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JP6953156B2 - シリカシート - Google Patents
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Description

本発明は、シリカシートに関する。
シリカ(二酸化ケイ素、SiO)は、砂の主成分であり、地殻の約60%がシリカを含む鉱物で構成されているといわれている。このように、シリカは自然界に豊富に存在し、製造も比較的容易であることから、低コストで製造できる。さらに、シリカは、多孔質で表面積が広いことに起因して、種々の物質を吸着し易く、吸着した物質を、周辺の環境に依存して容易に放出するという特性を有する。したがって、シリカは工業材料として利用価値が高い。
例えば、シリカは吸水性と、吸着した水を放出する特性を有しており、吸水材としての利用が期待されている。
一方、シリカは通常、粉体であり、特に大量に使用する場合には飛散し易く、取り扱い難いという欠点がある。そこで、バインダーとして機能する物質を併用して、シリカを特定の形状に成形することが試みられている。
例えば、シリカを含有するシート(シリカシート)としては、シリカとセルロース繊維とを、1:10000〜1:1の比率で含有するシートが開示されている(特許文献1参照)。
特開2014−176510号公報
しかし、特許文献1で開示されているものなど、従来のシリカシートは、吸水した状態で大きな反りが発生し易く、実用性に劣るという問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シリカを含有し、吸水後の反りが抑制されるシリカシートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、シリカ及びセルロースナノファイバーを含有し、[シリカの含有量(質量部)]/[セルロースナノファイバーの含有量(質量部)]の比が、1より大きく12以下である、シリカシートを提供する。
本発明によれば、シリカを含有し、吸水後の反りが抑制されるシリカシートが提供される。
実施例1で得られたシートの電子顕微鏡での撮像データである。 実施例1〜3及び比較例1〜3における、シートのシリカ/CNF質量比と吸水能(倍)との関係を表すグラフである。 実施例1における、シート製造時の乾燥が終了した段階での、乾燥物(シート)の撮像データである。 比較例7における、シート製造時の乾燥が終了した段階での、乾燥物(シート)の撮像データである。 比較例8における、シート製造時の乾燥が終了した段階での、乾燥物(粉体)の撮像データである。 試験例1における、透明容器内部の組成物(I)及び組成物(II)の撮像データである。 実施例6におけるFT−IRの分析結果を示すデータである。
<<シリカシート及びその製造方法>>
本発明のシリカシートは、シリカ及びセルロースナノファイバー(本明細書においては、「CNF」と略記することがある)を含有し、[シリカの含有量(質量部)]/[セルロースナノファイバーの含有量(質量部)]の比(本明細書においては、「シリカ/CNF質量比」と略記することがある)が、1より大きく12以下のものである。
なお、本明細書においては、シリカシートを単に「シート」と略記することがある。
本発明のシリカシートは、前記シリカ/CNF質量比がこのような特定の範囲内であることにより、水をはじめとする種々の物質の吸着能及び放出能を有し、吸水後の反りも抑制されている。
また、前記シリカシートは、軽量で取り扱い性にも優れる。
シリカシートは、これを構成するための成分と、溶媒と、を含有するシート形成用組成物を用いて形成できる。より具体的には、シリカシートは、例えば、前記シート形成用組成物をろ過等により脱液し、得られたシート状の固形物を乾燥させる方法;前記シート形成用組成物を、シリカシートの形成対象物の表面に塗工し、得られたシート状の塗工物を乾燥させる方法、等により製造できる。
シート形成用組成物のろ過は、公知の方法で行えばよく、吸引ろ過であることが好ましい。
シート形成用組成物の塗工方法は、特に限定されず、液状組成物の公知の各種塗工方法でよい。
シート形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、シリカシートの前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
シート形成用組成物は、送風乾燥、加熱送風乾燥等、公知の方法で乾燥させればよい。乾燥温度、乾燥時間等の条件は、乾燥方法に応じて適宜設定すればよい。
例えば、加熱送風乾燥の場合には、乾燥温度は80〜120℃であることが好ましく、乾燥時間は10分〜12時間であることが好ましい。
<シート形成用組成物>
シート形成用組成物としては、例えば、シリカ、セルロースナノファイバー、溶媒、及び必要に応じてこれらのいずれにも該当しない他の成分を含有するものが挙げられる。
[シリカ]
前記シリカは、特に限定されず、公知のものでよいが、非晶質シリカであることが好ましく、粒子状(微粒子)であることが好ましい。
前記非晶質シリカとしては、例えば、乾式シリカ及び湿式シリカ等の合成非晶質シリカが挙げられる。
乾式シリカは、例えば、四塩化ケイ素を酸素・水素炎中で燃焼させる燃焼法で得られる。
湿式シリカは、例えば、ケイ酸ナトリウムを無機酸で中和する沈殿法若しくはゲル法、又はアルコキシシランを加水分解するゾルゲル法等で得られる。
前記非晶質シリカは、湿式シリカであることが好ましい。
非晶質シリカの比表面積は、50〜500m/gであることが好ましく、100〜400m/gであることがより好ましい。非晶質シリカの比表面積が前記下限値以上であることで、シリカシートの吸着対象物の吸着量がより多くなる。また、非晶質シリカの比表面積が前記上限値以下であることで、セルロースナノファイバー等の、シリカ以外の目的外の成分が、シリカの内部へ取り込まれることの抑制効果がより高くなる。
非晶質シリカの比表面積は、例えば、透過法、窒素等の気体分子を利用する気体吸着法等の、公知の方法で測定できる。
非晶質シリカの平均粒子径は、0.5〜15μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。前記平均粒子径が前記下限値以上であることで、シリカシートにおける非晶質シリカの粒子間の空隙部が適度な広さで保たれ、吸着対象物の吸着量及び吸着速度がより増大する。また、前記平均粒子径が前記上限値以下であることで、シリカシートの表面における凹凸の程度が低減される。
なお、本明細書において、「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、コールターカウンターを用いる方法で測定された、体積累積分布の中央値D50を意味する。
非晶質シリカの吸油量は、100〜350mL/100gであることが好ましく、150〜300mL/100gであることがより好ましい。前記吸油量が前記下限値以上であることで、シリカシートの吸着対象物の吸着量がより増大する。また、前記吸油量が前記上限値以下であることで、シリカシートを製造するための、後述するシート形成用組成物の流動性がより向上し、シリカシートをより容易に製造できる。
非晶質シリカの細孔容積は、0.5mL/g以上であることが好ましい。前記細孔容積が前記下限値以上であることで、シリカシートの吸着対象物の吸着量がより増大する。また、前記細孔容積の上限値は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されず、例えば、2.0mL/gであってもよい。
前記シリカシート及びシート形成用組成物が含有するシリカは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
なお、本明細書においては、例えば、シリカが非晶質シリカである場合には、その前記比表面積、平均粒子径、吸油量及び細孔容積、並びにこれら以外の一以上の他の物性が互いに明らかに相違する場合、シリカの種類が互いに異なるものとする。
[セルロースナノファイバー(CNF)]
セルロースナノファイバー(CNF)は、前記シリカシートにおいては、バインダーとして機能し、前記シート形成用組成物においては、シリカの分散剤として機能していると推測される。
特に、セルロースナノファイバーは、他のオリゴマー又はポリマーとは異なり、微小繊維のネットワークが多数安定して形成可能であるため、バインダー及び分散剤として、特に優れていると推測される。
セルロースナノファイバーは、特に限定されず、公知のものでよい。
セルロースナノファイバーとして、より具体的には、例えば、セルロース若しくはその誘導体で、繊維幅が3〜200nmのミクロフィブリル又はミクロフィブリル集合体となっているものが挙げられる。
セルロースナノファイバーは、公知の製造方法により製造でき、例えば、水等の分散媒中で、セルロースナノファイバー前駆体に対して解繊処理を行うことにより、セルロースナノファイバー分散液を得る工程を有する製造方法で製造できる。
前記セルロースナノファイバー前駆体は、解繊処理が施されていないセルロース類であり、例えば、ミクロフィブリルの集合体で構成される。
セルロースナノファイバー前駆体としては、例えば、酸化セルロース、すなわちセルロースの酸化処理により、セルロース分子中のグルコピラノース環の少なくとも一部にカルボキシ基が導入されたもの、を用いてもよい。
セルロースナノファイバー前駆体を得るためのセルロース原料は、セルロースを含むものであれば特に限定されない。
前記セルロース原料としては、例えば、セルロースIの結晶構造を有する天然由来のセルロースが挙げられ、より具体的には、例えば、各種木材パルプ、非木材パルプ、バクテリアセルロース、古紙パルプ、コットン、バロニアセルロース、ホヤセルロース等が挙げられる。
セルロース粉末、微結晶セルロース粉末等の各種市販品も、セルロース原料として使用できる。
セルロースナノファイバー前駆体の解繊処理の方法は、特に限定されない。具体的な解繊処理の方法としては、例えば、超音波ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、対向衝突型ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、遊星ミル、高速回転ミキサー、磨砕用グラインダー等を用いた、機械的解繊処理法が挙げられる。
解繊処理により得られた処理物が、セルロースナノファイバーであることは、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、前記処理物の繊維を観察することにより確認できる。
前記シリカシート及びシート形成用組成物において、[シリカの含有量(質量部)]/[セルロースナノファイバーの含有量(質量部)]の比(シリカ/CNF質量比)は、1より大きく12以下であり、1.1〜12であることが好ましく、1.3〜11.5であることがより好ましく、1.5〜11であることがさらに好ましく、1.7〜10.5であることが特に好ましい。シリカ/CNF質量比が前記下限値以上であることで、シリカシートの吸着対象物の吸着量(例えば、吸水量)が増大し、さらに、吸水後のシリカシートの反りが抑制される。一方、シリカ/CNF質量比が前記上限値以下であることで、シリカシートの固さ及び強度が向上し、シリカシートの安定性が向上する。
なかでも、シリカ/CNF質量比が、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは4.5以上、特に好ましくは5以上である場合、吸水後のシリカシートの反り抑制効果が顕著に高くなる。この場合のシリカ/CNF質量比の上限値は、上述のいずれかの数値であってもよく、シリカ/CNF質量比は、好ましくは12以下、より好ましくは11.5以下、さらに好ましくは11以下、特に好ましくは10.5以下である。これら下限値及び上限値は、任意に組み合わせることができる。
一方、シリカ/CNF質量比が、好ましくは9以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは7以下、特に好ましくは6以下である場合、シリカシートの固さ及び強度が顕著に向上する。この場合のシリカ/CNF質量比の下限値は、上述のいずれかの数値であってもよく、シリカ/CNF質量比は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.7以上である。これら下限値及び上限値は、任意に組み合わせることができる。
[溶媒]
シート形成用組成物における前記溶媒は、シート形成用組成物に流動性を付与し、シート形成用組成物中の溶媒以外の含有成分を溶解又は分散させる。
シート形成用組成物において、シリカ、セルロースナノファイバー、又は前記他の成分を分散物又は溶液として配合し、そのときの分散媒又は溶媒として使用したもの以外に、溶媒を使用しなかった場合には、前記溶媒とは、分散物の調製に使用した前記分散媒、又は溶液の調製に使用した前記溶媒を意味する。
また、分散物の調製に使用した前記分散媒、又は溶液の調製に使用した前記溶媒以外に、別途溶媒を配合した場合には、前記溶媒とは、前記分散媒又は溶媒と、この別途配合した溶媒と、の双方を意味する。そして、シリカ、セルロースナノファイバー、及び前記他の成分をいずれも固形物として配合した場合には、前記溶媒とは、これらとは別に配合した溶媒を意味する。
前記溶媒としては、例えば、水、アルコール等が挙げられる。
シート形成用組成物が含有する前記溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[他の成分]
前記他の成分は、本発明の効果を損なわないものであれば、特に限定されず、例えば、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。
前記他の成分で好ましいものとしては、例えば、セルロースナノファイバー以外のバインダー、酸化防止剤、防腐剤等が挙げられる。
シリカシート及びシート形成用組成物が含有する前記他の成分は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(セルロースナノファイバー以外のバインダー)
セルロースナノファイバー以外のバインダーとしては、例えば、水溶性高分子が挙げられる。
前記水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール;カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール;酸化デンプン;リン酸エステル化デンプン;ローコンス;カゼイン;カルボキシメチルセルロース(CMC);エステル系ポリウレタン、カーボネート系ポリウレタン等のポリウレタン等が挙げられる。
前記ポリウレタンは、例えば、カチオン性、アニオン性及び非イオン性のいずれであってもよい。
シート形成用組成物における、溶媒以外の成分の総含有量に対する、前記他の成分の含有量の割合(すなわち、シリカシートの前記他の成分の含有量)は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることが特に好ましく、例えば、4質量%以下、2質量%以下及び1質量%以下等のいずれかであってもよい。
前記含有量の割合(シリカシートの前記他の成分の含有量)の下限値は、特に限定されず、0質量%であってもよいが、例えば、0.1質量%であれば、前記他の成分を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
換言すると、シート形成用組成物における、溶媒以外の成分の総含有量に対する、シリカ及びセルロースナノファイバーの合計含有量の割合(すなわち、シリカシートのシリカ及びセルロースナノファイバーの合計含有量)は、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましく、94質量%以上であることが特に好ましく、例えば、96質量%以上、98質量%以上及び99質量%以上等のいずれかであってもよい。
前記含有量の割合(シリカシートのシリカ及びセルロースナノファイバーの合計含有量)の上限値は、特に限定されず、100質量%であってもよいが、例えば、99.9質量%であれば、前記他の成分を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
<シート形成用組成物の製造方法>
シート形成用組成物は、シリカ、セルロースナノファイバー、溶媒、及び必要に応じて前記他の成分を配合して、これら配合成分を十分に撹拌することで製造できる。シート形成用組成物において、シリカ、セルロースナノファイバー等の溶解していない成分は、均一に分散されていることが好ましい。
各成分の配合順序は特に限定されない。
また、各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
各成分の配合時の温度は特に限定されず、配合成分の種類等に応じて適宜調節すればよいが、通常は、15〜30℃であることが好ましい。
撹拌は、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを使用して混合する方法等、分散物を調製する公知の方法で行えばよい。撹拌時間は、製造するシート形成用組成物の総量や撹拌方法等に応じて、適宜調節すればよく、例えば、10分〜24時間であることが好ましい。
シート形成用組成物の製造方法としては、例えば、(i)シリカの分散液に、セルロースナノファイバーの溶液又は分散液を添加する工程を有する製造方法、(ii)セルロースナノファイバーの溶液又は分散液に、シリカの分散液を添加する工程を有する製造方法、(iii)セルロースナノファイバーの溶液又は分散液に、固体のシリカを添加した後、さらに溶媒を添加する工程を有する製造方法、等が挙げられる。
前記(i)〜(iii)の製造方法においては、シリカの分散液はシリカの水分散液であることが好ましく、セルロースナノファイバーの溶液又は分散液はセルロースナノファイバーの水分散液であることが好ましい。
セルロースナノファイバーの水分散液を用いる場合には、この水分散液は粘度が高いため、これに他の成分を添加してシート形成用組成物を得るときには、より強い撹拌条件を必要とする。したがって、セルロースナノファイバーの水分散液を用いる場合には、上記の製造方法の中でも、(i)の製造方法が好ましい。
前記シリカシートの厚さは、前記シリカシートの用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、好ましくは0.5〜3mm、より好ましくは0.8〜1.5mmとすることができる。
<<シリカシートの使用方法>>
前記シリカシートは、上述のように、水をはじめとする種々の物質の吸着能及び放出能を有する。
シリカシートの吸着及び放出の対象となる物質は、1種のみの単一物質であってもよいし、2種以上の物質の混合物であってもよい。
シリカシートは、物質(吸着対象物)を全く吸着していないか、又は物質の吸着量が少ない場合には、目的とする物質を接触させることで、十分な量のこの物質を容易に吸着する。すなわち、シリカシートは、物質の吸着材として利用できる。
一方、シリカシートは、十分な量の物質を吸着している場合には、吸着可能な物質の量が少ない環境下に置くことで、この吸着している物質を容易に放出する。すなわち、シリカシートは、物質の放出材としても利用できる。シリカシートは、例えば、気体中及び液体中のいずれにおいても、吸着している物質を放出できる。
前記シリカシートの吸着及び放出の対象となる物質は、特に限定されないが、液体又は気体であることが好ましい。
吸着及び放出対象の物質で好ましいものとしては、例えば、前記他の成分として挙げた酸化防止剤;防腐剤;水;カリウム原子(K)含有化合物、窒素原子(N)含有化合物、リン原子(P)含有化合物等の肥料用の化合物;農薬;植物の種子;芳香を有する化合物(香料等)等が挙げられる。
十分な量の目的物質を吸着しているシリカシートは、各種の機能性材料として利用できる。
例えば、水、肥料用の化合物、農薬又は植物の種子を吸着しているシリカシートは、植物を直接保持して栽培するための植物栽培用基材;植物を栽培する土壌に混ぜて、土壌に水、肥料用の化合物、農薬又は植物の種子を供給するための土壌改良材等として、利用できる。
芳香を有する化合物を吸着しているシリカシートは、例えば、芳香剤として利用できる。
なお、ここに挙げた用途は一例であり、シリカシートの用途は、これらに限定されない。
一方、物質を全く吸着していないか、又は物質の吸着量が少ないシリカシートは、例えば、前記機能性材料の製造原料として利用できる。
また、物質を全く吸着していないか、又は物質の吸着量が少ないシリカシートも、各種の機能性材料として利用できる。
例えば、シリカシートは、吸水性に優れることから、吸水シート、コップのコースター、汗吸収パッド、履物の中敷き、ペット用トイレシート、壁紙、バスマット等として利用できる。
前記シリカシートは、例えば、吸水量を、非吸水時(換言すると乾燥時)のシリカシートの質量に対して、好ましくは1.3質量倍以上とすることができ、例えば、1.7質量倍以上、及び2.0質量倍以上等のいずれかとすることもできる。一方、前記シリカシートは、吸水量を、非吸水時のシリカシートの質量に対して、好ましくは3質量倍以下とすることができる。前記シリカシートの吸水量は、これら下限値及び上限値を任意に組み合わせて、表すことができる。
前記シリカシートは、例えば、水中に浸漬しても、水中に分散又は溶解することがなく、安定してシート形状を維持できる。
前記シリカシートは、上述のように、種々の物質の吸着能を有するが、例えば、吸水性に優れることから、水の吸着又は放出用として好適であり、その場合、水の吸着後(吸水後)のシリカシートは、反りが抑制される。
また、前記シリカシートは、水以外の成分の吸着後も、その成分の種類又は量によっては、反りの抑制が可能である。
このように、前記シリカシートは、形状安定性が高いため、実用性が高い。
前記シリカシートは、対象物質の吸着及び放出を繰り返し行うことができるため、上述の用途で、繰返し使用可能であり、経済性が高い。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<<シリカシートの製造>>
[実施例1]
イオン交換水(39.6g)にシリカ(東ソー・シリカ社製「AY−8A2」、D50:8μm、吸油量:250mL/100g、比表面積:350m/g)(4.8g)を添加し、撹拌翼を用いて、250rpmで1時間撹拌することで、シリカの水分散液を得た。
次いで、得られたシリカの水分散液に、濃度が2質量%のセルロースナノファイバー水分散液(スギノマシン社製「WMa−1002」)(120g)を添加し、室温(23℃)下で、250rpmで1時間撹拌することで、水分散液であるシート形成用組成物を得た。
次いで、得られたシート形成用組成物を41.1g計り取り、水が出てこなくなるまで吸引ろ過し、分離された固形物を、そのシート状の形状を維持したまま、オーブンを用いて105℃で1時間乾燥させることで、シリカシート(厚さ1.12mm、質量1.80g)を得た。
表1に、シート形成用組成物の製造時における、溶媒(水)以外の配合成分の配合量(固形分量)を示す。
[実施例2〜4、比較例1〜8]
シート形成用組成物の製造時における配合成分の種類及び配合量のいずれか一方又は両方を、表1に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で、シリカシート又は比較用のシートを製造した。
なお、表1中、配合成分の欄の「−」との記載は、その成分が未配合であることを意味する。
ポリビニルアルコール(PVA)としては、クラレ社製「クラレポバールPVA117」(固形)を水に溶解させて、10質量水溶液としたものを用いた。
カルボキシメチルセルロース(CMC)としては、第一工業製薬社製「セロゲン7A」を用いた。
<<シリカシートの評価>>
上記で得られたシリカシート又は比較用のシートについて、下記項目を評価した。結果を表2に示す。
[安定性]
上記の方法で得られた乾燥後のシートについて、固さ及び強度の観点から、安定性について、下記基準で評価した。
(評価基準)
A:シートが十分に固く、十分な強度を有している。
B:シートが固く、実用上問題ない強度を有している。
C:シートが小さい衝撃で簡単に割れ、強度が不十分である。
D:シートに割れ等の破損が見られるか、又はシート形状となっておらず、粉体となっている。
[吸水能]
容量100mLの透明容器の開口部に、上記で得られたシートを水平に載置し、上方からシートに水を1滴ずつ滴下していき、シートの裏面から透明容器内に水が漏れ出た時点でのシートの質量(水漏出時のシートの質量)を測定した。そして、下記式にしたがって、シートの吸水能に相当する数値(倍数)を求めた。なお、水漏出時のシートの質量と、吸水前のシートの質量と、の差は、シートの吸水量である。
[シートの吸水能(倍)]=([水漏出時のシートの質量(g)]−[吸水前のシートの質量(g)])/[吸水前のシートの質量(g)]
[吸水後の反り]
吸水能評価時のシートを、オーブンを用いて105℃で1時間乾燥させた。次いで、シートの反りの有無を確認し、反りがある場合には、シートの両面のうち、凸状となっている面(凸面)を水平面に接触させて水平面上に載置し、シートの4隅のうち、シートを載置した水平面からの高さが最も高くなっているところの、この高さ(cm)を測定して、反りの値(cm)とした。
Figure 0006953156
Figure 0006953156
上記結果から明らかなように、実施例1〜4のシートは、シリカ/CNF質量比が2.0〜10.1であり、安定性が高く、吸水能が高く、吸水後の反りが十分に抑制されていた。実施例4のシートは、他の成分としてバインダーであるポリビニルアルコールを併用したものであるが、セルロースナノファイバーの作用は阻害されず、良好な特性を有していた。
実施例1で得られたシートの電子顕微鏡での撮像データ(倍率1000倍)を図1に示す。
図1から、このシートにおいては、セルロースナノファイバーの微小なネットワークによって、シリカの粒子が安定して保持されていると推測された。
これに対して、比較例1のシートは、シリカを使用せず(シリカシートではなく)、安定性は高かったが、吸水能が低く、それにも関わらず、吸水後の反りが極めて大きかった。
比較例2のシートは、シリカを用いたものの、その使用量が少な過ぎた(シリカ/CNF質量比が小さ過ぎた)ため、比較例1のシートと同様の結果となった。
比較例3のシートは、シリカの使用量が比較例1のシートよりも多かったものの、まだ少なかった(シリカ/CNF質量比がまだ小さ過ぎた)ため、比較例1及び2のシートと同様の結果となった。
比較例4のシートは、比較例1〜3とは反対に、シリカの使用量が多過ぎた(シリカ/CNF質量比が大き過ぎた)ため、安定性が低かった。比較例4のシートは、小さい衝撃で簡単に割れてしまったため、吸水能及び吸水後の反りについては評価できなかった。
比較例5では、比較例4よりも、さらにシリカの使用量が多過ぎた(シリカ/CNF質量比が大き過ぎた)ため、シート形成用組成物の吸引ろ過が終了した段階で、シートの一部は既に割れてしまっており、吸水能及び吸水後の反りについては評価できなかった。
比較例6では、セルロースナノファイバーを使用せず、バインダーを一切使用しなかったため、シリカの水分散液の吸引ろ過が終了した段階で、ろ過物(シリカ)はシート形状となっておらず、粉体となっていた。そのため、吸水能及び吸水後の反りについては評価できなかった。
比較例7では、セルロースナノファイバーを使用せず、バインダーとしてポリビニルアルコールを使用したため、シートの安定性が低かった。比較例7では、シート形成用組成物の吸引ろ過の途中の段階で、分離されたシート状の固形物には既に割れが認められ、吸引ろ過が終了した段階では、シートの半分以上が割れてしまっており、吸水能及び吸水後の反りについては評価できなかった。
比較例8では、セルロースナノファイバーを使用せず、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースを使用したため、シート形成用組成物の吸引ろ過の途中の段階で、分離された固形物には既に割れが認められ、吸引ろ過が終了した段階では、ろ過物はシート形状となっておらず、粉体となっていた。そのため、吸水能及び吸水後の反りについては評価できなかった。
実施例1〜3及び比較例1〜3においては、シリカ/CNF質量比が大きくなるに従い、シートの安定性は低下し、シートの吸水能が向上し、吸水後のシートの反り抑制効果が向上する(シートの反りが低減される)傾向が見られた。すなわち、シリカ/CNF質量比は、これら評価結果と明りょうな相関関係が認められた。シートの安定性、シート化の可能性の点においては、比較例4〜6も、同様の傾向が見られ、同様の相関関係が認められた。
実施例1〜3及び比較例1〜3における、シートのシリカ/CNF質量比と吸水能(倍)との関係を表すグラフを、図2に示す。
また、実施例1及び比較例7〜8における、シート製造時の乾燥が終了した段階での、乾燥物(シート又は粉体)の撮像データを図3〜図5に示す。図3が実施例1での撮像データであり、図4が比較例7での撮像データであり、図5が比較例8での撮像データである。
<<セルロースナノファイバーの機能についての考察>>
[試験例1]
実施例1の場合と同じ方法で、シリカ及びセルロースナノファイバーを含有する水分散液である、シート形成用組成物(本明細書においては、「組成物(I)」と略記することがある)を調製した。
また、セルロースナノファイバーを使用しなかった点以外は、このシート形成用組成物(組成物(I))の場合と同じ方法で、比較用の組成物(本明細書においては、「組成物(II)」と略記することがある)を調製した。すなわち、組成物(II)は、組成物(I)と同じ含有量でシリカを含有し、セルロースナノファイバーを含有しない。
次いで、得られた組成物(I)及び組成物(II)を、それぞれ別々に透明容器に入れ、封をした後、析出物を均一に分散させ、室温下で1日静置保管した。
次いで、これら透明容器を、上下を逆にしてひっくり返し、静置して、直ちに、透明容器内部の組成物(I)及び組成物(II)を目視観察した。このとき取得した組成物(I)及び組成物(II)の撮像データを図6に示す。
図6から明らかなように、組成物(II)の場合には、ひっくり返した透明容器の底部(図6中、線で囲んだ領域)に、相当量のシリカが沈殿した状態で付着したままとなっていた。すなわち、組成物(II)は、静置保存中にシリカが沈殿して、分散液の状態を維持できていなかった。
これに対して、組成物(I)の場合には、ひっくり返した透明容器の底部には、一切沈殿物が付着しておらず、分散液の状態が維持されていた。すなわち、組成物(I)は、静置保存中からこの目視観察時まで、沈殿が発生せず、分散液の状態が維持されていた。
これらの結果から、上述のシート形成用組成物のような水分散液中では、セルロースナノファイバーが、共存するシリカの分散剤として機能することを確認できた。
<<シリカシートの物質の吸着及び放出の確認>>
[実施例5]
実施例1で得られたシートを用いて、室温下で飽和塩化カリウム水溶液を吸引ろ過した。
次いで、このシートをオーブン内で、105℃で1時間乾燥させた。
次いで、この乾燥後のシートを、室温下で純水中に5分間浸漬した。このとき、シート全体が純水中に浸かるようにした。
次いで、浸漬させていたシートを純水中から取り出し、シートを取り出した後の純水を完全に乾燥させて取り除き、固体の残存物を回収して、この固体について、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)を行った。
その結果、塩化カリウムが示すピークと一致するピークを観測でき、純水中に塩化カリウムが存在していたことを確認できた。これは、飽和塩化カリウム水溶液の吸引ろ過時に、前記シートに塩化カリウムが吸着されたのち、この塩化カリウムが前記シートから純水中に放出されたことを示していた。
[実施例6]
実施例1で得られたシートを、室温下で飽和塩化カリウム水溶液中に5分間浸漬した。このとき、シート全体が飽和塩化カリウム水溶液中に浸かるようにした。
次いで、浸漬させていたシートを飽和塩化カリウム水溶液中から取り出し、オーブン内で、105℃で1時間乾燥させた。
次いで、この乾燥後のシートを、室温下で純水中に5分間浸漬した。このとき、シート全体が純水中に浸かるようにした。
次いで、浸漬させていたシートを純水中から取り出し、シートを取り出した後の純水を完全に乾燥させて取り除き、固体の残存物を回収して、この固体について、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)を行った。
その結果、実施例5の場合と同様に、塩化カリウムが示すピークと一致するピークを観測でき、純水中に塩化カリウムが存在していたことを確認できた。このときの分析結果を、塩化カリウムの分析結果とともに図7に示す。これは、飽和塩化カリウム水溶液への浸漬時に、前記シートに塩化カリウムが吸着されたのち、実施例5の場合と同様に、この塩化カリウムが前記シートから純水中に放出されたことを示していた。
本発明は、水等の各種物質の吸着材又は放出材として、利用可能である。

Claims (2)

  1. シリカ及びセルロースナノファイバーを含有するシリカシートであって、
    [シリカの含有量(質量部)]/[セルロースナノファイバーの含有量(質量部)]の比が、2〜8であり、
    前記シリカが、平均粒子径が0.5〜15μmの非晶質シリカであり、
    前記シリカシートが、物質の吸着用又は放出用である、シリカシート。
  2. 前記比が、3〜5.4である、請求項1に記載のシリカシート。
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