JP6953156B2 - シリカシート - Google Patents
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Description
例えば、シリカは吸水性と、吸着した水を放出する特性を有しており、吸水材としての利用が期待されている。
例えば、シリカを含有するシート(シリカシート)としては、シリカとセルロース繊維とを、1:10000〜1:1の比率で含有するシートが開示されている(特許文献1参照)。
本発明のシリカシートは、シリカ及びセルロースナノファイバー(本明細書においては、「CNF」と略記することがある)を含有し、[シリカの含有量(質量部)]/[セルロースナノファイバーの含有量(質量部)]の比(本明細書においては、「シリカ/CNF質量比」と略記することがある)が、1より大きく12以下のものである。
なお、本明細書においては、シリカシートを単に「シート」と略記することがある。
また、前記シリカシートは、軽量で取り扱い性にも優れる。
シート形成用組成物のろ過は、公知の方法で行えばよく、吸引ろ過であることが好ましい。
シート形成用組成物の塗工方法は、特に限定されず、液状組成物の公知の各種塗工方法でよい。
例えば、加熱送風乾燥の場合には、乾燥温度は80〜120℃であることが好ましく、乾燥時間は10分〜12時間であることが好ましい。
シート形成用組成物としては、例えば、シリカ、セルロースナノファイバー、溶媒、及び必要に応じてこれらのいずれにも該当しない他の成分を含有するものが挙げられる。
前記シリカは、特に限定されず、公知のものでよいが、非晶質シリカであることが好ましく、粒子状(微粒子)であることが好ましい。
乾式シリカは、例えば、四塩化ケイ素を酸素・水素炎中で燃焼させる燃焼法で得られる。
湿式シリカは、例えば、ケイ酸ナトリウムを無機酸で中和する沈殿法若しくはゲル法、又はアルコキシシランを加水分解するゾルゲル法等で得られる。
前記非晶質シリカは、湿式シリカであることが好ましい。
非晶質シリカの比表面積は、例えば、透過法、窒素等の気体分子を利用する気体吸着法等の、公知の方法で測定できる。
なお、本明細書において、「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、コールターカウンターを用いる方法で測定された、体積累積分布の中央値D50を意味する。
なお、本明細書においては、例えば、シリカが非晶質シリカである場合には、その前記比表面積、平均粒子径、吸油量及び細孔容積、並びにこれら以外の一以上の他の物性が互いに明らかに相違する場合、シリカの種類が互いに異なるものとする。
セルロースナノファイバー(CNF)は、前記シリカシートにおいては、バインダーとして機能し、前記シート形成用組成物においては、シリカの分散剤として機能していると推測される。
特に、セルロースナノファイバーは、他のオリゴマー又はポリマーとは異なり、微小繊維のネットワークが多数安定して形成可能であるため、バインダー及び分散剤として、特に優れていると推測される。
セルロースナノファイバーとして、より具体的には、例えば、セルロース若しくはその誘導体で、繊維幅が3〜200nmのミクロフィブリル又はミクロフィブリル集合体となっているものが挙げられる。
セルロースナノファイバー前駆体としては、例えば、酸化セルロース、すなわちセルロースの酸化処理により、セルロース分子中のグルコピラノース環の少なくとも一部にカルボキシ基が導入されたもの、を用いてもよい。
前記セルロース原料としては、例えば、セルロースIの結晶構造を有する天然由来のセルロースが挙げられ、より具体的には、例えば、各種木材パルプ、非木材パルプ、バクテリアセルロース、古紙パルプ、コットン、バロニアセルロース、ホヤセルロース等が挙げられる。
セルロース粉末、微結晶セルロース粉末等の各種市販品も、セルロース原料として使用できる。
解繊処理により得られた処理物が、セルロースナノファイバーであることは、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、前記処理物の繊維を観察することにより確認できる。
シート形成用組成物における前記溶媒は、シート形成用組成物に流動性を付与し、シート形成用組成物中の溶媒以外の含有成分を溶解又は分散させる。
シート形成用組成物において、シリカ、セルロースナノファイバー、又は前記他の成分を分散物又は溶液として配合し、そのときの分散媒又は溶媒として使用したもの以外に、溶媒を使用しなかった場合には、前記溶媒とは、分散物の調製に使用した前記分散媒、又は溶液の調製に使用した前記溶媒を意味する。
また、分散物の調製に使用した前記分散媒、又は溶液の調製に使用した前記溶媒以外に、別途溶媒を配合した場合には、前記溶媒とは、前記分散媒又は溶媒と、この別途配合した溶媒と、の双方を意味する。そして、シリカ、セルロースナノファイバー、及び前記他の成分をいずれも固形物として配合した場合には、前記溶媒とは、これらとは別に配合した溶媒を意味する。
前記溶媒としては、例えば、水、アルコール等が挙げられる。
前記他の成分は、本発明の効果を損なわないものであれば、特に限定されず、例えば、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。
前記他の成分で好ましいものとしては、例えば、セルロースナノファイバー以外のバインダー、酸化防止剤、防腐剤等が挙げられる。
セルロースナノファイバー以外のバインダーとしては、例えば、水溶性高分子が挙げられる。
前記水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール;カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール;酸化デンプン;リン酸エステル化デンプン;ローコンス;カゼイン;カルボキシメチルセルロース(CMC);エステル系ポリウレタン、カーボネート系ポリウレタン等のポリウレタン等が挙げられる。
前記ポリウレタンは、例えば、カチオン性、アニオン性及び非イオン性のいずれであってもよい。
前記含有量の割合(シリカシートの前記他の成分の含有量)の下限値は、特に限定されず、0質量%であってもよいが、例えば、0.1質量%であれば、前記他の成分を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
前記含有量の割合(シリカシートのシリカ及びセルロースナノファイバーの合計含有量)の上限値は、特に限定されず、100質量%であってもよいが、例えば、99.9質量%であれば、前記他の成分を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
シート形成用組成物は、シリカ、セルロースナノファイバー、溶媒、及び必要に応じて前記他の成分を配合して、これら配合成分を十分に撹拌することで製造できる。シート形成用組成物において、シリカ、セルロースナノファイバー等の溶解していない成分は、均一に分散されていることが好ましい。
また、各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
撹拌は、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを使用して混合する方法等、分散物を調製する公知の方法で行えばよい。撹拌時間は、製造するシート形成用組成物の総量や撹拌方法等に応じて、適宜調節すればよく、例えば、10分〜24時間であることが好ましい。
前記シリカシートは、上述のように、水をはじめとする種々の物質の吸着能及び放出能を有する。
シリカシートの吸着及び放出の対象となる物質は、1種のみの単一物質であってもよいし、2種以上の物質の混合物であってもよい。
一方、シリカシートは、十分な量の物質を吸着している場合には、吸着可能な物質の量が少ない環境下に置くことで、この吸着している物質を容易に放出する。すなわち、シリカシートは、物質の放出材としても利用できる。シリカシートは、例えば、気体中及び液体中のいずれにおいても、吸着している物質を放出できる。
吸着及び放出対象の物質で好ましいものとしては、例えば、前記他の成分として挙げた酸化防止剤;防腐剤;水;カリウム原子(K)含有化合物、窒素原子(N)含有化合物、リン原子(P)含有化合物等の肥料用の化合物;農薬;植物の種子;芳香を有する化合物(香料等)等が挙げられる。
例えば、水、肥料用の化合物、農薬又は植物の種子を吸着しているシリカシートは、植物を直接保持して栽培するための植物栽培用基材;植物を栽培する土壌に混ぜて、土壌に水、肥料用の化合物、農薬又は植物の種子を供給するための土壌改良材等として、利用できる。
芳香を有する化合物を吸着しているシリカシートは、例えば、芳香剤として利用できる。
なお、ここに挙げた用途は一例であり、シリカシートの用途は、これらに限定されない。
また、物質を全く吸着していないか、又は物質の吸着量が少ないシリカシートも、各種の機能性材料として利用できる。
例えば、シリカシートは、吸水性に優れることから、吸水シート、コップのコースター、汗吸収パッド、履物の中敷き、ペット用トイレシート、壁紙、バスマット等として利用できる。
また、前記シリカシートは、水以外の成分の吸着後も、その成分の種類又は量によっては、反りの抑制が可能である。
このように、前記シリカシートは、形状安定性が高いため、実用性が高い。
[実施例1]
イオン交換水(39.6g)にシリカ(東ソー・シリカ社製「AY−8A2」、D50:8μm、吸油量:250mL/100g、比表面積:350m2/g)(4.8g)を添加し、撹拌翼を用いて、250rpmで1時間撹拌することで、シリカの水分散液を得た。
次いで、得られたシリカの水分散液に、濃度が2質量%のセルロースナノファイバー水分散液(スギノマシン社製「WMa−1002」)(120g)を添加し、室温(23℃)下で、250rpmで1時間撹拌することで、水分散液であるシート形成用組成物を得た。
次いで、得られたシート形成用組成物を41.1g計り取り、水が出てこなくなるまで吸引ろ過し、分離された固形物を、そのシート状の形状を維持したまま、オーブンを用いて105℃で1時間乾燥させることで、シリカシート(厚さ1.12mm、質量1.80g)を得た。
表1に、シート形成用組成物の製造時における、溶媒(水)以外の配合成分の配合量(固形分量)を示す。
シート形成用組成物の製造時における配合成分の種類及び配合量のいずれか一方又は両方を、表1に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で、シリカシート又は比較用のシートを製造した。
なお、表1中、配合成分の欄の「−」との記載は、その成分が未配合であることを意味する。
カルボキシメチルセルロース(CMC)としては、第一工業製薬社製「セロゲン7A」を用いた。
上記で得られたシリカシート又は比較用のシートについて、下記項目を評価した。結果を表2に示す。
上記の方法で得られた乾燥後のシートについて、固さ及び強度の観点から、安定性について、下記基準で評価した。
(評価基準)
A:シートが十分に固く、十分な強度を有している。
B:シートが固く、実用上問題ない強度を有している。
C:シートが小さい衝撃で簡単に割れ、強度が不十分である。
D:シートに割れ等の破損が見られるか、又はシート形状となっておらず、粉体となっている。
容量100mLの透明容器の開口部に、上記で得られたシートを水平に載置し、上方からシートに水を1滴ずつ滴下していき、シートの裏面から透明容器内に水が漏れ出た時点でのシートの質量(水漏出時のシートの質量)を測定した。そして、下記式にしたがって、シートの吸水能に相当する数値(倍数)を求めた。なお、水漏出時のシートの質量と、吸水前のシートの質量と、の差は、シートの吸水量である。
[シートの吸水能(倍)]=([水漏出時のシートの質量(g)]−[吸水前のシートの質量(g)])/[吸水前のシートの質量(g)]
吸水能評価時のシートを、オーブンを用いて105℃で1時間乾燥させた。次いで、シートの反りの有無を確認し、反りがある場合には、シートの両面のうち、凸状となっている面(凸面)を水平面に接触させて水平面上に載置し、シートの4隅のうち、シートを載置した水平面からの高さが最も高くなっているところの、この高さ(cm)を測定して、反りの値(cm)とした。
図1から、このシートにおいては、セルロースナノファイバーの微小なネットワークによって、シリカの粒子が安定して保持されていると推測された。
比較例2のシートは、シリカを用いたものの、その使用量が少な過ぎた(シリカ/CNF質量比が小さ過ぎた)ため、比較例1のシートと同様の結果となった。
比較例3のシートは、シリカの使用量が比較例1のシートよりも多かったものの、まだ少なかった(シリカ/CNF質量比がまだ小さ過ぎた)ため、比較例1及び2のシートと同様の結果となった。
比較例5では、比較例4よりも、さらにシリカの使用量が多過ぎた(シリカ/CNF質量比が大き過ぎた)ため、シート形成用組成物の吸引ろ過が終了した段階で、シートの一部は既に割れてしまっており、吸水能及び吸水後の反りについては評価できなかった。
比較例6では、セルロースナノファイバーを使用せず、バインダーを一切使用しなかったため、シリカの水分散液の吸引ろ過が終了した段階で、ろ過物(シリカ)はシート形状となっておらず、粉体となっていた。そのため、吸水能及び吸水後の反りについては評価できなかった。
また、実施例1及び比較例7〜8における、シート製造時の乾燥が終了した段階での、乾燥物(シート又は粉体)の撮像データを図3〜図5に示す。図3が実施例1での撮像データであり、図4が比較例7での撮像データであり、図5が比較例8での撮像データである。
[試験例1]
実施例1の場合と同じ方法で、シリカ及びセルロースナノファイバーを含有する水分散液である、シート形成用組成物(本明細書においては、「組成物(I)」と略記することがある)を調製した。
また、セルロースナノファイバーを使用しなかった点以外は、このシート形成用組成物(組成物(I))の場合と同じ方法で、比較用の組成物(本明細書においては、「組成物(II)」と略記することがある)を調製した。すなわち、組成物(II)は、組成物(I)と同じ含有量でシリカを含有し、セルロースナノファイバーを含有しない。
次いで、得られた組成物(I)及び組成物(II)を、それぞれ別々に透明容器に入れ、封をした後、析出物を均一に分散させ、室温下で1日静置保管した。
次いで、これら透明容器を、上下を逆にしてひっくり返し、静置して、直ちに、透明容器内部の組成物(I)及び組成物(II)を目視観察した。このとき取得した組成物(I)及び組成物(II)の撮像データを図6に示す。
これに対して、組成物(I)の場合には、ひっくり返した透明容器の底部には、一切沈殿物が付着しておらず、分散液の状態が維持されていた。すなわち、組成物(I)は、静置保存中からこの目視観察時まで、沈殿が発生せず、分散液の状態が維持されていた。
これらの結果から、上述のシート形成用組成物のような水分散液中では、セルロースナノファイバーが、共存するシリカの分散剤として機能することを確認できた。
[実施例5]
実施例1で得られたシートを用いて、室温下で飽和塩化カリウム水溶液を吸引ろ過した。
次いで、このシートをオーブン内で、105℃で1時間乾燥させた。
次いで、この乾燥後のシートを、室温下で純水中に5分間浸漬した。このとき、シート全体が純水中に浸かるようにした。
次いで、浸漬させていたシートを純水中から取り出し、シートを取り出した後の純水を完全に乾燥させて取り除き、固体の残存物を回収して、この固体について、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)を行った。
その結果、塩化カリウムが示すピークと一致するピークを観測でき、純水中に塩化カリウムが存在していたことを確認できた。これは、飽和塩化カリウム水溶液の吸引ろ過時に、前記シートに塩化カリウムが吸着されたのち、この塩化カリウムが前記シートから純水中に放出されたことを示していた。
実施例1で得られたシートを、室温下で飽和塩化カリウム水溶液中に5分間浸漬した。このとき、シート全体が飽和塩化カリウム水溶液中に浸かるようにした。
次いで、浸漬させていたシートを飽和塩化カリウム水溶液中から取り出し、オーブン内で、105℃で1時間乾燥させた。
次いで、この乾燥後のシートを、室温下で純水中に5分間浸漬した。このとき、シート全体が純水中に浸かるようにした。
次いで、浸漬させていたシートを純水中から取り出し、シートを取り出した後の純水を完全に乾燥させて取り除き、固体の残存物を回収して、この固体について、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)を行った。
その結果、実施例5の場合と同様に、塩化カリウムが示すピークと一致するピークを観測でき、純水中に塩化カリウムが存在していたことを確認できた。このときの分析結果を、塩化カリウムの分析結果とともに図7に示す。これは、飽和塩化カリウム水溶液への浸漬時に、前記シートに塩化カリウムが吸着されたのち、実施例5の場合と同様に、この塩化カリウムが前記シートから純水中に放出されたことを示していた。
Claims (2)
- シリカ及びセルロースナノファイバーを含有するシリカシートであって、
[シリカの含有量(質量部)]/[セルロースナノファイバーの含有量(質量部)]の比が、2〜8であり、
前記シリカが、平均粒子径が0.5〜15μmの非晶質シリカであり、
前記シリカシートが、物質の吸着用又は放出用である、シリカシート。 - 前記比が、3〜5.4である、請求項1に記載のシリカシート。
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