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JP6983734B2 - 収穫機 - Google Patents
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Description

本発明は、収穫幅の端部をオーバーラップさせながら、圃場内に設定された走行経路に沿って自動走行する収穫機に関する。
特許文献1では、作業地の大きさと作業幅とオーバーラップ値(重複設定幅)とに基づいて生成された複数の直線路を含む走行経路を自動走行する作業車が開示されている。所定のオーバーラップ値を含む作業幅で作業地を網羅する走行経路を生成する際に、収穫幅に満たない幅の未作業領域が発生する場合には、所定のオーバーラップ値を広げることで作業幅に満たない幅の未作業領域が最後に残ってしまうことを回避する走行経路が生成される。
特開2017−134527号公報
特許文献1による作業車では、オーバーラップ値を調整することで、未作業領域内に設定される走行経路で、未作業領域を作業することが可能となる。この作業車に搭載されている走行経路作成アルゴリズムは、オーバーラップ値が可変となっているので、作業車は実質的に種々の作業幅の走行経路で作業走行することができる。しかしながら、オーバーラップ値の違いが、自動走行における操舵制御に考慮されていないので、小さいオーバーラップ値で生成された走行経路であっても、大きなオーバーラップ値で生成された走行経路であっても同一の操舵制御が行われる。
本発明の目的は、異なるオーバーラップ値で生成された走行経路に沿って自動走行する際に、オーバーラップ値の違いを考慮した制御が行われる収穫機を提供することである。
収穫幅の端部をオーバーラップさせながら、圃場内に設定された走行経路に沿って自動走行する、本発明による収穫機は、収穫走行形態を選択する収穫走行形態選択部と、前記オーバーラップのオーバーラップ値を設定するオーバーラップ値設定部と、前記収穫幅と前記オーバーラップ値とから決定される経路間隔で作業対象領域を網羅するように、前記走行経路を前記収穫走行形態に応じて算出する走行経路算出部と、自車位置を算出する自車位置算出部と、前記走行経路と前記自車位置との間の偏差及び前記オーバーラップ値に基づいて制御指令を生成する制御指令生成部と、前記制御指令に基づいて操舵制御を行う自動走行制御部とを備える。
コンバインなどの収穫機の場合、圃場の形状、大きさ、収穫物の種類や状態、収穫装置の作業走行幅、運転者や営農家の意向、などから、収穫走行における走行経路のレイアウト(走行パターン)、収穫幅、収穫速度、制御パラメータなどが決定される。この走行パターン、収穫幅、収穫速度、制御パラメータなどが異なる形態での各種走行は、ここでは収穫走行形態と総称される。本発明による上記構成の収穫機では、収穫走行形態に応じて算出された走行経路におけるオーバーラップ値が設定されると、このオーバーラップ値及び走行経路と自車位置との間の偏差に基づいて制御指令が生成されるので、オーバーラップ値が異なる走行経路に対しては異なる操舵制御の実行が可能となる。その結果、より適切な操舵制御を用いた自動走行による収穫作業が可能となる。
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記オーバーラップ値設定部は、前記収穫走行形態に応じて、前記オーバーラップ値を変更する。この構成では、選択された収穫走行形態にとって最適なオーバーラップ値を設定し、そのオーバーラップ値で自動走行することができる。
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記偏差を無効にする偏差不感帯の幅が、前記オーバーラップ値の増大に対応して広くなるように変更される。オーバーラップ値が大きくなれば、自動走行制御の不安定による収穫残しの領域(収穫作業もれ領域)が生じる可能性が低くなる。また、偏差不感帯の幅を大きくすれば、わずかな偏差では操舵修正が行われないので、制御感度は鈍感となるが、それゆえに、わずかな偏差による操舵修正の結果、機体が微細揺動してしまうという問題は回避される。この構成では、オーバーラップ値が大きい場合には、偏差不感帯の幅を広くし、機体の微細揺動を抑制している。
圃場の農作物を走行しながら収穫する収穫機走行パターンとして、複数の平行な走行経路をUターンによってつないで走行する往復走行パターンと、作業対象領域の外縁に沿って渦巻き状に内側に向かって走行する渦巻き走行パターンがよく知られている。往復走行パターンでは、複数の平行な走行経路群から順次選択される走行経路がUターン旋回走行でつながれていく。渦巻き走行パターン経路では、多角形形状の作業対象領域の各辺に平行となる走行経路が、順次アルファターンと呼ばれる後進を伴う旋回走行でつながれていく。その際、旋回走行の最後において、次に進入する目標となる走行経路からの自車位置の偏差(ずれ)が大きくなると、収穫作業ができない領域が生じてしまう。これを避けるためには、一旦その進入走行を中止し、後進を行い、進入走行をやり直す必要がある。ただし、オーバーラップ値が大きくなれば、自車位置の偏差の許容範囲が大きくなるので、この進入走行やり直し条件は緩和可能となる。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、旋回走行を通じて進入しようとする前記走行経路である進入目標走行経路と前記自車位置との間の進入偏差を算出する進入偏差算出部が備えられ、前記進入偏差が禁止偏差を超えた場合に前記進入目標走行経路への進入を中止させる進入中止指令が、前記制御指令に含まれており、前記禁止偏差が前記オーバーラップ値によって変更される。
収穫機の一例としての普通型のコンバインの側面図である。 コンバインの周囲刈り走行を示す説明図である。 Uターンでつながれた往復走行を繰り返す走行パターンを示す説明図である。 渦巻き状に中心に向かって走行する走行パターンを示す説明図である。 スイッチバックを用いた往復走行パターンでの走行経路の算出を説明する説明図である。 ノーマルUターンを用いた往復走行パターンでの走行経路の算出を説明する説明図である。 渦巻き走行パターンでの走行経路の算出を説明する説明図である。 手動走行と自動走行とを用いて行われるコンバインによる収穫作業の流れを説明する説明図である。 収穫幅とオーバーラップ値と経路間隔との関係を示す説明図である。 オーバーラップ値の増減と偏差不感帯幅との関係を示す説明図である。 オーバーラップ値の増減と進入走行時の限界角度との関係を示す説明図である。 コンバインの制御系の構成を示す機能ブロック図である。
次に、本発明による、自動運転と手動運転とが可能な収穫機の一例として、普通型のコンバインを取り上げて説明する。なお、本明細書では、特に断りがない限り、「前」(図1に示す矢印Fの方向)は機体前後方向(走行方向)に関して前方を意味し、「後」(図1に示す矢印Bの方向)は機体前後方向(走行方向)に関して後方を意味する。また、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)を意味する。「上」(図1に示す矢印Uの方向)及び「下」(図1に示す矢印Dの方向)は、機体10の鉛直方向(垂直方向)での位置関係であり、地上高さにおける関係を示す。
図1に示すように、このコンバインは、機体10、クローラ式の走行装置11、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14、収穫部15、搬送装置16、穀粒排出装置18、自車位置検出モジュール80を備えている。
走行装置11は、機体10の下部に備えられている。コンバインは、走行装置11によって自走可能に構成されている。運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられ、機体10の上部を構成している。運転部12には、コンバインを運転する運転者及びコンバインの作業を監視する監視者が搭乗可能である。なお、監視者は、コンバインの機外からコンバインの作業を監視してもよい。
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の後下部に連結されている。また、自車位置検出モジュール80は、運転部12の上方面に取り付けられている。
収穫部15は、コンバインにおける前部に備えられている。そして、搬送装置16は、収穫部15の後方に設けられている。また、収穫部15は、切断機構15a及びリール15bを有している。切断機構15aは、圃場の植立穀稈を刈り取る。また、リール15bは、回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。この構成により、収穫部15は、圃場の穀物(農作物の一種)を収穫する。そして、コンバインは、収穫部15によって圃場の穀物を収穫しながら走行装置11によって走行する作業走行が可能である。
切断機構15aによって刈り取られた刈取穀稈は、搬送装置16によって脱穀装置13へ搬送される。脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
また、運転部12には、汎用端末4が配置されている。本実施形態において、汎用端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、汎用端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、汎用端末4は、コンバインの機外に持ち出し可能であってもよい。
図2に示すように、このコンバインは、圃場において設定された走行経路に沿って自動走行する。これには、自車位置の情報が必要である。自車位置検出モジュール80には、衛星測位ユニット81と慣性航法ユニット82とが含まれている。衛星測位ユニット81は、人工衛星GSから送信される位置情報であるGNSS(global navigation satellite system)信号(GPS信号を含む)を受信して、自車位置を算出するための測位データを出力する。慣性航法ユニット82は、ジャイロ加速度センサ及び磁気方位センサを組み込んでおり、瞬時の走行方向を示す位置ベクトルを出力する。慣性航法ユニット82は、衛星測位ユニット81による自車位置算出を補完するために用いられる。慣性航法ユニット82は、衛星測位ユニット81とは別の場所に配置してもよい。
このコンバインによって圃場での収穫作業を行う場合の手順は、以下に説明する通りである。
まず、運転者兼監視者は、コンバインを手動で操作し、図2に示すように、圃場内の外周部分において、圃場の境界線に沿って周囲刈り走行しながら収穫を行う。周囲刈り走行により既刈領域(既作業領域)となった領域は、既作業領域SA又は外周領域SAとして設定される。そして、外周領域SAの内側に未刈地(未作業地)のまま残された内部領域は未作業領域CAであり、今後の作業対象領域として設定される。この実施形態では、未作業領域CAが四角形となるように、周囲刈り走行が行われる。もちろん、三角形や五角形以上の多角形の未作業領域CAが採用されてもよい。
また、このとき、外周領域SAの幅をある程度広く確保するために、運転者は、コンバインを2〜3周走行させる。この走行においては、コンバインが1周する毎に、コンバインの作業幅分だけ外周領域SAの幅が拡大する。この2〜3周の走行が終わると、外周領域SAの幅は、コンバインの作業幅の2〜3倍程度の幅となる。
外周領域SAは、作業対象領域である未作業領域CAにおいて収穫走行を行うときに、コンバインが方向転換するためのスペースとして利用される。また、外周領域SAは、収穫走行を一旦終えて、穀粒の排出場所へ移動する際や、燃料の補給場所へ移動する際等の移動用のスペースとしても利用される。
なお、図2に示す運搬車CVは、コンバインが穀粒排出装置18から排出した穀粒を収集し、運搬することができる。穀粒排出の際、コンバインは運搬車CVの近傍へ移動した後、穀粒排出装置18によって穀粒を運搬車CVへ排出する。
未作業領域CAの形状を示す内側マップデータが作成されると、この内側マップデータに基づいて算出される線状(直線又は曲線)の作業走行経路に沿う自動走行と、1つの作業走行経路から次の作業走行経路に移行するための旋回移行走行とによる収穫走行によって未作業領域CAの植付穀稈が刈り取られる。なお、旋回移行走行のための走行経路は、旋回移行経路と称する。収穫走行で用いられる走行パターンは、複数の平行な作業走行経路をUターンによってつないで走行する往復走行パターン(図3に示されている)と、未作業領域CAの外縁に沿って渦巻き状に走行する渦巻き走行パターン(図4に示されている)である。
図3に示されている往復走行パターンでは、コンバインは、未作業領域CAの一辺に平行な走行経路を旋回走行であるUターン走行によってつなぐように、走行する。Uターン走行には、1つ以上の走行経路をまたぐノーマルUターンと、隣接する走行経路をつなぐスイッチバックターンがある。ノーマルUターンは、2つの前進90度旋回と直進とを含む180度旋回であり、直進が省略される場合もある。スイッチバックターンは、前進90度旋回と後進と前進90度旋回を用いた180度方向転換である。
図4に示されている渦巻き走行パターンでは、コンバインは、未作業領域CAの外形に類似する作業走行経路を旋回走行経路でつなぎながら行われる周回走行が、中心に向けて渦巻きのように行われる。各周回走行におけるコーナでの旋回には、直進と後進旋回と前進旋回とを用いた、アルファターンと呼ばれる旋回が用いられる。なお、作業途中において、渦巻き走行パターンから往復走行パターン、または往復走行パターンから渦巻き走行パターンに変更することも可能である。
未作業領域CAを往復走行パターンを用いて自動走行するために用いられる走行経路は、内側マップデータに基づいて以下のように算出される。図5及び図6に示すように、内側マップデータから、第1辺S1、第2辺S2、第3辺S3、第4辺S4からなる四角形の未作業領域CAが規定される。この未作業領域CAの長辺である第1辺S1が基準辺S1として選択される。この基準辺S1に平行で、作業幅(刈取り幅)の半分だけ基準辺S1から内側を通る線が初期基準線L1として算出される。この初期基準線L1が最初に走行する走行経路に対応する。なお、最初に、未作業領域CAを中割するような収穫走行が採用される場合、初期基準線L1として、基準辺S1に平行で、基準辺S1からさらに離れた距離(作業幅の半分+作業幅の整数倍)を通る線が初期基準線L1として算出される。
180度ターン(Uターン)するために必要とするスペースが小さいスイッチバックターンが旋回移行走行として採用される場合、例えば、図5に示されているように、初期基準線L1からUターンを介して順次つながっていく基準線L2、L3・・・が、初期基準線L1に平行な状態かつ作業幅の間隔を空けた状態で算出される。これらの基準線L1、L2、L3・・・が直進走行用の作業走行経路の算出時に利用される。
Uターンするために必要とするスペースがスイッチバックターンより大きくなるノーマルUターンが旋回移行走行として採用される場合、初期基準線L1からUターンを介してつながる次の基準線L2は、初期基準線L1に平行で作業幅の複数倍(図6では3倍)の間隔で算出される。図6に示されているように、同様な方法で、次の基準線L3が算出される。このようにして、ノーマルUターンで必要なスペースを考慮して、順次基準線が算出される。これらの基準線L1、L2、L3・・・が直進走行用の作業走行経路の算出時に利用される。
なお、図5及び図6では、未作業領域CAの形状は四角形であったが、これが三角形や五角形などの他の多角形であっても基準辺S1を選択すれば、同様な方法で順次走行経路を算出することができる。
渦巻き走行パターンが選択された場合、自動走行のために用いられる作業走行経路は、内側マップデータに基づいて以下のように算出される。図7に示すように、この未作業領域CAの長辺(渦巻き走行パターンでは短辺でもよい)である第1辺S1が基準辺S1として選択される。この基準辺S1に平行で、作業幅(刈取り幅)の半分だけ基準辺S1から内側を通る線が基準線L1として算出される。この基準線L1は、自動走行の最初の作業走行経路となる初期基準線である。さらに、コンバインの進行方向で基準辺S1に隣接する第2辺S2に平行で、作業幅(刈取り幅)の半分だけ第2辺S2から内側を通る線が次の基準線L2として算出され、最初の作業走行経路の次の自動走行の目標となる次作業走行経路となる。最初の作業走行経路と次作業走行経路とは、基準辺S1と第2辺S2とがなす角度の機体旋回を実現するアルファターン(特殊旋回)によってつながれる。同様に、更に次の基準線L3も、順次算出される。これらの基準線L1、L2、L3・・・が直進走行用の作業走行経路に対応する。
実際の圃場における収穫作業では、図8に示されているように、往復走行パターンと渦巻き走行パターンとが混在することが少なくない。図8の例では、コンバインが圃場に入ると(#a)、手動で周囲刈り走行を行い、圃場の最外周側に既作業領域である外周領域SAを形成する(#b)。この周囲刈り走行で形成される外周領域SAがアルファターンでの方向転換が可能となる大きさになれば、未作業領域CAに対して渦巻き走行パターンが設定され、渦巻き走行が行われる(#c)。この渦巻き走行では、少なくとも直進は自動走行が可能である。渦巻き走行は、未作業領域CAが、往復走行パターンにおける旋回移行走行(ノーマルUターン、スイッチバックターン)が可能となる大きさになるまで、行われる(#d)。次に、未作業領域CAに対して、往復走行パターンで未作業領域CAを網羅するような作業走行経路が設定される(#e)。設定された作業走行経路に沿って往復走行を繰り返すことで、圃場の収穫作業が完了する(#f)。
このコンバインは、収穫幅の端部をオーバーラップさせながら走行経路に沿って自動走行する。このため、図9で模式的に示されているように、平行に並んだ走行経路の経路間隔は、収穫部15の収穫幅と、自動操舵の誤差を吸収することで刈り残しが生じないように設定されているオーバーラップ値とに基づいて決定される。収穫幅をWとし、オーバーラップ値をOLとすれば、経路間隔:Dは、W−OLとなる。オーバーラップ値が設定されると、収穫部15の左右方向の位置ずれが許容される許容位置ずれ範囲は、左右方向それぞれにおいて、オーバーラップ値の半分となる。
所定のオーバーラップ値が設定されると、許容位置ずれ範囲が決まる。許容位置ずれ範囲は、図10で模式的に示されているように、オーバーラップ値が大きいほど大きくなる。許容位置ずれ範囲が大きくなれば、操舵制御の精度を落とすことができる。このことから、この実施形態では、オーバーラップ値が大きくなれば、偏差不感帯が広くなるように、偏差不感帯がオーバーラップ値に基づいて変更されるように構成されている。偏差不感帯とは、左右方向それぞれにおける横位置ずれ(横位置偏差)を無効として、当該位置偏差を解消する操舵制御を行わない範囲である。したがって、偏差不感帯幅:Zは、オーバーラップ値:OLの関数:Fで求められ、Z=F(OL)と表現できる。この関数:Fは予めテーブル化されることが好ましい。この関数:Fは連続的な関数である必要はなく、階段状の関数であってよい。
図11に示されているように、旋回移行走行から次の走行経路である進入目標走行経路TLに進入する際、自車位置と進入目標走行経路TLとの間の進入偏差が大きい場合、その進入を取り止めて、一旦後進して、自車位置を変更してから、再進入を試みる。この進入偏差には、機体10が進入目標走行経路TLの始点から所定距離内に入った際の、機体10の進入目標走行経路TLに対する横ずれと、コンバインの進行方向の向きと進入目標走行経路TLとの間の方位ずれである進入角度θとが含まれる。機体10が進入目標走行経路TLの始点から所定距離内に入っている場合、その横ずれはそれほど大きくならないので、この実施形態では、進入偏差として、進入角度θだけが取り扱われている。もちろん、進入偏差として、横ずれと進入角度θの両方が取り扱われてもよい。
機体10が進入先の走行経路の始端に接近しているにもかかわらず、進入角度θが、進入を禁止する禁止偏差としての限界角度θLを超えている場合、この進入が中止され、進入の再試行が行われる。この再試行では、一旦、機体10の向きを進入先の走行経路の向きに合わせるように後進し、その後、前進に切り替えて、進入目標走行経路TLへの進入走行が行われる。
この実施形態では、オーバーラップ値:OLが大きくなることで、許容位置ずれ範囲が大きくなると、限界角度θLも、大きくなるように構成されている。つまり、限界角度θLは、オーバーラップ値:OLの関数:Gで求められ、θL=G(OL)と表現できる。この関数:Gは連続的な数である必要はなく、階段状の関数であってよい。
図12に、コンバインの制御系が示されている。コンバインの制御系は、車載LANを介して接続された多数のECUと呼ばれる電子制御ユニットから構成される制御装置5、及び制御装置5と信号通信やデータ通信を行う各種入出力機器から構成されている。
制御装置5は、入出力インタフェースとして、出力処理部58と入力処理部57とを備えている。出力処理部58は、機器ドライバ65を介して種々の動作機器70と接続している。動作機器70として、走行関係の機器である走行機器群71と作業関係の機器である作業機器群72とがある。走行機器群71には、例えば、エンジン機器、変速機器、制動機器、操舵機器などが含まれている。作業機器群72には、収穫作業装置(図1に示す、収穫部15、脱穀装置13、搬送装置16、穀粒排出装置18など)における制御機器が含まれている。
入力処理部57には、走行状態センサ群63、作業状態センサ群64、走行操作ユニット90、などが接続されている。走行状態センサ群63には、車速センサ、エンジン回転数センサ、駐車ブレーキ検出センサ、変速位置検出センサ、操舵位置検出センサ、などが含まれている。作業状態センサ群64には、収穫作業装置の駆動状態や姿勢を検出するセンサ、及び穀稈や穀粒の状態を検出するセンサが含まれている。
走行操作ユニット90は、運転者によって手動操作され、その操作信号が制御装置5に入力される操作具の総称である。走行操作ユニット90には、変速レバーとしての主変速レバー91、操舵レバー92、モード切替スイッチ93として構成されたモード操作具、自動走行操作具94、などが含まれている。モード切替スイッチ93は、自動運転と手動運転とを切り替えるための指令を制御装置5に送り出す機能を有する。自動走行操作具94は、運転者による操作を通じて、自動走行移行要求を出力する。
報知デバイス62は、運転者等に作業状態や走行状態に関する警告を報知するためのデバイスであり、ブザーやランプなどである。なお、汎用端末4もタッチパネル40での表示を通じて運転者等に作業状態や走行状態や種々の情報を報知するデバイスとして機能する。
この制御装置5は、さらに車載LANを通じて汎用端末4とも接続している。汎用端末4はタッチパネル40を備えたタブレットコンピュータである。汎用端末4は、入出力制御部41、作業走行管理部42、収穫走行形態選択部43、走行経路算出部44、オーバーラップ値設定部45を有する。入出力制御部41には、タッチパネル40を用いてグラフィックインターフェースを構築する機能、及び、遠隔地のコンピュータとも、無線回線やインターネットを通じて、データ交換する機能も備えている。
作業走行管理部42は、走行軌跡算出部421と作業領域決定部422と排出位置設定部423を備えている。走行軌跡算出部421は、制御装置5から与えられた自車位置に基づいて走行軌跡を算出する。作業領域決定部422は、図2に示すように、コンバインが圃場の外周領域SAを何周か周囲刈り走行することで得られた走行軌跡に基づいて、圃場を外周領域SAと未作業領域CAとに区分けする。外周領域SAの最外線によって圃場の畔との境界線が算出され、外周領域SAの最内線によって、自動走行が行われる未作業領域CAが算出される。排出位置設定部423は、穀粒タンク14が満杯になった場合、穀粒タンク14の穀粒を穀粒排出装置18によって運搬車CVに排出する際のコンバインの排出停車位置を設定する。排出停車位置は、周囲刈り走行によって圃場の外周側に形成される外周領域SAで、かつ多角形状の外周領域SAのコーナ部以外の場所に設定される。
収穫走行形態選択部43は、運転者や作業管理者によって人為的に、または入力されたデータに基づいて自動的に、収穫走行形態を選択する。収穫走行形態には、走行パターンの種類(往復走行パターンまたは渦巻き走行パターン)、及び、旋回移行走行の種類(ノーマルUターン、スイッチバックターン、アルファターン)が含まれている。さらに、収穫走行形態の詳細な制御パラメータを決定するために考慮されるデータは、圃場属性データ(面積、土壌固さ、傾斜度、滑り度など)、収穫農作物データ(稲、小麦、大麦、など)、作業装置データ(収穫幅、収穫車速など)、機体データ(最小旋回半径など)である。これらのデータをタッチパネル40に表示させ、これらデータを見ながら、運転者等が、手動で、所望の収穫走行形態を選択することができる。また、これらデータに基づいて、収穫走行形態選択部43が自動的に適切な収穫走行形態を選択してもよい。この収穫走行形態の選択は、作業開始時だけでなく、作業の途中でも可能である。
走行経路算出部44は、作業領域決定部422によって決定された未作業領域CAに対して自動走行用の走行経路を算出する。外周領域SAの手動走行が終了したことを、運転者が入力することで、選択された走行パターンでの経路算出が自動的に行われる。
走行経路算出部44は、収穫部15の収穫幅(作業幅)と、オーバーラップ値設定部45によって設定されたオーバーラップ値とに基づいて、隣接走行経路の間隔(経路間隔)を決定する。さらに、走行経路算出部44は、図5〜図7を用いて説明したようなアルゴリズムを用いて、走行経路を算出する。
オーバーラップ値設定部45は、収穫走行形態選択部43によって選択された収穫走行形態に応じてオーバーラップ値を決定して設定する機能と、運転者や管理者などによって人為的に入力されたオーバーラップ値を設定する機能とを有する。
制御装置5には、自車位置算出部50、手動走行制御部51、自動走行制御部52、走行経路設定部53、制御指令生成部54、進入偏差算出部55、作業制御部56、報知部59が備えられている。
自車位置算出部50は、衛星測位ユニット81から逐次送られてくる測位データに基づいて、自車位置を地図座標(または圃場座標)の形式で算出する。自車位置算出部50は、慣性航法ユニット82からの位置ベクトルと走行距離とを用いて自車位置を算出することもできる。自車位置算出部50は、衛星測位ユニット81及び慣性航法ユニット82からの信号を組み合わせて自車位置を算出することも可能である。さらに、自車位置算出部50は、経時的な自車位置から、機体10の進行方向である機体10の向きを算出することも可能である。
報知部59は、制御装置5の各機能部からの指令等に基づいて報知データを生成し、報知デバイス62に与える。制御装置5は、モード切替スイッチ93により走行モードが自動走行モードに切り替えられている場合、予め設定されている自動走行許可条件に基づいて自動走行の許否を判定し、この判定結果が許可である場合、自動走行開始指令を自動走行制御部52に与える。
手動走行制御部51及び自動走行制御部52は、エンジン制御機能、操舵制御機能、車速制御機能などを有し、走行機器群71に走行制御信号を与える。作業制御部56は、収穫作業装置の動きを制御するために、作業機器群72に作業制御信号を与える。
このコンバインは、自動走行で収穫作業を行う自動運転と、手動走行で収穫作業を行う手動運転との両方で走行可能である。自動走行モードが設定されている場合、走行経路設定部53は、走行経路算出部44によって算出された走行経路を、汎用端末4から受け取って、適時に、自動操舵の目標となる走行経路として設定する。自動走行制御部52は、自動操舵を行うために、走行経路設定部53によって設定された走行経路と、自車位置算出部50によって算出された自車位置との間の方位ずれ及び位置ずれを解消するように、操舵制御信号を生成する。さらに、自動走行制御部52は、前もって設定された車速値に基づいて車速変更に関する制御信号を生成する。その際、自動走行制御部52には、図10を用いて説明された偏差不感帯が設定されており、算出された位置ずれが偏差不感帯の幅内であれば、位置ずれを修正する制御は行われない。偏差不感帯の幅はオーバーラップ値の増減に対応して変更される。
進入偏差算出部55は、旋回走行を通じて進入しようとする次の走行経路である進入目標走行経路TLと、機体10の向きとの間の進入偏差として、図11を用いて説明した進入角度θを、自車位置算出部50から送られてくる自車方位に基づいて算出する。
制御指令生成部54は、走行経路と自車位置との間の偏差及びオーバーラップ値に基づいて制御指令を生成する。制御指令生成部54には、図11を用いて説明された禁止偏差である限界角度θLが設定されている。この実施形態では、制御指令生成部54によって生成される制御指令は次の2つである。
(1)その1つの制御指令は、自動走行制御部52に設定されている偏差不感帯の幅を、オーバーラップ値の増減に対応して変更させる指令であり、自動走行制御部52に与えられる。この制御指令により、オーバーラップ値が大きくなれば、偏差不感帯の幅が広くされ、オーバーラップ値が小さくなれば、偏差不感帯の幅が狭くされる。
(2)他の1つの制御指令は、進入偏差算出部55によって算出された進入角度θが限界角度θLを超えた場合に、次に走行する走行経路である進入目標走行経路TLへの進入を中止させる指令(進入中止指令)、及び、この進入をやり直させる再試行指令であり、自動走行制御部52に与えられる。
手動走行モードが選択されている場合、運転者による操作に基づいて手動操作信号が手動走行制御部51に送られると、手動走行制御部51が制御信号を生成し、走行機器群71を制御することで、手動運転が実現する。なお、走行経路設定部53によって設定された走行経路は、手動運転であっても、コンバインが当該走行経路に沿って走行するためのガイダンスのために利用することができる。また、制御指令生成部54によって生成される制御指令は、手動走行制御部51による操舵制御に利用されてもよい。
〔別実施の形態〕
(1)オーバーラップ値は、圃場単位で設定するのではなく、圃場の一部分の収穫作業を終えた後に、つまり所定の走行経路群に沿った局部的な収穫作業が終了した後に、オーバーラップ値を変更してもよい。その際、その時点で未作業領域CAに設定されている走行経路は新しいオーバーラップ値に基づいて、シフトされる。
(2)図12で示された各機能部は、主に説明目的で区分けされている。実際には、各機能部は他の機能部と統合してもよいし、または複数の機能部に分けてもよい。例えば、汎用端末4に構築された機能部を、部分的にあるいはその全てを制御装置5に組み込んでもよい。
(3)上述の実施形態においては、周囲刈り走行は、手動走行で行われていたが、2周目以降では、部分的に、特に直線状の走行に関しては、自動走行を採用してもよい。
本発明は、普通型のコンバインだけでなく、自脱型のコンバインにも利用可能である。また、トウモロコシ収穫機、ニンジン収穫機、サトウキビ収穫機等の種々の収穫機にも利用できる。
4 :汎用端末
5 :制御装置
10 :機体
42 :作業走行管理部
421 :走行軌跡算出部
422 :作業領域決定部
423 :排出位置設定部
43 :収穫走行形態選択部
44 :走行経路算出部
45 :オーバーラップ値設定部
50 :自車位置算出部
51 :手動走行制御部
52 :自動走行制御部
53 :走行経路設定部
54 :制御指令生成部
55 :進入偏差算出部
80 :自車位置検出モジュール
81 :衛星測位ユニット
CA :未作業領域
CV :運搬車
D :矢印
F :矢印
GS :人工衛星
TL :進入目標走行経路(走行経路)
θ :進入角度
θL :限界角度

Claims (4)

  1. 収穫幅の端部をオーバーラップさせながら、圃場内に設定された走行経路に沿って自動走行する収穫機であって、
    収穫走行形態を選択する収穫走行形態選択部と、
    前記オーバーラップのオーバーラップ値を設定するオーバーラップ値設定部と、
    前記収穫幅と前記オーバーラップ値とから決定される経路間隔で作業対象領域を網羅するように、前記走行経路を前記収穫走行形態に応じて算出する走行経路算出部と、
    自車位置を算出する自車位置算出部と、
    前記走行経路と前記自車位置との間の偏差及び前記オーバーラップ値に基づいて制御指令を生成する制御指令生成部と、
    前記制御指令に基づいて操舵制御を行う自動走行制御部と、
    を備えた収穫機。
  2. 前記オーバーラップ値設定部は、前記収穫走行形態に応じて、前記オーバーラップ値を変更する請求項1に記載の収穫機。
  3. 前記偏差を無効にする偏差不感帯の幅が、前記オーバーラップ値の増大に対応して広くなるように変更される請求項1または2に記載の収穫機。
  4. 旋回走行を通じて進入しようとする進入目標走行経路と前記自車位置との間の進入偏差を算出する進入偏差算出部が備えられ、前記進入偏差が禁止偏差を超えた場合に前記進入目標走行経路への進入を中止させる進入中止指令が、前記制御指令に含まれており、前記禁止偏差が前記オーバーラップ値によって変更される請求項1から3のいずれか一項に記載の収穫機。
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