JP6947587B2 - 絶縁テープの余寿命診断方法 - Google Patents
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Description
(1)同一試料を測定した場合、酸化誘導時間の相対標準偏差が5から10%以上となり、測定精度が低い傾向にあった。また、このような傾向のため、試料の酸化誘導時間の真値を求めるために1試料当たり5から10回測定し平均値を求める必要があり、結果として酸化誘導時間の測定値を求めるために長い時間が必要であった。
(2)等温法では単位時間当たりに試料に供給される熱量が小さいため、酸化による発熱ピークを観測するまでには長い時間が必要であった。さらに測定時間は各試料の劣化度に依存するため、1回の測定当たり30〜120分程度の時間が必要であった。
(3)図1に示すように、酸化誘導時間は発熱ピークの接線とベースラインとの交点の時間から雰囲気を変更した時間を差し引くことにより、算出される。等温法により測定される発熱ピークがブロードであったり、複数のピークがある場合もあり、発熱ピークの接線とベースラインとの交点を判断することが困難であるか、又は交点の判断が可能であっても該交点にバラツキがあった。
[1]新品の第1の絶縁テープと、使用した第1の絶縁テープとを準備する工程と、
示差走査熱量計を用いた昇温法により、各々の前記第1の絶縁テープの酸化開始温度T1を測定する工程と、
y軸(整数軸)を酸化開始温度、x軸(整数軸)を実使用時間としたグラフに、各々の前記第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T1)とした点をプロットし、各々の点の間の関係を表す下記式(1)の検量線を求める工程と、
(酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
(式(1)において、a及びbは正の数を表す)
下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出する工程と、
(寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
(式(2)のa及びbはそれぞれ、式(1)のa及びbと同じ数である)
下記式(3)により、前記第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され、第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程と、
(余寿命)=(前記寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
を有する、絶縁テープの余寿命診断方法。
示差走査熱量計を用いた昇温法により、各々の前記第1の絶縁テープの酸化開始温度T1を測定する工程と、
y軸(整数軸)を酸化開始温度、x軸(整数軸)を実使用時間としたグラフに、各々の前記第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T1)とした点をプロットし、各々の点の間の関係を表す下記式(1)の検量線を求める工程と、
(酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
(式(1)において、a及びbは正の数を表す)
下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出する工程と、
(寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
(式(2)のa及びbはそれぞれ、式(1)のa及びbと同じ数である)
下記式(3)により、前記第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され、第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程と、
(余寿命)=(前記寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
を有する、絶縁テープの余寿命診断方法。
第1の実施形態の絶縁テープの余寿命診断方法は、第1の絶縁テープを準備する工程と、第1の絶縁テープの酸化開始温度T1を測定する工程と、第1の絶縁テープの実使用時間と酸化開始温度T1の関係を表す検量線を求める工程と、絶縁テープの寿命を算出する工程と、第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程とを有する。
以下では、上記の各工程について説明する。
最初に、後述する絶縁テープの実使用時間と酸化開始温度との関係を表す検量線を作成する際に必要な、新品の第1の絶縁テープと、所定の実使用時間、使用した第1の絶縁テープを準備する。ここで、第1の絶縁テープの「使用」とは、所定の導電部を他の部分と絶縁するために絶縁テープとして使用する場合や、室温とは異なる温度環境下(例えば、室温よりも高温環境下)に絶縁テープをおく場合を意味する。従って、絶縁テープを製造してから室温環境下で放置された時間は、実使用時間には含まれない。この為、新品の第1の絶縁テープには、製造直後の絶縁テープだけでなく、上記のように製造後に室温環境下で放置された絶縁テープも含まれる。なお、事前の調査により絶縁テープを室温環境下で放置した場合には、絶縁テープに含まれる酸化防止剤量は変化せず、絶縁テープの絶縁性能は維持されることを確認している。余寿命を診断するテープ(第2の絶縁テープ)が使用された温度は、180℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、105℃以下であることが更に好ましい。
次に、示差走査熱量計(DSC)を用いた昇温法により、各々の第1の絶縁テープの酸化開始温度T1を測定する。図2は昇温法による酸化開始温度の測定原理を表す図である。まず、空気又は酸素などの酸化雰囲気下で試料を一定速度で昇温させる。示差走査熱量計により、試料の酸化反応が起こる際の発熱ピークを検出し、この発熱ピークの接線とベースラインとの交点である温度を測定する。そして、この(発熱ピークの接線とベースラインとの交点である温度)を酸化開始温度として検出する。ここで、第1の絶縁テープの実使用時間が長いほど、酸化開始温度も低くなる。なお、試料の昇温速度、測定に使用する試料の重量など酸化開始温度の測定条件は、試料の種類・状態に応じて適宜、設定することができる。各々の第1の絶縁テープの酸化開始温度を測定する条件は同じものとする。
次いで、y軸(整数軸)を酸化開始温度、x軸(整数軸)を実使用時間としたグラフに、各々の第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T1)とした点をプロットする。そして、各々の点の間の関係を表す下記式(1)の検量線を求める。
(酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
(式(1)において、a及びbは正の数を表す)。
次に、下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出する。
(寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
(式(2)のa及びbはそれぞれ、式(1)のa及びbと同じ数である)。
次に、下記式(3)により、第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され、第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する。
(余寿命)=(寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
なお、上記の第1の絶縁テープを準備する工程で準備した使用済みの第1の絶縁テープをそのまま第2の絶縁テープとして使用することもできる。すなわち、少なくとも2つの第1の絶縁テープを準備すれば、上式(1)の検量線及び上式(2)の寿命の算出式を求めることができる。この為、上式(1)及び(2)の作成のために準備した使用済みの第1の絶縁テープの実使用時間を上式(3)に代入することにより、該絶縁テープの余寿命(絶縁テープの残りの使用可能な期間)を算出することができる。このように使用済みの第1の絶縁テープを利用して、上式(1)及び(2)の作成と余寿命の算出を同時に行うことにより、第1の絶縁テープの数を少なくできるため、簡易且つ短時間で絶縁テープの余寿命を算出することができる。
第2の実施形態は、検量線を作成するための第1の絶縁テープが同じ環境下で互いに異なる実使用時間、使用した、複数の同仕様の絶縁テープである点が第1の実施形態と異なる。この実施形態では、第1の絶縁テープとして新品の絶縁テープを準備しない。図2に示すように、同一環境下で使用する限り、絶縁テープの酸化開始温度と実使用時間との間には直線性が認められる。このため、新品の第1の絶縁テープの入手が困難な場合などは、複数の使用済みの第1の絶縁テープを用いて、絶縁テープの酸化開始温度と実使用時間との関係を表す検量線を作成することができる。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1の絶縁テープとして準備した絶縁テープの少なくとも一つについて、その余寿命を算出しても良い。
エチレン−プロピレンゴム製の第1の絶縁テープI〜IIIを準備した。これらの第1の絶縁テープI〜IIIについて、下記表1〜3に記載のように経時的に熱処理を行ったものを用意した。
絶縁テープ1mgを量り取りアルミ容器に入れ、比較用の空のアルミ容器とともに示差走査熱量計の電気炉に入れた。次に、流量30mL/minの窒素雰囲気下で40℃/minの速度で電気炉を昇温し、電気炉内温度が一定温度に達した後に、電気炉内雰囲気を流量30mL/minの酸素に変更した。電気炉内雰囲気を変更した時間を0とし、図1に示すような発熱ピークが測定されるまで、電気炉内温度を一定にしながら熱量を供給した。発熱ピークが観察された後、示差走査熱量計に内蔵されたソフトウェアで発熱ピークの接線とベースラインとの交点を算出し、最終的に酸化誘導時間を得た。
絶縁テープ1mgを量り取りアルミ容器に入れ、比較用の空のアルミ容器とともに示差走査熱量計の電気炉に入れた。次に、流量80mL/minの酸素雰囲気下で10℃/minの速度で電気炉を昇温し、図2に示すような発熱ピークが測定されるまで、試料に熱量を供給した。発熱ピークが観察された後、示差走査熱量計に内蔵されたソフトウェアで発熱ピークの接線とベースラインとの交点を算出し、最終的に酸化開始温度T1を得た。
(酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
(寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
上記表1〜3と同様の環境下で、一定期間、使用した絶縁テープI〜III(第2の絶縁テープに相当)の余寿命を、下記式(3)により算出した。
(余寿命)=(寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
各第2の絶縁テープの酸化開始温度、実使用時間、寿命及び余寿命を、下記表5に示す。
2 半導電性テープ
3 絶縁テープ
5 保護テープ
6 防水混和物
7 保護管
8 防食層
Claims (6)
- 新品の第1の絶縁テープと、使用した第1の絶縁テープとを準備する工程と、
示差走査熱量計を用いた昇温法により、各々の前記第1の絶縁テープの酸化開始温度T1を測定する工程と、
y軸(整数軸)を酸化開始温度、x軸(整数軸)を実使用時間としたグラフに、各々の前記第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T1)とした点をプロットし、各々の点の間の関係を表す下記式(1)の検量線を求める工程と、
(酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
(式(1)において、a及びbは正の数を表す)
下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出する工程と、
(寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
(式(2)のa及びbはそれぞれ、式(1)のa及びbと同じ数である)
下記式(3)により、前記第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され、第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程と、
(余寿命)=(前記寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
を有する、絶縁テープの余寿命診断方法。 - 同じ環境下で互いに異なる実使用時間、使用した、複数の第1の絶縁テープを準備する工程と、
示差走査熱量計を用いた昇温法により、各々の前記第1の絶縁テープの酸化開始温度T1を測定する工程と、
y軸(整数軸)を酸化開始温度、x軸(整数軸)を実使用時間としたグラフに、各々の前記第1の絶縁テープの(x、y)=(実使用時間、酸化開始温度T1)とした点をプロットし、各々の点の間の関係を表す下記式(1)の検量線を求める工程と、
(酸化開始温度)=−a×(実使用時間)+b (1)
(式(1)において、a及びbは正の数を表す)
下記式(2)により、絶縁テープの寿命を算出する工程と、
(寿命)={b−(限界酸化開始温度)}/a (2)
(式(2)のa及びbはそれぞれ、式(1)のa及びbと同じ数である)
下記式(3)により、前記第1の絶縁テープと同じ環境下で使用され、第1の絶縁テープと同仕様の第2の絶縁テープの余寿命を算出する工程と、
(余寿命)=(前記寿命)−(第2の絶縁テープの実使用時間) (3)
を有する、絶縁テープの余寿命診断方法。 - 前記第1及び第2の絶縁テープは、エチレン−プロピレンゴムを含む、請求項1又は2に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
- 前記第1及び第2の絶縁テープは、電力ケーブル接続部用の絶縁テープである、請求項1から3までの何れか1項に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
- 前記限界酸化開始温度は、200〜220℃である、請求項1から4までの何れか1項に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
- 前記第2の絶縁テープは、180℃以下で使用される、請求項1から5までの何れか1項に記載の絶縁テープの余寿命診断方法。
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