JP7134646B2 - 固体酸化物形燃料電池とこれに用いる電極材料 - Google Patents
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Description
このような構成によって、粉体を構成する粒子が焼成によって緻密に焼結し、酸素イオン-電子混合導電性に優れた電極を形成することができる。
なお、本出願における平均粒子径とは、レーザー回折・光散乱法で測定される体積基準の粒度分布における、累積50%に相当する粒子径(D50)を意味する。
かかる構成によって、低温での焼成によってもカソードと固体電解質あるいは反応防止層とが良好に接合され、かつ、発電性能に優れたSOFCが提供される。また、この電極材料を用いて作製された電極は、SOFCの運転環境(高温、低酸素分圧条件)に長期に晒された場合であっても電極の劣化が抑制されて、高い発電特性を長期に亘って維持することができる。このことから、高性能(例えば、高出力)で耐久性に優れたSOFCが提供される。
ここに開示される電極材料は、SOFCの電極を形成するための材料であって、一般式ABO3で表されるペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物相を含む。式中のAは、ペロブスカイト型結晶構造のAサイトを占有する元素を示し、式中のBは、ペロブスカイト型結晶構造のBサイトを占有する元素を示す。そしてここに開示される電極材料は、Aサイトに、ランタノイド元素およびアルカリ土類金属を含み、Bサイトに、第一元素としてのコバルト(Co)、第二元素としての鉄(Fe)およびマンガン(Mn)の少なくとも1つ、および、第三元素としての銅(Cu)を含む。
一方で、電極材料は、上記粉体が造粒された造粒粉の形態であってもよいし、上記粉体が焼結された焼結体あるいは多孔質焼結粉等の形態であってもよい。
造孔材は、電極を多孔質構造に形成するために電極材料に配合される材料であって、電極作製時(焼成時)に消失する各種の材料を用いることができる。例えば、造孔材としては、天然有機粉体、粒状の合成樹脂材料、炭素粉末等が好ましい例として挙げられる。
天然有機粉体としては、例えば、澱粉を含む各種の植物のうち、澱粉を多く含む種子(胚乳)、塊根等の部位を粉末にしたものや、かかる部位か抽出した澱粉粉末であってよい。例えば、代表的には、もち米粉、米粉、大麦粉、小麦粉、オート(燕麦)粉、とうもろこし粉、えんどう豆粉、じゃがいも粉、さつまいも粉、キャッサバ粉、葛粉、サゴ粉、アマランス粉、バナナ粉、アロールート粉、カンナ粉などの食物粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ粉等の澱粉粉末を例示することができる。
上記の粉末状の電極材料は、そのまま圧縮成形する等して電極構造に成形してもよいし、あるいは、粉末状の電極材料を分散媒中に分散したペースト(インク、スラリー、サスペンションなどを包含する)の形態に調製して用いるようにしても良い。このとき用いる分散媒としては、上記の遷移金属成分粉末および酸素イオン伝導性材料粉末を良好に分散し得るものであればよく、従来のこの種のペーストに用いられている各種の分散媒を特に制限なく使用することができる。典型的には、かかる分散媒としては、ビヒクルと、粘度調整のための有機溶媒との混合物を考慮することができる。
有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールおよびジエチレングリコール誘導体(グリコールエーテル系溶剤)、トルエン、キシレン、ブチルカルビトール(BC)、ターピネオール等の高沸点有機溶剤を含むとよい。これらは1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することができる。さらに、これら高沸点有機溶剤(例えば沸点が105℃以上)は、低沸点有機溶剤(例えば沸点が105℃未満)と混合して用いてもよい。
なお、以上のSOFC10のカソード以外の他の部材の製造方法は、従来公知の製造方法に準じればよく特別な処理を必要としないため、詳細な説明は省略する。
図1は、一実施形態に係るSOFC1の分解斜視図である。ここに開示される技術により提供されるSOFC1は、複数のSOFCの単セル10A、10Bと、複数の金属製のインターコネクタ50とを備えている。SOFC1は、単セル10A、10Bが、金属製インターコネクタ50、50Aを介して積み重ねられるとともに電気的に接合されたスタック構造を有する。SOFC1は、公知の製造方法に準じて製造することができる。
金属製インターコネクタ50Aは、セル対向面52がカソード20に対向するように、単セル10Aとスタックされる。金属製インターコネクタ50Aは、セル対向面54がアノード40に対向するように、単セル10Bとスタックされる。金属製インターコネクタ50、50Aは、カソード20に対向する側のセル対向面52に複数の溝部を備える。この溝部は、酸素含有ガスが流れるための酸素含有ガス流路53である。酸素含有ガス流路53は、図示しない酸素含有ガスの供給源に接続されている。また、金属製インターコネクタ50、50Aは、アノード40に対向する側のセル対向面54にも複数の溝部を備えている。この溝部は、燃料ガスが流れるための燃料ガス流路55である。燃料ガス流路55は、図示しない燃料ガスの供給源に接続されている。
[ペースト状電極材料の用意]
電極材料として、平均粒子径が0.7μmで、表1に示す一般式で表される組成のペロブスカイト型酸化物の粉体を用意した。具体的には、出発原料として平均粒径が約0.5μmのLa2O3,SrCO3,Co3O4、Fe2O3、CuO、MnO2、NiOの粉末を用い、これらを化学量論比で精密に秤量して湿式混合した後、大気雰囲気中、1100℃で焼成することで、焼成物としてのペロブスカイト型酸化物を得た。得られた焼成物は、φ5mmのジルコニアボールを用いたボールミルにより一次粉砕し、次いで、φ1mm以下のビーズを用いたビーズミルにて二次粉砕し、最終的に平均粒子径が0.7μmとなるように調整することで、例1~16の粉体状電極材料とした。
上記で用意した各例のLSCF粉末をカソード材料として用い、以下の手順で、評価用のSOFCを作製した。
まず、酸化ニッケル(NiO,平均粒子径0.5μm)粉末と、8%イットリア安定化ジルコニア(8%YSZ,平均粒子径0.5μm)粉末とを、60:40の質量比で混合することでアノード用混合粉末を用意した。そして、このアノード用混合粉末と、造孔材(炭素成分)、バインダ(ポリビニルブチラール;PVB)、可塑剤および分散媒(エタノールおよびトルエンの等量混合物)とを、順に48~58:15~5:8.5:4.5:24の質量比で混練することにより、ペースト状のアノード支持体形成用組成物を調製した。次いで、このアノード支持体形成用組成物を、ドクターブレード法によりキャリアシート上に塗布・乾燥することを繰り返し、厚みが0.5~1.0mmのアノード支持体グリーンシートを形成した。
SOFCのカソードの付着性を評価するために、JIS K5600-5-6:1999(塗料一般試験方法、第5 部:塗膜の機械的性質、第6節:付着性(クロスカット法))に準じて、クロスカット試験を実施した。まず、上記SOFCの作製において、ハーフセルの切り出し寸法を約200mm×200mm、カソードの形状を約150mm×100mm,厚み約30μmとし、その他は上記と同様にすることで、例1~16のクロスカット試験用のSOFCを作製した。
△:15<x≦35
○: 5<x≦15
◎: x≦5
(発電特性)
用意した各例の評価用SOFCを下記の条件で運転し、電流密度0.5A/cm2における電圧を測定した。
アノード供給ガス:水素ガス(50ml/min)
カソード供給ガス:空気(100ml/min)
運転温度:700℃
そして、この電圧が0.80V未満の場合の発電性能を「×」、0.80V以上0.82V未満の場合の発電性能を「△」、0.82V以上0.85V未満の場合の発電性能を「○」、0.85V以上の場合の発電性能を「◎」とした。その結果を、表1の「発電性能」の欄に示した。
また、各例の評価用SOFCを上記と同じ条件で、電流密度が0.5A/cm2となるように1000時間運転したときの前後で電圧を測定し、下式に基づき劣化率を算出した。
劣化率(%/khr)={(運転後電圧)-(初期電圧)}÷(初期電圧)×100
そして、この劣化率が0.5%/khr未満を「◎」、0.5%/khr以上0.8%/khr未満を「○」、0.8%/khr以上1%/khr未満の場合を「△」、1%/khr以上の場合を「×」とした。その結果を、表1の「劣化率」の欄に示した。なお、式中、「初期電圧」は運転前の開放電圧であり、「運転後電圧」は、100時間運転後の開放電圧である。また、例15および16のSOFCについては、1000時間の長時間の発電を実施できなかったために結果を「-」とした。
また、各例の評価用SOFCを上記と同じ条件で、電流密度が0.5A/cm2となるように運転したときのオーミック抵抗を、交流インピーダンス測定に基いて算出した。交流インピーダンス測定では、まず、横軸にインピーダンスの実成分Z’を、縦軸に虚数成分Z”をプロットすることでcole-coleプロットを得た。そして、半円形のプロットのうち、高周波側における横軸(実数軸)との交点と原点との間の距離がオーミック抵抗に相当し、半円形のプロットの円弧幅が分極抵抗に相当する。各例の評価用SOFCのオーミック抵抗を測定し、その結果を以下の評価記号によって表1に示した。
そして、この劣化率が0.15Ω・cm2未満を「◎」、0.15Ω・cm2以上0.18Ω・cm2未満を「○」、0.18Ω・cm2以上0.20Ω・cm2未満を「△」、0.20Ω・cm2以上の場合を「×」とした。その結果を、表1の「オーミック抵抗」の欄に示した。なお、例3のSOFCはカソードを適切に接合できず、抵抗測定を実施しなかったために結果を「-」とした。
例1は、従来のSOFCのカソード材料として知られている所謂LSCF組成の電極材料を用い、1000℃で焼成してカソードを形成した例である。このようにして得られるSOFCは、接合性、発電性能および耐久性のいずれも良好であり、本実施例ではこの例1を凡その基準として評価するようにしている。
また、例4,5,8,11~14から明らかなように、CuのBサイト占有率は、1%(0.01)で十分であるものの、1%よりも多くすることで接合性がさらに良好に高められることがわかった。しかしながら、CuのBサイト占有率が50%にまで増大すると、他のBサイト元素であるCoおよびFeの効果が抑制されて、発電性能および耐久性が低くなってしまうことがわかった。このことから、Cuは、Co,Feとともに、Bサイトに凡そ1%以上50%未満(例えば2%~15%)の割合で含有させるのがよいことがわかった。
上記実施形態1の例5と同様に、(La0.6Sr0.4)(Co0.2Fe0.75Cu0.05)O3組成のペロブスカイト型酸化物の粉体を用意した。ここで、上記焼成物の二次粉砕において、下記表2に示す平均粒子径となるように粉砕時間を調整することで、例17~24の粉体状電極材料を得た。
10,10A,10B 単セル
20 カソード
30 固体電解質
40 アノード
50,50A 金属製インターコネクタ
52 ,54 セル対向面
53 空気流路
55 燃料ガス流路
Claims (5)
- 固体酸化物形燃料電池の電極を形成するための材料であって、
一般式ABO3で表されるペロブスカイト型酸化物相を含み、
前記ペロブスカイト型酸化物相の
Aサイトには、ランタノイド元素およびアルカリ土類金属を含み、
Bサイトには、第一元素としてのコバルト、第二元素としての鉄およびマンガンの少なくとも1つ、および、第三元素としての銅を含み、
前記Bサイトに占める、前記第一元素の割合は0.1以上0.8以下であり、前記第三元素の割合は0.01以上0.3以下であり、残部は前記第二元素である、電極材料。 - 前記ペロブスカイト型酸化物相は粉体であって、平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である、請求項1に記載の電極材料。
- さらに、分散媒とバインダとを含み、
前記粉体と前記バインダとは、前記分散媒に分散されている、請求項2に記載の電極材料。 - 固体酸化物形燃料電池のカソードを形成するために用いられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の電極材料。
- アノードと固体電解質とカソードとを備える固体酸化物形燃料電池であって、
前記カソードは、請求項1~4のいずれか1項に記載の電極材料の焼成物によって構成されている、SOFC。
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