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JP6977229B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた布積層成形体 - Google Patents
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熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた布積層成形体 Download PDF

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本発明は柔軟性、軽量性に優れ、布帛との接着性および防水性に優れた熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた布積層成形体に関する。
テント、シート、帆布などは疎水性のゴム、熱可塑性樹脂溶液、乳濁液などを布に噴霧あるいはコーティングして製造されており、樹脂素材として天然ゴムや塩化ビニル樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら天然ゴムを使用する場合には、加硫処理が必要となり、製造工程が煩雑となる。また塩化ビニル樹脂を使用すると、使用後の燃焼処理時にダイオキシン類が発生する恐れがある。また、燃焼処理時に発生するハロゲン類による腐食性ガスは、焼却施設自体を老朽化する一因でもある。
上記した問題点を解決するためにオレフィン系樹脂を用いた布積層成形体が提案され、具体的には繊維基布に高周波誘導発熱性を有する接着性樹脂中間層を形成し、これにオレフィン系樹脂層を積層したオレフィン系樹脂成形物が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2はイソシアネート化合物、アジリジン化合物、カップリング剤などの高周波誘導発熱性を有する接着性樹脂中間層を設けることで、高周波ウェルダー処理による融着を可能とし、耐熱クリープ特性に十分なオレフィン系樹脂成形物を得ようとするものである。
また、繊維基布に難燃剤とアジリジン化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリジン系化合物、イソシアネート系化合物、カップリング剤などの架橋剤とを含む中間層を形成し、これに難燃助剤を含むオレフィン系樹脂組成物を積層した難燃性オレフィン系樹脂積層体が開示されている(たとえば、特許文献3参照。)。特許文献3によれば、屋外など過酷な使用条件下でも樹脂層の剥離や脱離などによる損傷が少なく、難燃性の経時的低下がなく、しかも廃棄、焼却が容易な難燃性オレフィン系樹脂積層体を提供するものである。しかしながら、オレフィン系樹脂は一般的に硬度が高いため、オレフィン系樹脂を用いた積層布では柔軟性に優れた積層布は得られない。
また、防水性及び柔軟性を改良するためにオレフィン系樹脂に、分子中に芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロック(A)を2個以上有し、かつ共役ジエン化合物からなる重合体ブロック(B)を1個以上有するブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体を配合した熱可塑性エラストマー組成物が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、特許文献4に記載の組成物は、布帛に対する接着強度が低いために使用用途が限定される。
熱可塑性エラストマー組成物の布帛への一般的な接着方法は、(1)押出被覆による方法、(2)成形品を成形後に加熱し溶着する方法、がある。(1)の方法は押出成形すると同時に布帛に樹脂組成物を被覆する製法である。一方、(2)の方法には、樹脂組成物をシート、チューブ状の形状に成形した後、例えば熱風やホットプレートにより布帛に積層し低温にて加熱溶着する製法がある。(1)の押出被覆による方法では成形時に樹脂を被覆するため、布帛成形品の外面には樹脂を被覆することはできるが、内面には樹脂を被覆することができず、使用用途が限られる。成形品の内面、外面を問わず樹脂を被覆するために、近年では(1)の方法よりも(2)の方法が使用される傾向がある。(2)の方法は熱風により加熱する方法であり、低温で接着可能な材料が求められることから一般的にウレタン系エラストマーが使用されているが、ウレタン系エラストマーを用いた場合は比重が大きく製品自体の重量が重くなるため取扱い性に劣る。一方、特許文献4にて開示されている組成物は低比重であるが、熱風を使用した溶着方法で布帛に接着した場合、接着強度に劣るという問題点があった。
特開昭52−018995号公報 特開平10―100330号公報 特開2000−008276号公報 特開2003−136643号公報
従って、本発明の目的は、軽量で防水性および柔軟性に優れ、最終処分の燃焼処理の際にも腐食性ガスや有毒性ガスを発生することがなく、さらに低温溶着時の布帛に対する接着強度に優れる熱可塑性樹脂組成物および該熱可塑性樹脂組成物を使用した布積層成形体を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定範囲の融点を有するオレフィン系樹脂と特定構造を有する熱可塑性エラストマーを特定量含有した樹脂、さらに該樹脂と布帛とを積層した成形体は、防水性に優れるとともに軽量かつ柔軟性と接着強度とのバランスに優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、示差走査熱量測定にて測定した融点が110〜120℃のオレフィン系樹脂(イ)100質量部に対し、少なくとも分子中にスチレンからなる重合体ブロック(A)を2個以上有し、かつ、分子中にイソプレンからなる重合体ブロック(B)を1個以上有するブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ブロック共重合体(ロ)を110〜230 質量部含有した熱可塑性樹脂組成物である。
さらに本発明は好ましくは上記熱可塑性樹脂組成物と布帛を積層した布積層成形体であり、より好ましくは該布積層成形体を用いた防水用品あるいは消防ホースである。
本発明の樹脂組成物は、布帛と積層した布積層成形体に成形した場合、十分な防水性、柔軟性、軽量性を保持するとともに布帛との接着性に優れる。また本発明の樹脂組成物は、ハロゲン物質を含まないことから最終処分の燃焼処理の際に腐食性ガスや有毒ガスを発生することがない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、示差走査熱量測定法にて測定した融点が110〜120℃のオレフィン系樹脂(イ)100質量部に対し、少なくとも分子中にスチレンからなる重合体ブロック(A)を2個以上有し、かつ、分子中にイソプレンからなる重合体ブロック(B)を1個以上有するブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ブロック共重合体(ロ) を110〜230質量部含有した熱可塑性樹脂組成物である。
<オレフィン系樹脂(イ)>
本発明のオレフィン系樹脂(イ)は、示差走査熱量測定装置(SHIMADZU 社製;DSC−60) にて縦軸に熱量、横軸に温度をとり、測定温度範囲40〜200℃、昇温速度10℃/分にて測定した際に得られる吸収曲線のピーク位置の温度で表される融点が110〜120℃のオレフィン系樹脂であることが重要である。オレフィン系樹脂(イ)としては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数2〜8のα−オレフィンを主体とした重合体であり、これらの単独重合物のほか2種以上のα−オレフィンを共重合したもののいずれも好ましく使用できる。特に本発明では、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、2種以上のα−オレフィンを共重合した樹脂;エチレン/α−オレフィン共重合体等が挙げられる。更には、エチレン等のオレフィン以外に少量のビニル系の単量体が共重合されたものも用いることができる。このような例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ) アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸誘導体共重合体等があり、さらにはブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体の重合体の水素添加物も含む。これらの樹脂は2種類以上混合し使用することも可能である。
得られる組成物の加工性、機械的性質を考慮すると特に好ましいオレフィン系樹脂(イ)は、エチレンを主たる単量成分とする重合体であり、具体的には低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸ランダム共重合体、エチレン−グリシジルメタアクリレートランダム共重合体、エチレン−オクテンランダム共重合体などのエチレン系ランダム共重合体、さらにはこれらの混合物が好ましく使用される。なお、オレフィン系樹脂(イ)は、市販品を使用することもでき、例えば、日本ポリエチレン社製、商品名「ノバテック HE30」(低密度ポリエチレン)がある。オレフィンとして融点が120℃より高い材料を使用する場合、接着工程時に材料が溶融しないため接着強度が著しく低下する。また、これらの中でも、特にリニア低密度ポリエチレンを使用した場合に、引張強度が著しく向上するため、結果として優れた接着強度が得られる。
<水添ブロック共重合体(ロ)>
本発明に用いられる水添ブロック共重合体(ロ)は、少なくとも分子中にスチレンからなる重合体ブロック(A)を2個以上有し、かつ分子中にイソプレンを含む重合体ブロック(B)を1個以上含有するブロック共重合体を水素添加して得られるものである
該重合体ブロック(A)の重量平均分子量は2500〜40000の範囲であることが好ましく、より好ましくは3000〜35000、特に好ましくは4000〜30000である。2500を下回ると得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的強度が低下する場合があり、その一方、40000を越えると溶融粘度が高くなりすぎて、本発明の他の成分との混合性に劣り、熱可塑性樹脂組成物の成形性に劣る場合がある。
前記重合体ブロック(B)の共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の50%以上が水素添加されていることが好ましく、75%以上が水素添加されていることがより好ましく、95%以上が水素添加されていることが特に好ましい。
該重合体ブロック(B)の重量平均分子量は10000〜200000の範囲であることが好ましく、より好ましくは20000〜180000、特に好ましくは30000〜160000である。10000を下回ると得られる熱可塑性樹脂組成物の弾性的性質が損なわれる場合があり、その一方、200000を越えると流動性が低下する場合がある。
重合体ブロック(B)のミクロ構造は特に限定されない。従って、水添前の重合体ブロック(B)におけるビニル結合量、すなわち、ソプレンを使用する場合の1,2−結合量と3,4−結合量いずれの範囲でも制限はない。
さらに、重合体ブロック(B)は、下記の重合体X、および下記の重合体Yを質量比X/Y=10/90〜90/10であることがより好ましく、20/80〜80/20の範囲であることが好ましい。XとYの質量比が上記範囲を外れる場合、接着強度が劣る。これは樹脂と基布とが接着する際に流動性の観点からアンカー効果による強度が発現できていないためと考えられる。
重合体X:芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が25%以下であるブロック重合体の組成物;
重合体Y:芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が25%以上であるブロック重合体の組成物;
本発明の水添ブロック共重合体(ロ)は、耐熱性、力学物性等の観点から、重合体ブロック(A)を2個以上、重合体ブロック(B)を1個以上含有していることが必要である。重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)の結合様式は、線状、分岐状あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよいが、重合体ブロック(A)をAで、重合体ブロック(B)をBで表したとき、A−B−Aで示されるトリブロック構造や、(A−B)、(A−B)−A、(ここでnは2以上の整数を表す)で示されるマルチブロック共重合体などを挙げることができ、これらの中でも、A−B−Aで示されるトリブロック構造のものが、耐熱性、力学物性、取り扱い性等の点で特に好ましい。
水添ブロック共重合体(ロ)中の芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロック(A)の割合は、水添ブロック共重合体(ロ)の5〜70質量%、より好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。70質量%を越えると水添ブロック共重合体(ロ)が硬くなって、熱可塑性樹脂組成物の柔軟性が損なわれ、脆くなり、その一方、5質量%を下回ると重合体ブロック(A)の含有量が少なく、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形物の力学的強度が十分でない。
水添ブロック共重合体(ロ)の重量平均分子量は、40000〜350000、より好ましくは40000〜250000、特に好ましくは40000〜200000の範囲である。水添ブロック共重合体(ロ)の重量平均分子量が40000未満の場合には、得られる布積層成形体の力学強度が十分でなく、一方、水添ブロック共重合体の重量平均分子量が350000を超える場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が悪化し、得られる布積層成形体の成形性が低下する。なお、本明細書でいう数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって、以下の測定条件にて求めたポリスチレン換算の分子量である。
測定条件:
GPC;LC Solution (SHIMADZU製)
検出器:示差屈折率計 RID−10A(SHIMADZU製)
カラム:TSKgelG4000Hxlを2本直列(TOSOH製)
ガードカラム:TSKguardcolumnHxl−L(TOSOH製)
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
流速:1ml/min
濃度:2mg/ml
また、水添ブロック共重合体(ロ)の形状は、直鎖状、分岐状、星型のいずれでもよく、各ブロックの結合順序、結合ブロック数にも特に制限はない。また、重合体ブロック(B)のミクロ構造を制御するには、重合の際に共触媒を用いればよい。この共触媒としては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルモルホリンなどのアミン系化合物が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、または2種以上を併用することもできる。
本発明で使用する水添ブロック共重合体(ロ)には、さらに、本発明の趣旨を損なわない限り分子鎖中、または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物、アミノ基、エポキシ基などの官能基を含有してもよい。従って、本発明で使用する水添ブロック共重合体(ロ)としては、このような官能基を有するもの1種を単独で使用する場合のほか、このような官能基を有する水添ブロック共重合体の2種以上を併用することもできる。更に、分子末端および/または分子鎖中に官能基を有する水添ブロック共重合体に、このような官能基を持たない水添ブロック共重合体を併用することもできる。
水添ブロック共重合体(ロ)を製造する方法としては、公知の方法を特に制限なく使用することができ、アニオン重合により得られた重合体を水素添加する方法、カチオン重合などのイオン重合法、チーグラー重合法、シングルサイト重合法、ラジカル重合法など、いずれの方法を用いてもよい。例えばメチルリチウム、エチルリチウム、ブチルリチウム、ペンチルリチウムなどのアルキルリチウム化合物などを開始剤としてn−ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンなどの不活性有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を遂次重合させてブロック共重合体を形成し、次いで、このブロック共重合体を公知の方法にしたがって、n−へキサン、シクロヘキサン、オクタンなどの不活性有機溶媒中で水素添加触媒の存在下に水素添加して、共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の70モル%以上、より好ましくは90モル%以上を水素添加して、水添ブロック共重合体(ロ)を得る。ここで、水素添加率が70モル%未満では、水素添加したことにより期待される耐熱性、耐候性の向上が不十分となる場合がある。耐熱性、耐候性の観点から、水素添加前のブロック共重合体における共役ジエン化合物に由来する不飽和二重結合の95モル%以上を水素添加することが特に好ましい。水添ブロック共重合体(ロ)における共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合量は、ヨウ素価測定、赤外分光光度計、核磁気共鳴装置等により求めることができる。
なお、水素添加触媒としては、例えばニッケル、白金、パラジウム、ルテニウムまたはロジウムなどの金属をカーボン、シリカ、珪藻土などの単体に担持した固体触媒、ニッケル、コバルトなどの有機金属化合物とトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物などからなる均一系触媒、あるいはチタニウム、ハウニウムなどの遷移金属のシクロペンタジエニル化合物とリチウム、カリウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウムなどの有機金属化合物からなる均一触媒などが挙げられる。
このような水添ブロック共重合体(ロ)としては、市販品を使用することもでき、例えば、クレイトンポリマージャパン株式会社の商品名「クレイトン」や、旭化成工業株式会社の商品名「タフテック」、株式会社クラレの商品名「ハイブラー」、「セプトン」などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、オレフィン系樹脂(イ)と、水添ブロック共重合体(ロ)との配合割合は、オレフィン系樹脂(イ)100質量部に対して、水添ブロック共重合体(ロ)が110〜230質量部であることが必要であり、好ましくは120〜170質量部の範囲内である。水添ブロック共重合体(ロ)の前記配合割合が230質量部を越えると、熱可塑性樹脂組成物と布帛との接着力が劣る。一方、オレフィン系樹脂(イ)100質量部に対する水添ブロック共重合体(ロ)の配合比が110質量部未満であれば、熱可塑性樹脂組成物と布帛から得られる積層体の柔軟性が劣る。
<その他成分>
本発明で使用する熱可塑性樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系、流動パラフィンなどの炭化水素系油、落花生油、ロジンなどの植物油、リン酸エステル、塩素化パラフィン、シリコンオイル、液状ポリイソプレンまたは水素添加物、液状ポリブタジエン、液状ポリイソブチレンなどの可塑化能を有する液状ポリマーまたはこれらの変性物などがある。可塑剤は1種を使用する場合のほか、2種以上を併用してもよい。このような可塑剤としては、市販品を使用することもでき、例えば、パラフィン系オイルである出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW−90」、「ダイアナプロセスオイルPW−380」、「ダイアナプロセスオイルPW−32」などを使用することができる。
可塑剤の添加量はオレフィン系樹脂(イ)100質量部に対して0〜100質量部、より好ましくは3〜50質量部である。可塑剤が100質量部を越える場合には、熱可塑性樹脂組成物と布帛とからなる熱可塑性樹脂積層布成形物から可塑剤がブリードアウトする場合があり好ましくない。
更に、本発明ではその特性を損なわない範囲で、水添ブロック共重合体(ロ)の変性物、スチレン系樹脂、オレフィン樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などを配合することができる。加えて、コストの低減を目的として、無機充填剤を添加することもできる。かかる無機充填剤の具体例としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタンなどが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の改質を目的として、ガラス繊維、カーボン繊維、難燃剤(ポリリン酸アンモニウム系化合物、リン酸エステル、縮合リン酸エステル等)、発泡剤(アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなど)、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、光安定剤、紫外線吸収剤や耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)等を添加することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、樹脂組成物やエラストマー組成物の製造に際して通常用いられる方法が採用でき、上記各成分を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて混合する。溶融及び混練が可能であれば特に溶融温度の制限はないが、一般には150〜240℃、より好ましくは180〜230℃である。
本発明の布積層成形体は、上記熱可塑性樹脂組成物を布帛に積層したものである。布帛としては特に制限はないが、例えば、編織布、不織布などを使用することもできる。布帛の素材は、木綿、麻などの天然物、ナイロン、ポリエステル、芳香族ポリアミド、アクリル、ポリオレフィン、ビニロン、ビスコースレーヨン、キュプラ、ジアセテート、トリアセテート等の合成繊維、ガラス繊維等の無機繊維などが挙げられる。これらの繊維は、短繊維紡績糸条、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーン等の形状に形成されていてもよい。布帛の編織組織にも特に制限はなく、それぞれ糸間隔をおいて平行に配置された経糸および緯糸を含む糸条により構成された粗目編織物を使用することができ、布帛の目付け、厚さ等に特に制限はない。
上記熱可塑性樹脂組成物と布帛とを用いて布積層成形体を製造するには、従来公知の布積層体の製造方法、例えば、熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融し、または該熱可塑性樹脂組成物を含有したエマルジョンや溶液を調製し、これを布帛にコーティングしたり含浸したりして成形したり、またはカレンダー成形したフィルムを積層して成形することができる。その他、布帛を金型の内側に貼り付けた後にこれに溶融樹脂を流す射出成形法や、押出機による布帛と該溶融樹脂とのラミネーション押出、成形体の熱風による布帛への溶着、その他ブロー成形やプレス成形などの任意の方法によって成形することができる。
本発明の布積層成形体は、軽量かつ十分な柔軟性を有するとともに布帛と前記熱可塑性樹脂組成物との接着性に優れる。かかる特長を生かして、傘、合羽、雨靴などの雨具用素材、防水靴、防水衣、防水シート、消防ホース、屋外用軒出しテント、自動車用幌シート、工業用メッシュシート、テーブルカバー、カーペット、マット、自動車内装材などの用途に利用できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、樹脂組成物、布積層成形体の物性は次の方法により評価した。
(1)オレフィン系樹脂の融点(℃)
アルミニウム製セルに10mgのオレフィン系樹脂のサンプルを封入し、示差走査熱量測定装置(SHIMADZU社製;DSC−60)にて縦軸に熱量、横軸に温度をとり、測定温度範囲40〜200℃、昇温速度10℃/分にて測定した際に得られる吸収曲線のピーク位置で表される温度を融点として測定した。
(2)硬度
温度230℃に設定したプレス成形機((株)神藤金属工業所製NF−37H)により溶融した熱可塑性樹脂組成物を、水冷プレス成形機により冷却し、厚み2mmのプレスシートを作製し、該試験片のデュロメーター硬度を、JIS K 6253試験法に基づいて測定した。
(3)比重
電子比重計を用いて、JIS K 7112試験法に基づいて測定した。
(4)接着強度(N/20mm)
JIS K6256試験法に規定する180°剥離試験により測定した。すなわち、プレス成形機により成形した厚み0.7mmのシートを縦×横=20mm×80mmに切り出し、切り出したシート上にポリエステル製布を載せ、更にその上から0.05MPaの荷重がかかるように錘を載せた状態で、125℃に設定したプレートで5分間加熱し、その後、表面温度を10℃に設定した冷却プレートにより冷却して接着部分20mm×80mmの接着サンプルを得た。そのサンプルを用いてインストロン万能試験機にて引張速度5cm/分で剥離試験を行い、接着強度(N/20mm)を測定した。
(5)防水性
プレス成形機により成形した厚み0.7mmのシートを縦×横=20mm×80mmに切り出し、切り出したシート上にポリエステル製布を載せ、更にその上から0.05MPaの荷重がかかるように錘を載せた状態で、125℃に設定したプレートで5分間加熱し、その後、表面温度を10℃に設定した冷却プレートにより冷却して接着部分20mm×80mmのサンプルを得た。
そして、JIS L1092試験法に準拠して、先端の径が1cmのアクリル製筒を上記サンプルで蓋をして固定し、そして1000mmの水面の高さになるまで筒に水を注ぎ、水滴の漏れを目視観察した。目視確認の結果、水滴の漏れが3滴以内であった場合、合格とした。
<実施例1>
オレフィン系樹脂として融点が115℃、MFRが5g/10minのリニア低密度ポリエチレン(LLDPE1)100質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS1;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が20%であり、重量平均分子量が11万、水添率が90%以上)150質量部を二軸押出機(東芝機械(株)製TEM−26SS)を使用して230℃で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットをプレス成形機により厚み0.7mmのシートに成形し、縦×横=20mm×80mmに切り出した後、切り出したシート上にポリエステル製布を載せ、更にその上から0.05MPaの荷重がかかるように錘を載せた状態で、プレート温度125℃で5分間加熱し、その後、表面温度10℃の冷却プレートにより冷却して布積層成形体を得た。性能評価結果を表1に示す。
<実施例2>
オレフィン系樹脂として融点が115℃、MFRが5g/10minのリニア低密度ポリエチレン(LLDPE1)100質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS1;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が20%であり、重量平均分子量が11万、水添率が90%以上)70質量部、及び芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS2;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が30%であり、重量平均分子量が5万、水添率が90%以上)80質量部(すなわち、水添ブロック共重合体の合計150質量部)を使用した以外は実施例1と同様の条件でペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表1に示す。
<実施例3>
オレフィン系樹脂として融点が110℃、MFRが3g/10minの低密度ポリエチレン(LDPE1)100質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS1;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が20%であり、重量平均分子量が11万、水添率が90%以上)70質量部、及び芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS2;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が30%であり、重量平均分子量が5万、水添率が90%以上)80質量部(すなわち、水添ブロック共重合体の合計150質量部)を使用した以外は実施例1と同様の条件でペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表1に示す。
<実施例4>
オレフィン系樹脂として融点が115℃、MFRが5g/10minのリニア低密度ポリエチレン(LLDPE1)100質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS1;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が20%であり、重量平均分子量が11万、水添率が90%以上)110質量部を使用した以外は実施例1と同様の条件でペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表1に示す。
<実施例5>
オレフィン系樹脂として融点が115℃、MFRが5g/10minのリニア低密度ポリエチレン(LLDPE1)100質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS2;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が30%であり、重量平均分子量が5万、水添率が90%以上)230質量部を使用した以外は実施例1と同様の条件でペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表1に示す。
<比較例1>
オレフィン系樹脂として融点が100℃、MFRが30g/10min、全結晶化度が25%のエチレン−オクテン共重合体80質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレン/ブタジエンである水添ブロック共重合体(TPS3;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が30%であり、重量平均分子量が9万、水添率が90%以上)20質量部、及び可塑剤として40℃動粘度が95mm2/sのパラフィン系オイル20質量部を用いた以外は実施例1と同様の条件でペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表2に示す。
<比較例2>
オレフィン系樹脂として融点が110℃、MFRが3g/10minの低密度ポリエチレン(LDPE1)100質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がブタジエンである水添ブロック重合体(TPS4;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が30%であり、重量平均分子量が10万、水添率が90%以上)70質量部を用いた以外は実施例1と同様の条件にてペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表2に示す。
<比較例3>
オレフィン系樹脂として融点が115℃、MFRが5g/10minのリニア低密度ポリエチレン(LLDPE1)100質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS1;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が20%であり、重量平均分子量が11万、水添率が90%以上)70質量部を用いた以外は実施例1と同様の条件でペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表2に示す。
<比較例4>
オレフィン系樹脂として融点が115℃、MFRが5g/10minのリニア低密度ポリエチレン(LLDPE1)100質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS1;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が20%であり、重量平均分子量が11万、水添率が90%以上)250質量部を用いた以外は実施例1と同様の条件でペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表2に示す。
<比較例5>
オレフィン系樹脂として融点が123℃、MFRが3g/10minの高密度ポリエチレン(HDPE1)100質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS1;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が20%であり、重量平均分子量が11万、水添率が90%以上)70質量部、及び芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS2;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が30%であり、重量平均分子量が5万、水添率が90%以上)80質量部を用いた以外は実施例1と同様の条件でペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表2に示す。
<比較例6>
オレフィン系樹脂として融点が130℃、MFRが10g/10minのポリプロピレン(PP1)100質量部に、芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS1;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が20%であり、重量平均分子量が11万、水添率が90%以上)90質量部、及び芳香族ビニル重合体ブロック及び共役ジエン重合体ブロックを有し、共役ジエン単量体がイソプレンである水添ブロック重合体(TPS2;芳香族ビニル重合体ブロックの含有量が30%であり、重量平均分子量が5万、水添率が90%以上)90質量部を用いた以外は実施例1と同様の条件でペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表2に示す。
<比較例7>
ポリウレタンエラストマー(芳香族エーテル系ウレタンエラストマー、硬度75A、比重1.1、融点77℃)を用いた以外は実施例1と同様の条件でペレットおよび布積層成形体を得た。性能評価結果を表2に示す。
Figure 0006977229
Figure 0006977229
実施例1〜5で得られた布積層成形物はデュロメーター硬度が85以下であり十分な柔軟性を有しており、また接着強度試験では40N/20mm以上の強力な接着強度を有しているとともに、防水性にも優れている。
一方で、特開2003―136643号の実施例に記載されている組成物(比較例1、2)では接着強度が十分でなく、柔軟性にも劣る。またオレフィン系樹脂(イ)100質量部に対して、水添ブロック共重合体(ロ)が110より下回る比率、230より上回る比率の組成物では接着強度が十分でなく、さらに110より下回る比率の組成物では柔軟性も劣る(比較例3、4)。またオレフィン系樹脂として融点が120℃より高い材料を使用した組成物では接着強度が十分でない(比較例5、6)。またウレタン系エラストマーを使用した場合、比重が大きく製品重量が重くなり取扱い性に問題がある(比較例7)。
本発明の熱可塑性樹脂組成物および該組成物と布帛を積層してなる布積層成形体は、柔軟性、軽量性、接着強度などに優れることから、前記した用途以外にも、自動車内外装材部品、家電部品、事務機部品、家具、建材、スポーツ用品、医薬用品、工業資材、衛生材料等の伸縮部材、衣料、フィルム、シート、マット、滑り止め材、チューブ、ホース、パイプ、文房具、玩具、日用雑貨などの幅広い用途に使用可能である。







Claims (4)

  1. 示差走査熱量測定にて測定した融点が110〜120℃のオレフィン系樹脂(イ)100質量部に対し、少なくとも分子中にスチレンからなる重合体ブロック(A)を2個以上有し、かつ、分子中にイソプレンからなる重合体ブロック(B)を1個以上有するブロック共重合体を水素添加して得られる水素添加ブロック共重合体(ロ)を110〜230 質量部含有した熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物と布帛を積層した布積層成形体。
  3. 請求項2記載の布積層成形体を用いた防水用品。
  4. 請求項2記載の布積層成形体を用いた消防ホース。
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