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JP7094826B2 - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents
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JP7094826B2 - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents

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本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
従来、インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であるインクジェットプリンタが広く用いられている。また、インクジェットプリンタの構成として、インクジェットヘッドに主走査動作(スキャン動作)を行わせるシリアル型の構成が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2018-111211号公報
シリアル方式で印刷を行う場合、主走査動作の合間にインクジェットヘッドに副走査動作を行わせることで、印刷の対象物である媒体(メディア)においてインクジェットヘッドと対向する領域を順次変更する。また、副走査動作では、例えば、印刷の条件として設定されるパス数に応じて決まる搬送量(フィード量)だけ媒体を搬送することで、媒体に対して相対的にインクジェットヘッドを移動させる。
また、副走査動作においては、様々な理由により、副走査動作時に媒体に対して相対的にインクジェットヘッドを移動させる距離である副走査移動量(例えば、媒体の搬送量)に誤差が生じる場合がある。そして、このような誤差が生じると、印刷結果において、意図しない縞状の模様(バンディング)が発生して、印刷の品質が低下する場合がある。そのため、副走査移動量については、単にパス数に応じて設定するのではなく、適宜補正を行うことが好ましい。
この点に関し、例えばインクジェットプリンタにおいて設定可能なパス数の種類が数種類程度の限られたものであれば、設定可能なそれぞれのパス数に対応する副走査移動量毎に補正用のパラメータを予め用意することが考えられる。しかし、近年、インクジェットプリンタに求められる性能の高度化や多様化により、例えば設定可能なパス数の種類が極めて多くなる場合がある。より具体的には、例えば、ミマキエンジニアリング社製のインクジェットプリンタに搭載されているMAPS(Mimaki Advanced Pass System)のような機能を用いる場合、非整数を含む多様なパス数が設定されることになる。そして、このような場合、設定可能なそれぞれのパス数に対応する副走査移動量毎に補正用のパラメータを予め用意しようとすると、必要な補正用のパラメータが極めて膨大になるおそれがある。
そのため、従来、主走査動作及び副走査動作をインクジェットヘッドに行わせる印刷装置において、副走査移動量の補正をより適切に行うことが望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
より少ない数の補正用のパラメータのみを用いて副走査移動量の補正をしようする場合、例えば、所定の印刷の条件に対する補正用のパラメータを標準のパラメータとして用意しておき、他の印刷の条件を用いる場合には、印刷の条件の違い(例えば、パス数の違い等)に応じて、補正用のパラメータの調整を行うこと等が考えられる。また、より具体的に、この場合、所定の印刷の条件において副走査移動量を変化させる量を標準のパラメータとして用意しておき、副走査移動量に比例するように補正用のパラメータの調整を行うこと等が考えられる。
しかし、本願の発明者は、実際に様々な実験等を行うことで、例えばサイズの大きなインクジェットヘッドを用いる場合のように、副走査移動量として取り得る値の最大値が大きくなる場合等において、単純に副走査移動量に比例させるのみでは、副走査移動量の補正の結果において誤差が大きくなる場合があることを見出した。より具体的に、この場合、例えば、パス数を1にした印刷の条件で必要となる補正量を標準のパラメータとして用いる場合と、パス数2にした印刷の条件で必要となる補正量を標準のパラメータとして用いる場合とを比較した結果において、調整後のパラメータの値に印刷の解像度に対応するドット間距離(副走査方向におけるドット間距離)を超える誤差が生じる場合がある。そして、このような誤差が生じると、副走査移動量の補正を行ったとしても、バンディング等を適切に防止できなくなるおそれがある。
これに対し、本願の発明者は、補正前の副走査移動量に相当する基本移動量の大きさによって補正用のパラメータを異ならせることを考えた。また、より具体的に、基本移動量が所定の第1の範囲の内にある場合には補正用のパラメータとして第1の補正係数を用い、基本移動量が第1の範囲よりも小さな第2の範囲内にある場合には補正用のパラメータとして第2の補正係数を用いることを考えた。このように構成すれば、例えば、走査移動量として取り得る値の最大値が大きくなる場合等おいても、より高い精度でより適切に副走査移動量の補正を行うことができる。また、この場合も、限られた数の補正係数のみを用意すればよいため、少ない数の補正用のパラメータのみを用いて、副走査移動量の補正を適切に行うことができる。
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、媒体に対して印刷を行う印刷装置であって、前記媒体へインクを吐出するインクジェットヘッドと、予め設定された主走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動しつつインクを吐出する主走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる主走査駆動部と、前記主走査方向と直交する副走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動する副走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる副走査駆動部と、前記副走査動作において前記媒体に対して相対的に前記副走査方向へ前記インクジェットヘッドを移動させる距離である副走査移動量を設定する移動量設定部と、前記副走査移動量の補正に用いる補正値として算出される算出補正値の算出に用いる係数である補正係数を記憶する補正係数記憶部とを備え、前記移動量設定部は、印刷の条件に応じて設定される基本の移動量である基本移動量と、前記算出補正値とに基づき、前記副走査移動量を設定し、前記補正係数記憶部は、前記補正係数として、少なくとも、前記基本移動量が第1の範囲の内にある場合に用いる第1の前記補正係数と、前記基本移動量が前記第1の範囲よりも小さな第2の範囲の内にある場合に用いる第2の前記補正係数とを記憶し、前記基本移動量が前記第1の範囲の内にある場合、前記移動量設定部は、当該基本移動量と、前記第1の補正係数とに基づき、前記算出補正値を算出し、前記基本移動量が前記第2の範囲の内にある場合、前記移動量設定部は、当該基本移動量と、前記第2の補正係数とに基づき、前記算出補正値を算出することを特徴とする。
このように構成すれば、例えば、高い精度で適切に副走査移動量の補正を行うことができる。また、この場合、例えば、限られた数の補正係数のみを用意すればよいため、少ない数の補正用のパラメータのみを用いて、副走査移動量の補正を適切に行うことができる。また、この構成において、第1及び第2の補正係数としては、例えば、基本移動量と算出補正値とを対応付ける一次関数を示す係数を用いることが考えられる。また、この場合、第2の補正係数としては、例えば、第1の補正係数とは異なる係数を用いることが考えられる。
また、この構成において、インクジェットヘッドは、例えば、副走査方向における位置を互いにずらして複数のノズルが並ぶノズル列を有する。そして、この場合、第1の範囲としては、例えば、インクジェットヘッドのノズル列の副走査方向における幅であるノズル長と基本移動量とが等しくなる場合を含む範囲を用いることが考えられる。また、第2の範囲としては、例えば、ノズル長よりも小さな所定の移動量以下又は未満の全ての基本移動量を含む範囲を用いることが考えられる。また、この場合、第2の補正係数としては、例えば、基本移動量に比例して算出補正値が算出されることを示す係数を用いることが考えられる。基本移動量に比例して算出補正値が算出されるとは、例えば、基本移動量と算出補正値とを対応付ける一次関数が原点を通る直線を示す関数になることである。このように構成すれば、例えば、第1の範囲と第2の範囲とを適切に分けることができる。また、例えば、第2の範囲に含まれる基本移動量に対し、算出補正値を適切に算出することができる。
ここで、この構成において、インクジェットヘッドとしては、例えば、同じ色のインクを吐出する複数のインクジェットヘッドにより構成される複合ヘッド(例えば、スタガヘッド等)を用いることも考えられる。この場合、インクジェットヘッドのノズル列とは、例えば、複合ヘッドにおけるノズル列のことである。また、複合ヘッドにおけるノズル列とは、例えば、複合ヘッドを構成する複数のインクジェットヘッドのそれぞれが有するノズルを合わせることで構成されるノズル列のことである。
また、この構成において、上記の所定の移動量としては、例えば、ノズル長の半分と等しい移動量を用いることが考えられる。また、この場合、第1の範囲としては、例えば、所定の移動量よりも大きな全ての基本移動量を含む範囲を用いることが考えられる。また、この場合、第1の補正係数としては、例えば、基本移動量に対応する算出補正値が、ノズル長の半分に等しい基本移動量と、ノズル長に等しい基本移動量との間で線形に変化することを示す係数を用いることが考えられる。基本移動量に対応する算出補正値が線形に変化するとは、例えば、基本移動量と算出補正値とを対応付ける関係が一次関数になることである。このように構成すれば、例えば、第1の範囲に含まれる基本移動量に対し、算出補正値を適切に算出することができる。また、この構成において、第1の補正係数により示される線形の関係における傾きは、第2の補正係数により示される比例関係における傾きと異なっていてよい。また、この場合、第1の範囲に対応する上記の一次関数としては、例えば、原点を通らない直線に対応する関数を用いることが考えられる。
また、この構成において、印刷の条件に応じて設定される副走査方向における解像度に対応するドット間距離を副走査ドット間距離と定義し、基本移動量がノズル長と等しくなる場合について、第1の補正係数に基づいて算出した算出補正値を第1の値とし、第2の補正係数により示される比例関係に従って補正値を算出した場合の値を第2の値とした場合、第1の値と第2の値との差について、副走査ドット間距離よりも大きくなることが考えられる。このような場合、例えば1種類の補正係数のみを用いて副走査移動量の補正を行うと、例えば、基本移動量がノズル長と等しくなる場合、又は基本移動量がノズル長の半分になる場合等における補正後の副走査移動量に、副走査ドット間距離を超える誤差が生じることが考えられる。そして、このような誤差が生じると、副走査移動量の補正を行ったとしても、バンディング等を適切に防止できなくなるおそれがある。これに対し、上記のように第1の補正係数及び第2の補正係数を用いる場合、このような誤差の発生を適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、より高い精度でより適切に副走査移動量の補正を行うことができる。
また、上記のような誤差が生じる状況については、例えば、一つの比例係数のみを用いて補正値の算出を行うといずれかの副走査移動量において理想の補正値に対して副走査ドット間距離よりも大きな差が生じる状況等と考えることもできる。より具体的に、この場合、例えば、それぞれの基本移動量に対応する副走査移動量を正しく設定するための補正値を理想補正値と定義し、一つの比例係数のみを用いて基本移動量に比例させて算出補正値を設定した場合の補正値を単純比例補正値と定義した場合において、いずれかの基本移動量に対して理想補正値と単純比例補正値と等しくなるように一つの比例係数を設定すると、他のいずれかの基本移動量に対して、その基本移動量に対応する理想補正値と単純比例補正値との差が副走査ドット間距離よりも大きくなる。このような場合も、第1の補正係数及び第2の補正係数を用いることで、このような誤差の発生を適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、より高い精度でより適切に副走査移動量の補正を行うことができる。
また、この構成において、印刷の条件としては、例えば、少なくとも、媒体における印刷範囲の各位置に対して行う主走査動作の平均回数を示すパス数が設定されることが考えられる。また、この場合、基本移動量としては、例えば、インクジェットヘッドのノズル長をパス数で除した値を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、基本移動量を適切に設定することができる。
また、この構成において、パス数としては、例えば、非整数の値を含む複数種類の値を設定可能にすることが考えられる。また、この場合、非整数の値として、例えば、少なくとも、0.25以下の刻み幅での値を設定可能にすること等が考えられる。このような場合、様々なパス数が設定可能になることで、基本移動量として取り得る値も多様になる。これに対し、上記のように入力補正値を用いる場合、基本移動量として取り得る値が多い場合にも、副走査移動量を適切に設定することができる。また、パス数の刻み幅については、好ましくは0.1以下、更に好ましくは0.01以下である。また、この場合、例えば、小数点以下が所定の桁数になる数値で、任意のパス数を設定可能にすることが考えられる。
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する印刷方法等を用いることも考えられる。この場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、例えば、主走査動作及び副走査動作をインクジェットヘッドに行わせる印刷装置において、副走査移動量の補正をより適切に行うことができる。
本発明の一実施形態に係る印刷装置10について説明をする図である。図1(a)は、印刷装置10の要部の構成の一例を示す。図1(b)は、インクジェットヘッド102の構成の一例を示す。 算出補正値の算出の仕方について説明をする図である。図2(a)は、補正係数において対応付けられる特定の基本フィード量と補正値(システムフィード補正値)との関係の一例を示す。図2(b)は、基本フィード量と補正値との関係を示すグラフである。 算出補正値の算出の仕方について説明をする図である。 算出補正値を算出する動作の一例を示す図である。図4(a)は、対応するパス数が1~2の範囲内にある場合について、算出補正値の算出の仕方の一例を示す。図4(b)は、対応するパス数が2以上の場合について、算出補正値の算出の仕方の一例を示す。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印刷装置10について説明をする図である。図1(a)は、印刷装置10の要部の構成の一例を示す。尚、以下において説明をする点を除き、印刷装置10は、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、印刷装置10は、以下において説明をする構成に加え、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の構成を更に有してよい。
印刷装置10は、印刷対象の媒体(メディア)50に対してインクジェット方式で印刷を行うインクジェットプリンタである。また、本例において、印刷装置10は、ヘッド部12、プラテン14、ガイドレール16、主走査駆動部18、副走査駆動部20、記憶部22、及び制御部30を備える。
ヘッド部12は、媒体50へインクを吐出する部分である。また、本例において、ヘッド部12は、キャリッジ100及び複数のインクジェットヘッド102を有する。キャリッジ100は、複数のインクジェットヘッド102を保持する保持部材である。本例において、キャリッジ100は、例えば図中に示すように、印刷装置10において予め設定された副走査方向(図中のX方向)における位置を揃えて、副走査方向と直交する主走査方向(図中のY方向)へ並ぶように、複数のインクジェットヘッド102を保持する。
また、複数のインクジェットヘッド102のそれぞれは、印刷に使用する各色のインクを媒体50へ吐出するインクジェットヘッドであり、互いに異なる色のインクを吐出する。また、より具体的に、本例において、ヘッド部12は、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、及びブラック(K)色のそれぞれの色のインクをそれぞれが吐出する複数のインクジェットヘッド102を有する。また、本例において、それぞれのインクジェットヘッド102は、副走査方向における位置を互いにずらして複数のノズルが並ぶノズル列を有しており、各ノズルから各色のインクを吐出する。
プラテン14は、ヘッド部12と対向する位置において媒体50を支持する台状部材である。また、ガイドレール16は、主走査方向へ延伸するレール状部材であり、主走査方向へのヘッド部12の移動をガイドする。
主走査駆動部18は、ヘッド部12に主走査動作(スキャン動作)を行わせる駆動部である。この場合、主走査動作とは、例えば、主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作のことである。また、ヘッド部12に主走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドに主走査動作を行わせることである。また、本例においては、ヘッド部12に主走査動作を行わせることにより、印刷装置10は、シリアル方式での印刷の動作を実行する。また、本例の主走査動作時において、ヘッド部12は、ガイドレール16に沿って、主走査方向へ移動する。また、主走査動作に関し、主走査方向へのヘッド部12の移動とは、媒体50に対する相対的な移動のことである。そのため、印刷装置10の変形例においては、ヘッド部12の位置を固定して、例えばプラテン14を移動させることで、媒体50の側を移動させてもよい。
副走査駆動部20は、ヘッド部12に副走査動作を行わせる駆動部である。この場合、副走査動作とは、例えば、副走査方向へ媒体50に対して相対的に移動する動作のことである。また、ヘッド部12に副走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドに副走査動作を行わせることである。また、本例において、副走査駆動部20は、例えば図示を省略したベルト部材等を用いて、副走査方向と平行な搬送方向へ媒体50を搬送することで、ヘッド部12に副走査動作を行わせる。また、この場合において、副走査駆動部20は、各回の主走査動作の合間に、印刷のパス数等に応じて制御部30により設定されるフィード量だけ、媒体50を搬送する。この場合、副走査動作時のフィード量は、副走査移動量の一例である。また、副走査移動量とは、副走査動作において媒体50に対して相対的に副走査方向へインクジェットヘッド102を移動させる距離のことである。また、媒体50の搬送は、ベルト部材に限らず、例えばローラ等を用いて行ってもよい。また、印刷装置10の変形例においては、媒体50の位置を固定して、ヘッド部12の側を移動させることで、副走査動作を行ってもよい。
記憶部22は、印刷の動作を指定するパラメータを記憶するための記憶手段である。本例において、記憶部22は、補正係数記憶部の一例であり、少なくとも、フィード量の補正に用いるパラメータである補正係数を記憶する。この場合、補正係数とは、フィード量の補正に用いる補正値(フィード補正値)である算出補正値の算出時に用いる係数のことである。また、フィード量の補正とは、フィード量を設定するために行う補正のことである。補正係数等については、後に更に詳しく説明をする。
制御部30は、例えば印刷装置10のCPUであり、予め設定されたプログラムに従って、印刷装置10の各部の動作を制御する。より具体的に、印刷装置10は、例えば、ヘッド部12による主走査動作の制御時に、印刷すべき画像に応じて、ヘッド部12におけるそれぞれのノズルにインクを吐出させる。また、本例において、制御部30は、移動量設定部の一例でもあり、印刷の条件に応じて、副走査動作時のフィード量を設定する。また、この場合において、記憶部22に記憶されているパラメータに基づき、フィード量の補正を行う。制御部30においてフィード量を設定する動作についても、後に、更に詳しく説明をする。
ここで、上記においても説明をしたように、本例の印刷装置10は、上記及び以下において説明をする点を除き、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、ヘッド部12におけるそれぞれのインクジェットヘッド102から吐出するインクとしては、公知の様々な種類のインクを用いることが考えられる。また、この場合、印刷装置10は、使用するインクの種類に応じて、媒体50にインクを定着させるための定着手段等を更に備えることが好ましい。より具体的に、インクとして、溶媒を蒸発させることで媒体50に定着するインク(蒸発乾燥型のインク)を用いる場合、定着手段として、媒体又はインクを加熱するヒータ等を用いることが考えられる。この場合、ヒータは、例えば、プラテン14内において、媒体50を挟んでヘッド部12と対向する位置等に配設される。また、このような蒸発乾燥型のインクとしては、例えば、公知の各種の水性インクや、溶剤インク(ソルベントインク)等を用いることが考えられる。また、インクとしては、例えば、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)等を用いてもよい。この場合、定着手段としては、例えばUVLED等の紫外線照射手段を用いることが考えられる。また、この場合、紫外線照射手段については、ヘッド部12において、複数のインクジェットヘッド102と隣接する位置(主走査方向において隣接する位置)に配設することが考えられる。
また、上記においても説明をしたように、本例において、各色用のインクジェットヘッド102は、副走査方向における位置を互いにずらして複数のノズルが並ぶノズル列を有する。そして、この場合、各色用のインクジェットヘッド102としては、例えば図1(b)に示すように、同じ色のインクを吐出する複数のインクジェットヘッドにより構成される複合ヘッド(例えば、スタガヘッド等)を用いてもよい。図1(b)は、インクジェットヘッド102としてスタガヘッドを用いる場合について、インクジェットヘッド102の構成の一例を示す。
図中に示す場合において、各色用のインクジェットヘッド102は、同じ色のインクを吐出する複数の単位ヘッド202により構成される。複数の単位ヘッド202のそれぞれは、スタガヘッドを構成するインクジェットヘッドであり、例えば図中に示すように、副走査方向へノズルが並ぶノズル列を有する。そして、これらの複数の単位ヘッド202は、それぞれが有するノズル列が合わさることでインクジェットヘッド102のノズル列が構成されるように、副走査方向における位置をずらして配設される。この場合、複数の単位ヘッド202のそれぞれが有するノズル列が合わさることでインクジェットヘッド102のノズル列が構成されるとは、例えば、図1(b)の右側部分に示すように、それぞれの単位ヘッド202における各ノズルの副走査方向における位置に着目した場合に一つの仮想的なノズル列が構成されることである。また、この場合、この仮想的なノズル列について、インクジェットヘッド102のノズル列と考えることができる。また、本例において、単位ヘッド202としては、例えば、副走査方向における長さが4インチ程度のインクジェットヘッドを用いる。また、その結果、2個の単位ヘッド202により構成されるインクジェットヘッド102のノズル列の長さ(副走査方向における幅)は、220mm(220000μm)になっている。
続いて、フィード量の補正に用いる補正係数や、制御部30においてフィード量を設定する動作等について、更に詳しく説明をする。本例において、制御部30は、印刷の条件に基づき、補正前のフィード量に相当する基本フィード量を設定する。この場合、基本フィード量は、印刷の条件に応じて設定される基本の移動量である基本移動量の一例である。また、この場合、制御部30は、印刷の条件として、例えば、印刷すべき画像を示す印刷ジョブにおいて指定されている条件を用いる。また、印刷の条件としては、ユーザにより指定される条件を用いてもよい。また、本例において、基本フィード量の設定に用いる印刷の条件としては、入力パス値及びMAPS速度値を用いる。入力パス値は、パス数の設定の基本となる数値であり、1以上の整数値が指定される。この場合、パス数とは、媒体における印刷範囲の各位置に対して行う主走査動作の平均回数を示す数のことである。また、本例において、パス数は、入力パス値に加え、以下において説明をするMAPS速度値を考慮して設定される。この場合、入力パス値については、例えば、印刷時に設定されるパス数からMAPS処理の影響分を除いた値に相当すると考えることもできる。また、入力パス値については、例えば、MAPS処理を無効(OFF)にした場合に設定されるパス数に相当する値等と考えることもできる。
また、MAPS速度値とは、MAPS(Mimaki Advanced Pass System)処理を適用する程度を示す値である。この場合、MAPS処理とは、例えば、各ノズルから吐出するインクの濃度(吐出濃度)をマスクの適用により調整することでバンディングを目立ちにくくする処理のことである。MAPS処理においては、例えば、市松模様状のマスク等ではなく、グラデーション型のマスクを用いることで、吐出濃度の調整を行う。また、この場合、マスクに従って吐出濃度を下げる分に合わせてフィード量を小さくすることで、パスの境界部分に重なりを持たせて、パスの境界を目立ちにくくする。そのため、MAPS処理を行う場合、MAPS移動速度に応じて、フィード量が変化することになる。また、これに伴い、設定されるパス数が変化することになる。
また、MAPS処理を行う場合、パス数としては、例えば、入力パス値として指定される整数値に対してMAPS速度値に応じた調整を行うことで、非整数の値(半端パス)も設定し得ることになる。従って、MAPS処理を行う構成については、例えば、非整数の値を含む複数種類の値が設定可能な構成の一例と考えることができる。また、この場合、高い精度で柔軟にMAPS処理等を行うためには、パス数となる非整数の値について、少なくとも、0.25以下の刻み幅での値を設定可能にすることが好ましい。また、パス数の刻み幅は、好ましくは0.1以下、更に好ましくは0.01以下である。更に、この場合、例えば、小数点以下が所定の桁数になる数値で、任意のパス数を設定可能にすることがより好ましい。また、本例において、パス数は、入力パス値及びMAPS速度値に応じて算出されることで、0.01刻みで任意の値を設定可能になっている。また、この場合、入力パス値及びMAPS速度値について、印刷条件としてパス数を指定するためのパラメータ等と考えることもできる。
また、MAPS速度値については、例えば、媒体上に形成されるドットを分散させる程度を示すパラメータ等と考えることができる。また、MAPS速度値としては、例えば、0~100%の範囲の数値を用いることが考えられる。この場合、MAPS速度値を100%にした状態は、入力パス値に相当するマスクがかかる状態を示している。そのため、MAPS速度値が100%である場合、パス数は、入力パス数と等しくなる。また、MAPS速度値が100%より小さい場合、パス数は、MAPS速度値に応じて、入力パス値よりも大きくなる。より具体的に、例えば入力パス値が2であり、MAPS速度値が100%であれば、MAPS処理において、2パス相当のマスクがかかることになる。また、入力パス値が2であり、MAPS速度値が50%であれば、MAPS処理において、4パス相当のマスクがかかることになる。また、この場合、MAPS速度値の設定が小さな値になる程、パスの境界部分で重なる幅が大きくなる(パスの重なりが増える)ため、パスの境界が見えにくくなり、バンディングを抑制する効果が大きくなる。
また、本例において、制御部30は、印刷の条件として指定される入力パス値及びMAPS速度値に基づき、パス数及び基本フィード量の設定を行う。この場合、パス数とは、上記において説明をした半端パスのことである。また、制御部30は、更に、パス数と、インクジェットヘッドのノズル長とに基づき、基本フィード量を設定する。より具体的に、本例において、基本フィード量としては、インクジェットヘッドのノズル長をパス数で除した値が設定される。また、上記においても説明をしたように、本例において、パス数は、入力パス値及びMAPS速度値に応じて算出されることで、0.01刻みで任意の値を設定可能になっている。そのため、基本移動量として取り得る値も、ノズル長以下の範囲で、様々な値を設定可能になる。
また、制御部30は、このようにして算出された基本フィード量に対して補正を行うことで、副走査動作時に実際に用いるフィード量の設定を行う。この場合、基本フィード量に対して補正を行う動作について、フィード量の補正の動作と考えることができる。また、この場合、制御部30は、記憶部22に記憶されている補正係数に基づいて算出補正値を算出し、算出補正値を用いて、基本フィード量に対する補正を行う。また、この場合、例えば、算出補正値を基本フィード量に加算することにより、基本フィード量を補正したフィード量を算出する。
続いて、算出補正値の算出の仕方等について、更に詳しく説明をする。図2及び図3は、算出補正値の算出の仕方について説明をする図である。上記においても説明をしたように、本例において、制御部30は、記憶部22に記憶されている補正係数に基づき、算出補正値を算出する。また、この場合、記憶部22は、例えば、印刷装置10の出荷時や調整時等に設定された補正係数を記憶している。そのため、算出補正値については、印刷装置10において予め設定されている補正量を示すように算出されると考えることができる。また、この場合、算出補正値について、印刷装置10において予め設定されているシステムフィード補正値の一例と考えることができる。システムフィード補正値とは、例えば、印刷装置10の製造者や印刷装置10に関するサービスの提供者により予め用意される補正値等のことである。また、より具体的に、本例において、補正係数としては、例えば、基本フィード量と、その基本フィード量に対して設定すべき補正値とを対応付ける係数を用いる。
図2(a)は、補正係数において対応付けられる特定の基本フィード量と補正値(システムフィード補正値)との関係の一例を示す。この場合、補正係数において対応付けられる特定の基本フィード量とは、例えば、後に説明をする基本フィード量の範囲の境界に対応する基本フィード量のことである。図2(b)は、図2(a)に示した基本フィード量と補正値との関係を示すグラフであり、図2(a)に示した各基本フィード量に対応する点をプロットした上で、各点の間を直線(線分)でつないだ状態を示す。
本例において、特定の基本フィード量としては、パス数が0、1、及び2の場合の基本フィード量を用いる。この場合、パス数が0の場合は、算出補正値の算出時に用いる原点として用いるための仮想的な条件を示している。また、それぞれの基本フィード量に対応する補正値としては、システムフィード補正値として設定されるべき値を用いる。この補正値については、例えば印刷装置10の出荷時や調整時等に、テストチャートを印刷して行う実測等により得ることが考えられる。また、パス数が0の場合の補正値としては、0を設定する。
ここで、様々な基本フィード量について、その基本フィード量の補正に用いるべき補正値を考えた場合、誤差が一定の許容量を超えない範囲において、基本フィード量と補正値との関係は、線形に変化すると考えられる。また、後に更に詳しく説明をするように、本願の発明者は、通常のインクジェットプリンタの場合において、パス数が1~2の範囲内にある場合とその他の場合の二つの範囲に基本フィード量を分けて考えれば、それぞれの範囲で、上記のような線形の関係が適切に成り立つことを見出した。そして、この場合、図2(a)に示した基本フィード量以外の基本フィード量に対しては、図2(b)に示した直線が示す関係に基づいて、それぞれの基本フィード量に対応する補正値を求めることができる。また、この場合、このようにして求めた補正値を、上記において説明をした算出補正値として用いることができる。
図3は、図2(b)のグラフ中の直線について更に詳しく説明をする図であり、図2(b)に示したそれぞれの直線を延長させたグラフを示す。また、より具体的に、図3のグラフでは、図2(b)においてパス数が1~2にある場合の基本フィード量に対応している直線について、符号Aを付して示した上で、破線を用いて延長している。また、パス数が1~2の範囲以外の場合の基本フィード量に対応している直線について、符号Bを付して示した上で、一点鎖線を用いて延長している。
また、本例において、パス数が1~2の範囲内にある場合に対応する基本フィード量の範囲は、第1の範囲の一例である。また、この範囲内の基本フィード量のうち、パス数が1の場合の基本フィード量は、インクジェットヘッドにおけるノズル長と等しくなる。そのため、第1の範囲については、例えば、ノズル長と基本フィード量とが等しくなる場合を含む範囲等と考えることができる。また、本例において、パス数が1~2の範囲内にあるとは、例えば、パス数が1以上2未満の範囲内にあることである。範囲の設定の仕方の変形例においては、パス数が2に等しい場合について、第1の範囲に含めてもよい。
また、パス数が1~2の範囲以外の場合の基本フィード量に対応する基本フィード量の範囲は、第2の範囲の一例である。この場合、第2の範囲とは、基本フィード量が第1の範囲よりも小さな範囲のことである。また、基本フィード量が第1の範囲よりも小さな範囲とは、その範囲に含まれる基本フィード量が第1の範囲に含まれる基本フィード量よりも小さいことである。
また、本例において、パス数が2の場合の基本フィード量は、ノズル長よりも小さな所定の移動量の一例である。この場合、第2の範囲について、例えば、このような所定の移動量以下又は未満の全ての基本フィード量を含む範囲等と考えることができる。また、上記の第1の範囲については、例えば、所定の移動量よりも大きな全ての基本フィード量を含む範囲等と考えることもできる。また、本例において、この所定の移動量は、ノズル長の半分と等しい移動量になっている。そのため、本例においては、パス数が2以上の場合に対応する基本フィード量を全て含む範囲が、第2の範囲の一例になっている。範囲の設定の仕方の変形例においては、パス数が2に等しい場合を含めずに、パス数が2の場合の基本フィード量未満の基本フィード量を全て含む範囲を、第2の範囲と考えてもよい。
また、本例において、記憶部22では、補正係数としては、グラフ中の直線を示す係数を記憶する。この場合、直線を示す係数とは、例えば、直線の傾き及び切片を示すパラメータのことである。また、補正係数としては、傾きや切片を直接示すパラメータを記憶するのではなく、傾きや切片を算出するためのパラメータを記憶してもよい。より具体的に、この場合、例えば図2(a)に示す各値のように、特定の印刷の条件と、補正値とを対応付けて、補正係数として記憶してもよい。また、この場合、印刷の条件としては、パス数又は基本フィード量の少なくともいずれかを用いることが考えられる。
また、より具体的に、本例において、記憶部22は、補正係数として、図中で符号A、Bを付した二つの直線について、それぞれの直線の傾き及び切片を示すパラメータを記憶する。この場合、符号Aを付した直線に対応するパラメータは、第1の補正係数の一例である。第1の補正係数とは、基本フィード量が第1の範囲の内にある場合に用いる補正係数のことである。また、符号Bを付した直線に対応するパラメータは、第2の補正係数の一例である。第2の補正係数とは、基本フィード量が第2の範囲の内にある場合に用いる補正係数のことである。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、これらの補正係数により示される直線を用いて、算出補正値を算出する。そのため、補正係数については、例えば、基本フィード量と算出補正値とを対応付ける一次関数を示す係数と考えることもできる。また、図等から明らかなように、本例において、符号Aを付した直線と、符号Bを付した直線とは、傾き及び切片が異なっている。そのため、符号Bを付した直線に対応する補正係数と、符号Aを付した直線に対応する補正係数とは、互いに異なる係数になっている。
また、更に具体的に、本例において、符号Aを付した直線を示す補正係数としては、1~2のパス数に対応する基本フィード量の範囲内で基本フィード量に対応する算出補正値が線形に変化することを示す係数を用いる。この場合、基本フィード量に対応する算出補正値が線形に変化するとは、基本フィード量と算出補正値とを対応付ける関係が一次関数になることである。また、更に具体的に、本例において、この一次関数は、図中に示すように、原点を通らない直線に対応する関数になっている。
また、符号Aを付した直線について、図2(a)に示した値を用いて傾き及び切片を求めると、傾きは0.002182になり、切片は-40になる。そのため、基本フィード量をx(μm)、算出補正値(システムフィード補正値)をy(μm)とした場合、xとyとの関係は、y=0.002182x-40で示される関係になる。
また、本例において、符号Bを付した直線を示す補正係数としては、基本フィード量に比例して算出補正値が算出されることを示す係数を用いる。基本フィード量に比例して算出補正値が算出されるとは、例えば、基本フィード量と算出補正値とを対応付ける一次関数が原点を通る直線を示す関数になることである。また、この場合、上記においても説明をしたように、符号Bを付した直線の傾きは、符号Aを付した直線の傾きと異なることになる。
また、符号Bを付した直線について、図2(a)に示した値を用いて傾き及び切片を求めると、傾きは0.001818になり、切片は0になる。そのため、基本フィード量x(μm)と、算出補正値(システムフィード補正値)y(μm)との関係は、y=0.001818xで示される関係になる。
続いて、算出補正値を算出する動作について、更に詳しく説明をする。図4は、算出補正値を算出する動作の一例を示す。図4(a)は、対応するパス数が1~2の範囲内にある場合について、算出補正値の算出の仕方の一例を示す。図4(b)は、対応するパス数が2以上の場合について、算出補正値の算出の仕方の一例を示す。
上記においても説明をしたように、本例においては、基本フィード量と算出補正値とを対応付ける直線で示される関係を利用して、算出補正値を算出する。この場合、直線で示される関係とは、上記において示したxとyとの関係のことである。また、この場合、対応するパス数が1~2になる基本フィード量の場合と、対応するパス数が2以上の場合とで、異なる直線に対応する関係を用いる。
より具体的に、対応するパス数が1~2の範囲内にある基本フィード量の場合、制御部30は、図4(a)に示すように、符号Aを付した直線で示される関係に従って、基本フィード量に対応する算出補正値を算出する。この場合、符号Aを付した直線とは、図3を用いて上記において説明をした、符号Aを付した直線のことである。また、より具体的に、例えば、1~2の範囲のパス数の例として、パス数が1.25の場合を考えると、対応する基本フィード量は、176000μmになる。そして、この場合、符号Aを付した直線を示す関係において、xにこの値を代入すると、yの値は、344μmになる。そのため、この場合の算出補正値としては、344μmが算出されることになる。
また、対応するパス数が2以上になる基本フィード量の場合、制御部30は、図4(b)に示すように、符号Bを付した直線で示される関係に従って、基本フィード量に対応する算出補正値を算出する。この場合、符号Bを付した直線とは、図3を用いて上記において説明をした、符号Bを付した直線のことである。また、より具体的に、例えば、2以上のパス数の例として、パス数が3の場合を考えると、対応する基本フィード量は、7333μmになる。そして、この場合、符号Bを付した直線を示す関係において、xにこの値を代入すると、yの値は、133μmになる。そのため、この場合の算出補正値としては、133μmが算出されることになる。
このように、本例によれば、例えば、対応するパス数が1~2の範囲内にある基本フィード量に対し、符号Aを付した直線に対応する補正係数に基づき、適切に算出補正値を算出することができる。また、対応するパス数が2以上の基本フィード量に対し、符号Bを付した直線に対応する補正係数に基づき、適切に算出補正値を算出することができる。また、これらにより、例えば、任意の基本フィード量に対し、対応する算出補正値を適切に算出することができる。そのため、本例によれば、例えば、基本フィード量として取り得る値が多い場合にも、高い精度で適切に補正を行い、フィード量を適切に設定することができる。また、この場合、上記の説明等から明らかなように、限られた数の補正係数のみを用意すればよいため、少ない数の補正用のパラメータのみを用いて、フィード量の補正を適切に行うことができる。
続いて、上記において説明をした各構成に関する補足説明等を行う。上記においても説明をしたように、本例の印刷装置10は、MAPS速度値として様々な値が設定されることで、任意のフィード量を取り得るシステムになっている。また、この場合において、基本フィード量の変化に応じた算出補正値を算出することで、任意のフィード量に対応する補正値を自動的に比例計算して適用するシステムになっている。そのため、本例によれば、非整数のパス数に対応する値等も含めて基本フィード量が様々に変化する場合にも、補正値を適切に自動調整することができる。また、このような構成については、例えば、印刷の条件に追従させてフィード量の補正値を変化させる構成等と考えることもできる。
また、上記において説明をしたように、本例においては、フィード量の設定時に行う補正について、基本フィード量の取り得る値を複数の範囲に分けて、範囲毎に異なる補正係数を用いている。この点に関し、より簡易に補正を行うことを考えた場合、例えば1種類の直線を示す補正係数のみを用いて補正を行う方が好ましいともいえる。
しかし、例えばインクジェットヘッドの大型化等により、ノズル長が大きくなった場合等には、1種類の直線を示す補正係数のみで補正を行うと、誤差が許容範囲を超える場合がある。より具体的に、1種類の直線を示す補正係数のみを用いる場合、基本フィード量に比例させた補正値を用いることが考えられる。また、このような補正の仕方については、例えば、一つの比例係数のみを用いて補正値の算出を行う構成等と考えることができる。そして、このようにして補正を行う場合、ノズル長が大きくなると、いずれかのフィード量において、理想の補正値に対して副走査ドット間距離よりも大きな差が生じることが考えられる。この場合、副走査ドット間距離とは、印刷の条件に応じて設定される副走査方向における解像度に対応するドット間距離のことである。また、この場合、例えば、それぞれの基本フィード量に対応するフィード量を正しく設定するための補正値を理想補正値と定義し、一つの比例係数のみを用いて基本フィード量に比例させて算出補正値を設定した場合の補正値を単純比例補正値と定義すれば、いずれかの基本フィード量に対して理想補正値と単純比例補正値と等しくなるように一つの比例係数を設定すると、他のいずれかの基本フィード量に対して、その基本フィード量に対応する理想補正値と単純比例補正値との差が副走査ドット間距離よりも大きくなると考えることもできる。そして、このような誤差が生じた場合、誤差が大きくなるフィード量を用いる場合において、フィード量の補正を行ったとしても、白スジ又は黒スジ等のバンディングが発生するおそれがある。また、その結果、高い品質での印刷を行うことが難しくなると考えられる。
また、このような誤差が発生する条件については、例えば、図3等において符号A、Bを付した直線のような複数の直線を考え、それぞれの直線を延長した場合に、いずれかの基本フィード量の位置において、直線Aで示される算出補正値と、直線Bで示される算出補正値との間に、副走査ドット間距離を超える誤差が生じる場合等と考えることもできる。また、このような条件については、例えば、基本フィード量がノズル長と等しくなる場合に対して、直線Aに対応する補正係数に基づいて算出した算出補正値を第1の値とし、直線Bに対応する補正係数により示される比例関係に従って補正値を算出した場合の値を第2の値として、第1の値と第2の値との差が副走査ドット間距離よりも大きくなる場合等と考えることもできる。そして、このような場合、例えば1種類の補正係数のみを用いて副走査移動量の補正を行うと、例えば、基本フィード量がノズル長と等しくなる場合、又は基本フィード量がノズル長の半分になる場合等における補正後のフィード量に、副走査ドット間距離を超える誤差が生じることが考えられる。
これに対し、本例においては、基本フィード量の取り得る値を複数の範囲に分けて、範囲毎に異なる補正係数を用いることで、このような誤差の発生を適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、より高い精度でより適切にフィード量の補正を行うことができる。そのため、本例によれば、例えば、フィード量の大小によってフィード補正値の比例係数が変化する系においても、フィード量の範囲毎に、フィード量の補正を適切に行うことができる。この場合、フィード量の大小によってフィード補正値の比例係数が変化する系とは、例えば、単純な比例関係により補正値の算出をしようとする場合において、フィード量が大きい場合と小さい場合でフィード補正の比例係数に差異が生じる系のことである。また、このような系については、一つの比例係数のみでは全てのフィード量に対して適切な補正を行えない系と考えることもできる。また、本例の構成については、例えば、1種類の直線を示す補正係数のみを用いると上記のような誤差が発生する場合に特に好適に用いることができると考えることもできる。
また、上記において説明をしたように、本例においては、基本フィード量の取り得る値に対し、対応するパス数が1~2になる範囲と、それ以外の範囲との、二つの範囲に分けている。この点に関し、例えばインクジェットヘッドが更に大型化した場合や、副走査ドット間距離が更に小さくなった場合、基本フィード量の取り得る値を更に多くの範囲に分け、範囲毎に異なる補正係数を用いることが好ましいと考えることもできる。しかし、現在において一般的に使用されているインクジェットプリンタの構成を考えた場合、基本フィード量の取り得る値を本例のように二つの範囲に分けることで、通常、高い精度での補正を適切に行うことが可能である。より具体的に、例えば、ノズル長が500mm以下程度(例えば、100~500mm程度)であり、副走査方向における印刷の解像度が1200dpi以下程度(例えば、300~1200dpi程度)である場合、基本フィード量の取り得る値を二つの範囲に分けることで、高い精度での補正を適切に行うことができる。また、ノズル長が300mm以下程度(例えば、100~300mm程度)であり、副走査方向における印刷の解像度が600dpi以下程度(例えば、300~600dpi程度)である場合には、基本フィード量の取り得る値を二つの範囲に分けることで、高い精度での補正をより適切に行うことができる。
また、上記においても説明をしたように、本例において、記憶部22は、補正係数として、例えば、直線の傾き及び切片を示すパラメータを記憶する。そして、このようなパラメータとしては、例えば、傾き及び切片の値を直接記憶することが考えられる。この場合、記憶部22において記憶する傾き及び切片の値については、例えば、特定の基本フィード量間の個々の基本フィード量に対応するフィード補正値を自動比例計算するための比例係数等と考えることもできる。特定の基本フィード量間とは、例えば、対応するパス数が1~2になる基本フィード量の範囲や、対応するパス数が2以上になる基本フィード量の範囲のことである。
また、補正係数としては、直線の傾き及び切片の値を直接記憶するのではなく、これらの値を算出可能な他の数値を記憶してもよい。より具体的に、この場合、例えば、図2(a)に示した基本フィード量と補正値(システムフィード補正値)のように、特定の基本フィード量と、その基本フィード量に対応する補正値とを補正係数として記憶してもよい。この場合、補正係数について、例えば、特定の基本フィード量に対して個々に比例係数を算出する場合の基準となる固有のフィード補正値等と考えることができる。また、この場合、算出補正値の算出時には、基本フィード量が含まれる範囲に対応する直線を示すパラメータを算出する比例係数算出処理を行い、その結果を利用して、フィード量の補正を行う。また、このような比例係数算出処理を行うシステムについては、例えば、特定の基本フィード量間の個々の基本フィード量に対応するフィード補正値を自動比例計算するための比例係数について、その算出の基準となる固有のフィード補正値から自動算出するシステム等と考えることができる。
また、上記においては、フィード量の設定時に用いる補正値に関し、主に、印刷装置10において予め設定されているシステムフィード補正値を用いる場合について、説明をした。また、この場合、上記においても説明したように、本例において算出する算出補正値について、システムフィード補正値と考えることができる。また、フィード量の設定時に用いる補正値としては、システムフィード補正値以外に、例えば、ユーザの指定により設定される補正値であるユーザフィード補正値を更に用いることも考えられる。この場合、ユーザフィード補正値としては、例えば、フィード量を調整するためのオフセット値等を用いることが考えられる。また、このオフセット値については、例えば、印刷装置10において実際に行った印刷の結果を確認したユーザにより、フィード量のずれを減らすように指定することが考えられる。また、この場合、印刷装置10においては、ユーザにより指定されたユーザフィード補正値について、印刷条件と対応付けて管理することが考えられる。そして、その後に印刷の条件が変更された場合には、印刷の条件の変更により生じる基本フィード量の変化に合わせて、オフセット値も調整することが考えられる。この場合、例えば、基本フィード量に比例するようにオフセット値を調整することが考えられる。このように構成すれば、ユーザフィード補正値についても、印刷の条件の変化に追従させて適切に変化させることができる。
また、この場合、オフセット値について、例えば、基本フィード量が含まれる範囲に合わせて、算出補正値の算出時に用いる直線の傾きを比例係数として用いて比例計算により調整することが考えられる。このように構成すれば、例えば、システムフィード補正値の変化に合わせて、ユーザフィード補正値を適切に変化させることができる。また、ユーザフィード補正値として指定するオフセット値は、通常、システムフィード補正値として用いられる算出補正値と比べて小さな値になると考えられる。そのため、オフセット値については、基本フィード量の範囲毎に異なる比例係数を用いなくても、高い精度で適切に調整することが可能である。そのため、オフセット値については、基本フィード量の全ての範囲に対し、一つの比例係数のみを用いて単純な比例計算で調整を行ってもよい。この場合、単純な比例計算とは、例えば、原点を通る直線に対応する関係を利用して調整を行うことである。
本発明は、例えば印刷装置に好適に利用できる。
10・・・印刷装置、12・・・ヘッド部、14・・・プラテン、16・・・ガイドレール、18・・・主走査駆動部、20・・・副走査駆動部、22・・・記憶部、30・・・制御部、50・・・媒体、100・・・キャリッジ、102・・・インクジェットヘッド、202・・・単位ヘッド

Claims (10)

  1. 媒体に対して印刷を行う印刷装置であって、
    前記媒体へインクを吐出するインクジェットヘッドと、
    予め設定された主走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動しつつインクを吐出する主走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる主走査駆動部と、
    前記主走査方向と直交する副走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動する副走査動作を前記インクジェットヘッドに行わせる副走査駆動部と、
    前記副走査動作において前記媒体に対して相対的に前記副走査方向へ前記インクジェットヘッドを移動させる距離である副走査移動量を設定する移動量設定部と、
    前記副走査移動量の補正に用いる補正値として算出される算出補正値の算出に用いる係数である補正係数を記憶する補正係数記憶部と
    を備え、
    前記移動量設定部は、印刷の条件に応じて設定される基本の移動量である基本移動量と、前記算出補正値とに基づき、前記副走査移動量を設定し、
    前記補正係数記憶部は、前記補正係数として、少なくとも、
    前記基本移動量が第1の範囲の内にある場合に用いる第1の前記補正係数と、
    前記基本移動量が前記第1の範囲よりも小さな第2の範囲の内にある場合に用いる第2の前記補正係数と
    を記憶し、
    前記基本移動量が前記第1の範囲の内にある場合、前記移動量設定部は、当該基本移動量と、前記第1の前記補正係数とに基づき、前記算出補正値を算出し、
    前記基本移動量が前記第2の範囲の内にある場合、前記移動量設定部は、当該基本移動量と、前記第2の前記補正係数とに基づき、前記算出補正値を算出することを特徴とする印刷装置。
  2. 前記インクジェットヘッドは、前記副走査方向における位置を互いにずらして複数のノズルが並ぶノズル列を有し、
    前記第1の範囲は、前記インクジェットヘッドの前記ノズル列の前記副走査方向における幅であるノズル長と前記基本移動量とが等しくなる場合を含む範囲であり、
    前記第2の範囲は、前記ノズル長よりも小さな所定の移動量以下又は未満の全ての前記基本移動量を含む範囲であり、
    前記第2の前記補正係数は、前記基本移動量に比例して前記算出補正値が算出されることを示す係数であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 前記所定の移動量は、前記ノズル長の半分と等しい移動量であり、
    前記第1の範囲は、前記所定の移動量よりも大きな全ての前記基本移動量を含む範囲であり、
    前記第1の前記補正係数は、前記基本移動量に対応する前記算出補正値が、前記ノズル長の半分に等しい前記基本移動量と、前記ノズル長に等しい前記基本移動量との間で線形に変化することを示す係数であることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
  4. 前記第1の前記補正係数により示される線形の関係における傾きは、前記第2の前記補正係数により示される比例関係における傾きと異なることを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
  5. 印刷の条件に応じて設定される前記副走査方向における解像度に対応するドット間距離を副走査ドット間距離と定義し、前記基本移動量が前記ノズル長と等しくなる場合について、前記第1の前記補正係数に基づいて算出した前記算出補正値を第1の値とし、前記第2の前記補正係数により示される比例関係に従って補正値を算出した場合の値を第2の値とした場合、前記第1の値と前記第2の値との差が、前記副走査ドット間距離よりも大きくなることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の印刷装置。
  6. 印刷の条件に応じて設定される前記副走査方向における解像度に対応するドット間距離を副走査ドット間距離と定義し、それぞれの前記基本移動量に対応する前記副走査移動量を正しく設定するための補正値を理想補正値と定義し、一つの比例係数のみを用いて前記基本移動量に比例させて前記算出補正値を設定した場合の補正値を単純比例補正値と定義した場合、
    いずれかの前記基本移動量に対して前記理想補正値と前記単純比例補正値と等しくなるように前記一つの比例係数を設定すると、他のいずれかの前記基本移動量に対して、当該基本移動量に対応する前記理想補正値と前記単純比例補正値との差が、前記副走査ドット間距離よりも大きくなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の印刷装置。
  7. 前記インクジェットヘッドは、前記副走査方向における位置を互いにずらして複数のノズルが並ぶノズル列を有し、
    印刷の条件として、少なくとも、前記媒体における印刷範囲の各位置に対して行う主走査動作の平均回数を示すパス数が設定され、
    前記基本移動量は、前記インクジェットヘッドの前記ノズル列の前記副走査方向における幅であるノズル長を前記パス数で除した値を示すことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の印刷装置。
  8. 前記パス数として、非整数の値を含む複数種類の値を設定可能であることを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
  9. 前記非整数の値として、少なくとも、0.25以下の刻み幅での値を設定可能であることを特徴とする請求項8に記載の印刷装置。
  10. 媒体に対して印刷を行う印刷方法であって、
    前記媒体へインクを吐出するインクジェットヘッドに、
    予め設定された主走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動しつつインクを吐出する主走査動作と、
    前記主走査方向と直交する副走査方向へ前記媒体に対して相対的に移動する副走査動作と
    を行わせ、
    前記副走査動作において前記媒体に対して相対的に前記副走査方向へ前記インクジェットヘッドを移動させる距離である副走査移動量を設定する副走査移動量の設定時において、前記副走査移動量の補正に用いる補正値として算出される算出補正値の算出に用いる係数である補正係数を用いて、印刷の条件に応じて設定される基本の移動量である基本移動量と、前記算出補正値とに基づき、前記副走査移動量を設定し、
    前記補正係数として、少なくとも、
    前記基本移動量が第1の範囲の内にある場合に用いる第1の前記補正係数と、
    前記基本移動量が前記第1の範囲よりも小さな第2の範囲の内にある場合に用いる第2の前記補正係数と
    を用い、
    前記基本移動量が前記第1の範囲の内にある場合、当該基本移動量と、前記第1の前記補正係数とに基づき、前記算出補正値を算出し、
    前記基本移動量が前記第2の範囲の内にある場合、当該基本移動量と、前記第2の前記補正係数とに基づき、前記算出補正値を算出することを特徴とする印刷方法。
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