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JP6951041B2 - 二次電池システム - Google Patents
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Description

本開示は、二次電池システムに関し、より特定的には、ニッケル水素電池を備えた二次電池システムに関する。
近年、二次電池システムが搭載されたハイブリッド車両(HV)または電気自動車(EV)などの車両の普及が進んでいる。このような車両に搭載される二次電池システムにおいては、ニッケル水素電池が二次電池として広く採用されている。
一般に、ニッケル水素電池において高電圧または高温での充電が行なわれると、充電反応とは異なる副反応により電池内部でガスが発生することが知られている。このガスの発生に伴ってニッケル水素電池の内圧が過度に上昇すると、ニッケル水素電池の劣化が早められたり、ニッケル水素電池に設けられた安全弁が作動したりする可能性がある。そのため、ニッケル水素電池の内圧に応じてニッケル水素電池の充電電力を制御する技術が提案されている。
たとえば特開2011−239573号公報(特許文献1)に開示された二次電池の充電制御方法によれば、二次電池内でガスが発生する電位(ガス発生電位)まで二次電池の電圧が上昇せず、かつ、二次電池の安全弁が作動する圧力まで二次電池の内圧が上昇しように、充電電力の制御上限値が設定される。
特開2011−239573号公報
ニッケル水素電池の内部には、酸素ガス、水素ガス、窒素ガスおよび水蒸気が含まれる。水蒸気量は他の気体量と比べて無視できるほど小さいので、以下では、酸素ガス、水素ガスおよび窒素ガスについて考える。この場合、ニッケル水素電池の内圧は、酸素分圧、水素分圧および窒素分圧の和により表される。
各気体の分圧を算出するためにニッケル水素電池の内部に多数のセンサ(たとえば、圧カセンサ、酸素濃度センサ、水素濃度センサ、湿度センサなど)を設置することは、たとえば車両に搭載される二次電池システムでは、技術的観点またはコスト等の観点から難しい場合がある。
一方、各気体の分圧の温度依存性を予め求め、温度センサにより検出された温度から分圧を算出する手法も考えられる(たとえば特許文献1参照)。しかし、詳細は後述するが(図4参照)、本発明者らの測定結果(実測結果)によれば、ニッケル水素電池の充放電が繰り返された場合、水素分圧は、時間の経過に伴い、あるいは電流値の増加に伴い、上昇し得る。そのため、たとえば特許文献1のように単に温度依存性を用いて水素分圧を算出する簡易な手法では、時間経過または電流値増加に伴う水素分圧の変化が算出されない。言い換えれば、ニッケル水素電池の充放電履歴に伴う水素分圧の変化が反映されない。したがって、水素分圧を正確に算出することができない可能性がある。この点において、特許文献1に開示された内圧(特に水素分圧)の推定手法には、その推定精度に向上の余地が存在する。
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ニッケル水素電池を備えた二次電池システムにおいて、圧カセンサ、酸素濃度センサ、水素濃度センサ、湿度センサなどの多数のセンサをニッケル水素電池の内部に設けることなく、ニッケル水素電池の内圧の推定精度を向上させることである。
(1)本開示のある局面に従う二次電池システムは、ニッケル水素電池である二次電池と、二次電池の電圧を検出する電圧センサと、二次電池に入出力される電流を検出する電流センサと、二次電池の温度を検出する温度センサと、二次電池の電圧、電流および温度の検出値を用いて二次電池の内圧を推定する推定装置とを備える。推定装置は、二次電池の温度の検出値を用いて二次電池の窒素分圧を算出する。推定装置は、二次電池の電圧、電流および温度の検出値を用いて二次電池の酸素分圧を算出する。推定装置は、二次電池の電圧、電流および温度の検出値を用いて二次電池の水素分圧を算出する。推定装置は、窒素分圧、酸素分圧および水素分圧の和を算出することで二次電池の内圧を推定する。
(2)推定装置は、二次電池の電圧、電流および温度の検出値を用いて二次電池における水素ガス発生速度および水素ガス吸収速度を算出し、算出された水素ガス発生速度および水素ガス吸収速度から二次電池の水素分圧を算出する。
(3)好ましくは、推定装置は、二次電池の電圧および電流の検出値から算出される二次電池の総電流のうち負極活物質に流れた電流割合を示すパラメータ、ならびに、二次電池の電流の検出値を用いて、水素ガス発生速度を算出する。推定装置は、所定時間前に算出された二次電池の水素分圧と、二次電池の温度から算出される平衡水素圧との差、および、二次電池の温度の検出値を用いて、水素ガス吸収速度を算出する。
(4)より好ましくは、推定装置は、水素ガス発生速度と水素ガス吸収速度との差に所定時間を乗算することにより二次電池内における水素ガスの変化量を算出する。推定装置は、算出された水素ガスの変化量に所定の定数を乗算することによって所定時間が経過する間の水素分圧の変化量を算出する。推定装置は、算出された水素分圧の変化量を、所定時間前に算出された水素分圧に加算することによって、所定時間が経過した後の水素分圧を算出する。
上記構成によれば、二次電池の温度に加えて、二次電池の電圧および電流を用いて、水素ガスの時間変化を考慮した上で水素分圧が算出される。これにより、多数のセンサ(圧カセンサ、酸素濃度センサ、水素濃度センサ、湿度センサなど)をニッケル水素電池の内部に設けなくてもよい。また、水素分圧の温度依存性を用いて二次電池の温度から水素分圧を算出する構成と比べて、水素分圧の推定精度を向上させることができる。したがって、二次電池の内圧の推定精度を向上させることができる。
本開示によれば、ニッケル水素電池を備えた二次電池システムにおいて、多数のセンサをニッケル水素電池の内部に設けることなく、ニッケル水素電池の内圧の推定精度を向上させることができる。
本実施の形態に係る二次電池システムが搭載されたハイブリッド車両の全体構成を概略的に示すブロック図である。 組電池に含まれるセルの構成を示す図である。 本実施の形態における組電池の充電制御を説明するためのフローチャートである。 組電池に種々のセンサを取り付け、パラメータ(電圧、電流および内圧)の時間変化を測定した結果の一例を示す図である。 水素ガス吸収速度を算出するためのマップの一例を示す図である。 図3に示した内圧推定処理を詳細に説明するためのフローチャートである。 組電池の極板間電圧と電流割合との関係を示すマップの一例を示す図である。 酸素ガス吸収速度を算出するためのマップの一例を示す図である。 本実施の形態における内圧推定処理による内圧の推定結果を示す図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態]
<二次電池システムの構成>
以下では、本実施の形態に係る二次電池システムがハイブリッド車両に搭載された構成を例に説明する。しかし、本実施の形態に係る二次電池システムは、電気自動車または燃料電池車などの他の車両に搭載されてもよい。また、本実施の形態に係る二次電池システムの用途は車両用に限定されるものではなく、たとえば定置用であってもよい。
図1は、本実施の形態に係る二次電池システムが搭載されたハイブリッド車両の全体構成を概略的に示すブロック図である。車両1は、二次電池システム2と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)10,20と、動力分割機構30と、エンジン40と、駆動輪50とを備える。二次電池システム2は、組電池100と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)150と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)200と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)300とを備える。
モータジェネレータ10,20の各々は三相交流回転電機である。モータジェネレータ10は、動力分割機構30を介してエンジン40のクランク軸に連結される。モータジェネレータ10は、エンジン40を始動させる際には組電池100の電力を用いてエンジン40のクランク軸を回転させる。また、モータジェネレータ10はエンジン40の動力を用いて発電することも可能である。モータジェネレータ10によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されて組電池100に充電される。また、モータジェネレータ10によって発電された交流電力は、モータジェネレータ20に供給される場合もある。
モータジェネレータ20は、組電池100からの電力およびモータジェネレータ10により発電された電力のうちの少なくとも一方を用いて駆動軸を回転させる。また、モータジェネレータ20は回生制動によって発電することも可能である。モータジェネレータ20によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されて組電池100に充電される。
動力分割機構30は、たとえば遊星歯車機構であり、エンジン40のクランク軸、モータジェネレータ10の回転軸、および駆動軸の三要素を機械的に連結する。エンジン40は、ガソリンエンジン等の内燃機関であり、ECU300からの制御信号に応じて車両1が走行するための駆動力を発生する。
PCU200は、組電池100とモータジェネレータ10,20との間で電力を変換する。いずれも図示しないが、インバータと、コンバータとを含む。インバータは、一般的な三相インバータである。コンバータは、昇圧動作時には組電池100から供給された電圧を昇圧してインバータに供給する。コンバータは、降圧動作時にはインバータから供給された電圧を降圧して組電池100を充電する。SMR150は、組電池100とPCU200とを結ぶ電流経路に電気的に接続される。SMR150がECU300からの制御信号に応じて閉成されている場合、組電池100とPCU200との間で電力の授受が行なわれ得る。
組電池100においては、複数のセル101が直列接続されてブロック(モジュール)が構成され、複数のブロックが直列接続されて組電池100が構成されている。各セル101は、ニッケル水素電池である。セル101の構成については図2にて、より詳細に説明する。
組電池100には、電圧センサ110と、電流センサ120と、温度センサ130とが設けられている。電圧センサ110および温度センサ130の監視単位は特に限定されず、たとえばブロック毎であったり、隣接する複数のセル101(ブロック内のセル数未満の数のセル)毎であったり、セル毎であったりしてもよい。本実施の形態では、組電池100の内部構成が特に影響しないので、複数のブロックを互いに区別したり複数のセル101を互いに区別したりしなくてもよい。したがって、以下では説明の理解を容易にするため、包括的に組電池100と記載する。
電圧センサ110は、組電池100の電圧VBを検出する。電流センサ120は、組電池100に入出力される電流IBを検出する。温度センサ130は、組電池100の温度TBを検出する。各センサは、その検出結果をECU300に出力する。ECU300は、各センサによる検出結果に基づいて組電池100のSOC(State Of Charge)を算出する。また、以下に説明するように、ECU300は、各センサによる検出結果に基づいて組電池100の内圧Pを推定する。
ECU300は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、入出力バッファ(図示せず)と等を含んで構成される。ECU300は、各センサから受ける信号、ならびにメモリ302に格納されたマップ(後述するマップMP1〜MP4を含む)およびプログラムに基づいて、車両1が所望の状態となるように各機器を制御する。ECU300により実行される主要な制御として組電池100の充放電制御が挙げられる。たとえば、ECU300は、組電池100の保護を目的として、組電池100への充電電力が充電電力上限値Win(後述)を上回らないように組電池100の充電電力を制御する。この充電制御については後に詳細に説明する。
図2は、組電池100に含まれるセル101の構成を示す図である。各セル101の構成は共通であるため、図2では1つのセル101のみを代表的に示す。セル101は、たとえば角形密閉式のセルであり、ケース102と、ケース102に設けられた安全弁103と、ケース102内に収容された電極体104および電解液(図示せず)とを含む。なお、図2では、ケース102の一部の透視により電極体104が示されている。
ケース102は、いずれも金属からなるケース本体および蓋体を含み、蓋体がケース本の開口部上で全周溶接されることにより密閉される。ただし、ケース102の材料は金属に限定されず、ケース102を介してのガス透過量が所定量以下に抑えられるのであれば、樹脂などが採用されてもよい。安全弁103は、ケース102の内圧Pが所定値を超えると、ケース102内部のガス(酸素ガス、水素ガス、窒素ガス等)の一部を外部に排出する。電極体104は、正極板と、負極板と、セパレータとを含む。正極板は袋状のセパレータ内に挿入されており、セパレータ内に挿入された正極板と、負極板とが交互に積層されている。正極板および負極板は、図示しない正極端子および負極端子にそれぞれ電気的に接続されている。
電極体104および電解液の材料としては従来公知の各種材料を用いることができる。本実施の形態においては、一例として、正極板には、水酸化ニッケル(Ni(OH)またはNiOOH)を含む正極活物質層と、発泡ニッケルなどの活物質支持体とを含む電極板が用いられる。負極板には、水素吸蔵合金(たとえばLaNiまたはReNi)を負極活物質として含む電極板が用いられる。セパレータには、親水化処理された合成繊維からなる不織布が用いられる。電解液には、水酸化カリウム(KOH)または水酸化ナトリウム(NaOH)などを含むアルカリ水溶液が用いられる。ただし、図2に示したセル101の構成は例示に過ぎず、任意の構成のニッケル水素電池をセル101として採用することができる。
以上にように構成された二次電池システム2においては、以下に説明するような組電池100の充電制御が実行される。
<充電制御>
図3は、本実施の形態における組電池100の充電制御を説明するためのフローチャートである。図3および後述する図6に示すフローチャートは、所定の周期(本開示に係る「所定時間」)毎にメインルーチン(図示せず)から呼び出されて実行される。なお、これらのフローチャートに含まれる各ステップ(以下「S」と略す)は、基本的にはECU300によるソフトウェア処理によって実現されるが、ECU300内に作製された専用のハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
S10において、ECU300は、電圧センサ110、電流センサ120および温度センサ130から、組電池100の電圧VB、電流IBおよび温度TBをそれぞれ取得する。また、ECU300は、組電池100の内部抵抗Rを算出する。
組電池100の内部抵抗Rは、たとえば以下のように算出することができる。すなわち、複数の電圧VBおよび電流IBの検出値を電圧電流座標上にプロットし、プロットされた各点の近似式を求めた場合に、この近似式で表される直線の傾きを内部抵抗Rとして算出することができる。また、一般に、二次電池の内部抵抗は温度依存性を有する。そのため、内部抵抗Rと温度TBとの相関関係を示すマップ(図示せず)をECU300のメモリ302に格納しておいてもよい。ECU300は、このマップを参照することによって、温度センサ130により検出された温度TBから内部抵抗Rを算出することができる。
S20において、ECU300は、組電池100(セル101)の極板間電圧V0を算出する。極板間電圧V0とは、組電池100(セル101)の正極と負極との間の電圧である。極板間電圧V0は、下記式(1)に示すように、電圧センサ110により検出される組電池100の電圧VB(端子電圧)と、内部抵抗Rによる電圧変化分(IB×R)とから算出することができる。なお、電流IBについては組電池100の充電方向が負方向に定められている。すなわち、組電池100の放電時にはVB<V0となり、充電時にはVB>V0となる。
V0=VB+(IB×R) ・・・(1)
S30において、ECU300(本開示に係る「推定装置」)は、組電池100の内圧Pを推定するための「内圧推定処理」を実行する。内圧推定処理については、後に詳細に説明する。
S40において、ECU300は、組電池100の内圧Pに基づいて、組電池100の充電電力上限値Winを算出する。充電電力上限値Winとは、組電池100の内圧Pが、安全弁103が作動(開弁)する圧力まで上昇しないように設定される、充電電力の制御上限値である。より具体的には、組電池100の内圧Pと充電電力上限値Winとの相関関係を示すマップ(図示せず)が予め準備され、ECU300のメモリ302に格納されている(たとえば特許文献1の図4参照)。このマップにおいては、内圧Pが所定値PBよりも低い場合、充電電力上限値Winは一定である。内圧Pが所定値PB以上になると、内圧Pの上昇に伴い、充電電力上限値Winは減少する。内圧Pと充電電力上限値Winとの相関関係を示すマップ(図示せず)を参照することにより、内圧Pから充電電力上限値Winを算出することができる。
S50において、ECU300は、組電池100の内圧Pを所定の基準値と比較する。内圧Pが基準値よりも高い場合(S50においてYES)、ECU300は、充電電力上限値Winに基づいて、組電池100の充電電力を制限する(S60)。一方、内圧Pが基準値以下の場合(S50においてNO)には、ECU300は、S60の処理を実行することなく処理をメインルーチンへと戻す(S70)。
<組電池の内圧変化>
S30にて内圧推定処理が実行される旨を説明したが、ニッケル水素電池である組電池100の内部には、酸素ガス、水素ガス、窒素ガスおよび水蒸気が含まれる。内圧推定における各気体の分圧の影響について以下に説明する。
図4は、組電池100に種々のセンサを取り付け、パラメータ(電流IB、電圧VBおよび内圧P)の時間変化を測定した結果の一例を示す図である。図4において、横軸は経過時間を示す。縦軸は、上から順に、組電池100の電流IB、電圧VBおよび内圧Pを示す。
図4には、組電池100を繰り返し充放電させた場合の各パラメータの測定結果(または算出結果)が示されている。上述のように、電流IBは組電池100の充電方向が負方向に定められている。組電池100内の各気体の分圧の和である内圧Pには、水素分圧PH2と、酸素分圧PO2と、窒素分圧PN2と、水蒸気圧PH2Oとが含まれる。
図4において、水蒸気圧PH2Oは、組電池100の内部に温度センサおよび湿度センサ(いずれも図示せず)を設置し、飽和水蒸気圧を用いて算出された値である。組電池100内部の水蒸気量は、酸素量および水素量に比べて無視できるほど小さいので、水蒸気圧PH2O=0とみなすことができる。
窒素分圧PN2は、以下のように算出されたものである。すなわち、組電池100を充放電させる前に内圧P、水素濃度、酸素濃度、温度TBおよび湿度を測定し、これらの測定結果から窒素分圧PN2の初期値を算出した。窒素は組電池100の充放電反応に関与しないので、窒素分圧PN2は、組電池100の充放電中には温度TBに応じて定まるものとして、温度TBから算出した。
酸素分圧PO2および水素分圧PH2は、水蒸気圧PH2Oと同様に、組電池100の内部に多数のセンサ(圧カセンサ、酸素濃度センサ、水素濃度センサ、温度センサおよび湿度センサ)を設置することによって測定された値である。
組電池100を繰り返し充放電させた場合、充電中の酸素分圧PO2の上昇量は大きいが、それと同程度に放電中の酸素分圧PO2の低下量も大きい。これに対し、充電中の水素分圧PH2の上昇量は酸素分圧PO2の上昇量と同程度に大きいにもかかわらず、放電中の水素分圧PH2の低下量は酸素分圧PO2の低下量と比べて小さい。これは、酸素が負極の水素吸蔵合金と反応する速度と比べて、水素が水素吸蔵合金に吸収される速度が遅いためと推察される。
本発明者らの測定結果によれば、図4に示すように、水素分圧PH2は、時間の経過に伴い、あるいは電流値の増加に伴い上昇し得る。よって、組電池100の内圧Pの推定においては、水素分圧PH2の変化を高精度に算出することが重要であることがわかる。
水素分圧PH2の算出のために組電池100の内部に多数のセンサを設置することは、車載用の二次電池システム2では、技術的観点あるいはコスト等の観点から難しい。一方、水素分圧PH2の算出手法としては、水素分圧PH2の温度依存性を予め求め、温度センサ130により測定された温度TBから水素分圧PH2を算出する手法も考えられる(たとえば特許文献1参照)。しかし、そのような簡易な手法では、時間経過に伴う水素分圧PH2の変化が反映されない、言い換えれば、ニッケル水素電池の充放電履歴に伴う水素分圧PH2の変化が反映されない可能性がある。よって、水素分圧PH2を正確に算出することができない可能性がある。この点において、特許文献1に開示された手法では内圧Pの推定精度に向上の余地が存在する。
<水素分圧の算出>
そこで、本実施の形態においては、以下に説明するように水素ガス発生速度(単位時間当たりの水素ガスの発生量)αおよび水素ガス吸収速度(単位時間当たりの水素ガスの吸収量あるいは減少量)γを算出し、それらの算出結果に基づいて水素分圧PH2を算出する構成を採用する。以下、より詳細に説明する。
まず、水素ガス発生速度αが下記式(2)に従って算出される。式(2)では、総電流のうち負極活物質に流れた電流割合をηで表す。このため、(1−η)は、負極上で副反応として水素ガス発生に消費される電流割合(以下、「水素電流割合」とも称する)を示す。なお、K1は、所定の定数である。
α=(−IB)×(1−η)×K1 ・・・(2)
次に、水素ガス吸収速度γが算出される。水素ガス吸収速度γは、水素分圧PH2が所定の単位時間(本開示に係る「所定周期」に相当)で繰り返し算出される場合に、前回の演算周期(n回目の演算周期、nは自然数)で算出された水素分圧PH2(n)と、平衡水素圧Peqとの差(PH2(n)−Peq)を用いて算出することができる。より具体的には、この差(PH2(n)−Peq)と、温度TBとの相関関係を示すマップMP1を用いて水素ガス吸収速度γを算出することができる。
図5は、水素ガス吸収速度γを算出するためのマップMP1の一例を示す図である。図5に示すようなマップMP1が予め実験により求められ、ECU300のメモリ302に格納されている。ECU300は、マップMP1を参照することにより、差(PH2(n)−Peq)と温度TBとから水素ガス吸収速度γを算出することができる。なお、図5に示す具体的な数値は例示に過ぎず、実際には、より狭い温度間隔で、より広い温度幅において同様の相関関係を求めることができる。後述する図7および図8に記載された数値についても同様である。
水素ガス変化速度(単位時間当たりの水素ガスの変化量)は、(α−γ)により表されるので、単位時間の時間幅をΔtで表すと、水素ガスの変化量は(α−γ)×Δtと表される。したがって、今回の演算時((n+1)回目の演算時)における水素分圧PH2(n+1)は、下記式(3)により算出することができる。K2は、水素ガスの変化量を水素分圧の変化量に変換するための定数であり、たとえば実験により求めることができる。このような手法を採用することにより、水素分圧PH2の変化を時間経過とともに遂次算出することが可能になるので、内圧Pの推定精度を向上させることができる。
H2(n+1)=PH2(n)+K2×(α−γ)×Δt ・・・(3)
<内圧推定処理フロー>
図6は、図3に示した内圧推定処理(S30の処理)を詳細に説明するためのフローチャートである。図6を参照して、S310において、ECU300は、組電池100の窒素分圧PN2を算出する。窒素分圧PN2は、実測された温度TBに基づいて算出されるが、窒素分圧PN2の温度依存性を予め求め、マップ(図示せず)としてメモリ302に格納しておくことにより、組電池100の温度TBから算出してもよい。
S320において、ECU300は、負極上での水素電流割合(1−η)を算出するとともに、正極上での副反応として酸素ガス発生に消費される電流の割合(以下、「酸素電流割合」とも称する)である(1−η)を算出する(ηは、正極上での通常反応の割合である)。酸素電流割合(1−η)は、たとえば、組電池100の極板間電圧V0と(1−η)との関係を示すマップMP3を用いて算出することができる。
図7は、組電池100の極板間電圧V0と電流割合(1−η),(1−η)との関係を示すマップの一例を示す図である。図7(A)には、複数の温度TBの検出値について、極板間電圧V0と水素電流割合(1−η)との関係を示すマップMP2が示されている。マップMP2を参照することによって、温度TBおよび極板間電圧V0から水素電流割合(1−η)を算出することができる。酸素電流割合(1−η)についても同様に、図7(B)に示すようなマップMP3を用いて算出することができる(詳細については特許文献1の図5参照)。
図6に戻り、S330において、ECU300は、酸素電流割合(1−η)と、電流IBとに基づいて、組電池100の酸素ガス発生速度δを算出する。酸素ガス発生速度δは、酸素ガス発生量を算出するために式(2)の定数K1が他の定数に適宜変更された式を用いて、水素ガス発生速度αと同様に算出することができる(詳細については特許文献1の式(2)または式(3)参照)。
S340において、ECU300は、組電池100の酸素ガス吸収速度εを算出する。酸素ガス吸収速度εの算出には、たとえば、組電池100内の酸素分圧PO2と酸素ガス吸収速度εとの関係を表すマップMP4を用いることができる。
図8は、酸素ガス吸収速度εを算出するためのマップMP4の一例を示す図である。図8に示すようなマップMP4を参照することにより、酸素分圧PO2から酸素ガス吸収速度εを算出することができる。なお、酸素分圧PO2と酸素ガス吸収速度εとの関係は温度依存性を有するので、図8に示すように、組電池100の温度TB毎に当該関係を求めておくことが望ましい。
図6に戻り、S350において、ECU300は、酸素ガス発生速度δと酸素ガス吸収速度εとの差(δ−ε)に基づいて、すなわち組電池100内の酸素ガス変化速度に基づいて、酸素分圧PO2を算出する。より具体的には、酸素分圧PO2は、下記式(4)により算出することができる。なお、K3は、酸素ガスの変化量を酸素分圧PO2の変化量に変換するための定数である。PO2(n+1)は今回演算時における酸素分圧を示し、PO2(n)は、前回演算時(単位時間前の演算時)における酸素分圧を示す。
O2(n+1)=PO2(n)+K3×(δ−ε)×Δt ・・・(4)
S360において、ECU300は、S320にて算出された水素電流割合(1−η)と、電流IBとに基づいて、組電池100の水素ガス発生速度αを算出する。水素ガス発生速度αの算出手法については式(2)にて詳細に説明したため、ここでは説明は繰り返さない。
S370において、ECU300は、マップMP1(図5参照)を参照することによって、温度TBから組電池100の水素ガス吸収速度γを算出する。
S380において、ECU300は、上記式(3)に従って、水素ガス発生速度αおよび水素ガス吸収速度γに基づいて水素分圧PH2を算出する。
S390において、ECU300は、S310にて算出された窒素分圧PN2と、S350にて算出された酸素分圧PO2と、S380にて算出された水素分圧PH2の和を算出することで内圧Pを算出する(P=PN2+PO2+PH2)。その後、処理は図3に示したS40へと戻される。
図9は、本実施の形態における内圧推定処理による内圧Pの推定結果を示す図である。図9(A)には、内圧Pが上昇するような電圧VBが印加された場合の内圧P(および各分圧)の推定結果が示されている。図9(B)には、内圧Pが低下するような電圧VBが印加された場合の内圧P(および各分圧)の推定結果が示されている。
図9(A)を参照して、印加された電圧VBに追従して水素分圧PH2(および内圧P)が増加していることが分かる。また、図9(B)を参照して、印加された電圧VBに追従して水素分圧PH2(および内圧P)が低下していることが分かる。
以上のように、本実施の形態によれば、水素ガス発生速度αおよび水素ガス吸収速度γに基づいて水素分圧PH2が算出される。これにより、水素分圧PH2の温度依存性を用いて組電池100の温度TBから水素分圧PH2を算出する構成と比べて、水素分圧PH2の推定精度を向上させることができる。また、図4に示した測定結果のように、組電池100の内部に圧カセンサ、酸素濃度センサ、水素濃度センサ、温度センサおよび湿度センサ(いずれも図示せず)を設置しなくても、精度良く水素分圧PH2を算出することが可能である。したがって、内圧Pの推定精度を向上させることができる。その結果、内圧Pに基づいて組電池100の充電電力を制限する処理(図3に示した処理)を高精度に実行することが可能になる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、2 二次電池システム、10,20 モータジェネレータ、30 動力分割機構、40 エンジン、50 駆動輪、100 組電池、101 セル、102 ケース、103 安全弁、104 電極体、110 電圧センサ、120 電流センサ、130 温度センサ、300 ECU、301 CPU、302 メモリ。

Claims (3)

  1. ニッケル水素電池である二次電池と、
    前記二次電池の電圧を検出する電圧センサと、
    前記二次電池に入出力される電流を検出する電流センサと、
    前記二次電池の温度を検出する温度センサと、
    前記二次電池の電圧、電流および温度の検出値を用いて前記二次電池の内圧を推定する推定装置とを備え、
    前記推定装置は、
    前記二次電池の温度の検出値を用いて前記二次電池の窒素分圧を算出し、
    前記二次電池の電圧、電流および温度の検出値を用いて前記二次電池の酸素分圧を算出し、
    前記二次電池の電圧、電流および温度の検出値から算出される前記二次電池の総電流のうち負極活物質に流れた電流割合を示すパラメータ、ならびに、前記二次電池の電流の検出値を用いて、水素ガス発生速度を算出し、
    所定時間前に算出された前記二次電池の水素分圧と、前記二次電池の温度から算出される平衡水素圧との差、および、前記二次電池の温度の検出値を用いて、水素ガス吸収速度を算出し、
    前記水素ガス発生速度および前記水素ガス吸収速度から前記二次電池の水素分圧を算出し、
    前記窒素分圧、前記酸素分圧および前記水素分圧の和を算出することで前記二次電池の内圧を推定する、二次電池システム。
  2. 前記推定装置は、
    前記水素ガス発生速度と前記水素ガス吸収速度との差に前記所定時間を乗算することにより前記二次電池内における水素ガスの変化量を算出し、
    算出された前記水素ガスの変化量に所定の定数を乗算することによって前記所定時間が経過する間の前記水素分圧の変化量を算出し、
    算出された前記水素分圧の変化量を、前記所定時間前に算出された水素分圧に加算することによって、前記所定時間が経過した後の前記水素分圧を算出する、請求項に記載の二次電池システム。
  3. 前記推定装置は、前記二次電池の電圧、電流および温度の検出値を用いて前記二次電池における酸素ガス発生速度および酸素ガス吸収速度を算出し、算出された前記酸素ガス発生速度および前記酸素ガス吸収速度から前記二次電池の酸素分圧を算出する、請求項1または2に記載の二次電池システム。
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