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JP6966938B2 - 1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法に関する。
従来から、シクロヘキセンオキサイドと水との反応に触媒を用いることが知られている。例えば、モリソンボイド有機化学(中)第3版(中西ら訳 東京化学同人 1977年)の705ページには、エポキシドの酸触媒開裂反応、アンチ−ヒドロキシル化によるジオールを製造する方法が記載されている。
特許文献1には、多孔質強酸性カチオン交換樹脂の存在下で、シクロヘキセンオキサイドと過剰の水とを反応させて1,2−シクロヘキサンジオールを製造する方法が開示され、シクロヘキセンオキサイドに対する水のモル比が28又は57とすることが開示されている。
また、特許文献2には、無機固体酸触媒の存在下で、シクロヘキセンオキサイドと水とを反応させて1,2−シクロヘキサンジオールを製造する方法が開示され、触媒としてモンモリロナイトを用い、シクロヘキセンオキサイドに対する水のモル比が28又は56とすることが開示されている。
さらに、特許文献3には、シクロヘキセンオキサイドを水和して、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン(1,2−シクロヘキサンジオール)を製造する方法が開示されており、触媒として陽イオン交換樹脂を用い、シクロヘキセンオキサイドに対する水のモル比を5.4とし、1,2−シクロヘキサンジオールを収率90.2%で得られることが開示されている。また、特許文献3には、触媒としてY型ゼオライトを用い、シクロヘキセンオキサイドに対する水のモル比を3.5とし、1,2−シクロヘキサンジオールを収率60.0%で得る方法が開示されている。
特開平3−236337号公報 特開平4−46133号公報 特開平6−279350号公報
特許文献1〜3に記載の方法による、シクロヘキセンオキサイドの水和では、式(1)で表されるオリゴマーの副生が避けられない。また、上記オリゴマーの副生を最小限にし、高選択的に1,2−シクロヘキサンジオールを得るためには、水和に使用する水を化学量論量よりも大過剰に使用しなければならず、後段の工程にて大過剰の水を大量のエネルギーを用いて除去する必要がある。そのため、大過剰の水の使用は、工業的な規模での1,2−シクロヘキサンジオールの製造工程を複雑にし、エネルギーを大量に使用する等の問題がある。
Figure 0006966938
(式(1)中、nは、1以上の整数である。)
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高選択的に1,2−シクロヘキサンジオールを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、所定の触媒の存在下、シクロヘキセンオキサイドと水とを反応させることにより、1,2−シクロヘキサンジオールのオリゴマーの生成を抑制でき、1,2−シクロヘキサンジオールを高選択的に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
外表面酸点が不活性化された中間細孔径ゼオライトを含有する触媒の存在下、シクロヘキセンオキサイドと水とを反応させる工程を含む、1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法。
[2]
有機塩基の存在下、中間細孔径ゼオライトを触媒として用いて、シクロヘキセンオキサイドと水とを反応させる工程を含む、1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法。
[3]
前記中間細孔径ゼオライトにおける外表面酸点が、有機塩基によって不活性化されている、[1]に記載の1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法。
[4]
前記中間細孔径ゼオライトが、MFIで示される構造を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法。
[5]
前記中間細孔径ゼオライトが、ZSM−5を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法。
[6]
前記シクロヘキセンオキサイドに対する水のモル比が、15以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法。
[7]
前記有機塩基の分子径が、中間細孔径ゼオライトの平均細孔径よりも大きい径である、[2]〜[6]のいずれかに記載の1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法。
本発明によれば、シクロヘキセンオキサイドから高選択的に1,2−シクロヘキサンジオールを製造することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法〕
本実施形態の1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法は、外表面酸点が不活性化された中間細孔径ゼオライト触媒の存在下、シクロヘキセンオキサイドと水とを反応させる工程を含む。本実施形態の1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法では、以下の反応が起こる。
Figure 0006966938
本実施形態の製造方法において、外表面酸点が不活性化された中間細孔径ゼオライトを用いることにより、高活性、高収率で、且つ、長期に安定して1,2−シクロヘキサンジオールの製造を行うことができる。
(中間細孔径ゼオライトの外表面酸点の不活性化)
中間細孔径ゼオライト触媒は、シクロヘキセンオキサイドのエポキシ環に水を付加させて開環する反応(以下、水和反応ともいう)を触媒する。中間細孔径ゼオライト触媒は、外表面と細孔内とに酸点を有しており、シクロヘキセンオキサイド及び水が、上記外表面及び細孔内における酸点に接触することにより、水和反応が起こる。
外表面における酸点は、エポキシ環に水が付加して開環して生じたヒドロキシ基がさらに別のシクロヘキセンオキサイドと反応して、二量体以上のオリゴマーが生成することを促進する。一方、細孔内部は空間の大きさが限られているため、分子サイズが大きくなる反応である、シクロヘキセンオキサイドのオリゴマー化が進行しにくいと推測される。
本実施形態の製造方法では、外表面における酸点が不活性化されることによって二量体以上のオリゴマーが生成することが抑制されるため、所望の1,2−シクロヘキサンジオールを高選択的に得られると推測される。
上述したオリゴマーの生成が抑えられる機序は、本実施形態を限定するものではない。
本実施形態における、外表面酸点が不活性化された中間細孔径ゼオライトとは、当該ゼオライトの外表面における酸点が触媒としての活性を抑えられた中間細孔径ゼオライトである。外表面酸点の不活性化は、例えば、中間細孔径ゼオライトの細孔内に入らない大きさの上記酸点に対するプローブ分子を、外表面の酸点のみに吸着させることによって行うことができる。酸点に対するプローブ分子としては、例えば、塩基が挙げられ、好ましくは有機塩基である。
外表面酸点が不活性化された中間細孔径ゼオライト触媒の存在下、シクロヘキセンオキサイドと水とを反応させる工程は、有機塩基の存在下、中間細孔径ゼオライトを触媒として用いて、シクロヘキセンオキサイドと水とを反応させることによって行うことができる。すなわち、本実施形態の一つは、有機塩基の存在下、中間細孔径ゼオライトを触媒として用いて、シクロヘキセンオキサイドと水とを反応させる工程を含む、1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法である。
(有機塩基)
有機塩基とは、塩基として用いられる有機化合物を意味する。有機塩基としては、例えば、窒素上に容易にプロトンを受容してアンモニウム等のカチオンとなることができる化合物が挙げられ、具体的には、窒素原子を含むアミンあるいは複素環式化合物が挙げられる。
本実施形態における有機塩基としては、中間細孔径ゼオライトの細孔内に入らない分子サイズの塩基であれば特に制限されず、当該有機塩基は、中間細孔径ゼオライトにおける外表面酸点と相互作用することによって、上記酸点を不活性化する。すなわち、本実施形態の有機塩基の分子径は、中間細孔径ゼオライトの平均細孔径よりも大きい径である。
本実施形態における有機塩基は、中間細孔径ゼオライトの細孔径に応じて、当該細孔径より大きい分子サイズを有する有機塩基を選択すればよいが、例えば、4−メチルキノリン、1,10−フェナントロリン、ジアザビシクロウンデセン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン等が挙げられる。
(ゼオライト)
本実施形態における「ゼオライト」とは、四面体構造をもつTO4単位(Tは中心原子)が酸素原子を共有して三次元的に連結し、開かれた規則的なミクロ細孔を形成している結晶性物質を指す。ゼオライトとしては、具体的には、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association;以下、「IZA」という。)の構造委員会データ集に記載のある、ケイ酸塩、リン酸塩、ゲルマニウム酸塩、ヒ酸塩等が挙げられる。
(中間細孔径ゼオライト)
本実施形態における「中間細孔径ゼオライト」とは、細孔径の範囲が、A型ゼオライトに代表される小細孔径ゼオライトの細孔径と、モルデナイトやX型やY型ゼオライトに代表される大細孔径ゼオライトの細孔径との中間にある細孔径を有するゼオライトを意味する。また、本実施形態における中間細孔径ゼオライトは、ゼオライトの結晶構造中に、例えば、酸素10員環を有するゼオライトである。
ここで、酸素10員環とは、ゼオライトのもつ細孔がTO4単位(ただし、Tはケイ素(Si)、リン(P)、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)を示す。)10個からなる環構造を意味する。
中間細孔径ゼオライトの有する細孔径は、好ましくは0.50nm以上0.65nm以下である。
ここでいう「細孔径」とは、IZAが定める結晶学的な細孔(チャネル)直径(Crystallographic free diameter of the channels)をいう。細孔の形状は、特に限定されないが、例えば、真円形、及び楕円形が挙げられる。細孔の断面形状が真円形の場合は、細孔径は当該真円の平均直径を意味し、また、細孔の断面形状が楕円形の場合は、細孔径は当該楕円の平均長径を意味する。
本実施形態における中間細孔径ゼオライトが有する細孔径とは、平均細孔径を指す。
ゼオライトの細孔径は、例えば、水銀圧入法を用いて測定することができる。具体的には、測定用サンプルを乾燥後、水銀ポロシメーター(Thermo Fisher Scientific社製、商品名:PASCAL140及びPASCAL440等)を用いて、Hg圧入法により気孔分布を測定する。この際、PASCAL140により低圧領域(0〜400Kpa)を測定し、PASCAL440により高圧領域(0.1Mpa〜400Mpa)を測定する。また、細孔径としてはモード径を採用することができる。
また、ゼオライトの細孔径は、SEM等の電子顕微鏡により直接細孔を観察して細孔径を求めることもでき、任意の箇所のn個の細孔径を顕微鏡観察により測定し、その平均値を細孔径としてもよい。
(中間細孔径ゼオライトの構造)
中間細孔径ゼオライトの構造としては、特に限定されないが、例えば、IZAが規定するフレームワーク型コード(FTC)において、AEL、EUO、FER、MEL、MFI、MTT、MWW、TON、及びWEI等で示される構造が挙げられる。この中でも、MFIで示される構造を有する中間細孔径ゼオライトが好ましい。MFIで示される構造を有する中間細孔径ゼオライトとしては、具体的には、ZSM−5が好適に挙げられる。
上記の構造を有する中間細孔径ゼオライトを用いることにより、触媒活性がより向上する傾向にある。
(シリカ/アルミナ比)
中間細孔径ゼオライトのシリカ/アルミナ比(モル比、以下同様。)は、好ましくは20以上1000以下であり、より好ましくは20以上500以下であり、さらに好ましくは20以上300以下であり、よりさらに好ましくは25以上300以下である。シリカ/アルミナ比が20以上であることにより、触媒としての安定性がより向上する傾向にある。また、シリカ/アルミナ比が20以上1000以下であることにより、触媒活性がより向上する傾向にある。
中間細孔径ゼオライトのシリカ/アルミナ比は、公知の方法、例えばゼオライトをアルカリ水溶液に完全に溶解し、得られる溶液をプラズマ発光分光分析法により分析することで求めることができる。なお、中間細孔径ゼオライトがメタロアルミノシリケート又はメタロシリケートである場合のシリカ/アルミナ比は、上記元素に置換されたアルミニウム原子の量をAl23(アルミナ)のモル数に換算した上で、算出される。
(中間細孔径ゼオライトの調製方法)
中間細孔径ゼオライトの調製方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることが可能である。なお、中間細孔径ゼオライトは、水熱合成後にイオン交換、脱アルミニウム処理、含侵や担持等の修飾により組成を変えることが可能である。
本実施形態においては、中間細孔径ゼオライトのイオン交換サイトの少なくとも一部が、プロトンで交換されていることが好ましい。このような中間細孔径ゼオライトを含有する触媒を用いることにより、触媒活性がより向上する傾向にある。
中間細孔径ゼオライトとしては、市販品を使用することもできる。
(中間細孔径ゼオライトの成形方法)
中間細孔径ゼオライトの形状は、粉状でも粒状でもよい。
中間細孔径ゼオライトは、1,2−シクロヘキサンジオールの製造プロセスに応じて適した形状に成型加工した成形体とすることができる。中間細孔径ゼオライトの成形方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることが可能である。中間細孔径ゼオライトの成形方法としては、具体的には、触媒の前駆体を噴霧乾燥する方法、触媒成分を圧縮成型する方法、触媒成分を押出成型する方法等が挙げられる。
これら成形方法においては、バインダーや成形用希釈剤(マトリックス)を用いてもよい。バインダー及び成形用希釈剤としては、特に限定されないが、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、カオリン、ケイソウ土、粘土等の多孔性耐火性無機酸化物が挙げられる。これらは、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。これらのバインダー及び成形用希釈剤は、市販のものを用いてもよく、常法により合成してもよい。中間細孔径ゼオライトを、バインダーを用いて成型加工する場合における、中間細孔径ゼオライト/(バインダー及び成形用希釈剤)の質量比率は、好ましくは10/90〜90/10であり、より好ましくは20/80〜80/20である。
(原料)
原料であるシクロヘキセンオキサイドとしては、特に限定されず、各種化学合成法等から製造されたものを用いることができる。シクロヘキセンオキサイドは、必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのものでよい。
原料である水としては、特に限定されないが、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものを用いることができる。
(反応形式、反応器)
1,2−シクロヘキサンジオール製造の反応形式としては、バッチ式及び流通式のいずれも使用可能であるが、生産性の観点から、流通式が好ましい。流通式においては、固定床流通式反応方式、撹拌槽流通式反応方式のいずれも可能である。なお、本明細書の記載は、当業者が容易に調節しうる程度の反応条件の変更を妨げるものではない。
なお、反応器に触媒を充填する場合、触媒層の温度分布を小さく抑えるために、石英砂やセラミックボール等の反応に不活性な粒状物を、触媒と混合して充填してもよい。この場合、石英砂等の反応に不活性な粒状物の使用量は特に限定されない。なお、上記粒状物は、触媒との均一混合性の観点から、触媒と同程度の粒径であることが好ましい。
(水モル比)
1,2−シクロヘキサンジオールの製造において、反応器に供給する水/シクロヘキセンオキサイドのモル比(以下、「水モル比」という。)は、好ましくは1以上であり、より好ましくは1以上15以下であり、さらに好ましくは2以上15以下である。水モル比が1以上であることにより、1,2−シクロヘキサンジオールと未反応のシクロヘキセンオキサイドが反応する副生反応を低減し、反応効率がより向上する傾向にある。また、水モル比が15以下であることにより、反応器出口の粗反応液から余分な水を分離除去するためのエネルギー消費量をより低減できる傾向にある。
(重量空間速度(WHSV))
重量空間速度(WHSV)は、反応器への触媒充填重量に対する、1時間あたりに流れる原料重量であり、下式にて求めることができる。
WHSV[h-1]=1時間あたりに流れる原料重量[g/h]/触媒充填重量[g]
ここで、「触媒充填重量」とは、本実施形態における中間細孔径ゼオライトを含有する触媒の反応器への充填重量を意味し、中間細孔径ゼオライトが成形体である場合は、該成形体を構成するバインダーや成形用希釈剤を含む成形体全体の反応器充填重量である。
なお、上述の不活性な粒状物は触媒充填重量には含まれない。また、ここで「原料重量」とは、反応器へ流れる原料の合計重量であり、「原料」には、本実施形態における原料であるシクロヘキセンオキサイド及び水も含まれる。
WHSVは、生産性と触媒寿命、反応収率との兼ね合いに基づき、適宜調整することができる。例えば、水和反応におけるWHSVは、好ましくは0.1〜50h-1であり、より好ましくは0.1〜20h-1であり、さらに好ましくは0.1〜10h-1である。WHSVが0.1h-1以上であることにより、一定の生産量を得るのに必要な触媒量を低減でき、反応器をコンパクトにすることができる。また、WHSVが50h-1以下であることにより、シクロヘキセンオキサイドの転化率がより向上し、1,2−シクロヘキサンジオールの選択率がより向上する傾向にある。
(反応温度)
水和反応の温度は、特に制限はないが、常温以上180℃以下の範囲で実施される。反応温度が常温以上であることにより、反応速度が向上し、1,2−シクロヘキサンジオールの収率がより向上する傾向にある。また、反応温度が180℃以下であることにより、副生物の生成をより抑制でき、触媒の劣化も抑制できる傾向にある。
ここで常温とは、5℃以上35℃以下の範囲である。
(反応圧力)
水和反応の圧力は、本実施形態の水和反応の反応平衡上は高圧が有利であるが、圧力が高いと工業的に実施する場合の設備費等の観点から、好ましくは常圧以上1.0MPaG以下(ゲージ圧、以下同様。)であり、より好ましくは0.1MPaG以上1.0MPaG以下である。
ここで常圧とは、大気圧に等しい圧量である。
(中間細孔径ゼオライトと有機塩基との質量比)
中間細孔径ゼオライトと有機塩基との質量比(中間細孔径ゼオライト/有機塩基)は、特に制限されないが、好ましくは1以上5000以下であり、より好ましくは5以上5000以下であり、さらに好ましくは10以上5000以下であり、よりさらに好ましくは10以上1000以下であり、さらにより好ましくは10以上500以下である。
質量比(中間細孔径ゼオライト/有機塩基)が1以上であることにより、中間細孔径ゼオライトの外表面酸点が十分に不活性化され、1,2−シクロヘキサンジオールを高選択的に製造できる傾向にある。
また、質量比(中間細孔径ゼオライト/有機塩基)が5000以下であることにより、触媒活性が失われず、水和反応を効率的に進行させる傾向にある。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
[ガスクロマトグラフィーの分析条件]
実施例及び比較例における1,2−シクロヘキサンジオールの収率は、得られた生成物をそれぞれガスクロマトグラフィー(以下GCとも記載する)により分析し、面積百分率にて算出した。GCの分析条件は以下のとおりである。
装置:GC−2010(島津製作所社製)
カラム:DB−1(アジレント・テクノロジー社製) 長さ30m×内径0.25mm×膜厚1.0μm
カラム温度:40℃→[40℃で2分間保持]→[5℃/分で昇温]→200℃→[200℃で22分間保持]
インジェクション温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウムガス
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
[実施例1]
オートクレーブに、シクロヘキセンオキサイド12.41gと、水8.02gとを仕込み、触媒としてシリカ/アルミナ比が36である中間細孔径ゼオライトZSM−5(旭化成製、平均細孔径0.56nm)を1.00g加えた後、有機塩基として4−メチルキノリンを0.06g添加し、オートクレーブを100℃に加熱した。
反応時内圧は、窒素で加圧して0.50MPaGとした。30分反応後冷却し、生成物をガスクロマトグラフィー(GC)にて分析した。主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は95.6%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は3.3%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は0%であった。
[実施例2]
有機塩基を1,10−フェナントロリンに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法を行った。
主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は95.2%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は3.9%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は0%であった。
[比較例1]
有機塩基を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法を行った。
主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は85.7%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は12.5%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は1.2%であった。
[比較例2]
触媒として酸素8員環を有する小細孔径ゼオライトSAPO−34(日揮ユニバーサル社製のゼオライトサンプルキッド品、平均細孔径0.38nm)を用い、有機塩基を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法を行った。
主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は84.7%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は13.5%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は1.5%であった。
[比較例3]
触媒として酸素8員環を有する小細孔径ゼオライトSAPO−34(日揮ユニバーサル社製のゼオライトサンプルキッド品、平均細孔径0.38nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を行った。
主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は84.1%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は11.5%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は0.8%であった。
[比較例4]
酸素8員環を有する小細孔径ゼオライトSSZ−13をIZAで公開されている合成方法に準じて、以下のとおりに合成した。
まず、1モル濃度の水酸化ナトリウム(和光純薬製、特級)32.0g、N,N,N−トリメチルアダマンタンアンモニウム水酸化物(25質量%溶液)13.5g、水酸化アルミニウム(和光純薬製)0.4g、ヒュームドシリカ(日本アエロジル製、AEROSIL OX50)4.80gを、200mLのオートクレーブに仕込み、水熱合成を160℃で5日間行った。得られたゼオライトスラリーをろ過し、1Lのイオン交換水及び200mLのアセトン(和光純薬製)とメタノール(和光純薬製)で洗浄した後、120℃の乾燥機で終夜乾燥し、さらにマッフル炉で空気雰囲気下に600℃で1時間焼成した。得られたゼオライトのシリカ/アルミナ比は、XRF測定により得られたSiおよびAl含有量から導出し、21であった。また、得られたゼオライトがSSZ−13であることは、XRD測定により確認した。その後、焼成したゼオライトのカチオンタイプをNH4 +型に変換するために、1モル濃度の塩化アンモニウム水溶液を用いて室温で2時間のイオン交換を2回行い、さらに水洗後にマッフル炉で空気雰囲気下に550℃で5時間焼成し、H+型のSSZ−13(平均細孔径0.38nm)を得た。
触媒として得られたSSZ−13を用い、有機塩基を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法を行った。主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は83.3%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は14.9%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は1.6%であった。
[比較例5]
触媒として比較例4で得られたSSZ−13(平均細孔径0.38nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を行った。主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は72.9%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は25.0%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は1.4%であった。
[比較例6]
触媒として酸素12員環を有する大細孔径ゼオライトH−β25(日揮ユニバーサル社製のゼオライトサンプルキッド品、平均細孔径0.76nm)を用い、有機塩基を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法を行った。主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は73.2%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は24.0%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は1.2%であった。
[比較例7]
触媒として酸素12員環を有する大細孔径ゼオライトH−β25(日揮ユニバーサル社製のゼオライトサンプルキッド品、平均細孔径0.76nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を行った。主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は68.6%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は28.7%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は1.1%であった。
[比較例8]
触媒として酸素12員環を有する大細孔径ゼオライトLZY−84(日揮ユニバーサル社製のゼオライトサンプルキッド品、平均細孔径0.74nm)を用い、有機塩基を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法を行った。主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は80.1%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は17.1%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は2.2%であった。
[比較例9]
触媒として酸素12員環を有する大細孔径ゼオライトLZY−84(日揮ユニバーサル社製のゼオライトサンプルキッド品、平均細孔径0.74nm)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法を行った。主な生成物は1,2−シクロヘキサンジオールであり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は72.1%であった。1,2−シクロヘキサンジオールの二量体の収率は24.6%、1,2−シクロヘキサンジオールの三量体の収率は2.5%であった。
[比較例10]
触媒としてモンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製)を用い、有機塩基を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法を行った。シクロヘキセンオキサイドの転化率は1.3%であり、1,2−シクロヘキサンジオールの収率は1.0%であった。
本発明は、医薬中間体及び/又は農薬中間体として重要な1,2−シクロヘキサンジオールの製造に好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 外表面酸点が不活性化された中間細孔径ゼオライトを含有する触媒の存在下、シクロヘキセンオキサイドと水とを反応させる工程を含む、1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法であって、
    前記中間細孔径ゼオライトにおける外表面酸点が、有機塩基によって不活性化されており、
    前記中間細孔径ゼオライトが、MFIで示される構造を有し、
    前記有機塩基の分子径が、中間細孔径ゼオライトの平均細孔径よりも大きい径である、1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法
  2. 有機塩基の存在下、中間細孔径ゼオライトを触媒として用いて、シクロヘキセンオキサイドと水とを反応させる工程を含む、1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法であって、
    前記中間細孔径ゼオライトが、MFIで示される構造を有する、1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法
  3. 前記中間細孔径ゼオライトが、ZSM−5を含む、請求項1又は2に記載の1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法。
  4. 前記シクロヘキセンオキサイドに対する水のモル比が、15以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の1,2−シクロヘキサンジオールの製造方法。
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