JP6955986B2 - コンクリート構造物の補強方法 - Google Patents
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また、補強対象となる鉄筋コンクリート柱と隣接する各種構築物との間のスペースが僅かであったり無かったりする場合にも、隣接する構築物を取り壊すなどの大掛かりな工事が必要となる。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、上記特許文献1の補強方法よりも、耐震性の強化を図ることができる技術を見出した。
棒状のアンカー本体と、前記アンカー本体の先端部に取り付けられ、前記アンカー本体に向かって先細るテーパー面を有する定着体と、前記定着体のテーパー面に装着された拡開可能な略環状の係着部材と、を備えた補強材を用いてコンクリート構造物を補強するコンクリート構造物の補強方法であって、
前記コンクリート構造物の所定の一面から内部に向けて長穴を形成する工程と、
前記アンカー本体の後端部が前記長穴から突き出た状態になるように前記補強材を前記長穴に挿入する工程と、
前記補強材が挿入されている前記長穴の空隙に固化材料を充填する工程と、
前記係着部材を拡開させて、前記長穴の内周面に係着させる工程と、
前記長穴から突き出ている前記アンカー本体を通す貫通孔が形成されている鋼板を前記コンクリート構造物の前記一面に配設する工程と、
前記固化材料が固化した後、前記補強材を前記鋼板に向けて引き付けて固定する工程と、
を備えるようにした。
また、係着部材を拡開させて長穴の内周面に係着させることで、補強材を長穴内に定着させることができる。係着部材を長穴の内周面に係着させて、補強材を長穴内に定着させれば、補強材による補強効果がコンクリート構造物に作用し易くなる。
そして、コンクリート構造物の所定の一面に形成された長穴に埋め込まれて緊張力が導入された補強材によるプレストレスと、コンクリート構造物の所定の一面に圧接された鋼板とによって、コンクリート構造物を好適に補強することができる。
特に、この補強方法であれば、補強対象となった既設のコンクリート構造物の壁面などの一面側からの施工によって補強することができるので、コンクリート構造物と隣接する各種構築物との間のスペースが僅かであったり、スペースが無かったりする場合でも、そのコンクリート構造物を好適に補強することができる。
前記係着部材には、前記長穴の空隙に充填される前記固化材料が通過する流路が形成されているようにする。
こうすることで、流動性を有する固化材料を長穴の奥まで充填し易くなる。
前記定着体のテーパー面には、圧縮変形可能な表面層が設けられており、
前記固化材料が固化した後に前記補強材を前記鋼板に向けて引き付ける際に、前記表面層を圧縮させることに伴い前記定着体を変位させて、前記係着部材を拡開させるようにする。
定着体が長穴に沿って変位した際、固化した固化材料によって長穴に沿う移動が規制されている係着部材は、略円錐形状を有する定着体の大径側に相対的に移動して、定着体のテーパー面に倣って拡開するので、その拡開した係着部材を長穴の内周面に係着させることができる。
前記補強材を前記長穴に挿入した後、前記長穴内で前記係着部材の移動を規制した状態で前記アンカー本体を前記長穴の外に引いて前記定着体を移動させて、前記係着部材を拡開させるようにする。
こうすることで、長穴に固化材料を充填する前に、係着部材を長穴の内周面に係着させて、補強材を長穴内に定着させることができる。
前記係着部材が前記長穴の内周面に接する係着面には目粗し加工が施されているようにする。
係着部材の係着面に目粗し加工が施されて微細な凹凸が形成されていれば、係着部材を拡開させて係着面を長穴の内周面に圧接した際に、係着部材と長穴の内周面の間に比較的強い摩擦力が作用するので、その係着部材を長穴の内周面により強く係着させることができる。
前記鋼板が前記コンクリート構造物に接する面には目粗し加工が施されているようにする。
鋼板の内面に目粗し加工が施されて微細な凹凸が形成されていれば、鋼板をコンクリート構造物の一面に圧接した際に、その圧接面に比較的強い摩擦力が作用するので、その鋼板によってコンクリート構造物の一面を覆う補強を行い易くなる。
図1は、本実施形態のコンクリート構造物の補強方法による施工後の鉄筋コンクリート柱Pの一例を示す断面図であり、図2は、施工後の鉄筋コンクリート柱Pを示す概略斜視図である。
なお、補強対象となった鉄筋コンクリート柱Pの両側には、壁体Wが隣接して構築されている。
また、定着体20のテーパー面には、所定の厚さを有し、圧縮変形可能な表面層21が設けられている。この表面層21は、例えば、発泡スチロールなどの樹脂材料からなり、本実施形態では1〜30mmの厚さを有している。ここでは表面層21が定着体20のテーパー面を成している。
係着片31は、金属製の部材であり、その円弧外面の係着面31aには目粗し加工が施され、微細な凹凸が形成されている。
係止片32は、伸縮性を有する部材であり、例えば、ポリウレタン樹脂からなる。
この係着部材30は、アンカー本体10の軸心から離間する方向に拡開可能になっており、係着部材30が拡開した際、係着片31が長穴1の内周面(孔壁)に向けて押し付けられて、係着片31の係着面31aが長穴1の内周面(孔壁)に接する。
なお、係着部材30における係着片31の間には、流動性を有している固化材料2(後述)が通過する隙間が設けられている。
なお、鉄筋コンクリート柱Pに形成する長穴1の数、つまり、鉄筋コンクリート柱Pに埋め込む補強材100の数は任意であり、鉄筋コンクリート柱Pの太さや高さなどに応じて適宜設定される。
なお、長穴1の直径は、定着体20に装着されている係着部材30の外径と略同じサイズであって、係着部材30よりも僅かに大きなサイズに形成されている。
なお、定着体20に装着されている係着部材30の外径の寸法が、長穴1の直径と略同じであるので、係着部材30を長穴1の孔壁に摺接させるように補強材100を長穴1に挿入すれば、アンカー本体10を長穴1の略中心に設置することができる。
また、図5(a)に示すように、長穴1から突き出ているアンカー本体10の後端部を通す貫通孔が形成されている鋼板3を鉄筋コンクリート柱Pの壁面に配設する。特に、鋼板3が鉄筋コンクリート柱Pの壁面に接する内面3aには目粗し加工が施され、微細な凹凸が形成されている。この鋼板3の内面3aに目粗し加工が施されているので、鋼板3が鉄筋コンクリート柱Pの壁面に圧接されると、その圧接面に比較的強い摩擦力が作用し易くなっている。
なお、長穴1に固化材料2を充填した後に鋼板3を鉄筋コンクリート柱Pの壁面に配設しても、鋼板3を鉄筋コンクリート柱Pの壁面に配設した後に、鋼板3の貫通孔を通じて長穴1に固化材料2を充填してもよい。
ここで用いる固化材料2がチクソトロピー性を有していれば、長穴1に充填した固化材料2が漏れ出し難いので、固化材料2を長穴1内で好適に固化させることができる。
具体的には、固化材料2が固化した後に油圧工具などを用いてアンカー本体10を強く引くと、定着体20の表面層21が圧縮されて、その表面層21の厚み程度、定着体20が長穴1に沿って変位する。定着体20が長穴1に沿って変位した際、固化した固化材料2によって長穴1に沿う移動が規制されている係着部材30は、定着体20の大径側に相対的に移動して定着体20のテーパー面に倣って拡開し、長穴1の内周面に係着するようになっている。
特に、係着片31の係着面31aには目粗し加工が施されているので、その係着面31aと長穴1の内周面との間に作用する摩擦力によって、係着部材30を長穴1の内周面に強く係着させることができる。
こうして、係着部材30を拡開させて長穴1の内周面に係着させると、補強材100と長穴1の内周面との定着性が向上するので、補強材100による補強効果が鉄筋コンクリート柱Pに作用し易くなる。
特に、補強材100を鋼板3に向けて引き付けて鋼板3に固定する際、アンカー本体10の後端部に螺着するナット4を強く締め付けるようにして、補強材100(アンカー本体10)を緊張し、鉄筋コンクリート柱Pにプレストレスを導入する。
なお、アンカー本体10の後端部にナット4を締め付ける際、油圧工具などを用いてアンカー本体10を強く引くようにすれば、プレストレスを導入し易くなる。
このような手順によって、図1に示すように、鉄筋コンクリート柱Pを補強することができる。
また、補強材100(アンカー本体10)に緊張力が導入されたことで、鋼板3が鉄筋コンクリート柱Pの壁面に圧接されて、鋼板3による摩擦力が鉄筋コンクリート柱Pに好適に作用するので、図1に示すB方向の揺れに対する耐力を向上させることができる。
特に、長穴1に固化材料2にて埋め込まれている補強材100は、長穴1の内周面に係着させた係着部材30によって長穴1の内周面に良好に定着されており、補強材100による補強効果が鉄筋コンクリート柱Pに作用し易くなっているので、より確実な補強を行うことができる。
例えば、図6に示すように、係着部材30の係着片31に、係着面31aの一部が切り欠かれてなる切欠溝31bが形成されていてもよい。
この切欠溝31bは、長穴1の空隙に充填される流動性を有する固化材料2が通過する流路となるので、長穴1の奥まで固化材料2を充填し易くなる。
例えば、図7に示すように、定着体20を長穴1の奥側に挿し入れ、アンカー本体10の後端部が長穴1から突き出た状態で補強材100を長穴1に挿入した後、長穴1内で係着部材30の移動を規制した状態でアンカー本体10を長穴1の外に引いて定着体20を移動させることで、係着部材30を拡開させて長穴1の内周面に係着させるようにする。
具体的には、図7に示すように、補強材100を長穴1に挿入した後、長穴1の直径と略同じ外径サイズの円筒部材5を長穴1に挿し入れて係着部材30に当接させ、その係着部材30の移動を規制した状態でアンカー本体10を長穴1の外に引くと、円筒部材5によって長穴1に沿う移動が規制されている係着部材30は、定着体20の大径側に相対的に移動して定着体20のテーパー面に倣って拡開するので、その係着部材30を長穴1の内周面に係着させることができる。
特に、本実施形態のコンクリート構造物の補強方法であれば、補強対象となった既設のコンクリート構造物の壁面などの一面側からの施工によって補強することができるので、コンクリート構造物と隣接する各種構築物との間のスペースが僅かであったり、スペースが無かったりする場合でも、そのコンクリート構造物を好適に補強することができる。
ボックスカルバートは、床面と両側面と天井面とを有する断面が略長方形状であり、その延設方向に長いコンクリート構造物であるので、略直角に接続されている面構造体同士(床面体と壁面体、壁面体と天井面体)が互いを支え合うようになっている。そのため、側面などの一面を覆う大きなサイズの鋼板3による耐力向上を必要としないので、長穴1の開口を塞ぐ程度の大きさの鋼板を用いて、補強材100(アンカー本体10)に緊張力を導入することができればよいのである。
2 固化材料
3 鋼板
3a 内面
4 ナット
5 円筒部材
10 アンカー本体
20 定着体
21 表面層
30 係着部材
31 係着片
31a 係着面
31b 切欠溝
32 係止片
100 補強材
P 鉄筋コンクリート柱(コンクリート構造物)
W 壁体
Claims (6)
- 棒状のアンカー本体と、前記アンカー本体の先端部に取り付けられ、前記アンカー本体に向かって先細るテーパー面を有する定着体と、前記定着体のテーパー面に装着された拡開可能な略環状の係着部材と、を備えた補強材を用いてコンクリート構造物を補強するコンクリート構造物の補強方法であって、
前記コンクリート構造物の所定の一面から内部に向けて長穴を形成する工程と、
前記アンカー本体の後端部が前記長穴から突き出た状態になるように前記補強材を前記長穴に挿入する工程と、
前記補強材が挿入されている前記長穴の空隙に固化材料を充填する工程と、
前記係着部材を拡開させて、前記長穴の内周面に係着させる工程と、
前記長穴から突き出ている前記アンカー本体を通す貫通孔が形成されている鋼板を前記コンクリート構造物の前記一面に配設する工程と、
前記固化材料が固化した後、前記補強材を前記鋼板に向けて引き付けて固定する工程と、
を備えたことを特徴とするコンクリート構造物の補強方法。 - 前記係着部材には、前記長穴の空隙に充填される前記固化材料が通過する流路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の補強方法。
- 前記定着体のテーパー面には、圧縮変形可能な表面層が設けられており、
前記固化材料が固化した後に前記補強材を前記鋼板に向けて引き付ける際に、前記表面層を圧縮させることに伴い前記定着体を変位させて、前記係着部材を拡開させることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の補強方法。 - 前記補強材を前記長穴に挿入した後、前記長穴内で前記係着部材の移動を規制した状態で前記アンカー本体を前記長穴の外に引いて前記定着体を移動させて、前記係着部材を拡開させることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の補強方法。
- 前記係着部材が前記長穴の内周面に接する係着面には目粗し加工が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
- 前記鋼板が前記コンクリート構造物に接する面には目粗し加工が施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のコンクリート構造物の補強方法。
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