することができるが、好適には、反応体を実質的に完全に溶解させて実施される。
回分式反応は、反応体の一部を固相として実施することができるが、好適には、反応体を実質的に完全に溶解させて実施される。特定の理論に束縛されるものではないが、回分式反応において、反応媒体および塩基性金属塩はプロセスの開始時点で一緒にスラリーの形態にあってもよいが、プロセスが進行するに従い、塩基性金属塩の溶解性がより高いメタノールが生成されるため、反応媒体中に溶解することができる塩基性金属塩が増加し、そのため、プロセス終了時には塩基性金属塩が実質的に完全に溶解している場合もある。反応媒体中に溶解した塩基性金属塩の量について言及する場合、これは、反応が実施されることになる温度で反応媒体中に溶解する量であると当業者は理解するであろう。
好適には、塩基性金属塩は、反応媒体中で完全に飽和している。好適には、塩基性金属塩が反応媒体中で完全に飽和している場合、不溶形態で存在する塩基性金属塩(存在する場合)は、溶解している塩基が反応するに従い、反応媒体に溶解することができる可能性もある。
好適には、反応を行う間、塩基性金属塩の少なくとも一部は液相にある。
本発明の前記塩基性金属塩は、反応媒体中に存在する金属の総固形分重量を基準として、反応媒体中に存在する金属全体の90〜100重量%、例えば、反応媒体中に存在する金属全体の95、99、99.5または99.9重量%、より好適には、反応媒体中に存在する金属全体の実質的に100重量%を供与することができる。通常、本発明の反応媒体中において、本明細書に定義した塩基性金属塩以外の種類の金属は痕跡程度を超えて存在せず、具体的には、第I族金属塩以外の種類の金属は反応媒体中に存在せず、より具体的には、本明細書においてより詳細に定義する第I族金属塩以外の種類の金属は存在しない。
したがって、本発明の第2の態様によれば、均一塩基性金属塩の存在下における、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と非環式カルボン酸エステルとの液相反応による、エチレン性不飽和カルボン酸またはエステル、好適には、α,βエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルを製造するためのプロセスが提供される。
ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドの好適な供給源は、式I:
Figure 0006925978
(式中、RおよびRは、独立に、C〜C12炭化水素またはHから選択され、XはOであり、nは1〜100の整数であり、mは1である)で表される化合物とすることができる。
好適には、RおよびRは、独立に、本明細書に定義したC〜C12アルキル、アルケニルもしくはアリールまたはHから選択され、より好適には、C〜C10アルキルまたはHから選択され、最適には、C〜CアルキルまたはHから選択され、特に、メチルまたはHから選択される。好適には、nは1〜10の整数、より好適には1〜5の整数、特に1〜3の整数である。しかしながら、トリオキサン等の他のホルムアルデヒド供給源を使用することもできる。
したがって、ホルムアルデヒドの好適な供給源は、ホルムアルデヒド供給源を供与することができる任意の平衡状態にある組成物(equilibrium composition)を含む。このようなものの例として、これらに限定されるものではないが、メチラール(1,1ジメトキシメタン)、トリオキサン、ポリオキシメチレンR−O−(CH−O)−R(式中、Rおよび/またはRはアルキル基または水素であり、i=1〜100である)、パラホルムアルデヒド、ホルマリン(ホルムアルデヒド、メタノール、水)および他の平衡状態にある組成物(ホルムアルデヒド、メタノールおよびプロピオン酸メチルの混合物等)が挙げられる。しかしながら、30%を超える水を含むホルムアルデヒド供給源は、本発明の反応に使用されないか、または少なくとも本発明の反応に使用するのに好ましくない。
通常、ポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒドおよびメタノールの高級ホルマールもしくはヘミホルマール、すなわちCH−O−(CH−O)−CH(「ホルマール−i」)もしくはCH−O−(CH−O)−H(「ヘミホルマール−i」)(式中、i=1〜100、好適には1〜5、特に1〜3である)であるか、または少なくとも1個のメチル以外の末端基を有する他のポリオキシメチレンである。したがって、ホルムアルデヒドの供給源は、式R31−O−(CH2−O−)32(式中、R31およびR32は、同一であっても異なっていてもよい基であり、少なくとも1つはC〜C10アルキル基から選択され、例えば、R31=イソブチル、かつR32=メチルである)で表されるポリオキシメチレンであってもよい。
ホルマリンはホルムアルデヒドの供給原料として使用することができるが、一般には、反応に使用する前に脱水される。好適には、ホルマリンという語は、ホルムアルデヒド:メタノール:水を25〜65重量%:0.01〜25重量%:25〜70重量%の比率で混合した混合物を意味する。より好適には、ホルマリンという語は、ホルムアルデヒド:メタノール:水を30〜60重量%:0.03〜20重量%:35〜60重量%の比率で混合した混合物を意味する。最適には、ホルマリンという語は、ホルムアルデヒド:メタノール:水を35〜55重量%:0.05〜18重量%:42〜53重量%の比率で混合した混合物を意味する。
好適には、ホルムアルデヒドの好適な供給源は、ホルマリン(ホルムアルデヒド、メタノール、水)、低分子量ポリホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド)、気体状ホルム
アルデヒド、ホルムアルデヒドヘミアセタール(アルコホルム(alcoform))、トリオキサンまたは無水ホルムアルデヒドから選択することができ、より好適には、低分子量ポリホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド)、ホルムアルデヒドヘミアセタール(アルコホルム)または無水ホルムアルデヒドから選択することができ、最適には、ホルムアルデヒドヘミアセタール(アルコホルム)または無水ホルムアルデヒドから選択することができ、特に、ホルムアルデヒドの好適な供給源は、ホルムアルデヒドヘミアセタール(アルコホルム)とすることができる。プロセスから水を除く必要性が減るという理由から、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、無水ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒドヘミアセタール(アルコホルム)、特に、ホルムアルデヒドヘミアセタール(アルコホルム)を使用することが好ましい。
好適には、反応混合物は、例えば、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と、非環式カルボン酸エステルとを含み、水含有量が約5重量%(w/w)未満である混合物である。より好適には、反応混合物は、例えば、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と、非環式カルボン酸エステルとを含み、水含有量が約2重量%未満である混合物である。最適には、反応混合物は、例えば、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と、非環式カルボン酸エステルとを含み、水を約0.1〜1.0重量%含み得る混合物である。
好適には、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源は、水含有量を約15重量%(w/w)未満、より好適には約5%w/w未満、最適には約1%w/w未満とすることができる。好適には、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源は基本的に無水である。
特定の実施形態において、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源は、ホルムアルデヒドヘミアセタール(アルコホルム)である。有利には、ホルムアルデヒドヘミアセタール(アルコホルム)を使用することによって無水ホルムアルデヒドが得られる。
溶媒
上に詳述したように、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源および非環式カルボン酸エステルおよび塩基性金属塩は液相中にある。この液体反応媒体は、反応溶媒を含むことができる。
したがって、本発明のプロセスは、場合により、1種以上の溶媒をさらに含むことができる。
好適には、溶媒は、完全にまたは実質的に非プロトン性である。好適な非プロトン性溶媒が、Josef Barthel,Heiner−J.Gores,Georg Schmeer and Rudolf Wachter著,“Non−Aqueous Elelctrolyte Solutions in Chemistry and Modern Technology”,Topics in Current Chemistry,Vol.111,page 33,1983のpp112〜114に、“Aprotic protophilic solvents”、“Aprotic protophobic solvents”、“Low permittivity electron donor solvents”および“Inert solvents”と題した表A−1に記載されている。好適には、溶媒は非プロトン性親プロトン性(protophilic)溶媒または非プロトン性疎プロトン性溶媒、より好適には、非プロトン性親プロトン性溶媒である。好適には、溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMEUまたはDMI)、3−メチル−2−オキサゾリジノン、炭酸プロピレン、ジエチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、2−ブタノン、3−ペンタノン、アセトフェノン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、テトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシド(スルホラン)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、炭酸ジメチル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム、ベンゼン、シクロヘキサン、キシレンまたはトルエンから選択される。より好適には、溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMEUまたはDMI)、3−メチル−2−オキサゾリジノン、ジエチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、2−ブタノン、3−ペンタノン、アセトフェノン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、テトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシド(スルホラン)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンまたはジグリムから選択される。最適には、溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMEUまたはDMI)、3−メチル−2−オキサゾリジノン、ジエチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタンまたはテトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシド(スルホラン)から選択される。
メタノールまたはエタノールが(存在する場合)ホルムアルデヒドの供給源から反応混合物に導入される可能性があることを当業者は理解するであろう。しかしながら、これらのアルコールは、通常、上に詳述した溶媒と一緒に使用すべきであり、反応媒体中に、反応媒体の総重量を基準として、約50重量%未満、好適には約45重量%未満、より好適には約20重量%未満の量で存在すべきである。
有利には、本明細書に記載した溶媒を使用することにより反応速度を向上させることができる。
非環式反応体
好適には、本発明の非環式カルボン酸エステル反応体は、次に示す式:
−CH−COOR
(式中、Rは、アルキル基、好適には、C〜Cアルキル基、より好適にはメチル基であり、Rはメチル基である)で表される。
したがって、本発明のさらなる態様によれば、塩基性金属塩の存在下において、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と、式R−CH−COOR(式中、Rはアルキル基、好適にはC〜Cアルキル基であり、Rはメチルである)で表される非環式カルボン酸エステルとを液相反応させることによる、エチレン性不飽和カルボン酸またはエステル、好適には、α,βエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルを製造するためのプロセスが提供される。
好適には、本発明の任意の態様による非環式カルボン酸エステルはプロピオン酸メチルである。
生成物
好適には、本発明のプロセスにより製造されるエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルは、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルまたはメタクリル酸ブチルまたはメタクリル酸の金属塩から選択され、最適には、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸の金属塩から選択される。
本発明のプロセスはメタクリル酸およびそのアルキルエステルの製造に特に適している。好適には、メタクリル酸およびそのエステルは、通常、対応するプロピオン酸エステルをホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と塩基性金属塩の存在下に反応させることにより製造される、メタクリル酸(C〜C)アルキルエステル、好適には、プロピオン酸メチルから製造されるメタクリル酸または特にメタクリル酸メチル(MMA)である。
本発明において、縮合反応により生成する水は、本発明のプロセスにおいて生成したエステルの一部を加水分解して酸にする可能性がある。したがって、これがメタクリル酸を生成する1つの経路である。
有利には、本発明のプロセスは、エチレン性不飽和カルボン酸またはエステルを生成するホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と非環式カルボン酸エステルとの反応において生成する望ましくない副生成物の量が著しく少ないことが見出された。
有利には、本発明のプロセスの生成物であるエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルに対する選択性は、転化率が増大すると普通であれば低下することが予想されるが、実質的に低下しないことが示された。先行技術のプロセスにおいては、通常、選択性は転化率の増大に伴い低下する。その理由は、特定の理論に束縛されるものではないが、上述したように転化率が高くなると反応中に生成する望ましくない副生成物が増加するためである。ところが、本発明のプロセスにおいて生成する望ましくない副生成物の量は著しく少なく、したがって、驚くべきことに、本発明のプロセスは、転化率を向上させると同時に、生成物であるエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルの選択性を維持するかまたは向上させることが見出された。
さらに、本発明の主な副生成物は、メタクリル酸エステルのメタノール付加物(3−メトキシイソ酪酸メチル)またはメタクリル酸のメタノール付加物の塩基金属塩(3−メトキシイソ酪酸金属塩)である。これらは、塩基を触媒とする反応(in situで、または別個のプロセスで)によって容易に対応するメタクリル酸エステルに変換することができる。したがって、これらの副生成物は、不可逆な選択性の低下を招くものではなく、必然的に、本発明の反応全体における選択性を求める際に差し引いて考えることができる。
本発明のさらなる態様によれば、塩基性金属塩の存在下におけるホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と非環式カルボン酸エステルとの液相反応により製造される、エチレン性不飽和カルボン酸またはエステル、好適には、α,βエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルが提供される。
本発明のさらなる態様によれば、塩基性金属塩の存在下におけるホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と非環式カルボン酸エステルとの液相反応により製造される、メタクリル酸またはメタクリル酸メチルが提供される。
本発明のさらなる態様によれば、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と非環式カルボン酸エステルとの液相反応により、エチレン性不飽和カルボン酸またはエステル、好適にはα,βエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルを製造するための、塩基性金属塩の使用が提供される。好適には、本発明は、選択性、特にプロピオン酸メチル(MeP)からメタクリル酸メチル(MMA)への選択性および/もしくはホルムアルデヒドからメタクリル酸メチル(MMA)への選択性を向上し、ならびに/または製造温度を低下し、ならびに/または副生成物、特に、生成物であるエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルよりも沸点が高い副生成物を低減するための、前記反応における塩基性金属塩の使用を提供する。
エチレン性不飽和カルボン酸またはエステル、好適にはα,βエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルからの、未反応の非環式カルボン酸またはエステル反応体の分離および/または精製は、当該技術分野において知られている任意の好適な方法により行うことができる。
反応条件
好適には、反応は、約300℃未満、より好適には約280℃未満、最適には約240℃未満、特に約190℃未満、例えば、約80℃〜250℃、より好適には約100℃〜200℃、特に約120℃〜190℃の温度で実施することができる。有利には、本発明のプロセスは、気相反応で行うと述べられている先行技術において通常想定されているであろう温度よりも低い温度で実施することができる。プロピオン酸メチル(MeP)をホルムアルデヒドと反応させる工業的プロセスにおいて、プロピオン酸メチル(MeP)の脱プロトン化が高温で行われることを考えると、これは特に驚くべきことである。
好適には、本発明の反応は、約5〜2000psi、より好適には、約10〜1000psi、最適には、大気圧近傍すなわち14〜500psiの圧力で実施することができる。通常、反応圧力は、所与の温度で反応体が液相に維持されるように選択することができる。
本発明のプロセスは回分式プロセスであっても連続式プロセスであってもよい。好適には連続式プロセスが用いられる。
試薬は、反応器に独立に供給することも、予め混合してから供給することもできる。
ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源は、非環式カルボン酸エステルと溶解した塩基性金属塩とを一緒に含む反応媒体が装入された反応器に、好適な速度で添加することができる。通常、回分式プロセスにおいて、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源は、非環式カルボン酸エステルと溶解した塩基性金属塩とを一緒に含む反応媒体が装入された反応器に、前記ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と比較して非環式カルボン酸エステルをモル過剰に維持するのに適した速度で添加される。
本明細書において使用される「モル過剰」とは、特に断りのない限り、反応媒体中に存在するホルムアルデヒドまたはその好適な供給源および非環式カルボン酸エステルの総量を基準として、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源が、非環式カルボン酸エステルの量よりも少なくとも1mol%少ない量、好適には少なくとも5mol%少ない量、より好適には少なくとも10mol%少ない量で存在することを意味する。
例えば、回分式プロセスにおいて、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源は、非環式カルボン酸エステルに対し約1〜10mol%/分となる速度で反応器に添加することができる。
好適には、非環式カルボン酸エステルに対するホルムアルデヒドまたはその好適な供給源のモル比は、プロセス全体を通して約1:100〜1:2、より好適には約1:50〜1:5に維持される。
好適には、回分式反応において、反応媒体に添加される非環式カルボン酸エステルに対する塩基性金属塩のモル比は約5:1〜0.2:1であり、より好適には、モル比は約2:1〜0.4:1であり、最適には、モル比は約2:1〜0.5:1である。
好適には、非環式カルボン酸エステル、塩基性金属塩および任意的な溶媒から構成される反応媒体は、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源を添加する前に、反応が実施さ
れることになる温度付近まで加熱される。好適には、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源は、反応媒体と混合する前に、反応が実施されることになる温度付近まで加熱される。非環式カルボン酸エステル、塩基性金属塩および任意的な溶媒から構成される反応媒体を、反応が実施されることになる温度のプラスマイナス30℃の範囲内の温度に加熱することができることが当業者に理解されるであろう。
通常、連続式プロセスを行う間、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源は、非環式カルボン酸エステルと溶解した塩基性金属塩とを一緒に含む反応媒体が装入された反応器に、反応媒体中の前記ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源と比較して非環式カルボン酸エステルがモル過剰に維持される速度で添加される。連続式反応において、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源は、非環式カルボン酸エステルおよび溶解した塩基性金属塩を含む反応媒体に、さらなる非環式カルボン酸エステル反応体および/または塩基性金属塩と一緒に供給することができることが当業者に理解されるであろう。
誤解を避けるために述べるが、連続式反応について言及する場合に使用される「モル過剰」という語は、回分式反応に関し上に述べた意味と同義である。
好適には、連続式反応において、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源は、1.1:1〜1:1のモル比で非環式カルボン酸エステルと一緒に反応器に供給することができる。
好適には、連続式反応において、反応媒体中における塩基性金属塩対非環式カルボン酸エステルのモル比は、5:1〜0.2:1、より好適には約2:1〜0.4:1、最適には約2:1〜0.5:1に維持することができる。
有利には、回分式または連続式反応のどちらにおいても、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源を上に述べた形で反応器に添加すると、驚くべきことに、転化率が向上する。有利には、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源を上に述べた形で反応器に添加すると、驚くべきことに、ホルムアルデヒドの蓄積が制限され、したがって、望ましくない副生成物を生成する望ましくない副反応が低減される。
有利には、特定の理論に束縛されるものではないが、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源を、非環式カルボン酸エステルと溶解した塩基性金属塩および任意的な溶媒とを一緒に含む反応媒体に添加すると、塩基性金属塩が触媒となってホルムアルデヒドが分解するリスクを伴うことなく、ホルムアルデヒドを反応温度に加熱することが可能になる。
回分式反応において、塩基性金属塩の存在下における反応体の接触時間は、温度、圧力および塩基性金属塩の濃度に依存するが、通常、2分間〜12時間、より好適には5分間〜8時間、最適には10分間〜4時間である。
連続式反応における反応器内の平均滞留時間は、上に説明した回分式反応の接触時間に対応させることができる。
本発明のプロセスに使用される塩基性金属塩の量は必ずしも重要ではなく、採用するプロセスの実施可能性に応じて決定されるであろう。しかしながら、一般に、塩基の量は、最大の選択性および収率で実施されるように選択されるであろう。それでも尚、当業者は、最小量の塩基でも非環式カルボン酸エステルを十分に脱プロトン化して、許容される反応速度を達成するのに十分であるべきであることを理解するであろう。
本発明のプロセスに使用されるかまたは供給される試薬の相対量は幅広い範囲で変化させることができるが、一般に、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源の非環式カルボン酸エステルに対するモル比は、1:20〜2:1、より好適には1:10〜1.5:1
、最適には1:5〜1.2:1の範囲内にある。最適な比は、ホルムアルデヒドの形態と、塩基がホルムアルデヒド系の化学種からホルムアルデヒドを遊離させる能力とに依存するであろう。R31O−(CH−O−)32におけるR31およびR32の一方または両方がHである反応性が非常に高いホルムアルデヒド系物質には比較的低い比率が必要であり、その場合は、通常、ホルムアルデヒドまたはその好適な供給源の非環式カルボン酸エステルに対するモル比は1:9〜1:1の範囲にある。反応性が低いホルムアルデヒド系物質、例えば、R31およびR32がどちらもHではない、例えば、CHO−CH−OCHや、トリオキサンの場合、その比率をより高くすることが最適であり、通常、1:9〜20:1である。
本発明の任意の態様によるプロセスは、場合により1種以上のアルコールをさらに含むことができる。好適には、本発明の塩基性反応において使用される任意的なアルコールはメタノールである。メタノールの量は重要ではない。一般に、メタノールの使用量は(メタノールが反応溶媒としても選択される場合を除いて)、一部のホルムアルデヒド供給源中にメタノールが存在することが可能になるように、実施可能な限り低い量に抑えられるが、所望により、別の溶媒またはさらなる溶媒を使用することもできる。
反応中に存在するアルコールの非環式酸エステルに対するモル比は、通常、20:1〜1:20の範囲、好適には3:1〜1:10の範囲、最適には2:1〜1:5の範囲にある。
反応中にメタノールが存在する場合の、メタノールの非環式酸エステルに対するモル比は、通常、20:1〜1:20の範囲、好適には3:1〜1:10の範囲、最適には2:1〜1:5の範囲にある。
乾燥剤
上に述べたように、ホルムアルデヒド供給源に起因して、水も反応混合物中に存在する場合がある。ホルムアルデヒドの供給源に応じて、反応を行う前にそこから水の一部または全部を除去することが必要な場合がある。上に述べたように、ホルムアルデヒド供給源中よりも水の量を少なく維持することは、反応効率および/または後段の生成物の精製に有利な可能性がある。
したがって、本発明のプロセスは、場合により、1種以上の乾燥剤をさらに含むことができる。好適な乾燥剤としては、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、モレキュラーシーブ(各種細孔径)、酸化カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カリウム、オキサゾリジン、一般式RC(OR’)で表されるオルトエステル、酸化アルミニウム、シリカゲル、活性炭素、モンモリロナイトおよびこれらの混合物が挙げられる。
定義
本明細書において使用される「アルキル」という語は、特に断りのない限り、C〜C12アルキルを意味し、メチル基、エチル基、エテニル基、プロピル基、プロペニル基、ブチル基、ブテニル基、ペンチル基、ペンテニル基、ヘキシル基、ヘキセニル基およびヘプチル基が含まれ、好適には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基が含まれる。特に断りのない限り、アルキル基は、炭素原子数が十分であれば、直鎖または分岐であっても、環式、非環式または一部環式/一部非環式であってもよく、無置換であってもよいし、または、ハロ、シアノ、ニトロ、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−NR2324、−C(O)NR2526、−SR29、−C(O)SR30、−C(S)NR2728、無置換もしくは置換アリール、もしくは無置換もしくは置換Het(式中、R19〜R30は、この場合および本明細書全体において、それぞれ独立に、水素、ハロ、無置換もしくは置換アリールまたは無置換もしくは置換アルキルを表すか、あるいは、R21に関しては、ハロ、ニトロ、シアノおよびアミノを表す)から選択される1種以上の置換基で置換され
ているか、もしくはこれらを末端に有していてもよいし、および/または1個以上の(好適には4個未満の)酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、もしくはシラノ基もしくはジアルキルケイ素基もしくはこれらの混合物が挿入されていてもよい。好適には、アルキル基は無置換であり、好適には直鎖であり、好適には飽和である。
「アルケニル」という語は、その中の少なくとも1個の炭素炭素結合が不飽和であることのみが異なる上述の「アルキル」であり、したがって、この語はC〜C12アルケニル基に関する語であると理解すべきである。
「アルク」に類する語は、それに反する情報がなければ、上述の「アルキル」の定義に従い解釈される。
本明細書において使用される「アリール」という語には、フェニル、シクロペンタジエニルおよびインデニルアニオンならびにナフチル等の、5〜10員環、好適には5〜8員環の炭素環式芳香族基または擬似芳香族基が含まれ、これらの基は、無置換であってもよいし、または無置換もしくは置換アリール、アルキル(この基は、それ自身が本明細書に定義したように無置換であっても置換されていても末端基を有していてもよい)、Het(この基は、それ自身が本明細書に定義したように無置換であっても置換されていても末端基を有していてもよい)、ハロ、シアノ、ニトロ、OR19、OC(O)R20、C(O)R21、C(O)OR22、NR2324、C(O)NR2526、SR29、C(O)SR30もしくはC(S)NR2728(式中、R19〜R30は、それぞれ独立に、水素、無置換もしくは置換アリール、またはアルキル(このアルキル基は、それ自身が本明細書に定義したように無置換であっても置換されていても末端基を有していてもよい)を表すか、あるいは、R21に関しては、ハロ、ニトロ、シアノまたはアミノを表す)から選択される1種以上の置換基で置換されていてもよい。
本明細書において使用される「ハロ」という語は、クロロ基、ブロモ基、ヨード基またはフルオロ基、好適には、クロロまたはフルオロを意味する。
本明細書において使用される「Het」という語には、4〜12員環系、好適には4〜10員環系が含まれ、この環は、窒素、酸素、硫黄およびこれらの混合物から選択される1個以上のヘテロ原子を含み、この環はまた、二重結合を含まないかまたは1個以上の二重結合を含むか、または非芳香族性、部分芳香族性または全芳香族性を有していてもよい。この環系は、単環、二環または縮合環であってもよい。本明細書において規定する各「Het」基は、無置換であってもよいし、またはハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、アルキル(このアルキル基は、それ自身が本明細書に定義したように無置換であっても置換されていても末端基を有していてもよい)、−OR19、−OC(O)R20、−C(O)R21、−C(O)OR22、−N(R23)R24、−C(O)N(R25)R26、−SR29、−C(O)SR30もしくは−C(S)N(R27)R28(式中、R19〜R30は、それぞれ独立に、水素、無置換もしくは置換アリール、またはアルキル(このアルキル基は、それ自身が本明細書に定義したように無置換であっても置換されていても末端基を有していてもよい)を表すか、あるいはR21に関しては、ハロ、ニトロ、アミノまたはシアノを表す)から選択される1種以上の置換基で置換されていてもよい。したがって「Het」という語には、場合により置換されていてもよい、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリル、インドリル、フラニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリダジニル、モルホリニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニル、イソキノリニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピペラジニル等の基が含まれる。Hetの置換が起こるのは、Het環の炭素原子上であってもよいし、適切であれば、1個以上のヘテロ原子上であってもよい。
「Het」基はまた、Nオキシドの形態にあってもよい。
本明細書において使用される「塩基」または「塩基性」という語は、特に断りのない限り、水素(プロトン)と、または他の化学種の空軌道と共有結合を形成することができる少なくとも1対の利用可能な電子対を有する化学種または分子種を意味する。塩基はブレンステッド塩基であってもルイス塩基であってもよい。誤解を避けるために述べると、ブレンステッド塩基とは、酸または対応する分子種もしくは化学種から水素(プロトン)を受け取ることができる化学種または分子種(すなわち水素受容体)である。誤解を避けるために述べると、ルイス塩基とは、電子対を供与することができ、したがって、ルイス酸に配位し、それによってルイス付加体(Lewis adduct)を生成することができる化学種または分子種である。
本明細書において使用される「反応媒体」という語は、特に断りのない限り、反応の液相を意味する。
本明細書において使用される「均一」という語は、特に断りのない限り、反応体、塩基性金属塩、溶媒(存在する場合)等の成分が全て同じ相にあるプロセスを意味する。
本明細書において使用される「不均一」という語は、特に断りのない限り、反応体、塩基性金属塩、溶媒(存在する場合)等の成分の1種以上が残りの成分とは異なる相にあるプロセスを意味する。
本明細書において使用される「回分式プロセス」という語は、特に断りのない限り、反応条件下に生成物が得られるように、特定の量の反応体を反応させるプロセスを意味する。この反応は、一般に、反応体が使い果たされるまで継続される。
本明細書において使用される「連続式プロセス」という語は、特に断りのない限り、反応開始後のプロセスの最中に、反応体が反応器に供給され、生成物が反応器から抜き出されるプロセスを意味する。この反応は一般に、反応器の運転を停止するまで継続される。
ここで本発明の実施形態を以下に示す非限定的な実施例を参照しながら説明するが、これらは例示のみを目的とするものである。
実施例は全て、プロピオン酸メチルからのメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸の調製を示すものである。
実施例1
窒素を充填したグローブボックス内で、25mL容のParr社製Series 4590高圧オートクレーブ反応器に炭酸セシウム(1.96g、6mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(6mL)を装入した。オートクレーブを窒素で15barに加圧し、1.5barまでゆっくりと排気した後、密閉した。次いで混合物を撹拌しながら135℃で35分間加熱した。次いでプロピオン酸メチル(2.65g、30mmol)およびメチルアルコホルム(methyl alcoform)(3g、ホルムアルデヒド55mmol)を窒素加圧下にオートクレーブ内の混合物に注入した。注入により温度が117℃に低下した後、温度が急激に155℃まで上昇した。温度の急激な上昇の後、混合物を10分間かけて160℃まで加熱した。混合物を160℃で4時間維持し、その後、撹拌を停止し、混合物を25℃未満に冷却した。残圧をゆっくりと解放し、塩が全て溶解するまでメタノールで希釈してから混合物を排出した。
この溶液のサンプルをH NMRで分析したところ、相対的な比率がプロピオン酸メチル68.0%:プロピオン酸セシウム15.7%:メタクリル酸メチル13.5%:メタクリル酸セシウム2.8%であることが示された。混合物を高真空下に乾固させ、揮発性物質を液体窒素トラップに回収した。反応物の揮発性物質(reaction vol
atile)をGCで分析したところ、プロピオン酸メチルから生成物への転化率は15.8%であり、プロピオン酸メチルのメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸に対する選択性は99.83%であることが示された。
実施例2
窒素を充填したグローブボックス内で、25mL容のParr社製Series 4590高圧オートクレーブ反応器にメチル炭酸セシウム(2.5g、12mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(6mL)を装入した。オートクレーブを窒素で15barに加圧し、1.5barまでゆっくりと排気した後、密閉した。混合物を撹拌しながら135℃で35分間加熱した。次いでプロピオン酸メチル(2.65g、30mmol)およびメチルアルコホルム(3g、ホルムアルデヒド55mmol)を、窒素加圧下にオートクレーブ内の混合物に注入した。注入により温度が118℃に低下した後、温度が急激に152℃まで上昇した。急激な温度上昇の後、混合物を10分間かけて160℃まで加熱した。混合物を160℃で4時間維持した後、撹拌を停止し、混合物を25℃未満に冷却した。残圧を徐々に解放し、塩が全て溶解するまでメタノールで希釈してから混合物を排出した。
溶液のサンプルをH NMRにより分析したところ、相対的な比率が、プロピオン酸メチル69.8%:プロピオン酸セシウム9.4%:メタクリル酸メチル18.0%:メタクリル酸セシウム2.8%であることが示された。混合物を高真空下に乾固させ、揮発性物質を液体窒素トラップで回収した。反応物の揮発性物質をGCで分析したところ、プロピオン酸メチルから生成物への転化率は13.8%であり、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸に対する選択性は99.25%であることが示された。
実施例3
窒素を充填したグローブボックスにおいて、25mL容のParr社製Series 4590高圧オートクレーブ反応器にメチル炭酸セシウム(2.5g、12mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(6mL)を装入した。オートクレーブを窒素で15barに加圧し、1.5barまでゆっくりと排気した後、密閉した。次いで混合物を撹拌しながら135℃で35分間加熱した後、プロピオン酸メチル(2.65g、30mmol)およびメチルアルコホルム(0.165g、ホルムアルデヒド3mmol)を窒素加圧下にオートクレーブ内の混合物に注入した。注入により温度が125℃に低下した。次いで混合物を10分間かけて160℃に加熱し、この温度を2時間維持した後、撹拌を停止し、混合物を25℃未満に冷却した。残圧をゆっくりと解放し、塩が全て溶解するまでメタノールで希釈してから混合物を排出した。
溶液のサンプルをH NMRで分析したところ、相対的な比率が、プロピオン酸メチル78.0%:プロピオン酸セシウム16.0%:メタクリル酸メチル3.8%:メタクリル酸セシウム2.2%であることが示された。混合物を高真空下に乾固させ、揮発した物質を液体窒素トラップに回収した。反応物の揮発性物質をGCで分析したところ、プロピオン酸メチルから生成物への転化率は4.4%であり、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸に対する選択性は99.64%であることが示された。
実施例4
窒素を充填したグローブボックス内で、25mL容のParr社製Series 4590高圧オートクレーブ反応器にメチル炭酸カリウム(1.368g、12mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(6mL)を装入した。オートクレーブを窒素で15barに加圧し、1.5barまでゆっくりと排気した後、密閉した。混合物を撹拌しながら135℃で35分間加熱した。次いでプロピオン酸メチル(2.65g、30mmol)およびメチルアルコホルム(0.33g、ホルムアルデヒド6.0mmol)を窒素加圧下にオートクレーブ内の混合物に注入した。注入により温度が118℃に低下した後、温度が急激に138℃まで上昇した。急激な温度上昇の後、混合物を10分間かけて160℃まで加熱した。混合物を160℃で30分間維持した後、撹拌を停止し、混合物を
25℃未満に冷却した。残圧をゆっくりと解放し、塩が全て溶解するまでメタノールで希釈してから混合物を排出した。
溶液のサンプルをH NMRで分析したところ、相対的な比率が、プロピオン酸メチル84.3%:プロピオン酸カリウム10.3%:メタクリル酸メチル5.2%:メタクリル酸カリウム0.2%であることが示された。混合物を高真空下に乾固させ、揮発した物質を液体窒素トラップで回収した。反応物の揮発性物質をGCで分析したところ、プロピオン酸メチルの生成物への転化率は5.5%であり、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸に対する選択性は99.32%であることが示された。
実施例5
窒素を充填したグローブボックス内で、25mL容のParr社製Series 4590高圧オートクレーブ反応器にメチル炭酸セシウム(2.5g、12mmol)、プロピオン酸メチル(2.65g、30mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(6mL)を装入した。オートクレーブを窒素で15barに加圧し、1.5barまでゆっくりと排気した後、密閉した。混合物を撹拌しながら160℃で50分間加熱した。次いでメチルアルコホルム(1.65g、ホルムアルデヒド30mmol)を0.05mL/分で33分間かけて滴下した。混合物を密封し、160℃でさらに27分間加熱した後、撹拌を停止し、混合物を25℃未満に冷却した。残圧をゆっくりと解放し、塩が完全に溶解するまでメタノールで希釈してから混合物を排出した。
溶液のサンプルをH NMRで分析したところ、相対的な比率が、プロピオン酸メチル55.2%:プロピオン酸セシウム24.2%:メタクリル酸メチル9.6%:メタクリル酸セシウム14.0%であることが示された。混合物を高真空下に乾固させ、揮発した物質を液体窒素トラップで回収した。反応物の揮発性物質をGCで分析したところ、プロピオン酸メチルから生成物への転化率は23.9%であり、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸に対する選択性は99.46%であることが示された。
実施例6
窒素を充填したグローブボックス内で、25mL容のParr社製Series 4590高圧オートクレーブ反応器にメチル炭酸セシウム(2.5g、12mmol)、プロピオン酸メチル(2.65g、30mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(6mL)を装入した。オートクレーブを窒素で15barに加圧し、1.5barまでゆっくりと排気した後、密閉した。混合物を撹拌しながら160℃で50分間加熱した。次いでメチルアルコホルム(1.65g、ホルムアルデヒド30mmol)を0.05mL/分で33分間かけて滴下した。混合物を密封し、160℃でさらに27分間加熱した後、撹拌を停止し、混合物を25℃未満に冷却した。残圧をゆっくりと解放し、塩が完全に溶解するまでメタノールで希釈してから混合物を排出した。
溶液のサンプルをH NMRで分析したところ、プロピオン酸エステル(塩)およびメタクリル酸エステル(塩)の相対的な比率は、プロピオン酸メチル56.3%:プロピオン酸セシウム22.5%:メタクリル酸メチル10.7%:メタクリル酸セシウム10.5%であることが示された。混合物を高真空下に乾固させ、揮発した物質を液体窒素トラップで回収した。反応物の揮発性物質をGCで分析したところ、プロピオン酸メチルから生成物への転化率は24.3%であり、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸に対する選択性は99.13%であることが示された。
実施例7
窒素を充填したグローブボックス内で、25mL容のParr社製Series 4590高圧オートクレーブ反応器にメチル炭酸セシウム(2.5g、12mmol)、プロピオン酸メチル(2.65g、30mmol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(6mL)を装入した。オートクレーブを窒素で15barに加圧し、1.5barまでゆっくりと排気した後、密閉した。混合物を撹拌しながら160℃で50分間加熱した。次い
でメチルアルコホルム(1.65g、ホルムアルデヒド30mmol)を0.05mL/分で66分間かけて滴下した。混合物を密封して、撹拌を停止し、混合物を25℃未満に冷却した。残圧をゆっくりと解放し、塩が完全に溶解するまでメタノールで希釈してから混合物を排出した。
溶液のサンプルをH NMRで分析したところ、プロピオン酸エステル(塩)およびメタクリル酸エステル(塩)の相対的な比率が、プロピオン酸メチル49.0%:プロピオン酸セシウム27.0%:メタクリル酸メチル12.0%:メタクリル酸セシウム12.0%であることが示された。混合物を高真空下に乾固させ、揮発した物質を液体窒素トラップで回収した。反応物の揮発性物質をGCで分析したところ、プロピオン酸メチルから生成物への転化率は25.5%であり、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸に対する選択性は99.24%であることが示された。
Figure 0006925978
表1に実施例1〜7の転化率および選択性に関する結果をまとめた。選択性は本発明の反応の収率に無関係であることを示している。
実施例8〜21:一般手順
25mL容のParr社製Series 4590高圧オートクレーブ反応器に塩基金属塩(12mmol)、溶媒(6mL)およびプロピオン酸メチル(2.65g、30mmol)を装入し、次いで窒素で15barに加圧し、1.5barまでゆっくりと排気した後、密閉した。混合物を撹拌しながら反応温度で50分間加熱した。メチルアルコホルム(ホルムアルデヒド55重量%、メタノール45重量%)を、所望の量が添加されるまでGilson社製ポンプを用いて0.05mL/分で滴下した。混合物を反応温度で全反応時間が完了するまで撹拌した後、撹拌を停止し、混合物を室温に冷却した。残圧をゆっくりと解放し、塩が完全に溶解するまでメタノールで希釈してから混合物を排出した。
溶液のサンプルをH NMRで分析し、プロピオン酸エステル(塩)およびメタクリル酸エステル(塩)の相対的比率をプロピオン酸メチル、プロピオン酸アニオン、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸アニオンとして示した。混合物を高真空下に乾固させ、揮発した物質を液体窒素トラップで回収した。Restek Rtx −1701カラム(60メートル、内径0.32mm、膜厚1ミクロン)を取り付けたAgilent 6890N GCを使用し、反応物の揮発性物質をGC分析した。
実施例8〜21:結果
上の一般手順の項に記載したように実施した分析によるデータを表2に示す。
表に使用した略称を次に示す:
CsMC=メチル炭酸セシウム
KMC=メチル炭酸カリウム
CsP=プロピオン酸セシウム
CsMA=メタクリル酸セシウム
DMAc=ジメチルアセトアミド
NMP=1−メチル−2−ピロリジノン
MIB=イソ酪酸メチル
DMAcr=ジメチルアクリルアミド
MeP=プロピオン酸メチル
MMA=メタクリル酸メチル
HCHO=ホルムアルデヒド
ここに示すプロピオン酸メチルからプロピオン酸メチルへの転化率の範囲に亘って、高い選択性が維持されている(実施例24に示すように穏和な処理によってMMAおよびメタノールに変換することができる3−メトキシイソ酪酸メチルを除外)。
Figure 0006925978
実施例22
1L容のハステロイ製オートクレーブにプロピオン酸メチル(160ml)、乾燥メチルアルコホルム(水0.1重量%)(140ml、ホルムアルデヒド55重量%)およびフッ化セシウム(145.5g)を加えた。次いでオートクレーブを密閉し、次いで160℃で2時間加熱した。オートクレーブを室温まで放冷し、内容物を排出した。排出した溶液を真空下で加熱し、反応物の揮発性物質を液体窒素で凝縮させた。揮発性物質を自然解凍し、GCで分析した。GC分析により、MePの転化率は17.7%であり、反応の選択性は99.7%であることが示された。
実施例23
1L容のハステロイ製オートクレーブにプロピオン酸メチル(160ml)、乾燥メチルアルコホルム(水0.1重量%)(140ml、ホルムアルデヒド55重量%)、メタノール(100ml)およびフッ化セシウム(156.6g)を加えた。次いでオートクレーブを密閉し、次いで160℃で2時間加熱した。オートクレーブを室温まで放冷し、内容物を排出した。排出した溶液を真空下で加熱し、反応物の揮発性物質を液体窒素で凝縮させた。揮発性物質を自然解凍し、GCで分析した。GC分析により、MePの転化率は8.0%であり、反応の選択性は96.6%であることが示された。
実施例24:3−メトキシイソ酪酸メチルのMMAへの転化
窒素中、100mL容のシュレンクフラスコに、ナトリウムメトキシド(NaOMe;0.61g、11mmol)を加え、これをメタノール(16.16g、517mmol)で溶解した。別の250ml容のシュレンクフラスコに、窒素中、3−メトキシイソ酪酸メチル(66.78g、505mmol)を加え、これを95℃に加熱した。温度が安定したら、窒素中、NaOMeおよびメタノールの溶液をカニューレを使用して3−メトキシイソ酪酸メチルに加えた。生成した溶液のサンプルを10分間、2分毎に採取し、次の1時間は15分毎に採取した。サンプルをシリカゲルに通じることによりNaOMe(存在する場合)を除去した。次いでサンプルをGCで分析した。1時間後、3−メトキシイソ酪酸メチルからMMAへの転化率は37.27%となった。
比較例25
国際公開第03026795号パンフレットの実施例3Bに従い調製された、0.93重量% Zr、6.35重量% Csの組成を有するシリカゲル触媒の触媒性能について次に記載する条件下で試験を行った。
触媒ビーズ(直径2〜4mm、3g)を装入した大気圧のマイクロリアクター内で触媒サンプルの触媒性能を決定した。乾燥させた触媒を窒素中で350℃に加熱した後、プロピオン酸メチル68.3重量%、メタノール19.5重量%、水6.8重量%およびホルムアルデヒド5.4重量%の混合物を、滞留時間を約16秒間として一夜供給した。次いで反応を、プロピオン酸メチル74.0重量%、メタノール19.9重量%、水0.5重量%およびホルムアルデヒド5.6重量%の混合物に切り替え、接触時間が2.9秒間から16.5秒間まで段階的に変化するような速度で供給した。各流速において供給原料の流れが安定したら、反応器からの気体を室温に冷却することにより凝縮させ、空気の侵入および水の凝縮を防ぐためにカニューレを使用してバイアルのプラスチック製の蓋を介してガラスバイアルに回収した。
各サンプルの回収完了直後にサンプルを密閉したバイアルに移し、組成を決定するために、DB1701カラムおよび水素炎イオン化検出器を取り付けたShimadzu GCを使用してガスクロマトグラフィーにより分析した。各分析毎に得られたクロマトグラフをShimadzu社製GCsolutionソフトウェアで処理することにより、個々の成分のピーク面積を取得した。サンプル中の検出可能な物質について、個々の成分のFID応答係数を適用してピーク面積をまず最初に重量に変換し、次いでmolに変換した。
主要な生成物はメタクリル酸メチルであり、これは反応の選択性を求めるためのメタクリル酸以外の所望の生成物である。生成したメタクリル酸メチル成分およびメタクリル酸成分のモル量の総和を、生成物に変換されたプロピオン酸エステルのモル量に対する百分率として求め、所望の生成物に対する選択性とした。プロピオン酸メチルの一部はプロピオン酸に変換された。この副生成物は、エステル化により変換することによって出発物質であるプロピオン酸メチルに容易に戻すことができるため、計算から除外した。同定された他の生成物は全て、出発物質からの変換が不可逆であり、したがって、再利用することができない。
主要な副生成物の同定はGCMSにより行った。プロピオン酸以外の生成物に変換されたプロピオン酸メチルを基準とするこれらの副生成物に対する選択性を次の表3に示す。
Figure 0006925978
このように、収率が、供給されたプロピオン酸メチルを基準として11.7%から17.8%に増加するに従い、メタクリル酸メチルに加えてメタクリル酸のプロピオン酸メチルへの転化に対する選択性は94%から84%に低下した。主な副生成物はいずれも単純な化学的処理ではメタクリル酸メチルに変換して戻すことができないものである。
本明細書と同時にまたは先に提出され、本明細書と共に公衆の閲覧に付された、本出願に関連するあらゆる論文および文書に注目されたい。このような論文および文書の内容を全て参照により本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示したあらゆる特徴、および/またはこのように開示された任意の方法もしくはプロセスのあらゆるステップは、このような特徴および/またはステップの少なくとも一部が互いに排他的な組合せでない限り、任意の組合せで組み合わせることができる。
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示した各特徴は、別段の定めが明記されていない限り、同一、均等、または類似の目的を果たす代替的な特徴に置き換えることができる。したがって、別段の定めが明記されていない限り、ここに開示された各特徴は、包括的な一連の均等または類似の特徴の一例に過ぎない。
本発明は上述の実施形態の詳細に制限されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な1つもしくは任意の新規な組合せ、またはこのように開示された任意の方法もしくはプロセスのステップの任意の新規な1つもしくは任意の新規な組合せに拡張される。

Claims (20)

  1. α,βエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルの製造方法において、塩基性金属塩の存在下にてホルムアルデヒドまたはその供給源と、式R−CH−COOR(式中、Rはアルキル基であり、Rはメチルである)で表される非環式カルボン酸エステルとを液相反応させる工程からなり、前記塩基性金属塩は、第I族金属または第II族金属の塩である、方法。
  2. はC〜Cアルキル基である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記塩基性金属塩は、第I族金属または第II族金属の、酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、メチル炭酸塩、アルコキシド(メトキシド、t−ブトキシド等)、フッ化物およびリン酸塩から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記塩基性金属塩は、酸化カリウム、酸化セシウム、酸化ナトリウム、酸化ルビジウム、酸化バリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、水酸化バリウム、リン酸カリウム、リン酸セシウム、リン酸ナトリウム、リン酸ルビジウム、リン酸バリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ルビジウムメトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、ルビジウムt−ブトキシド、セシウムt−ブトキシド、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸ルビジウム、炭酸バリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素バリウム、メチル炭酸カリウム、メチル炭酸ナトリウム、メチル炭酸セシウム、メチル炭酸ルビジウムまたはメチル炭酸バリウムから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記反応は300℃未満の温度で実施される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記反応は5〜2000psiの圧力で実施される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ホルムアルデヒドの供給源は、ホルマリン(ホルムアルデヒド、メタノール、水)、低分子量ポリホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒド)、気体状ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドヘミアセタール(アルコホルム)、トリオキサンまたは無水ホルムアルデヒドから選択することができる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記プロセスは回分式または連続式プロセスである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記反応媒体中において、前記非環式カルボン酸エステルは、前記ホルムアルデヒドまたはその供給源と比較してモル過剰に維持される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記ホルムアルデヒドまたはその供給源は、前記非環式カルボン酸エステルに対し1〜10mol%/分の速度で反応器に添加される、請求項9に記載の方法。
  11. ホルムアルデヒドまたはその供給源の前記非環式カルボン酸エステルに対するモル比は、前記反応が行われる間、1:100〜1:2に維持される、請求項9または10に記載の方法。
  12. ホルムアルデヒドまたはその供給源の前記非環式カルボン酸エステルに対するモル比は、前記反応が行われる間、1:50〜1:5に維持される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記ホルムアルデヒドまたはその供給源は、前記非環式カルボン酸エステルと一緒に、1.1:1〜1:1のモル比で反応器に供給される、請求項9に記載の方法。
  14. 前記プロセスは1種または2種以上の溶媒をさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記溶媒は完全に非プロトン性である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記溶媒は、非プロトン性親プロトン性溶媒または非プロトン性疎プロトン性溶媒である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記溶媒は、非プロトン性親プロトン性溶媒である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMEUまたはDMI)、3−メチル−2−オキサゾリジノン、炭酸プロピレン、ジエチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、アセトン、2−ブタノン、3−ペンタノン、アセトフェノン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、テトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシド(スルホラン)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、炭酸ジメチル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム、ベンゼン、シクロヘキサン、キシレンまたはトルエンから選択される、請求項16に記載の方法。
  19. ホルムアルデヒドまたはその供給源を、式R−CH−COOR(式中、Rはアルキル基であり、Rはメチルである)で表される非環式カルボン酸エステルと液相反応させることによりα,βエチレン性不飽和カルボン酸またはエステルを製造するための、第I族金属または第II族金属の塩である塩基性金属塩の使用方法。
  20. はC〜Cアルキル基である、請求項19に記載の方法。
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