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JP6948701B2 - 土壌団粒化剤 - Google Patents
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本発明は、土壌団粒化剤に関する。
粘土、砂、及び有機物に由来する腐植等が集合して、粘土や砂よりも粒径が大きな団粒を形成することが知られている。団粒によって構成される土壌は、適度な空隙を備えており、排水性及び保水性に優れており、しかも軟らかい。団粒化した土壌は、このような特性を備えるため、作物を栽培する土壌として最適である。
微生物やミミズなどの生物の働きによって、土壌の団粒化が進行するとされているが、土壌団粒化剤を圃場に散布して人為的に土壌を団粒化する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、ポリアクリルアミド又はこれと共重合し得る他の共重合成分とのアクリルアミド系共重合体と、カチオン交換能を有する芳香族化合物のヒドロキシメチル化合物との縮合物よりなる土壌改良剤が記載されている。また、アクリルアミド、アクリル酸とその塩などの重合体、ポバール、酢酸ビニルの部分鹸化物などが土壌改良剤として開発されたことが記載されている。
特公昭41−334号公報
特許文献1の土壌団粒化剤はポリアクリルアミド又はこれと共重合し得る他の共重合成分とのアクリルアミド系共重合体を含有する。このような土壌団粒化剤では、細かい粒子を繋ぎ合わせて、土壌の団粒化を図る。
従来の土壌団粒化剤の多くは液状であり、水で希釈して使用される。使用に際しては、土壌団粒化剤を単体で使用しなければならないとされている。土壌団粒化剤と肥料や土壌活性化剤等の他の酸性成分とを混合すると、固形分が析出して白濁したり、固形分が沈殿したりして使用できなくなるためである。しかしながら、土壌団粒化剤を単体で使用するのは作業効率が悪い。例えば、悪天候の際には、土壌団粒化剤と肥料等とを一度に散布すれば、迅速に作業を切り上げることができるので好ましい。従来の土壌団粒化剤において、他の酸性成分を配合すると固形分が析出する理由は不明である。しかしながら、従来の土壌団粒化剤のpHは、中性からアルカリ性であるところ、酸性成分が添加されることによって、pHがシフトして固形分が析出するものと推測される。
本発明は、肥料などの他の酸性成分と混合したときに液状の土壌団粒化剤と酸性成分とが混ざり合う土壌団粒化剤を提供することを目的とする。
酢酸と、土壌を団粒化させるポリマー成分とを含有する液状の土壌団粒化剤であって、酢酸の含有量が0.001質量%以上であり、土壌を団粒化させるポリマー成分の含有量が0.05〜48質量%である液状の土壌団粒化剤によって、上記の課題を解決する。すなわち、このような土壌団粒化剤では、他の酸性成分を配合したときに固形分の析出が防止される。
上記の土壌団粒化剤は、酢酸以外の他の有機酸を0.1質量%以上さらに含有することが好ましい。上記の土壌団粒化剤は、窒素、リン、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の酸性の肥効成分をさらに含有することが好ましい。上記の土壌を団粒化させるポリマー成分は、ポリアクリルアミド系化合物、ポリエチレンイミン系化合物、及びポリビニルアルコール系化合物からなる群より選ばれる1種以上のポリマーであることが好ましい。
本発明によれば、肥料などの他の酸性成分と混合したときに液状の土壌団粒化剤と酸性成分とが混ざり合う土壌団粒化剤を提供することが可能になる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本発明の土壌団粒化剤は、酢酸と、土壌を団粒化させるポリマー成分とを含有する液状の土壌団粒化剤である。当該土壌団粒化剤は、酢酸を0.001質量%以上含有し、土壌を団粒化させるポリマー成分を0.05〜48質量%含有する。ポリマー成分の含有量は、0.05〜25質量%であることがより好ましく、0.05〜15質量%であることがさらに好ましく、0.05〜8質量%であることが特に好ましい。酢酸の含有量は、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.08質量%以上であることがより好ましい。酢酸の含有量の上限は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましく、3.9質量%以下であることが特に好ましい。
上記の土壌団粒化剤を製造するには、酢酸と、ポリマー成分と、その他の配合物と、水などの溶媒とを混合して製造することが好ましい。混合方法は、特に制限されないものの、容器に酢酸と、ポリマー成分とを所定の濃度となるように計量して、必要に応じてその他の混合物と水などの溶媒とを添加して、ポリマー成分と酢酸とが所定の濃度となるようにすればよい。
酢酸としては、例えば、氷酢酸、氷酢酸に比べて濃度の低い酢酸溶液を使用することができる。これら酢酸液を配合して酢酸の最終濃度が0.001質量%以上となるようにすることが好ましい。
ポリマー成分は、土壌団粒化の用途に供することが可能であり、酸性の水溶液に対して溶解性を示すポリマーを使用することが好ましい。そのようなポリマーであれば、例えば市販のものを使用することができる。ポリマー成分が、ポリマー成分以外の他の成分を含む溶液又は粉末などの形態で供される場合は、ポリマーの最終濃度が0.05〜48質量%となるように換算して配合することが好ましい。土壌団粒化剤のpHは、1〜6となるようにすることが好ましく、1.8〜5となるようにすることがより好ましい。ポリマー成分は係るpHの水溶液に対して溶解性を示すものであることが好ましい。
土壌を団粒化させるポリマー成分としては、ポリアクリルアミド系化合物、ポリエチレンイミン系化合物、及びポリビニルアルコール系化合物からなる群より選ばれる1種以上のポリマーを使用することが好ましい。
ポリアクリルアミド系化合物としては、ノニオンのポリアクリルアミド、アクリルアミドと他のモノマーの共重合体が挙げられる。他のモノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリロニトリル、メタアクリルアミド、無水マレイン酸などが挙げられる。
ポリエチレンイミン系化合物としては、ポリエチレンイミン、エチレンイミンと他のモノマーの共重合体などが挙げられる。ポリビニルアルコール系化合物としては、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルモノマーと他のモノマーの共重合体を鹸化したもの、又はそれらのカチオン性変性物などが挙げられる。
土壌団粒化剤は、酢酸以外の他の有機酸を0.1質量%以上含有することが好ましく、1質量%以上含有することが好ましい。他の有機酸の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、28質量%以下であることがより好ましく、22質量%以下であることが特に好ましい。他の有機酸が水などの他の成分を含む場合は、他の有機酸の最終濃度が上記のようになるように換算して配合することが好ましい。他の有機酸は、液状の土壌団粒化剤に対して溶解可能であればよく、例えば、クエン酸、及びシュウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の有機酸であることが好ましい。
上記の土壌団粒化剤では、肥料や土壌活性剤などの他の酸性成分を添加すると、他の酸性成分と液状の土壌団粒化剤が混ざり合う。このため、例えば、土壌団粒化剤を散布する現場で、液状の土壌団粒化剤に対して肥効成分や土壌活性剤などの酸性成分を混合して、一度に両者を散布することが可能になる。また、液状の土壌団粒化剤と肥料などの他の酸性成分が混ざり合うため、肥料などの他の酸性成分を予め土壌団粒化剤に配合したものをプレミックス製品として販売することも可能である。
土壌団粒化剤は、窒素、リン、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の肥効成分を含有することが好ましい。これによって、土壌団粒化剤と肥効成分を圃場等に一度に散布することが可能になり、作業性が向上する。これらの肥効成分は、多くの場合、リン酸一安、過リン酸二安、重過リン酸石灰、リン酸液などの化学的酸性肥料(化合物)として提供されるため、液状の土壌団粒化剤と混合すると固形分の析出を誘発する要因となっていたものである。肥効成分を含む上記化合物の含有量は、例えば、5〜40質量%とすることが好ましい。
以下、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
[実施例1ないし実施例10、並びに比較例1及び比較例2]
氷酢酸(純度99%)0.1質量%と、ポリアクリルアミドの粉末(樹脂分99%質量%以上、分子量1200万)と、窒素系成分として尿素(純度99%以上)と、リン酸系成分としてリン酸液(純度85%以上)と、カリウム系成分として塩化カリウム(純度99%以上)と、残部を占める水とを混合して実施例1に係る液状の土壌団粒化剤を得た。原料の含有量を表1及び表2に記載したように変更して同様に実施例2ないし実施例10並びに比較例1及び比較例2に係る土壌団粒化剤を得た。実施例1と同様に、実施例2ないし実施例10並びに比較例1及び比較例2において、表1に記載された原料以外の残部は水である(以下に記載する各実施例及び比較例において同じ)。
Figure 0006948701
Figure 0006948701
[実施例11ないし実施例15]
氷酢酸(純度99%)に加えて、他の有機酸として結晶状の無水クエン酸(純度99.5%以上)を配合し、各原料の含有量を表3のように変更したこと以外は実施利1と同様にして、実施例11ないし実施例15に係る液状の土壌団粒化剤を得た。
Figure 0006948701
[実施例16ないし実施例19、及び比較例3及び比較例4]
氷酢酸(純度99%)に加えて、他の有機酸として結晶状のシュウ酸(純度99.6%以上)を配合し、各原料の含有量を表4のように変更したこと以外は実施利1と同様にして、実施例16ないし実施例19に係る液状の土壌団粒化剤を得た。
氷酢酸(純度99%)に替えて、他の有機酸として結晶状のシュウ酸(純度99.6%以上)及びクエン酸(純度99.5%以上)を配合して、さらに各原料の含有量を表4のように変更したこと以外は実施利1と同様にして、比較例3及び比較例4に係る液状の土壌団粒化剤を得た。
Figure 0006948701
[実施例20ないし実施例22]
表5に記載したように、各原料の含有量を変更したこと以外は実施利1と同様にして、実施例20ないし実施例22に係る土壌団粒化剤を得た。
Figure 0006948701
[実施例23ないし実施例26]
ポリアクリルアミドに替えて、ポリエチレンイミン(樹脂分98質量%以上、平均重合度600)の液体、又はポリビニルアルコール(樹脂分98質量%以上、平均重合度1400、鹸化度99.0mоl%)の粉末を配合し、各原料の含有量を表6のように変更したこと以外は実施利1と同様にして、実施例23ないし実施例26に係る液状の土壌団粒化剤を得た。
Figure 0006948701
上記の各実施例と各比較例について、混合性、高温における分離、低温における結晶化、及びカビの発生の各項目について、以下の方法で調べた。
[混合性]
各実施例、及び各比較例の原料を混合し、マグネチックスターラーと撹拌子を利用して撹拌する作業を行った。液状の土壌団粒化剤に含まれる固形分が溶解して無色透明になるまでの時間を計測した。結果は、以下のように8段階評価として表1ないし表6に示す。
A:10分以内
B:20分以内
C:30分以内
D:40分以内
E:50分以内
F:60分以内
G:60分以上
H:混合不可能
[高温における分離]
上記の混合性の試験で混合が終わった検体を高温(50℃)で保存し、経時的的な劣化、すなわち液の分離が生じるまでの時間を計測した。結果は、以下のように3段階評価として表1ないし表6に示す。
〇:1440時間以上
×:168時間未満
△:168時間以上から1440時間未満で分離が生じた
[低温における結晶化]
上記の混合性の試験で混合が終わった検体を低温で保存し、経時的な劣化、すなわち、液中に結晶が析出するまでの時間を計測した。結果は、以下のように3段階評価として表1ないし表6に示す。
〇:2000時間以上
×:100時間未満の時間で激しく結晶化した
△:100時間以上から2000時間未満でわずかに結晶が析出した
[カビの発生]
上記の混合性の試験で混合が終わった検体を常温で保存し、経時的的な劣化、すなわちカビが生じるまでの時間を計測した。結果は、以下のように3段階評価として表1ないし表6に示す。
〇:720時間以上
×:168時間未満
△:168時間以上から720時間未満でカビが発生した
表1から表6から明らかなように、実施例1ないし実施例26に係る配合では、酸性の肥料を配合しても、固形物が溶解せずに残留するなどの不具合なく、各原料を混合して液状の土壌団粒化剤を得ることが可能であった。これに対して、比較例1及び比較例2に係る配合では、ポリマー成分が固形分として残ってしまい、溶解させることができなかった。このため、比較例1及び比較例2に係る配合では、カビの発生、高温における分離、低温における結晶化の評価は行わなかった。比較例1及び比較例2に係る配合では、固形分が残留しており、散布機に目詰まりする可能性があるし、ポリマー成分を均一に圃場に散布することは期待できなかった
酢酸を比較的に多く含有する実施例5及び実施例6に係る配合では、低温に曝すと結晶化が生じた。しかしながら、現場で土壌団粒化剤と酸性の肥効成分を混合して、速やかに散布して使い切ることは可能であった。
酢酸を配合しなかった比較例3及び比較例4では、短時間でカビが発生した。比較例3及び比較例4では、カビによって保管容器が汚染されてしまった。散布機にカビが付くため圃場に散布することは中止せざるを得なかった。一方、酢酸を配合した実施例1ないし実施例26に係る配合では、カビの発生は認められなかった。以上の結果から、酢酸には防カビ作用があることがわかった。
実施例11ないし実施例19に係る配合では、酢酸以外のその他の有機酸を配合することによって、液状の土壌団粒化剤と肥料の混合性を向上させることができた。その他の有機酸を加えることによって、特に低温における結晶化が顕著になることもなかった。
表1から明らかなように、酢酸の配合量が増えると、低温に曝すと結晶化が生じる時間が短くなる傾向が確認された。一方、表3及び表4から明らかなように、クエン酸及びシュウ酸のその他の有機酸については配合量が増えても特に結晶化が生じる時間が短くなる傾向は見られなかった。
表1から明らかなように、酢酸の配合量が増えると、混合性が向上することが確認された。同様にクエン酸以外の他の有機酸の配合量が増えると、混合性が向上することも確認された。さらに混合性については、表2から明らかなように、ポリマー成分の配合量が少なくなると混合性が向上することも確認された。
上記の実施例及び比較例による検証とは別に、実施例1の酢酸に替えて、無機酸として硫酸0.1質量%を配合した配合例についても、高温おける分離のしやすさを調べたところ、無機酸を配合した配合ではより短い時間で土壌団粒化剤と酸性成分の混合液が分離することが確かめられた。
以上のように、実施例1ないし実施例26に係る配合では、酸性の肥料を液状の土壌団粒化剤に溶解させることが可能であった。したがって、現場に土壌団粒化剤と肥料を持ち込んで、現場で両者を混合して、一度の作業で圃場に散布することが可能である。また、土壌団粒化剤と肥料とを予め混合した土壌団粒化剤をプレミックス製品として販売することが可能である。この場合は、ユーザーは、酸性の肥効成分が予め混合された土壌団粒化剤を散布するだけでよいので作業を実施する際の利便性が大いに向上する。
実施例1ないし実施例26に係る配合では、長い時間が経過してもカビの発生が生じない。長期間かびが発生せず品質が安定しているので、土壌団粒化剤と肥料を予め土壌団粒化剤に配合した状態のプレミックス製品として販売することが可能である。土壌団粒化剤と肥料とを現場で混合する場合にあっても、土壌団粒化剤と肥料とを混合して、余ったものを保管しておき、次回の散布の際に使用することが可能になる。

Claims (3)

  1. 酢酸と、土壌を団粒化させるポリマー成分と、酢酸以外の他の有機酸とを含有する液状の土壌団粒化剤であって、
    ポリマー成分は、酸性の溶液に対して可溶であり、
    酢酸の含有量は0.001質量%以上であり、
    土壌を団粒化させるポリマー成分の含有量は、0.05〜48質量%であり、
    酢酸以外の他の有機酸は、クエン酸、及びシュウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の有機酸であり、
    酢酸以外の他の有機酸の含有量は、0.1質量%以上であり、
    酢酸とポリマー成分と酢酸以外の他の有機酸とを除いた残部は水である液状の土壌団粒化剤。
  2. 酢酸と、土壌を団粒化させるポリマー成分と、酢酸以外の他の有機酸と、肥効成分とを含有する液状の土壌団粒化剤であって、
    ポリマー成分は、酸性の溶液に対して可溶であり、
    酢酸の含有量は0.001質量%以上であり、
    土壌を団粒化させるポリマー成分の含有量は、0.05〜48質量%であり、
    酢酸以外の他の有機酸は、クエン酸、及びシュウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の有機酸であり、
    酢酸以外の他の有機酸の含有量は、0.1質量%以上であり、
    肥効成分は、窒素、リン、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の酸性の肥効成分であり、
    酢酸とポリマー成分と酢酸以外の他の有機酸と肥効成分とを除いた残部は水である液状の土壌団粒化剤。
  3. 土壌を団粒化させるポリマー成分は、ポリアクリルアミド系化合物、ポリエチレンイミン系化合物、及びポリビニルアルコール系化合物からなる群より選ばれる1種以上のポリマーである請求項1又は2に記載の土壌団粒化剤。
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