以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。
<1.変速機の概略>
本実施形態に係る変速機1の概略について説明する。
(構成)
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る変速機1の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る変速機1の概略構成の一例を示すスケルトン図である。図2は、本実施形態に係る変速機1の概略構成の一例を示す断面図である。
変速機1は、動力を伝達する複数の回転要素と、当該回転要素と他の要素との連結状態を切り替え可能な複数の連結機構とを備え、入力される動力を当該複数の連結機構の連結状態に応じた変速段で変速して出力する変速機である。例えば、変速機1は、車両に搭載され、エンジン3から出力される動力を車両の駆動輪へ伝達する動力伝達系に適用される。具体的には、変速機1は、図1に示されるように、トルクコンバータ2を介してエンジン3と接続され、エンジン3から出力される動力がトルクコンバータ2を介して変速機1の入力軸111へ伝達される。
トルクコンバータ2は、例えば、エンジン3のクランクシャフト31にフロントカバー23を介して連結されるポンプインペラ22と、ポンプインペラ22に対向するとともに入力軸111に連結されるタービンライナ21とを備える。トルクコンバータ2内には作動油が供給されており、作動油を介して、ポンプインペラ22からタービンライナ21にエンジン3から出力される動力が伝達される。また、トルクコンバータ2内には、エンジン3のクランクシャフト31と入力軸111とを直結するロックアップクラッチ24が設けられている。
ロックアップクラッチ24が開放されている状態(換言すると、トルクコンバータ2のロックアップが解除されている状態)では、エンジン3から出力される動力は作動油を介して変速機1側へ伝達される。それにより、エンジン3の回転変動に起因する捩り振動が変速機1へ直接的に伝達されることが抑制される。一方、ロックアップクラッチ24が締結されている状態(換言すると、トルクコンバータ2がロックアップされている状態)では、エンジン3から出力される動力が直接的に変速機1側へ伝達される。それにより、エンジン3の回転変動に起因する捩り振動が変速機1へ直接的に伝達される。
変速機1は、例えば、図1に示されるように、入力軸111と、出力軸112と、フロントプラネタリギヤPG1と、ミッドプラネタリギヤPG2と、リヤプラネタリギヤPG3と、リバースブレーキB1と、フロントブレーキB2と、フォワードブレーキB3と、インプットクラッチC1と、ハイ&ローリバースクラッチC2と、ダイレクトクラッチC3と、第1ワンウェイクラッチF1と、第2ワンウェイクラッチF2とを備える。
入力軸111は、動力が入力される軸である。例えば、入力軸111には、上述したように、エンジン3から出力される動力が入力される。
出力軸112は、伝達される動力を出力する軸である。例えば、出力軸112は、変速機1を主変速機とした場合における副変速機及びディファレンシャル装置を介して駆動輪と接続される。この場合、出力軸112から出力される動力は、副変速機により変速された後、ディファレンシャル装置を介して駆動輪へ伝達される。
フロントプラネタリギヤPG1、ミッドプラネタリギヤPG2及びリヤプラネタリギヤPG3は、ケース120内に設けられ、動力を伝達する回転要素としてサンギヤ、キャリア及びリングギヤを備える遊星歯車機構である。ケース120内において、3つの遊星歯車機構は、フロントプラネタリギヤPG1、ミッドプラネタリギヤPG2及びリヤプラネタリギヤPG3の順に同心に配置される。
各遊星歯車機構は、具体的には、シングルピニオン式の遊星歯車機構である。各遊星歯車機構のサンギヤ、キャリア及びリングギヤの回転数は、共線図上において直線上に並ぶ関係にある。キャリアが固定されている場合におけるリングギヤの回転数のサンギヤの回転数に対する比を遊星歯車機構のギヤ比とした場合、遊星歯車機構のギヤ比はサンギヤの歯数をリングギヤの歯数で除して得られる値となる。各遊星歯車機構において、リングギヤの歯数及びサンギヤの歯数を適宜設定することによって、各遊星歯車機構のギヤ比を所望のギヤ比に設定することができる。それにより、変速機1における各変速段についての変速比を所望の値に設定することができる。
フロントプラネタリギヤPG1は、フロントサンギヤS1と、フロントサンギヤS1に対して外周側に同心に配置されるフロントリングギヤR1と、フロントサンギヤS1及びフロントリングギヤR1と噛み合う複数のピニオンギヤを自転及び公転自在に支持するフロントキャリアCA1とを備える。
ミッドプラネタリギヤPG2は、ミッドサンギヤS2と、ミッドサンギヤS2に対して外周側に同心に配置されるミッドリングギヤR2と、ミッドサンギヤS2及びミッドリングギヤR2と噛み合う複数のピニオンギヤを自転及び公転自在に支持するミッドキャリアCA2とを備える。
リヤプラネタリギヤPG3は、リヤサンギヤS3と、リヤサンギヤS3に対して外周側に同心に配置されるリヤリングギヤR3と、リヤサンギヤS3及びリヤリングギヤR3と噛み合う複数のピニオンギヤを自転及び公転自在に支持するリヤキャリアCA3とを備える。
変速機1において、遊星歯車機構の回転要素のうちの一部の回転要素は、他の要素と連結されている。なお、当該他の要素は、遊星歯車機構の回転要素の他に、入力軸111及び出力軸112を含み得る。
フロントキャリアCA1は、リヤリングギヤR3と連結されている。ゆえに、フロントキャリアCA1及びリヤリングギヤR3の回転数は一致する。
フロントリングギヤR1は、入力軸111と連結されている。ゆえに、フロントリングギヤR1及び入力軸111の回転数は一致する。
ミッドキャリアCA2は、出力軸112と連結されている。ゆえに、ミッドキャリアCA2及び出力軸112の回転数は一致する。
ミッドリングギヤR2は、リヤキャリアCA3と連結されている。ゆえに、ミッドリングギヤR2及びリヤキャリアCA3の回転数は一致する。
リバースブレーキB1、フロントブレーキB2、フォワードブレーキB3、インプットクラッチC1、ハイ&ローリバースクラッチC2、ダイレクトクラッチC3、第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイクラッチF2は、遊星歯車機構の回転要素と他の要素との連結状態を切り替え可能な連結機構である。
各ブレーキは、遊星歯車機構の回転要素とケース120との連結状態を切り替え可能である。ブレーキとしては、例えば、互いに押圧されることにより係合される複数の摩擦プレートを含む湿式多板ブレーキが用いられる。この場合、ブレーキは、具体的には、複数の摩擦プレートと、当該複数の摩擦プレートが固定されるブレーキドラム及びブレーキハブとを含んで構成され得る。ブレーキへ供給される油圧が制御されることによって、各ブレーキは締結され、又は開放される。ブレーキが締結されることによって、遊星歯車機構の回転要素とケース120とが連結された状態となり、遊星歯車機構の回転要素がケース120に対して固定される。具体的には、ブレーキにおける複数の摩擦プレートが互いに押圧されて係合されることによって、当該ブレーキが締結される。一方、ブレーキが開放されることによって、遊星歯車機構の回転要素とケース120との連結が解除された状態となり、遊星歯車機構の回転要素のケース120に対する固定が解除される。
リバースブレーキB1は、リヤキャリアCA3とケース120との連結状態を切り替え可能である。リバースブレーキB1が締結されることによって、リヤキャリアCA3がケース120に対して固定される。一方、リバースブレーキB1が開放されることによって、リヤキャリアCA3のケース120に対する固定が解除される。
フロントブレーキB2は、フロントサンギヤS1とケース120との連結状態を切り替え可能である。フロントブレーキB2が締結されることによって、フロントサンギヤS1がケース120に対して固定される。一方、フロントブレーキB2が開放されることによって、フロントサンギヤS1のケース120に対する固定が解除される。
また、フロントサンギヤS1とケース120との間には、フロントブレーキB2に並列に第2ワンウェイクラッチF2が設けられる。第2ワンウェイクラッチF2は、一方向にのみ動力を伝達可能である。第2ワンウェイクラッチF2が作動する場合、フロントサンギヤS1がケース120に対して固定される。一方、第2ワンウェイクラッチF2が非作動である場合、フロントサンギヤS1のケース120に対する固定が解除される。
フォワードブレーキB3は、ミッドサンギヤS2とケース120との連結状態を切り替え可能である。フォワードブレーキB3が締結されることによって、ミッドサンギヤS2がケース120に対して固定される。一方、フォワードブレーキB3が開放されることによって、ミッドサンギヤS2のケース120に対する固定が解除される。
各クラッチは、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との連結状態を切り替え可能である。なお、当該他の回転要素は、遊星歯車機構の回転要素の他に、入力軸111を含み得る。クラッチとしては、例えば、互いに押圧されることにより係合される複数の摩擦プレートを含む湿式多板クラッチが用いられる。この場合、クラッチは、具体的には、複数の摩擦プレートと、当該複数の摩擦プレートが固定されるクラッチドラム及びクラッチハブとを含んで構成され得る。クラッチへ供給される油圧が制御されることによって、各クラッチは締結され、又は開放される。クラッチが締結されることによって、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素とが連結された状態となり、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との間で回転数が一致する。具体的には、クラッチにおける複数の摩擦プレートが互いに押圧されて係合されることによって、当該クラッチが締結される。一方、クラッチが開放されることによって、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との連結が解除された状態となり、遊星歯車機構の回転要素と他の回転要素との間での動力の伝達が遮断される。
インプットクラッチC1は、フロントリングギヤR1及び入力軸111とミッドリングギヤR2との連結状態を切り替え可能である。インプットクラッチC1が締結されることによって、フロントリングギヤR1及び入力軸111とミッドリングギヤR2との間で回転数が一致する。一方、インプットクラッチC1が開放されることによって、フロントリングギヤR1及び入力軸111とミッドリングギヤR2との間での動力の伝達が遮断される。
ハイ&ローリバースクラッチC2は、ミッドサンギヤS2とリヤサンギヤS3との連結状態を切り替え可能である。ハイ&ローリバースクラッチC2が締結されることによって、ミッドサンギヤS2とリヤサンギヤS3との間で回転数が一致する。一方、ハイ&ローリバースクラッチC2が開放されることによって、ミッドサンギヤS2とリヤサンギヤS3との間での動力の伝達が遮断される。
また、ミッドサンギヤS2とリヤサンギヤS3との間には、ハイ&ローリバースクラッチC2に並列に第1ワンウェイクラッチF1が設けられる。第1ワンウェイクラッチF1は、一方向にのみ動力を伝達可能である。第1ワンウェイクラッチF1が作動する場合、ミッドサンギヤS2とリヤサンギヤS3との間で回転数が一致する。一方、第1ワンウェイクラッチF1が非作動である場合、ミッドサンギヤS2とリヤサンギヤS3との間での動力の伝達が遮断される。
ダイレクトクラッチC3は、リヤサンギヤS3とリヤキャリアCA3との連結状態を切り替え可能である。ダイレクトクラッチC3が締結されることによって、リヤサンギヤS3とリヤキャリアCA3との間で回転数が一致する。一方、ダイレクトクラッチC3が開放されることによって、リヤサンギヤS3とリヤキャリアCA3との間での動力の伝達が遮断される。
以下、図2を参照して、変速機1における各構成要素のより具体的な配置について説明する。なお、以下では、各遊星歯車機構の軸方向を単に軸方向とも称し、各遊星歯車機構の径方向を単に径方向とも称する。また、軸方向について、出力軸112に対して入力軸111が設けられる側を入力側とも称し、入力軸111に対して出力軸112が設けられる側を出力側とも称する。
入力軸111は、フロントサンギヤS1の内周側に挿通され、フロントプラネタリギヤPG1とミッドプラネタリギヤPG2との間において、径方向外側に延在してフロントリングギヤR1と接続される。
ミッドリングギヤR2に対して外周側には筒体部132が配置され、筒体部132は入力軸111と接続される。筒体部132とミッドリングギヤR2との間には、筒体部132の内周部をクラッチドラムとしミッドリングギヤR2の外周部をクラッチハブとして複数の摩擦プレートが設けられる。当該複数の摩擦プレートを含んでインプットクラッチC1が構成される。インプットクラッチC1を駆動するピストン部152は、ミッドプラネタリギヤPG2に対して入力側に並設される。
フロントプラネタリギヤPG1に対して入力側には筒体部131が配置され、筒体部131はフロントサンギヤS1と接続される。ケース120には、筒体部131に対して外周側に配置される筒体部137が形成される。筒体部137と筒体部131との間には、筒体部137の内周部をブレーキドラムとし筒体部131の外周部をブレーキハブとして複数の摩擦プレートが設けられる。当該複数の摩擦プレートを含んでフロントブレーキB2が構成される。フロントブレーキB2を駆動するピストン部151は、フロントブレーキB2に対して入力側に並設される。
また、ケース120には、フロントサンギヤS1に対して内周側に配置される筒体部138が形成される。第2ワンウェイクラッチF2は、フロントサンギヤS1と筒体部138との間に設けられる。
フロントキャリアCA1の入力側は、フロントリングギヤR1及び筒体部132の外周側を経由してリヤリングギヤR3と接続される。
ミッドリングギヤR2の出力側は、リヤキャリアCA3の入力側と接続される。
ミッドキャリアCA2の入力側は、フロントプラネタリギヤPG1とミッドプラネタリギヤPG2との間を経由して出力軸112と接続される。
ミッドサンギヤS2は、出力軸112に対して外周側に配置されリヤサンギヤS3の内周側に挿通される中空軸113の端部と接続される。
第1ワンウェイクラッチF1は、リヤサンギヤS3と中空軸113との間に設けられる。
リヤプラネタリギヤPG3より出力側において中空軸113に対して外周側には筒体部135が配置され、筒体部135は中空軸113と接続される。また、筒体部135に対して外周側には筒体部134が配置され、筒体部134はリヤサンギヤS3の出力側と接続される。筒体部134と筒体部135との間には、筒体部134の内周部をクラッチドラムとし筒体部135の外周部をクラッチハブとして複数の摩擦プレートが設けられる。当該複数の摩擦プレートを含んでハイ&ローリバースクラッチC2が構成される。ハイ&ローリバースクラッチC2を駆動するピストン部154は、筒体部135に対して出力側に並設される。
筒体部134に対して外周側には筒体部190が配置され、筒体部190はリヤキャリアCA3の出力側と接続される。具体的には、リヤキャリアCA3の出力側には径方向に延在する延在部170が設けられ、延在部170の外周部と筒体部190の入力側の端部とが接続される。筒体部190は、筒体部134の外周側から出力側へ向けて延在する。筒体部190における入力側の部分と筒体部134との間には、筒体部190の内周部をクラッチドラムとし筒体部134の外周部をクラッチハブとして複数の摩擦プレートが設けられる。当該複数の摩擦プレートを含んでダイレクトクラッチC3が構成される。ダイレクトクラッチC3を駆動するピストン部153は、ピストン部154に対して出力側に並設される。
本実施形態に係る変速機1では、動力伝達系の大型化を抑制しつつ捩り振動を減衰させるために、複数の連結機構のうちの少なくとも1つは、遊星歯車機構の回転要素と弾性部材を介して回転要素の回転方向に接続される。例えば、変速機1において、ダイレクトクラッチC3がリヤキャリアCA3とバネを介してリヤキャリアCA3の回転方向に接続される。具体的には、リヤキャリアCA3の延在部170と筒体部190の入力側の端部とがバネを介して接続される。リヤキャリアCA3の延在部170とダイレクトクラッチC3のクラッチドラムとしての筒体部190との接続部D1については、後述にて詳細に説明する。
ケース120と筒体部190における出力側の部分との間には、ケース120の内周部をブレーキドラムとし筒体部190の外周部をブレーキハブとして複数の摩擦プレートが設けられる。当該複数の摩擦プレートを含んでリバースブレーキB1が構成される。リバースブレーキB1を駆動するピストン部155は、ピストン部153に対して出力側に並設される。
ピストン部155より出力側において中空軸113に対して外周側には筒体部136が配置され、筒体部136は中空軸113と接続される。ケース120と筒体部136との間には、ケース120の内周部をブレーキドラムとし筒体部136の外周部をブレーキハブとして複数の摩擦プレートが設けられる。当該複数の摩擦プレートを含んでフォワードブレーキB3が構成される。フォワードブレーキB3を駆動するピストン部156は、筒体部136に対して出力側に並設される。
(動作)
次に、図3を参照して、本実施形態に係る変速機1の動作について説明する。図3は、本実施形態に係る変速機1における各変速段についての各連結機構の締結状態を示す説明図である。
変速機1では、各連結機構の締結状態が切り替えられることによって、変速段が切り替えられる。それにより、変速機1の変速比が変速段に応じた変速比へ切り替えられる。各連結機構の締結状態は、例えば、車両に搭載される制御装置によって車両の走行状態に応じて制御される。
図3において、○印は対応するクラッチ又はブレーキが締結されることを示し、◎印は変速機1が動力を伝達する駆動時にのみ対応するワンウェイクラッチがトルク伝達に関与することを示し、◇印はコースト走行時にのみ対応するワンウェイクラッチがトルク伝達に関与することを示し、△印はコースト走行時にのみ対応するクラッチ又はブレーキがトルク伝達に関与することを示している。
前進第1速段(1st)では、フォワードブレーキB3が締結され、第1ワンウェイクラッチF1が作動する。それにより、ミッドサンギヤS2及びリヤサンギヤS3がケース120に対して固定される。また、第2ワンウェイクラッチF2が作動することにより、フロントサンギヤS1がケース120に対して固定される。ゆえに、入力軸111へ入力された動力は、フロントリングギヤR1、フロントキャリアCA1、リヤリングギヤR3、リヤキャリアCA3、ミッドリングギヤR2及びミッドキャリアCA2を順に伝達され、出力軸112へ出力される。
前進第2速段(2nd)では、前進第1速段(1st)に対して、ダイレクトクラッチC3が締結され、第1ワンウェイクラッチF1が非作動になる。それにより、リヤサンギヤS3がリヤキャリアCA3と一体的に回転する。ゆえに、入力軸111へ入力された動力は、前進第1速段(1st)と比較して増速されて出力軸112へ出力される。
前進第3速段(3rd)では、前進第2速段(2nd)に対して、フォワードブレーキB3が開放され、ハイ&ローリバースクラッチC2が締結される。それにより、ミッドサンギヤS2がリヤサンギヤS3と一体的に回転する。ゆえに、入力軸111へ入力された動力は、前進第2速段(2nd)と比較して増速されて出力軸112へ出力される。
前進第4速段(4th)では、前進第3速段(3rd)に対して、インプットクラッチC1が締結され、第2ワンウェイクラッチF2が非作動になる。それにより、ミッドリングギヤR2及びミッドサンギヤS2の回転数が入力軸111の回転数と一致する。ゆえに、入力軸111及び出力軸112の回転数が一致し、変速比が1.0となる。
前進第5速段(5th)では、前進第4速段(4th)に対して、ダイレクトクラッチC3が開放され、フロントブレーキB2が締結される。それにより、リヤサンギヤS3とリヤキャリアCA3との間での動力の伝達が遮断され、フロントサンギヤS1がケース120に対して固定される。ゆえに、入力軸111へ入力された動力は、前進第4速段(4th)と比較して増速されて出力軸112へ出力される。
後進段(Rev)では、リバースブレーキB1が締結される。それにより、リヤキャリアCA3がケース120に対して固定される。また、第1ワンウェイクラッチF1が作動することにより、ミッドサンギヤS2及びリヤサンギヤS3が一体的に回転する。また、第2ワンウェイクラッチF2が作動することにより、フロントサンギヤS1がケース120に対して固定される。ゆえに、入力軸111へ入力された動力は、回転方向が逆転されて、出力軸112へ出力される。
このように、変速機1は、前進5段及び後進1段を実現可能である。
<2.リヤキャリアとダイレクトクラッチとの接続>
続いて、本実施形態に係る変速機1におけるリヤキャリアCA3とダイレクトクラッチC3との接続について説明する。具体的には、リヤキャリアCA3の延在部170とダイレクトクラッチC3のクラッチドラムとしての筒体部190との接続部D1について説明する。
(構成)
まず、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る延在部170と筒体部190との接続部D1の構成について説明する。図4は、本実施形態に係る延在部170と筒体部190との接続部D1の概略構成の一例を示す断面図である。具体的には、図4は、延在部170及び筒体部190を通り軸方向に直交する図2に示されるA−A断面についての断面図である。図5は、本実施形態に係る延在部170と筒体部190との接続部D1の概略構成の一例を示す側面図である。具体的には、図5は、接続部D1を径方向外側から見た図である。
変速機1では、例えば、上述したように、ダイレクトクラッチC3は、リヤキャリアCA3とバネ180を介してリヤキャリアCA3の回転方向に接続される。具体的には、ダイレクトクラッチC3のクラッチハブとしての筒体部190が、リヤキャリアCA3の延在部170とバネ180を介してリヤキャリアCA3の回転方向に接続される。それにより、リヤキャリアCA3とダイレクトクラッチC3とのバネ180を介した接続が実現される。
なお、バネ180は、本発明に係る弾性部材の一例に相当する。また、リヤキャリアCA3は、弾性部材を介して回転要素の回転方向に互いに接続される回転要素及び連結機構のうちの回転要素の一例に相当する。また、ダイレクトクラッチC3は、弾性部材を介して回転要素の回転方向に互いに接続される回転要素及び連結機構のうちの連結機構の一例に相当する。また、延在部170は、弾性部材を介して互いに接続される回転要素側の部材及び連結機構側の部材のうちの回転要素側の部材の一例に相当する。また、筒体部190は、弾性部材を介して互いに接続される回転要素側の部材及び連結機構側の部材のうちの連結機構側の部材の一例に相当する。
以下、延在部170と筒体部190との接続部D1の構成についてより具体的に説明する。
例えば、バネ180を介して接続されるリヤキャリアCA3の延在部170及び筒体部190の一方には、径方向に突出する突出部が周方向に沿って複数設けられる。
具体的には、図4及び図5に示されるように、リヤキャリアCA3の延在部170の外周部に、径方向外側に突出する突出部171が周方向に沿って複数設けられる。各突出部171は、例えば、軸方向について延在部170の一端側から他端側へ亘って延在する。また、各突出部171は、周方向の両側において周方向と直交する側面172を有する。図4及び図5では、周方向に並設される突出部171a、突出部171b及び突出部171cが示されている。
また、例えば、バネ180を介して接続されるリヤキャリアCA3の延在部170及び筒体部190の他方には、隣り合う突出部の間に位置する介在部が設けられ得る。
具体的には、図4及び図5に示されるように、筒体部190には、隣り合う突出部171の間に位置する介在部191が設けられる。介在部191は、例えば、筒体部190の入力側の端部に周方向に沿って複数設けられ、軸方向入力側に向かって突設される。また、各介在部191は、周方向の両側において周方向と直交する側面192を有する。介在部191の側面192は、突出部171の側面172と対向する。図4及び図5では、周方向に並設される介在部191a及び介在部191bが示されている。介在部191aは突出部171a及び突出部171bの間に位置し、介在部191bは突出部171b及び突出部171cの間に位置する。
また、バネ180は、突出部171と介在部191との間にリヤキャリアCA3の回転方向に沿って設けられる。それにより、バネ180を介して筒体部190及び延在部170をリヤキャリアCA3の回転方向に接続することが実現される。
具体的には、図4及び図5に示されるように、互いに対向する突出部171の側面172及び介在部191の側面192の一方にバネ180の一端部が接続され、他方にバネ180の他端部が接続される。なお、図4及び図5では、介在部191aと突出部171bとの間にバネ180aが設けられ、介在部191bと突出部171bとの間にバネ180bが設けられる例が示されているが、バネ180により接続される介在部191及び突出部171の組み合わせはこのような例に限定されない。例えば、介在部191aと突出部171aとの間及び介在部191bと突出部171cとの間にさらにバネ180が設けられてもよい。また、例えば、バネ180aが介在部191aと突出部171aとの間に設けられてもよく、バネ180bが介在部191bと突出部171cとの間に設けられてもよい。
(動作)
次に、図6及び図7を参照して、本実施形態に係る延在部170と筒体部190との接続部D1の動作について説明する。図6は、本実施形態に係るダイレクトクラッチC3が開放されている状態における延在部170と筒体部190との接続部D1の様子の一例を示す断面図である。図7は、本実施形態に係るダイレクトクラッチC3が締結されている状態における延在部170と筒体部190との接続部D1の様子の一例を示す断面図である。
ダイレクトクラッチC3が開放されている場合、バネ180を介してリヤキャリアCA3と接続されるダイレクトクラッチC3側の部材(例えば、筒体部190やブレーキ部153等)がリヤキャリアCA3に連れ回される。ここで、エンジン3の回転変動に起因する捩り振動がリヤキャリアCA3に伝達される場合、延在部170が筒体部190に対して相対的に回転方向に移動し得る。例えば、図6に示されるように、介在部191a及び介在部191bがそれぞれ突出部171a及び突出部171bに近づく方向に、延在部170が筒体部190に対して相対的に回転方向に移動し得る。その場合、バネ180aが自然長と比較して伸び、バネ180bが自然長と比較して縮んだ状態になる。ゆえに、延在部170の筒体部190に対する相対的な回転方向への移動が戻される方向に、バネ180a及びバネ180bによる付勢力が生じる。それにより、捩り振動が減衰される。
このように、ダイレクトクラッチC3が開放されている場合において、バネ180と、バネ180を介してリヤキャリアCA3と接続されるダイレクトクラッチC3側の部材とがダイナミックダンパとも称されるバネ式の動吸振器として機能する。
一方、ダイレクトクラッチC3が締結されている場合、バネ180a及びバネ180bには変速機1において伝達される動力が付与される。ゆえに、例えば、図7に示されるように、バネ180aが伸びて介在部191aが突出部171aと当接し、バネ180bが縮みきった状態になる。それにより、ダイレクトクラッチC3を介した動力の伝達が、ダイレクトクラッチC3とリヤキャリアCA3とがバネ180を介さずに連結される場合と同様に実現される。
(補足)
なお、上記では、弾性部材を介して回転要素の回転方向に互いに接続される回転要素及び連結機構の接続部の一例として接続部D1の構成について具体的に説明したが、弾性部材を介して回転要素の回転方向に互いに接続される回転要素及び連結機構の接続部の構成はこのような例に限定されない。例えば、弾性部材と直接的に接続される部材の形状は、上記の例に特に限定されない。
また、上記では、ダイレクトクラッチC3及びリヤキャリアCA3が弾性部材を介してリヤキャリアCA3の回転方向に接続される例を説明したが、弾性部材を介して回転要素の回転方向に互いに接続される回転要素及び連結機構のペアはこのような例に限定されない。また、このような回転要素及び連結機構のペアの数は、複数であってもよい。換言すると、変速機1における複数の連結機構のうちの少なくとも1つが、動力を伝達する回転要素と弾性部材を介して当該回転要素の回転方向に接続されればよい。
また、変速機1において、複数の連結機構のうち、高い変速段において開放される連結機構が優先して弾性部材を介して回転要素と接続されてもよい。例えば、ダイレクトクラッチC3は、変速機1における変速段のうち最も高い変速段である前進第5速段(5th)において開放される。ゆえに、ダイレクトクラッチC3は、前進第5速段(5th)より低い変速段において開放される他の連結機構と比較して、優先して弾性部材を介して回転要素と接続されてもよい。
また、変速機1において、複数の連結機構のうち、大きい慣性モーメントを有する部材と接続される連結機構が優先して弾性部材を介して回転要素と接続されてもよい。具体的には、連結機構は、当該連結機構を駆動するピストン部やクラッチドラム又はブレーキドラムとして利用される部材やクラッチハブ又はブレーキハブとして利用される部材と接続される。弾性部材を介して回転要素の回転方向に互いに接続される回転要素及び連結機構のペアは、これらの連結機構と接続される部材の慣性モーメントに応じた優先度で決定されてもよい。
<3.変速機の効果>
続いて、本実施形態に係る変速機1の効果について説明する。
本実施形態に係る変速機1では、複数の連結機構のうちの少なくとも1つは、動力を伝達する回転要素と弾性部材を介して当該回転要素の回転方向に接続される。それにより、回転要素と弾性部材を介して接続される連結機構が開放されている場合において、弾性部材と、当該弾性部材を介して回転要素と接続される連結機構側の部材とをダイナミックダンパとも称されるバネ式の動吸振器として機能させることができる。ゆえに、当該連結機構が開放されている場合において、エンジン3の回転変動に起因して変速機1へ伝達される捩り振動を減衰させることができる。それにより、捩り振動に起因して車室内へ伝達される騒音を低減することができる。
ここで、エンジン3の回転変動に起因して発生する捩り振動の程度は、エンジン回転数が低いほど大きくなりやすい。ゆえに、エンジン回転数が比較的低い場合には、トルクコンバータ2のロックアップを解除することにより、捩り振動が変速機1へ直接的に伝達されることが抑制される。本実施形態では、変速機1へ伝達される捩り振動を減衰させることができるので、トルクコンバータ2のロックアップが許可されるエンジン回転数の下限値を低下させることができる。それにより、トルクコンバータ2がロックアップされた状態となるエンジン回転数の領域を拡大することができるので、燃費を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、弾性部材を介して回転要素と接続される連結機構側の部材(例えば、当該連結機構のクラッチドラムとして機能する部材やピストン部に相当する部材)がダイナミックダンパの質量体として機能する。ゆえに、動力伝達系にダンパ装置を追加的に設けることなく、捩り振動を減衰させることができる。それにより、動力伝達系の大型化が抑制されるので、車両における他の機器を搭載するスペースが不足することや車両全体の重量が増大することを抑制することができる。
このように、本実施形態に係る変速機1によれば、動力伝達系の大型化を抑制しつつ、捩り振動を減衰させることができる。
また、本実施形態に係る変速機1では、弾性部材を介して接続される回転要素側の部材及び連結機構側の部材の一方には、径方向に突出する突出部が周方向に沿って複数設けられ得る。また、当該回転要素側の部材及び当該連結機構側の部材の他方には、隣り合う突出部の間に位置する介在部が設けられ得る。また、弾性部材は、突出部と介在部との間に当該回転要素の回転方向に沿って設けられ得る。それにより、弾性部材を介して当該回転要素側の部材及び当該連結機構側の部材を当該回転要素の回転方向に接続することが実現される。ゆえに、回転要素と連結機構との弾性部材を介した接続が効果的に実現される。
また、本実施形態に係る変速機1では、複数の連結機構のうち、高い変速段において開放される連結機構が優先して弾性部材を介して回転要素と接続され得る。変速機1における変速比は変速段が高いほど低いので、各変速段について車速が同一である場合におけるエンジン回転数は変速段が高いほど低くなる。ゆえに、変速段が高いほど捩り振動の問題が顕著になりやすい。さらに、各変速段についてエンジントルクが同一である場合における駆動輪へ伝達される駆動トルクは変速段が高いほど小さくなるので、エンジン回転数の上昇速度は、変速段が高いほど遅くなりやすい。それにより、エンジン回転数が比較的低く捩り振動の程度が比較的大きくなりやすい状態は、変速段が高いほど長く継続しやすい。ゆえに、このような理由からも変速段が高いほど捩り振動の問題が顕著になりやすい。ここで、高い変速段において開放される連結機構を優先して弾性部材を介して回転要素と接続することによって、高い変速段において生じ得る捩り振動を優先的に減衰させることができる。ゆえに、捩り振動をより効果的に減衰させることができる。
また、本実施形態に係る変速機1では、複数の連結機構のうち、大きい慣性モーメントを有する部材と接続される連結機構が優先して弾性部材を介して回転要素と接続され得る。本実施形態では、上述したように、弾性部材を介して回転要素と接続される連結機構側の部材(例えば、当該連結機構のクラッチドラムとして機能する部材やピストン部に相当する部材)がダイナミックダンパの質量体として機能する。ゆえに、大きい慣性モーメントを有する部材と接続される連結機構を優先して弾性部材を介して回転要素と接続することによって、ダイナミックダンパの質量体に相当する部材の慣性モーメントを大きくすることができる。それにより、捩り振動を減衰させる効果を向上させることができる。
<4.むすび>
以上説明したように、本実施形態に係る変速機1では、複数の連結機構のうちの少なくとも1つは、動力を伝達する回転要素と弾性部材を介して当該回転要素の回転方向に接続される。それにより、回転要素と弾性部材を介して接続される連結機構が開放されている場合において、弾性部材と、当該弾性部材を介して回転要素と接続される連結機構側の部材とをダイナミックダンパとも称されるバネ式の動吸振器として機能させることができる。ここで、弾性部材を介して回転要素と接続される連結機構側の部材(例えば、当該連結機構のクラッチドラムとして機能する部材やピストン部に相当する部材)がダイナミックダンパの質量体として機能する。よって、動力伝達系の大型化を抑制しつつ、捩り振動を減衰させることができる。
上記では、変速機1が車両に搭載される例について説明したが、変速機1が搭載される装置は係る例に限定されない。変速機1は、動力伝達系を有する装置であれば車両以外の他の装置に搭載されてもよい。
また、上記では、変速機1が3つの遊星歯車機構と3つのブレーキと3つのクラッチと2つのワンウェイクラッチとを備える例について説明したが、変速機1は入力される動力を複数の連結機構の連結状態に応じた変速段で変速して出力するものであればよく、このような例に限定されない。例えば、変速機1が備える遊星歯車機構及び連結機構の数は、変速機1と異なってもよい。また、変速機1により実現可能な変速段の数は、変速機1を構成する遊星歯車機構及び連結機構の数や遊星歯車機構及び連結機構の接続関係に応じて適宜異なってもよい。ゆえに、変速機1により実現可能な変速段は、前進5段及び後進1段でなくともよい。
また、上記では、各ブレーキ及び各クラッチとして湿式多板ブレーキ及び湿式多板クラッチが用いられる例について主に説明したが、各ブレーキ及び各クラッチの種類は係る例に限定されない。各ブレーキ及び各クラッチは、要素間の連結状態を切り替え可能であればよい。
また、上記では、各図面を参照して、変速機1における各構成要素について説明したが、各構成要素の形状及び各構成要素間の位置関係は各図面に対応する例に限定されず、図面に示した形状及び位置関係は一例に過ぎない。また、各構成要素は、一体として形成されてもよく、複数の部材によって形成されてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。