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JP6978388B2 - 圃場作業車のための自動操舵システム - Google Patents
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JP6978388B2 - 圃場作業車のための自動操舵システム - Google Patents

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Description

本発明は、自動走行によって進入元走行経路から旋回走行を介して進入先走行経路に進入する圃場作業車のための自動操舵システムに関する。
自動走行作業車は、作業地を網羅する線状の走行経路に沿うように自動操舵される。進入元走行経路から旋回走行を介して進入先走行経路に進入することが順次繰り返される。進入元走行経路の方向と進入先走行経路の方向とが違うために必要となる機体の方向転換が、旋回走行によって行われる。
特許文献1によるコンバインは、複数の平行線として設定された走行経路を、方向転換走行(Uターン走行)で順次つなぐように走行することで、未作業領域の作業が行われる。方向転換走行のための経路は、隣接する走行経路の間隔を直径とする円弧となっている(特許文献1の図1を参照)。さらに、一本の走行経路を間に挟んで進入元走行経路から旋回走行を介して進入先走行経路に進入する場合では(特許文献1の図8を参照)、経路間隔より大きな直径を有する円弧が旋回走行の経路として用いられている。いずれも、機体の方向転換のための旋回走行には、1つの円弧で示される経路が用いられている。
特許文献2によるコンバインでは、機体の方向転換のための旋回走行のための経路として、同じ半径を有する2つの円弧とこの円弧を結ぶ直線からなる経路が用いられている(特許文献2の図9、図12、図15を参照)。
特開2017−055673号公報 特開2018−068284号公報
コンバインのような圃場作業車では、最小旋回半径と走行作業幅との関係から、隣接する平行な2つの走行経路をつなぐような旋回走行を1つ円弧経路で行うのは、困難であることから、進入元走行経路と進入先走行経路との間に1本以上の走行経路を挟むような旋回走行が行われる。そのような旋回走行では、特許文献2で示すような、2つの円弧とこの円弧を結ぶ直線からなる旋回経路が用いられる。しかしながら、2つの円弧を用いた旋回走行において、進入元走行経路と進入先走行経路との間の距離を小さくするためには、小さい半径の円弧を用いた旋回経路を採用する必要があるが、そのような旋回経路に沿った旋回走行は、地面を荒らしてしまう問題が生じる。このことから、2つの円弧を用いた旋回走行を、できるだけコンパクトに、かつ地面を荒らさないように行うための適切な自動操舵手法が要望されている。
本発明は、自動走行で、進入元走行経路から旋回走行を介して進入先走行経路に進入する圃場作業車のための自動操舵システムであり、このシステムは、前記進入元走行経路に沿った走行に続く初期旋回走行のための初期旋回経路を算出する初期旋回経路算出部と、前記初期旋回経路に沿った走行に続く後期旋回走行のための後期旋回経路を算出する後期旋回経路算出部と、前記後期旋回経路と前記進入先走行経路とをつなぐ進入経路を算出する進入経路算出部とを備え、前記初期旋回経路の旋回半径は、前記後期旋回経路の旋回半径より大きく設定されている。
圃場作業車は、機体の方向転換のための旋回走行時に、圃場を少なからず荒らしてしまう。特に、直進走行から旋回走行に移行する際に圃場が荒らされる傾向がある。本発明の構成では、一方では、直進走行から旋回走行に移行する際に用いられる初期旋回経路の旋回半径を大きくすることで、直進走行から旋回走行に移行する際の圃場の荒れを抑制することを意図している。具体的には、初期旋回経路の旋回半径は進入先走行経路に進入する際に用いられる後期旋回経路の旋回半径より大きく設定されている。他方では、後期旋回経路の旋回半径を小さくすることで、進入元走行経路と進入先走行経路との間隔が小さいコンパクトな旋回走行が可能となることを意図している。具体的には、後期旋回経路の旋回半径は、初期旋回経路の旋回半径より大きく設定されている。
進入元走行経路と初期旋回経路を直接接続すると、初期旋回経路の沿った初期旋回走行時に、車輪またはクローラで構成される走行装置が、進入先走行経路に沿った走行で作業される予定の農作物を踏み付けてしまう可能性がある。これを避けるためには、走行装置が進入元走行経路を完全に抜け切るまで進入元走行経路の延長上を走行する必要がある。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記初期旋回経路の始端側には、旋回時に前記圃場作業車が農作物を踏み付けることを回避するための前記進入元走行経路の延び方向に沿って延びる予備経路が算出される。
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記後期旋回経路が円弧であり、前記初期旋回経路算出部は、前記進入元走行経路の延長線と前記後期旋回経路の接線とに接する円の円弧として、前記初期旋回経路を算出する。この構成では、旋回経路を円弧で表現することで旋回経路を算出する際の演算が容易となるだけでなく、進入元走行経路から初期旋回経路への移行経路及び初期旋回経路から後期旋回経路への移行経路が、自動操舵に適した滑らかで連続的な線となる利点がある。その際、後期旋回経路の接線が進入先走行経路に直交する接線であれば、初期旋回経路及び後期旋回経路が90度円弧となるので、好都合である。なお、後期旋回経路と初期旋回経路とが直接接するような形態であってもよい。
さらに別な、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記後期旋回経路が円弧であり、前記初期旋回経路の後端側には、前記後期旋回経路につながる直線状の中間経路が算出されており、前記初期旋回経路算出部は、前記進入元走行経路の延長線と前記中間経路とに接する円の円弧として、前記初期旋回経路を算出する。この構成においても、旋回経路は円弧で表現され、進入元走行経路から初期旋回経路への移行、初期旋回経路から中間経路への移行、及び中間経路から後期旋回経路への移行が、円弧に対する接線の形態で行われるので、スムーズとなる利点が得られる。操舵目標となる初期旋回経路及び後期旋回経路が円弧で形成されているので、実際の圃場作業車の旋回半径と、実質的に意図している旋回半径とが一致するような操舵制御が実現される。
圃場作業車の一例としての普通型のコンバインの側面図である。 コンバインの周囲刈り走行を示す説明図である。 Uターンでつながれた往復走行を繰り返す走行パターンを示す説明図である。 Uターン旋回経路と直進走行経路とからなる走行経路の算出の基本原理を示す説明図である。 アルファターンを用いた渦巻き走行パターンを示す説明図である。 手動走行と自動走行とを用いて行われるコンバインによる収穫作業の流れを説明する説明図である。 進入元走行経路、初期旋回経路、後期旋回経路、進入経路、進入先走行経路のそれぞれの関係を示す説明図である。 進入元走行経路、初期旋回経路、中間経路、後期旋回経路、進入経路、進入先走行経路のそれぞれの関係を示す説明図である。 進入元走行経路、予備経路、初期旋回経路、後期旋回経路、進入経路、進入先走行経路のそれぞれの関係を示す説明図である。 進入元走行経路、予備経路、初期旋回経路、中間経路、後期旋回経路、進入経路、進入先走行経路のそれぞれの関係を示す説明図である。 コンバインの制御系の構成を示す機能ブロック図である。
次に、本発明による自動操舵システムを採用した自動走行可能な圃場作業車の一例として、普通型のコンバインが取り上げられ、説明される。なお、本明細書では、特に断りがない限り、「前」(図1に示す矢印Fの方向)は機体前後方向(走行方向)に関して前方を意味し、「後」(図1に示す矢印Bの方向)は機体前後方向(走行方向)に関して後方を意味する。また、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)を意味する。「上」(図1に示す矢印Uの方向)及び「下」(図1に示す矢印Dの方向)は、機体10の鉛直方向(垂直方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示す。
図1に示すように、このコンバインは、機体10、クローラ式の走行装置11、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14、収穫部15、搬送装置16、穀粒排出装置18、自車位置検出モジュール80を備えている。
走行装置11は、機体10の下部に備えられている。コンバインは、走行装置11によって自走可能に構成されている。運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられ、機体10の上部を構成している。運転部12には、コンバインを運転する運転者及びコンバインの作業を監視する監視者が搭乗可能である。なお、監視者は、コンバインの機外からコンバインの作業を監視してもよい。
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の後下部に連結されている。また、自車位置検出モジュール80は、運転部12の上方面に取り付けられている。
収穫部15は、コンバインにおける前部に備えられている。そして、搬送装置16は、収穫部15の後方に設けられている。また、収穫部15は、切断機構15a及びリール15bを有している。切断機構15aは、圃場の植立穀稈を刈り取る。また、リール15bは、回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。この構成により、収穫部15は、圃場の穀物(農作物の一種)を収穫する。そして、コンバインは、収穫部15によって圃場の穀物を収穫しながら走行装置11によって走行する作業走行が可能である。
切断機構15aによって刈り取られた刈取穀稈は、搬送装置16によって脱穀装置13へ搬送される。脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
また、運転部12には、汎用端末4が配置されている。本実施形態において、汎用端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、汎用端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、汎用端末4は、コンバインの機外に持ち出し可能であってもよい。
図2に示すように、このコンバインは、圃場において設定された走行経路に沿って自動走行する。これには、自車位置の情報が必要である。自車位置検出モジュール80には、衛星測位ユニット81と慣性航法ユニット82とが含まれている。衛星測位ユニット81は、人工衛星GSから送信される位置情報であるGNSS(global navigation satellite system)信号(GPS信号を含む)を受信して、自車位置を算出するための測位データを出力する。慣性航法ユニット82は、ジャイロ加速度センサ及び磁気方位センサを組み込んでおり、瞬時の走行方向を示す信号を出力する。慣性航法ユニット82は、衛星測位ユニット81による自車位置算出を補完するために用いられる。慣性航法ユニット82は、衛星測位ユニット81とは別の場所に配置されてもよい。
このコンバインによって圃場での収穫作業を行う場合の手順は、以下に説明する通りである。
まず、運転者兼監視者は、コンバインを手動で操作し、図2に示すように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線に沿って周囲刈り走行しながら収穫を行う。周囲刈り走行により既刈領域となった領域は、外周領域(既作業領域)SAとして設定される。そして、外周領域SAの内側に未刈地(未作業地)のまま残された内部領域は未作業領域CAであり、今後の作業対象領域として設定される。この実施形態では、未作業領域CAが四角形となるように、周囲刈り走行が行われる。もちろん、三角形や五角形の未作業領域CAが採用されてもよい。
また、このとき、外周領域SAの幅をある程度広く確保するために、運転者は、コンバインを2〜3周走行させる。この走行においては、コンバインが1周する毎に、コンバインの作業幅分だけ外周領域SAの幅が拡大する。この2〜3周の走行が終わると、外周領域SAの幅は、コンバインの作業幅の2〜3倍程度の幅となる。
外周領域SAは、作業対象領域である未作業領域CAにおいて収穫走行を行うときに、コンバインが方向転換するためのスペースとして利用される。また、外周領域SAは、収穫走行を一旦終えて、穀粒の排出場所へ移動する際や、燃料の補給場所へ移動する際等の移動用のスペースとしても利用される。
なお、図2に示す運搬車CVは、コンバインが穀粒排出装置18から排出した穀粒を収集し、運搬することができる。穀粒排出の際、コンバインは運搬車CVの近傍へ移動した後、穀粒排出装置18によって穀粒を運搬車CVへ排出する。
未作業領域CAの形状を示す内側マップデータが作成されると、この内側マップデータに基づいて算出される線状(直線又は曲線)の走行経路に沿う自動走行と、1つの走行経路(旋回元走行経路)から次の走行経路(旋回先走行経路)に移行するための旋回走行とによって未作業領域CAの植付穀稈が刈り取られる。未作業領域CAを作業走行(収穫走行)する際に用いられる走行パターンとして、図3に示す往復走行パターンが示されている。この往復走行パターンでは、コンバインは、未作業領域CAの一辺に平行な2つの走行経路を旋回走行経路の1つであるUターン走行経路によってつなぐように、走行する。
往復走行パターンを用いて未作業領域CAを自動走行するために用いられる走行経路(Uターン旋回経路と直進走行経路とからなる)は、内側マップデータに基づいて以下のように算出される。図4に示すように、内側マップデータから、第1辺S1、第2辺S2、第3辺S3、第4辺S4からなる四角形の未作業領域CAが規定される。この未作業領域CAの長辺である第1辺S1が基準辺S1として選択される。この基準辺S1に平行で、作業幅(刈取り幅)の半分だけ基準辺S1から内側を通る線が初期基準線L1として算出される。この初期基準線L1が最初に走行する走行経路に対応する。なお、最初に、未作業領域CAを中割するような収穫走行が採用される場合、初期基準線L1として、基準辺S1に平行で、基準辺S1からさらに離れた距離(作業幅の半分+作業幅の整数倍)を通る線が初期基準線L1として算出される。
コンバインが、進入元走行経路から進入先走行経路へ180度の旋回走行するために必要なスペースを確保するため、初期基準線L1から旋回走行を介してつながる次の基準線L2は、初期基準線L1に平行で作業幅の複数倍(図4では3倍)の間隔で算出される。同様な方法で、次の基準線L3も算出される。このように、旋回走行で必要なスペースを考慮して、順次基準線が算出される。これらの基準線L1、L2、L3・・・が直進走行用の走行経路(進入元走行経路及び進入先走行経路)に対応する。図4では、未作業領域CAの形状は四角形であったが、これが三角形や五角形などの他の多角形であっても基準辺S1を選択すれば、同様な方法で順次走行経路を算出することができる。
なお、走行パターンとして、その他に渦巻き走行パターンがある。渦巻き走行パターンでは、図5に示されているように、コンバインは、未作業領域CAの外形に相似するような周回走行軌跡をもって、中心に向けて渦巻きのように走行する。その際、各コーナ領域で必要な旋回走行として、直進と後進旋回と前進旋回とを用いた、アルファターンと呼ばれる旋回走行が採用される。
実際の圃場における収穫作業では、図6に示されているように、往復走行パターンと渦巻き走行パターンとが混在することが少なくない。図6の例では、コンバインが圃場に入ると(#a)、手動操舵で周囲刈り走行が行われ、圃場の最外周側に既作業領域である外周領域SAが形成される(#b)。この周囲刈り走行で形成される外周領域SAがコンバインのアルファターンが可能となる大きさになれば、未作業領域CAに対して渦巻き走行パターンが設定され、渦巻き走行が行われる(#c)。この渦巻き走行では、少なくとも直進は自動操舵による自動走行が可能である。渦巻き走行は、未作業領域CAが、往復走行パターンにおける旋回走行(ノーマルUターン、スイッチバックターン)が可能となる大きさになるまで、行われる(#d)。次に、未作業領域CAに対して、往復走行パターンで未作業領域CAを網羅するような走行経路が設定される(#e)。設定された走行経路に沿って往復走行を実施することで、圃場の収穫作業が終了する(#f)。
進入元走行経路Lnから進入先走行経路Lmに進入する際に用いられる旋回経路が、図7から図10に例示されている。図7から図10において、進入元走行経路はLnで示され、進入先走行経路はLmで示されている。進入元走行経路Lnと進入先走行経路Lmとの間隔(経路間隔)は、Dで示されている。旋回経路は、進入元走行経路Lnに沿った走行に続く初期旋回走行のための初期旋回経路C1と、初期旋回経路C1に沿った走行に続く後期旋回走行のための後期旋回経路C2と、後期旋回経路C2と進入先走行経路Lmをつなぐ進入経路Linとを有する。進入経路Linは進入先走行経路Lmの延長経路であってよい。図8及び図10の例では、初期旋回経路C1の後端側には、後期旋回経路C2につながる直線状の中間経路Lmidが介在している。ここで例示されている旋回経路では、中間経路Lmidは初期旋回経路C1および後期旋回経路C2に接する接線である。初期旋回経路C1及び進入元走行経路Lnは90度円弧である。図9及び図10の例では、初期旋回経路C1と進入元走行経路Lnの終端との間に、予備経路Ladが介在している。予備経路Ladは、進入元走行経路Lnの延び方向に延びた延長線とみなしてもよい。図7から図10に例示された旋回経路において重要な点は、初期旋回経路C1を形成する円弧の半径Rは、後期旋回経路C2を形成する円弧の半径rより大きく設定されることである。初期旋回経路C1の旋回半径Rに関しては、後期旋回経路C2を形成する円弧の半径rを考慮して、rより大きな値である最小値及び最大値が予め決められ、その最小値と最大値との範囲で選択されるようにしてもよい。さらには、利用可能な旋回半径Rがrより大きな値であることを条件として予め設定されていてもよい。
進入先走行経路Lmに進入するための旋回走行に用いられる後期旋回経路C2は、進入先走行経路Lmの延長線である進入経路Linに接する半径rの円弧である。半径rは、コンバインの旋回半径に基づいて予め決定されている。圃場の荒れより旋回スペースを小さくすることを優先する場合には、コンバインの最小旋回半径が採用され、旋回スペースより圃場を荒らさないことを優先する場合には、最小旋回半径より大きな標準旋回半径が採用される。
進入経路Linの長さは、後期旋回経路C2に沿って旋回走行してきたコンバインが確実に進入先走行経路Lmを捕捉して、進入先走行経路Lmに精度良く進入し、刈り残しなしに収穫走行に移行できるように算出される。この進入経路Linの最小必要長さは、コンバイン仕様(収穫幅や旋回性能)及び圃場特性(滑り易さや凹凸のレベル)、旋回走行に利用可能なスペースから算出される。
図7の例では、初期旋回経路C1は、後期旋回経路C2と進入元走行経路Lnとに直接連結している。言い換えると、初期旋回経路C1は、後期旋回経路C2と進入元走行経路Lnとに接する円の90度円弧である。このようなケースでは、前提条件が必要である。この前提条件は、経路間隔が比較的短こと、及び、進入元走行経路Lnでの収穫走行後すぐに旋回走行に移行しても、旋回側の走行装置11が未刈領域の植付穀稈を踏み付けないことである。
進入元走行経路Lnでの収穫走行後すぐに旋回走行に移行すれば、旋回側の走行装置11が未刈領域の植付穀稈を踏み付けてしまう場合には、図9や図10に示すように、進入元走行経路Lnと初期旋回経路C1との間に、予備経路Ladが算出される。予備経路Ladが算出されると、予備経路Ladの長さ分だけ、進入経路Linが延長される。
経路間隔が図7や図9の例に比べて長い場合、初期旋回経路C1が後期旋回経路C2に直接つながるような旋回経路を採用すると、初期旋回経路C1の半径Rが非常に大きくなる。このため、初期旋回経路C1の始端が進入元走行経路Lnに深く入り込むことになり、その旋回走行時に、コンバインの走行装置11が植付穀稈を踏み付けてしまう。これを回避するため、図8や図10に示すように、初期旋回経路C1の後端側には、後期旋回経路C2につながる直線状の中間経路Lmidが算出される。
このように、進入元走行経路Lnから進入先走行経路Lmに旋回移行する際に用いられる旋回経路は、経路間隔d、コンバイン仕様(収穫幅や旋回性能)及び圃場特性(滑り易さや凹凸のレベル)、旋回走行に利用可能なスペースから適切なもの(図7から図10で示された4つの旋回パターンの1つ)が選択される。これらの旋回パターンでも旋回不能な場合には、図5で示したようなアルファパターンが選択される。
図11に、コンバインの制御系が示されている。コンバインの制御系は、車載LANを介して接続された多数のECUと呼ばれる電子制御ユニットから構成される制御装置5、及び制御装置5と信号通信やデータ通信を行う各種入出力機器から構成されている。
制御装置5は、入出力インタフェースとして、出力処理部58と入力処理部57とを備えている。出力処理部58は、機器ドライバ65を介して種々の動作機器70と接続している。動作機器70として、走行関係の機器である走行機器群71と作業関係の機器である作業機器群72とがある。走行機器群71には、例えば、エンジン機器、変速機器、制動機器、操舵機器などが含まれている。作業機器群72には、収穫作業装置(図1に示す、収穫部15、脱穀装置13、搬送装置16、穀粒排出装置18など)における制御機器が含まれている。
入力処理部57には、走行状態センサ群63、作業状態センサ群64、走行操作ユニット90、などが接続されている。走行状態センサ群63には、車速センサ、エンジン回転数センサ、駐車ブレーキ検出センサ、変速位置検出センサ、操舵位置検出センサ、などが含まれている。作業状態センサ群64には、上述した収穫作業装置の駆動状態や姿勢を検出するセンサ、及び穀稈や穀粒の状態を検出するセンサが含まれている。
走行操作ユニット90は、運転者によって手動操作され、その操作信号が制御装置5に入力される操作具の総称である。走行操作ユニット90には、変速レバーとしての主変速レバー91、操舵レバー92、モード切替スイッチ93として構成されたモード操作具、自動走行操作具94、などが含まれている。モード切替スイッチ93は、自動運転と手動運転とを切り替えるための指令を制御装置5に送り出す機能を有する。自動走行操作具94は、運転者による操作を通じて、自動走行移行要求を出力する。
報知デバイス62は、運転者等に作業状態や走行状態に関する警告を報知するためのデバイスであり、ブザーやランプなどである。なお、汎用端末4もタッチパネル40での表示を通じて運転者等に作業状態や走行状態や種々の情報を報知するデバイスとして機能する。
この制御装置5は、さらに車載LANを通じて汎用端末4とも接続している。汎用端末4はタッチパネル40を備えたタブレットコンピュータである。汎用端末4は、入出力制御部41、作業走行管理部42、走行経路算出部43、旋回経路算出部44を有する。入出力制御部41は、タッチパネル40を用いてグラフィックインターフェースを構築する機能、及び、遠隔地のコンピュータ、無線回線やインターネットを通じて、データ交換する機能を備えている。
作業走行管理部42は、走行軌跡算出部421と作業領域決定部422と排出位置設定部423とを備えている。走行軌跡算出部421は、制御装置5から与えられた自車位置に基づいて走行軌跡を算出する。作業領域決定部422は、図2に示すように、コンバインが圃場の外周領域SAを何周か周囲刈り走行することで得られた走行軌跡に基づいて、圃場を外周領域SAと未作業領域CAとに区分けする。外周領域SAの最外線によって圃場の畔との境界線が算出され、外周領域SAの最内線によって、自動走行が行われる未作業領域CAが算出される。排出位置設定部423は、穀粒タンク14が満杯になった場合、穀粒タンク14の穀粒を穀粒排出装置18によって運搬車CVに排出する際のコンバインの排出停車位置を設定する。排出停車位置は、周囲刈り走行によって圃場の外周側に形成される外周領域SAで、かつ多角形状の外周領域SAのコーナ部以外の場所に設定される。
走行経路算出部43は、作業領域決定部422によって決定された未作業領域CAに対して自動走行用の走行経路を算出する。外周領域SAの手動走行が終了したことを、運転者が入力することで、選択された走行パターンでの経路算出が自動的に行われる。
走行経路算出部43は、収穫部15の収穫幅(作業幅)と、オーバーラップ値とに基づいて、隣接走行経路の間隔(経路間隔)を決定する。さらに、走行経路算出部43は、図4を用いて説明したようなアルゴリズムを用いて、直進用の走行経路を算出する。
旋回経路算出部44は、Uターンタイプの旋回経路や、図5に示されたアルファターンタイプの旋回経路を算出する。特に、図7から図10を用いて説明された旋回経路を算出するため、初期旋回経路算出部441、後期旋回経路算出部442、進入経路算出部443、予備経路算出部444、中間経路算出部445が備えられている。
後期旋回経路算出部442は、タッチパネル40に対する操作入力を通じて予め設定されているコンバインの使用旋回半径を有する90度円弧を後期旋回経路C2として算出する。その際、進入経路算出部443は、算出された後期旋回経路C2を用いて、進入先走行経路Lmに精度よく進入するために必要な進入経路の長さを算出する。初期旋回経路算出部441は、進入元走行経路Lnに沿った走行に続く初期旋回走行のための初期旋回経路C1を算出する。その際、初期旋回経路C1の半径として、後期旋回経路C2の半径より大きな値が用いられる。後期旋回経路C2の半径に対応する初期旋回経路C1の半径がテーブル化されていると好都合である。算出された初期旋回経路C1と後期旋回経路C2、及び進入元走行経路Lnと進入先走行経路Lmとの間の経路間隔に基づいて、中間経路算出部445が直線状の中間経路Lmidの必要長さを算出する。さらに、予備経路算出部444が、現状のコンバインの収穫幅と走行装置11の仕様と初期旋回経路C1の半径とに基づいて、予備経路Ladの必要長さを算出する。
旋回経路算出部44による旋回経路の算出において、中間経路Lmidと予備経路Ladとの必要長さがゼロであれば、図7に示したような旋回経路が算出される。予備経路Ladの必要長さだけがゼロであれば、図8に示したような旋回経路が算出される。中間経路Lmidの必要長さだけがゼロであれば、図9に示したような旋回経路が算出される。中間経路Lmidと予備経路Ladとの必要長さがゼロでなければ、図10に示したような旋回経路が算出される。
制御装置5には、自車位置算出部50、手動走行制御部51、自動走行制御部52、走行経路設定部53、作業制御部54、報知部59が備えられている。
自車位置算出部50は、衛星測位ユニット81から逐次送られてくる測位データに基づいて、自車位置を地図座標(または圃場座標)の形式で算出する。自車位置算出部50は、慣性航法ユニット82からの位置ベクトルと走行距離とを用いて自車位置を算出することもできる。自車位置算出部50は、衛星測位ユニット81及び慣性航法ユニット82からの信号を組み合わせて自車位置を算出することも可能である。さらに、自車位置算出部50は、経時的な自車位置から、機体10の進行方向である機体10の向きを算出することも可能である。
報知部59は、制御装置5の各機能部からの指令等に基づいて報知データを生成し、報知デバイス62に与える。制御装置5は、モード切替スイッチ93により走行モードが自動走行モードに切り替えられている場合、予め設定されている自動走行許可条件に基づいて自動走行の許否を判定し、この判定結果が許可である場合、自動走行開始指令を自動走行制御部52に与える。
手動走行制御部51及び自動走行制御部52は、エンジン制御機能、操舵制御機能、車速制御機能などを有し、走行機器群71に走行制御信号を与える。作業制御部54は、収穫作業装置の動きを制御するために、作業機器群72に作業制御信号を与える。
このコンバインは、自動走行で収穫作業を行う自動運転と、手動走行で収穫作業を行う手動運転との両方で走行可能である。自動走行モードが設定されている場合、走行経路設定部53は、走行経路算出部43によって算出された走行経路及び旋回経路算出部44によって算出された旋回経路を、汎用端末4から受け取って、適時に、自動操舵の目標となる走行経路及び旋回経路として設定する。自動走行制御部52は、自動操舵を行うために、走行経路設定部53によって設定された走行経路及び旋回経路と、自車位置算出部50によって算出された自車位置との間の方位ずれ及び位置ずれを解消するように、操舵制御信号を生成する。さらに、自動走行制御部52は、前もって設定された車速値に基づいて車速変更に関する制御信号を生成する。
手動走行モードが選択されている場合、運転者による操作に基づいて手動操作信号が手動走行制御部51に送られると、手動走行制御部51が制御信号を生成し、走行機器群71を制御することで、手動運転が実現される。なお、走行経路設定部53によって設定された走行経路及び旋回経路は、手動運転であっても、コンバインが当該走行経路及び旋回経路に沿って走行するためのガイダンスのために利用することができる。
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、旋回経路算出部44は、進入元走行経路Lnと進入先走行経路Lmが決定すると、初期旋回経路C1、後期旋回経路C2、中間経路Lmid、予備経路Ladを算出するように構成されていた。これに代えて、初期旋回経路C1、後期旋回経路C2、中間経路Lmid、予備経路Ladの各算出機能をテーブル化し、決定された進入元走行経路Ln及び進入先走行経路Lmのデータが入力されると、初期旋回経路C1、後期旋回経路C2、中間経路Lmid、予備経路Ladのデータが導出されるような構成を採用してもよい。
(2)図11で示された各機能部は、主に説明目的で区分けされている。実際には、各機能部は他の機能部と統合してもよいし、または複数の機能部に分けてもよい。例えば、汎用端末4に構築された機能部は、部分的にあるいはその全てを制御装置5に組み込まれてもよい。
(3)上述の実施形態においては、周囲刈り走行は、手動走行で行われていたが、2周目以降では、部分的に、特に直線状の走行に関しては、自動走行を採用してもよい。
本発明は、普通型のコンバインだけでなく、自脱型のコンバインにも利用可能である。また、トウモロコシ収穫機、ニンジン収穫機、サトウキビ収穫機等の種々の収穫機にも利用できる。
10 :機体
11 :走行装置
4 :汎用端末
40 :タッチパネル
41 :入出力制御部
42 :作業走行管理部
421 :走行軌跡算出部
422 :作業領域決定部
43 :走行経路算出部
44 :旋回経路算出部
441 :初期旋回経路算出部
442 :後期旋回経路算出部
443 :進入経路算出部
444 :予備経路算出部
445 :中間経路算出部
5 :制御装置
50 :自車位置算出部
51 :手動走行制御部
52 :自動走行制御部
53 :走行経路設定部
80 :自車位置検出モジュール
C1 :初期旋回経路
C2 :後期旋回経路
CA :未作業領域
Lad :予備経路
Lin :進入経路
Lm :進入先走行経路
Lmid :中間経路
Ln :進入元走行経路
r :半径
R :半径

Claims (4)

  1. 自動走行によって進入元走行経路から旋回走行を介して進入先走行経路に進入する圃場作業車のための自動操舵システムであって、
    前記進入元走行経路に沿った走行に続く初期旋回走行のための初期旋回経路を算出する初期旋回経路算出部と、
    前記初期旋回経路に沿った走行に続く後期旋回走行のための後期旋回経路を算出する後期旋回経路算出部と、
    前記後期旋回経路と前記進入先走行経路とをつなぐ進入経路を算出する進入経路算出部とを備え、
    前記初期旋回経路の旋回半径は、前記後期旋回経路の旋回半径より大きく設定されている自動操舵システム。
  2. 前記初期旋回経路の始端側には、旋回時に前記圃場作業車が農作物を踏み付けることを回避するために前記進入元走行経路の延び方向に沿って延びる予備経路が算出される請求項1に記載の自動操舵システム。
  3. 前記後期旋回経路が円弧であり、
    前記初期旋回経路算出部は、前記進入元走行経路の延長線と前記後期旋回経路の接線とに接する円の円弧として、前記初期旋回経路を算出する請求項1または2に記載の自動操舵システム。
  4. 前記後期旋回経路が円弧であり、
    前記初期旋回経路の後端側には、前記後期旋回経路につながる直線状の中間経路が算出されており、
    前記初期旋回経路算出部は、前記進入元走行経路の延長線と前記中間経路とに接する円の円弧として、前記初期旋回経路を算出する請求項1または2に記載の自動操舵システム。
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