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JP7149628B2 - 成長促進方法及び成長促進システム - Google Patents
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JP7149628B2 - 成長促進方法及び成長促進システム - Google Patents

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Description

本発明は、成長促進方法及び成長促進システムに関するものである。
交流電場を利用して植物の生育を促す技術が知られており、例えば非特許文献1は、乾燥種子を4~12kV/cm、50Hzの交流電場で15~60秒間処理することで、発芽率が対照区に比べて向上することを開示している。
Moon J-D, H-S Chung. 2000. Acceleration of germination of tomato seed by applying AC electric and magnetic fields. J. Electrostatics 48: 103-114. 松尾昌樹・坂田智子、電界処理が吸水種子の発芽と初期生育に及ぼす影響、生物環境調節 32,107-111(1994)
しかしながら、非特許文献1に記載の技術では、交流電場強度がkV/cmのオーダーであり極めて高いため、簡易な構成で成長を促進することは難しいという課題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で容易に対象物の成長を促進するための技術を提供することを目的とする。
上記の目的を達成する本発明に係る成長促進方法は、
生物の成長を促進させる成長促進方法であって、
成長環境に配置された生物に、水の誘電損失が小さくなる周波数帯であるMHzより大きく1000MHz以下の高周波交流電場を印加する電場印加工程を含み、
前記高周波交流電場の強度は、0.01Vpp/cm以上且つ100Vpp/cm以下であり、
前記電場印加工程では、前記高周波交流電場の周波数を大きくするとともに、前記高周波交流電場の強度を小さくするように制御し、
前記生物は植物の種子またはきのこ類であることを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成で容易に対象物の成長を促進することが可能となる。
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
水の誘電損失の周波数特性を示す図である。 本発明の一実施形態に係る成長促進装置の構成例を示す図である。 ルッコラの種子の発芽の様子を示す図である。 交流電場の印加によるルッコラの種子の発芽率の変化の様子を示す図である。 ルッコラの種子の発芽の様子を示す図である。 ルッコラの種子から伸びる茎長の測定の様子を示す図である。 ルッコラの種子から伸びる茎長の測定結果を示す図である。 交流電場の印加時間やタイミングを変化させたことによるルッコラの種子の発芽率の様子を示す図であり、0時間~48時間の間(48時間)、交流電場を印加した場合の結果である。 B10時間~48時間の間(38時間)、交流電場を印加した場合の結果である。 0時間~10時間の間(10時間)、交流電場を印加した場合の結果である。 10時間~24時間の間(14時間)交流電場を印加した場合の結果である。 0時間~1時間の間(1時間)、交流電場を印加した場合の結果である。 -12時間~0時間の間(すなわち、種子吸水直前(播種前)の乾燥種子に対して12時間)、交流電場を印加した場合の結果である。 ルッコラの種子の発芽率を経時的にプロットした図であり、交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数1MHzの場合の結果である。 交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数10MHzの場合の結果である。 交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数100MHzの場合の結果である。 交流電場強度1.0Vpp/cmの下で、交流電場周波数1MHz、10MHz又は100MHzのそれぞれにおいて、ルッコラの種子の平均発芽時間を計測した結果を示す図である。 ルッコラの種子の発芽率を経時的にプロットした図であり、交流電場周波数1MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの交流電場を48時間印加した場合の結果である。 交流電場周波数1MHz且つ交流電場強度10Vpp/cmの交流電場を48時間印加した場合の結果である。 交流電場周波数100MHz且つ交流電場強度0.1Vpp/cmの交流電場を10時間印加した場合の結果である。 交流電場周波数100MHz且つ交流電場強度0.05Vpp/cmの交流電場を10時間印加した場合の結果である。 交流電場周波数100MHz且つ交流電場強度0.01Vpp/cmの交流電場を10時間印加した場合の結果である。 小松菜の種子の発芽率を経時的にプロットした図であり、小松菜の種子に対して、0時間~48時間の間(48時間)、交流電場を印加した場合の結果である。 小松菜の種子に対して、0時間~10時間の間(10時間)、交流電場を印加した場合の結果である。 えんどう豆の種子の発芽率を経時的にプロットした図であり、えんどう豆の種子に対して、0時間~48時間の間(48時間)、交流電場を印加した場合の結果である。 えんどう豆の種子に対して、0時間~10時間の間(10時間)、交流電場を印加した場合の結果である。 しいたけ菌床に対して交流電場を24時間印加した後に印加を停止し、その後1日経過した時の様子を示す図である。 しいたけ菌床に対して交流電場を24時間印加した後に印加を停止し、その後9日経過した時の様子を示す図である。 ルッコラの種子の発芽率を経時的にプロットした図であり、交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数200MHzの場合の結果である。 交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数500MHzの場合の結果である。 交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数700MHzの場合の結果である。 ルッコラの種子の発芽率を経時的にプロットした図である。交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数13.56MHzの場合の結果である。 えんどう豆の種子の発芽率を経時的にプロットした図である。交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数40.68MHzの場合の結果である。 稲もみの発芽率を経時的にプロットした図、及び、ある時間が経過した時点でのControlの様子と、交流電場を印加した稲もみの様子とを示す図である。
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る成長促進装置は、対象物(生物)に高周波交流電場を印加して、当該対象物の成長を促す装置として構成される。ここで、「成長」とは生体そのものが育ち成熟すること、及び、細胞が増殖することを指す。以下、成長促進装置の概略について説明する。
(対象物の種類)
本実施の形態で、成長促進の対象となる対象物は限定されるものではなく、種々の生物(生体)を対象にすることができる。例えば、本発明は、動物(動物細胞)や植物(植物細胞)、微生物、などに適用することができるが、特に限定されるものではない。
(対象物の状態)
本実施の形態で、成長促進の対象となる対象物の状態は、特に限定されるものではない。例えば、対象物は、生体そのものであってもよく、生体から取り出された細胞や組織片であってもよい。また、対象物は、液体を含浸した状態で、成長環境に配置されて高周波交流電場が印加される。ここで、「成長環境」とは、対象物が成長することが可能な外部環境を指す。すなわち、本実施の形態では、対象物は、液体が含浸した状態で、成長することが可能な条件(温度、圧力、空気(溶存気体)、照度、栄養素の有無や量など)が整った環境に配置された状態で高周波交流電場が印加されることにより、高周波交流電場が印加されなかった場合に比べ、その成長が促進される。なお、液体が含浸した状態でなくても、対象物が液体を含んでおり、含浸していなくても成長可能である場合は、対象物は液体が含浸した状態でなくてもよい。
本実施の形態では、対象物は、容器に保持された状態で、高周波交流電場が印加される。これにより、対象物のハンドリングや環境調整が容易になる。対象物を保持する容器は、電場に与える影響が小さい材料によって構成されていることが好ましい。これによると、高周波交流電場が容器による影響を受けにくくなることから、対象物に対して電場を均等に作用させることが可能になる。具体的には、金属や高誘電体材料を含まない樹脂容器が例示される。また、容器は、高周波交流電場を印加するための電極と別体として構成することができる。これによれば、容器に特別な工夫をする必要がないため、一般に流通している容器を利用して、成長促進処理を行うことが可能になる。ただしこれとは別に、対象物を保持する容器として、電極が取り付けられた容器を利用することも可能である。なお、本発明はこれに限られるものではなく、成長促進の対象物は、地面に植えられた植物(種子を含む)や接ぎ木、飼育室や実験室に収容された動物などとすることも可能である。
(構成)
成長促進装置は、所望の領域に高周波交流電場を印加可能な印加手段を備えており、生成された交流電場(交流電界)内に対象物を配置することにより、対象物の成長を促進させる構成となっている。詳しくは、成長促進装置は、高周波交流電圧を発生させる電圧発生装置(ジェネレータ)と、電圧発生装置に接続された電極とを有する構成とすることができる。ここで、電極としては、対象物を挟んで対向する2枚の平板状の電極や、相互に対向するように配置された3枚以上の複数の平板状の電極や、空間に向かって電磁波を放射する電磁波放射電極(発信アンテナ)を例示することができる。また、交流電場の波形は、一例として正弦波、矩形波、三角波、のこぎり波が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一例として正弦波を用いることができる。
成長促進装置が生成する交流電場の周波数は、水の誘電損失が所定値以下となる範囲を適用することができる。例えば、水の誘電損失εの周波数特性を表す図1に示す通り、周波数が0.5MHz~1000MHzの交流電場は、水の誘電損失εが小さくなることが知られており、この範囲の交流電場を利用することができる。周知の通り、水は直流電場や低周波交流電場に対してはイオン伝導により導体として挙動するから、対象物にはイオンの移動による電流が流れる。これに対して、水の誘電損失εが小さくなる0.5MHz~1000MHzの周波数の交流電場では、イオンの移動による電流がほとんど発生しないため、対象物に、直接電場を作用させることが可能になる。
成長促進装置が生成する交流電場の強度(電界強度)は、対象物や印加条件(周波数やタイミング)に合わせて適宜設定することができる。ただし、本実施の形態では、交流電場の強度は、放電が発生しない範囲とすることが好ましい。通常、放電が起こるとオゾンが発生するなど、対象物の成長を阻害するおそれがあるところ、放電が発生しない範囲の交流電場を利用することで、対象物の成長に好適な環境を作ることが可能になる。なお、本実施の形態では、上記の通り、水の誘電損失が小さくなる範囲の周波数の交流電場を利用する。そのため、その強度を放電が発生しない程度に小さくした場合でも、対象物に交流電場を作用させることが可能になり、成長促進効果が期待される。例えば、交流電場の強度は、100Vpp/cm以下、あるいは、50Vpp/cm以下とすることができる。一般的に、1000Vpp/cmを超える高電圧を印加すると放電が起こりやすくなるといわれており、放電は不安定な現象であることを考慮すると、10~20倍程度の安全率を取ることで、再現性の高い成長促進装置を提供することができる。あるいは、成長促進装置が電極に印加する電圧を、尖塔値が±100V未満とすることも可能である。すなわち、一般的に、電極に±1000Vを超える電圧を印加すると、電極から放電が起こりやすくなるといわれていることから、10~20倍程度の安全率を取ることで、再現性の高い成長促進装置を提供することができる。また、成長促進装置が生成する交流電場の強度は、例えば、0.03Vpp/cm以上とすることができ、好ましくは0.05Vpp/cm以上とすることができる。対象物の成長促進効果は、対象物の種類や交流電場の周波数などに応じて変化することから、成長促進効果を一律に期待できる強度は明確ではないが、0.05Vpp/cmの交流電場により、成長促進効果が発現することは確認されている(詳細は後述)。
成長促進装置は、交流電場が外部に漏れることを防止するシールド手段をさらに備えた構成とすることも可能である。シールド手段は、例えば、電圧発生装置に接続された電極、及び、高周波交流電場が印加される領域を囲む金属製の枠体として実現することができる。成長促進装置では、対象物に高周波交流電場を印加するため、電極からは高周波交流電場(電波)が発生することになる。シールド手段を利用すると、高周波交流電場が外部に漏れ出ることを防止することができるため、利便性の高い装置を提供することが可能になる。ただし、実験条件によっては、シールドを有さない構成とすることも可能である。
以下、本発明の実施の形態に係る成長促進装置について、より具体的な例を挙げて説明する。
<成長促進装置の構成>
以下、図2を参照して、本発明の一実施形態に係る成長促進システム(成長促進装置)の構成例を説明する。対象物の成長を促進させる成長促進装置1は、ジェネレータ10を備える。ジェネレータ10は、交流電圧信号を生成する電子機器(電圧発生装置)であり、任意の電極を介して、所望の領域に交流電場(交流電界)を印加させることができる。本実施の形態に適用可能なジェネレータ10の種類は特に限定されるものではないが、対象となる生物に応じた出力(周波数や電圧、波形)を持つジェネレータを選定・設計することが好ましい。ジェネレータ10として、例えば、任意波形の高周波電圧を発生させることが可能なファンクションジェネレータを適用することも可能である。本実施の形態では、ジェネレータ10は、電極20(第1電極)と電極30(第2電極)との間に交流電場を印加可能な印加手段として機能する。すなわち、ジェネレータ10は、電極20と、電極20と対向する電極30と、の間に配置された対象物(生物)に、交流電場を印加する。また、成長促進装置1は電圧計5(オシロスコープ)を備えている。電圧計5により2つの電極20、電極30の間の電圧を測定することができる。そして、測定した電圧と、2つの電極20、電極30の間の距離とに基づいて、交流電場(電界)を算出することができる。ただし、成長促進装置1は、電圧計を有しない構成とすることも可能である。すなわち、ジェネレータ10の設定値と、電極間に印加される電場強度を予め確認しておくことにより、ジェネレータ10の設定値を調整することで、電極間に所望の強度の電場を印加することが可能になる。
電極20、電極30の種類も特に限定されるものではなく、例えば透明電極(酸化インジウム(ITO)/ガラス電極)や、ステンレス、銅、アルミなどの金属電極を利用することができる。また、電極20及び電極30は、例えば平板電極として構成することができる。2つの平板状の電極を平行に配置して対向させれば、電極間に均一に(むらが発生しないように)電界を生成することができる。なお、このような平行平板電極は、いわゆる板状のものの他に、実質的に平板とみなせる形態も含む。例えば、メッシュ構造になった平板電極や、周縁部での電界の発散を避けるために端部を内側に向けて屈曲させたもの、電極間の電界を均一にするために全体を緩やかに湾曲させたものなど、を例示することができる。また、電極20、電極30は、対象物を収納する容器とは別体として構成することが可能であるが、容器と一体的に構成することも可能である。
本実施形態においては、ジェネレータ10は、2つの電極20、30の間にシャーレ40を配置した状態で交流電場を印加する。シャーレ40には対象物(種子41)が配置されており、種子41はその3分の2程度が液体42(水を主成分とする液体であって、例えば蒸留水)に浸された状態となっている。ジェネレータ10を用いて2つの電極20、30の間の種子41を刺激する。
電極間に印加する交流電場の周波数は、対象物の種類に応じて適宜調整することができる。一実施形態において、交流電場の周波数は例えば0.5MHz以上であるが、好ましくは0.5MHz~1000MHzの範囲であってもよい。対象物の種類に応じて適切な周波数を選択することにより、対象物の成長促進効率が向上しうる。
また、電極間に印加する交流電場の周波数(帯域)は、一実施形態において、水の誘電損失に基づいて設定することができる。すなわち、水に交流電界を印加した場合、低周波数では水中のイオンが移動することにより誘電損失が生じ、周波数が高くなるにしたがって誘電損失が小さくなることが知られている。水の誘電損失が小さくなる領域の交流電場(概ね0.5MHz以上1000MHz以下の交流電場)を利用することで、水中のイオンの移動が最小限にとどまるため、対象物には、イオンの移動に伴う刺激ではなく、電界による刺激を直接に与えることができ、対象物の成長が促進されうる。
また、電極間に印加する交流電場の強度(電界強度)については、特に限定されず、対象物の種類に応じて適宜設定することができる。一実施形態において、交流電場の強度は0.01Vpp/cm~100Vpp/cmの範囲とすることができる。好ましくは0.03Vpp/cm~100Vpp/cmの範囲であってもよい。さらに好ましくは0.05Vpp/cm~50Vpp/cmの範囲であってもよい。対象物に応じて、このような電場強度を選択することにより、対象物の成長が促進されうる。
また、対象物に交流電場を印加する時間(タイミング)についても特に限定されず、対象物の種類に応じて適宜設定することができる。一実施形態において、交流電場を印加する時間は、対象物に水分を含浸させた時点(対象物に水分を含浸させて成長環境に配置した時点、すなわち、成長に必要な因子が整った時点)を基準として設定することができる。
また、一実施形態において、交流電場の強度(電界強度)や交流電場を印加する時間、あるいはその際の対象物が置かれる環境は、対象物の種類に応じて適宜設定され、その最適値は、実験的に導出することができる。
本発明によれば、ジェネレータを用いて2つの電極間に交流電場を印加するだけで、2つの電極間に配置された対象物を刺激することができるため、簡易な構成で対象物の成長を促進することができる。
<成長促進方法>
次に、本発明の一実施形態に係る成長促進方法を説明する。成長促進方法は、その準備として、成長促進の対象物を用意して、液体(水を主成分とする液体)を含浸させて、成長環境に配置する工程を含む。例えば、シャーレ40に対象物(種子41)を配置して液体を加え、これを、対象物の成長に好適な条件になるように、温度、湿度、照度、明度などが調整された環境に配置する。
成長促進方法は、対象物に高周波交流電場を印加する工程を含む。本工程で印加される交流電場(周波数、波形、強度、時間)は、対象物に応じて適宜設定することができる。本工程は、上記したシャーレ40を電極20及び電極30で挟み、電極20及び電極30の間に高周波交流電場を生成することによって実現することができる。なお、本工程は、電極20及び電極30の少なくとも一方が、種子41及び液体42と非接触となるように実施される。図2に示す例では、本工程は、電極20及び電極30の双方が、種子41及び液体42と非接触となっている。
以上の工程によって対象物を刺激し、その成長を促進することができる。
[実施例1]
実施例1では、生物の成長促進の一例として、シャーレ上に載置されたルッコラの種子の成長促進を例に説明を行う。
<実験内容及び実験結果>
●ルッコラの種子の発芽率測定
図3Aは、シャーレに載置されたルッコラの種子の成長の様子を示す図である。ルッコラの種子を、シャーレに設けられた1%寒天プレートに50個置床し、種子の2/3の高さまで蒸留水を加えた。その後、寒天プレートを蓋で覆い、3cm幅の10cm×10cm平行平板ステンレス電極の間に挿入し、25℃、暗所にて、成長促進装置1を使用して上下方向から1.0Vpp/cm、100MHzの正弦波交流電場を48時間印加した。その間、蒸留水を補給しながら発芽を待った。
また、Controlとして、ルッコラの種子を1%寒天プレートに50個置床し、種子の2/3の高さまで蒸留水を加えた。寒天プレートを蓋で覆い、25℃、暗所にてそのまま48時間静置した。その間、蒸留水を補給しながら発芽を待った。
種子に蒸留水を加えてから(交流電場の印加を開始してから)8時間後、24時間後、32時間後、48時間後におけるルッコラ種子の発芽数をカウントして発芽率を算出した。種子は、幼根が2mm以上に伸張したら発芽したものとみなした。幼根長の測定は、撮影した画像から求めた。
図3Bは、ルッコラの種子の発芽率を経時的にプロットした図である。種子に蒸留水を加えてから24時間後には、対照区(Control)のルッコラの種子の発芽率は、12.7±4.8%(平均値±標準誤差、n=3)であったのに対し、交流電場を印加したルッコラの種子の発芽率は26.7±0.7%であった。すなわち、交流電場を印加した場合、Controlの2.1倍の発芽率が計測された。
また、種子に蒸留水を加えてから32時間後には、Controlのルッコラの種子の発芽率は56.7±1.3%であったのに対し、交流電場を印加したルッコラの種子の発芽率は75.3±6.4%であった。すなわち、交流電場を印加した場合、Controlの1.3倍の発芽率が計測された。
種子に蒸留水を加えてから24時間後、32時間後の両方において、統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
●ルッコラの種子の茎長測定
また、ルッコラの種子を1%寒天プレートに20個置床し、種子の2/3の高さまで蒸留水を加えた。そして、図4Aに示されるように、高さ2cmの紙筒を寒天プレートの周囲に巻き、その上を蓋で覆った。それを3cm幅の10cm×10cm平行平板ステンレス電極の間に挿入し、25℃、暗所にて、成長促進装置1を使用して上下方向から1.0Vpp/cm、100MHzの正弦波交流電場を3日間印加した。その間、蒸留水を補給しながら発芽を待った。
また、Controlとして、ルッコラの種子を1%寒天プレートに20個置床し、種子の2/3の高さまで蒸留水を加えた。同様に、高さ2cmの紙筒を寒天プレートの周囲に巻き、その上を蓋で覆った。それを25℃、暗所にてそのまま3日間静置した。その間、蒸留水を補給しながら発芽を待った。
そして、3日経過後、図4Bに示されるように、茎長の長いルッコラを10本ずつサンプリングし、茎長を測定した。茎長の測定は、撮影した画像から求めた。
図4Cは、茎長の測定結果を示す図である。交流電場を印加したルッコラの茎長は12.4±2.1mm(平均値±標準誤差、n=10)であったのに対し、Controlのルッコラの茎長は7.2±1.1mmであった。すなわち、交流電場を印加した場合、Controlの約2倍の茎長が計測された。
統計的な有意差を有する茎長の伸びが計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
[実施例2]
実施例2では、交流電場の印加タイミングや印加時間を変化させた場合に、ルッコラの種子の成長に与える影響を調査した。
<実験内容及び実験結果>
具体的には、実施例1と同様の環境下で、交流電場周波数100MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの固定値とし、交流電場の印加時間を変化させて実験を行った。なお、以下、実験開始時(すなわち種子に蒸留水を与えて成長環境に配置した時点)を基準として、交流電場の印加時間を表現する。
図5Aは、0時間~48時間の間(48時間)、交流電場を印加した場合の結果であり、図3Bと同じである。図5Aにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率26.7%、32時間経過時点では発芽率75.3%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率12.7%、32時間経過時点では発芽率56.7%であった。交流電場を印加した場合、24時間経過時点でControlの2.1倍の発芽率、32時間経過時点でControlの1.3倍の発芽率となった。
図5Bは、10時間~48時間の間(38時間)、交流電場を印加した場合の結果である。すなわち、種子に蒸留水を与えて成長環境に配置してから10時間は交流電場を印加せず、その後、38時間交流電場を印加した。図5Bにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率12.7%、32時間経過時点では発芽率66%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率13.3%、32時間経過時点では発芽率65.3%であった。交流電場を印加した場合と、Controlとで有意な差は見られなかった。
図5Cは、0時間~10時間の間(10時間)、交流電場を印加した場合の結果である。すなわち、種子に蒸留水を与えてから10時間のみ交流電場を印加し、その後は交流電場の印加を停止した。図5Cにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率24.7%、32時間経過時点では発芽率82.7%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率12%、32時間経過時点では発芽率64%であった。交流電場を印加した場合、24時間経過時点でControlの2.06倍の発芽率、32時間経過時点でControlの1.29倍の発芽率となった。本条件では、統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
図5Dは、10時間~24時間の間(14時間)交流電場を印加した場合の結果である。すなわち、種子に蒸留水を与えてから10時間は交流電場を印加せず、その後、14時間交流電場を印加した後に、交流電場の印加を停止した。図5Dにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率13.3%、32時間経過時点では発芽率64%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率13.3%、32時間経過時点では発芽率65.3%であった。交流電場を印加した場合と、Controlとで有意な差は見られなかった。
図5Eは、0時間~1時間の間(1時間)、交流電場を印加した場合の結果である。すなわち、種子に蒸留水を与えてから1時間のみ交流電場を印加し、その後は交流電場の印加を停止した。図5Eにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率10.7%、32時間経過時点では発芽率63.3%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率13.3%、32時間経過時点では発芽率67.3%であった。交流電場を印加した場合と、Controlとで有意な差は見られなかった。
図5Fは、-12時間~0時間の間(すなわち、種子吸水直前(播種前)の乾燥種子に対して12時間)、交流電場を印加した場合の結果である。図5Fにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率10.7%、32時間経過時点では発芽率70%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率13.3%、32時間経過時点では発芽率67.3%であった。交流電場を印加した場合と、Controlとで有意な差は見られなかった。すなわち、種子が吸水する前の乾燥種子に交流電場を印加しても成長は促進されなかった。
さらに、実施例1と同様の環境下で、交流電場周波数200MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの固定値とし、交流電場を所定時間印加する実験を行った。図5の例と同様に、実験開始時(すなわち種子に蒸留水を与えて成長環境に配置した時点)を基準として、交流電場の印加時間を表現している。その結果、0時間~48時間の間(48時間)、交流電場を印加した場合、24時間後には、Controlの1.7倍の発芽率となり、32時間後にはControlの1.22倍の発芽率となった。
また、同様の環境下で、交流電場周波数200MHz且つ交流電場強度0.03Vpp/cmの固定値とし、交流電場を所定時間印加する実験を行った。その結果、0時間~10時間の間(10時間)、交流電場を印加した場合、24時間後には、Controlの1.2倍の発芽率となった。
このように、交流電場周波数を100MHzから200MHzへと、より大きな値を用いることで、交流電場強度を1.0Vpp/cmから0.03Vpp/cmへと、より小さい値を用いても発芽率を促進させることができることが分かった。
実験の結果、交流電場の印加を開始するタイミングや、印加する時間によって、生物の成長促進効果に差があることが確認された。特に、本実施の形態では、種子に蒸留水を与えてから一定の期間内に交流電場の印加を開始し、かつ、交流電場を印加する時間を一定以上にすることにより、対象となる生物の成長が促進されることが確認された。ただし、印加開始に適した時期や印加時間は、対象となる生物や交流電場の周波数・強度に応じて変わることが予想され、その最適値は、実験的に導出することができる。
[実施例3]
実施例3では、印加する交流電場強度及び交流電場周波数を変化させた場合に、ルッコラの種子の成長に与える影響を調査した。
<実験内容及び実験結果>
●交流電場周波数に応じた成長促進効果
まず、交流電場強度は一定とし、交流電場周波数を変化させた。実施例1と同様に、ルッコラの種子を1%寒天プレートに50個置床し、種子の2/3の高さまで蒸留水を加えた。寒天プレートを蓋で覆い、3cm幅の10cm×10cm平行平板ステンレス電極の間に挿入し、25℃、暗所にて、成長促進装置1を使用して上下方向から1.0Vpp/cm、且つ、1MHz、10MHz又は100MHzの3種類の正弦波交流電場を48時間印加した。その間、蒸留水を補給しながら発芽を待った。
また、実施例1と同様に、Controlとして、ルッコラの種子を1%寒天プレートに50個置床し、種子の2/3の高さまで蒸留水を加えた。寒天プレートを蓋で覆い、25℃、暗所にてそのまま48時間静置した。その間、蒸留水を補給しながら発芽を待った。
種子に蒸留水を加えてから8時間後、24時間後、32時間後、48時間後におけるルッコラ種子の、発芽数をカウントして発芽率を算出した。
図6は、ルッコラの種子の発芽率を経時的にプロットした図である。図6Aは、交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数1MHzの場合の結果である。図6Bは、交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数10MHzの場合の結果である。図6Cは、交流電場強度1.0Vpp/cm且つ交流電場周波数100MHzの場合の結果であり、図3Bと同じである。
図6Aにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率12.7%、32時間経過時点では発芽率63.3%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率10.7%、32時間経過時点では発芽率58.7%であった。交流電場を印加した種子の方が発芽率は高くなっているものの、統計上の有意差を認められるほどではなかった。
図6Bにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率23.3%、32時間経過時点では発芽率68%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率16%、32時間経過時点では発芽率55.3%であった。本条件では、統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
図6Cにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率26.7%、32時間経過時点では発芽率75.3%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率12.7%、32時間経過時点では発芽率56.7%であった。本条件では、統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
図6A乃至図6Cから分かるように、強度が同じ交流電場であっても、周波数によって24時間経過時点及び32時間経過時点の発芽率が変化することが確認された。
また、図7は、交流電場強度1.0Vpp/cmを固定値とし、交流電場周波数1MHz、10MHz又は100MHzのそれぞれにおいて、平均発芽時間を計測した結果を示す図である。なお、平均発芽時間は、非特許文献2に記載の式から算出した。Controlでは平均で約37時間であった。一方、1MHzでは約36.0時間、10MHzでは約34.2時間、100MHzでは約32.8時間であった。実験の結果、強度が同じ交流電場であっても、交流電場周波数によって、平均発芽時間が変化することが確認された。
●交流電場強度に応じた成長促進効果
次に、同様の環境下で、交流電場強度を変化させてルッコラの種子の発芽率を調査した。図8は、ルッコラの種子の発芽率を経時的にプロットした図である。図8Aは、交流電場周波数1MHz且つ強度1.0Vpp/cmの交流電場を48時間印加した場合の結果であり、図6Aと同じである。図8Bは、交流電場周波数1MHz且つ強度10Vpp/cmの交流電場を48時間印加した場合の結果である。図8Cは、交流電場周波数100MHz且つ強度0.1Vpp/cmの交流電場を10時間印加した場合の結果である。図8Dは、交流電場周波数100MHz且つ強度0.05Vpp/cmの交流電場を10時間印加した場合の結果である。図8Eは、交流電場周波数100MHz且つ強度0.01Vpp/cmの交流電場を10時間印加した場合の結果である。
図8Aにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率12.7%、32時間経過時点では発芽率63.3%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率10.7%、32時間経過時点では発芽率58.7%であった。
図8Bにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率16.7%、32時間経過時点では発芽率69.3%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率13.3%、32時間経過時点では発芽率60%であった。本条件では、統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
図8Cにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率23.3%、32時間経過時点では発芽率68.0%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率7.3%、32時間経過時点では発芽率55.3%であった。本条件では、統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
図8Dにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率22.7%、32時間経過時点では発芽率73.3%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率10.0%、32時間経過時点では発芽率68.0%であった。本条件では、統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
図8Eにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率8.0%、32時間経過時点では発芽率68.0%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率9.3%、32時間経過時点では発芽率63.3%であった。交流電場を印加した種子の方が32時間経過時における発芽率は高くなっているものの、統計上の有意差を認められるほどではなかった。
図8A乃至図8Eから分かるように、同じ周波数の交流電場であっても、強度によって、24時間経過時点及び32時間経過時点の発芽率が変化することが確認された。ただし、成長促進に最適な交流電場強度は、その他の印加条件(周波数やタイミング)、及び、対象となる生物によって変化することが予想され、その最適値は実験的に導出することができる。また本実験を通じて、0.05Vpp/cmという強度の小さい交流電場を印加した場合でも、種子の成長を促進する効果があることが確認された。なお、本実験では、上記の通り、強度が0.01Vpp/cmの交流電場を印加した種子の発芽率は、Controlとの間で有意な差は見られなかった。ただし、交流電場による成長促進効果は、交流電場の印加条件(強度や周波数や時間)に依存すると考えられるため、交流電場の印加条件や対象となる生物種などを調整して、0.05Vpp/cmよりも小さい強度(例えば、0.04Vpp/cm、0.03Vpp/cm、0.02Vpp/cm、0.01Vpp/cm)の交流電場を用いて、生物の成長促進を行うことも可能である。
[実施例4]
実施例4では、交流電場の印加が小松菜の種子及びえんどう豆の種子の成長に与える影響を調査した。
<実験内容及び実験結果>
具体的には、実施例1と同様の環境下で、交流電場周波数100MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの固定値として、ルッコラに代えて小松菜の種子及びえんどう豆の種子に対して交流電場を印加した。
●小松菜の種子の発芽率測定
図9Aは、小松菜の種子に対して、0時間~48時間の間(48時間)、交流電場を印加した場合の結果である。図9Aにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率25.3%、32時間経過時点では発芽率76%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率11.3%、32時間経過時点では発芽率66.7%であった。交流電場を印加した場合、24時間経過時点でControlの2.2倍の発芽率、32時間経過時点でControlの1.14倍の発芽率となった。統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
図9Bは、小松菜の種子に対して、0時間~10時間の間(10時間)、交流電場を印加した場合の結果である。図9Bにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率17.3%、32時間経過時点では発芽率66.7%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率8%、32時間経過時点では発芽率48%であった。交流電場を印加した場合、24時間経過時点でControlの2.17倍の発芽率、32時間経過時点でControlの1.39倍の発芽率となった。統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
●えんどう豆の種子の発芽率測定
図10Aは、えんどう豆の種子に対して、0時間~48時間の間(48時間)、交流電場を印加した場合の結果である。図10Aにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率16.7%、32時間経過時点では発芽率87.8%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率12.2%、32時間経過時点では発芽率53.3%であった。交流電場を印加した場合、24時間経過時点でControlの1.36倍の発芽率、32時間経過時点でControlの1.65倍の発芽率となった。統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
図10Bは、えんどう豆の種子に対して、0時間~10時間の間(10時間)、交流電場を印加した場合の結果である。図10Bにおいて、交流電場を印加した場合、24時間経過時点では発芽率6.7%、32時間経過時点では発芽率77.8%であった。一方、Controlの場合、24時間経過時点では発芽率3.3%、32時間経過時点では発芽率52.2%であった。交流電場を印加した場合、24時間経過時点でControlの2倍の発芽率、32時間経過時点でControlの1.49倍の発芽率となった。統計的な有意差を有する発芽率の上昇が計測され、種子の成長が促進されていることが確認された。
上述の各実施例によれば、様々な種類の種子について、交流電場の印加により種子が刺激され、成長が促進される効果が得られることが確認された。種子の成長を促進するためには、幅広い電場強度及び周波数が適用可能であり、特に有効な電場強度及び周波数を選択することにより、種子の発芽率を向上させることができる。例えば、交流電場強度を100Vpp/cm未満の値(より好適には0.03~100Vpp/cm)、交流電場周波数を0.5MHz~1000MHz(より好適には0.5MHz~200MHz)の周波数帯の値とすることで、液体(水)を含浸した対象物(種子)の成長を促進する効果が得られる。
[実施例5]
実施例5では、交流電場の印加が微生物(しいたけ)の成長に与える影響を調査した。
<実験内容及び実験結果>
1.6Kgのしいたけ菌床(直径12cm、高さ18cm, シイタケ栽培キット, 森産業株式会社, 群馬県)をのこぎりで輪切りにし、6等分した。しいたけ菌床を水洗いした後、それぞれをビニール袋に入れ、23度12時間、10度12時間のプログラムインキュベーター内に静置した。輪切りにした、3個のしいたけ菌床をステンレス平板電極間に保持し、交流電場周波数100MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの交流電場を24時間印加した。交流電場印加後、しいたけの出芽を調べた。しいたけは高さ5mm以上で出芽したものとした。
●しいたけの出芽実験結果
図11Aは、しいたけ菌床に対して上記の交流電場を24時間印加した後に印加を停止し、その後1日経過した時の様子を示している。図11Aにおいて、交流電場を印加した3つの菌床からは、平均して9個のしいたけが出芽した。一方、Controlの菌床からは、しいたけの出芽は見られなかった。
図11Bは、しいたけ菌床に対して上記の交流電場を24時間印加した後に印加を停止し、その後9日経過した時の様子を示している。図11Bのグラフは100g菌床当たりのしいたけの重量を、データ数3個の平均値±標準誤差で示している。図11Bにおいて、交流電場を印加した菌床から成長したしいたけの重量は、Controlの菌床から成長したしいたけの重量の1.44倍となった。
以上の結果から、交流電場を印加することで、しいたけの成長が促進されることが確認された。
[実施例6]
実施例6では、交流電場の印加がルッコラの種子の発芽に与える影響を調査した。
<実験内容及び実験結果>
具体的には、実施例1と同様の環境下で、交流電場周波数200MHz、500MHz又は700MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの固定値とし、交流電場を48時間印加した。なお、以下、実験開始時(すなわち種子に蒸留水を与えて成長環境に配置した時点)を基準として、交流電場の印加時間を表現する。
図12Aは、交流電場周波数200MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの交流電場を、0時間~48時間の間(48時間)印加した場合の結果である。交流電場を印加した場合、24時間経過時点では52.0±4.0%の発芽率となり、Controlの1.70倍であった。
図12Bは、交流電場周波数500MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの交流電場を、0時間~48時間の間(48時間)印加した場合の結果である。交流電場を印加した場合、24時間経過時点では39.3±2.9%の発芽率となり、Controlの1.90倍であった。
図12Cは、交流電場周波数700MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの交流電場を、0時間~48時間の間(48時間)印加した場合の結果である。交流電場を印加した場合、24時間経過時点では32.0±2.3%の発芽率となり、Controlの2.40倍であった。また、32時間経過時点では79.3±2.4%の発芽率となり、Controlの1.12倍であった。
図12A乃至図12Cから分かるように、強度が同じ交流電場であっても、周波数によって24時間経過時点及び32時間経過時点の発芽率が変化し、発芽促進効果があることが確認された。
[実施例7]
実施例7では、交流電場の印加がルッコラの種子の発芽に与える影響を調査した。
<実験内容及び実験結果>
具体的には、実施例1と同様の環境下で、交流電場周波数13.56MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの固定値とし、交流電場を48時間印加した。本実施例で用いる13.56MHzの周波数は、通信以外の目的で使用できるISM(Industrial, Scientific and Medical)周波数帯の1つである。なお、以下、実験開始時(すなわち種子に蒸留水を与えて成長環境に配置した時点)を基準として、交流電場の印加時間を表現する。
図13は、交流電場周波数13.56MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの交流電場を、0時間~48時間の間(48時間)印加した場合の結果である。交流電場を印加した場合、24時間経過時点では28±4%の発芽率となり、Controlの9.3±1.8%の発芽率の3.0倍であった。図13から分かるように、13.56MHzの周波数でも24時間経過時点の発芽率が変化し、統計的に有意な発芽促進効果があることが確認された。
[実施例8]
実施例8では、交流電場の印加がえんどう豆の種子の発芽に与える影響を調査した。
<実験内容及び実験結果>
具体的には、実施例1と同様の環境下で、交流電場周波数40.68MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの固定値として、えんどう豆の種子に対して交流電場を印加した。本実施例で用いる40.68MHzの周波数は、通信以外の目的で使用できるISM(Industrial, Scientific and Medical)周波数帯の1つである。なお、以下、実験開始時(すなわち種子に蒸留水を与えて成長環境に配置した時点)を基準として、交流電場の印加時間を表現する。
図14は、交流電場周波数40.68MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの交流電場を、0時間~48時間の間(48時間)印加した場合の結果である。交流電場を印加した場合、32時間経過時点では61.1±1.1%の発芽率となり、Controlの1.77倍であった。図14から分かるように、40.68MHzの周波数でも32時間経過時点の発芽率が変化し、統計的に有意な発芽促進効果があることが確認された。
[実施例9]
実施例9では、交流電場の印加が稲もみの発芽に与える影響を調査した。
<実験内容及び実験結果>
具体的には、実施例1と同様の環境下で、交流電場周波数100MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの固定値として、稲もみ(「ひとめぼれ」(野口育苗研究所、埼玉県))に対して交流電場を印加した。なお、以下、実験開始時(すなわち稲もみに蒸留水を与えて成長環境に配置した時点)を基準として、交流電場の印加時間を表現する。
図15の上部のグラフは、交流電場周波数100MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの交流電場を、0時間~114時間の間(114時間)印加した場合の結果である。その結果、交流電場を印加してから66時間経過時点、72時間経過時点、90時間経過時点において、Controlに対し、統計的に有意な発芽促進効果が確認された。最も顕著な発芽促進効果が確認されたのは66時間経過時点であり、発芽率は52.7±2.4(%)(平均値±標準誤差、n=3)と、Controlの発芽率の2.19倍の発芽率となった。
なお、図15の下部の左の写真は、66時間経過時点のControlの稲もみの写真であり、右の写真は、交流電場周波数100MHz且つ交流電場強度1.0Vpp/cmの交流電場を印加した場合の66時間経過時点の稲もみの写真である。稲もみの茎長の伸びの様子からも、交流電場を印加した稲もみの成長が促進されていることが確認できる。
上記実施例で示した生物以外を対象とする場合であっても、上記の結果を参考にして、適用する電場強度及び周波数や印加時間を選択することが可能である。
なお、上記実施例では、種子や菌床(菌類)を水に浸した状態で交流電場を印加したが、必ずしも水である必要はない。例えば栄養素を含んだ水などの液体を用いてもよい。また、上記実施例では植物の種子や菌床を対象として交流電場の印加を行ったが、交流電場の印加対象はこれらに限られるものではなく、他の対象物に対しても本発明を適用することが可能である。また、上記実施例では水を成長に不足な因子としたが、他の成長因子(例えば、温度、照度等)を成長に十分な量を与えて後、適切な周波数及び強度の電場を与えてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、kV/cmのオーダーと比較して極めて低いオーダー(0.01~100Vpp/cm程度のオーダー)の交流電場強度を適用することができるため、簡易な構成で対象物の成長を促進することが可能となる。
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
本願は、2019年2月6日提出の日本国特許出願特願2019-019916及び2019年6月6日提出の日本国特許出願特願2019-106473を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。

Claims (8)

  1. 生物の成長を促進させる成長促進方法であって、
    成長環境に配置された生物に、水の誘電損失が小さくなる周波数帯であるMHzより大きく1000MHz以下の高周波交流電場を印加する電場印加工程を含み、
    前記高周波交流電場の強度は、0.01Vpp/cm以上且つ100Vpp/cm以下であり、
    前記電場印加工程では、前記高周波交流電場の周波数を大きくするとともに、前記高周波交流電場の強度を小さくするように制御し、
    前記生物は植物の種子またはきのこ類であることを特徴とする成長促進方法。
  2. 前記高周波交流電場の強度、放電が発生しない範囲であることを特徴とする請求項1に記載の成長促進方法。
  3. 前記生物に前記高周波交流電場を印加する時間を、前記生物に水分を含浸させて成長環境に配置した時点を基準に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の成長促進方法。
  4. 前記生物に前記高周波交流電場を印加する時間の長さは、前記時点を基準として10時間以上であることを特徴とする請求項3に記載の成長促進方法。
  5. 生物の成長を促進させる成長促進システムであって、
    成長環境に配置された生物に、水の誘電損失が小さくなる周波数帯であるMHzより大きく1000MHz以下の高周波交流電場を印加する電場印加手段を備え
    前記高周波交流電場の強度は、0.01Vpp/cm以上且つ100Vpp/cm以下であり、
    前記電場印加手段は、前記高周波交流電場の周波数を大きくするとともに、前記高周波交流電場の強度を小さくするように制御し、
    前記生物は植物の種子またはきのこ類であることを特徴とする成長促進システム。
  6. 前記電場印加手段は、
    高周波交流電圧を発生させる電圧発生装置と、
    前記電圧発生装置に接続された、前記生物を挟んで対向する平行平板電極と、
    を有することを特徴とする請求項に記載の成長促進システム。
  7. 前記電場印加手段は、
    高周波交流電圧を発生させる電圧発生装置と、
    前記電圧発生装置に接続された、電磁波を空間に向かって放射する電磁波放射電極と、
    を有することを特徴とする請求項に記載の成長促進システム。
  8. 前記高周波交流電場が外部に漏れることを防止するシールド手段をさらに備えることを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の成長促進システム。
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